インストールガイド


Red Hat Enterprise Linux 7

すべてのアーキテクチャーへの Red Hat Enterprise Linux 7 のインストール

Jana Heves

Red Hat Customer Content Services

Vladimír Slávik

Red Hat Customer Content Services

概要

本ガイドでは、Red Hat Enterprise Linux 7 インストールプログラム (Anaconda) の起動方法、および AMD64/Intel 64 システム、64 ビット ARM システム、64 ビット IBM Power Systems サーバー、および IBM Z サーバーへの Red Hat Enterprise Linux 7 のインストール方法について解説しています。また、キックスタート インストール、PXE インストール、VNC 経由のインストールなど高度なインストール方法についても触れています。最後に、インストール後に行う一般的な作業やインストール関連のトラブルシューティングについて説明しています。
Red Hat Enterprise Linux Atomic Host のインストール方法についての詳細は、Red Hat Enterprise Linux Atomic Host インストールと設定ガイドを参照してください。

第1章 はじめに

Anaconda と呼ばれるインストールユーティリティーで Red Hat Enterprise Linux をインストールできます。多くの場合、「対話型インストール」 に記載の手順に従うだけで、Anaconda のグラフィカルインターフェイスを使用して Red Hat Enterprise Linux をインストールできます。
高度な要件を必要とするユーザーは、各種のシステム上でグラフィカルインタフェースを使用してインストールの多くの要素を設定して、Red Hat Enterprise Linux をインストールすることもできます。ローカルインターフェイスのないシステムでは、インストールは完全にリモートからアクセスできます。キックスタート ファイルを使用してインストールを自動化したり、対話なしでインストールしたりできます。

1.1. グラフィカルインストール

Red Hat Enterprise Linux インストーラーである Anaconda は、簡単なグラフィカルの手法で Red Hat Enterprise Linux をインストールできます。このグラフィカルインストールインターフェイスにはヘルプシステムが組み込まれており、Linux をインストールしたことがなくても、ほとんどのインストールを実行できます。ただし、Anaconda を使うと、必要に応じて高度なインストールオプションを使用することもできます。
Anaconda は、その並立的な性質上、他のオペレーティングシステムのインストールプログラムとは異なります。ほとんどのインストーラーは、最初に言語の選択、次にネットワークの設定、それからインストールタイプ、パーティション設定、といったように、リニア形式で進められます。ある時点ですすめる方向は通常、1 つのみです。
Anaconda のグラフィカルインターフェイスでは、最初に選択する必要があるものは言語とロケールのみで、次に中央画面が表示され、任意の順序でインストールの各種オプションを設定できます。ある設定を先に完了してからでないと設定できない箇所もあります。たとえば、ネットワークの場所からインストールする場合には、ネットワークを設定してからしか、インストールするパッケージを選択できません。Anaconda のほとんどのオプションは、任意の順序で設定できます。ネットワークの初期化やディスクの検出などのバックグラウンドタスクが原因で特定オプションの設定ができない場合に、これらの完了を待っている間に別の関係ないオプションを設定することができます。
特に、カスタムのパーティション設定プロセスは他の Linux ディストリビューションとは非常に異なります。これらの違いについては、各画面のサブセクションで説明します。
お使いのハードウェアやインストールを開始するメディアタイプによっては、自動で設定される画面もいくつかあります。その場合でも、検出された設定は変更することが可能です。自動設定されず、インストール前にユーザーの作業が必要となる画面には、感嘆符が付いています。実際のインストールプロセスを開始するには、これらの設定を完了する必要があります。
インストールはテキストモードでも実行できますが、カスタムパーティション設定を含む特定のオプションは使用できません。「テキストモードでのインストール」 を参照してください。IBM Power システムもしくは IBM Z をご使用の場合はそれぞれ 「テキストモードでのインストール」「テキストモードでのインストール」 を参照してください。

1.2. リモートインストール

Red Hat Enterprise Linux は、グラフィカルインターフェイスをリモートで使用してインストールできます。ヘッドレスシステムの場合、Connect Mode を使用して完全にリモートでグラフィカルインストールを実行できます。ディスプレイとキーボードがあるものの、グラフィカルインタフェースを使用できないシステムでは、Direct Mode を使用すると容易にセットアップができます。詳細は、25章VNC の使用 を参照してください。

1.3. 自動インストール

Kickstart ファイルを使用すると、Anaconda によるインストールを自動化できます。Kickstart ファイルは、インストールのあらゆる側面の設定に使用可能で、ユーザーの介入なしに、Red Hat Enterprise Linux の複数インスタンスのインストールを簡単に自動化できます。
ほとんどの場合、「自動インストール」 に記載の手順に従うだけで、Kickstart ファイルの作成と設定ができます。このファイルを使用すると、任意の数の Red Hat Enterprise Linux を非対話形式でインストールできます。
Kickstart ファイルは、オンラインの Kickstart Generator ツールでグラフィカルインターフェイスを使用して選択したないようをもとに自動的に作成することも、テキストエディターで最初から記述することもできます。詳細は、「キックスタートファイルの作成」 を参照してください。
Kickstart ファイルは、Red Hat Enterprise Linux の各種ユーティリティーを使用して簡単にメンテナーンスおよび更新できます。詳細は、「キックスタートファイルの維持」 を参照してください。

第2章 Red Hat Enterprise Linux のダウンロード

Red Hat サブスクリプションをお持ちの場合は、Red Hat カスタマーポータルから Red Hat Enterprise Linux 7 インストール DVD の ISO イメージファイル をダウンロードできます。サブスクリプションをお持ちでない方は、サブスクリプションをご購入頂くか https://access.redhat.com/downloads/ のソフトウェアおよびダウンロードセンターで無料の評価版サブスクリプションを入手してください。
AMD64 および Intel 64 (x86_64)、ARM (Aarch64)、ならびに IBM Power Systems (ppc64) のアーキテクチャーで使用できるインストールメディアには、2 つの基本タイプがあります。
バイナリー DVD
完全なインストールイメージ。これはインストールプログラムを起動して全インストール工程を実施します。パッケージ用の追加リポジトリーを用意する必要はありません。
注記
バイナリー DVD は IBM Z でもご利用頂くことができます。SCSI DVD ドライブを使ってインストールプログラムを起動する場合に使用できます。また、インストールソースとして使用することもできます。
boot.iso
最小限の起動イメージ。これは、インストールプログラムを起動しますがパッケージ用の追加リポジトリーにアクセスする必要があります。Red Hat ではこのようなリポジトリーは提供しておらず、完全インストール ISO イメージを使用して作成する必要があります。
注記
IBM Java ランタイム環境や追加の仮想化ドライバーなどの追加パッケージが含まれる補助 DVD イメージを利用することもできます。ただし、これについては本ガイドの範囲を超えます。
既にサブスクリプションまたは評価版サブスクリプションをお持ちの場合は、以下の手順に従って Red Hat Enterprise Linux Red Hat Enterprise Linux 7 の ISO イメージファイルを取得します。

手順2.1 Red Hat Enterprise Linux ISO イメージのダウンロード

  1. カスタマーポータルの https://access.redhat.com/home にアクセスします。ログインしていない場合はページ右側の ログイン をクリックします。プロンプトに従いアカウント認証情報を入力します。
  2. ページ上部の DOWNLOADS をクリックします。
  3. Red Hat Enterprise Linux をクリックします。
  4. Product VariantArchitecture がインストールターゲットに適した選択になっているか確認します。デフォルトでは Red Hat Enterprise Linux Serverx86_64 を選択します。どれを選択してよいのか分からない場合は、http://www.redhat.com/en/technologies/linux-platforms/enterprise-linux を参照してください。また、各バリアントで利用可能なパッケージ一覧は、Red Hat Enterprise Linux 7 パッケージマニフェストで確認できます。
  5. 利用可能なダウンロード一覧が表示されます。特に、最小限のブート ISOイメージと完全インストール用 バイナリー DVD ISO イメージが表示されます。これが上記で説明したメディアです。事前設定済みの仮想マシンイメージなど、これ以外のイメージが表示される場合もあります。これについては本ガイドの対象外になります。
  6. 使用するイメージファイルを選択します。カスタマーポータルからダウンロードする方法は、2 通りあります。
    • Web ブラウザーを使ってイメージ名をクリックし、コンピューターにそのイメージをダウンロードします。
    • イメージ名を右クリックして リンクの URL をコピー などのメニューアイテムをクリックします (メニューアイテムの表示はブラウザーによって異なる)。この操作で、ファイルの URL がクリップボードにコピーされ、別のアプリケーションを使ってファイルをコンピューターにダウンロードできるようになります。インターネット接続が不安定な場合にはこの方法が役に立ちます (接続不安定のため中断されブラウザーでファイル全体をダウンロードできず、またダウンロードリンクに含まれている認証キーの有効期間が短いため中断されたダウンロードプロセスの再開試行が失敗してしまうような場合)。curl などの特殊アプリケーションを使用するとカスタマーポータルからのダウンロードなど中断されたプロセスを再開することができます。つまり、ファイル全体を再度ダウンロードする必要がなく時間や回線容量を節約することができます。

      手順2.2 curl を使用したインストールメディアのダウンロード

      1. root で以下のコマンドを実行して、curl パッケージがインストールされていることを確認します。
        # yum install curl
        ご使用の Linux ディストリビューションでは yum を使用していない、または Linux 自体をまったく使用していないなどの場合は curl web site で最適となるソフトウェアパッケージをダウンロードしてください。
      2. ターミナルウィンドウを開きダウンロード先となるディレクトリーに移動します。次のコマンドを入力します。
        $ curl -o filename.iso 'copied_link_location'
        filename.iso には rhel-server-7.0-x86_64-dvd.iso などカスタマーポータルで表示される ISO イメージの名前を入力します。カスタマーポータル内のダウンロードリンクには curl でダウンロードしたファイル名にも使用する追加文字が含まれているため入力には注意してください。次のパラメーターの一重引用符は付けたまま copied_link_location にはカスタマーポータルからコピーしたリンクを入力します。上記のコマンドをコピーした場合にはもう一度コピーします。Linux ではウィンドウ内で中央ボタンをクリックするか、Shift+Insert を押すとクリップボードの内容をターミナルウィンドウに貼り付けることができます。最後のパラメーターの後ろに別の一重引用符を付けて、Enter を押してコマンドを実行し、ISO イメージの転送を開始します。一重引用符を使用するのはダウンロードリンクに特殊な文字が含まれていた場合など、特殊文字が誤って解釈されないようにするためです。

        例2.1 curl での ISO イメージのダウンロード

        curl コマンドラインの例を示します。
        $ curl -o rhel-server-7.0-x86_64-dvd.iso 'https://access.cdn.redhat.com//content/origin/files/sha256/85/85a...46c/rhel-server-7.0-x86_64-dvd.iso?_auth_=141...7bf'
        実際のダウンロードリンクには複雑な識別子が含まれるため非常に長い記述になる点に注意してください。
      3. 転送の完了前にインターネット接続が中断された場合はカスタマーポータル内のダウンロードページを更新し、必要であればログインし直します。新しいダウンロードリンクをコピーし、以前と同じ基本的な curl コマンドラインパラメーターを使用しますが、必ず新しいダウンロードリンクを使用するように -C - を追加し、既にダウンロードしたファイルのサイズに基づいて続行すべき場所を自動的に決定するように curl に指示します。

        例2.2 中断されたダウンロードの再開

        選択した ISO イメージが一部しかダウンロードされていない場合に使用する curl コマンドラインの例を示します。
        $ curl -o rhel-server-7.0-x86_64-dvd.iso 'https://access.cdn.redhat.com//content/origin/files/sha256/85/85a...46c/rhel-server-7.0-x86_64-dvd.iso?_auth_=141...963' -C -
  7. 必要に応じて、sha256sum などのチェックサムユーティリティーを使用して、ダウンロード完了後にイメージファイルの整合性を検証できます。Download Red Hat Enterprise Linux ページにあるダウンロードにはすべて、以下の参照用チェックサムが含まれます。
    $ sha256sum rhel-server-7.0-x86_64-dvd.iso
    			85a...46c rhel-server-7.0-x86_64-dvd.iso
    Microsoft WindowsMac OS X 向けにも同様のツールがあります。また、インストールの開始時にインストールプログラムを使用してメディアの検証もできます。詳細は「起動メディアの検証」を参照してください。
カスタマーポータルから ISO イメージファイルをダウンロードすると、以下が可能になります。

第3章 メディアの作成

本章では、2章Red Hat Enterprise Linux のダウンロードの手順に従って入手した ISO イメージファイルを使って、DVD や USB フラッシュドライブなどの起動可能な物理メディアを作成する方法について解説しています。メディアの作成後、そのメディアを使ってインストールプログラムを起動し、インストールを開始します。以下の手順は、物理的な起動メディアを使用して 64 ビット AMD、Intel、もしくは ARM システムまたは IBM Power Systems サーバーに Red Hat Enterprise Linux をインストールする場合に限り適用されます。IBM Z サーバーに Red Hat Enterprise Linux をインストールする方法は、16章IBM Z でのインストールの起動 を参照してください。Preboot Execution Environment (PXE) サーバーを設定してネットワーク経由で PXE ベースのインストールを行う方法については、24章ネットワークからのインストールの準備を参照してください。
注記
デフォルトでは、インストールメデイアで inst.stage2= 起動オプションが使用され、特定のラベル (たとえば inst.stage2=hd:LABEL=RHEL7\x20Server.x86_64) に設定されます。ランタイムイメージを含むファイルシステムのデフォルトラベルを修正するか、インストールシステムの起動にカスタマイズした手順を使用する場合は、このオプションを正しい値に設定する必要があります。詳細は インストールソースの指定 を参照してください。

3.1. インストール CD または DVD の作成

インストール CD または DVD の作成は、ご使用のコンピューター上にあるディスク書き込みソフトウェアや CD/DVD バーナーを使用します。ISO イメージファイルから光学ディスクを作成する手順は、インストールしているオペレーティングシステムやディスク書き込みソフトウェアなどによって、コンピューターごとに大きく異なります。ISO イメージファイルの CD または DVD への書き込み方の詳しい手順は各ソフトウェアのドキュメントを参照してください。
注記
最小限の起動メディアと完全インストール用のメディアは、いずれも光学ディスク (CD および DVD) を使用して作成することができます。ただし、完全インストール用の ISO イメージはサイズが非常に大きいため (4 GB から 4.5 GB)、DVD のみが使用可能となります。最小限の起動用 ISO の場合、サイズはほぼ 300 MB になるため、CD または DVD のいずれかに書き込むことができます。
まず搭載されているディスク書き込みソフトウェアでイメージファイルをディスクに書き込みことができるかどうか確認してください。ほとんどのソフトウェアで行うことができるはずですが、例外となるソフトウェアも存在します。特に、Windows XP と Windows Vista に搭載されているディスク書き込み機能では DVD への書き込みはできません。また、Windows XP および Windows Vista より旧式の Windows オペレーティングシステムの場合はディスクへの書き込み機能がデフォルトでは搭載されていません。つまり、Windows 7 より旧式の Windows オペレーティングシステムがインストールされている場合にはディスクを書き込むソフトウェアが別途必要になります。コンピューターにすでにいる可能性のある Windows 用の一般的なディスク書き込みソフトウェアの例には、Nero Burning ROMRoxio Creator などがあります。BraseroK3b など、Linux の最も広く使用されているディスク書き込みソフトウェアにも、ISO イメージファイルからディスクを書き込む機能が組み込まれています。
一部のコンピューターでは、ISO ファイルからのディスク書き込み機能がファイルブラウザー内のコンテキストメニューに一体化されていることがあります。たとえば、GNOME デスクトップを実行する Linux または UNIX オペレーティングシステムを備えたコンピューターで ISO ファイルを右クリックしると、Nautilus ファイルブラウザーには Write to disk のオプションが表示されます。

3.2. USB インストールメディアの作成

CD や DVD ではなく、USB ドライブまたは SD カードで起動可能なメディアを作成し、64 ビット AMD、Intel、または ARM システムに Red Hat Enterprise Linux をインストールすることもできます。Linux システム上で作成するのか Windows システム上で作成するのかにより、作成手順が異なります。最小限の起動メディア、完全インストール用のメディアはいずれも同じ手順で作成できます。USB ドライブを使用する場合はその容量に注意してください。イメージ全体を収納できる十分な容量、つまり最小限の起動メディアであればおよそ 450 MB、完全インストール用のメディアであれば 4.8 GB の容量の USB ドライブが必要になります。

3.2.1. Linux での USB インストールメディアの作成

次の手順では、Linux システムを使用していること、また2章Red Hat Enterprise Linux のダウンロードで説明されているように適切な ISO イメージをすでにダウンロードしていることを前提としています。ほとんどの Linux ディストリビューションでは、特に追加のパッケージをインストールしなくても記載の手順で正しく動作します。
警告
この手順を実行すると、すべて破棄されます。USB フラッシュドライブ上のデータは、警告なしで破棄されます。このため、正しいドライブを指定していること、またドライブに、保存の必要があるデータが含まれていないことを必ず確認しておいてください。
多くの Linux ディストリビューションでは、ライブ USB メディアを作成する独自のツールが含まれています (Fedora では liveusb-creator、Ubunto などは usb-creator)。こうしたツールの説明については本ガイドの範疇を超えてしまうため、ここでは説明していません。次の手順に従うと、ほとんどの Linux システムで USB メディアを作成することができます。

手順3.1 Linux での USB メディアの作成

  1. USB フラッシュドライブをシステムに接続し、dmesg コマンドを実行します。最近のイベントの詳細を示すログが表示されます。このログの末尾の方に、今 USB を挿入したことを示すメッセージが表示されているのを確認します。以下にメッセージの例を示します。
    [ 170.171135] sd 5:0:0:0: [sdb] Attached SCSI removable disk
    接続デバイスの名前を書き留めておきます(上記の例では sdb )。
  2. root としてログインします。
    $ su -
    プロンプトに従い root パスワードを入力します。
  3. デバイスがマウントされていないことを確認します。まず、findmnt device コマンドと前の手順で確認したデバイス名を使用します。たとえば、デバイス名が sdb の場合は、次のコマンドを使用します。
    # findmnt /dev/sdb
    コマンドから何も出力されなければ次の手順に進むことができます。何らかの出力がある場合は、デバイスが自動的にマウントされたことを示しているため、次に進む前にそのデバイスをアンマウントしておく必要があります。出力の例は、以下のようになります。
    # findmnt /dev/sdb
    TARGET   SOURCE   FSTYPE  OPTIONS
    /mnt/iso /dev/sdb iso9660 ro,relatime
    
    TARGET 列に注意してください。次に umount target コマンドを使用して、デバイスをアンマウントします。
    # umount /mnt/iso
  4. dd コマンドを使用して、インストール ISO イメージを USB デバイスに直接書き込みます。
    # dd if=/image_directory/image.iso of=/dev/device bs=blocksize
    /image_directory/image.iso をダウンロードした ISO イメージファイルへのフルパスに置き換え、device を、その前に dmesg コマンドで報告されるデバイス名に、blocksize は、書き込みプロセスを迅速化するために妥当なブロックサイズ(例: 512k)に置き換えます。bs パラメーターはオプションですが、プロセスを大幅に高速化できます。
    重要
    デバイス上の パーティション 名(例: /dev/sda1)ではなく、デバイス名(例:/dev/sda)として出力を指定してください。
    たとえば、ISO イメージが /home/testuser/Downloads/rhel-server-7-x86_64-boot.iso にあり、検出されたデバイス名が sdb の場合、コマンドは以下のようになります。
    # dd if=/home/testuser/Downloads/rhel-server-7-x86_64-boot.iso of=/dev/sdb bs=512k
  5. dd がデバイスへのイメージの書き込みを終了するのを待ちます。進捗バーが表示されないことに注意してください。# プロンプトが再度表示されるとデータ転送が完了します。プロンプトが表示されたら、root アカウントからログアウトし、USB ドライブを取り外します。
これで USB ドライブを起動デバイスとして使用する準備が整いました。AMD、Intel、および ARM システムの場合は7章64 ビット AMD、Intel、および ARM システムでのインストールの起動、IBM Power Systems サーバーの場合は12章IBM Power Systems でのインストールの起動をお読みください。
注記
IBM Power Systems サーバーで仮想化以外のインストール (ベアメタルインストールとも呼ばれる) を行うには、inst.stage2= 起動オプションを指定する必要があります。inst.stage2= 起動オプションの詳細は、 「ブートメニューによるインストールシステムの設定」 を参照してください。

3.2.2. Windows での USB インストールメディアの作成

Windows で起動可能な USB メディアを作成する手順は使用するツールによって異なります。ISO イメージを USB ドライブに書き込むことができるユーティリティーは数多くあります。Red Hat は、から https://github.com/FedoraQt/MediaWriter/releases ダウンロードできる Fedora Media Writer の使用を推奨します。
注記
Fedora Media Writer はコミュニティー製品であるため、Red Hat のサポート対象外となります。ツールに関する問題は、https://github.com/FedoraQt/MediaWriter/issues から報告できます。
重要
Windows の Explorer または同様のファイルマネージャーを使った USB ドライブへの ISO イメージファイルの転送は正しく動作しないため、そのデバイスからは起動できません。

手順3.2 Windows での USB メディアの作成

  1. Fedora Media Writer をダウンロードしてインストールします。
  2. メディアの作成に使用する Red Hat Enterprise Linux ISO イメージをダウンロードします。(ISO イメージの取得方法については 2章Red Hat Enterprise Linux のダウンロード を参照してください。)
  3. 起動可能なメディアの作成に使用する USB ドライブを挿入します。
  4. Fedora Media Writer を開きます。
  5. メインウィンドウで Custom Image をクリックし、ダウンロードした Red Hat Enterprise Linux ISO イメージを選択します。
  6. ドロップダウンメニューから使用するドライブを選択します。ドライブが表示されない場合は、USB ドライブが接続されていることを確認し、Fedora Media Writer を再起動します。
  7. Write to disk をクリックします。起動メディアの作成プロセスが開始されます。プロセスが完了するまでドライブを抜かないでください。ISO イメージのサイズと USB ドライブの書き込み速度によって、イメージの書き込みは数分かかる場合があります。

    図3.1 Fedora Media Writer

    Fedora Media Writer
  8. 作成プロセスが完了し、Complete! メッセージが表示されたら、システムの通知エリアの 安全な削除ハードウェア アイコンを使用して USB ドライブをアンマウントします。
これで USB ドライブを起動デバイスとして使用する準備が整いました。AMD、Intel、および ARM システムの場合は7章64 ビット AMD、Intel、および ARM システムでのインストールの起動、IBM Power Systems サーバーの場合は12章IBM Power Systems でのインストールの起動をお読みください。

3.2.3. Mac OS X での USB インストールメディアの作成

この手順では、dd コマンドラインツールを使用して、インストールイメージを USB フラッシュドライブに書き込みます。手順によっては sudo コマンドを使用します。このコマンドは、パスワードを必要とする管理者アカウントでログインした場合のみ使用できることに注意してください。
警告
この手順を実行すると、USB フラッシュドライブ上にあるデータはすべて削除されます。

手順3.3 Mac OS X での USB メディアの作成

  1. USB フラッシュドライブをシステムに接続し、diskutil list コマンドでデバイスパスを特定します。デバイスパスの形式は /dev/disk 番号で、number はディスクの数になります。ディスク番号は、0 から始まります。デバイス 0 は通常、OS X リカバリーディスクになり、ディスク 1 はご自分のメインの OS X インストールになります。以下の例では、disk2 です。
    $ diskutil list
    /dev/disk0
    #:                       TYPE NAME                    SIZE       IDENTIFIER
    0:      GUID_partition_scheme                        *500.3 GB   disk0
    1:                        EFI EFI                     209.7 MB   disk0s1
    2:          Apple_CoreStorage                         400.0 GB   disk0s2
    3:                 Apple_Boot Recovery HD             650.0 MB   disk0s3
    4:          Apple_CoreStorage                         98.8 GB    disk0s4
    5:                 Apple_Boot Recovery HD             650.0 MB   disk0s5
    /dev/disk1
    #:                       TYPE NAME                    SIZE       IDENTIFIER
    0:                  Apple_HFS YosemiteHD             *399.6 GB   disk1
    Logical Volume on disk0s1
    8A142795-8036-48DF-9FC5-84506DFBB7B2
    Unlocked Encrypted
    /dev/disk2
    #:                       TYPE NAME                    SIZE       IDENTIFIER
    0:     FDisk_partition_scheme                        *8.0 GB     disk2
    1:               Windows_NTFS SanDisk USB             8.0 GB     disk2s1
    USB フラッシュドライブを特定するには、NAMETYPE、および SIZE 列を、フラッシュドライブに関する内容と比較します。たとえば、NAMEFinder のフラッシュドライブのタイトルと同じである必要があります。これらの値をフラッシュドライブの情報パネル内の値と比較することもできます。ドライブアイコンを右クリックし、Get Info を選択します。
  2. diskutil unmountDisk コマンドを使用して、フラッシュドライブのファイルシステムボリュームをアンマウントします。
    $ diskutil unmountDisk /dev/disknumber
    					Unmount of all volumes on disknumber was successful
    これを実行すると、デスクトップからフラッシュドライブのアイコンが消えます。消えない場合は、間違ったディスクを指定した可能性があります。システムディスクを誤ってアンマウントしようとすると、failed to unmount エラーが発生します。
  3. dd コマンドを sudo コマンドのパラメーターとして使用し、ISO イメージをフラッシュドライブに書き込みます。
    $ sudo dd if=/path/to/image.iso of=/dev/rdisknumber bs=1m>
    注記
    Mac OS X は、各ストレージデバイスにブロック(/dev/disk*)とキャラクターデバイス(/dev/rdisk*)ファイルの両方を提供します。/dev/rdisk番号 キャラクターデバイスにイメージを書き込む方が、/dev/disk番号 ブロックデバイスよりも高速です。

    例3.1 ISO イメージのディスクへの書き込み

    /Users/user_name/Downloads/rhel-server-7-x86_64-boot.iso ファイルを /dev/rdisk2 デバイスに書き込むには、以下を実行します。
    $ sudo dd if=/Users/user_name/Downloads/rhel-server-7-x86_64-boot.iso of=/dev/rdisk2
  4. コマンドが完了するまで待機します。進捗バーは表示されませんが、実行中の操作の状態を確認するには、ターミナルで Ctrl+t を押します。
    load: 1.02  cmd: dd 3668 uninterruptible 0.00u 1.91s
    112+0 records in
    111+0 records out
    116391936 bytes transferred in 114.834860 secs (1013559 bytes/sec)
  5. データ送信の速度は、USB ポートとフラッシュドライブの速度に依存します。プロンプトが再度表示されたら、データ転送が完了しています。これでフラッシュドライブを取り外すことができます。
これでフラッシュドライブを起動デバイスとして使用する準備が整いました。AMD64 および Intel 64 のシステムの場合は7章64 ビット AMD、Intel、および ARM システムでのインストールの起動、IBM Power Systems サーバーの場合は12章IBM Power Systems でのインストールの起動をお読みください。

3.3. インストールソースの準備

2章Red Hat Enterprise Linux のダウンロードで説明されているように、Red Hat Enterprise Linux には最小限の起動用イメージと完全インストール用イメージ (別名: バイナリー DVD) の 2 種類のメディアタイプがあります。バイナリー DVD をダウンロードしてから DVD-ROM または USB ドライブを作成した場合、このメディアにはシステムのインストールに必要なすべてのアイテムが含まれているため、直ちにインストールを開始することができます。
しかし、最小限の起動用イメージを使用してインストールする場合には、インストールソースを別途に設定する必要があります。最小限の起動用イメージには、システムを起動してインストールを開始するために必要なインストールプログラム自体しか含まれておらず、システムにインストールするソフトウェアパッケージは含まれていません。
このため、インストールソースとして完全インストール用の DVD ISO イメージを使用することができます。提供元が Red Hat 以外のソフトウェアを必要とする場合には、追加リポジトリーを設定して インストールの終了後 にインストールを行ってください。インストール済みシステムで追加の Yum リポジトリーを設定する方法は Red Hat Enterprise Linux 7 システム管理者のガイド を参照してください。
インストールソースは以下のいずれでも構いません。
  • DVD: バイナリー DVD ISO イメージを DVD に書き込み、インストールプログラムがこのディスクからパッケージをインストールするように設定できます。
  • ハードドライブ: バイナリー DVD ISO イメージをハードドライブに配置し、そこからパッケージをインストールできます。
  • ネットワークの場所: バイナリー DVD ISO イメージまたは インストールツリー (バイナリー DVD ISO イメージから抽出したコンテンツ)をインストールシステムからアクセス可能なネットワーク上の場所にコピーし、以下のプロトコルを使用してネットワーク経由でインストールを実行できます。
    • NFS: バイナリー DVD ISO イメージは、ネットワークファイルシステム (NFS)共有に配置されます。
    • HTTPSHTTP、または FTP: インストールツリーは、HTTPHTTPS、または FTP 経由でアクセス可能なネットワーク上の場所に配置されます。
最小限の起動メディアから起動する場合は、追加のインストールソースを常に設定しておく必要があります。完全インストール用バイナリー DVD から起動する場合は、別のインストールソースを設定することも可能ですが、必要性はありません。バイナリー DVD ISO イメージ自体にシステムのインストールに必要なパッケージがすべて収納されているため、インストールプログラムはバイナリー DVD をソースとして自動的に認識します。
インストールソースは以下のいずれかの方法で指定します。
  • インストールプログラムのグラフィカルインターフェイス:グラフィカルインストールを開始して任意の言語を選択すると、インストールの 概要 画面が表示されます。インストールソース 画面に移動し、設定するソースを選択します。詳細は、次を参照してください。
  • 起動オプションを使って指定する: インストールプログラムが開始する前に、カスタムの起動オプションを使って指定することができます。以下のいずれかのオプションで使用するインストールソースを指定します。詳細は、「ブートメニューによるインストールシステムの設定」inst.repo= オプションを参照してください。
  • キックスタートファイルの使用:キックスタートファイルで install コマンドを使用し、インストールソースを指定できます。install キックスタートコマンドの詳細は 「キックスタートのコマンドとオプション」、キックスタートインストール全般の詳細は 27章キックスタートを使ったインストール を参照してください。

3.3.1. インストールソース - DVD

バイナリーの DVD ISO イメージを DVD に書き込み、起動は別のドライブから行い (USB フラッシュドライブにある最小限の起動用 ISO で起動)、パッケージのインストールはこのディスクから行うようインストールプログラムを設定することができます。この手順は、起動可能な光学メディアの作成と同じです。詳細はを 「インストール CD または DVD の作成」 参照してください。
DVD をインストールソースとして使用する場合、インストールの開始時に DVD がドライブに挿入されていることを確認してください。Anaconda インストールプログラムは、インストール開始後に挿入されたメディアを検出できません。

3.3.2. インストールソース - ハードドライブ

ハードドライブのインストールではバイナリーインストール DVD の ISO イメージを使用します。ハードドライブをインストールソースとして使用する場合は、バイナリー DVD ISO イメージをドライブに転送し、そのハードドライブをインストールするシステムに接続します。次に、Anaconda インストールプログラムを起動します。
USB フラッシュドライブを含め、インストールプログラムにアクセスできるハードドライブならいずれの種類のハードドライブでも構いません。ハードドライブ内でバイナリー ISO イメージを配置するディレクトリー、またイメージに付ける名前に制限はありません。ただし、ISO イメージをドライブのトップレベルのディレクトリーに配置させたときそのディレクトリーに複数のイメージが存在している場合、またはドライブのトップレベルのディレクトリーにイメージを配置しない場合には、使用するイメージを指定する必要があります。これは、起動オプション、キックスタートファイルのエントリー、またはグラフィカルインストール時に インストールソース 画面で手動で行うことができます。
ハードドライブをインストールソースとして使用する制限は、ハードドライブのバイナリー DVD ISO イメージが、Anaconda がマウントできるファイルシステムのパーティションに置く必要があることです。これらのファイルシステムは、xfsext2ext3ext4、および vfat (FAT32)です。Microsoft Windows システムでは、ハードドライブのフォーマットに使用されるデフォルトのファイルシステムが NTFS であり、exFAT ファイルシステムも利用できますが、いずれのファイルシステムもインストール時にマウントできません。Microsoft Windows でインストールソースとして使用するハードドライブまたは USB ドライブを作成する場合は、必ず FAT32 としてフォーマットしてください。
重要
FAT32 ファイルシステムは、4 GiB を超えるファイルをサポートしません。一部の Red Hat Enterprise Linux 7 インストールメディアでは、このサイズよりも大きい場合もあり、このファイルシステムでは、ドライブにメディアをコピーできません。
インストールソースにハードドライブや USB フラッシュドライブを使用する場合、インストールを開始する時点でシステムに接続されていることを確認してください。インストール開始後に挿入されたメディアはインストールプログラムでは検出されません。

3.3.3. インストールソース - ネットワーク

インストールソースをネットワーク上に配置することで、物理インストールメディアを挿入したり取り出したりする必要なく、1 つのインストールソースから複数のシステムへのインストールを行うことができるようになります。ネットワークベースのインストールは、特にネットワークからのインストールプログラムの起動も可能な TFTP サーバーと併用する場合に便利です。この方法を使用すると、物理メディアを一切作成する必要がなくなるので、同時に複数のシステムに Red Hat Enterprise Linux を簡単にデプロイできます。TFTP サーバーの設定に関する詳細情報は、24章ネットワークからのインストールの準備 を参照してください。
3.3.3.1. NFS サーバーへのインストールソースの配置
NFS インストール方法では、ネットワークファイル システムサーバーの エクスポートされたディレクトリー に配置された Red Hat Enterprise Linux バイナリー DVD の ISO イメージを使用します。このディレクトリー は、インストールシステムが読み取りできる必要があります。NFS ベースのインストールを実行する場合は、NFS ホストとして動作する別のシステムを用意する必要があります。
NFS サーバーの詳細情報は、Red Hat Enterprise Linux 7 ストレージ管理ガイドを参照してください。
以下の手順は基本的な概要のみを説明しています。実際の NFS サーバーの設定手順はシステムのアーキテクチャー、オペレーティングシステム、パッケージマネージャー、サービスマネージャー、およびその他の各要素によって異なります。Red Hat Enterprise Linux 7 システムの場合、手順は記載されている手順と全く同じになります。Red Hat Enterprise Linux の旧リリースでインストールソースを作成する方法については、該当するリリースの『インストールガイド』を参照してください。

手順3.4 NFS を使用したインストールの準備

  1. root で以下のコマンドを実行して、nfs-utils パッケージをインストールします。
    # yum install nfs-utils
  2. 完全な Red Hat Enterprise Linux 7 バイナリー DVD ISO イメージを、NFS サーバーの適切なディレクトリーにコピーします。たとえば、この目的のディレクトリー /rhel7-install/ を作成し、ここに ISO イメージを保存できます。
  3. テキストエディターで /etc/exports ファイルを開き、以下の構文の行を追加します。
    /exported_directory/ clients
    /exported_directory/ を ISO イメージが格納されているディレクトリーの完全パスで置き換えます。クライアント の代わりに、この NFS サーバーからインストールするコンピューターのホスト名または IP アドレス、すべてのコンピューターが ISO イメージにアクセスできるサブネットワーク、または NFS サーバーへのネットワークアクセスのあるコンピューターが ISO イメージを使用できるようにする場合はアスタリスク記号(*)を使用します。このフィールドの形式に関する詳細は、man ページの exports (5) を参照してください。
    以下は、/rhel7-install/ ディレクトリーを、すべてのクライアントに対して読み取り専用として使用できるようにする基本設定です。
    /rhel7-install *
  4. 設定が完了したら、/etc/exports ファイルを保存してテキストエディターを終了します。
  5. nfs サービスを起動します。
    # systemctl start nfs.service
    /etc/exports ファイルを変更する前にサービスがすでに実行されていた場合は、代わりに次のコマンドを実行して、実行中の NFS サーバーが設定を再読み込みするようにします。
    # systemctl reload nfs.service
上記の手順を完了すると、NFS 経由で ISO イメージにアクセスでき、インストールソースとして使用できるようになります。
インストール前またはインストール中にインストールソースを設定する場合は、nfs: プロトコル、サーバーのホスト名または IP アドレス、コロン記号(:)、および ISO イメージを保持するディレクトリーを使用します。たとえば、サーバーのホスト名が myserver.example.com で、ISO イメージを /rhel7-install/ に保存している場合は、インストールソースとして nfs:myserver.example.com:/rhel7-install/ を指定します。
3.3.3.2. HTTP、HTTPS、または FTP サーバーへのインストールソースの配置
このインストール方法では、インストールツリー(バイナリー DVD ISO イメージから抽出したコンテンツと有効な .treeinfo ファイルを含むディレクトリー)を使用したネットワークベースのインストールが可能になります。インストールソースには、HTTPHTTPS、または FTP 経由でアクセスします。
HTTP サーバーおよび FTP サーバーの詳細はRed Hat Enterprise Linux 7 システム管理者のガイドを参照してください。
以下の手順は基本的な概要のみを説明しています。実際の FTP サーバーの設定手順はシステムのアーキテクチャー、オペレーティングシステム、パッケージマネージャー、サービスマネージャーおよびその他の各要素によって異なります。Red Hat Enterprise Linux 7 システムの場合、手順は記載されている手順と全く同じになります。Red Hat Enterprise Linux の旧リリースでインストールソースを作成する方法については、該当するリリースの『インストールガイド』を参照してください。

手順3.5 HTTP または HTTPS を使用したインストールの準備

  1. root で以下のコマンドを実行して、httpd パッケージをインストールします。
    # yum install httpd
    HTTPS サーバーには追加の設定が必要です。詳細情報は、Red Hat Enterprise Linux 7 システム管理者のガイドのSSL サーバーのセットアップセクションを参照してください。ただし、ほとんどのケースでは HTTPS は必要ありません。これは、インストールソースとインストーラー間で機密データは送信されず、HTTP で十分です。
    警告
    Apache Web サーバー設定で SSL セキュリティーが有効になっている場合は、TLSv1 プロトコルのみを有効にし、SSLv2 および SSLv3 を無効にしてください。POODLE SSL 脆弱性 (CVE-2014-3566) の影響を受けないようにするためです。詳しくは https://access.redhat.com/solutions/1232413 を参照してください。
    重要
    HTTPS を使用し、サーバーが自己署名証明書を使用している場合は、noverifyssl オプションを指定してインストーラーを起動する必要があります。
  2. 完全な Red Hat Enterprise Linux 7 バイナリー DVD ISO イメージを HTTP(S) サーバーにコピーします。
  3. mount コマンドを使用してバイナリー DVD ISO イメージを適切なディレクトリーに マウント します。
    # mount -o loop,ro -t iso9660 /image_directory/image.iso /mount_point/
    ここでは /image_directory/image.iso をバイナリー DVD ISO イメージに、/mount_point/ を ISO イメージのコンテンツを表示するディレクトリーへのパスに置き換えます。たとえば、/mnt/rhel7-install/ ディレクトリーを作成し、これを mount コマンドのパラメーターとして使用できます。
  4. マウントされたイメージから HTTP サーバーのルートにファイルをコピーします。
    # cp -r /mnt/rhel7-install/ /var/www/html/
    このコマンドにより、イメージのコンテンツが格納された /var/www/html/rhel7-install/ ディレクトリーが作成されます。
  5. httpd サービスを起動します。
    # systemctl start httpd.service
上記の手順を完了すると、インストールツリーへのアクセスが可能になり、インストールソースとして使用できるようになります。
インストール前またはインストール中にインストールソースを設定する場合は、http:/ / または https:// をプロトコル、サーバーのホスト名または IP アドレス、および ISO イメージからのファイルを保存したディレクトリー(HTTP サーバーのルートとの関連)を使用します。たとえば、HTTP を使用し、サーバーのホスト名が myserver.example.com で、イメージのファイルが /var/www/html/rhel7-install/ にコピーされている場合は、http://myserver.example.com/rhel7-install/ をインストールソースとして指定します。

手順3.6 FTP を使用したインストールの準備

  1. root で以下のコマンドを実行して、vsftpd パッケージをインストールします。
    # yum install vsftpd
  2. 必要に応じて、テキストエディターで /etc/vsftpd/vsftpd.conf 設定ファイルを開き、変更するオプションを編集します。利用可能なオプションは、vsftpd.conf (5) の man ページを参照してください。この手順の残りの部分では、デフォルトのオプションを使用していると仮定しています。この手順を行う場合は、FTP サーバーの匿名ユーザーにファイルのダウンロードを許可しておく必要があります。
    警告
    vsftpd.conf ファイルで SSL/TLS セキュリティーを設定している場合は、TLSv1 プロトコルのみを有効にし、SSLv2 および SSLv3 を無効にしてください。POODLE SSL 脆弱性 (CVE-2014-3566) の影響を受けないようにするためです。詳しくは https://access.redhat.com/solutions/1234773 を参照してください。
  3. 完全な Red Hat Enterprise Linux 7 バイナリー DVD ISO イメージを FTP サーバーにコピーします。
  4. mount コマンドを使用してバイナリー DVD ISO イメージを適切なディレクトリーに マウント します。
    # mount -o loop,ro -t iso9660 /image_directory/image.iso /mount_point
    ここでは /image_directory/image.iso はバイナリー DVD ISO イメージに、/mount_point は ISO イメージのコンテンツを表示するディレクトリーへのパスに置き換えます。たとえば、/mnt/rhel7-install/ ディレクトリーを作成し、これを mount コマンドのパラメーターとして使用できます。
  5. マウントされたイメージから、FTP サーバーのルートにファイルをコピーします。
    # cp -r /mnt/rhel7-install/ /var/ftp/
    このコマンドにより、イメージのコンテンツが格納された /var/ftp/rhel7-install/ ディレクトリーが作成されます。
  6. vsftpd サービスを開始します。
    # systemctl start vsftpd.service
    /etc/vsftpd/vsftpd.conf ファイルを変更する前にサービスがすでに実行されていた場合は、サービスを再起動して編集したファイルが読み込まれます。再起動する場合は、次のコマンドを使用します。
    # systemctl restart vsftpd.service
上記の手順を完了すると、インストールツリーへのアクセスが可能になり、インストールソースとして使用できるようになります。
インストール前またはインストール中にインストールソースを設定する場合は、ftp:// をプロトコル、サーバーのホスト名または IP アドレス、ISO イメージからのファイルを保存したディレクトリー(FTP サーバーのルートと相対的)を使用します。たとえば、サーバーのホスト名が myserver.example.com で、イメージからファイルを /var/ftp/rhel7-install/ にコピーした場合、ftp://myserver.example.com/rhel7-install/ をインストールソースとして指定します。
3.3.3.3. ネットワークベースのインストールを行う場合のファイアウォール設定の事項
ネットワークベースのインストールソースを使用する場合、インストール先のサーバーがリモートのインストールソースにアクセスできるようにファイアウォールを設定してください。以下の表では、ネットワークベースのインストールのタイプごとに、開く必要のあるポートを示します。
表3.1 ネットワークプロトコルが使用するポート
使用プロトコル 開放するポート
FTP 21
HTTP 80
HTTPS 443
NFS 2049, 111, 20048
TFTP 69
特定のファイアウォールポートを開く方法については、Red Hat Enterprise Linux 7 セキュリティーガイドを参照してください。

パート I. AMD64、Intel 64、および ARM 64 - インストールと起動

Red Hat Enterprise Linux インストールガイド』 のこのパートでは、64 ビット AMD、Intel および ARM システムへの Red Hat Enterprise Linux 7 のインストールと、基本的なトラブルシューティングについて説明します。高度なインストールオプションは、パートIV「高度なインストールオプション」 を参照してください。

第4章 クイックインストールガイド

4.1. 対話型インストール

このセクションは、インストール用 USB ドライブを作成してそこから起動した後に Red Hat Enterprise Linux をインストールして登録する簡単な手順について説明します。
前提条件: インストール USB ドライブを作成して、起動します。詳細は、次を参照してください。
インストール USB ドライブを起動したら、以下を実行します。
  1. 起動メニューで Install Red Hat Enterprise Linux を選択し、Enter を押します。
  2. Anaconda の後に、Red Hat Enterprise Linux インストーラーが起動し、言語およびリージョンを選択し、Continue をクリックします。
  3. インストールの概要 は、設定オプションを設定する中央画面です。
    個別のオプションは、好きな順序で表示して修正できます。ある設定オプションが自動で適切に設定されている場合は、なにもする必要はありません。アイテムに感嘆符が付いている場合は、インストール開始前にこれらの設定を完了する必要があります。
    注記
    インストールの開始 ボタンをクリックすると、ディスクには書き込まれません。
  4. Date & Time を選択します。
    1. ご自分の地域とタイムゾーン内で一番近い都市を選択します。
    2. 完了 をクリックしインストールの概要 に戻ります。
  5. キーボードレイアウト を 選択し ます。
    1. + ボタンおよび - ボタンを使用してキーボードレイアウトを追加および削除します。
    2. 複数のキーボードレイアウトを有効にする場合は、必要に応じてレイアウトをリストの一番上に移動し、デフォルトとして設定します。
    3. 完了 をクリックしインストールの概要 に戻ります。
  6. Installation Destination を選択します。
    1. ターゲットディスクを選択します。選択したターゲットの横にチェックマークが表示されます。
      選択したディスクは自動でパーティション設定されます。
    2. 完了 をクリックしインストールの概要 に戻ります。
  7. Network および Hostname を選択します。
    1. 右上にある Ethernet スライディングスイッチをクリックして、ネットワーク設定を有効にします。
    2. 必要に応じて、デバイスを選択し、Configure をクリックしてネットワークインターフェイス設定を更新します。
    3. 完了 をクリックしインストールの概要 に戻ります。
    注記
    Anaconda は、ネットワーク設定を即座に適用します。これは、セットアップ中とインストール後に使用されます。
  8. インストールの概要 画面で インストール の開始 を クリック します。
  9. インストールが開始され、設定 画面が表示されます。
    インストール中に以下の手順を実行します。
    1. Root パスワード を選択します。
      1. root ユーザーのパスワードを入力し、確認します。
      2. 完了 をクリックし設定 画面に戻ります。
    2. User Creation を選択します。
      1. ユーザーのフルネームを入力します。
      2. オプションで、自動生成されたユーザー名を更新します。
      3. パスワードを設定して、確認します。
      4. 必要に応じて、Make this user administrator のチェックボックスにチェックを入れます。これにより、ユーザーが wheel グループに追加され、このアカウントが追加設定なしで sudo を使用できるようになります。
      5. 完了 をクリックし設定 画面に戻ります。
    3. インストールが完了するまで待ってから、Reboot をクリックします。
  10. インストール済みシステムが起動したら、以下の手順を実行します。
    • Server with GUI ベース環境を使用してサーバーをインストールした場合は、初期設定 アプリケーションが 自動的に起動します。
      1. ライセンス同意書に同意します。
      2. システムを登録します。
      詳細は 30章初期設定 (Initial Setup) を参照してください。
    • インストール中にその他のベース環境を選択した場合は、以下を実行します。
      1. root ユーザーとしてシステムにログインします。
      2. システムを登録し、サブスクリプションを自動的にアタッチします。
        # subscription-manager register --auto-attach \
        --username=user_name --password=password

