第1章 Hammer の概要
Hammer は、Red Hat Satellite 6 で提供される強力なコマンドラインツールです。Hammer を使用して、CLI コマンド、またはシェルスクリプトによる自動化により、Red Hat Satellite Server を設定/管理することができます。Hammer は対話式のシェルも提供します。
Hammer と Satellite Web UI の比較
Web UI の操作感と比較すると、Hammer を使用する場合には環境変数やエイリアスなどのシェル機能が自由に使えるため、Satellite Server との対話がはるかに速くなります。また、Hammer のコマンドを再利用可能なスクリプトに組み込み、あらゆるレベルで複雑なタスクを自動化することもできます。Hammer コマンドからの出力を他のツールにリダイレクトして、既存の環境と統合することができます。Hammer コマンドは、Red Hat Satellite を稼働するベースオペレーティングシステムで直接実行できます。
Hammer コマンドを発行するには、Satellite Server のベースのオペレーティングシステムにアクセスする必要があるため、Web UI と比較すると、潜在的なユーザー数が限定されてしまいます。Hammer と Web UI の違いはほぼありませんが、Web UI の開発の優先度は高く、特に新しく導入される機能についてはこちらが優先されることがあります。
Hammer と Satellite API の比較
多くのタスクで、Hammer も Satellite API も同等に利用可能です。Hammer は、スクリプトに適用する前に API の呼び出しの応答をテストするなど、Satellite API よりも使いやすいインターフェイスとして利用できます (hammer -d organization list
など、Hammer で発行した API の呼び出しを検査するには -d
オプションを使用します)。API での変更は自動的に Hammer に適用されますが、API を直接使用するスクリプトは手動で更新する必要があります。
バックグラウンドで、各 Hammer コマンドは最初に API へのバインドを確立し、要求を送信します。この動作は、大量の Hammer コマンドを順に実行する場合に、パフォーマンスに影響を与える可能性があります。反対に、API で直接通信するスクリプトではバインドを確立するのは一度で済みます。詳細は、API ガイド を参照してください。
1.1. ヘルプ
hammer
オプションおよびサブコマンドの完全な一覧を表示するには以下を実行します。
$ hammer --help
以下のように --help
を使用してサブコマンドを確認します。
$ hammer organization --help
以下のように grep
を使用して help の出力を検索するか、テキストビューワーにリダイレクトすることができます。
$ hammer | less