付録A Red Hat Enterprise Linux 6 High Availability アドオンからのアップグレード
この付録では、Red Hat Enterprise Linux High Availability アドオンのリリース 6 からリリース 7 へのアップグレードについて簡単に説明します。
A.1. リリース間での違いの概要
Red Hat Enterprise Linux 7 High Availability アドオンには、高可用性システムのベースとなる新しいテクノロジー群が使用されています。これらのテクノロジーは Pacemaker および Corosync に基づいており、以前のリリースの High Availability アドオンに使用されていた CMAN および RGManager テクノロジーを完全に置き換えています。以下に、2 つのリリース間の違いの一部を示します。リリース間の違いを包括的に確認する場合は、『Red Hat Enterprise Linux High Availability Add-On リファレンス』の付録 A.1 クラスター作成 - rgmanager と Pacemaker を参照してください。
- 設定ファイル: 以前は、クラスター設定が
/etc/cluster/cluster.conf
ファイルにありましたが、リリース 7 のクラスター設定は/etc/corosync/corosync.conf
(メンバーシップおよびクォーラム設定の場合) と/var/lib/pacemaker/cib/cib.xml
(クラスターノードおよびリソース設定の場合) にあります。 - 実行可能ファイル: 以前は、クラスターコマンドが ccs (コマンドラインの場合) と luci (グラフィカル設定の場合) にありました。Red Hat Enterprise Linux 7 High Availability アドオンでは、設定は pcs (コマンドラインの場合) と pcsd (デスクトップでの Web UI 設定の場合) で行われます。
- サービスの起動: 以前は、High Availability アドオンのサービスを含むすべてのサービスが、service コマンド (サービスを起動する) と chkconfig コマンド (システムブート時にサービスを起動するよう設定する) を使用して実行されていました。これは、すべてのクラスターサービス (rgmanager、cman、および ricci) に対して個別に設定する必要があります。以下に例を示します。
service rgmanager start chkconfig rgmanager on
Red Hat Enterprise Linux 7 High Availability アドオンでは、以下のように systemctl によって手動による起動とブート時の自動的な起動の両方が制御され、すべてのクラスターサービスがpcsd.service
でグループ化されます。以下に例を示します。systemctl start pcsd.service systemctl enable pcsd.service pcs cluster start -all
- ユーザーアクセス: 以前は、root ユーザーまたは適切なパーミッションを持つユーザーが luci 設定インターフェイスにアクセスできます。すべてのアクセスには、ノードの ricci パスワードが必要です。Red Hat Enterprise Linux 7 High Availability アドオンでは、pcsd Web UI が、共通のシステムユーザーである
hacluster
ユーザーとして認証する必要があります。root
ユーザーはhacluster
のパスワードを設定できます。 - クラスター、ノード、およびリソースの作成: 以前は、ノードの作成は、ccs (コマンドラインの場合) または luci グラフィカルインターフェイスを使用して行われていました。クラスターの作成とノードの追加は異なるプロセスです。たとえば、コマンドラインでクラスターを作成し、ノードを追加するには、以下のコマンドを実行します。
ccs -h node1.example.com --createcluster examplecluster ccs -h node1.example.com --addnode node2.example.com
Red Hat Enterprise Linux 7 High Availability アドオンでは、クラスター、ノード、およびリソースの追加は、pcs (コマンドラインの場合) または pcsd Web UI を使用して行われます。たとえば、コマンドラインでクラスターを作成するには、以下のコマンドを実行します。pcs cluster setup examplecluster node1 node2 ...
- クラスターの削除: 以前は、管理者が luci インターフェイスから手動でノードを削除するか、各ノードの
cluster.conf
ファイルを削除することによりクラスターを削除していました。Red Hat Enterprise Linux 7 High Availability アドオンでは、管理者が pcs cluster destroy コマンドを発行してクラスターを削除できます。