4.2. 自動インストール

本セクションでは、インストール USB ドライブにキックスタートファイルを追加して、Red Hat Enterprise Linux を自動でインストールして登録する方法について説明します。以下の手順を使用すると、複数のマシンに Red Hat Enterprise Linux をデプロイできます。
USB 起動メディアの生成
  1. キックスタートファイルにインストールを記録します。
    1. Red Hat Enterprise Linux を手動で一度インストールします。詳細は 「対話型インストール」 を参照してください。
    2. インストールされたシステムを起動します。インストール時に、Anaconda/root/anaconda-ks.cfg ファイルの設定を含むキックスタートファイルを作成しました。
  2. Red Hat Enterprise Linux インストール DVD ISO ファイルを /tmp/ ディレクトリーにダウンロードします。
  3. インストール ISO ファイルを /mnt/ ディレクトリーにマウントします。以下に例を示します。
    # mount -o loop /tmp/rhel-server-7.3-x86_64-dvd.iso /mnt/
  4. 作業ディレクトリーを作成し、そのディレクトリーに DVD コンテンツをコピーします。以下に例を示します。
    # mkdir /root/rhel-install/
    # shopt -s dotglob
    # cp -avRf /mnt/* /root/rhel-install/
  5. ISO ファイルをアンマウントします。
    # umount /mnt/
  6. インストール中に生成されたキックスタートファイルを作業ディレクトリーにコピーします。
    # cp /root/anaconda-ks.cfg /root/rhel-install/
  7. インストール後に Red Hat Enterprise Linux を自動的に登録し、サブスクリプションをアタッチするには、以下を /root/rhel-install/anaconda-ks.cfg ファイルに追加します。
    %post
    subscription-manager register --auto-attach --username=user_name --password=password
    %end
  8. インストール DVD ボリューム名を表示させます。
    # isoinfo -d -i rhel-server-7.3-x86_64-dvd.iso | grep "Volume id" | \
    sed -e 's/Volume id: //' -e 's/ /\\x20/g'
    RHEL-7.3\x20Server.x86_64
  9. キックスタートファイルを使用するブート /root/rhel-install/isolinux/isolinux.cfg ファイルに新しいメニューエントリーを追加します。以下に例を示します。
    #######################################
    label kickstart
    menu label ^Kickstart Installation of RHEL7.3
    kernel vmlinuz
    
    append initrd=initrd.img inst.stage2=hd:LABEL=RHEL-7.3\x20Server.x86_64 inst.ks=hd:LABEL=RHEL-7.3\x20Server.x86_64:/anaconda-ks.cfg
    #######################################
    注記
    inst.stage2=hd:LABEL= オプションおよび inst.ks=hd:LABEL= オプションは、直前の手順で取得した DVD ボリューム名に設定します。
  10. 作業ディレクトリーから /root/rhel-ks.iso ファイルを作成する前に、USB UEFI ブートまたは CDROM UEFI ブート に対して以下の手順を実行します。
    • USB UEFI boot については、以下の手順に従います。
      1. ボリュームをマウントします。
        # mount /root/rhel-install/images/efiboot.img /mnt/
      2. /mnt/EFI/BOOT/grub.cfg ファイルを編集します。
      3. 新しいメニューエントリーを追加します。
        #######################################
        'Kickstart Installation of RHEL-7.3' --class fedora --class gnu-linux --class gnu --class os {
                linuxefi /images/pxeboot/vmlinuz inst.stage2=hd:LABEL=RHEL-7.3\x20Server.x86_64 inst.ks=hd:LABEL=RHEL-7.3\x20Server.x86_64:/anaconda-ks.cfg
                initrdefi /images/pxeboot/initrd.img
        }
        #######################################
      4. ボリュームをアンマウントします。
         # umount /mnt
    • CDROM UEFI boot については、以下の手順に従います。
      1. /root/rhel-install/EFI/BOOT/grub.cfg ファイルを編集します。
      2. 新しいメニューエントリーをファイルに追加します。
        #######################################
        'Kickstart Installation of RHEL-7.3' --class fedora --class gnu-linux --class gnu --class os {
                linuxefi /images/pxeboot/vmlinuz inst.stage2=hd:LABEL=RHEL-7.3\x20Server.x86_64 inst.ks=hd:LABEL=RHEL-7.3\x20Server.x86_64:/anaconda-ks.cfg
                initrdefi /images/pxeboot/initrd.img
        }
        #######################################
  11. 作業ディレクトリーから /root/rhel-ks.iso ファイルを作成します。
    # mkisofs -untranslated-filenames -volid "RHEL-7.3 Server.x86_64" -J -joliet-long -rational-rock -translation-table -input-charset utf-8 -b isolinux/isolinux.bin -c isolinux/boot.cat -no-emul-boot -boot-load-size 4 -boot-info-table -eltorito-alt-boot -e images/efiboot.img -no-emul-boot -o /root/rhel-ks.iso -graft-points /root/rhel-install/
    注記
    -V オプションを、前のステップで取得した DVD ボリューム名に設定し、文字列の \x20 をスペースに置き換えます。
  12. mkisofs コマンドで作成した ISO イメージをブート可能にします。
    # isohybrid --uefi /root/rhel-ks.iso
  13. インストール USB ドライブを作成します。詳細は 「Linux での USB インストールメディアの作成」 を参照してください。
キックスタートファイルを使用した Red Hat Enterprise Linux のインストール
  1. インストール USB ドライブを起動します。7章64 ビット AMD、Intel、および ARM システムでのインストールの起動 を参照してください。
  2. 「自動インストール」 で作成したキックスタート設定でエントリーを選択します。

第5章 64 ビット AMD、Intel、および ARM システムへのインストールプラン

本章では、インストールする上で決定しておく必要のある各種の事項について説明しています。

5.1. アップグレードまたはインストールの選択

現在のシステムを Red Hat Enterprise Linux の次のメジャーバージョンにアップグレードする方法は 2 通りあります。以下の説明をよくお読みの上、ご使用のシステムに適した方法をご利用ください。
クリーンインストール
クリーンインストールとは、システムの全データのバックアップ、ディスクパーティションのフォーマット化、インストールメディアからの Red Hat Enterprise Linux のインストール、最後にユーザーのデータ復元の順で行う方法です。
注記
これは、Red Hat Enterprise Linux のメジャーバージョン間でアップグレードを行う場合は、この方法を推奨しています。
インプレースアップグレード
インプレースアップグレードとは、旧バージョンを残したままシステムをアップグレードする方法です。ご使用のシステムで使用できる移行ユーティリティーをインストールして、他のソフトウェアと同様に稼働させておく必要があります。Red Hat Enterprise Linux では、Preupgrade Assistant は現在のシステムを評価し、アップグレード中またはアップグレード後に発生する可能性のある問題を特定します。また、システムに対し若干の修正および変更も行われます。Red Hat Upgrade Tool ユーティリティーはパッケージをダウンロードし、実際のアップグレードを実行します。インプレースアップグレードにはかなりのトラブルシューティングやプラニングが必要になるため、ほかに選択がない場合に限り使用するようにしてください。Preupgrade Assistant の詳細は、29章現在のシステムのアップグレード を参照してください。
警告
システムのクローンとなるバックアップコピーでのテストを行わないまま実稼働中のシステムにインプレースアップグレードを適用することは絶対に避けてください。

5.2. ハードウェアの互換性について

Red Hat Enterprise Linux 7 は、過去 2 年以内に出荷された大半のハードウェアと互換性があります。ハードウェアの互換性は、古いシステムをお使いの場合やシステムをカスタマイズした場合にとりわけ重要になります。ハードウェアの仕様はほぼ毎日変更されるため、すべてのシステムの互換性を確認することが推奨されます。
対応しているハードウェアの最新一覧は、https://access.redhat.com/ecosystem/search/#/category/Server にある 『Red Hat Hardware Compatibility List』 で確認できます。システム要件の一般的な情報については、Red Hat Enterprise Linux テクノロジーの機能と制限も参照してください。

5.3. インストール先として対応しているターゲット

インストールターゲットは、Red Hat Enterprise Linux を格納し、システムを起動するストレージデバイスです。Red Hat Enterprise Linux は、AMD、Intel および ARM のシステムの以下のインストールターゲットに対応しています。
  • SCSI、SATA、SAS などの標準的な内部インターフェイスで接続するストレージ
  • BIOS/ファームウェアの RAID デバイス
  • nd_pmem ドライバーで対応している Intel64 および AMD64 アーキテクチャー上のセクターモードの NVDIMM デバイス。
  • ファイバーチャネルのホストバスアダプターおよびマルチパスのデバイス。製造元が提供しているドライバーが必要な場合があります。
  • Xen 仮想マシンの Intel のプロセッサーの Xen ブロックデバイス
  • KVM 仮想マシンの Intel のプロセッサーの VirtIO ブロックデバイス
Red Hat では USB ドライブや SD メモリーカードへのインストールはサポートしていません。サードパーティーによる仮想化技術のサポートについては、https://hardware.redhat.com でオンラインの『Red Hat Hardware Compatibility List』 (Red Hat ハードウェア互換性一覧) を参照してください。

5.4. システム仕様一覧

インストールプログラムは自動的にコンピューターのハードウェアを検出してインストールするため、通常はシステムに関する詳細を入力する必要はありません。ただし、特定のタイプのインストールを実行する際には、ハードウェアの詳細を把握しておくことが重要です。このため、インストールのタイプにより、インストールに備えて以下のようなシステムの仕様を記録しておくことをお勧めします。
  • パーティションのレイアウトをカスタマイズする予定の場合は、以下の詳細をメモしておきます。
    • システムに接続されているハードドライブのモデル番号、サイズ、種類、およびインタフェース。たとえば、SATA0 上には Seagate 製 ST3320613AS (320 GB)、SATA1 上には Western Digital WD7500AAKS (750 GB) です。こうすることで、パーティション設定の段階で該当するハードドライブが識別できるようになります。
  • Red Hat Enterprise Linux を既存のシステム上に追加のオペレーティングシステムとしてインストールしている場合は、以下を記録しておきます。
    • システムで使用するパーティションについての情報。これには、ファイルシステムのタイプ、デバイスのノード名、ファイルシステムのラベル、およびサイズが含まれます。これにより、パーティション設定のプロセス中に特定のパーティションを識別できるようになります。オペレーティングシステムによってパーティションとドライブの特定方法は異なることから、別のオペレーティングシステムが Unix であったとしても、Red Hat Enterprise Linux は異なるデバイス名でレポートする可能性があることに留意してください。この情報は、通常 mount コマンドおよび blkid コマンドを実行して確認でき、/etc/fstab ファイルにあります。
      すでに他のオペレーティングシステムをインストールしている場合、Red Hat Enterprise Linux 7 のインストールプログラムはそのオペレーティングシステムを自動検出して起動するよう設定します。他のオペレーティングシステムが正しく検出されない場合は手作業で設定できます。詳細は、「ブートローダーのインストール」 を参照してください。
  • ローカルのハードドライブ上にあるイメージからのインストールを予定している場合は、以下をメモしておきます。
    • 該当のイメージを格納しているハードドライブとディレクトリー
  • ネットワーク上の場所からのインストールを予定している場合は、以下をメモしておきます。
    • システム上のネットワークアダプターの製造元とモデル番号 (たとえば、Netgear 社製の GA311 など)。ネットワークを手動で設定する場合にアダプターを特定できるようになります。
    • IP、DHCP、および BOOTP のアドレス
    • ネットマスク
    • ゲートウェイの IP アドレス
    • 1 つ以上のネームサーバーの IP アドレス (DNS)
    • FTP サーバー、HTTP (web) サーバー、HTTPS (web) サーバー、または NFS サーバー上にあるインストールソースの場所
    上記のネットワークに関する要件や用語が不明な場合は、ネットワーク管理者にお問い合わせください。
  • iSCSI ターゲットにインストールを予定している場合は、以下をメモしておきます。
    • iSCSI ターゲットの場所ネットワークによっては、CHAP ユーザー名とパスワードと、リバース CHAP ユーザー名とパスワードが必要になる場合があります。
  • 使用コンピューターがドメインの一部である場合は、以下をメモしておきます。
    • ドメイン名が DHCP サーバーにより提供されることを確認してください。提供されない場合は、インストール中にドメイン名を手動で入力する必要があります。

5.5. ディスク領域およびメモリーに関する要件

Red Hat Enterprise Linux など、最近のオペレーティングシステムは ディスクパーティション を使用します。Red Hat Enterprise Linux をインストールする場合は、ディスクパーティションを操作する必要がある場合があります。詳細は、付録A ディスクパーティションの概要 を参照してください。
お使いのシステム上に別のオペレーティングシステムがインストールされている場合は、そのオペレーティングシステムが使用するディスク領域は、 Red Hat Enterprise Linux が使用するものとは別にする必要があります。
注記
AMD64/Intel 64 および ARM システムの場合は、少なくとも 2 つのパーティション(/ および swap)を Red Hat Enterprise Linux 専用にする必要があります。
Red Hat Enterprise Linux をインストールするには、パーティションが分割されていないディスク領域か、削除できるパーティション内に、最低 10 GiB の容量が必要です。パーティションおよびディスク領域の推奨事項については、「推奨されるパーティション設定スキーム」 で説明している推奨のパーティション設定サイズを参照してください。
Red Hat Enterprise Linux には、少なくとも以下のメモリー容量が必要です。
インストールタイプ 必要最小限の RAM サイズ
ローカルメディアによるインストール (USB, DVD) 768 MiB
NFS ネットワークインストール 768 MiB
HTTP、HTTPS、または FTP ネットワークインストール 1.5 GiB
注記
本セクションに記載した値より少ないメモリーでも、インストールを実施することは可能です。ただし、正確な要件は、環境や実際のインストールパスに大きく依存し、新しいリリースごとでも変わります。したがって、特定のユースケースに必要な最小限の RAM を正確に把握するためには、さまざまな設定でテストを行い、新しいリリースごとに定期的に再テストする必要があります。
キックスタートファイルを使用して Red Hat Enterprise Linux をインストールする場合には、手動インストールと同じ最小メモリー要件があります。ただし、使用するキックスタートファイルで、新たなメモリーを必要とするコマンドやデータを RAM ディスクに書き込むコマンドを実行する場合は、追加の RAM が必要になることもあります。
Red Hat Enterprise Linux 7 の最小要件および技術的制限については、Red Hat カスタマーポータルのRed Hat Enterprise Linux technology capabilities and limitsの記事を参照してください。

5.6. RAID と他のディスクデバイス

Red Hat Enterprise Linux の使用時に、特別な注意を必要とするストレージ技術があります。一般的には、こうした技術の設定方法、Red Hat Enterprise Linux からの可視性、またこのストレージ技術に対するサポートのメジャーバージョン間での変更などを理解することが重要になります。

5.6.1. ハードウェア RAID

RAID (Redundant Array of Independent Disks) を使用すると、複数のドライブで設定される 1 つのグループまたはアレイを単一のデバイスとして動作させることができます。インストールを開始する前に、コンピューターのメインボードで提供される RAID 機能をすべて設定するか、またはコントローラーカードを接続しておいてください。アクティブな RAID アレイは、それぞれ Red Hat Enterprise Linux 内で 1 つのドライブとして表示されます。

5.6.2. ソフトウェア RAID

システムに複数のハードドライブが搭載されている場合は、Red Hat Enterprise Linux インストールプログラムを使用して、複数のドライブを 1 つの Linux ソフトウェア RAID アレイとして動作させることができます。ソフトウェア RAID アレイを使用すると、RAID 機能は専用のハードウェアではなく、オペレーティングシステムによって制御されることになります。機能の詳細は「手動パーティション設定」で説明しています。
注記
以前から存在している RAID アレイのメンバーデバイスがすべてパーティション設定されていないディスクまたはドライブの場合、インストーラーはアレイ自体をディスクとして扱い、アレイを削除する方法は提供しません。

5.6.3. USB ディスク

インストール後に外付け USB ストレージを接続して設定できます。こうしたデバイスのほとんどはカーネルでの認識後に使用できるようになります。
一部の USB ドライブはインストールプログラムで認識されないことがあります。インストール時にこのような USB ドライブの設定がどうしても必要な場合以外、問題が発生するのを避けるため取り外しておいてください。

5.6.4. NVDIMM デバイス

不揮発性デュアルインラインメモリーモジュール (NVDIMM) デバイスをストレージとして使用するには、次の条件を満たす必要があります。
  • Red Hat Enterprise Linux のバージョンが 7.6 以降である。
  • システムのアーキテクチャーが Intel 64 または AMD64 である。
  • デバイスが、セクターモードに設定されている。Anaconda で、NVDIMM デバイスをこのモードに再設定できます。
  • nd_pmem ドライバーがデバイスをサポートしている。
さらに以下の条件が満たされる場合には、NVDIMM デバイスからの起動が可能です。
  • システムが UEFI を使用している。
  • システムで使用可能なファームウェアまたは UEFI ドライバーがデバイスをサポートしている。UEFI ドライバーは、デバイス自体のオプション ROM から読み込むことができます。
  • デバイスが名前空間で利用可能である。
ブート中に高性能な NVDIMM デバイスを利用するには、/boot ディレクトリーおよび /boot /efi ディレクトリーをデバイスに配置します。詳細は、「手動パーティション設定」 を参照してください。起動時には NVDIMM デバイスの Execute-in-place (XIP) 機能はサポートされません。カーネルは従来どおりメモリーに読み込まれる点に注意してください。

5.6.5. Intel の BIOS RAID に関する注意点

Red Hat Enterprise Linux 7 は、Intel BIOS RAID セットへのインストールに mdraid を使用します。BIOS RAID セットは起動プロセスで自動検出されるため、デバイスノードパスが起動するたびに変わる可能性があります。このため、/etc/fstab/etc/crypttab、またはデバイスノードパスでデバイスを参照するその他の設定ファイルにローカルな変更を加えると、Red Hat Enterprise Linux 7 では機能しない可能性があります。したがって、デバイスノードパス( /dev/sdaなど)を、ファイルシステムのラベルまたはデバイスの UUID に置き換える必要があります。ファイルシステムラベルとデバイスの UUID は、blkid コマンドを使用すると確認できます。

5.6.6. Intel BIOS iSCSI Remote Boot に関する注意点

Intel iSCSI Remote Boot を使用してインストールする場合は、接続されているすべての iSCSI ストレージデバイスを無効にする必要があります。無効にしないとインストールは成功しますが、インストールしたシステムが起動しなくなります。

5.7. インストーラーの起動方法の選択

各種方法で、Red Hat Enterprise Linux 7 インストールプログラムを起動できます。インストールメディアにより選択する方法が異なります。
DVD や USB フラッシュドライブなどのリムーバブルメディアからの起動を可能にするため、ご使用のシステムのファームウェア (UEFI の BIOS) の設定を変更する必要がある可能性があります。詳細は 「物理メディアからの起動」 を参照してください。
注記
インストールメディアは、キックスタートファイルの %post セクションの実行時になど、インストール全体で引き続きマウントされる必要があります。
完全インストール DVD または USB ドライブ
完全インストール DVD または ISO イメージから起動メディアを作成できます。この場合には、DVD または USB ドライブ は、起動デバイスとソフトウェアパッケージのインストールソース両方のロールを果たすため、このドライブ 1 つでインストールをすべて完了できます。完全インストール向けに DVD または USB ドライブの作成方法については3章メディアの作成を参照してください。
最小限の起動 CD、DVD または USB フラッシュドライブ
最小限のブート CD、DVD、または USB フラッシュドライブは、システムの起動とインストールの開始に必要なデータだけが含まれる、小さい ISO イメージを使用して作成されます。この起動メディアを使用する場合には、パッケージをインストールする追加のインストールソースが必要になります。ブート CD、DVD、および USB フラッシュドライブを作成する方法は、「USB インストールメディアの作成」 を参照してください。
PXE サーバー
PXE (preboot execution environment) サーバーを使用すると、インストールプログラムをネットワーク経由で起動させることができます。システムを起動したら、ローカルのハードドライブやネットワーク上の場所など、別途用意したインストールソースを使ってインストールを完了させます。PXE サーバーの詳細は24章ネットワークからのインストールの準備を参照してください。

5.8. キックスタートを使用したインストールの自動化

Red Hat Enterprise Linux 7 では、キックスタートファイル を使用してインストールプロセスを部分的または完全に自動化する方法を提供します。キックスタートファイルには、システムで使用するタイムゾーン、ドライブのパーティション設定、インストールするパッケージなど、通常、インストールプログラムで入力が求められる質問すべてに対する答えが含まれています。このため、インストール開始時にキックスタートファイルが用意されていると、ユーザーによる作業をを必要とせずに、すべてまたは一部を自動インストールできるようになります。これは、Red Hat Enterprise Linux を多数のシステムに一度にデプロイする場合などに特に便利です。
インストールを自動化する以外にも、キックスタートファイルを使用すると、ソフトウェア選択の幅を広げることができます。グラフィカルインストールインターフェイスで Red Hat Enterprise Linux を手動でインストールする場合には、ソフトウェアの選択肢は、事前定義されている環境とアドオンに限定されます。キックスタートファイルを使用すると、パッケージを個別にインストールしたり、除外したりできます。
キックスタートファイルを作成してインストールを自動化する方法は、27章キックスタートを使ったインストール を参照してください。

5.9. UEFI セキュアブートによるベータリリースの使用

注記
本セクションでは、Red Hat Enterprise Linux 7 のベータリリースについてのみ 説明します。
UEFI セキュアブートのテクノロジーでは、オペレーティングシステムのカーネルが起動可能となるには、認識済みの秘密鍵で署名されている必要があります。Red Hat Enterprise Linux 7 のベータリリースではすべて、カーネルは Red Hat Beta 固有の秘密鍵で署名されています。これはベータ以外の一般公開リリースのカーネル署名に使用されている一般的な Red Hat 鍵とは異なるものです。
ベータの秘密鍵はハードウェアが認識しない可能性が高いので、Red Hat Enterprise Linux 7 のベータリリースが起動できないことになります。UEFI セキュアブートを有効にしてベータリリースを使用するには、Machine Owner Key (MOK) 機能を使用してシステムに Red Hat ベータ公開鍵を追加する必要があります。
Red Hat ベータの鍵は以下の手順でシステムに追加します。

手順5.1 UEFI セキュアブート用のカスタム秘密鍵の追加

  1. まず、システムで UEFI セキュアブートを無効にし、通常どおりに Red Hat Enterprise Linux 7 をインストールします。
  2. インストールが完了したら、システムを再起動します。セキュアブートはこの時点ではまだ無効にしていてください。システムを再起動してログインし、該当する場合は 30章初期設定 (Initial Setup) に記載どおりに、初期設定画面に移動します。
  3. 初回起動が完了して初期設定を行った後に、まだインストールされていない場合は kernel-doc パッケージをインストールします。
    # yum install kernel-doc
    このパッケージは、/usr/share/doc/kernel-keys/ kernel-version /kernel-signing-ca.cer にある Red Hat CA 公開鍵を含む証明書ファイルを提供します。kernel-version は、プラットフォームアーキテクチャーの接尾辞のないカーネルバージョンの文字列です(例: 3.10.0-686.el7 )。
  4. 以下のコマンドを実行し、公開鍵をシステムの Machine Owner Key (MOK) リストに登録します。
    # kr=$(uname -r)
    # mokutil --import /usr/share/doc/kernel-keys/${kr%.$(uname -p)}/kernel-signing-ca.cer
    プロンプトが表示されたら、任意のパスワードを入力します。
    注記
    パスワードは忘れないようにしてください。この手順の完了に必要となる上、インポートされた鍵が不要になった場合に、その削除に必要となります。
  5. もう一度システムを再起動します。起動中に、保留となっていた鍵の登録要求を完了させるかどうか聞かれます。yes を選択し、前の手順で mokutil コマンドを使用して設定したパスワードを入力します。パスワードを入力するとシステムがもう一度再起動し、鍵がシステムのファームウェアにインポートされます。今回の再起動またはこれ以降の再起動時に、セキュアブートを有効にできます。
警告
インポートしたベータ公開鍵が不要になったら、これを削除します。
最新 (一般公開) リリースの Red Hat Enterprise Linux 7 または異なるオペレーティングシステムをインストールする場合は、インポートした鍵を削除してください。この公開鍵をインポートした だけ の場合は、以下のコマンドで MOK をリセットできます。
# mokutil --reset
次回の再起動後に、ファームウェアにより削除の確認および鍵のインポート時に作成したパスワードが求められます。正しいパスワードを入力すると MOK から鍵が削除され、システムは元の状態に復元されます。

第6章 AMD64 および Intel 64 システムへのインストール中におけるドライバー更新

ほとんどの場合、Red Hat Enterprise Linux にはシステムを設定するデバイスのドライバーがすでに含まれています。しかし、かなり最近にリリースされたハードウェアが搭載されている場合、そのハードウェア用のドライバーはまだ含まれていない可能性があります。新しいデバイスのサポートを提供するドライバー更新は Red Hat やハードウェアの製造元から、RPM パッケージ が含まれる ドライバーディスク の形で入手することができる場合があります。通常、ドライバーディスクは ISO イメージファイル としてダウンロードできます。
重要
ドライバーの更新は、そのドライバーがないとインストールを正常に完了できない場合に限定してください。常に、カーネルに含まれるドライバーを、他の方法で提供されるドライバーよりも優先させてください。
インストールプロセス中に新しいハードウェアが必要になることはほぼありません。たとえば、ローカルのハードドライブへのインストールに DVD を使用する場合は、ネットワークカード用のドライバーがなくてもインストールは成功します。このような場合、インストールを完了してから、新しいハードウェアのサポートを追加します。サポート追加に関する詳細は、Red Hat Enterprise Linux 7 システム管理者のガイド を参照してください。
他の状況では、インストールプロセスでデバイスのドライバーを追加して特定の設定に対応する必要がある場合があります。たとえば、ネットワークデバイス用のドライバーやストレージのアダプターカードなどをインストールして、インストールプログラムがシステムで使用するストレージデバイスにアクセスできるようにする場合などです。インストール中にこうしたサポートを追加するには、次のいずれかの方法でドライバーディスクを使用します。
  1. インストールプログラムがアクセスできる場所に直接ドライバーディスクの ISO イメージファイルを配置します (ローカルのハードドライブ、USB フラッシュドライブ、CD、DVD など)。
  2. イメージファイルからドライバーディスクを作成します (CD、DVD、USB フラッシュドライブなど)。ISO イメージファイルの CD/DVD への書き込み方法などについては「インストール CD または DVD の作成」 でインストールディスクの作り方を、USB ドライブへの書き込み方法に関しては 「USB インストールメディアの作成」 を参照してください。
Red Hat、ハードウェアの製造元、または信頼できるサードパーティーなどによってインストール中のドライバー更新が必要であることが明示されている場合には、本章で説明している方法の中から 1 つ選択し、検証してからインストールを実行するようにしてください。逆に、お使いのシステムでドライバーの更新が必要かどうかが不明な場合には、ドライバーは更新しないでください。システム上に対象外のドライバーが存在すると、サポートが複雑になる可能性があります。
警告
ドライバー更新ディスクは、必要に応じて競合するカーネルドライバーを無効にする場合があります。この方法でカーネルモジュールをアンロードすると、インストールエラーが発生することがあります。

6.1. インストール中にドライバーを更新する場合の制約

Secure Boot テクノロジーが有効になっている UEFI システムの場合、読み込むドライバーはすべて有効な証明書で署名されている必要があります。署名がないドライバーはシステムが拒否します。Red Hat が提供するすべてのドライバーは、Red Hat の秘密鍵のいずれかで署名され、カーネル内の対応する Red Hat 公開鍵によって認証されます。他のドライバー (Red Hat Enterprise Linux インストール DVD では提供していないドライバーなど) を読み込む場合は、署名されていることを確認してください。
カスタムドライバーの署名についてはRed Hat Enterprise Linux 7 システム管理者のガイドのカーネルモジュールでの作業の章をご覧ください。

6.2. インストール中にドライバーを更新するための準備

ハードウェア用のドライバー更新が必要で、その更新が利用可能になっている場合、通常、Red Hat やハードウェアの製造元など信頼できるサードパーティーから ISO 形式のイメージファイルが提供されます。ISO イメージを取得したら、ドライバー更新の実行に使用する方法を決める必要があります。
次のような方法があります。
ドライバーの自動更新
インストールを開始すると、Anaconda インストールプログラムは接続されているすべてのストレージデバイスの検出を試みます。インストールの開始時に OEMDRV というラベルの付いたストレージデバイスがある場合、Anaconda は常にドライバー更新ディスクとして扱い、そこに存在するドライバーを読み込みます。
アシスト付きのドライバー更新
インストールを開始するときに、inst.dd 起動オプションを指定できます。パラメーターを指定せずにこのオプションを使用すると、Anaconda はシステムに接続されているすべてのストレージデバイスの一覧を表示し、ドライバー更新を含むデバイスを選択するよう求められます。
手動によるドライバー更新
inst.dd=location 起動オプションは、インストールの開始時に指定しますが、location は、ドライバー更新ディスクまたは ISO イメージのパスになります。このオプションを指定すると、Anaconda は、指定した場所にあるドライバー更新を読み込もうとします。手動のドライバー更新では、ローカルで利用可能なストレージデバイスまたはネットワークの場所( HTTPHTTPS、または FTP サーバー)のいずれかを指定できます。
注記
inst.dd=locationinst.dd の両方を同時に使用することも可能です。ただし、この場合は Anaconda の機能は、使用する 場所 のタイプによって異なります。デバイスの場合、Anaconda は指定されたデバイスから更新するドライバーを選択するように要求し、追加のデバイスを提供します。location がネットワークの場所の場合、Anaconda はドライバー更新を含むデバイスを選択し、指定したネットワークの場所からドライバーを更新するよう要求します。
ドライバーの自動更新方法を使用する場合は、OEMDRV というラベルが付いたストレージデバイスを作成する必要があります。また、インストールシステムに物理的に接続されている必要があります。アシスト付き方法を使用するには、OEMDRV 以外の任意のラベルを使用して、任意のローカルストレージデバイスを使用できます。手動で行う場合は、別のラベルでローカルストレージを使用するか、インストールするシステムからアクセスが可能なネットワーク上の場所を使用することもできます。
重要
ネットワーク経由でドライバーの更新を読み込むときは、ip= オプションを使用してネットワークを初期化します。詳細は 「ブートメニューによるインストールシステムの設定」 を参照してください。

6.2.1. ドライバー更新用の ISO ファイルをローカルのストレージデバイスで使用するための準備

ハードドライブや USB フラッシュドライブなど、ローカルのストレージデバイスを使用して ISO ファイルを提供する場合は、デバイスに適切なラベルを付けることでインストールプログラムがデバイスを自動的に認識するようにできます。これができない場合に限り、以下のように手動でドライバー更新をインストールしてください。
  • インストールプログラムがドライバーディスクを自動的に認識できるようにするには、ストレージデバイスのボリュームラベルを OEMDRV にする必要があります。また、ISO イメージ自体をコピーするのではなく、その内容をストレージデバイスのルートディレクトリーに抽出します。「ドライバーの自動更新」 を参照してください。手動インストールの場合、OEMDRV というラベルの付いたデバイスからのドライバーのインストールが常に推奨され、推奨されることに注意してください。
  • 手動インストールでは、ストレージデバイスに ISO イメージを単一ファイルとしてコピーするだけです。ファイル名は便利ですが、ファイル名の拡張子は変更しないでください。これは .iso のままにします(例: dd.iso )。インストール時にドライバーの更新を手動で選択する方法は、「手動によるドライバー更新」 を参照してください。

6.2.2. ドライバー更新用 ISO ファイルを提供するディスク (CD または DVD) の準備

CD または DVD にドライバー更新用ディスクを作成することができます。イメージファイルをディスクへ書き込む方法は 「インストール CD または DVD の作成」 を参照してください。
ドライバー更新用ディスクの CD または DVD を作成したら、システムにディスクを挿入し、ファイルマネージャーで表示して、そのディスクが正常に作成されたか確認します。rhdd3 という名前のファイルが 1 つ表示されるはずです。これは、ドライバーディスクの説明が含まれる署名ファイルと、rpms という名前のディレクトリーです。このディレクトリーには、さまざまなアーキテクチャー用のドライバーを持つ RPM パッケージが含まれます。
末尾が .iso のファイルが 1 つしかない場合は、ディスクが正しく作成されていないため、再試行する必要があります。GNOME 以外の Linux デスクトップを使用する場合、また は別のオペレーティングシステムを使用している場合は、イメージ の書き込み のようなオプションを選択してください。

6.3. インストール中のドライバー更新

インストールプロセスの冒頭で、以下のいずれかの方法でドライバーを更新します。
  • ドライバー更新の検出と実行をインストールプログラムで自動的に行う
  • ドライバー更新の検索プロンプトをインストールプログラムが表示する
  • ドライバー更新用のイメージまたは RPM パッケージへのパスを手動で指定する
重要
ドライバー更新ディスクは、必ず標準のディスクパーティションに配置してください。ドライバー更新を行うインストールの初期段階では、RAID や LVM ボリュームなどの高度なストレージにはアクセスできない場合があります。

6.3.1. ドライバーの自動更新

インストールプログラムがドライバー更新ディスクを自動的に認識させるには、インストールプロセスを開始する前に、OEMDRV ボリュームラベルの付いたブロックデバイスをコンピューターに接続します。
注記
Red Hat Enterprise Linux 7.2 以降では、OEMDRV ブロックデバイスを使用して、キックスタートファイルを自動的に読み込むこともできます。このファイルは ks.cfg という名前にし、読み込むデバイスのルートに置く必要があります。キックスタートインストールの詳細は、27章キックスタートを使ったインストール を参照してください。
インストールが開始すると、インストールプログラムはシステムに接続している全ストレージを検出します。OEMDRV というラベルが付いたストレージデバイスが見つかると、ドライバー更新ディスクとして扱われ、このデバイスからドライバーの更新を読み込もうとします。読み込むドライバーの選択を求めるプロンプトが表示されます。

図6.1 ドライバーの選択

ドライバーの選択
数字キーを使ってドライバー間を移動します。準備ができたら、c を押して選択したドライバーをインストールし、Anaconda グラフィカルユーザーインターフェイスに進みます。

6.3.2. アシスト付きのドライバー更新

インストール時にドライバーをインストールするのに、常に OEMDRV ボリュームラベルが付いたブロックデバイスを使用することが推奨されます。ただし、そのようなデバイスが検出されず、inst.dd オプションが起動コマンドラインに指定されている場合には、インストールプログラムは対話モードでドライバーディスクを検索できます。最初のステップでは、Anaconda が ISO ファイルをスキャンするローカルのディスクパーティションをリストから選択します。次に、検出された ISO ファイルの中から更新用のファイルを選択します。最後にドライバーを選択します (複数可)。以下の図では、テキストユーザーインターフェイスでこのプロセスを強調表示しています。

図6.2 対話式のドライバー選択

対話式のドライバー選択
注記
ISO イメージファイルを抽出して CD または DVD に書き込んだが、メディアに OEMDRV ボリュームラベルがない場合は、引数なしで inst.dd オプションを使用してデバイスを選択するか、インストールプログラムに以下の起動オプションを使用してメディアをスキャンしてドライバーを探します。
inst.dd=/dev/sr0
数字キーでドライバー間を移動します。準備ができたら、c を押して選択したドライバーをインストールし、Anaconda グラフィカルユーザーインターフェイスに進みます。

6.3.3. 手動によるドライバー更新

手動でドライバーをインストールする場合は、ドライバーを格納する ISO イメージを USB フラッシュドライブや Web サーバーなどアクセスできる場所に配置し、コンピューターに接続しておきます。Welcome 画面で Tab を押して起動コマンドラインを表示し、それに inst.dd= の場所 を追加します。location は、ドライバー更新ディスクへのパスになります。

図6.3 ドライバー更新へのパスの指定

ドライバー更新へのパスの指定
通常、イメージファイルは Web サーバー (http://server.example.com/dd.iso など) または USB フラッシュドライブ (/dev/sdb1 など) に置きます。ドライバー更新を含む RPM パッケージ (http://server.example.com/dd.rpm など) を指定することもできます。
準備ができたら、Enter を押して起動コマンドを実行します。すると、選択したドライバーが読み込まれ、インストールプロセスが正常に進みます。

6.3.4. ブラックリストへのドライバーの登録

正常に動作しないドライバーが原因でインストール時にシステムを起動できない場合があります。このような場合、起動コマンドラインをカスタマイズしてそのドライバーを無効にすることができます (ブラックリストに登録する)。ブートメニューで Tab キーを押してブートコマンドラインを表示します。次に modprobe.blacklist=driver_name を追加します。driver_name の部分に無効にするドライバー名を入力します。以下に例を示します。
modprobe.blacklist=ahci
起動オプション modprobe.blacklist= を使用してインストール時にブラックリストに登録されたドライバーは、インストール済みシステムで無効になり、/etc/modprobe.d/anaconda-blacklist.conf ファイルに表示されることに注意してください。ドライバーをブラックリストに登録する方法とその他の起動オプションについては、23章起動オプションを参照してください。

第7章 64 ビット AMD、Intel、および ARM システムでのインストールの起動

Red Hat Enterprise Linux は、ハードディスクに保存されている ISO イメージから、または NFSFTPHTTP、または HTTPS メソッドを使用してネットワークからインストールできます。完全インストール用 DVD から起動してインストールする方法が最も簡単な方法になります。これ以外のインストール方法の場合、いくつか別途にセットアップが必要にはなりますが、それぞれ異なる利点があります。たとえば、Red Hat Enterprise Linux を大量のマシンに同時にインストールする場合は、PXE サーバーから起動し、ネットワーク上の共有の場所に配置したソースからのインストールが最適な方法になります。
以下の表では、メディアごとに使用できる起動方法と推奨インストール方法について要約しています。
表7.1 起動方法とインストールソース
起動方法 インストールソース
完全インストール用メディア (DVD または USB) インストールも起動した完全インストール用メディア自体を使用します
最小限の起動メディア (CD または USB) インストールは、ネットワーク上もしくはハードドライブ上に配置しておいた完全インストール用 DVD ISO イメージ、またはこのイメージから抽出したインストールツリーを使用します
ネットワーク起動 (PXE) インストールは、ネットワーク上に配置しておいた完全インストール用 DVD ISO イメージ、またはこのイメージから抽出したインストールツリーを使用します
起動用 CD-ROM の作成方法、起動またはインストール用 USB フラッシュドライブの準備などについて 「USB インストールメディアの作成」 を参照してください。
本章では、以下のトピックについて説明します。

7.1. インストールプログラムの起動

インストールプログラムを起動するには、まずインストールに必要なリソースがすべて揃っていることを確認します。5章64 ビット AMD、Intel、および ARM システムへのインストールプランの指示どおりに手順を実行している場合は、インストールの開始準備が整っているはずです。開始準備が整っていることを確認したら、Red Hat Enterprise Linux DVD または作成した起動メディアを使ってインストールプログラムを起動します。
重要
起動中にマウスを何回もクリックするなどの過剰な入力があると、インストーラーがインストールプロセスでキーボード入力を無視する原因になる場合があります。
注記
時折、インストール中に ドライバー更新 を必要とするハードウェアコンポーネントがあります。ドライバー更新により、インストールプログラムでは対応していないハードウェアに対応できるようになります。詳細は、6章AMD64 および Intel 64 システムへのインストール中におけるドライバー更新 を参照してください。

7.1.1. 物理メディアからの起動

Red Hat Enterprise Linux DVD、または最小限の起動メディアからインストールプログラムを起動するには、以下の手順に従います。

手順7.1 物理メディアからのインストールプログラムの起動

  1. インストールに必要のないドライブはすべて取り外します。詳細は、「USB ディスク」 を参照してください。
  2. コンピューターシステムの電源を入れます。
  3. コンピューターにメディアを挿入します。
  4. 起動メディアが挿入された状態でコンピューターの電源をオフにします。
  5. コンピューターシステムの電源を入れます。メディアから起動するため特定のキーやキーの組み合わせを押さなければならなかったり、メディアから起動するようシステムの BIOS (Basic Input/Output System) を設定しなければならない場合があります。詳細は、システムに同梱されているドキュメントをご覧ください。
しばらくすると、各種の起動オプションの詳細が記載された起動画面が表示されます。最初の 1 分以内に操作を行わない場合には、インストールプログラムが自動的に開始されます。この画面に表示されるオプションの説明は、「ブートメニュー」 を参照してください。

7.1.2. PXE を使ったネットワークからの起動

起動方法 PXE、適切に設定された TFTP サーバー、および PXE に対応するコンピューターのネットワークインターフェイスが必要です。PXE サーバーの設定方法は 24章ネットワークからのインストールの準備 を参照してください。
ネットワークインターフェイスから起動するようコンピューターを設定します。このオプションは BIOS にあり、Network Boot または Boot Services のラベルが付けられる場合があります。また、正しいネットワークインターフェイスから最初に起動するよう BIOS が設定されていることを確認します。BIOS システムの中には、起動デバイスとしてネットワークインタフェースが指定されているにもかかわらず、PXE 規格に対応していないものがあります。詳細はハードウェアのドキュメントをご覧ください。PXE の起動を正しく有効にすると、他のメディアがなくても Red Hat Enterprise Linux インストールシステムを起動できます。
次の手順に従い PXE サーバーからインストールプログラムを起動します。Ethernet など物理的なネットワーク接続を使用する必要があるので注意してください。ワイヤレス接続では正しく動作しません。

手順7.2 PXE を使ってネットワークからインストールプログラムを起動する

  1. ネットワークケーブルが接続されていることを確認します。コンピューターの電源がオンになっていない場合でも、ネットワークソケットのリンクインジケーターのライトがオンになっているはずです。
  2. コンピューターのスイッチをオンにします。
  3. ハードウェアによって PXE サーバーに接続する前にネットワーク設定と診断情報が表示される場合があります。接続すると、PXE サーバーの設定に応じたメニューが表示されます。目的のオプションに該当する数字キーを押します。どのオプションを選択したらよいかわからない場合はサーバーの管理者に問い合わせてください。
これでインストールプログラムが正常に起動し、起動画面が表示されます。この画面には各種の起動オプションの詳細が表示されます。最初の 1 分以内に操作を行わない場合には、インストールプログラムが自動的に開始されます。この画面に表示されるオプションの説明は、「ブートメニュー」 を参照してください。

7.2. ブートメニュー

システムがブートメディアの読み込みを完了すると、GRUB2 (GRand Unified Bootloader、バージョン 2)を使用してブートメニューが表示されます。起動メニューには、インストールプログラムを起動する以外に、複数のオプションがあります。60 秒以内に何のキーも押さなければデフォルトの起動オプションが実行されます (白色で強調表示されているオプション)。デフォルトを選択するには、タイマーがなくなるまで待機するか、Enter を押します。

図7.1 起動画面

起動画面
デフォルト以外のオプションを選択するには、キーボードの矢印キーを使用して、正しいオプションが強調表示されたら Enter を押します。
特定のメニューエントリーの起動オプションをカスタマイズするには、以下を実行します。
  • BIOS ベースのシステムでは、Tab キーを押してコマンドラインにカスタムの起動オプションを追加する方法が推奨されます。また、Esc キーを押して boot: プロンプトにアクセスすることもできますが、必要な起動オプションは事前設定されません。その場合は、その他の起動オプションを使用する前に、必ず linux オプションを指定する必要があります。
  • UEFI ベースのシステムの場合は e キーを押して、コマンドラインにカスタムの起動オプションを追加します。準備ができたら、Ctrl+X を押して変更されたオプションを起動します。
追加の起動オプションは 23章起動オプション を参照してください。
起動メニューのオプションは、以下のようになります。
Install Red Hat Enterprise Linux 7.0
グラフィカルなインストールプログラムを使用してコンピューターシステムに Red Hat Enterprise Linux をインストールする場合にはこの選択肢を実行します。
Test this media & install Red Hat Enterprise Linux 7.0
このオプションがデフォルトです。インストールプログラムを開始する前に、インストールメディアの整合性をチェックするユーティリティーが起動します。
Troubleshooting &gt ;
この項目は別のメニューとなっており、さまざまなインストールの問題を解決する場合に役立ちます。強調表示された場合は、Enter を押してその内容を表示します。

図7.2 トラブルシューティングメニュー

トラブルシューティングメニュー
Install Red Hat Enterprise Linux 7.0 in basic graphics mode
このオプションを使用すると、インストールプログラムがお使いのビデオカードに適したドライバーを読み込むことができない場合でも、グラフィカルモードで Red Hat Enterprise Linux をインストールできます。Install Red Hat Enterprise Linux 7.0 オプションの使用時に画面が廃止または空白になる場合は、コンピューターを再起動してこのオプションを試してください。
Rescue a Red Hat Enterprise Linux system
正常に起動できないインストール済みの Red Hat Enterprise Linux システムの問題を修復する場合にこのオプションを選択します。このレスキュー環境には、こうした多様な問題を修復するためのユーティリティープログラムが用意されています。
Run a memory test
システムでメモリーテストを実行するオプションです。詳細は、「メモリー (RAM) テストモードの読み込み」 を参照してください。
Boot from local drive
インストールが完了した 1 番目のディスクからシステムを起動するオプションです。誤ってインストールディスクから起動してしまった場合は、このオプションを使用するとインストールプログラムを起動させず直ちにハードディスクから起動できます。

第8章 Anaconda を使用したインストール

本章では、Anaconda インストーラーを使用して Red Hat Enterprise Linux をインストールする手順を説明します。本章の大部分では、グラフィカルユーザーインタフェースを使用したインストールを説明しています。グラフィカルディスプレイのないシステムではテキストモードが利用できますが、このモードは特定の機能 (カスタマイズのパーティション設定ができないなど) に制限があります。
お使いのシステムにグラフィカルモードを使用する機能がない場合は、以下が可能です。
  • 27章キックスタートを使ったインストール の説明に従って、キックスタートを使用してインストールを自動化する。
  • VNC (Virtual Network Computing) プロトコルを使用して、グラフィカルディスプレイのある別のコンピューターからインストールシステムにリモートで接続して、グラフィカルインストールを実行する。25章VNC の使用を参照してください。

