付録A High Availability アドオンを使った Load Balancer Add-Onの使用
High Availability アドオンとともに Load Balancer Add-Onを使って高可用性の E コマースサイトを導入することができます。このサイトは負荷分散やデータの整合性、アプリケーションの可用性をもたらします。
図A.1「High Availability アドオンを使った Load Balancer Add-On」 にある構成は、ある URL でオンライン商品注文を受け付ける E コマースのサイトを示しています。URL へのクライアントからの要求はファイアウォールを通ってアクティブな LVS ロードバランシングルーターに行き、そこから要求は Web サーバーの 1 つに転送されます。High Availability アドオンノードが動的データを Web サーバーに供給して、そこからデータが要求元のクライアントに転送されます。
図A.1 High Availability アドオンを使った Load Balancer Add-On
動的な Web コンテンツで Load Balancer Add-Onを使用するには三層の (three-tier) 設定が必要になります (図A.1「High Availability アドオンを使った Load Balancer Add-On」 参照)。 Load Balancer Add-On と High Availability アドオンの組み合わせにより、高度な整合性を持ち、単一障害点のない E コマースサイトの設定が可能になります。High Availability アドオンはデータベースの高可用性インスタンスや Web サーバーにネットワークアクセス可能なデータベースのセットを実行することができます。
三層設定は、動的コンテンツを提供するために必要となります。Web サーバーが 静的コンテンツ (変化の少ない少量のデータで構成) のみを扱う場合は、二層のロードバランサアドオン設定が適切ですが、Web サーバーが動的コンテンツを扱う場合は、二層設定は不適切なものとなります。動的コンテンツには製品在庫や購入注文、顧客データベース等が含まれ、顧客が最新の正確な情報にアクセスできるようにするために、すべての Web サーバー上で一貫性が必要になります。
各層では、以下の機能が提供されます。
- 第一層 — Web 要求を分配する負荷分散を実行する LVS ルーター
- 第二層 — 要求を処理する Web サーバーセット
- 第三層 — Web サーバーへのデータを扱う High Availability アドオン
図A.1「High Availability アドオンを使った Load Balancer Add-On」 にあるようなロードバランサーアドレス設定では、World Wide Web 上でクライアントシステムが要求を発行します。セキュリティの理由により、これらの要求はファイアウォールから Web サイトに入ります。このファイアウォールはその役割を果たしている Linux システムでも専用のファイアウォールデバイスでもかまいません。冗長性のために、ファイアウォールデバイスはフェイルオーバー設定で設定可能です。ファイアウォールの背後には LVS ルーターがあり、これは負荷分散を提供するもので、アクティブスタンバイモードでの設定ができます。アクティブな負荷分散ルーターは、要求を Web サーバーセットに転送します。
Web サーバーはクライアントからの HTTP 要求を個別に処理して、クライアントに応答を送信します。Load Balancer Add-Onを使うと、LVS ルーターの背後にある Web サーバーを追加することで Web サイトのキャパシティが拡大できます。つまり、LVS ルーターが幅広い Web サーバーセット全体で負荷分散を実行する事になります。さらに、ある Web サーバーが失敗すると、そのサーバーは削除されます。Load Balancer Add-Onは、縮小された Web サーバーセット内で負荷分散を継続します。