5.2. IBM Z および IBM LinuxONE への OpenShift Sandboxed Containers のデプロイ


コマンドラインインターフェイス (CLI) を使用して次のタスクを実行することにより、OpenShift sandboxed containers を IBM Z® および IBM® LinuxONE にデプロイできます。

  1. OpenShift Sandboxed Containers Operator を再インストールします。
  2. オプション: 各ワーカーノードで実行されている仮想マシンの数を変更します。
  3. libvirt ボリュームを設定します。
  4. オプション: カスタムピア Pod 仮想マシンイメージを作成します。
  5. ピア Pod シークレットを作成します。
  6. ピア Pod の config map を作成します。
  7. ピア Pod 仮想マシンイメージ config map を作成します。
  8. KVM ホストシークレットを作成します。
  9. KataConfig カスタムリソースを作成します。
  10. OpenShift Sandboxed Containers のワークロードオブジェクトを設定します。

5.2.1. OpenShift Sandboxed Containers Operator のインストール

CLI を使用して、OpenShift Sandboxed Containers Operator をインストールできます。

前提条件

  • OpenShift CLI (oc) がインストールされている。
  • cluster-admin ロールを持つユーザーとしてクラスターにアクセスできる。

手順

  1. osc-namespace.yaml マニフェストファイルを作成します。

    apiVersion: v1
    kind: Namespace
    metadata:
      name: openshift-sandboxed-containers-operator
  2. 以下のコマンドを実行して namespace を作成します。

    $ oc apply -f osc-namespace.yaml
  3. osc-operatorgroup.yaml マニフェストファイルを作成します。

    apiVersion: operators.coreos.com/v1
    kind: OperatorGroup
    metadata:
      name: sandboxed-containers-operator-group
      namespace: openshift-sandboxed-containers-operator
    spec:
      targetNamespaces:
      - openshift-sandboxed-containers-operator
  4. 以下のコマンドを実行して Operator グループを作成します。

    $ oc apply -f osc-operatorgroup.yaml
  5. osc-subscription.yaml マニフェストファイルを作成します。

    apiVersion: operators.coreos.com/v1alpha1
    kind: Subscription
    metadata:
      name: sandboxed-containers-operator
      namespace: openshift-sandboxed-containers-operator
    spec:
      channel: stable
      installPlanApproval: Automatic
      name: sandboxed-containers-operator
      source: redhat-operators
      sourceNamespace: openshift-marketplace
      startingCSV: sandboxed-containers-operator.v1.7.0
  6. 次のコマンドを実行して、サブスクリプションを作成します。

    $ oc apply -f osc-subscription.yaml
  7. 次のコマンドを実行して、Operator が正常にインストールされていることを確認します。

    $ oc get csv -n openshift-sandboxed-containers-operator

    このコマンドが完了するまでに数分かかる場合があります。

  8. 次のコマンドを実行してプロセスを監視します。

    $ watch oc get csv -n openshift-sandboxed-containers-operator

    出力例

    NAME                             DISPLAY                                  VERSION             REPLACES                   PHASE
    openshift-sandboxed-containers   openshift-sandboxed-containers-operator  1.7.0    1.6.0        Succeeded

5.2.2. ノードあたりのピア Pod 仮想マシン数の変更

peerpodConfig カスタムリソース (CR) を編集することで、ノードあたりのピア Pod 仮想マシン (VM) の制限を変更できます。

手順

  1. 次のコマンドを実行して、現在の制限を確認します。

    $ oc get peerpodconfig peerpodconfig-openshift -n openshift-sandboxed-containers-operator \
    -o jsonpath='{.spec.limit}{"\n"}'
  2. 次のコマンドを実行して、peerpodConfig CR の limit 属性を変更します。

    $ oc patch peerpodconfig peerpodconfig-openshift -n openshift-sandboxed-containers-operator \
    --type merge --patch '{"spec":{"limit":"<value>"}}' 1
    1
    <value> は、定義する制限に置き換えます。

5.2.3. libvirt ボリュームの設定

KVM ホストに libvirt ボリュームを設定する必要があります。ピア Pod は、Cloud API アダプターの libvirt プロバイダーを使用して仮想マシンを作成および管理します。

前提条件

  • OpenShift Container Platform Web コンソールまたはコマンドラインを使用して、OpenShift Container Platform クラスターに OpenShift sandboxed containers Operator をインストールしている。
  • KVM ホストの管理者権限がある。
  • KVM ホストに podman がインストールされている。
  • KVM ホストに virt-customize がインストールされている。

