第9章 ストレージ
Red Hat Enterprise Linux 6.3 では、LVM copy-on-write (cow) スナップショットの新しい実装が技術プレビューとして利用できます。この実装の主な利便性は、以前のスナップショットの実装に比較すると、同じデータボリューム上に多くの仮想デバイスが格納できることです。この実装はまた、再帰的スナップショット(スナップショットのスナップショットのそのまたスナップショットなど) の任意の深さに対してのサポートも提供します。
論理ボリューム (LV) は今回、空き領域のストレージプールを管理するためにシンプロビジョン (thin-provision) を使用して、アプリケーションで必要な時に任意の数のデバイスを割り当てることができます。これを使用すると、アプリケーションが実際に LV に書き込んだ時に追加割り当て用にシンプロビジョンへ結合するデバイスの作成が可能になります。シンプロビジョンのプールは、ストレージスペースにコスト効率の良い割り当てが必要な場合に動的に拡張できます。Red Hat Enterprise Linux 6.3 では、この機能は技術プレビューとして導入されています。この機能を試すには、device-mapper-persistent-data パッケージをインスト-ルしている必要があります。詳細情報については、lvcreate
man ページを参照して下さい。BZ#773507
ほとんどの LVM コマンドは、システム上のディスクデバイスに収納されている LVM メタデータの正確な表示を必要とします。現在の LVM デザインでは、この情報が取得できない場合、 LVM はシステムの全ての物理ディスクデバイスをスキャンしなければなりません。それは、大量のディスクを格納しているシステムでは非常に多くの I/O 操作を要します。
lvmetad
デーモンの目的は、デバイスの状態が変化する度に動的にメタデータ情報を累積することでこのスキャンの必要性を排除することです。これらのイベントは udev
ルールによって lvmetad
に信号通知されます。lvmetad
が稼働していない場合は、LVM が通常どおりにそれ自身でスキャンを実行します。
/etc/lvm/lvm.conf
ファイル内の use_lvmetad
パラメータを参照して、lvm2-lvmetad
init スクリプトを設定することにより lvmetad
デーモンを有効にします。BZ#464877
Red Hat Enterprise Linux 6.3 には、FCoE (Fiber Channel over Ethernet) ターゲットモードに対する全面的サポートが含まれています。このカーネル機能は、fcoe-target-utils パッケージで供給される targetcli ユーティリティを介して設定できます。FCoE は Data Center Bridging (DCB) をサポートするネットワーク上で使用するように設計されています。更なる詳細情報については、dcbtool(8)
と targetcli(8)
の man ページ (それぞれ、lldpad と fcoe-target-utils のパッケージで提供) をご覧下さい。BZ#750277
LVM 内の拡張された RAID サポートは今回、Red Hat Enterprise Linux 6.3 で全面的にサポートされています。LVM は現在 RAID 4/5/6 の論理ボリュームの作成能力をもっており、これらの論理ボリュームでのミラーリングをサポートします。MD (ソフトウェア RAID) モジュールはこれらの新しい機能のバックエンドサポートを提供します。BZ#593119
新しい LVM 設定ファイルパラメータである、activation/read_only_volume_list
は、該当するボリューム上の実際の権限に関係なく、特定のボリュームを常に読み込み専用モードでアクティベートすることができます。このパラメータはメタデータ内に保存されている --permission rw
オプションを上書きします。BZ#769293