第3章 機能拡張
このセクションでは、Red Hat OpenShift Data foundation 4.9 で導入された主な拡張機能について説明します。
ストレージクラスターが満杯になると、データの削除が許可される
以前は、ストレージクラスターが満杯になると、設定ファイルの読み取り中に Ceph Manager がプールパーミッションのチェックでハングしていました。Ceph Metadata Server (MDS) では、Ceph OSD が満杯になると書き込み操作の実行が許可されていなかったため ENOSPACE
エラーが発生しました。ストレージクラスターがフル比率に達すると、ユーザーは CephManager ボリュームプラグインを使用して領域を解放するためのデータを削除することができませんでした。
今回のリリースで、新しい FULL 機能が導入されました。FULL 機能により、Ceph Manager は Ceph OSD のフルチェックをバイパスします。client_check_pool_permission
オプションはデフォルトで無効にされていますが、以前のリリースでは有効でした。Ceph Manager に FULL 機能がある場合、MDS は Ceph Manager の呼び出しをブロックしなくなりました。これにより、ストレージクラスターが満杯になるとサブボリュームおよびスナップショットを削除することにより、Ceph Manager が領域を解放できるようになります。
スタンドアロンの Multicloud Object Gateway コンポーネントのデプロイメント
今回のリリースにより、Multicloud Object Gateway コンポーネントのみのスタンドアロンモードで OpenShift Data Foundation をデプロイできるようになりました。このモードでは、StorageCluster に付随する CephCluster がないため、Multicloud Object Gateway は Ceph ベースのストレージボリュームを使用していません。
ノードに障害が発生した際、Core Pod および DB Pod の移行が有効になる
OpenShift Container Platform は、ノードが削除されない限り、そのノードを切断済みとしてマークしません。その結果、ステートフルセットである Core Pod および DB Pod は、このような障害が発生したノードで自動的に削除されません。今回の更新により、ノードに障害が発生した場合、DB Pod および Core Pod はエビクトされ、新しいノードに移行されるようになりました。
別のプールへのボリュームスナップショットの復元
今回の更新により、Persistent Volume Claim(永続ボリューム要求、PVC) のボリュームスナップショットを、親ボリュームとは異なるプールに復元できるようになりました。以前のバージョンでは、ボリュームスナップショットは同じプールにのみ復元できました。
既存のプールで複数のファイルシステムが作成されない
今回の更新で、filesystem.yaml
の作成後に、filesystem.yaml
を削除または再作成した場合でも、既存のプールを持つ複数のファイルシステムが作成されなくなりました。これにより、データの損失を回避できます。
Vault の秘密鍵/値ストアバージョンの自動検出
今回の機能拡張により、Vault の秘密鍵/値ストアバージョンは自動検出されるようになりました。
HashiCorp Vault の VAULT_BACKEND
パラメーターの設定が可能に
今回の更新により、HashiCorp Vault で使用されるバックエンドのタイプを選択するために VAULT_BACKEND
パラメーターを設定できるようになりました。HashiCorp Vault によって使用されるバックエンドの自動検出は、常に正しく機能するとは限りません。一般的ではない設定の場合、自動的に検出された設定パラメーターが正しく設定されていない可能性があります。VAULT_BACKEND
パラメーターを設定できるようにすることで、一般的ではない設定で特定のタイプのバックエンドを使用するように強制することができます。
Multicloud Object Gateway CLI での時間の出力の人間が判読できる形式
今回のリリースにより、Multicloud Object Gateway(MCG)CLI での時間の出力は、分単位と秒単位ではなく、人間が判読できる形式 (days-hours-minutes-seconds) で表示されるようになりました。