手順

  1. KVM ホストにログインします。
  2. 次のコマンドを実行して、libvirt プールの名前を設定します。

    $ export LIBVIRT_POOL=<libvirt_pool>

    libvirt プロバイダーのシークレットを作成するには、LIBVIRT_POOL 値が必要です。

  3. 次のコマンドを実行して、libvirt プールの名前を設定します。

    $ export LIBVIRT_VOL_NAME=<libvirt_volume>

    libvirt プロバイダーのシークレットを作成するには、LIBVIRT_VOL_NAME 値が必要です。

  4. 次のコマンドを実行して、デフォルトのストレージプールの場所のパスを設定します。

    $ export LIBVIRT_POOL_DIRECTORY=<target_directory> 1
    1
    libvirt に読み取りおよび書き込みアクセス権限があることを確認するには、libvirt ストレージディレクトリーのサブディレクトリーを使用します。デフォルトは /var/lib/libvirt/images/ です。
  5. 次のコマンドを実行して、libvirt プールを作成します。

    $ virsh pool-define-as $LIBVIRT_POOL --type dir --target "$LIBVIRT_POOL_DIRECTORY"
  6. 次のコマンドを実行して、libvirt プールを開始します。

    $ virsh pool-start $LIBVIRT_POOL
  7. 次のコマンドを実行して、プールの libvirt ボリュームを作成します。

    $ virsh -c qemu:///system \
      vol-create-as --pool $LIBVIRT_POOL \
      --name $LIBVIRT_VOL_NAME \
      --capacity 20G \
      --allocation 2G \
      --prealloc-metadata \
      --format qcow2

5.2.4. カスタムピア Pod 仮想マシンイメージの作成

デフォルトの Operator ビルドイメージを使用する代わりに、カスタムピア Pod 仮想マシン (VM) イメージを作成できます。

ピア Pod QCOW2 イメージを使用して Open Container Initiative (OCI) コンテナーを構築します。後で、コンテナーレジストリー URL とイメージパスをピア Pod 仮想マシンイメージ config map に追加します。

手順

  1. Dockerfile.podvm-oci ファイルを作成します。

    FROM scratch
    
    ARG PODVM_IMAGE_SRC
    ENV PODVM_IMAGE_PATH="/image/podvm.qcow2"
    
    COPY $PODVM_IMAGE_SRC $PODVM_IMAGE_PATH
  2. 次のコマンドを実行して、Pod 仮想マシン QCOW2 イメージを含むコンテナーを構築します。

    $ docker build -t podvm-libvirt \
      --build-arg PODVM_IMAGE_SRC=<podvm_image_source> \ 1
      --build-arg PODVM_IMAGE_PATH=<podvm_image_path> \ 2
      -f Dockerfile.podvm-oci .
    1
    ホスト上の QCOW2 イメージソースを指定します。
    2
    オプション: デフォルトの /image/podvm.qcow2 を使用しない場合は、QCOW2 イメージのパスを指定します。

5.2.5. ピア Pod シークレットの作成

OpenShift Sandboxed Containers のピア Pod シークレットを作成する必要があります。

シークレットには、Pod 仮想マシン (VM) イメージとピア Pod インスタンスを作成するための認証情報が保存されます。

デフォルトでは、OpenShift Sandboxed Containers Operator はクラスターの作成に使用される認証情報に基づいてシークレットを作成します。ただし、異なる認証情報を使用するシークレットを手動で作成することはできます。

前提条件

  • LIBVIRT_POOL。KVM ホストで libvirt を設定したときに設定した値を使用します。
  • LIBVIRT_VOL_NAME。KVM ホストで libvirt を設定したときに設定した値を使用します。
  • LIBVIRT_URI。この値は、libvirt ネットワークのデフォルトのゲートウェイ IP アドレスです。この値を取得するには、libvirt ネットワーク設定を確認してください。

    注記

    libvirt がデフォルトのブリッジ仮想ネットワークを使用する場合は、以下のコマンドを実行して LIBVIRT_URI を取得できます。

    $ virtint=$(bridge_line=$(virsh net-info default | grep Bridge);  echo "${bridge_line//Bridge:/}" | tr -d [:blank:])
    
    $ LIBVIRT_URI=$( ip -4 addr show $virtint | grep -oP '(?<=inet\s)\d+(\.\d+){3}')
    
    $ LIBVIRT_GATEWAY_URI="qemu+ssh://root@${LIBVIRT_URI}/system?no_verify=1"
  • REDHAT_OFFLINE_TOKENRed Hat API トークン で RHEL イメージをダウンロードするためにこのトークンを生成している。

