第4章 RHEL 8.3.1 リリース
Red Hat は、マイナーリリース (8.Y) において Red Hat Enterprise Linux 8 のコンテンツを四半期ごとに利用できるようにしています。この四半期リリースは、3 桁の数字 (8.Y.1) を使用して番号が付けられます。RHEL 8.3.1 リリースの新機能は以下のとおりです。
4.1. 新機能
複数のデスクトップアプリケーションの Flatpak パッケージ
Flatpak は、グラフィカルアプリケーションをコンテナーとして実行するシステムです。Flatpak を使用すると、ホストオペレーティングシステムとは独立してアプリケーションをインストールおよび更新できます。
今回の更新で、Red Hat Container Catalog で以下のアプリケーションの Flatpak コンテナーイメージが提供されます。
アプリケーション名 | Flatpak コンテナー ID |
---|---|
Firefox | org.mozilla.firefox |
GIMP | org.gimp.GIMP |
Inkscape | org.inkscape.Inkscape |
Thunderbird | org.mozilla.Thunderbird |
Red Hat Container Catalog で利用可能な Flatpak コンテナーをインストールするには、以下の手順に従います。
Flatpak クライアントの最新バージョンがシステムにインストールされていることを確認します。
# yum update flatpak
RHEL Flatpak リポジトリーを有効にします。
# flatpak remote-add rhel https://flatpaks.redhat.io/rhel.flatpakrepo
RHEL アカウントの認証情報を指定します。
# podman login registry.redhat.io
デフォルトで、Podman はユーザーがログアウトするまで認証情報を保存します。
必要に応じて、認証情報を永続的に保存します。
$ cp $XDG_RUNTIME_DIR/containers/auth.json \ $HOME/.config/flatpak/oci-auth.json
Flatpak コンテナーイメージをインストールします。
$ flatpak install rhel container-id
(JIRA:RHELPLAN-30958、BZ#1920689、BZ#1921179、BZ#1921802、BZ#1916412、BZ#1921812、BZ#1920604)
Rust Toolset がバージョン 1.47.0 にリベース
Rust Toolset が、バージョン 1.47.0 に更新されました。以下は、主な変更点です。
-
compile-time 評価された関数
const fn
が改善され、if
、while
、match
などの制御フロー機能を使用できるようになりました。 -
新しい
#[track_caller]
アノテーションを関数に配置できるようになりました。アノテーションが付けられた関数からパニックが発生すると、呼び出し元がソースとして報告されます。 - Rust Standard Library は、任意の長さの配列にトレイトを実装するようになりました。以前のリリースでは、アレイに実装されているトレイトの多くは、長さが 0 から 32 までしか含まれていませんでした。
使用方法の詳細は Rust Toolset の使用 を参照してください。
(BZ#1883839)
Logging システムロールが、出力でプロパティーベースのフィルターをサポート
今回の更新で、プロパティーベースのフィルターが Logging システムロールのファイル出力、転送出力、および remote_files の出力に追加されました。この機能は rsyslog
のサブロールに基づいて提供され、Logging RHEL システムロールを使用して設定できます。その結果、ユーザーは、ホスト名、タグなどのプロパティーでログメッセージをフィルタリングする機能を利用でき、メッセージ自体がログの管理に役立ちます。
(BZ#1889492)
Logging RHEL システムロールが rsyslog
の動作に対応しました。
今回の機能強化で、rsyslog
は Red Hat Virtualization からのメッセージを受信し、そのメッセージを elasticsearch
に転送するようになりました。
(BZ#1889893)
ubi8/pause
コンテナーイメージが利用可能に
Podman は、k8s.gcr.io/pause
コンテナーイメージの代わりに ubi8/pause
を使用して、Pod のネットワーク名前空間情報を保持するようになりました。
(BZ#1690785)