8.1. Anaconda の概要

Red Hat Enterprise Linux インストーラーである Anaconda は、その並列性があるため、他のほとんどのオペレーティングシステムのインストールプログラムとは異なります。ほとんどのインストーラーは、最初に言語の選択、次にネットワークの設定、それからインストールタイプ、パーティション設定、といったように、決まったパスで進められます。ある時点ですすめる方向は通常、1 つのみです。
Anaconda では、最初に言語とロケールのみを選択するだけで、中央画面が表示され、任意の順序でインストールのほとんどの側面を設定できます。これはインストールのすべての部分に該当するわけではありません。たとえば、ネットワークからインストールする場合は、インストールするパッケージが選択可能となる前にネットワークを設定する必要があります。
お使いのハードウェアやインストールを開始するメディアタイプによっては、自動で設定される画面もいくつかあります。その場合でも、検出された設定は変更することが可能です。自動設定されず、インストール前にユーザーの作業が必要となる画面には、感嘆符が付いています。実際のインストールプロセスを開始するには、これらの設定を完了する必要があります。
中央の画面では、他にも違いがあります。特に、カスタムのパーティション設定プロセスは他の Linux ディストリビューションとは非常に異なります。これらの違いについては、各画面のサブセクションで説明します。

8.2. インストール中のコンソールとロギング

以下のセクションでは、インストール中にログと対話式のシェルにアクセスする方法を説明しています。これは問題解決に役立ちますが、ほとんどの場合では必要ないはずです。

8.2.1. コンソールへのアクセス

Red Hat Enterprise Linux インストーラーは、tmux ターミナルマルチプレクサーを使用して、メインインターフェイスに加えて使用できる複数のウィンドウを表示および制御します。これらのウィンドウはそれぞれ目的が異なるため、インストール中に問題のトラブルシューティングに使用できるいくつかの異なるログを表示します。ウィンドウの 1 つは、起動オプションまたはキックスタートコマンドを使用して明示的に無効になっていない限り、root 権限のある対話式シェルプロンプトを提供します。
注記
一般的に、インストール関連の問題を診断する必要がなければ、デフォルトのグラフィカルインストール環境から、他の環境に移動する必要はありません。
端末マルチプレクサーは、仮想コンソール 1 で実行しています。グラフィカルインストール環境から tmux に切り替えるには、Ctrl+Alt+F1 を押します。仮想コンソール 6 で実行されるメインのインストールインターフェイスに戻るには、Ctrl+Alt+F6 を押します。
注記
テキストモードのインストールを選択すると、仮想コンソール 1 (tmux)で起動し、コンソール 6 に切り替えると、グラフィカルインターフェイスではなくシェルプロンプトが開きます。
tmux を実行しているコンソールには、利用可能な画面が 5 つあります。その内容と、それらへのアクセスに使用するキーボードショートカットを以下の表に示します。キーボードショートカットは 2 部分であることに注意してください。まず Ctrl+b を押してから両方のキーを解放し、使用するウィンドウの番号キーを押します。
また、Ctrlb n b p を使用して、それぞれ次または前の tmux 画面に切り替えることもできます。
表8.1 利用可能な tmux ウィンドウ
ショートカット 内容
Ctrl+b 1 メインのインストールプログラム画面。テキストベースのプロンプト (テキストモードのインストール中もしくは VNC Direct モードを使用の場合) とデバッグ情報があります。
Ctrl+b 2 root 権限を持つインタラクティブなシェルプロンプト。
Ctrl+B 3 インストールログ - /tmp/anaconda.log に保存されているメッセージを表示します。
Ctrl+B 4 ストレージログ - /tmp/storage.log に保存されているカーネルおよびシステムサービスからのストレージデバイスに関連するメッセージを表示します。
Ctrl+B 5 プログラムログ - /tmp/program.log に保存されている他のシステムユーティリティーからのメッセージを表示します。
Anaconda は、tmux ウィンドウに診断情報を表示するだけでなく、インストールシステムから転送できるいくつかのログファイルも生成します。これらのログについては 表9.1「インストール中に生成されるログファイル」 を、インストールシステムからの転送方法は、9章64 ビット AMD、Intel、および ARM システムでのインストールに関連するトラブルシューティングを参照してください。

8.2.2. スクリーンショットの保存

グラフィカルインストール時に Shift+Print Screen を押すと、現在の画面をキャプチャできます。これらのスクリーンショットは、/tmp/anaconda-screenshots/ に保存されます。
また、キックスタートファイルで autostep --autoscreenshot コマンドを使用して、インストールの各ステップを自動的にキャプチャーし、保存することができます。詳細は 「キックスタートのコマンドとオプション」 を参照してください。

8.3. テキストモードでのインストール

テキストモードによるインストールでは、Red Hat Enterprise Linux のインストールに対話式で、グラフィカルではないインターフェイスを使用します。これはグラフィカル機能のないシステムでは便利ですが、テキストベースのインストールを開始する前に、常に利用可能な別の方法を検討してください。テキストモードでは、インストール中の選択肢の数に限りがあります。
重要
Red Hat では、Red Hat Enterprise Linux のインストールにはグラフィカルインターフェイスの使用を推奨します。グラフィカルな表示がないシステムに Red Hat Enterprise Linux をインストールする場合は、VNC 接続によるインストールを検討してください。25章VNC の使用 を参照してください。テキストモードでのインストールプログラムでは、VNC ベースのインストールが可能であることを検出すると、テキストモードでのインストールの確認を求めるプロンプトが表示されます。
システムにグラフィカルディスプレイがあるが、グラフィカルインストールが失敗する場合は、inst.xdriver=vesa オプションを使用して起動してみてください - を参照してください。23章起動オプション .
または、キックスタートを使ったインストールも検討してください。詳細は、27章キックスタートを使ったインストール を参照してください。

図8.1 テキストモードでのインストール

テキストモードでのインストール
テキストモードでのインストールは、グラフィカルインストールと同様のパターンになります。決まった 1 つの方法ではなく、メインのステータス画面を使用して多くの設定を好きな順序で設定することができます。自動またはユーザーによって設定済みの画面には x のマークが付けられ、インストールを開始する前に注意が必要な画面には ! のマークが付けられています。利用可能なコマンドは、利用可能なオプション一覧の下に表示されます。
注記
関連するバックグラウンドタスクが実行されている場合、特定のメニュー項目が一時的に利用できなくなったり、処理中... ラベルが表示されたりすることがあります。テキストメニュー項目の現在のステータスに更新するには、テキストモードプロンプトで r オプションを使用します。
テキストモード画面の下部には、5 つのメニューオプションを表示する緑色のバーがあります。これらのオプションは、tmux ターミナルマルチプレクサーのさまざまな画面を表します。デフォルトでは、画面 1 から開始し、キーボードショートカットを使用して、ログと対話型コマンドプロンプトを含む他の画面に切り替えることができます。利用可能な画面やそれらへの切り替えに使用するショートカットについては、「コンソールへのアクセス」 を参照してください。
対話式テキストモードでのインストールには以下のような制限があります。
  • インストーラーは常に言語には英語を、キーボードには US English のキーボードレイアウトを使用します。言語とキーボードレイアウトは設定可能ですが、これはインストールされるシステムに適用されるもので、インストール自体には適用されません。
  • 高度なストレージメソッド (LVM、software RAID、FCoE、zFCP、および iSCSI) の設定はできません。
  • カスタムのパーティション設定はできません。自動パーティション設定のいずれかを使用する必要があります。また、ブートローダーのインストール場所を設定することもできません。
  • インストールするパッケージアドオンを選択することはできません。Yum パッケージマネージャーを使用して、インストールが完了した後に追加する必要があります。
テキストモードのインストールを開始するには、起動メニューの起動コマンドラインまたは PXE サーバー設定で inst.text 起動オプションを使用してインストールを起動します。起動オプションの使用および起動に関する情報は、7章64 ビット AMD、Intel、および ARM システムでのインストールの起動 を参照してください。

8.4. グラフィカルユーザーインターフェイスでのインストール

Red Hat Enterprise Linux の手動でのインストールでは、グラフィカルインターフェイスが推奨の方法になります。カスタムのパーティション設定や高度なストレージ設定を含むすべての設定に対して完全な制御ができ、英語以外の多くの言語にローカライズされているので、インストール全体を別の言語で実行できます。ローカルメディア (CD、DVD または USB フラッシュドライブ) からシステムを起動すると、グラフィカルモードがデフォルトで使用されます。

図8.2 インストール概要 画面

インストール概要 画面
以下のセクションでは、インストールプロセスで使用可能な各画面について説明しています。インストーラーには並立的な性質があるため、ほとんどの画面は表示されている順序で完了する必要はないことに留意してください。
グラフィカルインターフェイスの各画面には、ヘルプ ボタンがあります。このボタンをクリックすると、Yelp ヘルプブラウザーが開き、現在の画面に関連する 『Red Hat Enterprise Linux インストールガイド』 のセクションが表示されます。
また、キーボードを使ってグラフィカルインストーラーを制御することもできます。以下の表では、利用可能なショートカットを示しています。
表8.2 グラフィカルインストーラーでのキーボードショートカット
ショートカットキー 用途
タブ+シフトタブ 表示画面上でアクティブな要素 (ボタン、チェックボックスなど) の間を移動します。
上下_ リストをスクロールします。
ツールバーとテーブルエントリーを左右にスクロールします。
スペースエンター 選択肢からハイライト表示したアイテムを選択または削除し、ドロップダウンメニューを展開、折りたたみます。
さらに、各画面の要素をそれぞれのショートカットで切り替えることもできます。これらのショートカットは、Alt キーを押したままにすると強調表示 (下線) されます。その要素を切り替えるには、Alt+X を押します。X ハイライトされた文字です。
使用中のキーボードレイアウトは、画面右上に表示されます。デフォルトでは、レイアウトは 1 つだけ設定されています。キーボードレイアウト 画面で複数のレイアウトを設定した場合 (「キーボードの設定」)、レイアウトインジケーターをクリックしてそれらを切り替えることができます。

8.5. ようこその画面と言語設定

インストールプログラムの最初の画面は 、Red Hat Enterprise Linux へようこそ 画面です。ここで、Anaconda が残りのインストールで使用する言語を選択します。この選択内容が、後に変更しない限り、インストール済みシステムのデフォルトになります。左側のパネルで、選択した言語 (英語 など) を選択します。次に、右側のパネルで地域固有のロケールを選択できます (例: English (United States))
注記
1 つの言語が一覧の上部に事前に設定されます。この時点でネットワークアクセスが設定されている場合 (たとえば、ローカルメディアではなくネットワークサーバーから起動した場合)、事前に選択された言語は、GeoIP モジュールを使用した自動位置検出に基づいて決定されます。
また、下図で示すように、検索ボックスに任意の言語を入力することもできます。
選択したら、続行 ボタンをクリックして、インストールの概要 画面に進みます。

図8.3 言語設定

言語設定
続行 ボタンをクリックすると、サポートされていないハードウェアダイアログが表示される場合があります。これは、カーネルがサポートしていないハードウェアを使用している場合に発生します。

8.6. インストールの概要画面

インストールの概要 画面は、インストールをセットアップするための中心的な場所です。

図8.4 インストール概要 画面

インストール概要 画面
Red Hat Enterprise Linux インストールプログラムでは、画面が次々と表示されるのではなく、ユーザーが選択する順番でインストールを設定できます。
マウスを使って、設定するインストールセクションのメニューアイテムを選択します。セクションの設定が完了したら、またはそのセクションを後で完了する場合は、画面の左上隅にある 完了 ボタンをクリックします。
警告シンボルのマークが付いたセクションのみが必須です。画面の下部の注で警告されているように、これらをインストールを開始する前に選択する必要があります。残りのセクションはオプションです。各セクションのタイトルの下には、現在の設定の概要が示されます。これを参考にして、該当セクションの設定が必要かどうかを決めることができます。
必要なセクションがすべて完了したら、インストールの開始 ボタンをクリックします。「インストールの開始」 も併せて参照してください。
インストールをキャンセルするには、終了 ボタンをクリックします。
注記
バックグラウンドで関連タスクが実行されている間は、特定のメニューアイテムが一時的に使用できなくなることがあります。
キックスタートオプションまたはブートコマンドラインオプションを使用してネットワーク上のインストールリポジトリーを指定したが、インストールの開始時にネットワークが利用できない場合、インストールプログラムはネットワーク接続を設定するための設定画面を表示します。インストールの概要 画面を表示する前に。

図8.5 ネットワークが検出されない場合のネットワーク設定画面

ネットワークが検出されない場合のネットワーク設定画面
インストール DVD もしくはローカルでアクセス可能なメディアからインストールするため、インストールの完了にネットワークアクセスは必要ないことが明らかな場合はこのステップを省略しても構いません。しかし、ネットワークインストール (「インストールソース」を参照) や高度なストレージデバイスの設定 (「ストレージデバイス」を参照) を行う場合にはネットワーク接続が必要になります。インストールプログラムでネットワークを設定する方法は、「ネットワークとホスト名」 を参照してください。

8.7. 日付と時刻

タイムゾーン、日付、およびオプションでネットワーク時間の設定を設定するには、インストールの概要 画面で 日付と時刻 を選択します。
タイムゾーンを選択するには、3 つの方法があります。
  • マウスを使って対話式マップをクリックして特定の都市を選択します。選択した都市を示す赤いピンが表示されます。
  • 画面上部の 地域都市の ドロップダウンメニューをスクロールして、タイムゾーンを選択することもできます。
  • 地域 ドロップダウンメニューの下部にある その他 を選択し、次のメニューで GMT/UTC に調整されたタイムゾーン (例: GMT+1) を選択します。
ご自分の都市が地図またはドロップダウンメニューに表示されない場合には、同じタイムゾーンの最も近い主要都市を選択してください。または、キックスタートファイルを使用することもできます。これにより、グラフィカルインターフェイスでは使用できない追加のタイムゾーンを指定できます。の timezone コマンドを参照してください。 timezone (必須) 詳細については。
注記
表示される都市や地域の一覧は Time Zone Database (tzdata) パブリックドメインのものを使用しています。このドメインは Internet Assigned Numbers Authority (IANA) で管理されています。Red Hat は、このデータベースに都市や地域を追加することはできません。詳細は、http://www.iana.org/time-zones の公式の Web サイトを参照してください。
システムクロックの精度を維持するために NTP (Network Time Protocol) を使用する予定であっても、タイムゾーンを指定してください。
ネットワークに接続している場合は、Network Time スイッチが有効になります。NTP を使用して日付と時刻を設定するには、Network Time スイッチを ON の 位置のままにし、設定アイコンをクリックして、Red Hat Enterprise Linux が使用する NTP サーバーを選択します。日付と時刻を手動で設定するには、スイッチを オフの 位置に動かします。システムクロックにより選択タイムゾーンに応じた正しい日付と時刻が画面下部に表示されるはずです。表示された時刻が正しくない場合は手動で調整してください。
インストール時に NTP サーバーが利用できない場合があります。このような場合はネットワーク時間を有効にしても自動設定は行われません。サーバーが利用できるようになると日付と時刻が更新されます。
選択したら、完了 をクリックして インストールの概要 画面に戻ります。
注記
インストールの完了後にタイムゾーンの設定を変更するには、設定 ダイアログウィンドウの 日付と時刻 セクションにアクセスします。

8.8. 言語サポート

追加のロケールおよび言語方言のサポートをインストールするには、インストールの概要 画面から 言語サポート を選択します。
インストールする追加の言語サポートをマウスで選びます。左側のパネルで、Español などの言語を選択します。次に、右側のパネルで地域固有のロケールを選択できます (例: Español (コスタリカ))。言語とロケールはどちらも複数選択が可能です。選択された言語は左側のパネルで太字で強調表示されます。

図8.6 言語サポートの設定

言語サポートの設定
選択が完了したら、完了 をクリックして インストールの概要 画面に戻ります。
注記
インストールの完了後に言語サポートの設定を変更するには、設定 ダイアログウィンドウの 地域と言語 セクションにアクセスしてください。

8.9. キーボードの設定

システムに複数のキーボードレイアウトを追加するには、インストールの概要 画面から キーボード を選択します。保存されたレイアウトは、インストールプログラムで即座に利用可能となり、画面右上に常時表示されるキーボードアイコンを使って切り替えることができます。
初めは、ようこその画面で選択された言語のみが左のペインにキーボードレイアウトとして表示されます。当初のレイアウトを置き換えたり、または新たなレイアウトを追加することができます。ただし、選択した言語が ASCII 文字を使用しない場合、暗号化されたディスクパーティションや root ユーザーのパスワードを正しく設定できるよう ASCII 文字を使用するキーボードレイアウトを追加する必要があります。

図8.7 キーボードの設定

キーボードの設定
追加のレイアウトを追加するには、+ ボタンをクリックしてリストから選択し、追加 をクリックします。レイアウトを削除するには、レイアウトを選択して - ボタンをクリックします。矢印ボタンを使ってレイアウトの優先順位を調整します。キーボードレイアウトの視覚的プレビューを表示するには、レイアウトを選択してからキーボードのボタンをクリックします。
レイアウトを試すには、マウスで右側のテキストボックス内をクリックします。テキストを入力してみて、選択した機能が正常に機能するか確認します。
追加したレイアウトを試す場合は、画面上部の言語セレクターをクリックしてそのレイアウトに切り替えます。ただし、レイアウト切り替え用のキーの組み合わせを設定しておくことが推奨されます。右側の オプション ボタンをクリックして レイアウト切り替えオプション ダイアログを開き、チェックボックスをオンにしてリストから組み合わせを選択します。組み合わせは オプション ボタンの上に表示されます。この組み合わせはインストール中およびインストール後のシステムの両方に適用されるため、インストール後に使用できるようここで組み合わせを設定しておく必要があります。また、レイアウトの切り替えには、複数の組み合わせを選択することもできます。
重要
ロシア 語などのラテン文字を受け入れることができないレイアウトを使用する場合、Red Hat は 英語 (米国) レイアウトを追加し、キーボードの組み合わせを設定して 2 つのレイアウトを切り替えることを推奨します。ラテン文字を含まないレイアウトのみを選択した場合、インストールプロセスの後半で有効な root パスワードおよびユーザー認証情報を入力できない可能性があります。これにより、インストールを完了できない可能性があります。
選択したら、完了 をクリックして インストールの概要 画面に戻ります。
注記
インストールの完了後にキーボード設定を変更するには、設定 ダイアログウィンドウの キーボード セクションにアクセスします。

8.10. セキュリティーポリシー

セキュリティーポリシー スポークを使用すると、Security Content Automation Protocol (SCAP) 標準で定義された制限と推奨事項 (コンプライアンスポリシー) に従って、インストールされたシステムを設定できます。この機能はアドオンが提供するもので、これは Red Hat Enterprise Linux 7.2 以降デフォルトで有効になっています。有効にすると、この機能の提供に必要なパッケージが自動的にインストールされます。ただし、デフォルトではポリシーが強制されることがなく、明確に設定されている場合を除いて、インストール時およびインストール後にチェックが行われません。
背景情報、実用的な例、その他のリソースなど、設定コンプライアンスおよび脆弱性スキャンに関する情報はRed Hat Enterprise Linux 7 セキュリティーガイドを参照してください。
重要
セキュリティーポリシーの適用はすべてのシステムで必要なわけではありません。このウィンドウは、所定のポリシーの適用が業務規定や法令で義務付けられている場合にのみ使用してください。
セキュリティーポリシーをシステムに適用する場合は、選択したプロファイル内で定義される制限および推奨事項を使用してインストールされます。また、パッケージ選択に openscap-scanner パッケージが追加され、コンプライアンスおよび脆弱性スキャンのインストール済みツールが提供されます。インストールが終わると、システムは自動的にコンプライアンスを確認するためにスキャンされます。このスキャンの結果は、インストールされたシステムの /root/openscap_data ディレクトリーに保存されます。
この画面で使用できる定義済みのポリシーは、SCAP Security Guide によって提供されます。利用可能な各プロファイルについての詳細情報は、OpenSCAP Portal にあるリンクを参照してください。
HTTPS、HTTP または FTP サーバーから追加プロファイルを読み込むこともできます。

図8.8 セキュリティーポリシー選択画面

セキュリティーポリシー選択画面
システムでセキュリティーポリシーの使用を設定するには、まず セキュリティーポリシーの適用 スイッチを ON に設定して設定を有効にします。スイッチが オフの 位置にある場合、この画面の残りのコントロールは無効になります。
スイッチを使用してセキュリティーポリシーの設定を有効にした後、画面上部のウィンドウにリスト表示されているプロファイルの 1 つを選択し、下の プロファイルの選択 をクリックします。プロファイルが選択されたら、右側に緑色のチェックが表示され、下のフィールドに変更がインストール開始前に加えられるかどうかが表示されます。
注記
デフォルトで使用可能となっているプロファイルは、インストール開始前に変更を適用しません。ただし、下記のとおりにカスタムプロファイルを読み込むとインストール前のアクションが必要になる場合があります。
カスタムプロファイルを使用するには、左上隅にある コンテンツの変更 ボタンをクリックします。これで別の画面が開き、有効なセキュリティーコンテンツの URL を入力します。デフォルトのセキュリティーコンテンツ選択画面に戻るには、左上隅にある Use SCAP Security Guide をクリックします。
カスタムプロファイルは 、HTTPHTTPS、または FTP サーバーからロードできます。プロトコル (http:// など) を含む、コンテンツの完全なアドレスを使用します。カスタムプロファイルを読み込む前に、ネットワーク接続がアクティブになっている必要があります (「ネットワークとホスト名」 で有効にする)。コンテンツタイプはインストーラーが自動的に検出します。
プロファイルを選択した後、または画面を終了する場合は、左上隅にある 完了 をクリックしてに戻ります。「インストールの概要画面」 .

8.11. インストールソース

Red Hat Enterprise Linux のインストール元となるファイルまたは場所を指定するには、Installation Summary 画面から Installation Source を選択します。この画面では、DVD や ISO ファイルなどローカルで使用するインストールメディア、またはネットワーク上の場所のいずれかを選択することができます。

図8.9 インストールソースの画面

インストールソースの画面
以下のオプションのいずれかを選択します。
自動検出したインストールメディア
完全インストール用の DVD もしくは USB ドライブを使用してインストールを開始している場合は、そのメディアが検出されメディアの基本的な情報がこのオプションに表示されます。確認 ボタンをクリックして、メディアがインストールに適していることを確認します。この整合性テストは、起動メニューで Test this media & Install Red Hat Enterprise Linux を 選択した場合、または rd.live.check 起動オプションを使用した場合に実行されるものと同じです。
ISO ファイル
このオプションは、インストールプログラムで、ハードドライブがパーティションされており、マウント可能なファイルシステムを備えてられていることを検出した場合に、表示されます。このオプションを選択し、Choose an ISO ボタンをクリックして、システム上のインストール ISO ファイルの場所を参照します。次に、検証 をクリックして、ファイルがインストールに適していることを確認します。
ネットワーク上
ネットワークの場所を指定するには、このオプションを選択して、ドロップダウンメニューから以下のオプションのいずれかを選びます。
  • http://
  • https://
  • ftp://
  • nfs
上記の選択肢をネットワークの場所の URL の開始部分として使用し、残りのアドレスをアドレスボックスに入力します。NFS を選択した場合は、NFS マウントオプションを指定する別のボックスが表示されます。
重要
NFS ベースのインストールソースを選択する場合は、ホスト名とパスを区切るコロン (:) 文字を使用してアドレスを指定する必要があります。以下に例を示します。
server.example.com:/path/to/directory
HTTP または HTTPS ソースのプロキシーを設定するには、プロキシー設定 ボタンをクリックします。HTTP プロキシーを有効にする をオンにして、プロキシー URL ボックスに URL を入力します。プロキシーで認証が必要な場合は、認証を使用 をオンにして、ユーザー名とパスワードを入力します。Add をクリックします。
使用する HTTP もしくは HTTPS の URL がリポジトリーのミラーの一覧を参照する場合は、入力するフィールドの下のチェックボックスにチェックを入れます。
また、追加のリポジトリーを指定して、別のインストール環境やソフトウェアアドオンにアクセスすることもできます。詳細は、「ソフトウェアの選択」 を参照してください。
リポジトリーを追加するには、+ ボタンをクリックします。リポジトリーを削除するには、- ボタンをクリックします。矢印アイコンをクリックして、リポジトリーの前のリストに戻ります。つまり、現在のエントリーを、インストールソース 画面に入ったときに存在していたエントリーに置き換えます。リポジトリーをアクティブ化または非アクティブ化するには、リストの各エントリーの 有効 列のチェックボックスをクリックします。
画面の右側で追加したリポジトリーに名前を付け、ネットワーク上のプライマリーのリポジトリーを設定したときと同じように設定することができます。
インストールソースを選択したら、完了 をクリックして インストールの概要 画面に戻ります。

8.12. ネットワークとホスト名

システムに不可欠なネットワーク機能を設定するには、Installation Summary 画面で Network & Hostname を選択します。
重要
インストール完了後に初めてシステムを起動すると、インストール中に設定したネットワークインターフェイスが作動します。ただし、Red Hat Enterprise Linux を DVD からローカルのハードドライブにインストールした場合など、一般的なインストールを行った場合は、ネットワークインターフェイスの設定を求めるプロンプトは表示されません。
Red Hat Enterprise Linux をローカルのインストールソースからローカルのストレージデバイスにインストールする時に、システムの初回起動時にネットワークへのアクセスを必要とする場合は、少なくとも 1 つのネットワークインターフェイスを手動で設定してください。また、設定を編集した場合は、起動後に自動で接続が行われるよう接続の設定もしておく必要があります。
ローカルでアクセスできるインターフェイスはインストールプログラムにより自動的に検出されるため、手動での追加または削除はできません。検出されたインターフェイスは左側のペインに一覧表示されます。一覧内のインターフェイスをクリックすると、右側にその詳細が表示されます。ネットワークインターフェイスをアクティブまたは非アクティブにするには、画面の右上隅にあるスイッチを ON または OFF に移動します。
注記
em1wl3sp0 などの永続的な名前でネットワークデバイスを識別するために使用されるネットワークデバイスの命名基準には、いくつかの種類があります。これらの標準については、Red Hat Enterprise Linux 7 ネットワークガイドを参照してください。

図8.10 ネットワークとホスト名の設定画面

ネットワークとホスト名の設定画面
接続のリストの下にある ホスト名 入力フィールドに、このコンピューターのホスト名を入力します。ホスト名は、hostname.domainname 形式の fully-qualified domain name (FQDN) または hostname 形式の short host name のいずれかを選択できます。多くのネットワークには、自動的に接続されたシステムにドメイン名を提供する DHCP (Dynamic Host Configuration Protocol) サービスがあります。DHCP サービスがこのマシンにドメイン名を割り当てるようにするには、短縮ホスト名のみを指定してください。値 localhost.localdomain は、ターゲットシステムの特定の静的ホスト名が設定されていないことを意味し、インストールされたシステムの実際のホスト名は、ネットワーク設定のプロセス中に設定されます (たとえば、DHCP または DNS を使用する NetworkManager によって)。
重要
ホスト名を手動で割り当てる場合は、委譲されていないドメイン名を使用しないでください。使用すると、ネットワークリソースが使用できなくなる可能性があります。詳細は、Red Hat Enterprise Linux 7 ネットワークガイドで推奨している命名方法の実践例を参照してください。
注記
インストールの完了後、システム 設定 ダイアログの ネットワーク セクションを使用して、ネットワーク設定を変更できます。
ネットワーク設定が完了したら、完了 をクリックして インストールの概要 画面に戻ります。

8.12.1. ネットワーク接続の編集

このセクションでは、インストール中に使用される一般的な有線接続の場合に最も重要となる設定についてのみ説明します。ほとんどの場合、オプションの多くは変更する必要はなく、インストールされるシステムにも引き継がれません。これ以外のネットワーク設定についてもほぼ同じですが、当然、特定の設定パラメーターは異なります。インストール後のネットワーク設定については、Red Hat Enterprise Linux 7 ネットワークガイドを参照してください。
ネットワーク接続を手動で設定するには、画面の右下隅にある 設定 ボタンをクリックします。ダイアログが表示され、選択された接続の設定ができるようになります。表示される設定オプションは、有線、無線、モバイルブロードバンド、VPN、DSL など接続タイプによって異なります。必要に応じて、ネットワーク設定の詳細情報については、『ネットワークガイド』を参照してください。
インストール中に設定しておくと便利なネットワーク設定オプションを以下に示します。
  • システムが起動するたびに接続 を使用する場合は、このネットワークが利用可能になったら自動的にこのネットワークに接続する チェックボックスをオンにします。自動的に接続するネットワークは、複数の接続を使用することができます。この設定は、インストールされるシステムに引き継がれます。

    図8.11 ネットワーク自動接続機能

    ネットワーク自動接続機能
  • デフォルトでは、IPv4 パラメーターが DHCP サービスにより自動的に設定されます。同時に、IPv6 設定は 自動 方式に設定されます。ほとんどの場合、この組み合わせが最適で通常は変更する必要はありません。

    図8.12 IP プロトコル設定

    IP プロトコル設定
ネットワーク設定の編集が完了したら、保存 をクリックして新しい設定を保存します。インストール中にすでに作動していたデバイスを再設定した場合、その新しい設定をインストール環境で使用するためにはデバイスの再起動を行う必要があります。Network & Host Name 画面の ON/OFF スイッチを使用して、デバイスを再起動します。

8.12.2. 高度なネットワークインターフェイス

高度なネットワークインターフェイスもインストールに使用できます。これには仮想ローカルエリアネットワーク (VLAN) と集約リンクを使用する 3 つの方法が含まれます。これらのインターフェイスについては本ドキュメントの対象外となります。詳細情報は、Red Hat Enterprise Linux 7 ネットワークガイドを参照してください。
高度なネットワークインターフェイスを作成するには、ネットワークとホスト名 画面の左下隅にある + ボタンをクリックします。

図8.13 ネットワークとホスト名の設定画面

ネットワークとホスト名の設定画面
ダイアログが表示され、以下のオプションがドロップダウンメニューから選択できます。
  • Bond - NIC (Network Interface Controller) Bonding を表します。これは、複数のネットワークインターフェイスをまとめて単一の結合チャネルにバインドする方法です。
  • ブリッジ - 複数の個別のネットワークを 1 つの集約ネットワークに接続する方法である NIC ブリッジングを表します。
  • チーム - リンクを集約するための新しい実装である NIC チーミングを表し、パケットフローの高速処理を実装するための小さなカーネルドライバーと、ユーザー空間で他のすべてを実行するためのさまざまなアプリケーションを提供するように設計されています。
  • VLAN - 相互に分離された複数の異なるブロードキャストドメインを作成する方法を表します。

図8.14 高度なネットワークインターフェイスのダイアログ

高度なネットワークインターフェイスのダイアログ
注記
ローカルでアクセスできるインターフェイスは有線、無線に関わらずインストールプログラムにより自動的に検出されるため、上記の操作手順で手動による追加や削除はできません。
オプションを選択して 追加 ボタンをクリックすると、新しいインターフェイスを設定するための別のダイアログが表示されます。詳細な手順については、Red Hat Enterprise Linux 7 ネットワークガイドを参照してください。既存の高度なインターフェイスで設定を編集するには、画面の右下隅にある 設定 ボタンをクリックします。- ボタンをクリックして、手動で追加したインターフェイスを削除することもできます。

8.13. ソフトウェアの選択

インストールするパッケージを指定するには、Installation Summary 画面で Software Selection を選択します。パッケージは ベース環境 に応じてグループ化されています。これらの環境は、特定の目的を持つ事前定義された一連のパッケージです。たとえば、仮想化ホスト 環境には、システム上で仮想マシンを実行するために必要な一連のソフトウェアパッケージが含まれています。インストール時に選択できる環境は一つのみです。
各環境には、アドオン という形で追加パッケージが選択できるようになっています。アドオンは画面の右側に表示され、環境を選び直すとアドオンの一覧も更新されます。アドオンは複数選択が可能です。
アドオン一覧は横線で上下に分割されています。
  • 横線の に表示されるアドオンは、選択した環境に固有のものです。いずれかのアドオンを選択してから環境の選択を変更すると、アドオンの選択は失われます。
  • 横線の に表示されるアドオンは、すべての環境で同じものです。別の環境を選択し直しても、ここでの選択は失われません。

図8.15 サーバーインストールでのソフトウェア選択の例

サーバーインストールでのソフトウェア選択の例
選択できるベース環境およびアドオンの種類は、インストールソースとして使用するインストール ISO イメージの種類によります。たとえば、サーバー バリアントはサーバー用に設計された環境を提供しますが、ワークステーション バリアントには開発者ワークステーションとしてデプロイメントするためのいくつかの選択肢があります。
インストールプログラムでは各環境に含まれているパッケージは表示されません。特定の環境またはアドオンに含まれるパッケージを確認するには、repodata/*-comps- variant を参照してください。 インストールソースとして使用している Red Hat Enterprise Linux インストール DVD の architecture .xml ファイル。このファイルには、使用可能な環境 (<environment> タグでマーク) とアドオン (<group> タグ) を記述した構造が含まれています。
重要
事前に定義された環境やアドオンを使用するとシステムをカスタマイズできますが、手動でのインストールでは、インストールする個別パッケージを選択する方法はありません。どのパッケージをインストールする必要があるかわからない場合、Red Hat は 最小インストール 環境を選択することを推奨します。最小限のインストール では、Red Hat Enterprise Linux の基本バージョンと最小限の追加ソフトウェアのみをインストールします。これにより、システムが脆弱性の影響を受ける可能性が大幅に減ります。システムのインストールが完了し、初めてログインした後、Yum パッケージマネージャーを使用して必要な追加ソフトウェアをインストールできます。Minimal install の詳細については、Red Hat Enterprise Linux 7 Security Guide の Installing the Minimum amount of Packages Required セクションを参照してください。
代わりに、キックスタートファイルを使ってインストールを自動化することによりインストールパッケージをより高度なレベルで管理することもできます。キックスタートファイルの %packages セクションで、環境、グループ、および個々のパッケージを指定できます。キックスタートファイルでインストールするパッケージを選択する方法については 「パッケージの選択」 を参照してください。キックスタートを使ってインストールを自動化する方法については27章キックスタートを使ったインストールを参照してください。
インストールする環境とアドオンを選択したら、完了 をクリックして インストールの概要 画面に戻ります。

8.13.1. コアとなるネットワークサービス

すべての Red Hat Enterprise Linux インストールには、以下のネットワークサービスが含まれます。
  • rsyslog サービスによる集中ログ
  • SMTP (Simple Mail Transfer Protocol) による電子メール
  • NFS (Network File System) によるネットワークファイル共有
  • SSH (Secure SHell) によるリモートアクセス
  • mDNS (multicast DNS) によるリソースのアドバタイズ
Red Hat Enterprise Linux システムの自動化プロセスは、システム管理者へのレポートやメッセージの送信に電子メールサービスを利用するものがあります。デフォルトでは、電子メール、ログ記録、印刷などのサービスは他のシステムからの接続は受信しません。
インストール後に電子メール、ファイル共有、ログ記録、印刷、リモートによるデスクトップへのアクセスなどのサービスを提供するように Red Hat Enterprise Linux システムを設定できます。SSH サービスはデフォルトで有効になっています。また、NFS 共有サービスを有効にしなくても、NFS を使って他のシステム上のファイルにアクセスすることもできます。

8.14. インストール先

ディスクを選択し、Red Hat Enterprise Linux をインストールするストレージスペースを分割するには、Installation Summary 画面で Installation Destination を選択します。ディスクのパーティション設定に慣れていない場合は、付録A ディスクパーティションの概要を参照してください。
警告
Red Hat では、システム上の全データを常にバックアップしておくことを推奨しています。たとえば、デュアルブートシステムをアップグレードする、または作成する場合には、保存しておきたいストレージデバイスのデータはすべてバックアップをとってください。万一、何らかのミスが発生した場合、全データを喪失してしまう可能性があります。
重要
Red Hat Enterprise Linux をテキストモードでインストールする場合は、このセクションで説明しているデフォルトのパーティション設定スキームしか使用できません。インストールプログラムで自動的に追加や削除が行われるもの以外、パーティションやファイルシステムの追加または削除はできません。
重要

特殊なケース

  • RAID カードを実装している場合、BIOS タイプは、RAID カードからの起動に対応していない場合がある点に注意してください。このような場合、別のハードドライブなど、RAID アレイの外側のパーティションに /boot パーティションを作成する必要があります。そのような RAID カードへのパーティション作成には、内蔵ハードドライブを使用する必要があります。ソフトウェア RAID のセットアップには 、/boot パーティションも必要です。システムを自動的に分割することを選択した場合は、/boot パーティションを手動で編集する必要があります。見る「手動パーティション設定」詳細については。
  • Red Hat Enterprise Linux ブートローダーを別のブートローダーから チェーンロードする ように設定するには、Installation Destination 画面から Full disk summary and bootloader リンクをクリックして手動でブートドライブを指定する必要があります。起動ドライブを指定する方法は、「ブートローダーのインストール」 を参照してください。
  • マルチパスストレージデバイスと非マルチパスのストレージデバイスの両方が使用されているシステムに Red Hat Enterprise Linux をインストールすると、インストールプログラムの自動パーティション設定レイアウトに、マルチパスのデバイスと非マルチパスのデバイスが混在するボリュームグループが作成される可能性があります。これはマルチパスストレージの目的に反することになります。インストール先 画面で、マルチパスデバイスのみ、または非マルチパスデバイスのみを選択することを推奨します。もしくは、手動のパーティション設定を実行してください。

図8.16 ストレージ領域の概要

ストレージ領域の概要
この画面では、ご使用のコンピューターでローカルの使用が可能なストレージデバイスを確認することができます。ディスクの追加 ボタンをクリックして、特殊なデバイスやネットワークデバイスを追加することもできます。このデバイスの詳細は「ストレージデバイス」を参照してください。
画面上部のペインのアイコンをクリックして、Red Hat Enterprise Linux をインストールするディスクを選択します。各ディスクには、ラベル、サイズ、使用可能な領域が示されています。この画面で選択しなかったディスクについては一切変更されません。
ストレージデバイスのペインの下には、その他のストレージオプション というラベルの付いた追加のコントロールがあります。
  • パーティショニング セクションでは、ストレージデバイスのパーティション分割方法とボリュームの作成方法を選択できます。パーティションを手動で設定する、またはインストールプログラムによる自動設定を選択することができます。
    今まで使用したことがないストレージにクリーンインストールを実行する場合、またはストレージに保存されているデータは一切必要ない場合には、自動パーティション設定が推奨されます。この方法で続行するには、パーティショニングを自動的に設定する ラジオボタンのデフォルトの選択をそのままにしておきます。インストールプログラムは必要なパーティションとボリュームをストレージスペースに作成します。
    自動パーティショニングの場合、追加のスペースを利用可能にしたい チェックボックスを選択して、他のファイルシステムからこのインストールにスペースを再割り当てする方法を選択することもできます。完了 をクリックすると、2 つのダイアログが表示されます。自動パーティション設定を選択しているものの、推奨のパーティション設定でインストールを完了するのに十分なストレージ領域がない場合には、以下のダイアログが表示されます。

    図8.17 インストールオプションのダイアログ内の領域を確保するオプション

    インストールオプションのダイアログ内の領域を確保するオプション
    Red Hat Enterprise Linux ソフトウェアの選択 リンクをクリックできます。リンクをクリックすると、ソフトウェアの選択 セクションに移動します。ここで、インストールするソフトウェアを変更したり、追加のストレージスペースを解放したりできます。
    または、キャンセルしてディスクを追加 を クリックして インストール先 画面に戻り、ストレージデバイスを追加するか、手動でパーティションを設定することを選択できます。Reclaim space をクリックして、既存のファイルシステムから一部のストレージスペースを解放します。詳細は 「ディスク領域の獲得」 を参照してください。
    十分な領域を確保できないと、別のダイアログが表示されます。この場合は、当初のストレージ画面でディスクを追加するか、インストールを中止することになります。
    手動セットアップ用に I will configure partitioning ラジオボタンを選択すると、Done をクリックすると Manual Partitioning 画面が表示されます。詳細は 「手動パーティション設定」 を参照してください。
  • 暗号化 セクションで、データを暗号化する チェックボックスをオンにして、/boot パーティションを除くすべてのパーティションを暗号化できます。暗号化についての詳細はRed Hat Enterprise Linux 7 セキュリティーガイドを参照してください。
画面の下部には、ブートローダーをインストールするディスクを設定するための フルディスクの概要 とブートローダー ボタンがあります。
詳細は、「ブートローダーのインストール」 を参照してください。
選択が完了したら、完了 ボタンをクリックして 、インストールの概要 画面に戻るか、手動パーティション分割 画面に進みます。

8.14.1. ブートローダーのインストール

Red Hat Enterprise Linux は、ブートローダーとして GRUB2 (GRand Unified Bootloader バージョン 2) を使用します。ブートローダーは、システムの起動時に実行し、制御をオペレーティングシステムに読み込み、転送する最初のプログラムです。GRUB2 は互換性のあるオペレーティングシステムであれば起動可能で、チェーンロード で未対応のオペレーティングシステムのブートローダーにも読み込んだ指示を渡すことができます。
警告
GRUB 2 をインストールすると既存のブートローダーを上書きする可能性があります。
Red Hat Enterprise Linux は、他のオペレーティングシステムがすでにインストールされていると、自動検出して GRUB2 で起動できるように設定します。他のオペレーティングシステムが正しく検出されない場合は手作業で設定できます。
ブートローダーをインストールするデバイスを指定するには、インストール先 画面の下部にある フルディスクの概要とブートローダー リンクをクリックします。選択したディスク ダイアログが表示されます。ドライブを手動でパーティション分割する場合、手動パーティション分割 画面で 選択したストレージデバイスを クリックすると、このダイアログにアクセスできます。

図8.18 選択したディスクの要約

選択したディスクの要約
Boot 列で、緑色のチェックアイコンが、デバイスの 1 つを目的の起動デバイスとしてマークします。起動デバイスを変更するには、リストからデバイスを選択し、起動デバイスとして設定 ボタンをクリックして、代わりにそこにブートローダーをインストールします。
新しいブートローダーのインストールを拒否するには、マークされたデバイスを選択し、ブートローダーをインストールしない ボタンをクリックします。チェックマークアイコンが外れ、いずれのデバイスにも GRUB2 はインストールされなくなります。
警告
何らかの理由でブートローダーをインストールしない選択をした場合、直接システムを起動することができなくなるため、市販のブートローダーアプリケーションなど別の起動方法を使用しなければならなくなります。ブートローダーをインストールしない選択は、システムを起動させるための別の方法が確保されている場合に限定してください。
8.14.1.1. MBR と GPT に関する注意点
インストールプログラムによりルートファイルシステムのデバイスの マスターブートレコード (MBR) または GUID パーティションテーブル (GPT) に GRUB2 がインストールされます。いずれを使用するかは、次のような状況によって判断されます。
BIOS システム、および BIOS 互換性モードの UEFI システム
ディスクが既にフォーマットされている場合、パーティションスキームは維持されます。
ディスクがフォーマットされていない場合、またはユーザーがディスクからすべてのパーティションを消去した場合、Anaconda は 以下を使用します。
  • ディスクに 232 未満のセクターしかない場合、MBR を使用。一般的にディスクセクターは 512 バイトで、これは 2 TiB に当たります。
  • ディスクに 232 以上のセクターがある場合、GPT を使用。
    注記
    ブートコマンドラインに inst.gpt オプションを追加して、デフォルトの動作をオーバーライドし、サイズが 2 32 セクター未満のディスクで GPT を使用します。Anaconda を 手動でオーバーライドして、サイズが 2 32 セクター以上のディスクで MBR を使用することはできないことに注意してください。
ブートローダーが GPT を使用するディスクの BIOS システム上にインストールするには、BIOS Boot (biosboot) パーティションを作成する必要があります。biosboot パーティションのサイズは 1 MiB にする必要があります。ただし、ブートローダーを含むディスクが MBR を使用している場合は、biosboot パーティションは必要 ありません
UEFI システム
UEFI のシステム上で使用できるのは GPT のみです。MBR があるフォーマット済みディスクにインストールするには、まずディスクの再フォーマットが必要になります。
パーティショニングスキームに関係なく、EFI システムパーティション (/boot/efi) を作成する必要があります。/boot/efi パーティションのサイズは少なくとも 50 MiB にする必要があります。推奨サイズは 200 MiB です。
注記
biosboot パーティションも efi パーティションも、LVM ボリュームに置くことはできません。このパーティションは標準の物理パーティションに格納してください。

8.14.2. パーティションの暗号化

データを暗号化する オプションを選択した場合、クリックして次の画面に進むと、インストールプログラムは、システム上のパーティションを暗号化するためのパスフレーズの入力を求めます。
パーティションの暗号化は LUKS (Linux Unified Key Setup) を使用して行われます。詳細はRed Hat Enterprise Linux 7 セキュリティーガイドを参照してください。

図8.19 暗号化したパーティションのパスフレーズ入力

暗号化したパーティションのパスフレーズ入力
パスフレーズが決まったらダイアログボックスの 2 つのフィールドに入力します。パスフレーズの設定に使用するキーボードレイアウトは、後でパーティションのロック解除に使用するキーボードレイアウトと同じものを使用してください。言語レイアウトのアイコンで正しいレイアウトが選択されていることを確認します。このパスフレーズはシステムが起動するたび、毎回入力する必要があります。パスフレーズ 入力フィールドで Tab キー を押して、パスフレーズを再入力します。パスフレーズが脆弱すぎる場合はフィールドに警告アイコンが表示され、2 番目のフィールドに入力ができません。カーソルを警告アイコンの上に持って行くと、パスフレーズの改善方法が分かります。
警告
このパスフレーズを紛失してしまうと、暗号化したパーティションおよびそのパーティション上にあるデータは完全にアクセスできなくなります。分からなくなったパスフレーズを復元する方法はありません。
キックスタートを使用したインストールを行っている場合は、インストール中に暗号パスフレーズを保存してバックアップしておくことができます。ディスク暗号化の詳細はRed Hat Enterprise Linux 7 セキュリティーガイドを参照してください。

8.14.3. ディスク領域の獲得

インストール先 で選択したディスクに Red Hat Enterprise Linux をインストールするための十分なスペースがなく、インストールオプション ダイアログでスペース の再利用 を選択した場合、ディスク容量の再利用 ダイアログが表示されます。
警告
パーティションの縮小を選択していなければ、領域の確保によりそのパーティション上のデータはすべて消去されます。このため、保持しておく必要があるデータのバックアップがすでに用意されていることを必ず確認してください。

