1.15. Red Hat OpenShift Pipelines テクノロジープレビュー 1.0 のリリースノート
1.15.1. 新機能
Red Hat OpenShift Pipelines テクノロジープレビュー (TP) 1.0 が OpenShift Container Platform 4.4 で利用可能になりました。Red Hat OpenShift Pipelines TP 1.0 が以下をサポートするように更新されています。
- Tekton Pipelines 0.11.3
-
Tekton
tkn
CLI 0.9.0 - Tekton Triggers 0.4.0
- Tekton Catalog 0.11 をベースとするクラスタータスク
以下では、修正および安定性の面での改善点に加え、OpenShift Pipelines 1.0 の主な新機能について説明します。
1.15.1.1. Pipelines
- v1beta1 API バージョンのサポート。
- 改善された制限範囲のサポート。以前のバージョンでは、制限範囲はタスク実行およびパイプライン実行に対してのみ指定されていました。制限範囲を明示的に指定する必要がなくなりました。namespace 間で最小の制限範囲が使用されます。
- タスク結果およびタスクパラメーターを使用してタスク間でデータを共有するためのサポート。
-
パイプラインは、
HOME
環境変数および各ステップの作業ディレクトリーを上書きしないように設定できるようになりました。 -
タスクステップと同様に、
sidecars
がスクリプトモードをサポートするようになりました。 -
タスク実行
podTemplate
リソースに別のスケジューラーの名前を指定できるようになりました。 - Star Array Notation を使用した変数置換のサポート。
- Tekton コントローラーは、個別の namespace を監視するように設定できるようになりました。
- パイプライン、タスク、クラスタータスク、リソース、および状態 (condition) の仕様に新規の説明フィールドが追加されました。
- Git パイプラインリソースへのプロキシーパラメーターの追加。
1.15.1.2. Pipelines CLI
-
describe
サブコマンドが以下のtkn
リソースについて追加されました。EventListener
、Condition
、TriggerTemplate
、ClusterTask
、およびTriggerSBinding
。 -
v1beta1
についてのサポートが、v1alpha1
の後方互換性と共に以下のコマンドに追加されました。ClusterTask
、Task
、Pipeline
、PipelineRun
、およびTaskRun
。 以下のコマンドは、
--all-namespaces
フラグオプションを使用してすべての namespace からの出力をリスト表示できるようになりました。これらは、tkn task list
、tkn pipeline list
、tkn taskrun list
、tkn pipelinerun list
です。これらのコマンドの出力は、
--no-headers
フラグオプションを使用してヘッダーなしで情報を表示するように強化されています。-
--use-param-defaults
フラグをtkn pipelines start
コマンドに指定することにより、デフォルトのパラメーター値を使用してパイプラインを起動できるようになりました。 -
ワークスペースのサポートが
tkn pipeline start
およびtkn task start
コマンドに追加されるようになりました。 -
新規の
clustertriggerbinding
コマンドが以下のサブコマンドと共に追加されました。describe
、delete
、およびlist
。 -
ローカルまたはリモートの
yaml
ファイルを使用してパイプラインの実行を直接開始できるようになりました。 -
describe
サブコマンドには、強化され、詳細化した出力が表示されるようになりました。description
、timeout
、param description
、およびsidecar status
などの新規フィールドの追加により、コマンドの出力に特定のtkn
リソースについてのより詳細な情報が提供されるようになりました。 -
tkn task log
コマンドには、1 つのタスクが namespace に存在する場合にログが直接表示されるようになりました。
1.15.1.3. トリガー
-
Trigger は
v1alpha1
およびv1beta1
の両方のパイプラインリソースを作成できるようになりました。 -
新規 Common Expression Language (CEL) インターセプター機能
compareSecret
のサポート。この機能は、文字列と CEL 式のシークレットを安全な方法で比較します。 - イベントリスナーのトリガーレベルでの認証および認可のサポート。
1.15.2. 非推奨の機能
本リリースでは、以下の項目が非推奨になりました。
環境変数
$HOME
、およびSteps
仕様の変数workingDir
が非推奨となり、今後のリリースで変更される可能性があります。現時点でStep
コンテナーでは、HOME
およびworkingDir
変数が/tekton/home
および/workspace
変数にそれぞれ上書きされます。今後のリリースでは、これらの 2 つのフィールドは変更されず、コンテナーイメージおよび
Task
YAML で定義される値に設定されます。本リリースでは、disable-home-env-overwrite
およびdisable-working-directory-overwrite
フラグを使用して、HOME
およびworkingDir
変数の上書きを無効にします。-
以下のコマンドは非推奨となり、今後のリリースで削除される可能性があります。
tkn pipeline create
、tkn task create
。 -
tkn resource create
コマンドの-f
フラグは非推奨になりました。これは今後のリリースで削除される可能性があります。 -
tkn clustertask create
コマンドの-t
フラグおよび--timeout
フラグ (秒単位の形式) は非推奨になりました。期間タイムアウトの形式のみがサポートされるようになりました (例:1h30s
)。これらの非推奨のフラグは今後のリリースで削除される可能性があります。
1.15.3. 既知の問題
- 以前のバージョンの Red Hat OpenShift Pipelines からアップグレードする場合は、既存のデプロイメントを削除してから Red Hat OpenShift Pipelines バージョン 1.0 にアップグレードする必要があります。既存のデプロイメントを削除するには、まずカスタムリソースを削除してから Red Hat OpenShift Pipelines Operator をアンインストールする必要があります。詳細は、Red Hat OpenShift Pipelines のアンインストールについてのセクションを参照してください。
-
同じ
v1alpha1
タスクを複数回送信すると、エラーが発生します。v1alpha1
タスクの再送信時に、oc apply
ではなくoc replace
コマンドを使用します。 buildah
クラスタータスクは、新規ユーザーがコンテナーに追加されると機能しません。Operator がインストールされると、
buildah
クラスタータスクの--storage-driver
フラグが指定されていないため、フラグはデフォルト値に設定されます。これにより、ストレージドライバーが正しく設定されなくなることがあります。新規ユーザーが追加されると、storage-driver が間違っている場合に、buildah
クラスタータスクが以下のエラーを出して失敗します。useradd: /etc/passwd.8: lock file already used useradd: cannot lock /etc/passwd; try again later.