Podman がバージョン 2.1 にリベース
Podman ユーティリティーがバージョン 2.1 に更新されました。主な機能強化は、次のとおりです。
変更点:
- Podman を 2.05 から 2.2.1 に、Buildah を 1.15.1 から 1.19 に、Skopeo を 1.1.1 から 1.2.1 に、Udica を 0.2.2 から 0.2.3 に、 CRIU を 0.3.4 から 3.15 に更新
- Docker 互換のボリューム API エンドポイント (Create、Inspect、List、Remove、Prune) が利用可能に
- コンテナーの systemd ユニットファイルを生成するための API エンドポイントを追加
-
podman play kube
コマンドが、コンテナーの CPU およびメモリー制限の設定に対応 -
podman play kube
コマンドが、Podman の名前付きボリュームを使用した永続ボリューム要求に対応 -
podman play kube
コマンドが--configmap
オプションを使用した Kubernetes configmaps に対応 -
短縮名のエイリアスの実験的なサポートが追加。これはデフォルトでは有効になっていませんが、環境変数
CONTAINERS_SHORT_NAME_ALIASING
をオンに設定すると有効にすることができます。詳細は、Container image short name in Podman を参照してください。 -
新しい
podman image command
が追加されました。これにより、イメージをマウントでき、読み取り専用で、コンテナーを作成せずにそのコンテンツを検査できます。 -
podman save
コマンドおよびpodman load
コマンドが、複数のイメージを含むアーカイブを作成および読み込むことができるようになりました。 - Podman は、ネットワークエラーが原因でプルが失敗する場合に、最大 3 回でイメージのプルを再試行するようになりました。
バグ修正:
- cgroups v1 システムでコンテナーで systemd を実行するバグが修正されました。
Buildah ツールがバージョン 1.19 に更新されました。主な機能強化は、次のとおりです。
変更点:
-
buildah inspect
コマンドは、マニフェストの検査に対応 -
buildah push
コマンドは、マニフェストリストとダイジェストのプッシュに対応 -
--manifest
フラグのサポートを追加 -
アーキテクチャーおよび OS を選択するために、
--arch
オプション、--os
オプション、および--variant
オプションを追加 - ユーザーが stdin をコンテナーに指定可能に
-
FROM
を--from
オプションで上書き可能に -
代替の
.dockerignore
フラグを使用するように--ignorefile
フラグを追加 - 短縮名のエイリアス設定
-
buildah pull
コマンドに--policy
オプションを追加 -
buildah mount
コマンドを修正して、ID ではなくコンテナー名を表示 - buildah 補完の強化
-
--omit-timestamp
フラグではなく--timestamp
を使用 - コピーにパイプを使用
-
buildah bud
コマンドに--omit-timestamp
フラグを追加 - VFS 追加イメージストアをコンテナーに追加
- マウントオプションで読み取り専用をエイリアスとして ro に許可
-
buildah、bud: 並列実行の
--jobs = N
オプションに対応
-
Skopeo ツールがバージョン 1.2.1 に更新されました。主な機能強化は、次のとおりです。
変更点:
- Travis を使用してアップストリームおよび安定した skopeo イメージのマルチアーキテクチャービルドを追加
- 同期時のダイジェストのサポートを追加
-
エミュレートコピー
--all
に--all
同期フラグを追加 -
skopeo inspect
コマンドに--format
オプションを追加
Udica ツールがバージョン 0.2.3 に更新されました。主な機能強化は、次のとおりです。
変更点:
- ホストポートではなく、コンテナーポートを有効化
-
--version
オプションを追加
CRIU ツールはバージョン 3.15 に更新されました。主な機能強化は、次のとおりです。
変更点:
- 初期 cgroup2 サポート
- Legalized swrk API と、この API 経由で fd を継承する機能を追加
- 外部バインドマウントおよび tasks-to-cgroups バインディング
-
ibcriu.so
(RPC ラッパー) およびプラグイン
(JIRA:RHELPLAN-55998)