第1章 Red Hat Quay の SSL および TLS


Secure Sockets Layer (SSL) プロトコルは、元々はインターネットを介した安全な通信メカニズムを提供するために、Netscape Corporation により開発されました。その後、このプロトコルは、Internet Engineering Task Force (IETF) により採用され、Transport Layer Security (TLS) に名前が変更になりました。

TLS (トランスポート層セキュリティー) は、ネットワーク通信のセキュリティー保護に使用する暗号化プロトコルです。優先する鍵交換プロトコル、認証方法、および暗号化アルゴリズムを設定してシステムのセキュリティー設定を強化する際には、対応するクライアントの範囲が広ければ広いほど、セキュリティーのレベルが低くなることを認識しておく必要があります。反対に、セキュリティー設定を厳密にすると、クライアントとの互換性が制限され、システムからロックアウトされるユーザーが出てくる可能性もあります。可能な限り厳密な設定を目指し、互換性に必要な場合に限り、設定を緩めるようにしてください。

Red Hat Quay は、クライアントと Red Hat Quay サーバー間の安全な通信を確保するために SSL/TLS 証明書を使用するように設定できます。この設定には、有効な SSL/TLS 証明書を使用する必要があります。これは、信頼できる認証局 (CA) から取得するか、内部で使用するための自己署名証明書として生成できます。

1.1. 認証局の作成

独自の CA を設定し、それを使用してドメインのサーバー証明書を発行するには、次の手順に従います。これにより、独自の証明書を使用して SSL/TLS による通信を保護できます。

手順

  1. 次のコマンドを入力して、ルート CA キーを生成します。

    $ openssl genrsa -out rootCA.key 2048
  2. 次のコマンドを入力して、ルート CA 証明書を生成します。

    $ openssl req -x509 -new -nodes -key rootCA.key -sha256 -days 1024 -out rootCA.pem
  3. サーバーのホスト名など、証明書の要求に組み込まれる情報を入力します。以下に例を示します。

    Country Name (2 letter code) [XX]:IE
    State or Province Name (full name) []:GALWAY
    Locality Name (eg, city) [Default City]:GALWAY
    Organization Name (eg, company) [Default Company Ltd]:QUAY
    Organizational Unit Name (eg, section) []:DOCS
    Common Name (eg, your name or your server's hostname) []:quay-server.example.com
  4. 次のコマンドを入力してサーバーキーを生成します。

    $ openssl genrsa -out ssl.key 2048
  5. 次のコマンドを入力して、署名リクエストを生成します。

    $ openssl req -new -key ssl.key -out ssl.csr
  6. サーバーのホスト名など、証明書の要求に組み込まれる情報を入力します。以下に例を示します。

    Country Name (2 letter code) [XX]:IE
    State or Province Name (full name) []:GALWAY
    Locality Name (eg, city) [Default City]:GALWAY
    Organization Name (eg, company) [Default Company Ltd]:QUAY
    Organizational Unit Name (eg, section) []:DOCS
    Common Name (eg, your name or your server's hostname) []:quay-server.example.com
    Email Address []:
  7. 以下のようにサーバーのホスト名を指定して、設定ファイルの openssl.cnf を作成します。

    openssl.cnf ファイルの例

    [req]
    req_extensions = v3_req
    distinguished_name = req_distinguished_name
    [req_distinguished_name]
    [ v3_req ]
    basicConstraints = CA:FALSE
    keyUsage = nonRepudiation, digitalSignature, keyEncipherment
    subjectAltName = @alt_names
    [alt_names]
    DNS.1 = <quay-server.example.com>
    IP.1 = 192.168.1.112

  8. 設定ファイルを使用して、証明書 ssl.cert を生成します。

    $ openssl x509 -req -in ssl.csr -CA rootCA.pem -CAkey rootCA.key -CAcreateserial -out ssl.cert -days 356 -extensions v3_req -extfile openssl.cnf
  9. 次のコマンドを入力して、作成した証明書とファイルを確認します。

    $ ls /path/to/certificates

    出力例

    rootCA.key ssl-bundle.cert ssl.key custom-ssl-config-bundle-secret.yaml rootCA.pem ssl.cert
    openssl.cnf rootCA.srl  ssl.csr

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