2.3. 移行
移行 とは、ゲスト仮想マシンをあるホストから別のホストに移動するプロセスを表します。これが可能なのは、仮想マシンがハードウェア上で直接ではなく、仮想化された環境で実行されているためです。仮想マシンを移行するには、ライブとオフラインの 2 つの方法があります。
移行の種別
- オフラインマイグレーション
- オフラインマイグレーションでは、ゲスト仮想マシンを一時停止してから、仮想マシンのメモリーのイメージを移行先ホストに移動します。その後、仮想マシンが移行先ホストで再開し、移行元ホストで仮想マシンが使用していたメモリーが解放されます。
- ライブマイグレーション
- ライブマイグレーションは、アクティブな仮想マシンをある物理ホストから別の物理ホストに移行するプロセスです。これは、すべての Red Hat Enterprise Linux リリース間で可能であるわけではないことに注意してください。詳細は、『仮想化の導入および管理ガイド』 を参照してください。
2.3.1. 仮想マシンの移行の利点
移行は、以下の場合に役立ちます。
- 負荷分散
- ホストマシンが過負荷になったときに、ライブマイグレーションを使用して、そのホストマシンの 1 つ以上の仮想マシンを他のホストに移行できます。同様に、オフラインマイグレーションを使用して、実行していないマシンや過負荷になりがちなマシンを移行できます。
- ホストのアップグレードまたは変更
- ホスト上のハードウェアデバイスをアップグレード、追加、または削除する必要が生じた場合、仮想マシンを他のホストに安全に移動できます。これにより、ホストの変更に伴うゲストのダウンタイム発生を回避できます。
- エネルギー節約
- 仮想マシンを他のホストに再配布し、アンロードしたホストシステムの電源をオフにして、低使用期間にエネルギーを節約し、コストを削減できます。
- 地理的な移行
- 仮想マシンは、待ち時間を短縮するため、またはその他の理由で、他の物理的な場所に移動できます。
移行プロセスが仮想マシンのメモリーを移動すると、仮想マシンに関連付けられたディスクボリュームも移行されます。このプロセスは、ライブブロックマイグレーションを使用して実行されます。
注記
移行の詳細は、『Red Hat Enterprise Linux 7 仮想化の導入および管理ガイド』 を参照してください。
2.3.2. 仮想から仮想への移行 (V2V)
特別なタイプの移行として、Red Hat Enterprise Linux 7 は、仮想マシンを他のタイプのハイパーバイザーから KVM に変換するためのツールを提供します。
virt-v2v
ツールは、Xen、他のバージョンの KVM、および VMware ESX から仮想マシンを変換およびインポートします。
注記
V2V の詳細は、『V2V に関するナレッジベース記事』 を参照してください。
さらに、Red Hat Enterprise Linux 7.3 以降は、
virt-p2v
ツールを使用した物理から仮想 (P2V) への変換をサポートしています。詳細は、P2V に関するナレッジベースの記事 を参照してください。