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7.3. GPU の共有方法

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Red Hat と NVIDIA は、エンタープライズレベルの OpenShift Container Platform クラスター上で、GPU 加速コンピューティングを簡略化するための GPU 同時実行性と共有メカニズムを開発しました。

通常、アプリケーションにはさまざまなコンピューティング要件があり、GPU が十分に活用されていない可能性があります。デプロイメントコストを削減し、GPU 使用率を最大化するには、ワークロードごとに適切な量のコンピュートリソースを提供することが重要です。

GPU 使用率を改善するための同時実行メカニズムは、プログラミングモデル API からシステムソフトウェアやハードウェアパーティショニングまで、仮想化を含めて幅広く存在します。次のリストは、GPU 同時実行メカニズムを示しています。

  • Compute Unified Device Architecture (CUDA) ストリーム
  • タイムスライス
  • CUDA マルチプロセスサービス (MPS)
  • マルチインスタンス GPU (MIG)
  • vGPU による仮想化

さまざまな OpenShift Container Platform シナリオで GPU 同時実行メカニズムを使用する場合は、次の GPU 共有に関する推奨事項を考慮してください。

ベアメタル
vGPU は使用できません。MIG 対応カードの使用を検討してください。
仮想マシン
vGPU が最良の選択です。
ベアメタル上の MIG を持たない古い NVIDIA カード
タイムスライスの使用を検討してください。
複数の GPU を搭載し、パススルーと vGPU が必要な仮想マシン
個別の仮想マシンの使用を検討してください。
OpenShift Virtualization と複数の GPU を備えたベアメタル
ホストされた仮想マシンにはパススルー、コンテナーにはタイムスライスの使用を検討してください。

7.3.1. CUDA ストリーム

Compute Unified Device Architecture (CUDA) は、GPU での計算全般のために NVIDIA が開発した並列コンピューティングプラットフォームおよびプログラミングモデルです。

ストリームは、GPU 上で発行順に実行される一連の操作です。CUDA コマンドは通常、デフォルトストリームで順次実行され、前のタスクが完了するまでタスクは開始されません。

ストリームをまたいだ操作の非同期処理により、タスクの並列実行が可能になります。あるストリームで発行されたタスクは、別のタスクが別のストリームで発行される前、実行中、または発行された後に実行されます。これにより、GPU は指定された順序に関係なく複数のタスクを同時に実行できるようになり、パフォーマンスの向上につながります。

7.3.2. タイムスライス

GPU タイムスライスは、複数の CUDA アプリケーションを実行しているときに、過負荷になった GPU でスケジュールされたワークロードをインターリーブします。

Kubernetes で GPU のタイムスライスを有効にするには、GPU のレプリカセットを定義し、それを個別に Pod に配分してワークロードを実行できるようにしっます。マルチインスタンス GPU (MIG) とは異なり、メモリーや障害はレプリカ間で分離されませんが、一部のワークロードでは一切共有しないより、こちらの方が適切です。内部的には、GPU タイムスライスを使用して、基礎である同じ GPU のレプリカからのワークロードを多重化します。

クラスター全体のデフォルト設定をタイムスライスに適用できます。ノード固有の設定を適用することもできます。たとえば、タイムスライス設定を Tesla T4 GPU を備えたノードにのみ適用し、他の GPU モデルを備えたノードは変更しないようにできます。

クラスター全体のデフォルト設定を適用し、ノードにラベルを付けて、それらのノードにノード固有の設定が適用されるようにすることで、2 つのアプローチを組み合わせることができます。

7.3.3. CUDA マルチプロセスサービス

CUDA マルチプロセスサービス (MPS) を使用すると、単一の GPU で複数の CUDA プロセスを使用できます。プロセスは GPU 上で並行して実行されるため、GPU コンピュートリソースの飽和が発生しなくなります。MPS を使用すると、カーネル操作や、別のプロセスからのメモリーコピーの同時実行または重複も可能になり、使用率が向上します。

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7.3.4. マルチインスタンス GPU

マルチインスタンス GPU (MIG) を使用すると、GPU コンピュートユニットとメモリーを複数の MIG インスタンスに分割できます。これらの各インスタンスは、システムの観点からはスタンドアロン GPU デバイスであり、ノード上で実行されている任意のアプリケーション、コンテナー、または仮想マシンに接続できます。GPU を使用するソフトウェアは、これらの各 MIG インスタンスを個別の GPU として扱います。

MIG は、GPU 全体のフルパワーを必要としないアプリケーションがある場合に役立ちます。新しい NVIDIA Ampere アーキテクチャーの MIG 機能を使用すると、ハードウェアリソースを複数の GPU インスタンスに分割できます。各インスタンスは、オペレーティングシステムで独立した CUDA 対応 GPU として利用できます。

NVIDIA GPU Operator バージョン 1.7.0 以降では、A100 および A30 Ampere カードの MIG サポートを提供しています。これらの GPU インスタンスは、最大 7 つの独立した CUDA アプリケーションをサポートするように設計されており、専用のハードウェアリソースをしようしてそれぞれ完全に分離された状態で稼働します。

7.3.5. vGPU による仮想化

仮想マシンは、NVIDIA vGPU を使用して単一の物理 GPU に直接アクセスできます。企業全体の仮想マシンで共有され、他のデバイスからアクセスできる仮想 GPU を作成できます。

この機能は、GPU パフォーマンスのパワーと、vGPU がもたらす管理およびセキュリティーの利点を組み合わせたものです。vGPU には他にも、仮想環境のプロアクティブな管理と監視、混合 VDI とコンピュートワークロードのワークロードバランシング、複数の仮想マシン間でのリソース共有などの利点があります。

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