図8.20 既存ファイルシステムからのディスク領域の確保

既存ファイルシステムからのディスク領域の確保
Red Hat Enterprise Linux を検出した既存のファイルシステムが、該当するディスクの一部として表に一覧表示されます。Reclaimable Space 列には、このインストールに再割り当てできるスペースがリスト表示されます。アクション 列には、スペースを再利用するためにファイルシステムで実行されるアクションがリスト表示されます。
表の下にはボタンが 4 つあります。
  • 保存 - ファイルシステムは変更されず、データは削除されません。これがデフォルト動作です。
  • 削除 - ファイルシステムを完全に削除します。ファイルシステムが占めていた領域をすべてインストールで使用できるようにします。
  • 縮小 - ファイルシステムから空き領域を回復し、このインストールで使用できるようにします。スライダーを使って選択したパーティションの新たなサイズを設定します。LVM または RAID が使用されていない、サイズ変更可能なパーティションでしか使用できません。
  • すべて削除/すべて保存 - このボタンは右側にあり、デフォルトですべてのファイルシステムを削除対象としてマークします。もう一度クリックすると、ラベル名が変わり、全ファイルシステムを確保するように再度マークされます。
マウスを使ってテーブル内のファイルシステムまたはディスク全体を選択したら、ボタンをクリックします。アクション 列のラベルが選択内容に合わせて変更され、テーブルの下に表示される 再利用する選択済み 容量の合計がそれに応じて調整されます。この値の下にはインストールに必要となる領域サイズが表示されます。このサイズはインストールの選択をしたパッケージの量に基づいています。
インストールを続行するのに十分なスペースが再利用されると、Reclaim Space ボタンが使用可能になります。このボタンをクリックしてインストールの概要画面に戻り、インストールを続行します。

8.14.4. 手動パーティション設定

手動パーティション 設定 画面 は、I will configure partitioning オプションを選択した場合は、インストール先 から 完了 をクリックすると表示されます。各ディスクパーティションおよびマウントポイントの設定はこの画面で行います。ここで、Red Hat Enterprise Linux をインストールするファイルシステムを定義します。
警告
Red Hat では、システム上の全データを常にバックアップしておくことを推奨しています。たとえば、デュアルブートシステムをアップグレードする、または作成する場合には、保存しておきたいストレージデバイスのデータはすべてバックアップをとってください。万一、何らかのミスが発生した場合、全データを喪失してしまう可能性があります。

図8.21 手動パーティション設定の画面

手動パーティション設定の画面
Manual Partitioning 画面では、最初にマウントポイントの左側に 1 つのペインがあります。このペインは、マウントポイント作成についての情報以外は空であるか、インストールプログラムが検出した既存のマウントポイントを表示します。これらのマウントポイントは、検出されたオペレーティングシステムのインストールごとにまとめられています。このため、パーティションがいくつかのインストールで共有されている場合は、複数回表示されるファイルシステムもあります。選択されたストレージデバイスの合計領域と利用可能な領域がこのペインの下に表示されます。
システムに既存のファイルシステムがある場合には、インストールに十分な領域があることを確認してください。- ボタンを使用して、不要なパーティションを削除します。
注記
ディスクパーティションに関する推奨事項および補足情報は、付録A ディスクパーティションの概要「推奨されるパーティション設定スキーム」 を参照してください。少なくとも、適切なサイズのルートパーティションと、通常、システムの RAM のサイズに応じた swap パーティションが必要です。
8.14.4.1. ファイルシステムの追加とパーティションの設定
Red Hat Enterprise Linux のインストールには最低限必要なパーティションは 1 つですが、Red Hat は、少なくとも /、/home / boot、および swap のパーティションまたはボリュームを使用することを推奨します。必要に応じて、その他のパーティションやボリュームを作成することもできます。詳細は 「推奨されるパーティション設定スキーム」 を参照してください。
注記
(特定のパーティションを特定のディスクに配置するなど) 特定のパーティションに要件があり、他のパーティションにはそのような要件がない場合は、要件のあるパーティションを先に作成します。
ファイルシステムの追加手順は 2 つに分かれます。まず、特定のパーティションスキームにマウントポイントを作成します。マウントポイントが左側のペインに表示されます。次に、右側のペインのオプションを使ってこのマウントポイントをカスタマイズします。ここではマウントポイント、デバイスタイプやファイルシステムタイプ、ラベルなどを変更する、該当パーティションを暗号化するまたは再フォーマットすることなどができます。
既存のファイルシステムがなく、インストールプログラムで必要なファイルシステムとそれらのマウントポイントを作成する場合は、左側のペインのドロップダウンメニューから任意のパーティション設定スキームを選択します (Red Hat Enterprise Linux のデフォルトは LVM)。次に、ペインの上部にあるリンクをクリックするとマウントポイントが自動的に作成されます。これにより、/boot パーティション、/ (root)ボリューム、および swap ボリュームが生成され、使用可能なストレージのサイズに比例します。これらのファイルシステムが一般的なインストールで推奨されるファイルシステムになります。ただし、必要に応じてファイルシステムとマウントポイントを追加することもできます。
または、ペインの下部にある + ボタンを使用して、個々のマウントポイントを作成します。これで 、新しいマウントポイントの追加 ダイアログが開きます。マウントポイント ドロップダウンメニューから事前に設定したパスのいずれかを選択するか、独自のパスを入力します。たとえば、root パーティションの場合は / を選択し、ブートパーティションには /boot を選択します。次に、ファイルシステムのサイズを Desired Capacity テキストフィールドに入力します(例: 2GiB )。フィールドを空白のままにしたり、利用可能な領域よりも大きいサイズを指定すると、残りの空の領域がすべて使用されることになります。これらの詳細を入力したら、マウントポイントの追加 ボタンをクリックしてパーティションを作成します。
注記
領域の割り当てに関する問題を回避するには、最初に /boot などの既知の固定サイズの小さなパーティションを作成し、その後に残りのパーティションを作成して、インストールプログラムが残りの領域をそれらに割り当てられるようにします。
同様に、システムが置かれることになる複数のディスクがあり、これらのサイズが異なり、また特定のパーティションが BIOS に検出される最初のディスク上で作成される必要がある場合、そのパーティションを最初に作成するようにしてください。
左側のペインにあるドロップダウンメニューを使うと、手作業で作成する新しいマウントポイントにパーティションスキームを設定することができます。利用可能なオプションは 、標準パーティションBTRFSLVM、および LVM シンプロビジョニング です。/boot パーティションは、このメニューで選択した値に関係なく、常に標準パーティションに配置されることに注意してください。
LVM 以外のマウントポイントを 1 つ配置するデバイスを変更するには、マウントポイントを選択し、右側のペインの Modify... ボタンをクリックして、マウントポイントの設定 ダイアログを開きます。1 つ以上のデバイスを選択し、Select クリックします。ダイアログが閉じたら、手動パーティション 設定 画面の右側にある 設定の 更新 ボタンをクリックしてこの設定を確定する必要がある点に注意してください。

図8.22 マウントポイントの設定

マウントポイントの設定
すべてのローカルディスクとパーティションに関する情報を更新するには、ツールバー Rescan ボタン(円形の矢印アイコンを使用)をクリックします。この作業が必要になるのはインストールプログラム以外で高度なパーティション設定を行った場合のみです。ディスクの再 スキャン ボタンをクリックすると、インストールプログラムで以前に行った設定変更がすべて失われることに注意してください。

図8.23 ディスクの再スキャン

ディスクの再スキャン
画面下部のリンクには、インストール先 で選択したストレージデバイスの数が表示されます( 「インストール先」を参照してください)。このリンクをクリックすると、選択したディスク ダイアログが開き、ディスクに関する情報が確認されます。詳細は、「ブートローダーのインストール」 を参照してください。
パーティションまたはボリュームをカスタマイズする場合は、左側のペインでパーティションまたはボリュームを選択すると、右側にカスタム可能な詳細が表示されます。

図8.24 パーティションのカスタマイズ

パーティションのカスタマイズ
  • マウントポイント - ファイルシステムのマウントポイントを入力します。たとえば、ファイルシステムが root ファイルシステムの場合は / を入力し、/boot ファイルシステムの場合は /boot を入力します。swap ファイルシステムの場合、マウントポイントは設定しないでください。ファイルシステムタイプを swap に設定するだけで十分です。
  • 必要な 容量: ファイルシステムの必要なサイズを入力します。単位には KiB や GiB が使用できます。単位を指定しない場合は、MiB がデフォルトになります。
  • デバイスタイプ - 標準パーティション、LVM、RAID LVM シンプロビジョニング 、または BTRFS のいずれかの種類を選択します。パーティションまたはボリュームを 暗号 化するには、隣接する 暗号化 ボックスにチェックを入れます。パスワードを設定するようプロンプトが後で表示されます。RAID は、パーティションに 2 つ以上のディスクが選択されている場合にのみ利用できます。このタイプを選択した場合は、RAID レベル を設定することもできます。同様に、LVM を選択した場合は、ボリュームグループ を 指定できます
  • ファイルシステム: ドロップダウンメニューで、このパーティションまたはボリュームに適したファイルシステムタイプを選択します。既存のパーティションをフォーマットする場合は、隣接する Reformat ボックスにチェックを入れるか、データを維持するためにチェックを外します。データをそのまま維持する場合は空白にしておきます。新規作成されたパーティションやボリュームは再フォーマットが必要で、この場合はチェックボックスのチェックを外すことはできません。
  • label - パーティションにラベルを割り当てます。ラベルを使うと、個別のパーティションの認識とアドレス指定が容易になります。
  • 名前: LVM または Btrfs ボリュームに名前を割り当てます。標準パーティションは作成時に自動的に名前が付けられ、/home には sda1 という名前が割り当てられているなど、名前を編集できないことに注意してください。
ファイルシステムおよびデバイスタイプの詳細は、「ファイルシステムのタイプ」 を参照してください。
設定の更新 ボタンをクリックして変更を保存し、カスタマイズする別のパーティションを選択します。インストールの概要ページからインストールを開始するまで、実際には変更は適用されません。Reset All ボタンをクリックして、すべてのパーティションへの変更をすべて破棄し、最初からやり直します。
すべてのファイルシステムとマウントポイントを作成してカスタマイズしたら、完了 ボタンをクリックします。ファイルシステムの暗号化を選択した場合はパスフレーズの作成が求められます。次に、インストールプログラムが受け取るストレージ関連の全アクションの概要を示すダイアログが表示されます。これにはパーティションおよびファイルシステムの作成、サイズ調整、削除が含まれます。すべての変更を確認し、Cancel & Return to Custom Partitioning をクリックして戻ることができます。変更を確認するには、Accept Changes をクリックして Installation Summary ページに戻ります。追加のデバイスをパーティションに分割するには、インストール先 画面でデバイスを選択し、手動パーティション設定 画面に戻り、本セクションで説明している追加のデバイスについてこの手順を繰り返します。
重要
/usr または /var のパーティションがルートボリュームとは別に設定されている場合、このディレクトリーには重要なコンポーネントが含まれているため、起動プロセスが非常に複雑になります。iSCSI ドライブや FCoE などの場所に配置してしまった場合には、システムが起動できなくなったり、電源オフや再起動の際に Device is busy のエラーでハングしたりする可能性があります。
この制限は /usr または /var にのみ適用され、それらの下のディレクトリーには適用されません。たとえば、/var/www 用の別のパーティションは問題なく機能します。
8.14.4.1.1. ファイルシステムのタイプ
Red Hat Enterprise Linux では、異なるデバイスタイプとファイルシステムを作成できます。各種のデバイスタイプおよびファイルシステムの種類とその使い方を以下に簡単に示します。

デバイスタイプ

  • 標準パーティション: 標準のパーティションにはファイルシステムまたはスワップ領域を含めることも、ソフトウェア RAID または LVM 物理ボリューム用のコンテナーを提供することもできます。
  • 論理ボリューム(LVM): LVM パーティションを作成すると、自動的に LVM 論理ボリュームが生成されます。LVM は、物理ディスクを使用する場合にパフォーマンスを向上させることができます。論理ボリュームを作成する方法は、「LVM 論理ボリュームの作成」 を参照してください。LVM に関する詳細は、Red Hat Enterprise Linux 7 論理ボリュームマネージャーの管理を参照してください。
  • LVM シンプロビジョニング - シンプロビジョニングを使用すると、シンプールと呼ばれる空き領域のストレージプールを管理できます。これは、アプリケーションで必要に応じて任意の数のデバイスに割り当てることができます。シンプールは、ストレージ領域をコスト効率よく割り当てる必要がある場合に、動的に拡張できます。LVM に関する詳細は、Red Hat Enterprise Linux 7 論理ボリュームマネージャーの管理を参照してください。
    警告
    Anaconda は、オーバープロビジョニングの LVM シンプールをサポートしていません。
    注記
    インストーラーは、LVM シンプール論理ボリューム用に要求した領域の 20% を、これを格納しているボリュームグループ内で自動的に確保します。これは、シンプロビジョニングした論理ボリュームのデータボリュームやメタデータボリュームを拡張する場合に備えた安全対策です。
  • ソフトウェア RAID - 複数のソフトウェア RAID パーティションを作成すると、RAID デバイスを作成できます。システム上の各ディスクに対して RAID パーティションを 1 つずつ割り当てます。RAID デバイスを作成するには、「ソフトウェア RAID の作成」 を参照してください。RAID の詳細は、Red Hat Enterprise Linux 7 ストレージ管理ガイドを参照してください。

ファイルシステム

  • XFS - XFS は、最大 16 EiB (約 160,000 GiB)のファイルシステム、最大 8 EiB (約 80,000 GiB)のファイル、および数十万のエントリーを含むディレクトリー構造をサポートする、非常にスケーラブルで高パフォーマンスのファイルシステムです。XFS は、クラッシュからの回復が早いメタデータジャーナル機能に対応します。また、XFS ファイルシステムは、マウント中でアクティブな場合でも、最適化やサイズ変更を行うことができます。このファイルシステムはデフォルトで選択されており、強くお勧めします。以前使用された ext4 ファイルシステムから XFS に共通のコマンドを変換する方法は、付録F ext4 と XFS コマンドの参照表 を参照してください。
    Red Hat Enterprise Linux で XFS ファイルシステムで現在対応可能な最大サイズは、500 TiB です。
  • ext4: ext4 ファイルシステムは ext3 ファイルシステムをベースとし、多くの改善が行われています。より大きなファイルシステム、そしてより大きなファイルに対応するようになり、ディスク領域の割り当てに要する時間が短縮され効率化されています。また、ディレクトリー内のサブディレクトリーの数に制限がなく、ファイルシステムチェックが速くなり、ジャーナリングがより強力になりました。
    Red Hat Enterprise Linux で ext4 ファイルシステムで現在対応可能な最大サイズは、50 TiB です。
  • ext3 - ext3 ファイルシステムは ext2 ファイルシステムをベースとし、ジャーナリング機能という大きな利点を備えています。ジャーナリングファイルシステムを使用すると、クラッシュが発生するたびに fsck ユーティリティーを実行してメタデータの整合性をチェックする必要がないため、クラッシュ後のファイルシステムの復元にかかる時間が短縮されます。
  • ext2: ext2 ファイルシステムは、通常のファイル、ディレクトリー、シンボリックリンクなど、標準の Unix ファイルタイプをサポートします。最大 255 文字までの長いファイル名を割り当てることができます。
  • vfat: VFAT ファイルシステムは、FAT ファイルシステム上の Microsoft Windows の長いファイル名と互換性のある Linux ファイルシステムです。
  • swap - Swap パーティションは仮想メモリーをサポートするために使用されます。つまり、システムが処理しているデータを格納する RAM が不足すると、そのデータが swap パーティションに書き込まれます。
  • BIOS ブート:BIOS システムで GUID パーティションテーブル(GPT)でデバイスを起動するために必要な非常に小さなパーティションです。詳細は 「ブートローダーのインストール」 を参照してください。
  • EFI システムパーティション - UEFI システムで GUID パーティションテーブル(GPT)でデバイスを起動するために必要な小さなパーティション。詳細は 「ブートローダーのインストール」 を参照してください。
各ファイルシステムには、そのファイルシステムにより異なるサイズ制限があります。また、ファイルシステムごと個別のファイルを格納しています。対応している最大ファイルサイズおよび最大ファイルシステムサイズなどの一覧はカスタマーポータルの Red Hat Enterprise Linux technology capabilities and limits のページをご覧ください (https://access.redhat.com/site/articles/rhel-limits)。
8.14.4.2. ソフトウェア RAID の作成
RAID (Redundant arrays of independent disks) は、複数のディスクで設定されており、組み合わせてパフォーマンスを向上させます。また、一部の設定では、より高い耐障害性を得ることができます。各種 RAID の詳細は以下をご覧ください。
RAID デバイスの作成は 1 つのステップで終わり、必要に応じてディスクを追加または削除できます。また、ディスクは必要に応じて追加や削除ができます。1 つの物理ディスクに 1 つの RAID パーティションが作成できるため、インストールプログラムで使用できるディスク数により利用できる RAID デバイスのレベルが確定されます。たとえば、システムに 2 つのハードドライブがある場合、RAID10 デバイスを作成することはできません。これには 4 つの別個のパーティションが必要になります。

図8.25 ソフトウェア RAID パーティションの作成 - デバイスタイプメニュー の展開

ソフトウェア RAID パーティションの作成 - デバイスタイプメニュー の展開
RAID 設定オプションはインストール用に複数のディスクを選択している場合にのみ、表示されます。RAID デバイスの作成には少なくともディスクが 2 つ必要になります。
RAID デバイスの作成
  1. 「ファイルシステムの追加とパーティションの設定」 の説明に従って、マウントポイントを作成します。このマウントポイントを設定することで、RAID デバイスを設定していることになります。
  2. 左側のペインでパーティションを選択したまま、ペインの下にある設定ボタンを選択して、マウントポイントの設定 ダイアログを 開きます。RAID デバイスに含まれるディスクを選択し、Select をクリックします。
  3. デバイスタイプ ドロップダウンメニューをクリックして、RAID を選択します。
  4. ファイルシステム ドロップダウン メニューを クリックして、目的のファイルシステムタイプを選択します( 「ファイルシステムのタイプ」 を参照してください)。
  5. RAID レベル ドロップダウンメニューをクリックして、目的の RAID レベルを選択します。
    利用できる RAID レベルは以下のとおりです。
    RAID0 - パフォーマンス(ストライプ)
    データを複数のディスクに分散させます。RAID レベル 0 は、標準パーティションでのパフォーマンスを向上させます。複数のディスクを 1 つの大きな仮想デバイスにまとめることができます。RAID レベル 0 には冗長性がなく、アレイ内の 1 ディスクに障害が発生するとアレイ全体のデータが壊れる点に注意してください。RAID 0 には少なくとも 2 つの RAID パーティションが必要です。
    RAID1 - 冗長性(ミラーリング)
    1 つのディスク上の全データを別のディスク (複数可) にミラーリングします。アレイ内のデバイスを増やすことで冗長レベルを強化します。RAID 1 には少なくとも 2 つの RAID パーティションが必要です。
    RAID4 - エラー検出(解析)
    データを複数のディスクに分散す、アレイ内の 1 ディスクにパリティー情報を格納しているため、アレイ内のいずれかのディスクに障害が発生した場合にアレイを保護します。すべてのパリティー情報が 1 つのディスクに格納されるため、このディスクにアクセスすると、アレイのパフォーマンスにボトルネックが発生します。RAID 4 には少なくとも 3 つの RAID パーティションが必要です。
    RAID5: 分散エラー検出
    データおよびパリティー情報を複数のディスクに分散させます。そのため、RAID レベル 5 は複数ディスクにデータを分散させパフォーマンスが向上する一方、パリティー情報もアレイ全体で分散されるため、RAID レベル 4 のようにパフォーマンスにボトルネックが発生しません。RAID 5 には少なくとも 3 つの RAID パーティションが必要です。
    RAID6: 冗長
    RAID レベル 6 は RAID レベル 5 と似ていますが、パリティーデータが 1 セットではなく 2 セット格納されます。RAID 6 には少なくとも 4 つの RAID パーティションが必要です。
    RAID10 : 冗長性(ミラー) および 最適化されたパフォーマンス(ストライプ)
    RAID レベル 10 はネスト化した RAID または ハイブリッド RAID になります。ミラーリングしているディスクセットに対してデータを分散させることで構築します。たとえば、4 つの RAID パーティションで構築した RAID レベル 10 のアレイは、ストライプ化されたパーティションをミラーリングする 2 組のペアで設定されます。RAID 10 には少なくとも 4 つの RAID パーティションが必要です。
  6. 設定の 更新 を クリックして変更を保存し、別のパーティションに進むか、完了 を クリック して インストールの概要 画面に戻ります。
ディスク数が指定した RAID レベルで必要なディスク数より少ない場合、選択した設定に必要とされるディスク数を示すメッセージがウィンドウ下部に表示されます。
8.14.4.3. LVM 論理ボリュームの作成
論理ボリューム管理 (LVM) では、ハードドライブや LUN などのベースとなっている物理ストレージ領域を論理的な観点から表示します。物理ストレージ上のパーティションは 物理ボリューム として表示され、ボリュームグループ にグループ化することができます。各ボリュームグループは複数の 論理ボリューム に分割することができます。したがって、LVM 論理ボリュームは、複数の物理ディスクにまたがることが可能なパーティションとして機能します。
LVM の詳細は、付録D LVM の理解 またはRed Hat Enterprise Linux 7 論理ボリュームマネージャーの管理を参照してください。LVM の設定はグラフィカルインストールプログラムでしかできないため注意してください。
重要
テキストモードによるインストールの場合は、LVM を設定できません。LVM 設定をゼロから作成する必要がある場合は、Ctrl+Alt+F2 を押して別の仮想コンソールを使用し、lvm コマンドを実行します。テキストモードのインストールに戻るには、Ctrl+Alt+F1 を押します。

図8.26 論理ボリュームの設定

論理ボリュームの設定
論理ボリュームを作成して新規または既存のボリュームグループに追加するには、以下を実行します。
  1. 「ファイルシステムの追加とパーティションの設定」 の説明に従い LVM ボリュームにマウントポイントを作成します。
  2. デバイスタイプ ドロップダウンメニューをクリックして、LVM を選択します。ボリュームグループ ドロップダウン メニューが表示され、新たに作成されたボリュームグループ名が表示されます。
  3. 必要に応じて、メニューをクリックし、Create a new volume group を選択するか、Modify をクリックして新たに作成したボリュームグループを設定します。Create a new volume group オプションと Modify ボタンの両方により、Configure Volume Group ダイアログが表示され、論理ボリュームグループの名前を変更し、追加するディスクを選択できます。
    注記
    設定ダイアログではボリュームグループの物理エクステントのサイズは指定できません。このサイズは、常にデフォルト値の 4 MiB に設定されます。別の物理エクステントのボリュームグループを作成する場合は、インタラクティブシェルに切り替え、vgcreate コマンドを使用して手動で作成するか、volgroup --pesize=size コマンドでキックスタートファイルを使用します。

    図8.27 LVM ボリュームグループのカスタマイズ

    LVM ボリュームグループのカスタマイズ
    利用可能な RAID レベルは、実際の RAID デバイスと同じです。詳細は、「ソフトウェア RAID の作成」 を参照してください。またボリュームグループの暗号化に印を付けて、サイズポリシーを設定することもできます。利用可能なポリシーオプションは以下のようになります。
    • 自動: ボリュームグループのサイズは自動で設定されるため、設定した論理ボリュームを格納するのに十分な大きさになります。ボリュームグループに空の領域が必要ない場合に最適です。
    • できるだけ大きく - 設定した論理ボリュームのサイズに関係なく、最大サイズのボリュームグループが作成されます。これは、ほとんどのデータを LVM に保存する場合、または後で既存の論理ボリュームのサイズを拡大する可能性がある場合、もしくはこのグループに別の論理ボリュームを作成する必要がある場合などに最適です。
    • Fixed: このオプションでは、ボリュームグループのサイズを正確に設定できます。設定している論理ボリュームが格納できるサイズにする必要があります。ボリュームグループに設定する容量が正確に分かっている場合に便利です。
    グループを設定したら Save をクリックします。
  4. 設定の 更新 を クリックして変更を保存し、別のパーティションに進むか、完了 を クリック して インストールの概要 画面に戻ります。
警告
LVM ボリュームへの /boot パーティションの配置はサポートされていません。

8.15. ストレージデバイス

さまざまなストレージデバイスに Red Hat Enterprise Linux をインストールできます。「インストール先」 で説明されているように、インストール先 のページ で、ローカルにアクセス可能な基本的なストレージデバイスを確認できます。専用のストレージデバイスを追加するには、画面の 特殊 なディスク およびネットワークディスク セクションの ディスクの追加 ボタンをクリックします。

図8.28 ストレージ領域の概要

ストレージ領域の概要
注記
dmeventd デーモンによる LVM およびソフトウェア RAID デバイスの監視は、インストール時には実行されません。

8.15.1. ストレージデバイス選択の画面

ストレージデバイス選択画面には、Anaconda インストールプログラムがアクセスできるすべてのストレージデバイスが表示されます。
デバイスは、次のタブに分類されます。
マルチパスデバイス
同じシステムにある、複数の SCSI コントローラーやファイバーチャネルポートなどの複数のパスからアクセスできるストレージデバイスです。
インストールプログラムで検出できるのは、16 文字または 32 文字の長さのシリアル番号を持つマルチパスストレージデバイスのみです。
その他の SAN デバイス
SAN (Storage Area Network) 上にあるデバイスです。
NVDIMM デバイス
マシン上にある非揮発性デュアルインラインメモリーモジュール (NVDIMM) ストレージデバイスです。

図8.29 タブを使ってグループ分けされている特殊ストレージデバイスの概要

タブを使ってグループ分けされている特殊ストレージデバイスの概要
画面右下にボタンが表示されます。これらのボタンを使用して、新たなストレージデバイスを追加します。以下のボタンが利用可能です。
  • iSCSI ターゲットの追加 - iSCSI デバイスの接続には を使用します。に進んでください。 「iSCSI パラメーターの設定」
  • FCoE SAN を追加 - Fibre Channel Over Internet ストレージデバイスの設定に使用します。に進んでください。 「FCoE パラメーターの設定」
  • NVDIMM の再設定: NVDIMM デバイスをセクターモードに再設定します。に進んでください。 「NVDIMM デバイスの設定」
  • 一覧の更新 - インストーラーの開始後にデバイスが追加されたときに、を使用して一覧を再読み込みします。
概要ページには Search タブも含まれており、このタブでは、アクセスする World Wide Identifier (WWID)またはポート、ターゲット、または 論理ユニット番号 (LUN)別にストレージデバイスをフィルターできます。

図8.30 ストレージデバイスの検索タブ

ストレージデバイスの検索タブ
Search タブには、ポート、ターゲット、LUN、または WWID での検索を選択する Search By ドロップダウンメニューが含まれます。WWID または LUN で検索するには、対応する入力テキストフィールドに値を入力する必要があります。検索 ボタンを クリック して検索を開始します。
左側にチェックボックスが付いたデバイスが列ごとに表示されます。インストールプロセス中にそのデバイスを使用可能にする場合は、このチェックボックスをクリックします。インストールプロセスの後半では、Red Hat Enterprise Linux のインストール先として、ここで選択したデバイスのいずれかを指定することができます。また、インストール完了後のシステムの一部として、ここで選択したデバイスの自動マウントを指定することができます。
ここで選択するデバイスのデータがインストールプロセスで自動的に消去されるわけではありません。この画面上でデバイスを選択しても、それだけでデバイスに保存されているデータが抹消されるわけではありません。また、インストールしたシステムの一部を形成するために選択しないデバイスは、インストール後に /etc/fstab ファイルを変更してシステムに追加できます。
重要
この画面で選択しなかったストレージデバイスはすべて Anaconda から完全に非表示になります。別のブートローダーから Red Hat Enterprise Linux ブートローダーを チェーンロード する場合は、この画面に表示されるすべてのデバイスを選択します。
インストール時に利用できるようにするストレージデバイスを選択したら、完了 を クリック して インストール先 画面に戻ります。
8.15.1.1. 高度なストレージオプション
高度なストレージデバイスを使用する場合は、インストール先 画面の右下で該当するボタンをクリックして、SCSI over TCP/IP (iSCSI) ターゲット、Fibre Channel over Ethernet (FCoE) Storage Area Network (SAN)、または非揮発性デュアルインラインメモリーモジュール (NVDIMM) デバイスを設定することができます。iSCSI の概要は、付録B iSCSI ディスク を参照してください。

図8.31 高度なストレージオプション

高度なストレージオプション
8.15.1.1.1. iSCSI パラメーターの設定
Add iSCSI target... ボタンをクリックすると、iSCSI ターゲットの追加 ダイアログが 表示されます。

図8.32 iSCSI 検出詳細のダイアログ

iSCSI 検出詳細のダイアログ
インストールに iSCSI ストレージデバイスを使用するには、Anaconda が iSCSI ターゲットとして 検出 し、それにアクセスするための iSCSI セッション を作成できる必要があります。検出、セッションの作成それぞれで CHAP (Challenge Handshake Authentication Protocol) 認証用のユーザー名とパスワードが必要になる場合があります。また、検出、セッションの作成いずれの場合も、iSCSI ターゲット側でターゲットの接続先となるシステムの iSCSI イニシエータを認証するよう設定することもできます (リバース CHAP)。CHAP とリバース CHAP を併用する場合は 相互 CHAP または 双方向 CHAP と呼ばれます。相互 CHAP を使用すると、特に CHAP 認証とリバース CHAP 認証でユーザー名やパスワードが異なる場合などに、iSCSI 接続に対する最大限の安全レベルを確保できます。
注記
iSCSI 検出と iSCSI ログインの手順を繰り返して、必要なすべての iSCSI ストレージの追加を行います。ただし、初回の検出試行後は、iSCSI イニシエーターの名前の変更はできません。iSCSI イニシエーターの名前を変更する場合は、インストールを最初からやり直す必要があります。

手順8.1 iSCSI の検出と iSCSI セッションの開始

iSCSI ストレージターゲットの追加 ダイアログを使用して、iSCSI ターゲットの検出に必要な情報を Anaconda に提供します。
  1. ターゲット IP アドレス フィールドに iSCSI ターゲットの IP アドレスを入力し ます。
  2. iSCSI イニシエーター名 フィールドに iSCSI 修飾名 (IQN)形式で iSCSI イニシエーターの名前 を指定します。IQN エントリーには次を含めてください。
    • word . の 文字列(ピリオドに注意)
    • 日付コード (企業や組織のインターネットドメイン名またはサブドメイン名が登録された年と月、記述の順序は年を表す 4 桁の数字、ダッシュ記号、月を表す 2 桁の数字、ピリオドの順で設定。たとえば、2010 年 9 月を 2010-09 と 表します。
    • 企業や組織のインターネットドメイン名またはサブドメイン名 (トップレベルのドメインを先頭にして逆順で表す。たとえば、storage.example.com のサブドメインは com.example.storageと表現します。
    • コロン (:) と、ドメインまたはサブドメイン内でその iSCSI イニシエーターを固有に識別する文字列。例: :diskarrays-sn-a8675309
    そのため、完全な IQN は次のようになり ます。iqn.2010-09.storage.example.com:diskarrays-sn-a8675309anaconda は、設定に役立つように、この形式で iSCSI Initiator Name フィールドに名前を入力します。
    IQN の詳細については、 http://tools.ietf.org/html/rfc3720#section-3.2.6 に記載の『RFC 3720 - Internet Small Computer Systems Interface (iSCSI)』の『3.2.6. iSCSI Names』のセクションや、http://tools.ietf.org/html/rfc3721#section-1 に記載の『RFC 3721 - Internet Small Computer Systems Interface (iSCSI) Naming and Discovery』の 『1. iSCSI Names and Addresses』 のセクションを参照してください。
  3. 認証タイプの検出 ドロップダウン メニューを使用して、iSCSI 検出に使用する認証タイプを指定します。以下のタイプが使用できます。
    • 証明書なし
    • CHAP 秘密鍵
    • CHAP 秘密鍵とリバースペア
    • 認証タイプに CHAP ペア を選択した場合は、CHAP ユーザー名 と CHAP パスワード フィールドに iSCSI ターゲットのユーザー名 とパスワードを指定 ます。
    • 認証タイプに CHAP ペアとリバースペア を選択した場合は、CHAP ユーザー名 と CHAP パスワード フィールドに iSCSI ターゲットのユーザー名 とパスワードを入力します。また、リバース CHAP ユーザー名 と Reverse CHAP パスワード の各フィールドに、iSCSI イニシエーターのユーザー名 とパスワードを指定します。
  4. 必要に応じて、Bind targets to network interfaces というラベルが付いたボックスにチェックを入れます。
  5. Start Discovery ボタンをクリックします。Anaconda は指定した情報に基づいて iSCSI ターゲットを検出しようとします。検出に成功すると、ダイアログにターゲット上で検出された全 iSCSI ノードの一覧が表示されます。
  6. 各ノードにはチェックボックスが付いています。インストールに使用するノードのチェックボックスをクリックします。

    図8.33 検出された iSCSI ノードを表示しているダイアログ

    検出された iSCSI ノードを表示しているダイアログ
  7. Node login authentication type メニューは、手順 3 で説明されている Discovery Authentication Type メニューと同じオプションを提供します。ただし、認証タイプの検索に認証情報を必要とした場合、検出したノードへのログインにも同じ認証情報を使用するのが一般的です。これを行うには、追加の Use the credentials from discovery オプションを使用します。適切な認証情報を指定すると、ログイン ボタンが利用可能になります。
  8. ログイン をクリックして iSCSI セッションを開始します。
8.15.1.1.2. FCoE パラメーターの設定
FCoE SAN を追加 ボタンをクリックすると、FCoE ストレージデバイスを検出するようにネットワークインターフェイスを設定するダイアログが表示されます。
まず、NIC ドロップダウンメニューで FCoE スイッチに接続するネットワークインターフェイスを選択し、FCoE ディスクの追加 ボタンをクリックして SAN デバイスのネットワークをスキャンします。

図8.34 FCoE パラメーターの設定

FCoE パラメーターの設定
追加オプションには、以下のものがあります。
DCB を使用する
Data Center Bridging (DCB) とは、ストレージネットワークやクラスターでイーサネット接続の効率性を向上させる目的で設計されたイーサネットプロトコルに対する拡張セットです。このダイアログのチェックボックスを使って、インストールプログラムによる DCB 認識を有効または無効にします。このオプションは、ネットワークインターフェイスでホストベースの DCBX クライアントを必要とする場合にのみ有効にします。ハードウェアの DCBX クライアントを実装するインターフェイス上での設定の場合には、このチェックボックスは空のままにしておいてください。
自動 vlan の使用
自動 VLAN では、VLAN 検出を行うかどうかを指定します。このボックスにチェックを入れると、リンク設定が検証された後、FIP (FCoE Initiation Protocol) VLAN 検出プロトコルがイーサネットインタフェースで実行されます。まだ設定が行われていない場合には、検出された FCoE VLAN 全てに対してネットワークインターフェイスが自動的に作成され、FCoE のインスタンスが VLAN インターフェイス上に作成されます。このオプションはデフォルトで有効になっています。
検出された FCoE デバイスが、インストール先 画面の 他の SAN デバイス タブに表示されます。
8.15.1.1.3. NVDIMM デバイスの設定
NVDIMM の再設定 ボタンをクリックして、選択した NVDIMM デバイスをセクターモードに再設定し、インストール先として使用します。Sector size ドロップダウンリストには、サポートされるセクターサイズの 512 および 4096 が含まれます。
Sector size ドロップダウンリストから、セクターサイズを選択し、Start Reconfiguration ボタンをクリックします。

図8.35 NVDIMM の再設定

NVDIMM の再設定
警告
NVDIMM デバイスを再設定するプロセスにより、デバイスに格納されていたデータがすべて失われます。
デバイスが設定されたら、OK ボタンをクリックして、インストール先 画面に戻ります。

図8.36 正常に再設定された NVDIMM

正常に再設定された NVDIMM
セクターモードの NVDIMM デバイスは、インストール ウィンドウの NVDIMM Devices タブに表示され、インストールに利用できます。

8.16. Kdump

この画面を使用して、このシステムで Kdump を使用するかどうかを選択します。kdump は、カーネルクラッシュをダンプするメカニズムで、システムクラッシュが発生した場合は、クラッシュの原因を判断するのに非常に重要な情報をキャプチャーします。
Kdump を有効にする場合は、一定量のシステムメモリーを予約する必要があります。このため、プロセスに利用可能なメモリー容量は少なくなります。
このシステムで Kdump を使用しない場合は、Enable kdump のチェックを外します。それ以外の場合は、Kdump 用に確保するメモリー容量を設定します。インストーラーで自動的に保持する容量を決定するか、手動で任意の容量を設定することができます。設定が適切であれば、完了 をクリックして設定を保存し、前の画面に戻ります。

図8.37 Kdump の有効化と設定

Kdump の有効化と設定

8.17. インストールの開始

インストールの概要 画面の必要なセクションがすべて完了したら、メニュー画面の下部にある警告が表示されなくなり、Begin Installation ボタンが利用可能になります。

図8.38 インストールの準備完了

インストールの準備完了
警告
インストールプロセスのこの時点までは、コンピューターに対して永続的となる変更は行われていません。インストールの 開始 をクリックすると、インストール プログラムがハードドライブの領域を割り当て、Red Hat Enterprise Linux をこの領域に移動します。選択したパーティション設定オプションに応じて、このプロセスでは、コンピューターに存在しているデータの消去が行われる場合があります。
この時点までに行った選択のいずれかを変更するには、Installation Summary 画面の該当セクションに戻ります。インストールを完全に取り消すには、Quit をクリックするか、コンピューターをオフにします。この時点で電源を切る場合、ほとんどのコンピューターでは電源ボタンを数秒間、押し続けると電源が切れます。
インストールのカスタマイズが完了し、インストールを続行する場合は、Begin Installation をクリックします。
インストールの開始 を クリックしたら、インストール プロセスを完了させます。コンピューターの電源を切ったり、リセットしたり、または停電になったりしてプロセスが中断されると、Red Hat Enterprise Linux のインストールプロセスをやり直す、または別のオペレーティングシステムをインストールするまで、そのコンピューターは使用できなくなります。

8.18. 設定のメニューと進捗状況の画面

Installation Summary 画面で Begin Installation をクリックすると、進捗画面が表示されます。Red Hat Enterprise Linux は選択したパッケージをシステムに書き込む時にインストールの進捗を画面上で報告します。

図8.39 パッケージのインストール

パッケージのインストール
参考までに、インストールの完全なログは、システムの再起動後に /var/log/anaconda/anaconda.packaging.log ファイルで確認できます。
パーティション設定中に 1 つ以上のパーティションを暗号化することを選択すると、インストールプロセスの初期に進捗バーを表示するダイアログウィンドウが表示されます。このウィンドウでは、暗号化が安全となるように十分なエントロピー (ランダムデータ) をインストーラーが収集していることを知らせます。256 ビットのエントロピーが収集されるか 10 分間経過すると、このウィンドウは表示されなくなります。マウスを動かしたり、キーボードでランダムに入力すると、この収集プロセスが短縮されます。ウィンドウが消えるとインストールプロセスが続行されます。

図8.40 暗号用のエントロピーの収集

暗号用のエントロピーの収集
パッケージのインストール中は、より多くの設定が必要になります。インストールの進捗バーの上には、Root Password および User Creation メニュー項目があります。
Root Password 画面では、システムの root アカウントを設定します。このアカウントでは、重要なシステム管理と管理タスクを実行できます。wheel グループメンバーシップを持つユーザーアカウントでも、同じタスクを実行できます。インストール中にこのようなユーザーアカウントを作成する場合は、root パスワードの設定は必須ではありません。
ユーザーアカウントの作成はオプションのため、インストール後に行うことも可能ですが、この画面で作成しておくことが推奨されます。ユーザーアカウントは通常の業務およびシステムへのアクセスに使用します。システムへのアクセスは root アカウントではなく、常にユーザーアカウントでアクセスすることがベストプラクティスになります。
Root パスワード または ユーザーの 作成 画面へのアクセスを無効にでき ます。これを行うには、rootpw --lock コマンドまたは user --lock コマンドを含むキックスタートファイルを使用します。これらのコマンドの詳細は、 「キックスタートのコマンドとオプション」 を参照してください。

8.18.1. Root パスワードの設定

root アカウントとパスワードの設定は、インストールにおける重要なステップです。root アカウント (スーパーユーザーとも呼ぶ) は、パッケージのインストールや RPM パッケージ更新、ほとんどのシステムメンテナーンスの実行に使用されます。root アカウントを使用することにより、システム全体を完全に制御することができるようになります。このため、root アカウントの使用は システムのメンテナーンスもしくは管理を行う場合に限る のが最適です。root ユーザーでログインするまたは root ユーザーに切り替える方法については、Red Hat Enterprise Linux 7 システム管理者のガイドを参照してください。

図8.41 Root パスワード画面

Root パスワード画面
注記
インストール済みのシステムへの root 権限を確保するには、少なくとも 1 つの方法( root アカウントを使用するか、管理者権限( wheel グループのメンバー)を持つユーザーアカウントを作成するか、またはその両方を設定する必要があります。
Root Password メニュー項目をクリックし、Root Password フィールドに新しいパスワードを入力します。Red Hat Enterprise Linux では、セキュリティー上の理由から文字がアスタリスクで表示されます。確認 フィールドに同じパスワードを入力して、正しく設定されていることを確認 します。root パスワードを設定したら、完了 を クリック して ユーザー設定 画面に戻ります。
強固な root パスワードを作成する際の要件と推奨事項を以下に示します。
  • 最低でも 8 文字の長さが 必要 である
  • 数字、文字 (大文字と小文字)、記号を含めることができる
  • 大文字と小文字を区別するため、これらの組み合わせを使用する
  • 覚えやすいが他人からは簡単に推測できないものにする
  • ユーザーまたはユーザーが属する組織と関連のある単語や略語、数字、また辞書にある単語 (外国語も含む) などは避ける
  • パスワードは書き留めない (書き留めておく必要がある場合は、安全な所に保管してください)
注記
インストール完了後に root パスワードを変更するには、rootpasswd コマンドを実行します。root パスワードを忘れた場合は、 「root パスワードのリセット」 にあるレスキューモードを使用して新しい設定方法を参照してください。

8.18.2. ユーザーアカウントの作成

インストール時に通常の(root 以外の)ユーザーアカウントを作成するには、進捗画面 で ユーザー設定 をクリックします。Create User 画面が表示され、通常のユーザーアカウントを設定し、そのパラメーターを設定できるようになります。ユーザーの作成はインストール時に行うことを推奨していますが、この作業はオプションとなるためインストール完了後に行うこともできます。
注記
インストール済みのシステムへの root 権限を確保するには、少なくとも 1 つの方法( root アカウントを使用するか、管理者権限( wheel グループのメンバー)を持つユーザーアカウントを作成するか、またはその両方を設定する必要があります。
ユーザー作成画面を入力した後、ユーザーを作成したままにするには、すべてのフィールドを空のままにして、Done をクリックします。

図8.42 ユーザーアカウント設定画面

ユーザーアカウント設定画面
各フィールドにフルネームとユーザー名を入力します。システムのユーザー名は 32 文字以内の長さにしてください。空白を含めることはできません。新しいアカウントにはパスワードを設定することを強く推奨します。
root 以外のユーザーにも強固なパスワードを設定する場合は「Root パスワードの設定」 に記載のガイドラインに従います。
Advanced ボタンをクリックして、追加設定を含む新しいダイアログを開きます。

図8.43 高度なユーザー設定

高度なユーザー設定
デフォルトでは、各ユーザーにはユーザー名に対応するホームディレクトリーが作成されます。ほとんどの場合、この設定を変更する必要はありません。
また、手動でチェックボックスを選択すると、新規ユーザーとそのデフォルトグループのシステム ID 番号を指定することができます。一般ユーザー ID の範囲は、1000 から始まります。ダイアログの下部では、この新規ユーザーが所属することになる追加グループをコンマで区切った一覧形式で入力することができます。この新規グループがシステム内に作成されます。グループ ID をカスタマイズする場合は、ID 番号を括弧で囲んで指定します。
注記
一般ユーザーとそのデフォルトグループの ID を 1000 ではなく 5000 から始まる範囲に設定することを検討してください。これは、システムユーザーおよびグループ用に予約されている範囲 0~999 が今後増え、通常のユーザーの ID と重複する可能性があるためです。
キックスタートでカスタム ID を指定してユーザーを作成する場合は、 user (任意) を参照してください。
インストール後に UID と GID の下限を変更して、選択した UID と GID の範囲がユーザー作成時に自動的に適用されるようにする方法は、システム管理者のガイドのユーザーとグループの概要の章を参照してください。
ユーザーアカウントをカスタマイズしたら、変更の保存 をクリックして ユーザー 設定 画面に 戻ります。

8.19. インストールの完了

おめでとうございます。Red Hat Enterprise Linux のインストールが完了しました。
起動 ボタンをクリックしてシステムを再起動し、Red Hat Enterprise Linux の使用を開始します。再起動時にインストールメディアが自動的に取り出されない場合は、忘れず取り出してください。
コンピューターの通常電源投入シーケンスが完了したら、Red Hat Enterprise Linux が読み込まれて起動します。デフォルトでは、開始プロセスは進捗バーを表示しているグラフィカル画面の裏に隠れています。最終的に、GUI ログイン画面(または X Window System がインストールされていない場合は、login: プロンプトが表示されます)。
インストールプロセス中、システムに X Window System をインストールしている場合は、Red Hat Enterprise Linux システムの初回の起動でシステムをセットアップするアプリケーションが起動されます。このアプリケーションを使用すると、システムの時刻と日付の設定、Red Hat Network へのマシンの登録など、順を追って Red Hat Enterprise Linux の初期設定を行うことができます。
設定プロセスの詳細は 30章初期設定 (Initial Setup) を参照してください。インストール後の Red Hat Enterprise Linux Atomic Host の手順、設定および更新については、Red Hat Enterprise Linux Atomic Host スタートガイドを参照してください。