回避策として、
buildah-task.yaml
ファイルで--storage-driver
フラグの値をoverlay
に手動で設定します。cluster-admin
としてクラスターにログインします。$ oc login -u <login> -p <password> https://openshift.example.com:6443
oc edit
コマンドを使用してbuildah
クラスタータスクを編集します。$ oc edit clustertask buildah
buildah
clustertask YAML ファイルの現行バージョンがEDITOR
環境変数で設定されたエディターで開かれます。Steps
フィールドで、以下のcommand
フィールドを見つけます。command: ['buildah', 'bud', '--format=$(params.FORMAT)', '--tls-verify=$(params.TLSVERIFY)', '--layers', '-f', '$(params.DOCKERFILE)', '-t', '$(resources.outputs.image.url)', '$(params.CONTEXT)']
command
フィールドを以下に置き換えます。command: ['buildah', '--storage-driver=overlay', 'bud', '--format=$(params.FORMAT)', '--tls-verify=$(params.TLSVERIFY)', '--no-cache', '-f', '$(params.DOCKERFILE)', '-t', '$(params.IMAGE)', '$(params.CONTEXT)']
- ファイルを保存して終了します。
または、Pipelines
Cluster Tasks buildah に移動して、 buildah
クラスタータスク YAML ファイルを Web コンソール上で直接変更することもできます。Actions メニューから Edit Cluster Task を選択し、直前の手順のようにcommand
フィールドを置き換えます。
1.15.4. 修正された問題
-
以前のリリースでは、
DeploymentConfig
タスクは、イメージのビルドがすでに進行中であっても新規デプロイメントビルドをトリガーしていました。これにより、パイプラインのデプロイメントが失敗していました。今回の修正により、deploy task
コマンドがoc rollout status
コマンドに置き換えられ、進行中のデプロイメントが終了するまで待機するようになりました。 -
APP_NAME
パラメーターのサポートがパイプラインテンプレートに追加されました。 -
以前のバージョンでは、Java S2I のパイプラインテンプレートはレジストリーでイメージを検索できませんでした。今回の修正により、イメージはユーザーによって提供される
IMAGE_NAME
パラメーターの代わりに既存イメージのパイプラインリソースを使用して検索されるようになりました。 - OpenShift Pipelines イメージはすべて、Red Hat Universal Base Images (UBI) をベースにしています。
-
以前のバージョンでは、パイプラインが
tekton-pipelines
以外の namespace にインストールされている場合、tkn version
コマンドはパイプラインのバージョンをunknown
と表示していました。今回の修正により、tkn version
コマンドにより、正しいパイプラインのバージョンがすべての namespace で表示されるようになりました。 -
-c
フラグはtkn version
コマンドでサポートされなくなりました。 - 管理者以外のユーザーがクラスタートリガーバインディングをリスト表示できるようになりました。
-
イベントリスナーの
CompareSecret
機能が、CEL インターセプターについて修正されました。 -
タスクおよびクラスタータスクの
list
、describe
、およびstart
サブコマンドは、タスクおよびクラスタータスクが同じ名前を持つ場合に出力に正常に表示されるようになりました。 - 以前のバージョンでは、OpenShift Pipelines Operator は特権付き SCC (Security Context Constraints) を変更していました。これにより、クラスターのアップグレード時にエラーが発生しました。このエラーは修正されています。
-
tekton-pipelines
namespace では、設定マップを使用して、すべてのタスク実行およびパイプライン実行のタイムアウトがdefault-timeout-minutes
フィールドの値に設定されるようになりました。 - 以前のバージョンでは、Web コンソールのパイプラインセクションは管理者以外のユーザーには表示されませんでした。この問題は解決されています。