手順

  1. 次の例に従って peer-pods-secret.yaml マニフェストファイルを作成します。

    apiVersion: v1
    kind: Secret
    metadata:
      name: peer-pods-secret
      namespace: openshift-sandboxed-containers-operator
    type: Opaque
    stringData:
      CLOUD_PROVIDER: "libvirt"
      LIBVIRT_URI: "<libvirt_gateway_uri>" 1
      LIBVIRT_POOL: "<libvirt_pool>" 2
      LIBVIRT_VOL_NAME: "<libvirt_volume>" 3
      REDHAT_OFFLINE_TOKEN: "<rh_offline_token>" 4
    1
    libvirt URI を指定します。
    2
    libvirt プールを指定します。
    3
    libvirt ボリューム名を指定します。
    4
    Operator ビルドイメージに必要な Red Hat オフライントークンを指定します。
  2. 以下のコマンドを実行してシークレットを作成します。

    $ oc apply -f peer-pods-secret.yaml

5.2.6. ピア Pod config map の作成

OpenShift sandboxed containers のピア Pod config map を作成する必要があります。

手順

  1. 以下の例に従って peer-pods-cm.yaml マニフェストファイルを作成します。

    apiVersion: v1
    kind: ConfigMap
    metadata:
      name: peer-pods-cm
      namespace: openshift-sandboxed-containers-operator
    data:
      CLOUD_PROVIDER: "libvirt"
      DISABLECVM: "true"
  2. 以下のコマンドを実行して config map を作成します。

    $ oc apply -f peer-pods-cm.yaml

5.2.7. ピア Pod 仮想マシンイメージ config map の作成

ピア Pod 仮想マシンイメージの config map を作成する必要があります。

手順

  1. 次の例に従って、libvirt-podvm-image-cm.yaml マニフェストを作成します。

    apiVersion: v1
    kind: ConfigMap
    metadata:
      name: libvirt-podvm-image-cm
      namespace: openshift-sandboxed-containers-operator
    data:
      PODVM_DISTRO: "rhel"
      CAA_SRC: "https://github.com/confidential-containers/cloud-api-adaptor"
      CAA_REF: "<cloud_api_adaptor_version>" 1
      DOWNLOAD_SOURCES: "no"
      CONFIDENTIAL_COMPUTE_ENABLED: "yes"
      UPDATE_PEERPODS_CM: "yes"
      ORG_ID: "<rhel_organization_id>"
      ACTIVATION_KEY: "<rhel_activation_key>" 2
      IMAGE_NAME: "<podvm_libvirt_image>"
      PODVM_IMAGE_URI: "oci::<image_repo_url>:<image_tag>::<image_path>" 3
      SE_BOOT: "true" 4
      BASE_OS_VERSION: "<rhel_image_os_version>" 5
    1
    Cloud API Adaptor ソースの最新バージョンを指定します。
    2
    RHEL アクティベーションキーを指定します。
    3
    オプション: コンテナーイメージを作成した場合は、次の値を指定します。
    • image_repo_url: コンテナーレジストリー URL。
    • image_tag: イメージタグ。
    • image_path: イメージパス。デフォルト: /image/podvm.qcow2
    4
    SE_BOOT: "true" は、Operator が構築したイメージに対して IBM Secure Execution を有効にします。コンテナーイメージを作成した場合は、false に設定します。
    5
    RHEL イメージのオペレーティングシステムのバージョンを指定します。IBM Z® Secure Execution は、RHEL 9.4 以降のバージョンをサポートしています。
  2. 以下のコマンドを実行して config map を作成します。

    $ oc apply -f libvirt-podvm-image-cm.yaml

    libvirt プロバイダー用に libvirt Pod 仮想マシンイメージ config map が作成されます。

5.2.8. KVM ホストシークレットの作成

KVM ホストのシークレットを作成する必要があります。

手順

  1. 次のコマンドを実行して、SSH キーペアを生成します。

    $ ssh-keygen -f ./id_rsa -N ""
  2. SSH 公開鍵を KVM ホストにコピーします。

    $ ssh-copy-id -i ./id_rsa.pub <KVM_HOST_IP>
  3. 以下のコマンドを実行して Secret オブジェクトを作成します。

    $ oc create secret generic ssh-key-secret \
      -n openshift-sandboxed-containers-operator \
      --from-file=id_rsa.pub=./id_rsa.pub \
      --from-file=id_rsa=./id_rsa
  4. 作成した SSH 鍵を削除します。

    $ shred --remove id_rsa.pub id_rsa

5.2.9. KataConfig カスタムリソースの作成

ワーカーノードに kata-remote をランタイムクラスとしてインストールするには、KataConfig カスタムリソース (CR) を作成する必要があります。