第9章 64 ビット AMD、Intel、および ARM システムでのインストールに関連するトラブルシューティング

本章では、一般的なインストール関連の問題とその解決法について説明していきます。
デバッグの目的で、Anaconda はインストールアクションを /tmp ディレクトリー内のファイルにログ記録します。以下の表に各種のログファイルを示します。
表9.1 インストール中に生成されるログファイル
ログファイル 内容
/tmp/anaconda.log Anaconda に関する一般的なメッセージ
/tmp/program.log インストール中に実行されたすべての外部プログラム
/tmp/storage.log ストレージモジュールの詳細情報
/tmp/packaging.log yum パッケージおよび rpm パッケージのインストールメッセージ
/tmp/syslog ハードウェア関連のシステムメッセージ
インストールに失敗すると、これらのファイルからのメッセージは /tmp/anaconda-tb-identifier に統合されます。identifier はランダムな文字列です。
インストールに成功すると、デフォルトでは、これらのファイルは /var/log/anaconda/ ディレクトリー下のインストール済みシステムにコピーされます。ただし、インストールが失敗した場合、またはインストールシステムの起動時に inst.nosave=all オプションまたは inst.nosave=logs オプションを使用すると、ログはインストールプログラムの RAM ディスクにのみ存在します。つまり、ファイルは永久的には保存されず、システムの電源を切ると失われることになります。永続的に保存するには、インストールプログラムを実行しているシステムで scp を使用してネットワーク上の別のシステムにこれらのファイルをコピーするか、マウントされたストレージデバイス(USB フラッシュドライブなど)にコピーします。ネットワーク経由でログファイルを転送する方法を以下に示します。USB フラッシュドライブやその他のリムーバブルメディアを使用している場合は、以下の手順を開始する前のそれらのデータのバックアップを作成するようにしてください。

手順9.1 ログファイルを USB ドライブに転送する

  1. インストールするシステムで Ctrl+Alt+F2 を押してシェルプロンプトにアクセスします。インストールプログラムの一時ファイルシステムへのアクセス権を持つ root アカウントでログインします。
  2. USB フラッシュドライブをシステムに接続し、dmesg コマンドを実行します。最近のイベントの詳細を示すログが表示されます。このログの末尾の方に、今 USB を挿入したことを示すメッセージが表示されているのを確認します。以下にメッセージの例を示します。
    [ 170.171135] sd 5:0:0:0: [sdb] Attached SCSI removable disk
    接続デバイスの名前を書き留めておきます(上記の例では sdb )。
  3. /mnt ディレクトリーに移動したら、USB ドライブのマウントターゲットとして機能する新しいディレクトリーを作成します。ディレクトリーの名前は重要ではありません。この例では usb という名前を使用します。
    # mkdir usb
  4. USB フラッシュドライブを、新たに作成したディレクトリーにマウントします。ドライブ全体をマウントするのではなく、ドライブ上の一つのパーティションにマウントするのが一般的です。したがって、sdb の名前を使用しないでください。ログファイルを書き込むパーティションの名前を使用してください。この例では、sdb1 という名前を使用しています。
    # mount /dev/sdb1 /mnt/usb
    マウントしたデバイスにアクセスして内容を一覧表示し、その内容が期待どおりのものであるかを確認することで、正しいデバイスをマウントしているかがわかります。
    # cd /mnt/usb
    # ls
  5. ログファイルを、マウントしたデバイスにコピーします。
    # cp /tmp/*log /mnt/usb
  6. USB フラッシュドライブのマウントを解除します。ターゲットがビジーであることを示すエラーメッセージが表示される場合は、作業ディレクトリーをマウント外に変更します(例: /)。
    # umount /mnt/usb
これでインストールによるログファイルが USB フラッシュドライブに保存されました。

手順9.2 ネットワークを介してログファイルを転送する

  1. インストールするシステムで Ctrl+Alt+F2 を押してシェルプロンプトにアクセスします。インストールプログラムの一時ファイルシステムへのアクセス権を持つ root アカウントでログインします。
  2. ログファイルが置かれている /tmp ディレクトリーに移動します。
    # cd /tmp
  3. scp コマンドを使用して、ネットワーク上の別のシステムにログファイルをコピーします。
    # scp *log user@address:path
    user には転送先システムで有効なユーザー名を入力します。address には転送先システムのアドレスまたはホスト名を入力します。path にはログファイルを保存するディレクトリーへのパスを入力します。たとえば、john として IP アドレスが 192.168.0.122 のシステムにログインして、ログファイルをそのシステムの /home/john/logs/ ディレクトリーに置く場合は、以下のような形式になります。
    # scp *log john@192.168.0.122:/home/john/logs/
    初めてターゲットシステムに接続する際に、SSH クライアントにより、リモートシステムのフィンガープリントが正しいことと、継続するかを尋ねられます。
    The authenticity of host '192.168.0.122 (192.168.0.122)' can't be established.
    ECDSA key fingerprint is a4:60:76:eb:b2:d0:aa:23:af:3d:59:5c:de:bb:c4:42.
    Are you sure you want to continue connecting (yes/no)?
    yes入力 し、Enter を押して続行します。プロンプトに従いパスワードを入力します。転送先システムの指定ディレクトリーへのファイル転送が開始されます。
これでインストールによるログファイルが完全に転送先システムに保存され、後で確認できるようになります。

9.1. インストール開始時の問題

9.1.1. UEFI セキュアブートが有効になっているとシステムが起動しない

Red Hat Enterprise Linux 7 のベータリリースでは、特別な公開鍵で署名されており、標準の UEFI セキュアブート実装で認識されません。そのため、セキュアブートテクノロジーが有効になっているとシステムが起動しません。
この問題を解決するには、UEFI セキュアブートを無効にし、システムをインストールしてから、Machine Owner Key 機能を使用してベータの公開鍵をインポートします。手順については 「UEFI セキュアブートによるベータリリースの使用」 を参照してください。

9.1.2. グラフィカルインストールの起動に関連する問題

特定のビデオカードを搭載するシステムでグラフィカルなインストールプログラムを起動すると、問題が発生することがあります。インストールプログラムがデフォルト設定を使用して実行しない場合は、それより低い解像度モードでの実行を試みます。それでも動作が失敗する場合、インストールプログラムはテキストモードによる実行を試行します。
ディスプレイに関する問題の解決策はいくつかありますが、そのほとんどはカスタムの起動オプションを指定する必要があります。詳細は、「ブートメニューによるインストールシステムの設定」 を参照してください。
基本的なグラフィックモードを使用する
基本的なグラフィックスドライバーを使用して、インストールの実行を試みることができます。これを行うには、起動メニューで Troubleshooting > Install Red Hat Enterprise Linux in basic graphics mode を選択するか、インストールプログラムの起動オプションを編集して、コマンドラインの末尾に inst.xdriver=vesa を追加します。
ディスプレイの解像度を手動で指定する
インストールプログラムが画面の解像度の検出に失敗した場合は、自動検出を無効にして手動で指定できます。これを行うには、起動メニューに inst.resolution=x オプションを追加します。x はディスプレイの解像度( 1024x768など)に置き換えます。
代替のビデオドライバーを使用する
カスタムのビデオドライバーを設定し、インストールプログラムの自動検出を無効にすることもできます。ドライバーを指定するには、inst.xdriver=x オプションを使用します。x は使用するデバイスドライバーに置き換えます(例: nouveau)。
注記
カスタムのビデオドライバーを指定すると問題が解決する場合は、anaconda コンポーネントで で https://bugzilla.redhat.com バグとして報告する必要があります。Anaconda はハードウェアを自動的に検出し、適切なドライバーを介入せずに使用することができます。
VNC を使用したインストールを行う
上記で説明したオプションがいずれも失敗する場合は、別のシステムと Virtual Network Computing (VNC) プロトコルを使用して、ネットワーク経由でグラフィカルインストールにアクセスできます。VNC を使用したインストールの詳細は、25章VNC の使用 を参照してください。

9.1.3. シリアルコンソールが検出されない

シリアルコンソールを使ってテキストモードでインストールしようとすると、コンソールに何も出力されないことがあります。これは、システムにグラフィックカードが搭載されているのにモニターが接続されていない場合に発生します。Anaconda がグラフィックカードを検出すると、ディスプレイが接続されていない場合でも、表示に使用しようとします。
シリアルコンソールでテキストベースのインストールを実行する場合は、inst.text および console= 起動オプションを使用します。詳細は 23章起動オプション を参照してください。

9.2. インストール中の問題

9.2.1. ディスクが検出されない

インストール先 画面では、以下のエラーメッセージが下部に表示されます: No disks detected.コンピューターをシャットダウンしてから、少なくともひとつのディスクに接続を行ってからインストールを再開してください。)
このメッセージは、Anaconda がインストールする書き込み可能なストレージデバイスを見つけなかったことを示しています。このような場合、まずストレージデバイスが少なくとも 1 つはシステムに接続されていることを確認します。
ご使用のシステムがハードウェア RAID コントローラーを使用している場合、そのコントローラーが正しく設定され動作していることを確認してください。方法については、コントローラーの資料を参照してください。
1 つ以上の iSCSI デバイスにインストールを実行していて、システム上にローカルストレージがない場合、必要なすべての LUN (論理ユニット番号) が適切な HBA (ホストバスアダプター) に示されていることを確認してください。iSCSI の詳細は、付録B iSCSI ディスク を参照してください。
ストレージデバイスが接続され正しく設定されていることを確認してから、システムを再起動してインストールを再実行したのにまだ同じメッセージが表示されてしまう場合、インストールプログラムがストレージの検出に失敗していることを示しています。多くの場合、インストールプログラムで認識されていない SCSI デバイスにインストールしようとすると、このようなメッセージがよく表示されます。
このような場合には、インストール開始前にドライバーを更新する必要があります。この問題を解決するドライバー更新が入手可能になっていないかハードウェア製造元の Web サイトを確認してください。ドライバー更新に関する一般的な情報は、6章AMD64 および Intel 64 システムへのインストール中におけるドライバー更新 を参照してください。
また、 https://hardware.redhat.com でオンラインの 『Red Hat Hardware Compatibility List』 (Red Hat ハードウェア互換性一覧) を確認してください。

9.2.2. トレースバックメッセージの報告

グラフィカルインストールプログラムでエラーが発生すると、クラッシュレポートのダイアログボックスが表示されます。このダイアログボックスを使って、発生した問題に関する情報を Red Hat に送信することができます。クラッシュレポートを送信するには、カスタマーポータルの認証情報を入力する必要があります。カスタマーポータルのアカウントをお持ちでない場合は、https://www.redhat.com/wapps/ugc/register.html で登録していただくことができます。自動クラッシュレポートの機能を利用する場合には、動作しているネットワーク接続も必要になります。

図9.1 クラッシュレポートのダイアログボックス

クラッシュレポートのダイアログボックス
ダイアログが表示されたら、問題を 報告する場合は バグ の報告 を選択するか、Quit を選択してインストールを終了します。
必要に応じて、More Info をクリックして、エラーの原因を特定するのに役立つ詳細な出力を表示します。デバッグに精通している場合は、Debug をクリックします。これにより、仮想ターミナル tty1 が表示されます。ここでは、バグレポートを強化するより正確な情報をリクエストできます。tty1 からグラフィカルインターフェイスに戻るには、continue コマンドを使用します。

図9.2 クラッシュレポートのダイアログを展開した例

クラッシュレポートのダイアログを展開した例
カスタマーポータルにバグを報告する場合は、次の手順に従ってください。

手順9.3 Red Hat カスタマーポータルにエラーを報告する

  1. 表示されるメニューで、Report a bug to Red Hat Customer Portal を選択します。
  2. Red Hat にバグを報告するには、まずカスタマーポータルの認証情報を入力する必要があります。Red Hat カスタマーサポートの設定 をクリックします。

    図9.3 カスタマーポータル認証情報

    カスタマーポータル認証情報
  3. 新しいウィンドウが開き、カスタマーポータルのユーザー名とパスワードの入力が求められます。Red Hat カスタマーポータル認証情報を入力してください。

    図9.4 Red Hat カスタマーサポートの設定

    Red Hat カスタマーサポートの設定
    ネットワーク設定で HTTP または HTTPS プロキシーを使用する必要がある場合は、Advanced メニューを展開し、プロキシーサーバーのアドレスを入力して設定できます。
    必要な認証情報をすべて入力したら、OK をクリックして続行します。
  4. テキストフィールドがある新しいウィンドウが表示されます。ここに関連情報やコメントを入力します。クラッシュレポートのダイアログが表示されるまでに行った動作を一つずつ入力し、どのようにしたらエラーが再現できるかを説明してください。できるだけ具体的に、デバッグを行った場合はそのときに得られた情報も入力してください。ここに入力された情報はカスタマーポータルで公開される可能性があるので注意してください。
    エラーの原因が分からない場合は、ダイアログの下部にある I don't know this issue のラベルが付いた ボックスにチェックを入れてください。
    次に、Forward をクリックします。

    図9.5 問題の詳細を入力する

    問題の詳細を入力する
  5. 次に、カスタマーポータルに送信する情報を再確認します。指定した説明は comment タブにあります。他のタブには、システムのホスト名やインストール環境に関する詳細などが含まれています。Red Hat に送信したくない情報は削除することができます。ただし、報告していただく内容が限られると、問題の調査に影響するため注意してください。
    送信する情報の確認が終了したら Forward をクリックします。

    図9.6 送信データの再確認

    送信データの再確認
  6. 添付ファイルとしてバグ報告に含ませて送信するファイルの一覧を確認します。このファイルには調査に役立つシステム関連情報が含まれています。特定のファイルを送信したくない場合は、そのファイルの横にあるボックスのチェックマークを外します。問題を見つけるのに役立つ追加のファイルを指定するには、Attach a file をクリックします。
    送信するファイルを確認したら、I have review the data and agree with submitting it というラベルが付いたボックスにチェックを入れます。Forward をクリックして、レポートと添付ファイルをカスタマーポータルに送信します。

    図9.7 送信ファイルの再確認

    送信ファイルの再確認
  7. ダイアログが処理が完了したと報告されたら、Show log をクリックしてレポートプロセスの詳細を表示するか、Close をクリックして最初のクラッシュレポートダイアログボックスに戻ります。Quit をクリックしてインストールを終了します。

9.2.3. プレインストールログファイルの作成

インストール問題をデバッグするには、インストール前に inst.debug オプションを設定して環境からログファイルを作成することができます。これらのログファイルには、現行のストレージ設定などが含まれます。
Red Hat Enterprise Linux インストール起動メニューでオプションを設定するには、以下を実行します。
  1. Install Red Hat Enterprise Linux 7.3 エントリーを選択します。
  2. Tab キーを押して、起動オプションを編集します。
  3. オプションに inst.debug を追加します。以下に例を示します。
    > vmlinuz ... inst.debug
    詳細は23章起動オプションを参照してください。
  4. Enter を押して設定を開始します。
システムは、Anaconda が起動する前に、プレインストールのログファイルを /tmp/pre-anaconda-logs/ ディレクトリーに保存します。このログファイルにアクセスするには、以下を実行します。
  1. コンソールに切り替えます。「コンソールへのアクセス」 を参照してください。
  2. /tmp/pre-anaconda-logs/ ディレクトリーに移動します。
    # cd /tmp/pre-anaconda-logs/

9.3. インストール後の問題

9.3.1. RAID カードから起動できない

インストールの実行後、システムを正常に起動できない場合、再インストールと、システムのストレージに異なるパーティション設定を実行する必要がある可能性があります。
BIOS によっては、RAID カードからの起動に対応していないため注意が必要です。インストールが完了して初めてシステムを再起動すると、テキストベースの画面にブートローダーのプロンプト(例: grub>)が表示され、カーソルがすべて表示される可能性があります。この場合は、システムのパーティションを再設定し、/boot パーティションとブートローダーを RAID アレイの外に移動する必要があります。/boot パーティションとブートローダーは、同じドライブ上になければなりません。
このような変更が行われたら、インストールを完了し、システムを適切に起動できるはずです。パーティション設定の詳細は、「インストール先」 を参照してください。

9.3.2. グラフィカルな起動シーケンスに関する問題

インストール完了後に初めてシステムを再起動すると、グラフィカルな起動シーケンスの途中でシステムが反応しなくなり、リセットが必要となることがあります。このような場合、ブートローダーは正常に表示されますが、エントリーを選択してシステムを起動しようとするとシステムが停止してしまいます。ほとんどの場合、これはグラフィカルな起動のシーケンスに関する問題を示しています。この問題を解決するには、グラフィカルな起動を無効にする必要があります。まずブートタイムの設定を一時的に変更してから、そのあと永続的に変更します。

手順9.4 グラフィカルな起動を一時的に無効にする

  1. コンピューターを起動してブートローダーメニューが表示されるまで待ちます。ブートローダーのタイムアウト期間を 0 に設定すると、Esc キーを押すと、それにアクセスします。
  2. ブートローダーメニューが表示されたら、カーソルキーを使用して起動するエントリーを強調表示し、e キーを押してこのエントリーのオプションを編集します。
  3. オプション一覧でカーネル行を探します。カーネル行は linux (または linux16 または linuxefiなど)で始まる行です。この行で、rhgb オプションを探して削除します。オプションが隠れて見えないこともあります。カーソル移動キーを使って画面をスクロールしてみてください。
  4. F10 または Ctrl+X を押して、編集したオプションでシステムを起動します。
システムが正常に起動した場合は、通常通りにログインできます。このあと、グラフィカルな起動を永続的に無効にする必要があります。永続的に無効にしておかないと、システムが起動する度に上述の手順を繰り返さなければなりません。起動オプションを永続的に変更するには次の手順に従ってください。

手順9.5 グラフィカルな起動を永続的に無効にする

  1. su - コマンドを使用して root アカウントにログインします。
    $ su -
  2. grubby ツールを使用して、デフォルトの GRUB2 カーネルを検索します。
    # grubby --default-kernel
    /boot/vmlinuz-3.10.0-229.4.2.el7.x86_64
    
  3. grubby ツールを使用して、GRUB2 設定で、最後の手順で特定されたデフォルトのカーネルから rhgb 起動オプションを削除します。以下に例を示します。
    # grubby --remove-args="rhgb" --update-kernel /boot/vmlinuz-3.10.0-229.4.2.el7.x86_64
この手順が完了したら、コンピューターを再起動できます。Red Hat Enterprise Linux はグラフィカルな起動シーケンスを使用しなくなります。今後グラフィカルブートを有効にする場合は、同じ手順に従って、--remove-args="rhgb" パラメーターを --args="rhgb" パラメーターに置き換えます。これにより、rhgb 起動オプションが GRUB2 設定のデフォルトカーネルに復元されます。
GRUB2 ブートローダーの使用方法 の詳細は、Red Hat Enterprise Linux 7 システム管理者のガイド を参照してください。

9.3.3. グラフィカル環境での起動

X Window System をインストールしていても、システムにログインするとグラフィカルデスクトップ環境が表示されない場合は、startx コマンドを使用して手動で起動できます。ただし、手動による起動はその場限りで、次回からのログインプロセスを変更するわけではないことに注意してください。
グラフィカルログイン画面でログインできるようにシステムを設定するには、デフォルトの systemd ターゲットを graphical.target に変更する必要があります。設定を終えたらコンピューターを再起動します。システムが再起動すると、グラフィカルなログインプロンプトが表示されるようになります。

手順9.6 グラフィカルなログインをデフォルトとして設定する

  1. シェルプロンプトを開きます。ユーザーアカウントにいる場合は、su - コマンドを入力して root になります。
  2. デフォルトのターゲットを graphical.target に変更します。次のコマンドを実行します。
    # systemctl set-default graphical.target
これでグラフィカルログインがデフォルトで有効になります。次回の再起動からグラフィカルなログインプロンプトが表示されるようになります。この変更を元に戻し、テキストベースのログインプロンプトを引き続き使用する場合は、root で以下のコマンドを実行します。
# systemctl set-default multi-user.target
systemd のターゲットの詳細は、Red Hat Enterprise Linux 7 システム管理者のガイドを参照し てください。

9.3.4. グラフィカルユーザーインターフェイスが表示されない

X ( X Window System)の起動に問題がある場合は、X がインストールされていない可能性があります。インストール時に選択できるプリセットベース環境の一部( Minimal installWeb Server など)には、グラフィカルインターフェイスを含めないでください。手動でインストールする必要があります。
X が必要な場合は、後で必要なパッケージをインストールできます。グラフィカルデスクトップ環境のインストール方法は、https://access.redhat.com/site/solutions/5238 のナレッジベースの記事を参照してください。

9.3.5. ユーザーがログインすると X サーバーがクラッシュする

ユーザーのログイン時に X サーバーのクラッシュに問題がある場合は、1 つ以上のファイルシステムが満杯になるか、ほぼ満杯になる可能性があります。原因がファイルシステムにあるかどうかを確認するため次のコマンドを実行します。
$ df -h
出力は、どのパーティションが満杯であるかを診断するのに役立ちます。ほとんどの場合、問題は /home パーティションにあります。以下は、df コマンドの出力例です。
Filesystem                                  Size  Used Avail Use% Mounted on
/dev/mapper/vg_rhel-root                     20G  6.0G   13G  32% /
devtmpfs                                    1.8G     0  1.8G   0% /dev
tmpfs                                       1.8G  2.7M  1.8G   1% /dev/shm
tmpfs                                       1.8G 1012K  1.8G   1% /run
tmpfs                                       1.8G     0  1.8G   0% /sys/fs/cgroup
tmpfs                                       1.8G  2.6M  1.8G   1% /tmp
/dev/sda1                                   976M  150M  760M  17% /boot
/dev/dm-4                                    90G   90G     0 100% /home
上記の例では、/home パーティションが満杯になり、クラッシュの原因になっていることがわかります。不必要なファイルを削除して領域を解放します。ディスク領域の一部を解放したら、startx コマンドを使用して X を起動します。
df に関する詳細情報と、利用可能なオプション(この例では -h オプションなど)の詳細は、df (1) の man ページを参照してください。

9.3.6. RAM が認識されませんか ?

カーネルがメモリー (RAM) すべてを認識しないことがあり、これが原因でシステムは実際にインストールされているメモリーより少ないメモリーしか使用しなくなります。free -m コマンドを使用すると、使用されている RAM の容量を確認できます。表示されるメモリー合計が期待と異なる場合、少なくとも 1 つのメモリーモジュールで障害が発生している可能性が高くなります。BIOS ベースのシステムでは、Memtest86+ ユーティリティーを使用してシステムのメモリーをテストできます。詳細は、「メモリー (RAM) テストモードの読み込み」 を参照してください。
注記
システム用に RAM としてメモリーの一部が予約され、メインシステムではその部分が使用できなくなっているハードウェア設定があります。特に、統合型グラフィックカードが搭載されているラップトップコンピューターなどは、GPU 用としてメモリーの一部が予約されます。たとえば、4 GiB の RAM と統合型 Intel グラフィックカードを搭載しているラップトップでは、約 3.7 GiB しか使用可能なメモリーとして表示されません。
また、ほとんどの Red Hat Enterprise Linux システムでデフォルトで有効になっている kdump クラッシュカーネルダンプメカニズムは、プライマリーカーネルがクラッシュした場合に使用されるセカンダリーカーネル用にメモリーの一部を確保します。また、free コマンドを使用する場合、この予約メモリーは利用可能として表示されません。kdump とそのメモリー要件の詳細は、Red Hat Enterprise Linux 7 カーネルクラッシュダンプガイド を参照してください。
メモリーに問題がないことを確認したら、mem= カーネルオプションを使用して手動でメモリーの容量を設定できます。

手順9.7 メモリーを手作業で設定する

  1. コンピューターを起動してブートローダーメニューが表示されるまで待ちます。ブートローダーのタイムアウト期間を 0 に設定すると、Esc キーを押すと、それにアクセスします。
  2. ブートローダーメニューが表示されたら、カーソルキーを使用して起動するエントリーを強調表示し、e キーを押してこのエントリーのオプションを編集します。
  3. オプション一覧でカーネル行を探します。カーネル行は linux (場合によっては linux16)で始まります。以下のオプションをこの行の最後に追加します。
    mem=xxM
    xx の部分は実際の容量を MiB 単位で入力してください。
  4. F10 または Ctrl+X を押して、編集したオプションでシステムを起動します。
  5. システムの起動を待ってログインします。次に、コマンドラインを開き、free -m コマンドを再度実行します。コマンドで表示される RAM の合計サイズが期待値と一致する場合は、/etc/default/grub ファイルの GRUB_CMDLINE_LINUX で始まる行に以下を追加して、変更を永続化します。
    mem=xxM
    xx の部分は実際の容量を MiB 単位で入力してください。
  6. ファイルの更新、保存が終了したら、ブートローダー設定を更新して変更を反映させます。次のコマンドを root 権限で実行します。
    # grub2-mkconfig --output=/boot/grub2/grub.cfg
/etc/default/grub では、上記の例は以下のようになります。
GRUB_TIMEOUT=5
GRUB_DISTRIBUTOR="$(sed 's, release.*$,,g' /etc/system-release)"
GRUB_DEFAULT=saved
GRUB_DISABLE_SUBMENU=true
GRUB_TERMINAL_OUTPUT="console"
GRUB_CMDLINE_LINUX="rd.lvm.lv=rhel/root vconsole.font=latarcyrheb-sun16 rd.lvm.lv=rhel/swap $([ -x /usr/sbin/rhcrashkernel.param ] && /usr/sbin/rhcrashkernel-param || :) vconsole.keymap=us rhgb quiet mem=1024M"
GRUB_DISABLE_RECOVERY="true"
GRUB2 ブートローダーの使用方法 の詳細は、Red Hat Enterprise Linux 7 システム管理者のガイド を参照してください。

9.3.7. signal 11 エラーが表示される

セグメンテーション違反 と呼ばれる signal 11 エラーとは、割り当てられていないメモリーにプログラムがアクセスを行ったという意味です。インストールされているソフトウェアプログラムのいずれかにバグがあったり、ハードウェアに障害があると signal 11 エラーが発生する場合があります。
インストール時に致命的なシグナル 11 エラーが発生した場合は、最初に最新のインストールイメージを使用していることを確認し、Anaconda に検証して、それらが破損していないことを確認します。signal 11 エラーの原因として不良インストールメディア (書き込みが不適切だったり、傷が付いている光学ディスクなど) がよく見られます。インストールを行う前には、必ずインストールメディアの整合性を確認することが推奨されます。
最新のインストールメディアを取得する方法は、2章Red Hat Enterprise Linux のダウンロード を参照してください。インストールを開始する前にメディアチェックを実行するには、起動メニューに rd.live.check 起動オプションを追加します。詳細は 「起動メディアの検証」 を参照してください。
メディアチェックではエラーは検出されず、それでもセグメンテーション違反を受け取る場合は、通常、ハードウェア関連のエラーに遭遇していることを意味します。このような場合、システムのメモリー (RAM) に問題がある可能性がもっとも高いと言えます。これは、以前に同じコンピューターで別のオペレーティングシステムをエラーなしで使用した場合でも、問題になる可能性があります。BIOS ベースのシステムでは、インストールメディアに含まれる Memtest86+ メモリーテストモジュールを使用して、システムのメモリーを完全にテストできます。詳細は 「メモリー (RAM) テストモードの読み込み」 を参照してください。
これ以外に考えられる原因は、本書では扱いません。ハードウェアの製造元より提供されているドキュメントや『Red Hat Hardware Compatibility List (Red Hat ハードウェア互換性一覧)』 (https://hardware.redhat.com) などを参照してください。

パート II. IBM Power Systems - インストールと起動

Red Hat Enterprise Linux インストールガイド』 のこのパートでは、IBM Power Systems サーバーへのインストールおよび基本的なトラブルシューティングについて説明します。IBM Power Systems サーバーには、IBM PowerLinux サーバーならびに Linux を稼働する POWER7、POWER8、および POWER9 Power Systems サーバーが含まれます。高度なインストールオプションは、パートIV「高度なインストールオプション」 を参照してください。
重要
Red Hat Enterprise Linux の以前のリリースでは、32 ビットおよび 64 ビットの Power Systems サーバー(それぞれppc および ppc64 )に対応していました。Red Hat Enterprise Linux 7 は、64 ビットの Power Systems サーバー(ppc64)のみをサポートしています。

第10章 IBM Power Systems へのインストールプラン

本章では、インストールする上で決定しておく必要のある各種の事項について説明しています。

10.1. アップグレードまたはインストールの選択

自動インプレースアップグレードがサポートされるようになりましたが、サポートは現在 AMD64 および Intel 64 システムに限定されます。IBM Power Systems サーバーに以前の Red Hat Enterprise Linux リリースのインストールが存在する場合は、クリーンインストールを実行して Red Hat Enterprise Linux 7 に移行する必要があります。クリーンインストールとは、システムの全データのバックアップ、ディスクパーティションのフォーマット化、インストールメディアからの Red Hat Enterprise Linux のインストール、最後にユーザーのデータ復元の順で行う方法です。

10.2. ハードウェアの互換性について

Red Hat Enterprise Linux 7 (ビッグエンディアン) は、POWER7、POWER8、および POWER9 のプロセッサーシリーズを使用する IBM Power Systems サーバーと互換性があります。POWER6 およびそれ以前のプロセッサーはサポートされなくなりました。
Red Hat Enterprise Linux では、IBM Power Systems 向けにリトルエンディアンバリアントも提供されます。このバリアントは現在 POWER8 および POWER9 プロセッサーとの互換性があり、Power 向け Red Hat Enterprise Virtualization、PowerVM、および PowerNV (ベアメタル) 上での KVM ゲストとしてサポートされています。
対応しているハードウェアの最新一覧は、https://access.redhat.com/ecosystem/search/#/category/Server にある 『Red Hat Hardware Compatibility List』 で確認できます。システム要件の一般的な情報については、Red Hat Enterprise Linux テクノロジーの機能と制限も参照してください。

10.3. IBM インストールツール

IBM Installation Toolkit は、IBM Power Systems への Linux のインストールを迅速化するオプションのユーティリティーで、特に Linux に精通していない方に役立ちます。IBM Installation Toolkit を使用して以下を行うことができます。[1]
  • 仮想化していない IBM Power Systems サーバーで Linux のインストールと設定を行います。
  • 論理パーティション (LPAR、仮想化サーバーとも呼ばれる) を設定済みのサーバーに Linux のインストールと設定を行います。
  • 新しい Linux システムまたは既にインストール済みの Linux システムに IBM サービスと生産性ツールをインストールします。IBM サービスと生産性ツールには動的な論理パーティション (DLPAR) ユーティリティーが含まれています。
  • IBM Power Systems サーバーでシステムのファームウェアレベルをアップグレードします。
  • 既にインストール済みのシステムで診断またはメンテナーンスを行います。
  • LAMP サーバー (ソフトウェアスタック) とアプリケーションのデータを System x から System p のシステムに移行します。LAMP サーバーはオープンソースソフトウェアのバンドルになります。LAMP は、Linux、Apache HTTP ServerMySQL リレーショナルデータベース、PHP (または Perl または Python)言語の頭文字です。
IBM Installation Toolkit for PowerLinux のドキュメントは、Linux Information Center ( http://publib.boulder.ibm.com/infocenter/lnxinfo/v3r0m0/topic/liaan/powerpack.htm)にあります。
PowerLinux サービスと生産性ツールはオプションのツールセットです。ハードウェアサービス診断支援ツール、生産性ツール、インストール支援ツール、および POWER7、POWER6、POWER5、POWER4 をベースとした IBM サーバーへの Linux OS インストール支援ツールなどが含まれています。
このサービスおよび生産性ツールに関するドキュメントは Linux Information Center でご覧ください (http://publib.boulder.ibm.com/infocenter/lnxinfo/v3r0m0/topic/liaau/liaauraskickoff.htm)。


[1] このセクションは以前に IBM の Linux information for IBM systems リソースにて公開されていました (http://publib.boulder.ibm.com/infocenter/lnxinfo/v3r0m0/index.jsp?topic=%2Fliaay%2Ftools_overview.htm)

10.4. IBM Power Systems サーバーの準備

重要
実際のベースブートパラメーター が c00000 に設定されていることを確認してください。設定されていないと、以下のようなエラーが表示される可能性があります。
DEFAULT CATCH!, exception-handler=fff00300
IBM Power Systems サーバーでは、パーティション設定、仮想デバイス、ネイティブのデバイス、コンソールなどで多くのオプションが提供されています。
パーティション設定されていないシステムを使用する場合、インストール前のセットアップは必要ありません。HVSI シリアルコンソールを使用するシステムの場合には、コンソールを T2 シリアルポートに接続します。
パーティション設定されたシステムを使用する場合、パーティション作成およびインストール開始の手順はほぼ同じです。HMC でパーティションを作成し、CPU、メモリーのリソース、SCSI、イーサネットのリソースなどを適宜割り当てます。仮想、ネイティブいずれでも構いません。HMC のパーティション作成ウィザードを使用すると手順を追って作成することができます。
パーティションの作成方法については、IBM Systems Hardware Information Center が提供している『Partitioning for Linux with an HMC』を参照してください。http://publib.boulder.ibm.com/infocenter/powersys/v3r1m5/topic/iphbi_p5/iphbibook.pdf でご覧いただけます。
ネイティブではなく仮想の SCSI リソースを使用する場合には、まず先に仮想 SCSI によるパーティションへのリンクを設定してから、仮想 SCSI 提供のパーティション自体を設定してください。HMC で仮想 SCSI クライアントとサーバーのスロット間にリンクを作成します。仮想 SCSI サーバーは VIOS (Virtual I/O Server) または IBM i のいずれで設定しても構いません。ご使用のモデルやオプションによります。
Intel iSCSI Remote Boot を使用してインストールする場合は、接続されているすべての iSCSI ストレージデバイスを無効にする必要があります。無効にしないとインストールは成功しますが、インストールしたシステムが起動しなくなります。
仮想デバイスの使用方法については、IBM Redbooks 資料のVirtualizing an Infrastructure with System p and Linuxを参照してください。http://publib-b.boulder.ibm.com/abstracts/sg247499.html でご覧いただけます。
システムの設定が完了したら、HMC からアクティベートするか電源をオンにする必要があります。インストールの種類によっては、SMS が正しくインストールプログラムをブートするよう設定する必要がある場合があります。

10.5. インストール先として対応しているターゲット

インストールターゲットは、Red Hat Enterprise Linux を格納し、システムを起動するストレージデバイスです。Red Hat Enterprise Linux は、AMD64 および Intel 64 のシステム向けの、以下のインストールターゲットをサポートします。
  • SCSI、SATA、SAS などの標準的な内部インターフェイスで接続するストレージ
  • ファイバーチャネルのホストバスアダプターおよびマルチパスのデバイス。製造元が提供しているドライバーが必要な場合があります。
  • 仮想化クライアントの LPAR 内の仮想 SCSI (vSCSI) を使用する場合は、Power Systems サーバーへの仮想化インストールにも対応します
Red Hat では USB ドライブや SD メモリーカードへのインストールはサポートしていません。サードパーティーによる仮想化技術のサポートについては、https://hardware.redhat.com でオンラインの『Red Hat Hardware Compatibility List』 (Red Hat ハードウェア互換性一覧) を参照してください。
重要
IBM Power Systems サーバーでは、16GB の huge pages (大容量ページ) がシステムまたはパーティションに割り当てられているのにカーネルコマンド行に huge page のパラメーターが含まれていないと、eHEA モジュールによる初期化が失敗します。このため、IBM eHEA イーサネットアダプターを使ってネットワークインストールを行う際は、インストール時にシステムやパーティションに対して huge page を割り当てることはできません。代わりに large pages を使用してください。

10.6. システム仕様一覧

インストールプログラムは自動的にコンピューターのハードウェアを検出してインストールするため、通常はシステムに関する詳細を入力する必要はありません。ただし、特定のタイプのインストールを実行する際には、ハードウェアの詳細を把握しておくことが重要です。このため、インストールのタイプにより、インストールに備えて以下のようなシステムの仕様を記録しておくことをお勧めします。
  • パーティションのレイアウトをカスタマイズする予定の場合は、以下の詳細をメモしておきます。
    • システムに接続されているハードドライブのモデル番号、サイズ、種類、およびインタフェース。たとえば、SATA0 上には Seagate 製 ST3320613AS (320 GB)、SATA1 上には Western Digital WD7500AAKS (750 GB) です。こうすることで、パーティション設定の段階で該当するハードドライブが識別できるようになります。
  • Red Hat Enterprise Linux を既存のシステム上に追加のオペレーティングシステムとしてインストールしている場合は、以下を記録しておきます。
    • システムで使用するパーティションについての情報。これには、ファイルシステムのタイプ、デバイスのノード名、ファイルシステムのラベル、およびサイズが含まれます。これにより、パーティション設定のプロセス中に特定のパーティションを識別できるようになります。オペレーティングシステムによってパーティションとドライブの特定方法は異なることから、別のオペレーティングシステムが Unix であったとしても、Red Hat Enterprise Linux は異なるデバイス名でレポートする可能性があることに留意してください。この情報は、通常 mount コマンドおよび blkid コマンドを実行して確認でき、/etc/fstab ファイルにあります。
      すでに他のオペレーティングシステムをインストールしている場合、Red Hat Enterprise Linux 7 のインストールプログラムはそのオペレーティングシステムを自動検出して起動するよう設定します。他のオペレーティングシステムが正しく検出されない場合は手作業で設定できます。詳細は、「ブートローダーのインストール」 を参照してください。
  • ローカルのハードドライブ上にあるイメージからのインストールを予定している場合は、以下をメモしておきます。
    • 該当のイメージを格納しているハードドライブとディレクトリー
  • ネットワーク上の場所からのインストールを予定している場合は、以下をメモしておきます。
    • システム上のネットワークアダプターの製造元とモデル番号 (たとえば、Netgear 社製の GA311 など)。ネットワークを手動で設定する場合にアダプターを特定できるようになります。
    • IP、DHCP、および BOOTP のアドレス
    • ネットマスク
    • ゲートウェイの IP アドレス
    • 1 つ以上のネームサーバーの IP アドレス (DNS)
    • FTP サーバー、HTTP (web) サーバー、HTTPS (web) サーバー、または NFS サーバー上にあるインストールソースの場所
    上記のネットワークに関する要件や用語が不明な場合は、ネットワーク管理者にお問い合わせください。
  • iSCSI ターゲットにインストールを予定している場合は、以下をメモしておきます。
    • iSCSI ターゲットの場所ネットワークによっては、CHAP ユーザー名とパスワードと、リバース CHAP ユーザー名とパスワードが必要になる場合があります。
  • 使用コンピューターがドメインの一部である場合は、以下をメモしておきます。
    • ドメイン名が DHCP サーバーにより提供されることを確認してください。提供されない場合は、インストール中にドメイン名を手動で入力する必要があります。

10.7. ディスク領域およびメモリーに関する要件

Red Hat Enterprise Linux など、最新のオペレーティングシステムは ディスクパーティション を使用します。Red Hat Enterprise Linux をインストールする場合は、ディスクパーティションを操作する必要があります。ディスクパーティションの詳細は、付録A ディスクパーティションの概要 を参照してください。
Red Hat Enterprise Linux で使用されるディスク領域は、システムにインストールしている可能性のある他のオペレーティングシステムで使用されるディスク領域とは別にしてください。
注記
IBM Power Systems サーバーの場合、少なくとも 3 つのパーティション(/swap、および PReP 起動パーティション)を Red Hat Enterprise Linux 専用にする必要があります。
Red Hat Enterprise Linux をインストールするには、パーティションが分割されていないディスク領域か、削除できるパーティション内に、最低 10 GiB の容量が必要です。パーティションおよびディスク領域の推奨事項については、「推奨されるパーティション設定スキーム」 で説明している推奨のパーティション設定サイズを参照してください。
Red Hat Enterprise Linux には、少なくとも以下のメモリー容量が必要です。
インストールタイプ 必要最小限の RAM サイズ
ローカルメディアによるインストール (USB, DVD) 1,280 MiB
NFS ネットワークインストール 1,280 MiB
HTTP、HTTPS、または FTP ネットワークインストール 1,664 MiB
キックスタートファイルを使用して Red Hat Enterprise Linux をインストールする場合には、手動インストールと同じ最小メモリー要件があります。ただし、使用するキックスタートファイルで、新たなメモリーを必要とするコマンドやデータを RAM ディスクに書き込むコマンドを実行する場合は、追加の RAM が必要になることもあります。
Red Hat Enterprise Linux 7 の最小要件および技術的制限については、Red Hat カスタマーポータルのRed Hat Enterprise Linux technology capabilities and limitsの記事を参照してください。

10.8. RAID と他のディスクデバイス

Red Hat Enterprise Linux の使用時に、特別な注意を必要とするストレージ技術があります。一般的には、こうした技術の設定方法、Red Hat Enterprise Linux からの可視性、またこのストレージ技術に対するサポートのメジャーバージョン間での変更などを理解することが重要になります。

10.8.1. ハードウェア RAID

RAID (Redundant Array of Independent Disks) を使用すると、複数のドライブで設定される 1 つのグループまたはアレイを単一のデバイスとして動作させることができます。インストールを開始する前に、コンピューターのメインボードで提供される RAID 機能をすべて設定するか、またはコントローラーカードを接続しておいてください。アクティブな RAID アレイは、それぞれ Red Hat Enterprise Linux 内で 1 つのドライブとして表示されます。

10.8.2. ソフトウェア RAID

システムに複数のハードドライブが搭載されている場合は、Red Hat Enterprise Linux インストールプログラムを使用して、複数のドライブを 1 つの Linux ソフトウェア RAID アレイとして動作させることができます。ソフトウェア RAID アレイを使用すると、RAID 機能は専用のハードウェアではなく、オペレーティングシステムによって制御されることになります。機能の詳細は「手動パーティション設定」で説明しています。
注記
以前から存在している RAID アレイのメンバーデバイスがすべてパーティション設定されていないディスクまたはドライブの場合、インストーラーはアレイ自体をディスクとして扱い、アレイを削除する方法は提供しません。

10.8.3. USB ディスク

インストール後に外付け USB ストレージを接続して設定できます。こうしたデバイスのほとんどはカーネルでの認識後に使用できるようになります。
一部の USB ドライブはインストールプログラムで認識されないことがあります。インストール時にこのような USB ドライブの設定がどうしても必要な場合以外、問題が発生するのを避けるため取り外しておいてください。

10.9. インストーラーの起動方法の選択

各種方法で、Red Hat Enterprise Linux 7 インストールプログラムを起動できます。インストールメディアにより選択する方法が異なります。
注記
インストールメディアは、キックスタートファイルの %post セクションの実行時になど、インストール全体で引き続きマウントされる必要があります。
完全インストール DVD または USB ドライブ
完全インストール DVD または ISO イメージから起動メディアを作成できます。この場合には、DVD または USB ドライブ は、起動デバイスとソフトウェアパッケージのインストールソース両方のロールを果たすため、このドライブ 1 つでインストールをすべて完了できます。完全インストール向けに DVD または USB ドライブの作成方法については3章メディアの作成を参照してください。
最小限の起動 CD、DVD または USB フラッシュドライブ
最小限のブート CD、DVD、または USB フラッシュドライブは、システムの起動とインストールの開始に必要なデータだけが含まれる、小さい ISO イメージを使用して作成されます。この起動メディアを使用する場合には、パッケージをインストールする追加のインストールソースが必要になります。ブート CD、DVD、および USB フラッシュドライブを作成する方法は、3章メディアの作成 を参照してください。
PXE サーバー
PXE (preboot execution environment) サーバーを使用すると、インストールプログラムをネットワーク経由で起動させることができます。システムを起動したら、ローカルのハードドライブやネットワーク上の場所など、別途用意したインストールソースを使ってインストールを完了させます。PXE サーバーの詳細は24章ネットワークからのインストールの準備を参照してください。

10.10. キックスタートを使用したインストールの自動化

Red Hat Enterprise Linux 7 では、キックスタートファイル を使用してインストールプロセスを部分的または完全に自動化する方法を提供します。キックスタートファイルには、システムで使用するタイムゾーン、ドライブのパーティション設定、インストールするパッケージなど、通常、インストールプログラムで入力が求められる質問すべてに対する答えが含まれています。このため、インストール開始時にキックスタートファイルが用意されていると、ユーザーによる作業をを必要とせずに、すべてまたは一部を自動インストールできるようになります。これは、Red Hat Enterprise Linux を多数のシステムに一度にデプロイする場合などに特に便利です。
インストールを自動化する以外にも、キックスタートファイルを使用すると、ソフトウェア選択の幅を広げることができます。グラフィカルインストールインターフェイスで Red Hat Enterprise Linux を手動でインストールする場合には、ソフトウェアの選択肢は、事前定義されている環境とアドオンに限定されます。キックスタートファイルを使用すると、パッケージを個別にインストールしたり、除外したりできます。
キックスタートファイルを作成してインストールを自動化する方法は、27章キックスタートを使ったインストール を参照してください。

第11章 IBM Power Systems へのインストール中におけるドライバー更新

ほとんどの場合、Red Hat Enterprise Linux にはシステムを設定するデバイスのドライバーがすでに含まれています。しかし、かなり最近にリリースされたハードウェアが搭載されている場合、そのハードウェア用のドライバーはまだ含まれていない可能性があります。新しいデバイスのサポートを提供するドライバー更新は Red Hat やハードウェアの製造元から、RPM パッケージ が含まれる ドライバーディスク の形で入手することができる場合があります。通常、ドライバーディスクは ISO イメージファイル としてダウンロードできます。
重要
ドライバーの更新は、そのドライバーがないとインストールを正常に完了できない場合に限定してください。常に、カーネルに含まれるドライバーを、他の方法で提供されるドライバーよりも優先させてください。
インストールプロセス中に新しいハードウェアが必要になることはほぼありません。たとえば、ローカルのハードドライブへのインストールに DVD を使用する場合は、ネットワークカード用のドライバーがなくてもインストールは成功します。このような場合、インストールを完了してから、新しいハードウェアのサポートを追加します。サポート追加に関する詳細は、Red Hat Enterprise Linux 7 システム管理者のガイド を参照してください。
他の状況では、インストールプロセスでデバイスのドライバーを追加して特定の設定に対応する必要がある場合があります。たとえば、ネットワークデバイス用のドライバーやストレージのアダプターカードなどをインストールして、インストールプログラムがシステムで使用するストレージデバイスにアクセスできるようにする場合などです。インストール中にこうしたサポートを追加するには、次のいずれかの方法でドライバーディスクを使用します。
  1. インストールプログラムがアクセスできる場所に直接ドライバーディスクの ISO イメージファイルを配置します (ローカルのハードドライブ、USB フラッシュドライブ、CD、DVD など)。
  2. イメージファイルからドライバーディスクを作成します (CD、DVD、USB フラッシュドライブなど)。ISO イメージファイルの CD/DVD への書き込み方法などについては「インストール CD または DVD の作成」 でインストールディスクの作り方を、USB ドライブへの書き込み方法に関しては 「USB インストールメディアの作成」 を参照してください。
Red Hat、ハードウェアの製造元、または信頼できるサードパーティーなどによってインストール中のドライバー更新が必要であることが明示されている場合には、本章で説明している方法の中から 1 つ選択し、検証してからインストールを実行するようにしてください。逆に、お使いのシステムでドライバーの更新が必要かどうかが不明な場合には、ドライバーは更新しないでください。システム上に対象外のドライバーが存在すると、サポートが複雑になる可能性があります。
警告
ドライバー更新ディスクは、必要に応じて競合するカーネルドライバーを無効にする場合があります。この方法でカーネルモジュールをアンロードすると、インストールエラーが発生することがあります。

