第1章 Migration Toolkit for Virtualization 2.10
リリースノートには、技術的な変更点、新機能と機能拡能、既知の問題、解決された問題が記載されています。
1.1. 新機能および機能拡張 リンクのコピーリンクがクリップボードにコピーされました!
Migration Toolkit for Virtualization (MTV) 2.10 では、次の機能と機能拡張が導入されています。
MTV 2.10.1 では、B ツリーファイルシステム(Btrfs)で実行している仮想マシンを、OS 変換をサポートする OpenShift Virtualization に移行できます。
MTV 2.10.1 は、API を
ForkliftControllerグローバル設定向けに標準化し、機能フラグの文字列値のみを受け入れるようになりました(例:"true" や "false"。この標準により、一貫性、明確さ、エラー処理が改善され、文字列の値の代わりにブール値を使用することによって引き起こされるエラーを防ぐことができます。- MTV 2.10.0 UI では、Plan Details ページの Virtual Machines タブで、ページタイトルラベルがより明確になり、主要なイベントが論理的な順序で表示されるため、移行の進行状況がよりわかりやすくなりました。移行の進行状況を評価するために、移行リソースを非表示にして UI を整理することもできます。
MTV 2.10.0 では、コールド移行の MTV UI で直接、VMware ディスク開発キット (VDDK) の非同期入出力 (AIO) バッファー設定を最適化できます。AIO バッファー設定はデフォルトで無効になっていますが、この機能を有効にして YAML で設定をカスタマイズすることで、ストレージ I/O 操作を改善し、VDDK を使用する際のレイテンシーを削減できます。
- MTV 2.10.0 では、YAML ファイルを作成する代わりに、Create network map ページでソースネットワークとターゲットネットワークを追加することで、MTV UI で直接ネットワークマップを作成できます。
MTV 2.10.0 UI では、Create migration plan ウィザードの Virtual Machines テーブルが強化され、ナビゲーションがシンプルになり、選択した VM がより明確に表示されるようになりました。この更新により、Virtual Machines ツールバーからの仮想マシンの一括選択、選択した仮想マシンと選択していない仮想マシンのビューを切り替え、仮想マシンの場所別でのフィルタリング、列の管理が可能になりました。
- MTV 2.10.0 では、MTV UI でウォーム移行のカットオーバー日のステータスを確認できます。カットオーバーボタンは、移行プランの UI にあるアイコンで、カットオーバーの日付を設定すると状態が変化するため、カットオーバーの日付が設定されているかどうかを簡単に識別できます。
- MTV 2.10.0 では、Plan Details ページの Migrations セクションのラベルが Migration history に変更されました。Migration history セクションには、コンテキスト情報を提供するツールヒントが含まれており、移行の監視とトラブルシューティングに役立ちます。
- MTV 2.10.0 では、VMware システムのシリアル番号のフォーマット機能が導入されました。フォーマット機能を使用することで、一貫性があり、エラーにならないシステムシリアル番号となるため、システム管理者は移行時や設定時にシステムを容易に識別できます。
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MTV 2.10.0 では、MTV UI でインポーター Pod の
nodeSelectorフィールドとオプションをカスタマイズして、リソースの割り当て、スケジューリング、およびアプリケーションのパフォーマンスを強化できます。インポーター Pod が確実に特定のノードにスケジュールされるようにインポーター Pod の Pod スケジューリングポリシーをカスタマイズして、リソース管理と安定性を強化できます。 MTV 2.10.0 は、Clevis を使用した Network Bound Disk Encryption (NBDE) を使用して、Linux Unified Key Setup (LUKS) で暗号化された仮想マシンの移行をサポートします。この更新により、仮想マシンをリブートせずに LUKS で暗号化された仮想マシンを移行し、Clevis サーバーから復号キーを取得できるようになりました。Clevis サーバーは OpenShift からアクセスできる必要があります。
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MTV 2.10.0 では、MTV UI の ESXi ホストに対して
insecureSkipVerifyフラグがデフォルトで設定されており、自己署名証明書を使用する環境での移行がシンプルになりました。この設定により、移行プロセスは SSL 証明書の検証をバイパスするため、セキュリティーを維持しつつ、証明書によって発生する可能性のあるエラーを削減できます。 MTV 2.10.0 では、MTV UI または
Planカスタムリソース (CR) で移行プランの仮想マシンスケジューリング設定を指定できます。移行した仮想マシンへのカスタムラベルの追加、ノードラベルに基づく特定ノードへの仮想マシンスケジューリングの適用、ワークロードまたはノードに対する仮想マシンのアフィニティールールまたは非アフィニティールールの実装などを行えます。この更新により、TargetLabels、TargetNodeSelector、TargetAffinityフィールドを使用して移行中の仮想マシンの配置を管理できるようになり、リソース使用率と運用コンプライアンスが向上します。MTV 2.10.0 では、ウォーム移行中の
PreFlightInspectionにより、ゲストの変換中の問題の早期検出が可能になります。問題が検出されると、仮想マシンがシャットダウンする前にウォーム移行が失敗し、ユーザーは仮想マシン設定を調整したり、ゲスト変換をスキップしたりできます。PreFlightInspection中の潜在的なエラーは、以下のとおりです。- LUKS パスワードがない
- 対応していない OS
サポート対象外の FS
- テクノロジープレビュー: MTV 2.10.0 では、MTV UI の Web ブラウザーを通じて Open Virtual Appliances (OVA) を NFS にアップロードすることで、ローカルマシンから OpenShift Virtualization に直接 OVA をインポートできます。(MTV-3371)
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MTV 2.10.0 では、MTV UI の Raw Copy Mode 設定で
useCompatibilityModeをtrueまたはfalseに設定できます。この更新により、ソース仮想マシンの移行時に、SATA バス、E1000E NIC、USB などの互換デバイスを使用したり、ソース仮想マシンにプリインストールされた VirtIO デバイスを使用したりできます。(MTV-3006) MTV 2.10.0 では、仮想マシンを既存のユーザー定義ネットワーク (UDN) に移行できます。この更新により、UDN を作成して仮想マシンのソースネットワークを UDN にマッピングしたり、IP が割り当てられたソース仮想マシンの静的 IP アドレスを保持したりすることが可能になりました。
テクノロジープレビュー: MTV 2.10.0 では、OpenShift (OCP) クラスター間で仮想マシンをライブマイグレーションできます。そのため、移行プロセス中に仮想マシンを継続的に使用でき、ダウンタイムを最小限に抑えることができます。この更新により、MTV はリソースを作成してソースクラスターから宛先クラスターにマッピングし、ライブマイグレーションをトリガーします。OpenShift Virtualization CNV は実行中の仮想マシンを移行します。
MTV 2.10.0 では、ストレージオフロードコピー機能に関して、ウォーム移行は 開発者プレビュー、コールド移行は テクノロジープレビュー です。ストレージオフロードコピー機能により、ネットワークをバイパスすることでストレージアレイ内のディスク転送が高速化されます。この更新により、スナップショットを作成し、仮想マシンの実行中にベースディスクをコピーできるようになります。ベースディスクストレージのオフロードコピー後に、ネットワーク経由でスナップショットからデルタ変更をコピーできるため、仮想マシンのシャットダウンの必要性が最小限に抑えられます。
MTV 2.10.0 UI では、提供されている
s/tat.gz/tar.gz/ファイルから VMware Virtual Disk Development Kit (VDDK) イメージの作成を自動化し、仮想ディスクの転送を高速化できます。