第34章 Apache Spark との統合
34.1. JBoss Data Grid の Apache Spark コネクター リンクのコピーリンクがクリップボードにコピーされました!
JBoss Data Grid には Spark コネクターが含まれ、Apache Spark との密な統合を提供します。また、Java または Scala で書かれたアプリケーションが JBoss Data Grid をバッキングデータストアとして使用できるようにします。
実際には、Apache Spark 1.6.x をサポートするコネクターと、Apache Spark 2.x をサポートするコネクターの 2 つがあり、それぞれ Scala 2.10.x と 2.11.x をサポートします。両方のコネクターは、メインディストリビューションとは別に提供されます。
Apache Spark 1.6 コネクターには以下のサポートが含まれています。
- キャッシュからの RDD の作成
- キーバリュー RDD のキャッシュへの書き込み
- キャッシュレベルイベントからの DStream の作成
- キーバリュー DStream のキャッシュへの書き込み
上記の機能の他に、Apache Spark 2 コネクターは以下の機能もサポートします。
- JDG サーバー側フィルターを使用したキャッシュベースの RDD の作成
- JBoss Marshalling を基にした Spark シリアライザー
- 述語のプッシュダウンをサポートする Dataset API
Apache Spark のサポートは、リモートクライアントサーバーモードでのみ有効です。
34.2. Spark の依存関係 リンクのコピーリンクがクリップボードにコピーされました!
Apache Spark のバージョンに応じて、以下の Maven 設定を使用する必要があります。
Spark 1.6.x の pom.xml
<dependency> <groupId>org.infinispan</groupId> <artifactId>infinispan-spark</artifactId> <version>0.3.0.Final-redhat-2</version> </dependency>
<dependency>
<groupId>org.infinispan</groupId>
<artifactId>infinispan-spark</artifactId>
<version>0.3.0.Final-redhat-2</version>
</dependency>
Spark 2.x の pom.xml
<dependency> <groupId>org.infinispan</groupId> <artifactId>infinispan-spark</artifactId> <version>0.6.0-redhat-9</version> </dependency>
<dependency>
<groupId>org.infinispan</groupId>
<artifactId>infinispan-spark</artifactId>
<version>0.6.0-redhat-9</version>
</dependency>
34.3. Spark コネクターの設定 リンクのコピーリンクがクリップボードにコピーされました!
Apache Spark の バージョン 1.6 コネクターとバージョン 2 コネクターは、設定に同じインターフェースを使用しません。バージョン 1.6 コネクターはプロパティーを使用し、バージョン 2 コネクターはメソッドを使用します。
34.3.1. バージョン 1.6 コネクターを設定するプロパティー リンクのコピーリンクがクリップボードにコピーされました!
プロパティー名 | 説明 | デフォルト値 |
---|---|---|
|
JBoss Data Grid ノードのリスト |
localhost:11222 |
|
RDD をバックするキャッシュの名前 |
デフォルトキャッシュ |
|
キャッシュから読み取りするときのバッチサイズ (エントリー数) |
10000 |
|
キャッシュへ書き込みするときのバッチサイズ (エントリー数) |
500 |
|
JBoss Data Grid サーバーごとに作成されるパーティションの数 |
2 |
|
protobuf ファイル名およびコンテンツを持つマップ |
エントリーに protobuf エンコーディング情報のアノテーションが付けられている場合は省略できます。protobuf エンコーディングは、クエリーによる RDD のフィルターに必要です。 |
|
キャッシュにあるオブジェクトの protostream マーシャラークラスのリスト |
エントリーに protobuf エンコーディング情報のアノテーションが付けられている場合は省略できます。protobuf エンコーディングは、クエリーによる RDD のフィルターに必要です。 |
34.3.2. バージョン 2 コネクターを設定するメソッド リンクのコピーリンクがクリップボードにコピーされました!