11.1. インストール中にドライバーを更新するための準備

ハードウェア用のドライバー更新が必要で、その更新が利用可能になっている場合、通常、Red Hat やハードウェアの製造元など信頼できるサードパーティーから ISO 形式のイメージファイルが提供されます。ISO イメージを取得したら、ドライバー更新の実行に使用する方法を決める必要があります。
次のような方法があります。
ドライバーの自動更新
インストールを開始すると、Anaconda インストールプログラムは接続されているすべてのストレージデバイスの検出を試みます。インストールの開始時に OEMDRV というラベルの付いたストレージデバイスがある場合、Anaconda は常にドライバー更新ディスクとして扱い、そこに存在するドライバーを読み込みます。
アシスト付きのドライバー更新
インストールを開始するときに、inst.dd 起動オプションを指定できます。パラメーターを指定せずにこのオプションを使用すると、Anaconda はシステムに接続されているすべてのストレージデバイスの一覧を表示し、ドライバー更新を含むデバイスを選択するよう求められます。
手動によるドライバー更新
inst.dd=location 起動オプションは、インストールの開始時に指定しますが、location は、ドライバー更新ディスクまたは ISO イメージのパスになります。このオプションを指定すると、Anaconda は、指定した場所にあるドライバー更新を読み込もうとします。手動のドライバー更新では、ローカルで利用可能なストレージデバイスまたはネットワークの場所( HTTPHTTPS、または FTP サーバー)のいずれかを指定できます。
注記
inst.dd=locationinst.dd の両方を同時に使用することも可能です。ただし、この場合は Anaconda の機能は、使用する 場所 のタイプによって異なります。デバイスの場合、Anaconda は指定されたデバイスから更新するドライバーを選択するように要求し、追加のデバイスを提供します。location がネットワークの場所の場合、Anaconda はドライバー更新を含むデバイスを選択し、指定したネットワークの場所からドライバーを更新するよう要求します。
ドライバーの自動更新方法を使用する場合は、OEMDRV というラベルが付いたストレージデバイスを作成する必要があります。また、インストールシステムに物理的に接続されている必要があります。アシスト付き方法を使用するには、OEMDRV 以外の任意のラベルを使用して、任意のローカルストレージデバイスを使用できます。手動で行う場合は、別のラベルでローカルストレージを使用するか、インストールするシステムからアクセスが可能なネットワーク上の場所を使用することもできます。
重要
ネットワーク経由でドライバーの更新を読み込むときは、ip= オプションを使用してネットワークを初期化します。詳細は 「ブートメニューによるインストールシステムの設定」 を参照してください。

11.1.1. ドライバー更新用の ISO ファイルをローカルのストレージデバイスで使用するための準備

ハードドライブや USB フラッシュドライブなど、ローカルのストレージデバイスを使用して ISO ファイルを提供する場合は、デバイスに適切なラベルを付けることでインストールプログラムがデバイスを自動的に認識するようにできます。これができない場合に限り、以下のように手動でドライバー更新をインストールしてください。
  • インストールプログラムがドライバーディスクを自動的に認識できるようにするには、ストレージデバイスのボリュームラベルを OEMDRV にする必要があります。また、ISO イメージ自体をコピーするのではなく、その内容をストレージデバイスのルートディレクトリーに抽出します。「ドライバーの自動更新」 を参照してください。手動インストールの場合、OEMDRV というラベルの付いたデバイスからのドライバーのインストールが常に推奨され、推奨されることに注意してください。
  • 手動インストールでは、ストレージデバイスに ISO イメージを単一ファイルとしてコピーするだけです。ファイル名は便利ですが、ファイル名の拡張子は変更しないでください。これは .iso のままにします(例: dd.iso )。インストール時にドライバーの更新を手動で選択する方法は、「アシスト付きのドライバー更新」 を参照してください。

11.1.2. ドライバー更新用 ISO ファイルを提供するディスク (CD または DVD) の準備

CD または DVD にドライバー更新用ディスクを作成することができます。イメージファイルをディスクへ書き込む方法は 「インストール CD または DVD の作成」 を参照してください。
ドライバー更新用ディスクの CD または DVD を作成したら、システムにディスクを挿入し、ファイルマネージャーで表示して、そのディスクが正常に作成されたか確認します。rhdd3 という名前のファイルが 1 つ表示されるはずです。これは、ドライバーディスクの説明が含まれる署名ファイルと、rpms という名前のディレクトリーです。このディレクトリーには、さまざまなアーキテクチャー用のドライバーを持つ RPM パッケージが含まれます。
末尾が .iso のファイルが 1 つしかない場合は、ディスクが正しく作成されていないため、再試行する必要があります。GNOME 以外の Linux デスクトップを使用する場合、また は別のオペレーティングシステムを使用している場合は、イメージ の書き込み のようなオプションを選択してください。

11.2. インストール中のドライバー更新

インストールプロセスの冒頭で、以下のいずれかの方法でドライバーを更新します。
  • ドライバー更新の検出と実行をインストールプログラムで自動的に行う
  • ドライバー更新の検索プロンプトをインストールプログラムが表示する
  • ドライバー更新用のイメージまたは RPM パッケージへのパスを手動で指定する
重要
ドライバー更新ディスクは、必ず標準のディスクパーティションに配置してください。ドライバー更新を行うインストールの初期段階では、RAID や LVM ボリュームなどの高度なストレージにはアクセスできない場合があります。

11.2.1. ドライバーの自動更新

インストールプログラムがドライバー更新ディスクを自動的に認識させるには、インストールプロセスを開始する前に、OEMDRV ボリュームラベルの付いたブロックデバイスをコンピューターに接続します。
注記
Red Hat Enterprise Linux 7.2 以降では、OEMDRV ブロックデバイスを使用して、キックスタートファイルを自動的に読み込むこともできます。このファイルは ks.cfg という名前にし、読み込むデバイスのルートに置く必要があります。キックスタートインストールの詳細は、27章キックスタートを使ったインストール を参照してください。
インストールが開始すると、インストールプログラムはシステムに接続している全ストレージを検出します。OEMDRV というラベルが付いたストレージデバイスが見つかると、ドライバー更新ディスクとして扱われ、このデバイスからドライバーの更新を読み込もうとします。読み込むドライバーの選択を求めるプロンプトが表示されます。

図11.1 ドライバーの選択

ドライバーの選択
数字キーを使ってドライバー間を移動します。準備ができたら、c を押して選択したドライバーをインストールし、Anaconda グラフィカルユーザーインターフェイスに進みます。

11.2.2. アシスト付きのドライバー更新

インストール時にドライバーをインストールするのに、常に OEMDRV ボリュームラベルが付いたブロックデバイスを使用することが推奨されます。ただし、そのようなデバイスが検出されず、inst.dd オプションが起動コマンドラインに指定されている場合には、インストールプログラムは対話モードでドライバーディスクを検索できます。最初のステップでは、Anaconda が ISO ファイルをスキャンするローカルのディスクパーティションをリストから選択します。次に、検出された ISO ファイルの中から更新用のファイルを選択します。最後にドライバーを選択します (複数可)。以下の図では、テキストユーザーインターフェイスでこのプロセスを強調表示しています。

図11.2 対話式のドライバー選択

対話式のドライバー選択
注記
ISO イメージファイルを抽出して CD または DVD に書き込んだが、メディアに OEMDRV ボリュームラベルがない場合は、引数なしで inst.dd オプションを使用してデバイスを選択するか、インストールプログラムに以下の起動オプションを使用してメディアをスキャンしてドライバーを探します。
inst.dd=/dev/sr0
数字キーでドライバー間を移動します。準備ができたら、c を押して選択したドライバーをインストールし、Anaconda グラフィカルユーザーインターフェイスに進みます。

11.2.3. 手動によるドライバー更新

手動でドライバーをインストールする場合は、ドライバーを格納する ISO イメージを USB フラッシュドライブや Web サーバーなどアクセスできる場所に配置し、コンピューターに接続しておきます。Welcome 画面で Tab を押して起動コマンドラインを表示し、それに inst.dd= の場所 を追加します。location は、ドライバー更新ディスクへのパスになります。

図11.3 ドライバー更新へのパスの指定

ドライバー更新へのパスの指定
通常、イメージファイルは Web サーバー (http://server.example.com/dd.iso など) または USB フラッシュドライブ (/dev/sdb1 など) に置きます。ドライバー更新を含む RPM パッケージ (http://server.example.com/dd.rpm など) を指定することもできます。
準備ができたら、Enter を押して起動コマンドを実行します。すると、選択したドライバーが読み込まれ、インストールプロセスが正常に進みます。

11.2.4. ブラックリストへのドライバーの登録

正常に動作しないドライバーが原因でインストール時にシステムを起動できない場合があります。このような場合、起動コマンドラインをカスタマイズしてそのドライバーを無効にすることができます (ブラックリストに登録する)。ブートメニューで Tab キーを押してブートコマンドラインを表示します。次に modprobe.blacklist=driver_name を追加します。driver_name の部分に無効にするドライバー名を入力します。以下に例を示します。
modprobe.blacklist=ahci
起動オプション modprobe.blacklist= を使用してインストール時にブラックリストに登録されたドライバーは、インストール済みシステムで無効になり、/etc/modprobe.d/anaconda-blacklist.conf ファイルに表示されることに注意してください。ドライバーをブラックリストに登録する方法とその他の起動オプションについては、23章起動オプションを参照してください。

第12章 IBM Power Systems でのインストールの起動

DVD から IBM Power Systems サーバーを起動するには、System Management Services (SMS)メニューでインストールブートデバイスを指定する必要があります。
System Management Services GUI に入るには、ブートプロセス中に chime サウンドを聞いた時に 1 キーを押します。これにより、このセクションに説明してあるグラフィカルインターフェイスと同様の画面が立ち上がります。
テキストコンソールで、セルフテストでテスト済みのコンポーネントとともにバナーが表示されたら、1 を押します。

図12.1 システム管理サービスのコンソール

システム管理サービスのコンソール
SMS メニューで、Select Boot Options のオプションを選択します。そのメニューで、Select Install または Boot a Device を指定します。CD/DVD を選択し、バスタイプ(ほとんどの場合 SCSI)を選択します。どのタイプか分からない場合は、すべてのデバイスを表示できます。これにより、ネットワークアダプターやハードドライブなど、ブートデバイスに使用できるすべてのバスがスキャンされます。
最後に、インストール DVD を収納しているデバイスを選択します。ブートメニューが読み込まれます。
重要
IBM Power Systems サーバーは主にテキストコンソールを使用するため、Anaconda は自動的にグラフィカルインストールを開始しません。ただし、グラフィカルなインストールプログラムの方が機能やカスタマイズ性に優れているため、システムにグラフィカルなディスプレイが備わっている場合はグラフィカルインストールの使用をお勧めします。
グラフィカルインストールを起動するには、inst.vnc 起動オプションを渡します (リモートアクセスの有効化 を参照)。

12.1. ブートメニュー

システムがブートメディアの読み込みを完了すると、GRUB2 (GRand Unified Bootloader、バージョン 2)を使用してブートメニューが表示されます。起動メニューには、インストールプログラムを起動する以外に、複数のオプションがあります。60 秒以内に何のキーも押さなければデフォルトの起動オプションが実行されます (白色で強調表示されているオプション)。デフォルトを選択するには、タイマーがなくなるまで待機するか、Enter を押します。

図12.2 起動画面

起動画面
デフォルト以外のオプションを選択するには、キーボードの矢印キーを使用して、正しいオプションが強調表示されたら Enter を押します。
特定のメニューエントリーの起動オプションをカスタマイズするには、e キーを押して、コマンドラインにカスタムの起動オプションを追加します。準備ができたら、Ctrl+X を押して変更されたオプションを起動します。
追加の起動オプションは 23章起動オプション を参照してください。
起動メニューのオプションは、以下のようになります。
Install Red Hat Enterprise Linux 7.0
グラフィカルなインストールプログラムを使用してコンピューターシステムに Red Hat Enterprise Linux をインストールする場合にはこの選択肢を実行します。
Test this media & install Red Hat Enterprise Linux 7.0
このオプションがデフォルトです。インストールプログラムを開始する前に、インストールメディアの整合性をチェックするユーティリティーが起動します。
Troubleshooting &gt ;
この項目は別のメニューとなっており、さまざまなインストールの問題を解決する場合に役立ちます。強調表示された場合は、Enter を押してその内容を表示します。

図12.3 トラブルシューティングメニュー

トラブルシューティングメニュー
Install Red Hat Enterprise Linux 7.0 in basic graphics mode
このオプションを使用すると、インストールプログラムがお使いのビデオカードに適したドライバーを読み込むことができない場合でも、グラフィカルモードで Red Hat Enterprise Linux をインストールできます。Install Red Hat Enterprise Linux 7.0 オプションの使用時に画面が廃止または空白になる場合は、コンピューターを再起動してこのオプションを試してください。
Rescue a Red Hat Enterprise Linux system
正常に起動できないインストール済みの Red Hat Enterprise Linux システムの問題を修復する場合にこのオプションを選択します。このレスキュー環境には、こうした多様な問題を修復するためのユーティリティープログラムが用意されています。
Run a memory test
システムでメモリーテストを実行するオプションです。詳細は、「メモリー (RAM) テストモードの読み込み」 を参照してください。
Boot from local drive
インストールが完了した 1 番目のディスクからシステムを起動するオプションです。誤ってインストールディスクから起動してしまった場合は、このオプションを使用するとインストールプログラムを起動させず直ちにハードディスクから起動できます。

12.2. 異なるソースからのインストール

Red Hat Enterprise Linux は、ハードディスクに格納している ISO イメージを使用するか、NFS、FTP、HTTP、HTTPS メソッドを使用してネットワークからインストールできます。ハードディスクやネットワークサーバーからのデータ読み込みは DVD からの読み込みよりも高速なため、経験豊富なユーザーはこれらの方法をよく使用します。
以下の表では、メディアごとに使用できる起動方法と推奨インストール方法について要約しています。
表12.1 起動方法とインストールソース
起動方法 インストールソース
完全インストール用メディア (DVD) インストールも起動した完全インストール用メディア自体を使用します
最小限の起動メディア (CD または DVD) インストールは、ネットワーク上もしくはハードドライブ上に配置しておいた完全インストール用 DVD ISO イメージ、またはこのイメージから抽出したインストールツリーを使用します
ネットワーク起動 インストールは、ネットワーク上に配置しておいた完全インストール用 DVD ISO イメージ、またはこのイメージから抽出したインストールツリーを使用します

12.3. インストールサーバーを使ったネットワークからの起動

ネットワークブートの場合には、インストールサーバーをサポートするコンピューターにネットワークインターフェイス、正しく設定したサーバーが必要です。インストールサーバーの設定方法は「GRUB2 を使用した IBM Power Systems 向けのネットワークブートの設定」を参照してください。
SMS メニューで Select Boot Options を選択して Boot/Install Device を選択し、ネットワークインターフェイスから起動するようにコンピューターを設定します。使用可能なデバイス一覧からネットワークデバイスを選択します。
インストールサーバーからの起動を正しく設定したら、 コンピューターは他にメディアがなくても Red Hat Enterprise Linux インストールシステムを起動できるようになります。
サーバーからコンピューターを起動するには以下を実行します。

手順12.1 ネットワークからインストールプログラムを起動する

  1. ネットワークケーブルが接続されていることを確認します。コンピューターの電源がオンになっていない場合でも、ネットワークソケットのリンクインジケーターのライトがオンになっているはずです。
  2. コンピューターのスイッチをオンにします。
  3. ネットワーク設定と診断に関する情報は通常、コンピューターがサーバーに接続する前に表示されます。ただし、これは使用しているハードウェアによって異なります。目的のオプションに該当する数字キーを押します。目的のオプションに該当する数字キーを押します。どのオプションを選択したらよいかわからない場合は、サーバー管理者に問い合わせてください。
システムがネットワークインストールサーバーから起動しない場合は、適切なネットワークインターフェイスが起動順序の 1 番目に設定されているか SMS を確認してください。詳細はハードウェアのドキュメントをご覧ください。
重要
vmlinuz イメージおよび initrd.img イメージを使用して、ネットワーク経由でシステムを起動します。ppc64.img イメージを使用してネットワーク経由で起動することはできません。TFTP の場合は、ファイルが大きすぎます。

第13章 Anaconda を使用したインストール

本章では、Anaconda インストーラーを使用して Red Hat Enterprise Linux をインストールする手順を説明します。本章の大部分では、グラフィカルユーザーインタフェースを使用したインストールを説明しています。グラフィカルディスプレイのないシステムではテキストモードが利用できますが、このモードは特定の機能 (カスタマイズのパーティション設定ができないなど) に制限があります。
お使いのシステムにグラフィカルモードを使用する機能がない場合は、以下が可能です。
  • 27章キックスタートを使ったインストール の説明に従って、キックスタートを使用してインストールを自動化する。
  • VNC (Virtual Network Computing) プロトコルを使用して、グラフィカルディスプレイのある別のコンピューターからインストールシステムにリモートで接続して、グラフィカルインストールを実行する。25章VNC の使用を参照してください。

13.1. Anaconda の概要

Red Hat Enterprise Linux インストーラーである Anaconda は、その並列性があるため、他のほとんどのオペレーティングシステムのインストールプログラムとは異なります。ほとんどのインストーラーは、最初に言語の選択、次にネットワークの設定、それからインストールタイプ、パーティション設定、といったように、決まったパスで進められます。ある時点ですすめる方向は通常、1 つのみです。
Anaconda では、最初に言語とロケールのみを選択するだけで、中央画面が表示され、任意の順序でインストールのほとんどの側面を設定できます。これはインストールのすべての部分に該当するわけではありません。たとえば、ネットワークからインストールする場合は、インストールするパッケージが選択可能となる前にネットワークを設定する必要があります。
お使いのハードウェアやインストールを開始するメディアタイプによっては、自動で設定される画面もいくつかあります。その場合でも、検出された設定は変更することが可能です。自動設定されず、インストール前にユーザーの作業が必要となる画面には、感嘆符が付いています。実際のインストールプロセスを開始するには、これらの設定を完了する必要があります。
中央の画面では、他にも違いがあります。特に、カスタムのパーティション設定プロセスは他の Linux ディストリビューションとは非常に異なります。これらの違いについては、各画面のサブセクションで説明します。

13.2. インストール中のコンソールとロギング

以下のセクションでは、インストール中にログと対話式のシェルにアクセスする方法を説明しています。これは問題解決に役立ちますが、ほとんどの場合では必要ないはずです。

13.2.1. コンソールへのアクセス

Red Hat Enterprise Linux インストーラーは、tmux ターミナルマルチプレクサーを使用して、メインインターフェイスに加えて使用できる複数のウィンドウを表示および制御します。これらのウィンドウはそれぞれ目的が異なるため、インストール中に問題のトラブルシューティングに使用できるいくつかの異なるログを表示します。ウィンドウの 1 つは、起動オプションまたはキックスタートコマンドを使用して明示的に無効になっていない限り、root 権限のある対話式シェルプロンプトを提供します。
注記
一般的に、インストール関連の問題を診断する必要がなければ、デフォルトのグラフィカルインストール環境から、他の環境に移動する必要はありません。
端末マルチプレクサーは、仮想コンソール 1 で実行しています。グラフィカルインストール環境から tmux に切り替えるには、Ctrl+Alt+F1 を押します。仮想コンソール 6 で実行されるメインのインストールインターフェイスに戻るには、Ctrl+Alt+F6 を押します。
注記
テキストモードのインストールを選択すると、仮想コンソール 1 (tmux)で起動し、コンソール 6 に切り替えると、グラフィカルインターフェイスではなくシェルプロンプトが開きます。
tmux を実行しているコンソールには、利用可能な画面が 5 つあります。その内容と、それらへのアクセスに使用するキーボードショートカットを以下の表に示します。キーボードショートカットは 2 部分であることに注意してください。まず Ctrl+b を押してから両方のキーを解放し、使用するウィンドウの番号キーを押します。
また、Ctrlb n b p を使用して、それぞれ次または前の tmux 画面に切り替えることもできます。
表13.1 利用可能な tmux ウィンドウ
ショートカット 内容
Ctrl+b 1 メインのインストールプログラム画面。テキストベースのプロンプト (テキストモードのインストール中もしくは VNC Direct モードを使用の場合) とデバッグ情報があります。
Ctrl+b 2 root 権限を持つインタラクティブなシェルプロンプト。
Ctrl+B 3 インストールログ - /tmp/anaconda.log に保存されているメッセージを表示します。
Ctrl+B 4 ストレージログ - /tmp/storage.log に保存されているカーネルおよびシステムサービスからのストレージデバイスに関連するメッセージを表示します。
Ctrl+B 5 プログラムログ - /tmp/program.log に保存されている他のシステムユーティリティーからのメッセージを表示します。
Anaconda は、tmux ウィンドウに診断情報を表示するだけでなく、インストールシステムから転送できるいくつかのログファイルも生成します。これらのログについては 表14.1「インストール中に生成されるログファイル」 を、インストールシステムからの転送方法は、14章IBM Power Systems でのインストールに関するトラブルシューティングを参照してください。

13.2.2. スクリーンショットの保存

グラフィカルインストール時に Shift+Print Screen を押すと、現在の画面をキャプチャできます。これらのスクリーンショットは、/tmp/anaconda-screenshots/ に保存されます。
また、キックスタートファイルで autostep --autoscreenshot コマンドを使用して、インストールの各ステップを自動的にキャプチャーし、保存することができます。詳細は 「キックスタートのコマンドとオプション」 を参照してください。

13.3. テキストモードでのインストール

テキストモードによるインストールでは、Red Hat Enterprise Linux のインストールに対話式で、グラフィカルではないインターフェイスを使用します。これはグラフィカル機能のないシステムでは便利ですが、テキストベースのインストールを開始する前に、常に利用可能な別の方法を検討してください。テキストモードでは、インストール中の選択肢の数に限りがあります。
重要
Red Hat では、Red Hat Enterprise Linux のインストールにはグラフィカルインターフェイスの使用を推奨します。グラフィカルな表示がないシステムに Red Hat Enterprise Linux をインストールする場合は、VNC 接続によるインストールを検討してください。25章VNC の使用 を参照してください。テキストモードでのインストールプログラムでは、VNC ベースのインストールが可能であることを検出すると、テキストモードでのインストールの確認を求めるプロンプトが表示されます。
システムにグラフィカルディスプレイがあり、グラフィカルインストールが失敗した場合は、inst.xdriver=vesa オプションで起動してみてください。23章起動オプション を参照してください。
または、キックスタートを使ったインストールも検討してください。詳細は、27章キックスタートを使ったインストール を参照してください。

図13.1 テキストモードでのインストール

テキストモードでのインストール
テキストモードでのインストールは、グラフィカルインストールと同様のパターンになります。決まった 1 つの方法ではなく、メインのステータス画面を使用して多くの設定を好きな順序で設定することができます。自動またはユーザーによってすでに設定されている画面は [x] とマークされ、インストールを開始する前に注意が必要な画面には [!] のマークが付けられます。利用可能なコマンドは、利用可能なオプション一覧の下に表示されます。
注記
関連するバックグラウンドタスクが実行されている場合、特定のメニューアイテムが一時的に利用できなくなったり、Processing... ラベルを表示したりできます。テキストメニューアイテムの現在のステータスを更新するには、テキストモードプロンプトで r オプションを使用します。
テキストモード画面の下部には、5 つのメニューオプションを表示する緑色のバーがあります。これらのオプションは、tmux ターミナルマルチプレクサーのさまざまな画面を表しています。デフォルトでは画面 1 で開始し、キーボードショートカットを使用して、ログとインタラクティブなコマンドプロンプトを含む他の画面に切り替えることができます。利用可能な画面やそれらへの切り替えに使用するショートカットについては、「コンソールへのアクセス」 を参照してください。
対話式テキストモードでのインストールには以下のような制限があります。
  • インストーラーは常に言語には英語を、キーボードには US English のキーボードレイアウトを使用します。言語とキーボードレイアウトは設定可能ですが、これはインストールされるシステムに適用されるもので、インストール自体には適用されません。
  • 高度なストレージメソッド (LVM、software RAID、FCoE、zFCP、および iSCSI) の設定はできません。
  • カスタムのパーティション設定はできません。自動パーティション設定のいずれかを使用する必要があります。また、ブートローダーのインストール場所を設定することもできません。
  • インストールするパッケージアドオンは選択できません。Yum パッケージマネージャーを使用してインストールの完了後に追加する必要があります。
テキストモードのインストールを開始するには、起動メニューの起動コマンドラインまたは PXE サーバー設定で inst.text 起動オプションを使用してインストールを起動します。起動オプションの使用および起動に関する情報は、12章IBM Power Systems でのインストールの起動 を参照してください。

13.4. HMC vterm の使用

HMC vterm はパーティション設定している IBM Power システム用のコンソールです。HMC のパーティションを右クリックし、Open Terminal Window を選択してコンソールを開きます。一度にコンソールへ接続できる vterm は 1 つのみです。パーティション設定しているシステム用のコンソールアクセスは vterm 以外にはありません。このコンソールを指して 仮想コンソール と呼ぶことがよくありますが、「コンソールへのアクセス」 で説明している仮想コンソールとは異なります。

13.5. グラフィカルユーザーインターフェイスでのインストール

Red Hat Enterprise Linux の手動でのインストールでは、グラフィカルインターフェイスが推奨の方法になります。カスタムのパーティション設定や高度なストレージ設定を含むすべての設定に対して完全な制御ができ、英語以外の多くの言語にローカライズされているので、インストール全体を別の言語で実行できます。ローカルメディア (CD、DVD または USB フラッシュドライブ) からシステムを起動すると、グラフィカルモードがデフォルトで使用されます。

図13.2 インストールの概要 画面

インストールの概要 画面
以下のセクションでは、インストールプロセスで使用可能な各画面について説明しています。インストーラーには並立的な性質があるため、ほとんどの画面は表示されている順序で完了する必要はないことに留意してください。
グラフィカルインターフェイスの各画面には Help ボタンがあります。このボタンをクリックすると、Yelp ヘルプブラウザーが開き、現在の画面に関連する 『Red Hat Enterprise Linux インストールガイド』 のセクションが表示されます。
また、キーボードを使ってグラフィカルインストーラーを制御することもできます。以下の表では、利用可能なショートカットを示しています。
表13.2 グラフィカルインストーラーでのキーボードショートカット
ショートカットキー 用途
Tab タブと Shift+タブ 表示画面上でアクティブな要素 (ボタン、チェックボックスなど) の間を移動します。
Up および Down リストをスクロールします。
left および Right ツールバーとテーブルエントリーを左右にスクロールします。
スペースEnter 選択肢からハイライト表示したアイテムを選択または削除し、ドロップダウンメニューを展開、折りたたみます。
さらに、各画面の要素をそれぞれのショートカットで切り替えることもできます。Alt キーを押すと、これらのショートカットが強調表示されます(下線付き)。その要素を切り替えるには、Alt+X を押します。X は強調表示された文字です。
使用中のキーボードレイアウトは、画面右上に表示されます。デフォルトでは、1 つのレイアウトのみが設定されます。キーボード レイアウト 画面で複数のレイアウトを設定した場合(「キーボードの設定」)は、レイアウトインジケーター をクリックしてそれらのレイアウトを切り替えることができます。

13.6. ようこその画面と言語設定

インストールプログラムの最初の画面は、Red Hat Enterprise Linux へようこそ の画面です。ここでは、Anaconda が残りのインストールに使用する言語を選択します。この選択内容が、後に変更しない限り、インストール済みシステムのデフォルトになります。左側のパネルで、英語 など、任意の言語を選択します。次に、右側のパネルで、English (United States) などの地域に固有のロケールを選択できます。
注記
1 つの言語が一覧の上部に事前に設定されます。この時点でネットワークアクセスが設定されている場合(たとえば、ローカルメディアではなくネットワークサーバーから起動した場合など)、事前に選択した言語は GeoIP モジュールを使用した自動ロケーションの検出に基づいて決定されます。
また、下図で示すように、検索ボックスに任意の言語を入力することもできます。
選択が完了したら、続行 ボタンをクリックして インストールの概要 画面に進みます。

図13.3 言語設定

言語設定
Continue ボタンをクリックすると、サポートされていないハードウェアダイアログが表示される場合があります。これは、カーネルがサポートしていないハードウェアを使用している場合に発生します。

13.7. インストールの概要画面

インストールの概要 画面は、インストールを設定するための中心となる画面です。

図13.4 インストールの概要 画面

インストールの概要 画面
Red Hat Enterprise Linux インストールプログラムでは、画面が次々と表示されるのではなく、ユーザーが選択する順番でインストールを設定できます。
マウスを使って、設定するインストールセクションのメニューアイテムを選択します。セクションの設定が完了したら、またはこのセクションを後で行う場合は、画面の左上にある Done ボタンをクリックします。
警告シンボルのマークが付いたセクションのみが必須です。画面の下部の注で警告されているように、これらをインストールを開始する前に選択する必要があります。残りのセクションはオプションです。各セクションのタイトルの下には、現在の設定の概要が示されます。これを参考にして、該当セクションの設定が必要かどうかを決めることができます。
必要なすべてのセクションが完了したら、Begin Installation ボタンをクリックします。「インストールの開始」 も併せて参照してください。
インストールを取り消すには、Quit ボタンをクリックします。
注記
バックグラウンドで関連タスクが実行されている間は、特定のメニューアイテムが一時的に使用できなくなることがあります。
キックスタートオプションまたは起動コマンドラインオプションを使用してネットワーク上にインストールリポジトリーを指定していても、インストール開始時にネットワークが利用できないと、インストールプログラムにより、インストールの概要 画面を表示する前にネットワーク接続を設定する設定画面が表示されます。

図13.5 ネットワークが検出されない場合のネットワーク設定画面

ネットワークが検出されない場合のネットワーク設定画面
インストール DVD もしくはローカルでアクセス可能なメディアからインストールするため、インストールの完了にネットワークアクセスは必要ないことが明らかな場合はこのステップを省略しても構いません。しかし、ネットワークインストール (「インストールソース」を参照) や高度なストレージデバイスの設定 (「ストレージデバイス」を参照) を行う場合にはネットワーク接続が必要になります。インストールプログラムでネットワークを設定する方法は、「ネットワークとホスト名」 を参照してください。

13.8. 日付と時刻

タイムゾーン、日付、およびオプションでネットワーク時間を設定するには、インストールの概要 画面で 日付 と時刻 を選択します。
タイムゾーンを選択するには、3 つの方法があります。
  • マウスを使って対話式マップをクリックして特定の都市を選択します。選択した都市を示す赤いピンが表示されます。
  • 画面上部の 地域都市の ドロップダウンメニューをスクロールして、タイムゾーンを選択することもできます。
  • 地域 ドロップダウンメニューの下部にある その他 を選択し、次のメニューで GMT/UTC に調整されたタイムゾーン (例: GMT+1) を選択します。
ご自分の都市が地図またはドロップダウンメニューに表示されない場合には、同じタイムゾーンの最も近い主要都市を選択してください。または、キックスタートファイルを使用することもできます。これにより、グラフィカルインターフェイスでは使用できない追加のタイムゾーンを指定できます。の timezone コマンドを参照してください。 timezone (必須) 詳細については。
注記
表示される都市や地域の一覧は Time Zone Database (tzdata) パブリックドメインのものを使用しています。このドメインは Internet Assigned Numbers Authority (IANA) で管理されています。Red Hat は、このデータベースに都市や地域を追加することはできません。詳細は、http://www.iana.org/time-zones の公式の Web サイトを参照してください。
システムクロックの精度を維持するために NTP (Network Time Protocol) を使用する予定であっても、タイムゾーンを指定してください。
ネットワークに接続している場合は、Network Time スイッチが有効になります。NTP を使用して日付と時刻を設定するには、Network Time スイッチを ON の 位置のままにし、設定アイコンをクリックして、Red Hat Enterprise Linux が使用する NTP サーバーを選択します。日付と時刻を手動で設定するには、スイッチを オフの 位置に動かします。システムクロックにより選択タイムゾーンに応じた正しい日付と時刻が画面下部に表示されるはずです。表示された時刻が正しくない場合は手動で調整してください。
インストール時に NTP サーバーが利用できない場合があります。このような場合はネットワーク時間を有効にしても自動設定は行われません。サーバーが利用できるようになると日付と時刻が更新されます。
選択したら、完了 をクリックして インストールの概要 画面に戻ります。
注記
インストールの完了後にタイムゾーンの設定を変更するには、設定 ダイアログウィンドウの 日付と時刻 セクションにアクセスします。

13.9. 言語サポート

追加のロケールおよび言語方言のサポートをインストールするには、インストールの概要 画面から 言語サポート を選択します。
インストールする追加の言語サポートをマウスで選びます。左側のパネルで、Español などの言語を選択します。次に、右側のパネルで地域固有のロケールを選択できます (例: Español (コスタリカ))。言語とロケールはどちらも複数選択が可能です。選択された言語は左側のパネルで太字で強調表示されます。

図13.6 言語サポートの設定

言語サポートの設定
選択が完了したら、完了 をクリックして インストールの概要 画面に戻ります。
注記
インストールの完了後に言語サポートの設定を変更するには、設定 ダイアログウィンドウの 地域と言語 セクションにアクセスしてください。

13.10. キーボードの設定

システムに複数のキーボードレイアウトを追加するには、インストールの概要 画面から キーボード を選択します。保存されたレイアウトは、インストールプログラムで即座に利用可能となり、画面右上に常時表示されるキーボードアイコンを使って切り替えることができます。
初めは、ようこその画面で選択された言語のみが左のペインにキーボードレイアウトとして表示されます。当初のレイアウトを置き換えたり、または新たなレイアウトを追加することができます。ただし、選択した言語が ASCII 文字を使用しない場合、暗号化されたディスクパーティションや root ユーザーのパスワードを正しく設定できるよう ASCII 文字を使用するキーボードレイアウトを追加する必要があります。

図13.7 キーボードの設定

キーボードの設定
追加のレイアウトを追加するには、+ ボタンをクリックしてリストから選択し、追加 をクリックします。レイアウトを削除するには、レイアウトを選択して - ボタンをクリックします。矢印ボタンを使ってレイアウトの優先順位を調整します。キーボードレイアウトの視覚的プレビューを表示するには、レイアウトを選択してからキーボードのボタンをクリックします。
レイアウトを試すには、マウスで右側のテキストボックス内をクリックします。テキストを入力してみて、選択した機能が正常に機能するか確認します。
追加したレイアウトを試す場合は、画面上部の言語セレクターをクリックしてそのレイアウトに切り替えます。ただし、レイアウト切り替え用のキーの組み合わせを設定しておくことが推奨されます。右側の オプション ボタンをクリックして レイアウト切り替えオプション ダイアログを開き、チェックボックスをオンにしてリストから組み合わせを選択します。組み合わせは オプション ボタンの上に表示されます。この組み合わせはインストール中およびインストール後のシステムの両方に適用されるため、インストール後に使用できるようここで組み合わせを設定しておく必要があります。また、レイアウトの切り替えには、複数の組み合わせを選択することもできます。
重要
ロシア 語などのラテン文字を受け入れることができないレイアウトを使用する場合、Red Hat は 英語 (米国) レイアウトを追加し、キーボードの組み合わせを設定して 2 つのレイアウトを切り替えることを推奨します。ラテン文字を含まないレイアウトのみを選択した場合、インストールプロセスの後半で有効な root パスワードおよびユーザー認証情報を入力できない可能性があります。これにより、インストールを完了できない可能性があります。
選択したら、完了 をクリックして インストールの概要 画面に戻ります。
注記
インストールの完了後にキーボード設定を変更するには、設定 ダイアログウィンドウの キーボード セクションにアクセスします。

13.11. セキュリティーポリシー

セキュリティーポリシー スポークを使用すると、Security Content Automation Protocol (SCAP) 標準で定義された制限と推奨事項 (コンプライアンスポリシー) に従って、インストールされたシステムを設定できます。この機能はアドオンが提供するもので、これは Red Hat Enterprise Linux 7.2 以降デフォルトで有効になっています。有効にすると、この機能の提供に必要なパッケージが自動的にインストールされます。ただし、デフォルトではポリシーが強制されることがなく、明確に設定されている場合を除いて、インストール時およびインストール後にチェックが行われません。
Red Hat Enterprise Linux 7 セキュリティーガイドでは、バックグラウンド情報、実用的な例、および追加リソースを含むセキュリティーコンプライアンスについての詳細情報を提供しています。
重要
セキュリティーポリシーの適用はすべてのシステムで必要なわけではありません。このウィンドウは、所定のポリシーの適用が業務規定や法令で義務付けられている場合にのみ使用してください。
セキュリティーポリシーをシステムに適用する場合は、選択したプロファイル内で定義される制限および推奨事項を使用してインストールされます。また、パッケージ選択に openscap-scanner パッケージが追加され、コンプライアンスおよび脆弱性スキャンのインストール済みツールが提供されます。インストールが終わると、システムは自動的にコンプライアンスを確認するためにスキャンされます。このスキャンの結果は、インストールされたシステムの /root/openscap_data ディレクトリーに保存されます。
この画面で使用できる定義済みのポリシーは、SCAP Security Guide によって提供されます。利用可能な各プロファイルについての詳細情報は、OpenSCAP Portal にあるリンクを参照してください。
HTTPS、HTTP または FTP サーバーから追加プロファイルを読み込むこともできます。

図13.8 セキュリティーポリシー選択画面

セキュリティーポリシー選択画面
システムでセキュリティーポリシーの使用を設定するには、まず セキュリティーポリシーの適用 スイッチを ON に設定して設定を有効にします。スイッチが オフの 位置にある場合、この画面の残りのコントロールは無効になります。
スイッチを使用してセキュリティーポリシーの設定を有効にした後、画面上部のウィンドウにリスト表示されているプロファイルの 1 つを選択し、下の プロファイルの選択 をクリックします。プロファイルが選択されたら、右側に緑色のチェックが表示され、下のフィールドに変更がインストール開始前に加えられるかどうかが表示されます。
注記
デフォルトで使用可能となっているプロファイルは、インストール開始前に変更を適用しません。ただし、下記のとおりにカスタムプロファイルを読み込むとインストール前のアクションが必要になる場合があります。
カスタムプロファイルを使用するには、左上隅にある コンテンツの変更 ボタンをクリックします。これで別の画面が開き、有効なセキュリティーコンテンツの URL を入力します。デフォルトのセキュリティーコンテンツ選択画面に戻るには、左上隅にある Use SCAP Security Guide をクリックします。
カスタムプロファイルは 、HTTPHTTPS、または FTP サーバーからロードできます。プロトコル (http:// など) を含む、コンテンツの完全なアドレスを使用します。カスタムプロファイルを読み込む前に、ネットワーク接続がアクティブになっている必要があります (「ネットワークとホスト名」 で有効にする)。コンテンツタイプはインストーラーが自動的に検出します。
プロファイルを選択した後、または画面を終了する場合は、左上隅にある 完了 をクリックしてに戻ります。「インストールの概要画面」 .

13.12. インストールソース

Red Hat Enterprise Linux のインストール元となるファイルまたは場所を指定するには、Installation Summary 画面から Installation Source を選択します。この画面では、DVD や ISO ファイルなどローカルで使用するインストールメディア、またはネットワーク上の場所のいずれかを選択することができます。

図13.9 インストールソースの画面

インストールソースの画面
以下のオプションのいずれかを選択します。
自動検出したインストールメディア
完全インストール用の DVD もしくは USB ドライブを使用してインストールを開始している場合は、そのメディアが検出されメディアの基本的な情報がこのオプションに表示されます。確認 ボタンをクリックして、メディアがインストールに適していることを確認します。この整合性テストは、起動メニューで Test this media & Install Red Hat Enterprise Linux を 選択した場合、または rd.live.check 起動オプションを使用した場合に実行されるものと同じです。
ISO ファイル
このオプションは、インストールプログラムで、ハードドライブがパーティションされており、マウント可能なファイルシステムを備えてられていることを検出した場合に、表示されます。このオプションを選択し、Choose an ISO ボタンをクリックして、システム上のインストール ISO ファイルの場所を参照します。次に、検証 をクリックして、ファイルがインストールに適していることを確認します。
ネットワーク上
ネットワークの場所を指定するには、このオプションを選択して、ドロップダウンメニューから以下のオプションのいずれかを選びます。
  • http://
  • https://
  • ftp://
  • nfs
上記の選択肢をネットワークの場所の URL の開始部分として使用し、残りのアドレスをアドレスボックスに入力します。NFS を選択した場合は、NFS マウントオプションを指定する別のボックスが表示されます。
重要
NFS ベースのインストールソースを選択する場合は、ホスト名とパスを区切るコロン (:) 文字を使用してアドレスを指定する必要があります。以下に例を示します。
server.example.com:/path/to/directory
HTTP または HTTPS ソースのプロキシーを設定するには、プロキシー設定 ボタンをクリックします。HTTP プロキシーを有効にする をオンにして、プロキシー URL ボックスに URL を入力します。プロキシーで認証が必要な場合は、認証を使用 をオンにして、ユーザー名とパスワードを入力します。Add をクリックします。
使用する HTTP もしくは HTTPS の URL がリポジトリーのミラーの一覧を参照する場合は、入力するフィールドの下のチェックボックスにチェックを入れます。
また、追加のリポジトリーを指定して、別のインストール環境やソフトウェアアドオンにアクセスすることもできます。詳細は、「ソフトウェアの選択」 を参照してください。
リポジトリーを追加するには、+ ボタンをクリックします。リポジトリーを削除するには、- ボタンをクリックします。矢印アイコンをクリックして、リポジトリーの前のリストに戻ります。つまり、現在のエントリーを、インストールソース 画面に入ったときに存在していたエントリーに置き換えます。リポジトリーをアクティブ化または非アクティブ化するには、リストの各エントリーの 有効 列のチェックボックスをクリックします。
画面の右側で追加したリポジトリーに名前を付け、ネットワーク上のプライマリーのリポジトリーを設定したときと同じように設定することができます。
インストールソースを選択したら、完了 をクリックして インストールの概要 画面に戻ります。

13.13. ネットワークとホスト名

システムに不可欠なネットワーク機能を設定するには、Installation Summary 画面で Network & Hostname を選択します。
重要
インストール完了後に初めてシステムを起動すると、インストール中に設定したネットワークインターフェイスが作動します。ただし、Red Hat Enterprise Linux を DVD からローカルのハードドライブにインストールした場合など、一般的なインストールを行った場合は、ネットワークインターフェイスの設定を求めるプロンプトは表示されません。
Red Hat Enterprise Linux をローカルのインストールソースからローカルのストレージデバイスにインストールする時に、システムの初回起動時にネットワークへのアクセスを必要とする場合は、少なくとも 1 つのネットワークインターフェイスを手動で設定してください。また、設定を編集した場合は、起動後に自動で接続が行われるよう接続の設定もしておく必要があります。
ローカルでアクセスできるインターフェイスはインストールプログラムにより自動的に検出されるため、手動での追加または削除はできません。検出されたインターフェイスは左側のペインに一覧表示されます。一覧内のインターフェイスをクリックすると、右側にその詳細が表示されます。ネットワークインターフェイスをアクティブまたは非アクティブにするには、画面の右上隅にあるスイッチを ON または OFF に移動します。
注記
em1wl3sp0 などの永続的な名前でネットワークデバイスを識別するために使用されるネットワークデバイスの命名基準には、いくつかの種類があります。これらの標準については、Red Hat Enterprise Linux 7 ネットワークガイドを参照してください。

図13.10 ネットワークとホスト名の設定画面

ネットワークとホスト名の設定画面
接続のリストの下にある ホスト名 入力フィールドに、このコンピューターのホスト名を入力します。ホスト名は、hostname.domainname 形式の fully-qualified domain name (FQDN) または hostname 形式の short host name のいずれかを選択できます。多くのネットワークには、自動的に接続されたシステムにドメイン名を提供する DHCP (Dynamic Host Configuration Protocol) サービスがあります。DHCP サービスがこのマシンにドメイン名を割り当てるようにするには、短縮ホスト名のみを指定してください。値 localhost.localdomain は、ターゲットシステムの特定の静的ホスト名が設定されていないことを意味し、インストールされたシステムの実際のホスト名は、ネットワーク設定のプロセス中に設定されます (たとえば、DHCP または DNS を使用する NetworkManager によって)。
重要
ホスト名を手動で割り当てる場合は、委譲されていないドメイン名を使用しないでください。使用すると、ネットワークリソースが使用できなくなる可能性があります。詳細は、Red Hat Enterprise Linux 7 ネットワークガイドで推奨している命名方法の実践例を参照してください。
注記
インストールの完了後、システム 設定 ダイアログの ネットワーク セクションを使用して、ネットワーク設定を変更できます。
ネットワーク設定が完了したら、完了 をクリックして インストールの概要 画面に戻ります。

13.13.1. ネットワーク接続の編集

このセクションでは、インストール中に使用される一般的な有線接続の場合に最も重要となる設定についてのみ説明します。ほとんどの場合、オプションの多くは変更する必要はなく、インストールされるシステムにも引き継がれません。これ以外のネットワーク設定についてもほぼ同じですが、当然、特定の設定パラメーターは異なります。インストール後のネットワーク設定については、Red Hat Enterprise Linux 7 ネットワークガイドを参照してください。
ネットワーク接続を手動で設定するには、画面の右下隅にある 設定 ボタンをクリックします。ダイアログが表示され、選択された接続の設定ができるようになります。表示される設定オプションは、有線、無線、モバイルブロードバンド、VPN、DSL など接続タイプによって異なります。必要に応じて、ネットワーク設定の詳細情報については、『ネットワークガイド』を参照してください。
インストール中に設定しておくと便利なネットワーク設定オプションを以下に示します。
  • システムが起動するたびに接続 を使用する場合は、このネットワークが利用可能になったら自動的にこのネットワークに接続する チェックボックスをオンにします。自動的に接続するネットワークは、複数の接続を使用することができます。この設定は、インストールされるシステムに引き継がれます。

    図13.11 ネットワーク自動接続機能

    ネットワーク自動接続機能
  • デフォルトでは、IPv4 パラメーターが DHCP サービスにより自動的に設定されます。同時に、IPv6 設定は 自動 方式に設定されます。ほとんどの場合、この組み合わせが最適で通常は変更する必要はありません。

