第1章 概要
Red Hat Enterprise Linux (RHEL) 7 RHEA-2019:3190 で導入された RHEL System Roles for SAP は、SAP HANA または SAP NetWeaver ソフトウェアをインストールする RHEL システムのリモート設定またはローカル設定を支援するためのものです。RHEL System Roles for SAP の開発は、SAP LinuxLab アップストリームプロジェクトに基づいています。
RHEL System Roles は、管理者による RHEL システムの設定を支援する、Ansible によって実行されるロールのコレクションです。これらのロールは、RHEL AppStream リポジトリーで提供されます。一方、RHEL System Roles for SAP は、RHEL for SAP Solutions サブスクリプションで提供されます。
Red Hat Enterprise Linux for SAP Solution サブスクリプションは、Ansible Core を使用した RHEL System Roles for SAP のサポートを提供します。ただし、Ansible Core の完全なサポートが必要な場合は、別のサブスクリプションが必要です。関連情報については、Red Hat Enterprise Linux (RHEL) System Roles を参照してください。
次の RHEL System Roles for SAP は、RHEL 8.4 以降を実行しているコントロールノードで完全にサポートされています。
- sap_general_preconfigure
- sap_netweaver_preconfigure
- sap_hana_preconfigure
- sap_hana_install
次の RHEL System Roles for SAP は、RHEL 8.4 以降を実行しているコントロールノードでテクノロジープレビューとしてサポートされています。
- sap_ha_install_hana_hsr
- sap_ha_pacemaker_cluster
- sap_swpm (*)
RHEL System Roles for SAP は、RHEL System Roles と同様、コントロールノード (Ansible Automation コントローラー、Red Hat Satellite、RHEL 9 または RHEL 8 ホスト) と呼ばれる中央ノードからインストールおよび実行されます。コントロールノードは、ローカルホスト/1 つ以上のリモートホスト (Ansible のコンテキストでは、マネージドノード と呼ばれます) に接続し、それらにインストールおよび設定手順を実行します。コントロールノード (RHEL 9) で RHEL の最新のメジャーリリースを使用し、RPM rhel-system-roles-sap または Red Hat Automation Hub から最新バージョンのロールを使用することを推奨します。RHEL System Roles for SAP および Ansible パッケージは、管理/設定されているシステムにインストールする必要はありません。
このドキュメントでは、次のロールで構成される RHEL パッケージ rhel-system-roles-sap
バージョン 3.3.0 (*) または Automation Hub コレクション redhat.sap_install
バージョン 1.2.1 をインストールおよび使用する方法について説明します。
パッケージ rhel-system-roles-sap
バージョン 3.3.0 には、ロール sap_swpm
が含まれていません。このロールは、パッケージ rhel-system-roles-sap
の次のバージョンでリリースされる予定です。
目的
ロール名 | 説明 |
---|---|
sap_general_preconfigure | SAP NetWeaver と SAP HANA に共通のインストールおよび設定手順を実行する |
sap_netweaver_preconfigure | SAP NetWeaver の追加のインストールおよび設定手順を実行する |
sap_hana_preconfigure | SAP HANA の追加のインストールと設定を実行する |
sap_hana_install | SAP HANA のスケールアップまたはスケールアウトインストールを実行する |
sap_ha_install_hana_hsr | 2 つのノードで SAP HANA システムレプリケーションを設定する |
sap_ha_pacemaker_cluster | Pacemaker をインストールし、クラスターと SAP クラスターリソースを設定する |
sap_swpm | SWPM 経由で SAP ソフトウェアをインストールする |
サポートステータス
ロール名 | サポートステータス | リモートホスト管理 | コントロールノード |
---|---|---|---|
sap_general_preconfigure | フルサポート | RHEL 7.6 以降、RHEL 8、RHEL 9 | RHEL 8、RHEL 9 |
sap_netweaver_preconfigure | フルサポート | RHEL 7.6 以降、RHEL 8、RHEL 9 | RHEL 8、RHEL 9 |
sap_hana_preconfigure | フルサポート | RHEL 7.6 以降、RHEL 8、RHEL 9 | RHEL 8、RHEL 9 |
sap_hana_install | フルサポート | RHEL 7.6 以降、RHEL 8、RHEL 9 | RHEL 8、RHEL 9 |
sap_ha_install_hana_hsr | テクノロジープレビュー | RHEL 8、RHEL 9 | RHEL 8、RHEL 9 |
sap_ha_pacemaker_cluster | テクノロジープレビュー | RHEL 8、RHEL 9 | RHEL 8、RHEL 9 |
sap_swpm (*) | 一部の機能についてはテクノロジープレビュー、その他のすべての機能についてはサポート対象外 | RHEL 8、RHEL 9 | RHEL 8、RHEL 9 |
* このバージョンの RHEL System Roles for SAP には、ロール
sap_swpm
が含まれています。サポート範囲は、テクノロジープレビュー機能のサポート範囲で、ロールのデフォルトモードのみが対象です。また、サポート対象のデプロイメントシナリオは、x86_64 の RHEL 8.4、8.6、9.0 および ppc64le の RHEL 8.4 および 8.6 上の S/4HANA 2021 および S/4HANA 2022 単一ホストインストールです。ロール
sap_swpm
の他のすべての機能はサポートされていません。
プラットフォーム
マネージドノードのサポートされているハードウェア/仮想化/クラウドプラットフォームについては、次の表を参照してください。
ハードウェアプラットフォーム | ベアメタル/仮想化/クラウドプラットフォーム | サポートステータス |
---|---|---|
x86_64 | ベアメタル、Red Hat Virtualization/libvirt、VMware ESX、RedHat 認定クラウドおよびサービスプロバイダー | 前の表のサポートステータスに従ってサポート |
ppc64le | PowerVM LPARs | 前の表のサポートステータスに従ってサポート |
s390x | zVM ゲスト | フルサポート: sap_general_preconfigure、sap_netweaver_preconfigure |
ディレクトリー
インストール方法 | ロール、ドキュメント |
---|---|
RHEL パッケージ rhel-system-roles-sap |
|
Automation Hub コレクション redhat.sap_install |
|
- ロールは、マネージドノードの初期インストールの直後に使用されるように設計されています。これらのロールを SAP またはその他の実稼働システムに対して実行する場合は、最初にアサーションモードで実行して、該当する SAP ノートに従って SAP の推奨事項から逸脱している設定を検出できるようにしてください。通常モードで実行すると、ロールはマネージドノードで SAP 推奨の設定を適用します。通常とは異なるシステム設定が原因で、まれにロールによる意図しない変更が発生することがあります。実稼働システムで通常モードでロールを使用する前に、まずシステムをバックアップし、テストおよび QA システムでロールをテストすることを強く推奨します。
-
マネージドノードにロールを適用する前に、マネージドノードの RHEL リリースが、インストールする予定の SAP ソフトウェアバージョンでサポートされていることを確認してください。(オーバーライド可能な) SAP HANA 検証が存在しない RHEL マイナーバージョンが使用されている場合、ロール
sap_hana_preconfigure
は失敗します。