以下のメソッドは、バージョン 2 コネクターの設定に使用できます。これらのメソッドは org.infinispan.spark.config.ConnectorConfiguration
クラスによって提供されます。
メソッド名 | 説明 | デフォルト値 |
---|---|---|
|
JBoss Data Grid ノードのリスト |
localhost:11222 |
|
RDD をバックするキャッシュの名前 |
デフォルトキャッシュ |
|
キャッシュから読み取りするときのバッチサイズ (エントリー数) |
10000 |
|
キャッシュへ書き込みするときのバッチサイズ (エントリー数) |
500 |
|
JBoss Data Grid サーバーごとに作成されるパーティションの数 |
2 |
|
protobuf ファイル名およびコンテンツを持つマップ |
エントリーに protobuf エンコーディング情報のアノテーションが付けられている場合は省略できます。protobuf エンコーディングは、クエリーによる RDD のフィルターに必要です。 |
|
キャッシュにあるオブジェクトの protostream マーシャラークラスのリスト |
エントリーに protobuf エンコーディング情報のアノテーションが付けられている場合は省略できます。protobuf エンコーディングは、クエリーによる RDD のフィルターに必要です。 |
|
protobuf アノテーションが含まれるクラスの登録 |
|
|
protobuf スキーマをサーバーで自動登録 |
なし |
|
JBoss Data Grid サーバーとの通信時に追加の Hot Rod クライアントプロパティーを設定 |
なし |
|
クエリーターゲットを指定するために Dataset API とともに使用 |
省略した場合、protobuf のアノテーションが付けられた 1 つのクラスのみが設定されていれば、そのクラスが選択されます。 |
34.3.3. セキュアな JDG クラスターへの接続 リンクのコピーリンクがクリップボードにコピーされました!
JDG クラスターがセキュアな場合、Hot Rod にセキュリティーを設定しないと、Spark コネクターは動作しません。Hot Rod セキュリティーを設定するためにセットアップできる Hot Rod プロパティーは複数あります。これらのプロパティーの説明は、『Administration and Configuration Guide』の付録にある「Hot Rod Properties table」の infinispan.client.hotrod.use_ssl
以降に記載されています。
これらのプロパティーは、バージョン 2 Apache Spark コネクターのみに限定されます。
34.4. Spark 1.6 のコード例 リンクのコピーリンクがクリップボードにコピーされました!
34.4.1. Spark 1.6 のコード例 リンクのコピーリンクがクリップボードにコピーされました!
Apache Spark 1.6 のコネクターは、バージョン 2 コネクターとは異なる設定メカニズムを使用し、バージョン 2 コネクターは 1.6 がサポートしない機能を一部サポートするため、各バージョンのコード例は独自のセクションに分割されています。以下のコード例は、バージョン 1.6 のSpark コネクターと動作します。Spark 2 のコード例はこちらを参照してください。
34.4.2. RDD の作成および使用 リンクのコピーリンクがクリップボードにコピーされました!
Apache Spark 1.6 コネクターを使用する場合、RDD は「バージョン 1.6 コネクターを設定するプロパティー」に記載されている設定に Properties
インスタンスを指定して作成されます。その後、Spark コンテキストとともに使用して、通常の Spark 操作と使用される InfinispanRDD
を作成します。
以下に Java および Scala での例を示します。
34.4.3. RDD の作成 リンクのコピーリンクがクリップボードにコピーされました!
RDD の作成 (Java)
RDD の作成 (Scala)
34.4.4. RDD のクエリー リンクのコピーリンクがクリップボードにコピーされました!
RDD が利用可能になると、Spark RDD 操作または Spark の SQL サポートのいずれかを使用してバッキングキャッシュを取得できます。上記の例を拡張して author (著者) ごとにエントリーをカウントすると、結果となる RDD と SQL クエリーは次のようになります。
RDD のクエリー (Java)
RDD のクエリー (Scala)
34.4.5. RDD のキャッシュへの書き込み リンクのコピーリンクがクリップボードにコピーされました!
静的 InfinispanJavaRDD.write()
メソッドを使用すると、あらゆるキーバリューベースの RDD を Data Grid キャッシュに書き込みできます。これにより、RDD の内容がキャッシュにコピーされます。
RDD の書き込み (Java)
RDD の書き込み (Scala)