    図13.12 IP プロトコル設定

    IP プロトコル設定
ネットワーク設定の編集が完了したら、保存 をクリックして新しい設定を保存します。インストール中にすでに作動していたデバイスを再設定した場合、その新しい設定をインストール環境で使用するためにはデバイスの再起動を行う必要があります。Network & Host Name 画面の ON/OFF スイッチを使用して、デバイスを再起動します。

13.13.2. 高度なネットワークインターフェイス

高度なネットワークインターフェイスもインストールに使用できます。これには仮想ローカルエリアネットワーク (VLAN) と集約リンクを使用する 3 つの方法が含まれます。これらのインターフェイスについては本ドキュメントの対象外となります。詳細情報は、Red Hat Enterprise Linux 7 ネットワークガイドを参照してください。
高度なネットワークインターフェイスを作成するには、ネットワークとホスト名 画面の左下隅にある + ボタンをクリックします。

図13.13 ネットワークとホスト名の設定画面

ネットワークとホスト名の設定画面
ダイアログが表示され、以下のオプションがドロップダウンメニューから選択できます。
  • Bond - NIC (Network Interface Controller) Bonding を表します。これは、複数のネットワークインターフェイスをまとめて単一の結合チャネルにバインドする方法です。
  • ブリッジ - 複数の個別のネットワークを 1 つの集約ネットワークに接続する方法である NIC ブリッジングを表します。
  • チーム - リンクを集約するための新しい実装である NIC チーミングを表し、パケットフローの高速処理を実装するための小さなカーネルドライバーと、ユーザー空間で他のすべてを実行するためのさまざまなアプリケーションを提供するように設計されています。
  • VLAN - 相互に分離された複数の異なるブロードキャストドメインを作成する方法を表します。

図13.14 高度なネットワークインターフェイスのダイアログ

高度なネットワークインターフェイスのダイアログ
注記
ローカルでアクセスできるインターフェイスは有線、無線に関わらずインストールプログラムにより自動的に検出されるため、上記の操作手順で手動による追加や削除はできません。
オプションを選択して 追加 ボタンをクリックすると、新しいインターフェイスを設定するための別のダイアログが表示されます。詳細な手順については、Red Hat Enterprise Linux 7 ネットワークガイドを参照してください。既存の高度なインターフェイスで設定を編集するには、画面の右下隅にある 設定 ボタンをクリックします。- ボタンをクリックして、手動で追加したインターフェイスを削除することもできます。

13.14. ソフトウェアの選択

インストールするパッケージを指定するには、Installation Summary 画面で Software Selection を選択します。パッケージは ベース環境 に応じてグループ化されています。これらの環境は、特定の目的を持つ事前定義された一連のパッケージです。たとえば、仮想化ホスト 環境には、システム上で仮想マシンを実行するために必要な一連のソフトウェアパッケージが含まれています。インストール時に選択できる環境は一つのみです。
各環境には、アドオン という形で追加パッケージが選択できるようになっています。アドオンは画面の右側に表示され、環境を選び直すとアドオンの一覧も更新されます。アドオンは複数選択が可能です。
アドオン一覧は横線で上下に分割されています。
  • 横線の に表示されるアドオンは、選択した環境に固有のものです。いずれかのアドオンを選択してから環境の選択を変更すると、アドオンの選択は失われます。
  • 横線の に表示されるアドオンは、すべての環境で同じものです。別の環境を選択し直しても、ここでの選択は失われません。

図13.15 サーバーインストールでのソフトウェア選択の例

サーバーインストールでのソフトウェア選択の例
選択できるベース環境およびアドオンの種類は、インストールソースとして使用するインストール ISO イメージの種類によります。たとえば、サーバー バリアントはサーバー用に設計された環境を提供しますが、ワークステーション バリアントには開発者ワークステーションとしてデプロイメントするためのいくつかの選択肢があります。
インストールプログラムでは各環境に含まれているパッケージは表示されません。特定の環境またはアドオンに含まれるパッケージを確認するには、repodata/*-comps- variant を参照してください。 インストールソースとして使用している Red Hat Enterprise Linux インストール DVD の architecture .xml ファイル。このファイルには、使用可能な環境 (<environment> タグでマーク) とアドオン (<group> タグ) を記述した構造が含まれています。
重要
事前に定義された環境やアドオンを使用するとシステムをカスタマイズできますが、手動でのインストールでは、インストールする個別パッケージを選択する方法はありません。どのパッケージをインストールする必要があるかわからない場合、Red Hat は 最小インストール 環境を選択することを推奨します。最小限のインストール では、Red Hat Enterprise Linux の基本バージョンと最小限の追加ソフトウェアのみをインストールします。これにより、システムが脆弱性の影響を受ける可能性が大幅に減ります。システムのインストールが完了し、初めてログインした後、Yum パッケージマネージャーを使用して必要な追加ソフトウェアをインストールできます。Minimal install の詳細については、Red Hat Enterprise Linux 7 Security Guide の Installing the Minimum amount of Packages Required セクションを参照してください。
代わりに、キックスタートファイルを使ってインストールを自動化することによりインストールパッケージをより高度なレベルで管理することもできます。キックスタートファイルの %packages セクションで、環境、グループ、および個々のパッケージを指定できます。キックスタートファイルでインストールするパッケージを選択する方法については 「パッケージの選択」 を参照してください。キックスタートを使ってインストールを自動化する方法については27章キックスタートを使ったインストールを参照してください。
インストールする環境とアドオンを選択したら、完了 をクリックして インストールの概要 画面に戻ります。

13.14.1. コアとなるネットワークサービス

すべての Red Hat Enterprise Linux インストールには、以下のネットワークサービスが含まれます。
  • rsyslog サービスによる集中ログ
  • SMTP (Simple Mail Transfer Protocol) による電子メール
  • NFS (Network File System) によるネットワークファイル共有
  • SSH (Secure SHell) によるリモートアクセス
  • mDNS (multicast DNS) によるリソースのアドバタイズ
Red Hat Enterprise Linux システムの自動化プロセスは、システム管理者へのレポートやメッセージの送信に電子メールサービスを利用するものがあります。デフォルトでは、電子メール、ログ記録、印刷などのサービスは他のシステムからの接続は受信しません。
インストール後に電子メール、ファイル共有、ログ記録、印刷、リモートによるデスクトップへのアクセスなどのサービスを提供するように Red Hat Enterprise Linux システムを設定できます。SSH サービスはデフォルトで有効になっています。また、NFS 共有サービスを有効にしなくても、NFS を使って他のシステム上のファイルにアクセスすることもできます。

13.15. インストール先

ディスクを選択し、Red Hat Enterprise Linux をインストールするストレージスペースを分割するには、Installation Summary 画面で Installation Destination を選択します。ディスクのパーティション設定に慣れていない場合は、付録A ディスクパーティションの概要を参照してください。
警告
Red Hat では、システム上の全データを常にバックアップしておくことを推奨しています。たとえば、デュアルブートシステムをアップグレードする、または作成する場合には、保存しておきたいストレージデバイスのデータはすべてバックアップをとってください。万一、何らかのミスが発生した場合、全データを喪失してしまう可能性があります。
重要
Red Hat Enterprise Linux をテキストモードでインストールする場合は、このセクションで説明しているデフォルトのパーティション設定スキームしか使用できません。インストールプログラムで自動的に追加や削除が行われるもの以外、パーティションやファイルシステムの追加または削除はできません。
重要

特殊なケース

  • RAID カードを実装している場合、BIOS タイプは、RAID カードからの起動に対応していない場合がある点に注意してください。このような場合、別のハードドライブなど、RAID アレイの外側のパーティションに /boot パーティションを作成する必要があります。そのような RAID カードへのパーティション作成には、内蔵ハードドライブを使用する必要があります。ソフトウェア RAID のセットアップには 、/boot パーティションも必要です。システムを自動的に分割することを選択した場合は、/boot パーティションを手動で編集する必要があります。見る「手動パーティション設定」詳細については。
  • マルチパスストレージデバイスと非マルチパスのストレージデバイスの両方が使用されているシステムに Red Hat Enterprise Linux をインストールすると、インストールプログラムの自動パーティション設定レイアウトに、マルチパスのデバイスと非マルチパスのデバイスが混在するボリュームグループが作成される可能性があります。これはマルチパスストレージの目的に反することになります。インストール先 画面で、マルチパスデバイスのみ、または非マルチパスデバイスのみを選択することを推奨します。もしくは、手動のパーティション設定を実行してください。

図13.16 ストレージ領域の概要

ストレージ領域の概要
この画面では、ご使用のコンピューターでローカルの使用が可能なストレージデバイスを確認することができます。ディスクの追加 ボタンをクリックして、特殊なデバイスやネットワークデバイスを追加することもできます。このデバイスの詳細は「ストレージデバイス」を参照してください。
システムのパーティション分割に慣れていない場合は、パーティションを自動的に設定する ラジオボタンのデフォルトの選択をそのままにして、インストールプログラムがストレージデバイスをパーティション分割できるようにします。
ストレージデバイスのペインの下には、その他のストレージオプション というラベルの付いた追加のコントロールがあります。
  • パーティショニング セクションでは、ストレージデバイスのパーティション分割方法とボリュームの作成方法を選択できます。パーティションを手動で設定する、またはインストールプログラムによる自動設定を選択することができます。
    今まで使用したことがないストレージにクリーンインストールを実行する場合、またはストレージに保存されているデータは一切必要ない場合には、自動パーティション設定が推奨されます。この方法で続行するには、パーティショニングを自動的に設定する ラジオボタンのデフォルトの選択をそのままにしておきます。インストールプログラムは必要なパーティションとボリュームをストレージスペースに作成します。
    自動パーティショニングの場合、追加のスペースを利用可能にしたい チェックボックスを選択して、他のファイルシステムからこのインストールにスペースを再割り当てする方法を選択することもできます。完了 をクリックすると、2 つのダイアログが表示されます。自動パーティション設定を選択しているものの、推奨のパーティション設定でインストールを完了するのに十分なストレージ領域がない場合には、以下のダイアログが表示されます。

    図13.17 インストールオプションのダイアログ内の領域を確保するオプション

    インストールオプションのダイアログ内の領域を確保するオプション
    Red Hat Enterprise Linux ソフトウェアの選択 リンクをクリックできます。リンクをクリックすると、ソフトウェアの選択 セクションに移動します。ここで、インストールするソフトウェアを変更したり、追加のストレージスペースを解放したりできます。
    または、キャンセルしてディスクを追加 を クリックして インストール先 画面に戻ることもできます。この画面では、ストレージデバイスを追加したり、手動でパーティションを設定することを選択したりできます。Reclaim space をクリックして、既存のファイルシステムから一部のストレージスペースを解放します。詳細は 「ディスク領域の獲得」 を参照してください。
    十分な領域を確保できないと、別のダイアログが表示されます。この場合は、当初のストレージ画面でディスクを追加するか、インストールを中止することになります。
    手動セットアップ用に I will configure partitioning ラジオボタンを選択すると、Done をクリックすると Manual Partitioning 画面が表示されます。詳細は 「手動パーティション設定」 を参照してください。
  • 暗号化 セクションで、データを暗号化する チェックボックスをオンにして、/boot パーティションを除くすべてのパーティションを暗号化できます。暗号化についての詳細はRed Hat Enterprise Linux 7 セキュリティーガイドを参照してください。
画面の下部には、ブートローダーをインストールするディスクを設定するための フルディスクの概要 とブートローダー ボタンがあります。
詳細は、「ブートローダーのインストール」 を参照してください。
選択が完了したら、完了 ボタンをクリックして 、インストールの概要 画面に戻るか、手動パーティション分割 画面に進みます。

13.15.1. ブートローダーのインストール

Red Hat Enterprise Linux は、ブートローダーとして GRUB2 (GRand Unified Bootloader バージョン 2) を使用します。ブートローダーは、システムの起動時に実行し、制御をオペレーティングシステムに読み込み、転送する最初のプログラムです。GRUB2 は互換性のあるオペレーティングシステムであれば起動可能で、チェーンロード で未対応のオペレーティングシステムのブートローダーにも読み込んだ指示を渡すことができます。
警告
GRUB 2 をインストールすると既存のブートローダーを上書きする可能性があります。
Red Hat Enterprise Linux は、他のオペレーティングシステムがすでにインストールされていると、自動検出して GRUB2 で起動できるように設定します。他のオペレーティングシステムが正しく検出されない場合は手作業で設定できます。
ブートローダーをインストールするデバイスを指定するには、インストール先 画面の下部にある フルディスクの概要とブートローダー リンクをクリックします。選択したディスク ダイアログが表示されます。ドライブを手動でパーティション分割する場合、手動パーティション分割 画面で 選択したストレージデバイスを クリックすると、このダイアログにアクセスできます。

図13.18 選択したディスクの要約

選択したディスクの要約
Boot 列で、緑色のチェックアイコンが、デバイスの 1 つを目的の起動デバイスとしてマークします。起動デバイスを変更するには、リストからデバイスを選択し、起動デバイスとして設定 ボタンをクリックして、代わりにそこにブートローダーをインストールします。
新しいブートローダーのインストールを拒否するには、マークされたデバイスを選択し、ブートローダーをインストールしない ボタンをクリックします。チェックマークアイコンが外れ、いずれのデバイスにも GRUB2 はインストールされなくなります。
警告
何らかの理由でブートローダーをインストールしない選択をした場合、直接システムを起動することができなくなるため、市販のブートローダーアプリケーションなど別の起動方法を使用しなければならなくなります。ブートローダーをインストールしない選択は、システムを起動させるための別の方法が確保されている場合に限定してください。

13.15.2. パーティションの暗号化

データを暗号化する オプションを選択した場合、クリックして次の画面に進むと、インストールプログラムは、システム上のパーティションを暗号化するためのパスフレーズの入力を求めます。
パーティションの暗号化は LUKS (Linux Unified Key Setup) を使用して行われます。詳細はRed Hat Enterprise Linux 7 セキュリティーガイドを参照してください。

図13.19 暗号化したパーティションのパスフレーズ入力

暗号化したパーティションのパスフレーズ入力
パスフレーズが決まったらダイアログボックスの 2 つのフィールドに入力します。パスフレーズの設定に使用するキーボードレイアウトは、後でパーティションのロック解除に使用するキーボードレイアウトと同じものを使用してください。言語レイアウトのアイコンで正しいレイアウトが選択されていることを確認します。このパスフレーズはシステムが起動するたび、毎回入力する必要があります。パスフレーズ 入力フィールドで Tab キー を押して、パスフレーズを再入力します。パスフレーズが脆弱すぎる場合はフィールドに警告アイコンが表示され、2 番目のフィールドに入力ができません。カーソルを警告アイコンの上に持って行くと、パスフレーズの改善方法が分かります。
警告
このパスフレーズを紛失してしまうと、暗号化したパーティションおよびそのパーティション上にあるデータは完全にアクセスできなくなります。分からなくなったパスフレーズを復元する方法はありません。
キックスタートを使用したインストールを行っている場合は、インストール中に暗号パスフレーズを保存してバックアップしておくことができます。ディスク暗号化の詳細はRed Hat Enterprise Linux 7 セキュリティーガイドを参照してください。

13.15.3. ディスク領域の獲得

インストール先 で選択したディスクに Red Hat Enterprise Linux をインストールするための十分なスペースがなく、インストールオプション ダイアログでスペース の再利用 を選択した場合、ディスク容量の再利用 ダイアログが表示されます。
警告
パーティションの縮小を選択していなければ、領域の確保によりそのパーティション上のデータはすべて消去されます。このため、保持しておく必要があるデータのバックアップがすでに用意されていることを必ず確認してください。

図13.20 既存ファイルシステムからのディスク領域の確保

既存ファイルシステムからのディスク領域の確保
Red Hat Enterprise Linux を検出した既存のファイルシステムが、該当するディスクの一部として表に一覧表示されます。Reclaimable Space 列には、このインストールに再割り当てできるスペースがリスト表示されます。アクション 列には、スペースを再利用するためにファイルシステムで実行されるアクションがリスト表示されます。
表の下にはボタンが 4 つあります。
  • 保存 - ファイルシステムは変更されず、データは削除されません。これがデフォルト動作です。
  • 削除 - ファイルシステムを完全に削除します。ファイルシステムが占めていた領域をすべてインストールで使用できるようにします。
  • 縮小 - ファイルシステムから空き領域を回復し、このインストールで使用できるようにします。スライダーを使って選択したパーティションの新たなサイズを設定します。LVM または RAID が使用されていない、サイズ変更可能なパーティションでしか使用できません。
  • すべて削除/すべて保存 - このボタンは右側にあり、デフォルトですべてのファイルシステムを削除対象としてマークします。もう一度クリックすると、ラベル名が変わり、全ファイルシステムを確保するように再度マークされます。
マウスを使ってテーブル内のファイルシステムまたはディスク全体を選択したら、ボタンをクリックします。アクション 列のラベルが選択内容に合わせて変更され、テーブルの下に表示される 再利用する選択済み 容量の合計がそれに応じて調整されます。この値の下にはインストールに必要となる領域サイズが表示されます。このサイズはインストールの選択をしたパッケージの量に基づいています。
インストールを続行するのに十分なスペースが再利用されると、Reclaim Space ボタンが使用可能になります。このボタンをクリックしてインストールの概要画面に戻り、インストールを続行します。

13.15.4. 手動パーティション設定

I will configure partitioning オプションを選択した場合、Done from Installation Destination をクリックすると、Manual Partitioning 画面が表示されます。各ディスクパーティションおよびマウントポイントの設定はこの画面で行います。ここで、Red Hat Enterprise Linux をインストールするファイルシステムを定義します。
警告
Red Hat では、システム上の全データを常にバックアップしておくことを推奨しています。たとえば、デュアルブートシステムをアップグレードする、または作成する場合には、保存しておきたいストレージデバイスのデータはすべてバックアップをとってください。万一、何らかのミスが発生した場合、全データを喪失してしまう可能性があります。

図13.21 手動パーティション設定の画面

手動パーティション設定の画面
手動パーティショニング 画面には、最初は左側にマウントポイント用の 1 つのペインがあります。このペインは、マウントポイント作成についての情報以外は空であるか、インストールプログラムが検出した既存のマウントポイントを表示します。これらのマウントポイントは、検出されたオペレーティングシステムのインストールごとにまとめられています。このため、パーティションがいくつかのインストールで共有されている場合は、複数回表示されるファイルシステムもあります。選択されたストレージデバイスの合計領域と利用可能な領域がこのペインの下に表示されます。
システムに既存のファイルシステムがある場合には、インストールに十分な領域があることを確認してください。- ボタンを使用して、不要なパーティションを削除します。
注記
ディスクパーティションに関する推奨事項および補足情報は、付録A ディスクパーティションの概要「推奨されるパーティション設定スキーム」 を参照してください。少なくとも、適切なサイズのルートパーティションと、通常、システムの RAM のサイズに応じた swap パーティションが必要です。
13.15.4.1. ファイルシステムの追加とパーティションの設定
Red Hat Enterprise Linux のインストールには、PReP ブートパーティションとその他の 1 つのパーティションが必要ですが、Red Hat では少なくとも 5 つのパーティションを推奨しています: PReP//home/boot、および swap。必要に応じて、他のパーティションやボリュームを作成することもできます。詳細は 「推奨されるパーティション設定スキーム」 を参照してください。
注記
(特定のパーティションを特定のディスクに配置するなど) 特定のパーティションに要件があり、他のパーティションにはそのような要件がない場合は、要件のあるパーティションを先に作成します。
ファイルシステムの追加手順は 2 つに分かれます。まず、特定のパーティションスキームにマウントポイントを作成します。マウントポイントが左側のペインに表示されます。次に、右側のペインのオプションを使ってこのマウントポイントをカスタマイズします。ここではマウントポイント、デバイスタイプやファイルシステムタイプ、ラベルなどを変更する、該当パーティションを暗号化するまたは再フォーマットすることなどができます。
既存のファイルシステムがなく、インストールプログラムで必要なファイルシステムとそれらのマウントポイントを作成する場合は、左側のペインのドロップダウンメニューから任意のパーティション設定スキームを選択します (Red Hat Enterprise Linux のデフォルトは LVM)。次に、ペインの上部にあるリンクをクリックするとマウントポイントが自動的に作成されます。これにより、/boot パーティション、/ (ルート) ボリューム、および使用可能なストレージのサイズに比例するスワップボリュームが生成されます。これらのファイルシステムが一般的なインストールで推奨されるファイルシステムになります。ただし、必要に応じてファイルシステムとマウントポイントを追加することもできます。
または、ペインの下部にある + ボタンを使用して、個々のマウントポイントを作成します。新しいマウントポイントの追加 ダイアログが開きます。マウントポイント ドロップダウンメニューからプリセットパスのいずれかを選択するか、独自のパスを入力します。たとえば、ルートパーティションの場合は / を選択し、ブートパーティションの場合は /boot を 選択します。次に、必要な容量 テキストフィールドにファイルシステムのサイズを入力します。たとえば、2GiB です。フィールドを空白のままにしたり、利用可能な領域よりも大きいサイズを指定すると、残りの空の領域がすべて使用されることになります。これらの詳細を入力したら、マウントポイントの追加 ボタンをクリックしてパーティションを作成します。
注記
スペースの割り当てに関する問題を回避するには、まず /boot などの既知の固定サイズの小さなパーティションを作成し、次に残りのパーティションを作成して、インストールプログラムが残りの容量をそれらに割り当てられるようにします。
同様に、システムが置かれることになる複数のディスクがあり、これらのサイズが異なり、また特定のパーティションが BIOS に検出される最初のディスク上で作成される必要がある場合、そのパーティションを最初に作成するようにしてください。
左側のペインにあるドロップダウンメニューを使うと、手作業で作成する新しいマウントポイントにパーティションスキームを設定することができます。利用可能なオプションは、標準パーティションBTRFSLVM、および LVM シンプロビジョニング です。このメニューで選択した値に関係なく、/boot パーティションは常に標準パーティションに配置されることに注意してください。
単一の非 LVM マウントポイントを配置するデバイスを変更するには、マウントポイントを選択し、右ペインの 変更... ボタンをクリックして マウントポイントの設定 ダイアログを開きます。1 つ以上のデバイスを選択し、選択 をクリックします。ダイアログが閉じたら、手動パーティション分割 画面の右側にある 設定の更新 ボタンをクリックして、この設定を確認する必要があることに注意してください。

図13.22 マウントポイントの設定

マウントポイントの設定
すべてのローカルディスクとその上のパーティションに関する情報を更新するには、ツールバーの 再スキャン ボタン (円形の矢印アイコンが付いている) をクリックします。この作業が必要になるのはインストールプログラム以外で高度なパーティション設定を行った場合のみです。ディスクの再スキャン ボタンをクリックすると、インストールプログラムで以前に行ったすべての設定変更が失われることに注意してください。

図13.23 ディスクの再スキャン

ディスクの再スキャン
画面の下部に、インストール先 で選択されているストレージデバイスの数を示すリンクが表示されます (インストール先を参照)。「インストール先」)。このリンクをクリックすると、選択したディスク ダイアログが開き、ディスクに関する情報を確認できます。詳細は、「ブートローダーのインストール」 を参照してください。
パーティションまたはボリュームをカスタマイズする場合は、左側のペインでパーティションまたはボリュームを選択すると、右側にカスタム可能な詳細が表示されます。

図13.24 パーティションのカスタマイズ

パーティションのカスタマイズ
  • マウントポイント - ファイルシステムのマウントポイントを入力します。たとえば、ファイルシステムをルートファイルシステムにする場合は、次のように入力します。/ ;入力/boot/boot ファイルシステム用など。スワップファイルシステムの場合、マウントポイントを設定しないでください。ファイルシステムタイプを swap に設定するだけで十分です。
  • 望ましい容量 - ファイルシステムの望ましいサイズを入力します。単位には KiB や GiB が使用できます。単位を指定しない場合は、MiB がデフォルトになります。
  • デバイスタイプ - 次のいずれかのタイプを選択します: Standard PartitionLVMRAIDLVM Thin Provisioning、または BTRFS。隣接する 暗号化 ボックスをオンにして、パーティションまたはボリュームを暗号化します。パスワードを設定するようプロンプトが後で表示されます。RAID は、 パーティショニング用に 2 つ以上のディスクが選択されている場合にのみ使用できます。このタイプを選択すると、RAID レベル も設定できます。同様に、LVM を選択すると、ボリュームグループ を指定できます。
  • ファイルシステム - ドロップダウンメニューで、このパーティションまたはボリュームに適したファイルシステムタイプを選択します。隣接する 再フォーマット ボックスをオンにして既存のパーティションをフォーマットするか、オフのままにしてデータを保持します。データをそのまま維持する場合は空白にしておきます。新規作成されたパーティションやボリュームは再フォーマットが必要で、この場合はチェックボックスのチェックを外すことはできません。
  • ラベル - パーティションにラベルを割り当てます。ラベルを使うと、個別のパーティションの認識とアドレス指定が容易になります。
  • 名前 - LVM または Btrfs ボリュームに名前を割り当てます。標準パーティションは作成時に自動的に名前が付けられ、/homesda1 という 名前が割り当てられるなど、名前を編集できないことに注意してください。
ファイルシステムおよびデバイスタイプの詳細は、「ファイルシステムのタイプ」 を参照してください。
設定の更新 ボタンをクリックして変更を保存し、カスタマイズする別のパーティションを選択します。インストールの概要ページからインストールを開始するまで、実際には変更は適用されません。すべてリセット ボタンをクリックして、すべてのパーティションへのすべての変更を破棄し、最初からやり直します。
すべてのファイルシステムとマウントポイントの作成とカスタマイズが完了したら、完了 ボタンをクリックします。ファイルシステムの暗号化を選択した場合はパスフレーズの作成が求められます。次に、インストールプログラムが受け取るストレージ関連の全アクションの概要を示すダイアログが表示されます。これにはパーティションおよびファイルシステムの作成、サイズ調整、削除が含まれます。すべての変更を確認し、キャンセルしてカスタムパーティショニングに戻る をクリックして戻ることができます。変更を確認するには、Accept Changes をクリックして Installation Summary ページに戻ります。追加のデバイスをパーティション分割するには、インストール先 画面でデバイスを選択し、手動パーティション分割 画面に戻り、追加のデバイスについてこのセクションで説明されている手順を繰り返します。
重要
/usr または /var が ルートボリュームの残りの部分とは別に分割されている場合、これらのディレクトリーには重要なコンポーネントが含まれているため、ブートプロセスはさらに複雑になります。これらのディレクトリーが iSCSI ドライブまたは FCoE の場所に配置されている場合など、状況によっては、システムが起動できないか、電源オフまたは再起動時に Device is busy エラーでハングすることがあります。
この制限は /usr または /var にのみ適用され、その下のディレクトリーには適用されません。たとえば、/var/www の別のパーティションは問題なく動作します。
13.15.4.1.1. ファイルシステムのタイプ
Red Hat Enterprise Linux では、異なるデバイスタイプとファイルシステムを作成できます。各種のデバイスタイプおよびファイルシステムの種類とその使い方を以下に簡単に示します。

デバイスタイプ

  • 標準パーティション - 標準パーティションには、ファイルシステムまたはスワップスペースを含めることができます。また、ソフトウェア RAID または LVM 物理ボリュームのコンテナーを提供することもできます。
  • 論理ボリューム (LVM) - LVM パーティションを作成すると、LVM 論理ボリュームが自動的に生成されます。LVM は、物理ディスクを使用する場合にパフォーマンスを向上させることができます。論理ボリュームを作成する方法は、「LVM 論理ボリュームの作成」 を参照してください。LVM に関する詳細は、Red Hat Enterprise Linux 7 論理ボリュームマネージャーの管理を参照してください。
  • LVM シンプロビジョニング - シンプロビジョニングを使用すると、シンプールと呼ばれる空き領域のストレージプールを管理できます。このストレージプールは、アプリケーションが必要とするときに任意の数のデバイスに割り当てることができます。シンプールは、ストレージ領域をコスト効率よく割り当てる必要がある場合に、動的に拡張できます。LVM に関する詳細は、Red Hat Enterprise Linux 7 論理ボリュームマネージャーの管理を参照してください。
    注記
    インストーラーは、LVM シンプール論理ボリューム用に要求した領域の 20% を、これを格納しているボリュームグループ内で自動的に確保します。これは、シンプロビジョニングした論理ボリュームのデータボリュームやメタデータボリュームを拡張する場合に備えた安全対策です。
  • ソフトウェア RAID - 2 つ以上のソフトウェア RAID パーティションを作成すると、RAID デバイスを作成できます。システム上の各ディスクに対して RAID パーティションを 1 つずつ割り当てます。RAID デバイスを作成するには、「ソフトウェア RAID の作成」 を参照してください。RAID の詳細は、Red Hat Enterprise Linux 7 ストレージ管理ガイドを参照してください。

ファイルシステム

  • XFS - XFS は、最大 16 EiB (約 160,000 GiB)のファイルシステム、最大 8 EiB (約 80,000 GiB)のファイル、および数十万のエントリーを含むディレクトリー構造をサポートする、非常にスケーラブルで高パフォーマンスのファイルシステムです。XFS は、クラッシュからの回復が早いメタデータジャーナル機能に対応します。また、XFS ファイルシステムは、マウント中でアクティブな場合でも、最適化やサイズ変更を行うことができます。このファイルシステムはデフォルトで選択されており、強くお勧めします。以前使用された ext4 ファイルシステムから XFS に共通のコマンドを変換する方法は、付録F ext4 と XFS コマンドの参照表 を参照してください。
    Red Hat Enterprise Linux で XFS ファイルシステムで現在対応可能な最大サイズは、500 TiB です。
  • ext4: ext4 ファイルシステムは ext3 ファイルシステムをベースとし、多くの改善が行われています。より大きなファイルシステム、そしてより大きなファイルに対応するようになり、ディスク領域の割り当てに要する時間が短縮され効率化されています。また、ディレクトリー内のサブディレクトリーの数に制限がなく、ファイルシステムチェックが速くなり、ジャーナリングがより強力になりました。
    Red Hat Enterprise Linux で ext4 ファイルシステムで現在対応可能な最大サイズは、50 TiB です。
  • ext3 - ext3 ファイルシステムは ext2 ファイルシステムをベースとし、ジャーナリング機能という大きな利点を備えています。ジャーナリングファイルシステムを使用すると、クラッシュが発生するたびに fsck ユーティリティーを実行してメタデータの整合性をチェックする必要がないため、クラッシュ後のファイルシステムの復元にかかる時間が短縮されます。
  • ext2: ext2 ファイルシステムは、通常のファイル、ディレクトリー、シンボリックリンクなど、標準の Unix ファイルタイプをサポートします。最大 255 文字までの長いファイル名を割り当てることができます。
  • vfat: VFAT ファイルシステムは、FAT ファイルシステム上の Microsoft Windows の長いファイル名と互換性のある Linux ファイルシステムです。
  • swap - Swap パーティションは仮想メモリーをサポートするために使用されます。つまり、システムが処理しているデータを格納する RAM が不足すると、そのデータが swap パーティションに書き込まれます。
  • PReP: この小さなブートパーティションは、ハードドライブの最初のパーティションにあります。PReP 起動パーティションには GRUB2 ブートローダーが含まれ、その他の IBM Power Systems サーバーが Red Hat Enterprise Linux を起動できるようにします。
各ファイルシステムには、そのファイルシステムにより異なるサイズ制限があります。また、ファイルシステムごと個別のファイルを格納しています。対応している最大ファイルサイズおよび最大ファイルシステムサイズなどの一覧はカスタマーポータルの Red Hat Enterprise Linux technology capabilities and limits のページをご覧ください (https://access.redhat.com/site/articles/rhel-limits)。
13.15.4.2. ソフトウェア RAID の作成
RAID (Redundant arrays of independent disks) は、複数のディスクで設定されており、組み合わせてパフォーマンスを向上させます。また、一部の設定では、より高い耐障害性を得ることができます。各種 RAID の詳細は以下をご覧ください。
RAID デバイスの作成は 1 つのステップで終わり、必要に応じてディスクを追加または削除できます。また、ディスクは必要に応じて追加や削除ができます。1 つの物理ディスクに 1 つの RAID パーティションが作成できるため、インストールプログラムで使用できるディスク数により利用できる RAID デバイスのレベルが確定されます。たとえば、システムに 2 つのハードドライブがある場合、RAID10 デバイスを作成することはできません。これには 4 つの別個のパーティションが必要になります。

図13.25 ソフトウェア RAID パーティションの作成 - デバイスタイプメニュー の展開

ソフトウェア RAID パーティションの作成 - デバイスタイプメニュー の展開
RAID 設定オプションはインストール用に複数のディスクを選択している場合にのみ、表示されます。RAID デバイスの作成には少なくともディスクが 2 つ必要になります。
RAID デバイスの作成
  1. 「ファイルシステムの追加とパーティションの設定」 の説明に従って、マウントポイントを作成します。このマウントポイントを設定することで、RAID デバイスを設定していることになります。
  2. 左側のペインでパーティションを選択したまま、ペインの下にある設定ボタンを選択して、マウントポイントの設定 ダイアログを 開きます。RAID デバイスに含まれるディスクを選択し、Select をクリックします。
  3. デバイスタイプ ドロップダウンメニューをクリックして、RAID を選択します。
  4. ファイルシステム ドロップダウン メニューを クリックして、目的のファイルシステムタイプを選択します( 「ファイルシステムのタイプ」 を参照してください)。
  5. RAID レベル ドロップダウンメニューをクリックして、目的の RAID レベルを選択します。
    利用できる RAID レベルは以下のとおりです。
    RAID0 - パフォーマンス(ストライプ)
    データを複数のディスクに分散させます。RAID レベル 0 は、標準パーティションでのパフォーマンスを向上させます。複数のディスクを 1 つの大きな仮想デバイスにまとめることができます。RAID レベル 0 には冗長性がなく、アレイ内の 1 ディスクに障害が発生するとアレイ全体のデータが壊れる点に注意してください。RAID 0 には少なくとも 2 つの RAID パーティションが必要です。
    RAID1 - 冗長性(ミラーリング)
    1 つのディスク上の全データを別のディスク (複数可) にミラーリングします。アレイ内のデバイスを増やすことで冗長レベルを強化します。RAID 1 には少なくとも 2 つの RAID パーティションが必要です。
    RAID4 - エラー検出(解析)
    データを複数のディスクに分散す、アレイ内の 1 ディスクにパリティー情報を格納しているため、アレイ内のいずれかのディスクに障害が発生した場合にアレイを保護します。すべてのパリティー情報が 1 つのディスクに格納されるため、このディスクにアクセスすると、アレイのパフォーマンスにボトルネックが発生します。RAID 4 には少なくとも 3 つの RAID パーティションが必要です。
    RAID5: 分散エラー検出
    データおよびパリティー情報を複数のディスクに分散させます。そのため、RAID レベル 5 は複数ディスクにデータを分散させパフォーマンスが向上する一方、パリティー情報もアレイ全体で分散されるため、RAID レベル 4 のようにパフォーマンスにボトルネックが発生しません。RAID 5 には少なくとも 3 つの RAID パーティションが必要です。
    RAID6: 冗長
    RAID レベル 6 は RAID レベル 5 と似ていますが、パリティーデータが 1 セットではなく 2 セット格納されます。RAID 6 には少なくとも 4 つの RAID パーティションが必要です。
    RAID10 : 冗長性(ミラー) および 最適化されたパフォーマンス(ストライプ)
    RAID レベル 10 はネスト化した RAID または ハイブリッド RAID になります。ミラーリングしているディスクセットに対してデータを分散させることで構築します。たとえば、4 つの RAID パーティションで構築した RAID レベル 10 のアレイは、ストライプ化されたパーティションをミラーリングする 2 組のペアで設定されます。RAID 10 には少なくとも 4 つの RAID パーティションが必要です。
  6. 設定の 更新 を クリックして変更を保存し、別のパーティションに進むか、完了 を クリック して インストールの概要 画面に戻ります。
ディスク数が指定した RAID レベルで必要なディスク数より少ない場合、選択した設定に必要とされるディスク数を示すメッセージがウィンドウ下部に表示されます。
13.15.4.3. LVM 論理ボリュームの作成
論理ボリューム管理 (LVM) では、ハードドライブや LUN などのベースとなっている物理ストレージ領域を論理的な観点から表示します。物理ストレージ上のパーティションは 物理ボリューム として表示され、ボリュームグループ にグループ化することができます。各ボリュームグループは複数の 論理ボリューム に分割することができます。したがって、LVM 論理ボリュームは、複数の物理ディスクにまたがることが可能なパーティションとして機能します。
LVM の詳細は、付録D LVM の理解 またはRed Hat Enterprise Linux 7 論理ボリュームマネージャーの管理を参照してください。LVM の設定はグラフィカルインストールプログラムでしかできないため注意してください。
重要
テキストモードによるインストールの場合は、LVM を設定できません。LVM 設定をゼロから作成する必要がある場合は、Ctrl+Alt+F2 を押して別の仮想コンソールを使用し、lvm コマンドを実行します。テキストモードのインストールに戻るには、Ctrl+Alt+F1 を押します。

図13.26 論理ボリュームの設定

論理ボリュームの設定
論理ボリュームを作成して新規または既存のボリュームグループに追加するには、以下を実行します。
  1. 「ファイルシステムの追加とパーティションの設定」 の説明に従い LVM ボリュームにマウントポイントを作成します。
  2. デバイスタイプ ドロップダウンメニューをクリックして、LVM を選択します。ボリュームグループ ドロップダウン メニューが表示され、新たに作成されたボリュームグループ名が表示されます。
  3. 必要に応じて、メニューをクリックし、Create a new volume group を選択するか、Modify をクリックして新たに作成したボリュームグループを設定します。Create a new volume group オプションと Modify ボタンの両方により、Configure Volume Group ダイアログが表示され、論理ボリュームグループの名前を変更し、追加するディスクを選択できます。
    注記
    設定ダイアログではボリュームグループの物理エクステントのサイズは指定できません。このサイズは、常にデフォルト値の 4 MiB に設定されます。別の物理エクステントのボリュームグループを作成する場合は、インタラクティブシェルに切り替え、vgcreate コマンドを使用して手動で作成するか、volgroup --pesize=size コマンドでキックスタートファイルを使用します。

    図13.27 LVM ボリュームグループのカスタマイズ

    LVM ボリュームグループのカスタマイズ
    利用可能な RAID レベルは、実際の RAID デバイスと同じです。詳細は、「ソフトウェア RAID の作成」 を参照してください。またボリュームグループの暗号化に印を付けて、サイズポリシーを設定することもできます。利用可能なポリシーオプションは以下のようになります。
    • 自動: ボリュームグループのサイズは自動で設定されるため、設定した論理ボリュームを格納するのに十分な大きさになります。ボリュームグループに空の領域が必要ない場合に最適です。
    • できるだけ大きく - 設定した論理ボリュームのサイズに関係なく、最大サイズのボリュームグループが作成されます。これは、ほとんどのデータを LVM に保存する場合、または後で既存の論理ボリュームのサイズを拡大する可能性がある場合、もしくはこのグループに別の論理ボリュームを作成する必要がある場合などに最適です。
    • Fixed: このオプションでは、ボリュームグループのサイズを正確に設定できます。設定している論理ボリュームが格納できるサイズにする必要があります。ボリュームグループに設定する容量が正確に分かっている場合に便利です。
    グループを設定したら Save をクリックします。
  4. 設定の 更新 を クリックして変更を保存し、別のパーティションに進むか、完了 を クリック して インストールの概要 画面に戻ります。
警告
LVM ボリュームへの /boot パーティションの配置はサポートされていません。

13.16. ストレージデバイス

さまざまなストレージデバイスに Red Hat Enterprise Linux をインストールできます。「インストール先」 で説明されているように、インストール先 のページ で、ローカルにアクセス可能な基本的なストレージデバイスを確認できます。専用のストレージデバイスを追加するには、画面の 特殊 なディスク およびネットワークディスク セクションの ディスクの追加 ボタンをクリックします。

図13.28 ストレージ領域の概要

ストレージ領域の概要

13.16.1. ストレージデバイス選択の画面

ストレージデバイス選択画面には、Anaconda インストールプログラムがアクセスできるすべてのストレージデバイスが表示されます。
デバイスは、次のタブに分類されます。
マルチパスデバイス
同じシステムにある、複数の SCSI コントローラーやファイバーチャネルポートなどの複数のパスからアクセスできるストレージデバイスです。
インストールプログラムで検出できるのは、16 文字または 32 文字の長さのシリアル番号を持つマルチパスストレージデバイスのみです。
その他の SAN デバイス
SAN (Storage Area Network) 上にあるデバイスです。
ファームウェア RAID
ファームウェア RAID コントローラーに接続されているストレージデバイスです。

図13.29 タブを使ってグループ分けされている特殊ストレージデバイスの概要

タブを使ってグループ分けされている特殊ストレージデバイスの概要
画面右下にボタンが表示されます。これらのボタンを使用して、新たなストレージデバイスを追加します。以下のボタンが利用可能です。
概要ページには Search タブも含まれており、このタブでは、アクセスする World Wide Identifier (WWID)またはポート、ターゲット、または 論理ユニット番号 (LUN)別にストレージデバイスをフィルターできます。

図13.30 ストレージデバイスの検索タブ

ストレージデバイスの検索タブ
Search タブには、ポート、ターゲット、LUN、または WWID での検索を選択する Search By ドロップダウンメニューが含まれます。WWID または LUN で検索するには、対応する入力テキストフィールドに値を入力する必要があります。検索 ボタンを クリック して検索を開始します。
左側にチェックボックスが付いたデバイスが列ごとに表示されます。インストールプロセス中にそのデバイスを使用可能にする場合は、このチェックボックスをクリックします。インストールプロセスの後半では、Red Hat Enterprise Linux のインストール先として、ここで選択したデバイスのいずれかを指定することができます。また、インストール完了後のシステムの一部として、ここで選択したデバイスの自動マウントを指定することができます。
ここで選択するデバイスのデータがインストールプロセスで自動的に消去されるわけではありません。この画面上でデバイスを選択しても、それだけでデバイスに保存されているデータが抹消されるわけではありません。また、インストールしたシステムの一部を形成するために選択しないデバイスは、インストール後に /etc/fstab ファイルを変更してシステムに追加できます。
重要
この画面で選択しなかったストレージデバイスはすべて Anaconda から完全に非表示になります。別のブートローダーから Red Hat Enterprise Linux ブートローダーを チェーンロード する場合は、この画面に表示されるすべてのデバイスを選択します。
インストール時に利用できるようにするストレージデバイスを選択したら、完了 を クリック して インストール先 画面に戻ります。
13.16.1.1. 高度なストレージオプション
高度なストレージデバイスを使用する場合は、インストール先の画面の右下にあるボタンをクリックすると、iSCSI (SCSI over TCP/IP) ターゲットまたは FCoE (Fibre Channel over Ethernet) SAN (Storage Area Network) を設定することができます。iSCSI の概要は、付録B iSCSI ディスク を参照してください。

図13.31 高度なストレージオプション

高度なストレージオプション
13.16.1.1.1. iSCSI パラメーターの設定
Add iSCSI target... ボタンをクリックすると、iSCSI ターゲットの追加 ダイアログが 表示されます。

図13.32 iSCSI 検出詳細のダイアログ

iSCSI 検出詳細のダイアログ
インストールに iSCSI ストレージデバイスを使用するには、Anaconda が iSCSI ターゲットとして 検出 し、それにアクセスするための iSCSI セッション を作成できる必要があります。検出、セッションの作成それぞれで CHAP (Challenge Handshake Authentication Protocol) 認証用のユーザー名とパスワードが必要になる場合があります。また、検出、セッションの作成いずれの場合も、iSCSI ターゲット側でターゲットの接続先となるシステムの iSCSI イニシエータを認証するよう設定することもできます (リバース CHAP)。CHAP とリバース CHAP を併用する場合は 相互 CHAP または 双方向 CHAP と呼ばれます。相互 CHAP を使用すると、特に CHAP 認証とリバース CHAP 認証でユーザー名やパスワードが異なる場合などに、iSCSI 接続に対する最大限の安全レベルを確保できます。
注記
iSCSI 検出と iSCSI ログインの手順を繰り返して、必要なすべての iSCSI ストレージの追加を行います。ただし、初回の検出試行後は、iSCSI イニシエーターの名前の変更はできません。iSCSI イニシエーターの名前を変更する場合は、インストールを最初からやり直す必要があります。

手順13.1 iSCSI の検出と iSCSI セッションの開始

iSCSI ストレージターゲットの追加 ダイアログを使用して、iSCSI ターゲットの検出に必要な情報を Anaconda に提供します。
  1. ターゲット IP アドレス フィールドに iSCSI ターゲットの IP アドレスを入力し ます。
  2. iSCSI イニシエーター名 フィールドに iSCSI 修飾名 (IQN)形式で iSCSI イニシエーターの名前 を指定します。IQN エントリーには次を含めてください。
    • word . の 文字列(ピリオドに注意)
    • 日付コード (企業や組織のインターネットドメイン名またはサブドメイン名が登録された年と月、記述の順序は年を表す 4 桁の数字、ダッシュ記号、月を表す 2 桁の数字、ピリオドの順で設定。たとえば、2010 年 9 月を 2010-09 と 表します。
    • 企業や組織のインターネットドメイン名またはサブドメイン名 (トップレベルのドメインを先頭にして逆順で表す。たとえば、storage.example.com のサブドメインは com.example.storageと表現します。
    • コロン (:) と、ドメインまたはサブドメイン内でその iSCSI イニシエーターを固有に識別する文字列。例: :diskarrays-sn-a8675309
    そのため、完全な IQN は次のようになり ます。iqn.2010-09.storage.example.com:diskarrays-sn-a8675309anaconda は、設定に役立つように、この形式で iSCSI Initiator Name フィールドに名前を入力します。
    IQN の詳細については、 http://tools.ietf.org/html/rfc3720#section-3.2.6 に記載の『RFC 3720 - Internet Small Computer Systems Interface (iSCSI)』の『3.2.6. iSCSI Names』のセクションや、http://tools.ietf.org/html/rfc3721#section-1 に記載の『RFC 3721 - Internet Small Computer Systems Interface (iSCSI) Naming and Discovery』の 『1. iSCSI Names and Addresses』 のセクションを参照してください。
  3. 認証タイプの検出 ドロップダウン メニューを使用して、iSCSI 検出に使用する認証タイプを指定します。以下のタイプが使用できます。
    • 証明書なし
    • CHAP 秘密鍵
    • CHAP 秘密鍵とリバースペア
    • 認証タイプに CHAP ペア を選択した場合は、CHAP ユーザー名 と CHAP パスワード フィールドに iSCSI ターゲットのユーザー名 とパスワードを指定 ます。
    • 認証タイプに CHAP ペアとリバースペア を選択した場合は、CHAP ユーザー名 と CHAP パスワード フィールドに iSCSI ターゲットのユーザー名 とパスワードを入力します。また、リバース CHAP ユーザー名 と Reverse CHAP パスワード の各フィールドに、iSCSI イニシエーターのユーザー名 とパスワードを指定します。
  4. 必要に応じて、Bind targets to network interfaces というラベルが付いたボックスにチェックを入れます。
  5. Start Discovery ボタンをクリックします。Anaconda は指定した情報に基づいて iSCSI ターゲットを検出しようとします。検出に成功すると、ダイアログにターゲット上で検出された全 iSCSI ノードの一覧が表示されます。
  6. 各ノードにはチェックボックスが付いています。インストールに使用するノードのチェックボックスをクリックします。