KataConfig CR を作成すると、OpenShift Sandboxed Containers Operator がトリガーされ、以下が実行されます。

  • デフォルト設定で kata-remote という名前の RuntimeClass CR を作成します。これにより、RuntimeClassName フィールドの CR を参照して、kata-remote をランタイムとして使用するようにワークロードを設定できるようになります。この CR は、ランタイムのリソースオーバーヘッドも指定します。

OpenShift Sandboxed Containers は、kata-remote をプライマリーランタイムとしてではなく、クラスター上の セカンダリーオプション のランタイムとしてインストールします。

重要

KataConfig CR を作成すると、ワーカーノードが自動的に再起動します。再起動には 10 分から 60 分以上かかる場合があります。再起動時間を妨げる要因は次のとおりです。

  • より多くのワーカーノードを持つ大規模な OpenShift Container Platform デプロイメント。
  • BIOS および診断ユーティリティーが有効である。
  • SSD ではなくハードディスクドライブにデプロイしている。
  • 仮想ノードではなく、ベアメタルなどの物理ノードにデプロイしている。
  • CPU とネットワークが遅い。

前提条件

  • cluster-admin ロールを持つユーザーとしてクラスターにアクセスできる。

手順

  1. 以下の例に従って example-kataconfig.yaml マニフェストファイルを作成します。

    apiVersion: kataconfiguration.openshift.io/v1
    kind: KataConfig
    metadata:
      name: example-kataconfig
    spec:
      enablePeerPods: true
      logLevel: info
    #  kataConfigPoolSelector:
    #    matchLabels:
    #      <label_key>: '<label_value>' 1
    1
    オプション: 特定のノードに kata-remote をインストールするためにノードラベルを適用した場合は、キーと値を指定します (例: osc: 'true')
  2. 次のコマンドを実行して、KataConfig CR を作成します。

    $ oc apply -f example-kataconfig.yaml

    新しい KataConfig CR が作成され、ワーカーノードに kata-remote がランタイムクラスとしてインストールされます。

    インストールを確認する前に、kata-remote のインストールが完了し、ワーカーノードが再起動するまで待ちます。

  3. 次のコマンドを実行して、インストールの進行状況を監視します。

    $ watch "oc describe kataconfig | sed -n /^Status:/,/^Events/p"

    kataNodes の下にあるすべてのワーカーのステータスが installed で、理由を指定せずに InProgress の条件が False の場合、kata はクラスターにインストールされます。

  4. 次のコマンドを実行して、ピア Pod イメージが構築され、libvirt ボリュームにアップロードされたことを確認します。

    $ oc describe configmap peer-pods-cm -n openshift-sandboxed-containers-operator

    出力例

    Name: peer-pods-cm
    Namespace: openshift-sandboxed-containers-operator
    Labels: <none>
    Annotations: <none>
    
    Data
    ====
    CLOUD_PROVIDER: libvirt
    
    BinaryData
    ====
    Events: <none>

  5. 次のコマンドを実行して、kata-oc マシン設定プールの進行状況を監視し、UPDATEDMACHINECOUNTMACHINECOUNT と等しいときに UPDATED 状態であることを確認します。

    $ watch oc get mcp/kata-oc
  6. 次のコマンドを実行してデーモンセットを確認します。

    $ oc get -n openshift-sandboxed-containers-operator ds/peerpodconfig-ctrl-caa-daemon
  7. 次のコマンドを実行してランタイムクラスを確認します。

    $ oc get runtimeclass

    出力例

    NAME             HANDLER          AGE
    kata             kata             152m
    kata-remote      kata-remote      152m

5.2.10. ワークロードオブジェクトの設定

次の Pod テンプレートオブジェクトのランタイムクラスとして kata-remote を設定して、OpenShift sandboxed containers のワークロードオブジェクトを設定する必要があります。

  • Pod オブジェクト
  • ReplicaSet オブジェクト
  • ReplicationController オブジェクト
  • StatefulSet オブジェクト
  • Deployment オブジェクト
  • DeploymentConfig オブジェクト
重要

Operator namespace にワークロードをデプロイしないでください。これらのリソース専用の namespace を作成します。

前提条件

  • KataConfig カスタムリソース (CR) を作成している。

手順

  1. 次の例のように、各 Pod テンプレート化されたワークロードオブジェクトのマニフェストに spec.runtimeClassName: kata-remote を追加します。

    apiVersion: v1
    kind: <object>
    # ...
    spec:
      runtimeClassName: kata-remote
    # ...

    OpenShift Container Platform はワークロードオブジェクトを作成し、スケジュールを開始します。

検証

  • Pod テンプレートオブジェクトの spec.runtimeClassName フィールドを検査します。値が kata-remote の場合、ワークロードはピア Pod を使用して OpenShift Sandboxed Containers で実行されています。
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