34.4.5.1. DStreams の作成および使用 リンクのコピーリンクがクリップボードにコピーされました!
DStream は継続するデータのストリームを表し、継続的な一連の RDD によって内部で表されます。各 RDD には特定の時間間隔からのデータが含まれます。
DStream の作成には、以下の例のように StreamingContext
が StorageLevel
および JBoss Data Grid RDD 設定とともに渡されます。
DStream の作成 (Scala)
InfinispanInputDStream
は多くの Spark の DStream 操作を使用して変換でき、StreamingContext
で「start」を呼び出した後に処理が発生します。たとえば、最後の 30 秒でキャッシュに挿入された本の数を 10 秒ごとに表示する場合は以下のようになります。
DStream の処理 (Scala)
DStreams での JBoss Data Grid への書き込み
キーバリュー型のすべての DStream は、Java の場合は InfinispanJavaDStream.writeToInfinispan()
Java メソッド経由で JBoss Data Grid へ書き込みでき、Scala の場合は暗黙的な writeToInfinispan(properties)
メソッドを直接 DStream インスタンスで使用して書き込みできます。両方のメソッドは JBoss Data Grid RDD 設定を入力として取り、DStream 内に含まれる各 RDD を書き込みます。
34.4.6. Spark での Infinispan Query DSL の使用 リンクのコピーリンクがクリップボードにコピーされました!
Infinispan Query DSL は InfinispanRDD のフィルターとして使用でき、RDD レベルではなくソースでデータを事前にフィルターできます。
クエリーする DSL が適切に動作するには、キャッシュのデータを protobuf でエンコードする必要があります。protobuf エンコーティングの使用手順は「Protobuf エンコーティング」を参照してください。
著者の名前に Doe
含まれる本のリストを取得する以下の例を見てください。
34.4.7. クエリーによるフィルリング リンクのコピーリンクがクリップボードにコピーされました!
クエリーによるフィルリング (Scala)
射影も完全サポートされます。たとえば、上記の例を調整して著書名と出版年のみを取得し、出版年のフィールドでソートすることができます。
34.4.8. 射影を使用したフィルタリング リンクのコピーリンクがクリップボードにコピーされました!
射影を使用したフィルタリング (Scala)
さらに、フィルターがすでに JBoss Data Grid サーバーにデプロイされている場合は、以下のように名前で参照することもできます。
34.4.9. デプロイされたフィルターを使用したフィルタリング リンクのコピーリンクがクリップボードにコピーされました!
デプロイされたフィルターを使用したフィルタリング (Scala)
val rdd = InfinispanRDD[String,Book] = .... // "my-filter-factory" filter and converts Book to a String, and has two parameters val filteredRDD = rdd.filterByCustom[String]("my-filter-factory", "param1", "param2")
val rdd = InfinispanRDD[String,Book] = ....
// "my-filter-factory" filter and converts Book to a String, and has two parameters
val filteredRDD = rdd.filterByCustom[String]("my-filter-factory", "param1", "param2")
34.5. Spark 2 のコード例 リンクのコピーリンクがクリップボードにコピーされました!
34.5.1. Spark 2 のコード例 リンクのコピーリンクがクリップボードにコピーされました!
Apache Spark 2 のコネクターは 1.6 コネクターとは異なる設定メカニズムを使用し、バージョン 2 コネクターは 1.6 がサポートしない機能を一部サポートするため、各バージョンのコード例は独自のセクションに分割されています。以下のコード例は、バージョン 2 のSpark コネクターと動作します。Spark 1.6 のコード例はこちらを参照してください。
34.5.2. RDD の作成および使用 リンクのコピーリンクがクリップボードにコピーされました!
Apache Spark 2 では、RDD (Resilient Distributed Datasets) は「バージョン 2 コネクターを設定するメソッド」に記載されている設定に ConnectorConfiguration
インスタンスを指定して作成されます。
以下に Java および Scala での例を示します。
34.5.3. RDD の作成 リンクのコピーリンクがクリップボードにコピーされました!
RDD の作成 (Java)
RDD の作成 (Scala)
34.5.4. RDD のクエリー リンクのコピーリンクがクリップボードにコピーされました!
34.5.4.1. SparkSQL クエリー リンクのコピーリンクがクリップボードにコピーされました!
SparkSQL クエリーの使用 (Java)
SparkSQL クエリーの使用 (Scala)
34.5.5. RDD のキャッシュへの書き込み リンクのコピーリンクがクリップボードにコピーされました!
静的 InfinispanJavaRDD.write()
メソッドを使用すると、あらゆるキーバリューベースの RDD を Data Grid キャッシュに書き込みできます。これにより、RDD の内容がキャッシュにコピーされます。
RDD の書き込み (Java)
RDD の書き込み (Scala)
