4.3.6. プロセスごとのシステムコールボリュームの追跡


このセクションでは、最もボリュームの大きいシステムコールを実行しているプロセスを判定する方法を説明します。ここまでのセクションでは、システムが使用している上位のシステムコールを監視する方法を説明しました (「最もよく使われるシステムコールの追跡」)。また、どのアプリケーションが最も多く特定の「ポーリング容疑者」のシステムコールを使用しているかを特定する方法も説明しました (「ポーリングアプリケーションの監視」)。プロセスごとのシステムコールのボリュームを監視することで、ポーリングプロセスおよび他のリソースの大量消費についてシステムを調査する際により多くのデータが提供できます。
syscalls_by_proc.stp

#! /usr/bin/env stap

# Copyright (C) 2006 IBM Corp.
#
# This file is part of systemtap, and is free software.  You can
# redistribute it and/or modify it under the terms of the GNU General
# Public License (GPL); either version 2, or (at your option) any
# later version.

#
# Print the system call count by process name in descending order.
#

global syscalls

probe begin {
  print ("Collecting data... Type Ctrl-C to exit and display results\n")
}

probe syscall.* {
  syscalls[execname()]++
}

probe end {
  printf ("%-10s %-s\n", "#SysCalls", "Process Name")
  foreach (proc in syscalls-)
    printf("%-10d %-s\n", syscalls[proc], proc)
}

syscalls_by_proc.stp は、システムコールを多く実行している上位 20 位のプロセスを一覧表示します。また、一定期間内に各プロセスが実行したシステムコールの数も表示されます。例4.16「topsys.stp のサンプル出力」 がサンプル出力になります。

例4.16 topsys.stp のサンプル出力

Collecting data... Type Ctrl-C to exit and display results
#SysCalls  Process Name
1577       multiload-apple
692        synergyc
408        pcscd
376        mixer_applet2
299        gnome-terminal
293        Xorg
206        scim-panel-gtk
95         gnome-power-man
90         artsd
85         dhcdbd
84         scim-bridge
78         gnome-screensav
66         scim-launcher
[...]
プロセス名の代わりにプロセス ID を表示するには、以下のスクリプトを使用します。
syscalls_by_pid.stp

#! /usr/bin/env stap

# Copyright (C) 2006 IBM Corp.
#
# This file is part of systemtap, and is free software.  You can
# redistribute it and/or modify it under the terms of the GNU General
# Public License (GPL); either version 2, or (at your option) any
# later version.

#
# Print the system call count by process ID in descending order.
#

global syscalls

probe begin {
  print ("Collecting data... Type Ctrl-C to exit and display results\n")
}

probe syscall.* {
  syscalls[pid()]++
}

probe end {
  printf ("%-10s %-s\n", "#SysCalls", "PID")
  foreach (pid in syscalls-)
    printf("%-10d %-d\n", syscalls[pid], pid)
}

出力で表示されているように、結果を表示するにはスクリプトを手動で終了する必要があります。どちらのスクリプトにも timer.s() プローブを追加して、一定時間後に終了させることができます。たとえば、5 秒後にスクリプトを終了させるには、以下のプローブをスクリプトに追加します。
probe timer.s(5)
{
	exit()
}
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