34.5.6. DStreams の作成 リンクのコピーリンクがクリップボードにコピーされました!
DStream は継続するデータのストリームを表し、継続的な一連の RDD によって内部で表されます。各 RDD には特定の時間間隔からのデータが含まれます。
DStream の作成には、以下の例のように StreamingContext
が StorageLevel
および JBoss Data Grid RDD 設定とともに渡されます。
DStream の作成 (Java)
DStream の作成 (Scala)
DStreams での JBoss Data Grid への書き込み
キーバリュー型のすべての DStream は、Java の場合は InfinispanJavaDStream.writeToInfinispan()
Java メソッド経由で JBoss Data Grid へ書き込みでき、Scala の場合は暗黙的な writeToInfinispan(properties)
メソッドを直接 DStream インスタンスで使用して書き込みできます。両方のメソッドは JBoss Data Grid RDD 設定を入力として取り、DStream 内に含まれる各 RDD を書き込みます。
34.5.7. Apache Spark Dataset API の使用 リンクのコピーリンクがクリップボードにコピーされました!
JBoss Data Grid は、RDD (Resilient Distributed Dataset) プログラミングインターフェースの他に、Apache Spark Dataset API が含まれています。この API には、rdd.filterByQuery
と似た述語のプッシュダウンのサポートが含まれます。
Dataset API の例 (Java)
Dataset API の例 (Scala)
34.5.8. Spark での Infinispan Query DSL の使用 リンクのコピーリンクがクリップボードにコピーされました!
Infinispan Query DSL は InfinispanRDD のフィルターとして使用でき、RDD レベルではなくソースでデータを事前にフィルターできます。
クエリーする DSL が適切に動作するには、キャッシュのデータを protobuf でエンコードする必要があります。protobuf エンコーティングの使用手順は「Protobuf エンコーティング」を参照してください。
34.5.9. 事前ビルドされたクエリーオブジェクトを使用したフィルタリング リンクのコピーリンクがクリップボードにコピーされました!
事前ビルドされたクエリーオブジェクトを使用したフィルタリング (Java)
事前ビルドされたクエリーオブジェクトを使用したフィルタリング (Scala)
34.5.10. Ickle クエリーを使用したフィルタリング リンクのコピーリンクがクリップボードにコピーされました!
Ickle クエリーを使用したフィルタリング (Java)
Ickle クエリーを使用したフィルタリング (Scala)
import org.infinispan.spark.rdd.InfinispanRDD val rdd: InfinispanRDD[String, MyEntity] = // Initialize your InfinispanRDD here val filteredRDD = rdd.filterByQuery("FROM MyEntity e where e.field BETWEEN 10 AND 20")
import org.infinispan.spark.rdd.InfinispanRDD
val rdd: InfinispanRDD[String, MyEntity] = // Initialize your InfinispanRDD here
val filteredRDD = rdd.filterByQuery("FROM MyEntity e where e.field BETWEEN 10 AND 20")
34.5.11. サーバー上でのフィルタリング リンクのコピーリンクがクリップボードにコピーされました!
サーバー上でのフィルタリング (Java)
サーバー上でのフィルタリング (Scala)
import org.infinispan.spark.rdd.InfinispanRDD val rdd: InfinispanRDD[String, MyEntity] = // Initalize your InfinispanRDD here // "my-filter-factory" filter and converts MyEntity to a Double, and has two parameters val filteredRDD = rdd.filterByCustom[Double]("my-filter-factory", "param1", "param2")
import org.infinispan.spark.rdd.InfinispanRDD
val rdd: InfinispanRDD[String, MyEntity] = // Initalize your InfinispanRDD here
// "my-filter-factory" filter and converts MyEntity to a Double, and has two parameters
val filteredRDD = rdd.filterByCustom[Double]("my-filter-factory", "param1", "param2")
34.6. Spark のパフォーマンスに関する注意点 リンクのコピーリンクがクリップボードにコピーされました!
Data Grid の Spark コネクターは、デフォルトでは Data Grid ノードごとに 2 つのパーティションを作成し、各パーティションはそのノードのデータのサブセットを指定します。
これらのパーティションは Spark ワーカーへ送信され、並列処理されます。Spark ワーカーの数が Data Grid ノードよりも少ない場合、各ワーカーにはタスクを並列実行できる最大限度があるため、遅延が発生することがあります。そのため、Spark ワーカーの数を最低でも Data Grid ノードの数と同じにしてこの並行処理を活用することが推奨されます。
また、Spark ワーカーが Data Grid ノードと同じノードに位置する場合、各ワーカーがローカルの Data Grid ノードにあるデータのみを処理するようコネクターによってタスクが分散されます。