    図13.33 検出された iSCSI ノードを表示しているダイアログ

    検出された iSCSI ノードを表示しているダイアログ
  7. Node login authentication type メニューは、手順 3 で説明されている Discovery Authentication Type メニューと同じオプションを提供します。ただし、認証タイプの検索に認証情報を必要とした場合、検出したノードへのログインにも同じ認証情報を使用するのが一般的です。これを行うには、追加の Use the credentials from discovery オプションを使用します。適切な認証情報を指定すると、ログイン ボタンが利用可能になります。
  8. ログイン をクリックして iSCSI セッションを開始します。
13.16.1.1.2. FCoE パラメーターの設定
FCoE SAN を追加 ボタンをクリックすると、FCoE ストレージデバイスを検出するようにネットワークインターフェイスを設定するダイアログが表示されます。
まず、NIC ドロップダウンメニューで FCoE スイッチに接続するネットワークインターフェイスを選択し、FCoE ディスクの追加 ボタンをクリックして SAN デバイスのネットワークをスキャンします。

図13.34 FCoE パラメーターの設定

FCoE パラメーターの設定
追加オプションには、以下のものがあります。
DCB を使用する
Data Center Bridging (DCB) とは、ストレージネットワークやクラスターでイーサネット接続の効率性を向上させる目的で設計されたイーサネットプロトコルに対する拡張セットです。このダイアログのチェックボックスを使って、インストールプログラムによる DCB 認識を有効または無効にします。このオプションは、ネットワークインターフェイスでホストベースの DCBX クライアントを必要とする場合にのみ有効にします。ハードウェアの DCBX クライアントを実装するインターフェイス上での設定の場合には、このチェックボックスは空のままにしておいてください。
自動 vlan の使用
自動 VLAN では、VLAN 検出を行うかどうかを指定します。このボックスにチェックを入れると、リンク設定が検証された後、FIP (FCoE Initiation Protocol) VLAN 検出プロトコルがイーサネットインタフェースで実行されます。まだ設定が行われていない場合には、検出された FCoE VLAN 全てに対してネットワークインターフェイスが自動的に作成され、FCoE のインスタンスが VLAN インターフェイス上に作成されます。このオプションはデフォルトで有効になっています。
検出された FCoE デバイスが、インストール先 画面の 他の SAN デバイス タブに表示されます。

13.17. Kdump

この画面を使用して、このシステムで Kdump を使用するかどうかを選択します。kdump は、カーネルクラッシュをダンプするメカニズムで、システムクラッシュが発生した場合は、クラッシュの原因を判断するのに非常に重要な情報をキャプチャーします。
Kdump を有効にする場合は、一定量のシステムメモリーを予約する必要があります。このため、プロセスに利用可能なメモリー容量は少なくなります。
IBM Power System LPAR は、Kdump の代替ダンプキャプチャーメカニズムであるファームウェア支援ダンプ(fadump)をサポートします。fadump では、カーネルの新しいコピーで読み込まれる完全にリセットされたシステムからダンプキャプチャーが行われます。特に、PCI デバイスおよび I/O デバイスは再初期化され、クリーンで一貫性のある状態であるため、Kdump の代替手段になります。fadumpKdump に代わるものですが、fadump では Kdump を有効にする必要があります。この画面で fadump を有効にすることができます。
このシステムで Kdump を使用しない場合は、Enable kdump のチェックを外します。それ以外の場合は、Kdump 用に確保するメモリー容量を設定します。インストーラーで自動的に保持する容量を決定するか、手動で任意の容量を設定することができます。設定が適切であれば、完了 をクリックして設定を保存し、前の画面に戻ります。

図13.35 Kdump の有効化と設定

Kdump の有効化と設定

13.18. インストールの開始

インストールの概要 画面の必要なセクションがすべて完了したら、メニュー画面の下部にある警告が表示されなくなり、Begin Installation ボタンが利用可能になります。

図13.36 インストールの準備完了

インストールの準備完了
警告
インストールプロセスのこの時点までは、コンピューターに対して永続的となる変更は行われていません。インストールの 開始 をクリックすると、インストール プログラムがハードドライブの領域を割り当て、Red Hat Enterprise Linux をこの領域に移動します。選択したパーティション設定オプションに応じて、このプロセスでは、コンピューターに存在しているデータの消去が行われる場合があります。
この時点までに行った選択のいずれかを変更するには、Installation Summary 画面の該当セクションに戻ります。インストールを完全に取り消すには、Quit をクリックするか、コンピューターをオフにします。この時点で電源を切る場合、ほとんどのコンピューターでは電源ボタンを数秒間、押し続けると電源が切れます。
インストールのカスタマイズが完了し、インストールを続行する場合は、Begin Installation をクリックします。
インストールの開始 を クリックしたら、インストール プロセスを完了させます。コンピューターの電源を切ったり、リセットしたり、または停電になったりしてプロセスが中断されると、Red Hat Enterprise Linux のインストールプロセスをやり直す、または別のオペレーティングシステムをインストールするまで、そのコンピューターは使用できなくなります。

13.19. 設定のメニューと進捗状況の画面

Installation Summary 画面で Begin Installation をクリックすると、進捗画面が表示されます。Red Hat Enterprise Linux は選択したパッケージをシステムに書き込む時にインストールの進捗を画面上で報告します。

図13.37 パッケージのインストール

パッケージのインストール
参考までに、インストールの完全なログは、システムの再起動後に /var/log/anaconda/anaconda.packaging.log ファイルで確認できます。
パーティション設定中に 1 つ以上のパーティションを暗号化することを選択すると、インストールプロセスの初期に進捗バーを表示するダイアログウィンドウが表示されます。このウィンドウでは、暗号化が安全となるように十分なエントロピー (ランダムデータ) をインストーラーが収集していることを知らせます。256 ビットのエントロピーが収集されるか 10 分間経過すると、このウィンドウは表示されなくなります。マウスを動かしたり、キーボードでランダムに入力すると、この収集プロセスが短縮されます。ウィンドウが消えるとインストールプロセスが続行されます。

図13.38 暗号用のエントロピーの収集

暗号用のエントロピーの収集
パッケージのインストール中は、より多くの設定が必要になります。インストールの進捗バーの上には、Root Password および User Creation メニュー項目があります。
Root Password 画面では、システムの root アカウントを設定します。このアカウントでは、重要なシステム管理と管理タスクを実行できます。wheel グループメンバーシップを持つユーザーアカウントでも、同じタスクを実行できます。インストール中にこのようなユーザーアカウントを作成する場合は、root パスワードの設定は必須ではありません。
ユーザーアカウントの作成はオプションのため、インストール後に行うことも可能ですが、この画面で作成しておくことが推奨されます。ユーザーアカウントは通常の業務およびシステムへのアクセスに使用します。システムへのアクセスは root アカウントではなく、常にユーザーアカウントでアクセスすることがベストプラクティスになります。
Root パスワード または ユーザーの 作成 画面へのアクセスを無効にでき ます。これを行うには、rootpw --lock コマンドまたは user --lock コマンドを含むキックスタートファイルを使用します。これらのコマンドの詳細は、 「キックスタートのコマンドとオプション」 を参照してください。

13.19.1. Root パスワードの設定

root アカウントとパスワードの設定は、インストールにおける重要なステップです。root アカウント (スーパーユーザーとも呼ぶ) は、パッケージのインストールや RPM パッケージ更新、ほとんどのシステムメンテナーンスの実行に使用されます。root アカウントを使用することにより、システム全体を完全に制御することができるようになります。このため、root アカウントの使用は システムのメンテナーンスもしくは管理を行う場合に限る のが最適です。root ユーザーでログインするまたは root ユーザーに切り替える方法については、Red Hat Enterprise Linux 7 システム管理者のガイドを参照してください。

図13.39 Root パスワード画面

Root パスワード画面
注記
インストール済みのシステムへの root 権限を確保するには、少なくとも 1 つの方法( root アカウントを使用するか、管理者権限( wheel グループのメンバー)を持つユーザーアカウントを作成するか、またはその両方を設定する必要があります。
Root Password メニュー項目をクリックし、Root Password フィールドに新しいパスワードを入力します。Red Hat Enterprise Linux では、セキュリティー上の理由から文字がアスタリスクで表示されます。確認 フィールドに同じパスワードを入力して、正しく設定されていることを確認 します。root パスワードを設定したら、完了 を クリック して ユーザー設定 画面に戻ります。
強固な root パスワードを作成する際の要件と推奨事項を以下に示します。
  • 最低でも 8 文字の長さが 必要 である
  • 数字、文字 (大文字と小文字)、記号を含めることができる
  • 大文字と小文字を区別するため、これらの組み合わせを使用する
  • 覚えやすいが他人からは簡単に推測できないものにする
  • ユーザーまたはユーザーが属する組織と関連のある単語や略語、数字、また辞書にある単語 (外国語も含む) などは避ける
  • パスワードは書き留めない (書き留めておく必要がある場合は、安全な所に保管してください)
注記
インストール完了後に root パスワードを変更するには、rootpasswd コマンドを実行します。root パスワードを忘れた場合は、 「root パスワードのリセット」 にあるレスキューモードを使用して新しい設定方法を参照してください。

13.19.2. ユーザーアカウントの作成

インストール時に通常の(root 以外の)ユーザーアカウントを作成するには、進捗画面 で ユーザー設定 をクリックします。Create User 画面が表示され、通常のユーザーアカウントを設定し、そのパラメーターを設定できるようになります。ユーザーの作成はインストール時に行うことを推奨していますが、この作業はオプションとなるためインストール完了後に行うこともできます。
注記
インストール済みのシステムへの root 権限を確保するには、少なくとも 1 つの方法( root アカウントを使用するか、管理者権限( wheel グループのメンバー)を持つユーザーアカウントを作成するか、またはその両方を設定する必要があります。
ユーザー作成画面を入力した後、ユーザーを作成したままにするには、すべてのフィールドを空のままにして、Done をクリックします。

図13.40 ユーザーアカウント設定画面

ユーザーアカウント設定画面
各フィールドにフルネームとユーザー名を入力します。システムのユーザー名は 32 文字以内の長さにしてください。空白を含めることはできません。新しいアカウントにはパスワードを設定することを強く推奨します。
root 以外のユーザーにも強固なパスワードを設定する場合は「Root パスワードの設定」 に記載のガイドラインに従います。
Advanced ボタンをクリックして、追加設定を含む新しいダイアログを開きます。

図13.41 高度なユーザー設定

高度なユーザー設定
デフォルトでは、各ユーザーにはユーザー名に対応するホームディレクトリーが作成されます。ほとんどの場合、この設定を変更する必要はありません。
また、手動でチェックボックスを選択すると、新規ユーザーとそのデフォルトグループのシステム ID 番号を指定することができます。一般ユーザー ID の範囲は、1000 から始まります。ダイアログの下部では、この新規ユーザーが所属することになる追加グループをコンマで区切った一覧形式で入力することができます。この新規グループがシステム内に作成されます。グループ ID をカスタマイズする場合は、ID 番号を括弧で囲んで指定します。
注記
一般ユーザーとそのデフォルトグループの ID を 1000 ではなく 5000 から始まる範囲に設定することを検討してください。これは、システムユーザーおよびグループ用に予約されている範囲 0~999 が今後増え、通常のユーザーの ID と重複する可能性があるためです。
キックスタートでカスタム ID を指定してユーザーを作成する場合は、 user (任意) を参照してください。
インストール後に UID と GID の下限を変更して、選択した UID と GID の範囲がユーザー作成時に自動的に適用されるようにする方法は、システム管理者のガイドのユーザーとグループの概要の章を参照してください。
ユーザーアカウントをカスタマイズしたら、変更の保存 をクリックして ユーザー 設定 画面に 戻ります。

13.20. インストールの完了

おめでとうございます。Red Hat Enterprise Linux のインストールが完了しました。
起動 ボタンをクリックしてシステムを再起動し、Red Hat Enterprise Linux の使用を開始します。再起動時にインストールメディアが自動的に取り出されない場合は、忘れず取り出してください。
コンピューターの通常電源投入シーケンスが完了したら、Red Hat Enterprise Linux が読み込まれて起動します。デフォルトでは、開始プロセスは進捗バーを表示しているグラフィカル画面の裏に隠れています。最終的に、GUI ログイン画面(または X Window System がインストールされていない場合は、login: プロンプトが表示されます)。
インストールプロセス中、システムに X Window System をインストールしている場合は、Red Hat Enterprise Linux システムの初回の起動でシステムをセットアップするアプリケーションが起動されます。このアプリケーションを使用すると、システムの時刻と日付の設定、Red Hat Network へのマシンの登録など、順を追って Red Hat Enterprise Linux の初期設定を行うことができます。
設定プロセスの詳細は 30章初期設定 (Initial Setup) を参照してください。

第14章 IBM Power Systems でのインストールに関するトラブルシューティング

本章では、一般的なインストール関連の問題とその解決法について説明していきます。
デバッグの目的で、Anaconda はインストールアクションを /tmp ディレクトリー内のファイルにログ記録します。以下の表に各種のログファイルを示します。
表14.1 インストール中に生成されるログファイル
ログファイル 内容
/tmp/anaconda.log Anaconda に関する一般的なメッセージ
/tmp/program.log インストール中に実行されたすべての外部プログラム
/tmp/storage.log ストレージモジュールの詳細情報
/tmp/packaging.log yum パッケージおよび rpm パッケージのインストールメッセージ
/tmp/syslog ハードウェア関連のシステムメッセージ
インストールに失敗すると、これらのファイルからのメッセージは /tmp/anaconda-tb-identifier に統合されます。identifier はランダムな文字列です。
インストールに成功すると、デフォルトでは、これらのファイルは /var/log/anaconda/ ディレクトリー下のインストール済みシステムにコピーされます。ただし、インストールが失敗した場合、またはインストールシステムの起動時に inst.nosave=all オプションまたは inst.nosave=logs オプションを使用すると、ログはインストールプログラムの RAM ディスクにのみ存在します。つまり、ファイルは永久的には保存されず、システムの電源を切ると失われることになります。永続的に保存するには、インストールプログラムを実行しているシステムで scp を使用してネットワーク上の別のシステムにこれらのファイルをコピーするか、マウントされたストレージデバイス(USB フラッシュドライブなど)にコピーします。ネットワーク経由でログファイルを転送する方法を以下に示します。
注記
以下の手順では、インストールシステムがネットワークにアクセスでき、ターゲットシステムが ssh プロトコルでファイルを受信できるようにする必要があります。

手順14.1 ネットワークを介してログファイルを転送する

  1. インストールするシステムで Ctrl+Alt+F2 を押してシェルプロンプトにアクセスします。インストールプログラムの一時ファイルシステムへのアクセス権を持つ root アカウントでログインします。
  2. ログファイルが置かれている /tmp ディレクトリーに移動します。
    # cd /tmp
  3. scp コマンドを使用して、ネットワーク上の別のシステムにログファイルをコピーします。
    # scp *log user@address:path
    user には転送先システムで有効なユーザー名を入力します。address には転送先システムのアドレスまたはホスト名を入力します。path にはログファイルを保存するディレクトリーへのパスを入力します。たとえば、john として IP アドレスが 192.168.0.122 のシステムにログインして、ログファイルをそのシステムの /home/john/logs/ ディレクトリーに置く場合は、以下のような形式になります。
    # scp *log john@192.168.0.122:/home/john/logs/
    初めてターゲットシステムに接続する際に、SSH クライアントにより、リモートシステムのフィンガープリントが正しいことと、継続するかを尋ねられます。
    The authenticity of host '192.168.0.122 (192.168.0.122)' can't be established.
    ECDSA key fingerprint is a4:60:76:eb:b2:d0:aa:23:af:3d:59:5c:de:bb:c4:42.
    Are you sure you want to continue connecting (yes/no)?
    yes入力 し、Enter を押して続行します。プロンプトに従いパスワードを入力します。転送先システムの指定ディレクトリーへのファイル転送が開始されます。
これでインストールによるログファイルが完全に転送先システムに保存され、後で確認できるようになります。

14.1. インストール開始時の問題

14.1.1. グラフィカルインストールの起動に関連する問題

特定のビデオカードを搭載するシステムでグラフィカルなインストールプログラムを起動すると、問題が発生することがあります。インストールプログラムがデフォルト設定を使用して実行しない場合は、それより低い解像度モードでの実行を試みます。それでも動作が失敗する場合、インストールプログラムはテキストモードによる実行を試行します。
ディスプレイに関する問題の解決策はいくつかありますが、そのほとんどはカスタムの起動オプションを指定する必要があります。詳細は、「ブートメニューによるインストールシステムの設定」 を参照してください。
基本的なグラフィックモードを使用する
基本的なグラフィックスドライバーを使用して、インストールの実行を試みることができます。これを行うには、boot: プロンプトでインストールプログラムのオプションを編集し、コマンドラインの最後に inst.xdriver=vesa を追加します。
ディスプレイの解像度を手動で指定する
インストールプログラムが画面の解像度の検出に失敗した場合は、自動検出を無効にして手動で指定できます。これを行うには、起動メニューに inst.resolution=x オプションを追加します。x はディスプレイの解像度( 1024x768など)に置き換えます。

14.1.2. シリアルコンソールが検出されない

シリアルコンソールを使ってテキストモードでインストールしようとすると、コンソールに何も出力されないことがあります。これは、システムにグラフィックカードが搭載されているのにモニターが接続されていない場合に発生します。Anaconda がグラフィックカードを検出すると、ディスプレイが接続されていない場合でも、表示に使用しようとします。
シリアルコンソールでテキストベースのインストールを実行する場合は、inst.text および console= 起動オプションを使用します。詳細は 23章起動オプション を参照してください。

14.2. インストール中の問題

14.2.1. ディスクが検出されない

インストール先 画面では、以下のエラーメッセージが下部に表示されます: No disks detected.コンピューターをシャットダウンしてから、少なくともひとつのディスクに接続を行ってからインストールを再開してください。)
このメッセージは、Anaconda がインストールする書き込み可能なストレージデバイスを見つけなかったことを示しています。このような場合、まずストレージデバイスが少なくとも 1 つはシステムに接続されていることを確認します。
ご使用のシステムがハードウェア RAID コントローラーを使用している場合、そのコントローラーが正しく設定され動作していることを確認してください。方法については、コントローラーの資料を参照してください。
1 つ以上の iSCSI デバイスにインストールを実行していて、システム上にローカルストレージがない場合、必要なすべての LUN (論理ユニット番号) が適切な HBA (ホストバスアダプター) に示されていることを確認してください。iSCSI の詳細は、付録B iSCSI ディスク を参照してください。
ストレージデバイスが接続され正しく設定されていることを確認してから、システムを再起動してインストールを再実行したのにまだ同じメッセージが表示されてしまう場合、インストールプログラムがストレージの検出に失敗していることを示しています。多くの場合、インストールプログラムで認識されていない SCSI デバイスにインストールしようとすると、このようなメッセージがよく表示されます。
このような場合には、インストール開始前にドライバーを更新する必要があります。この問題を解決するドライバー更新が入手可能になっていないかハードウェア製造元の Web サイトを確認してください。ドライバー更新に関する一般的な情報は、11章IBM Power Systems へのインストール中におけるドライバー更新 を参照してください。
また、 https://hardware.redhat.com でオンラインの 『Red Hat Hardware Compatibility List』 (Red Hat ハードウェア互換性一覧) を確認してください。

14.2.2. トレースバックメッセージの報告

グラフィカルインストールプログラムでエラーが発生すると、クラッシュレポートのダイアログボックスが表示されます。このダイアログボックスを使って、発生した問題に関する情報を Red Hat に送信することができます。クラッシュレポートを送信するには、カスタマーポータルの認証情報を入力する必要があります。カスタマーポータルのアカウントをお持ちでない場合は、https://www.redhat.com/wapps/ugc/register.html で登録していただくことができます。自動クラッシュレポートの機能を利用する場合には、動作しているネットワーク接続も必要になります。

図14.1 クラッシュレポートのダイアログボックス

クラッシュレポートのダイアログボックス
ダイアログが表示されたら、問題を 報告する場合は バグ の報告 を選択するか、Quit を選択してインストールを終了します。
必要に応じて、More Info をクリックして、エラーの原因を特定するのに役立つ詳細な出力を表示します。デバッグに精通している場合は、Debug をクリックします。これにより、仮想ターミナル tty1 が表示されます。ここでは、バグレポートを強化するより正確な情報をリクエストできます。tty1 からグラフィカルインターフェイスに戻るには、continue コマンドを使用します。

図14.2 クラッシュレポートのダイアログを展開した例

クラッシュレポートのダイアログを展開した例
カスタマーポータルにバグを報告する場合は、次の手順に従ってください。

手順14.2 Red Hat カスタマーポータルにエラーを報告する

  1. 表示されるメニューで、Report a bug to Red Hat Customer Portal を選択します。
  2. Red Hat にバグを報告するには、まずカスタマーポータルの認証情報を入力する必要があります。Red Hat カスタマーサポートの設定 をクリックします。

    図14.3 カスタマーポータル認証情報

    カスタマーポータル認証情報
  3. 新しいウィンドウが開き、カスタマーポータルのユーザー名とパスワードの入力が求められます。Red Hat カスタマーポータル認証情報を入力してください。

    図14.4 Red Hat カスタマーサポートの設定

    Red Hat カスタマーサポートの設定
    ネットワーク設定で HTTP または HTTPS プロキシーを使用する必要がある場合は、Advanced メニューを展開し、プロキシーサーバーのアドレスを入力して設定できます。
    必要な認証情報をすべて入力したら、OK をクリックして続行します。
  4. テキストフィールドがある新しいウィンドウが表示されます。ここに関連情報やコメントを入力します。クラッシュレポートのダイアログが表示されるまでに行った動作を一つずつ入力し、どのようにしたらエラーが再現できるかを説明してください。できるだけ具体的に、デバッグを行った場合はそのときに得られた情報も入力してください。ここに入力された情報はカスタマーポータルで公開される可能性があるので注意してください。
    エラーの原因が分からない場合は、ダイアログの下部にある I don't know this issue のラベルが付いた ボックスにチェックを入れてください。
    次に、Forward をクリックします。

    図14.5 問題の詳細を入力する

    問題の詳細を入力する
  5. 次に、カスタマーポータルに送信する情報を再確認します。指定した説明は comment タブにあります。他のタブには、システムのホスト名やインストール環境に関する詳細などが含まれています。Red Hat に送信したくない情報は削除することができます。ただし、報告していただく内容が限られると、問題の調査に影響するため注意してください。
    送信する情報の確認が終了したら Forward をクリックします。

    図14.6 送信データの再確認

    送信データの再確認
  6. 添付ファイルとしてバグ報告に含ませて送信するファイルの一覧を確認します。このファイルには調査に役立つシステム関連情報が含まれています。特定のファイルを送信したくない場合は、そのファイルの横にあるボックスのチェックマークを外します。問題を見つけるのに役立つ追加のファイルを指定するには、Attach a file をクリックします。
    送信するファイルを確認したら、I have review the data and agree with submitting it というラベルが付いたボックスにチェックを入れます。Forward をクリックして、レポートと添付ファイルをカスタマーポータルに送信します。

    図14.7 送信ファイルの再確認

    送信ファイルの再確認
  7. ダイアログが処理が完了したと報告されたら、Show log をクリックしてレポートプロセスの詳細を表示するか、Close をクリックして最初のクラッシュレポートダイアログボックスに戻ります。Quit をクリックしてインストールを終了します。

14.2.3. プレインストールログファイルの作成

インストール問題をデバッグするには、インストール前に inst.debug オプションを設定して環境からログファイルを作成することができます。これらのログファイルには、現行のストレージ設定などが含まれます。
Red Hat Enterprise Linux インストール起動メニューでオプションを設定するには、以下を実行します。
  1. Install Red Hat Enterprise Linux 7.3 エントリーを選択します。
  2. Tab キーを押して、起動オプションを編集します。
  3. オプションに inst.debug を追加します。以下に例を示します。
    > vmlinuz ... inst.debug
    詳細は23章起動オプションを参照してください。
  4. Enter を押して設定を開始します。
システムは、Anaconda が起動する前に、プレインストールのログファイルを /tmp/pre-anaconda-logs/ ディレクトリーに保存します。このログファイルにアクセスするには、以下を実行します。
  1. コンソールに切り替えます。「コンソールへのアクセス」 を参照してください。
  2. /tmp/pre-anaconda-logs/ ディレクトリーに移動します。
    # cd /tmp/pre-anaconda-logs/

14.2.4. IBM Power Systems ユーザー向けのパーティション作成に関するその他の問題

手動でパーティションを作成している際に次の画面へ移動できない場合は、インストールの継続に必要なすべてのパーティションが作成されていないことが考えられます。
最低必要条件として次のパーティションがあることを確認してください。
  • / (root)パーティション
  • PReP Boot パーティション
  • /boot パーティション(ルートパーティションが LVM 論理ボリュームまたは Btrfs サブボリュームの場合のみ)
詳細は、「推奨されるパーティション設定スキーム」 を参照してください。

14.3. インストール後の問題

14.3.1. グラフィカルな起動シーケンスに関する問題

インストール完了後に初めてシステムを再起動すると、グラフィカルな起動シーケンスの途中でシステムが反応しなくなり、リセットが必要となることがあります。このような場合、ブートローダーは正常に表示されますが、エントリーを選択してシステムを起動しようとするとシステムが停止してしまいます。ほとんどの場合、これはグラフィカルな起動のシーケンスに関する問題を示しています。この問題を解決するには、グラフィカルな起動を無効にする必要があります。まずブートタイムの設定を一時的に変更してから、そのあと永続的に変更します。

手順14.3 グラフィカルな起動を一時的に無効にする

  1. コンピューターを起動してブートローダーメニューが表示されるまで待ちます。ブートローダーのタイムアウト期間を 0 に設定すると、Esc キーを押すと、それにアクセスします。
  2. ブートローダーメニューが表示されたら、カーソルキーを使用して起動するエントリーを強調表示し、e キーを押してこのエントリーのオプションを編集します。
  3. オプション一覧でカーネル行を探します。カーネル行は linux というキーワードで始まります。この行で、rhgb オプションを探して削除します。オプションが隠れて見えないこともあります。カーソル移動キーを使って画面をスクロールしてみてください。
  4. F10 または Ctrl+X を押して、編集したオプションでシステムを起動します。
システムが正常に起動した場合は、通常通りにログインできます。このあと、グラフィカルな起動を永続的に無効にする必要があります。永続的に無効にしておかないと、システムが起動する度に上述の手順を繰り返さなければなりません。起動オプションを永続的に変更するには次の手順に従ってください。

手順14.4 グラフィカルな起動を永続的に無効にする

  1. su - コマンドを使用して root アカウントにログインします。
    $ su -
  2. grubby ツールを使用して、デフォルトの GRUB2 カーネルを検索します。
    # grubby --default-kernel
    /boot/vmlinuz-3.10.0-229.4.2.el7.ppc64
  3. grubby ツールを使用して、GRUB2 設定で、最後の手順で特定されたデフォルトのカーネルから rhgb 起動オプションを削除します。以下に例を示します。
    # grubby --remove-args="rhgb" --update-kernel /boot/vmlinuz-3.10.0-229.4.2.el7.ppc64
この手順が完了したら、コンピューターを再起動できます。Red Hat Enterprise Linux はグラフィカルな起動シーケンスを使用しなくなります。今後グラフィカルブートを有効にする場合は、同じ手順に従って、--remove-args="rhgb" パラメーターを --args="rhgb" パラメーターに置き換えます。これにより、rhgb 起動オプションが GRUB2 設定のデフォルトカーネルに復元されます。
GRUB2 ブートローダーの使用方法 の詳細は、Red Hat Enterprise Linux 7 システム管理者のガイド を参照してください。

14.3.2. グラフィカル環境での起動

X Window System をインストールしていても、システムにログインするとグラフィカルデスクトップ環境が表示されない場合は、startx コマンドを使用して手動で起動できます。ただし、手動による起動はその場限りで、次回からのログインプロセスを変更するわけではないことに注意してください。
グラフィカルログイン画面でログインできるようにシステムを設定するには、デフォルトの systemd ターゲットを graphical.target に変更する必要があります。設定を終えたらコンピューターを再起動します。システムが再起動すると、グラフィカルなログインプロンプトが表示されるようになります。

手順14.5 グラフィカルなログインをデフォルトとして設定する

  1. シェルプロンプトを開きます。ユーザーアカウントにいる場合は、su - コマンドを入力して root になります。
  2. デフォルトのターゲットを graphical.target に変更します。次のコマンドを実行します。
    # systemctl set-default graphical.target
これでグラフィカルログインがデフォルトで有効になります。次回の再起動からグラフィカルなログインプロンプトが表示されるようになります。この変更を元に戻し、テキストベースのログインプロンプトを引き続き使用する場合は、root で以下のコマンドを実行します。
# systemctl set-default multi-user.target
systemd のターゲットの詳細は、Red Hat Enterprise Linux 7 システム管理者のガイドを参照し てください。

14.3.3. グラフィカルユーザーインターフェイスが表示されない

X ( X Window System)の起動に問題がある場合は、X がインストールされていない可能性があります。インストール時に選択できるプリセットベース環境の一部( Minimal installWeb Server など)には、グラフィカルインターフェイスを含めないでください。手動でインストールする必要があります。
X が必要な場合は、後で必要なパッケージをインストールできます。グラフィカルデスクトップ環境のインストール方法は、https://access.redhat.com/site/solutions/5238 のナレッジベースの記事を参照してください。

14.3.4. ユーザーがログインすると X サーバーがクラッシュする

ユーザーのログイン時に X サーバーのクラッシュに問題がある場合は、1 つ以上のファイルシステムが満杯になるか、ほぼ満杯になる可能性があります。原因がファイルシステムにあるかどうかを確認するため次のコマンドを実行します。
$ df -h
出力は、どのパーティションが満杯であるかを診断するのに役立ちます。ほとんどの場合、問題は /home パーティションにあります。以下は、df コマンドの出力例です。
Filesystem                                  Size  Used Avail Use% Mounted on
/dev/mapper/vg_rhel-root                     20G  6.0G   13G  32% /
devtmpfs                                    1.8G     0  1.8G   0% /dev
tmpfs                                       1.8G  2.7M  1.8G   1% /dev/shm
tmpfs                                       1.8G 1012K  1.8G   1% /run
tmpfs                                       1.8G     0  1.8G   0% /sys/fs/cgroup
tmpfs                                       1.8G  2.6M  1.8G   1% /tmp
/dev/sda1                                   976M  150M  760M  17% /boot
/dev/dm-4                                    90G   90G     0 100% /home
上記の例では、/home パーティションが満杯になり、クラッシュの原因になっていることがわかります。不必要なファイルを削除して領域を解放します。ディスク領域の一部を解放したら、startx コマンドを使用して X を起動します。
df に関する詳細情報と、利用可能なオプション(この例では -h オプションなど)の詳細は、df (1) の man ページを参照してください。

14.3.5. signal 11 エラーが表示される

セグメンテーション違反 と呼ばれる signal 11 エラーとは、割り当てられていないメモリーにプログラムがアクセスを行ったという意味です。インストールされているソフトウェアプログラムのいずれかにバグがあったり、ハードウェアに障害があると signal 11 エラーが発生する場合があります。
インストール時に致命的なシグナル 11 エラーが発生した場合は、最初に最新のインストールイメージを使用していることを確認し、Anaconda に検証して、それらが破損していないことを確認します。signal 11 エラーの原因として不良インストールメディア (書き込みが不適切だったり、傷が付いている光学ディスクなど) がよく見られます。インストールを行う前には、必ずインストールメディアの整合性を確認することが推奨されます。
最新のインストールメディアを取得する方法は、2章Red Hat Enterprise Linux のダウンロード を参照してください。インストールを開始する前にメディアチェックを実行するには、起動メニューに rd.live.check 起動オプションを追加します。詳細は 「起動メディアの検証」 を参照してください。
これ以外に考えられる原因は、本書では扱いません。詳細は、ハードウェアの製造元のドキュメントを参照してください。

14.3.6. ネットワークストレージ領域 (*NWSSTG) から起動 (IPL) できない

ネットワークストレージ領域(*NWSSTG)から IPL を試行する際に問題が発生した場合は、ほとんどの場合 PReP パーティションがありません。このような場合には、システうを再インストールして、パーティションフェーズまたはキックスタートファイルでこのパーティションを作成するようにします。

14.3.7. GRUB2 next_entry 変数は、仮想化環境で予期しない動作をする可能性がある

SLOF ファームウェアを使用して仮想環境を起動する IBM Power System ユーザーは、システムの再起動後に next_entry grub 環境変数を手動で設定解除する必要があります。SLOF ファームウェアはその設計によりブロック書き込みをサポートしておらず、このためブートローダーは起動時にこの変数をクリアすることができません。

パート III. IBM Z アーキテクチャー - インストールと起動

ここでは、IBM Z での Red Hat Enterprise Linux の起動、または 初期プログラムロード (IPL) およびインストールについて説明します。

第15章 IBM Z へのインストールプラン

15.1. プレインストール

Red Hat Enterprise Linux 7 は、zEnterprise 196 以降の IBM メインフレームシステムで実行されます。
IBM Z へのインストールプロセスでは、ユーザーが IBM Z の操作に慣れていること、また 論理パーティション (LPAR) および z/VM ゲスト仮想マシンをセットアップできることを前提としています。IBM Z の詳細は http://www.ibm.com/systems/z を参照してください。
Red Hat Enterprise Linux を IBM Z にインストールする場合、Red Hat では、DASD (Direct Access Storage Device) および FCP (ファイバーチャネルプロトコル) のストレージデバイスがサポートされます。
Red Hat Enterprise Linux のインストール前に、以下を決定する必要があります。
  • オペレーティングシステムを LPAR 上で稼働させるのか、z/VM ゲストの OS として稼働させるのか選択します。
  • swap 領域が必要かどうか、また必要な場合はその大きさを決定します。z/VM が必要なスワッピングを行えるように z/VM のゲスト仮想マシンに十分なメモリーを割り当てることは可能でかつ推奨されますが、必要な RAM の大きさが予測困難な場合もあります。このような場合にはケースバイケースで検討してください。「推奨されるパーティション設定スキーム」 を参照してください。
  • ネットワーク設定を決定します。IBM Z 向けの Red Hat Enterprise Linux 7 は、以下のネットワークデバイスに対応しています。
    • 物理的および仮想の OSA (オープンシステムアダプター)
    • 物理および仮想の HiperSockets
    • 物理的な OSA 対応の LCS (LAN チャネルステーション)
以下のハードウェアが必要になります。
  • ディスク領域。DASD で必要なディスク容量を計算して、十分な容量を割り当てる必要があります。[2] または SCSI[3] ディスクのパーティションを設定できます。サーバーのインストールには最低 10 GB が必要です。すべてのパッケージをインストールする場合は 20 GB が必要です。アプリケーションデータにもディスク領域が必要です。インストール後に、DASD パーティションまたは SCSI パーティションを追加または削除できます。
    新規インストールの Red Hat Enterprise Linux システム (Linux インスタンス) で使用するディスク領域と、お使いのシステムにインストールされているその他の OS で使用されるディスク領域は、別にしておく必要があります。
    ディスクおよびパーティション設定の詳細は、「推奨されるパーティション設定スキーム」 を参照してください。
  • RAM。Linux インスタンス用に 1 GB (推奨) を確保してください。調整を行うと、512 MB の RAM でもインスタンスを稼働できる場合があります。
注記
SWAPGEN ユーティリティーを使用して FBA (固定ブロックアーキテクチャー)DASD 上のスワップ領域を初期化する場合は、FBAPART オプションを使用する必要があります。

15.2. IBM Z へのインストール手順の概要

Red Hat Enterprise Linux の IBM Z へのインストールは、対話形式または無人モードで行うことが可能です。IBM Z へのインストールは通常、ローカルメディアからではなく、ネットワーク経由で行われるという点で他のアーキテクチャーと異なります。このインストールは、以下の 3 つの段階で設定されます。
  1. インストールの起動

    メインフレームに接続し、その後にインストールプログラムを含むメディアから IPL (initial program load)、つまり起動を実行します。詳細は 16章IBM Z でのインストールの起動 を参照してください。
  2. インストールシステムへの接続

    ローカルマシンから、リモートの IBM Z システムに接続し、インストールプロセスを続行します。詳細は 17章インストールシステムへの接続 を参照してください。
  3. Anaconda

    Anaconda インストールプログラムを使用してネットワークを設定し、言語サポート、インストールソース、インストールするソフトウェアパッケージを指定し、残りのインストールを実行します。詳細は、18章Anaconda を使用したインストール を参照してください。

15.2.1. インストールの起動

メインフレームとの接続を確立したら、インストールプログラムを含むメディアから IPL (initial program load)、つまり起動を実行する必要があります。本書では、IBM Z に Red Hat Enterprise Linux をインストールする最も一般的な方法を説明します。一般的には、generic.prm ファイルのパラメーターとともに、カーネル(kernel.img)と初期 RAM ディスク(initrd.img)で設定される Linux インストールシステムを起動することができます。さらに、initrd、カーネル、および generic.prm のファイル名とメモリーアドレスを決定する generic.ins ファイルがロードされます。
本書では、Linux インストールシステムを インストールプログラム とも呼びます。
IPL プロセスを開始できる制御ポイントは、Linux を実行する環境によって異なります。Linux を z/VM ゲストのオペレーティングシステムとして実行する場合は、ホストである z/VM の CP (コントロールプログラム) が制御ポイントになります。Linux を LPAR モードで実行する場合は、メインフレームの SE (サポートエレメント) または接続されている IBM Z の HMC (ハードウェア管理コンソール) が制御ポイントになります。
以下の起動メディアは、Linux を z/VM 環境でゲストのオペレーティングシステムとして実行する場合にのみ使用できます。
以下の起動メディアは、Linux を LPAR モードで実行する場合にのみ使用できます。
以下の起動メディアは、z/VM と LPAR の両方に使用できます。
DASD および FCP 接続の SCSI デバイス(SCSI DVD を除く)をブートメディアとして使用する場合は、zipl ブートローダーを設定する必要があります。

15.2.2. インストールシステムへの接続

ローカルマシンから、リモートの IBM Z システムに接続し、インストールプロセスを続行します。詳細は 17章インストールシステムへの接続 を参照してください。

15.2.3. Anaconda を使用したインストール

2 つ目のインストールフェーズでは、Anaconda インストールプログラムをグラフィカルモード、テキストベースのモード、またはコマンドラインモードで使用します。
グラフィカルモード
グラフィカルなインストールは VNC クライアントを使います。マウスやキーボードを使って画面を移動したり、ボタンをクリックしたり、テキストフィールドへの入力を行ったりすることができます。VNC を使用してグラフィカルインストールを実行する方法は、25章VNC の使用 を参照してください。
テキストベースモード
GUI のインターフェイス要素は一切提供されないため、すべての設定には対応していません。VNC クライアントを使用できない場合に対話式のインストールを行うにはこのモードを使用します。テキストベースのインストールの詳細は、「テキストモードでのインストール」 を参照してください。
コマンドラインモード
これは、IBM Z に自動で非対話形式のインストールを行うためのモードです。インストールプログラムで、キックスタートコマンドが無効な場合や、欠落している場合には、システムが再起動される点に注意してください自動インストールの詳細は27章キックスタートを使ったインストールを参照してください。
Red Hat Enterprise Linux 7 では、テキストベースのインストールはユーザー介入を最小限に抑えています。FCP 接続の SCSI デバイスでのインストールや パーティションレイアウトのカスタマイズ、パッケージアドオンの選択などの機能は、グラフィカルユーザーインターフェイスでのインストールに限られます。可能な限りグラフィカルインストールを使用してください。詳細は 18章Anaconda を使用したインストール を参照してください。


[2] Direct Access Storage Devices (DASD) は、デバイスごとに最大 3 つのパーティションを許可するハードディスクです。たとえば、dasda には、dasda1dasda2、および dasda3 のパーティションを設定できます。
[3] SCSI-over-Fibre Channel デバイスドライバー( zfcp デバイスドライバー)とスイッチを使用すると、ローカルに接続された SCSI ドライブと同様に、IBM Z 上の Linux に SCSI LUN を提示できます。

第16章 IBM Z でのインストールの起動

Anaconda インストールプログラムの初期プログラム起動(IPL)を実行する手順は、Red Hat Enterprise Linux が実行される環境(z/VM または LPAR)によって異なります。

16.1. ブートパラメーターのカスタマイズ

インストールを開始する前に、ブートパラメーターを設定する必要があります。z/VM でインストールする場合は、generic.prm ファイルで起動する前にこれらのパラメーターを設定する必要があります。LPAR にインストールする場合、rd.cmdline パラメーターはデフォルトで ask に設定されます。つまり、これらのブートパラメーターを入力できるプロンプトが表示されます。いずれの場合も、必須パラメーターは同じです。
注記
ネットワーク設定に対話式ユーティリティーを使用していた Red Hat Enterprise Linux 6 とは異なり、全ネットワーク設定は以下のパラメーターを使用して指定する必要があります。これはパラメーターファイルの使用もしくはプロンプトで行います。
インストールソース
インストールソースは常に設定される必要があります。inst.repo= オプションを使用して、インストール用のパッケージソースを指定します。詳細および構文については、インストールソースの指定 を参照してください。
ネットワークデバイス
インストール中にネットワークアクセスが必要となる場合は、ネットワークを設定する必要があります。ハードドライブなどのローカルメディアのみを使用して無人 (Kickstart ベース) のインストールを行う場合は、ネットワーク設定を省略できます。
基本的なネットワーク設定には ip= オプション、および必要に応じて ネットワーク起動オプション の一覧に挙げられたその他のオプションを使用してください。
また、rd.znet= カーネルオプションも使用します。このオプションは、ネットワークプロトコルタイプ、コンマ区切りのサブチャネルのリスト、およびオプションでコンマ区切りの sysfs パラメーターと値のペアを取ります。複数のネットワークデバイスをアクティベートするには、このパラメーターを複数回にわたり指定することができます。
以下に例を示します。
rd.znet=qeth,0.0.0600,0.0.0601,0.0.0602,layer2=1,portname=foo
ストレージデバイス
少なくとも 1 つのストレージデバイスが常に設定される必要があります
rd.dasd= オプションは、DASD (Direct Access Storage Device) アダプターデバイスバス識別子を取ります。複数の DASD の場合は、パラメーターを複数回指定するか、バス ID のコンマ区切りリストを使用します。DASD の範囲を指定するには、最初と最後のバス ID を指定します。たとえば、以下のようになります。
rd.dasd=0.0.0200 rd.dasd=0.0.0202(ro),0.0.0203(ro:failfast),0.0.0205-0.0.0207
rd.zfcp= オプションは、zFCP (SCSI over FCP) アダプターデバイスバス識別子、WWPN (world wide port name) 、FCP LUN を受け取ってデバイスを作動させます。複数の zFCP デバイスをアクティベートするには、このパラメーターを複数回にわたり指定することができます。たとえば、以下のようになります。
rd.zfcp=0.0.4000,0x5005076300C213e9,0x5022000000000000
Kickstart のオプション
Kickstart ファイルを使用して自動インストールを行う場合は、inst.ks= オプションで Kickstart ファイルの場所を常に指定している必要があります。無人の完全自動キックスタートインストールでは、inst.cmdline オプションを指定すると便利です。詳細は 「キックスタートを使ったインストールのパラメーター」 を参照してください。
必須パラメーターをすべて含むカスタマイズされた generic.prm ファイルの例は、以下の例のようになります。

例16.1 カスタマイズ generic.prm ファイル

ro ramdisk_size=40000 cio_ignore=all,!condev
inst.repo=http://example.com/path/to/repository
rd.znet=qeth,0.0.0600,0.0.0601,0.0.0602,layer2=1,portno=0,portname=foo
ip=192.168.17.115::192.168.17.254:24:foobar.systemz.example.com:enccw0.0.0600:none
nameserver=192.168.17.1
rd.dasd=0.0.0200 rd.dasd=0.0.0202
rd.zfcp=0.0.4000,0x5005076300C213e9,0x5022000000000000
inst.ks=http://example.com/path/to/kickstart
インストール方法によっては、DVD または FTP サーバーのファイルシステムのインストールデータの場所のマッピングがあり、データがコピーされるメモリーの場所を持つファイルが必要です。通常、このファイルの名前は generic.ins で、初期 RAM ディスク、カーネルイメージ、パラメーターファイル(generic.prm)のファイル名と各ファイルのメモリーの場所が含まれます。generic.ins の例は以下の例のようになります。

例16.2 generic.ins サンプルファイル

images/kernel.img 0x00000000
images/initrd.img 0x02000000
images/genericdvd.prm 0x00010480
images/initrd.addrsize 0x00010408
有効な generic.ins ファイルは、インストーラーの起動に必要なその他すべてのファイルとともに Red Hat により提供されます。このファイルは、たとえば、デフォルト以外のカーネルバージョンをデフォルトからロードする場合にのみ変更します。

16.2. ハードドライブを使った IBM Z へのインストールに関する注意点

ハードドライブからインストールプログラムを起動する場合は、オプションとして同じディスクまたは別のディスクに zipl ブートローダーをインストールできます。zipl はディスクごとに 1 つのブートレコードのみをサポートすることに注意してください。1 つのディスクに複数のパーティションを設ける場合は、全パーティションが 1 つのブートレコードを共有します。
インストールプログラムを起動できるようにハードドライブを準備するには、以下のコマンドを入力して zipl ブートローダーをハードドライブにインストールします。
# zipl -V -t /mnt/ -i /mnt/images/kernel.img -r /mnt/images/initrd.img -p /mnt/images/generic.prm
generic.prm 設定ファイルのブートパラメーターのカスタマイズに関する詳細は、「ブートパラメーターのカスタマイズ」 を参照してください。

16.3. z/VM へのインストール

z/VM 環境にインストールする場合は、以下から起動できます。
  • z/VM 仮想リーダー
  • DASD または FCP 接続の SCSI デバイス( zipl ブートローダーを設定済み)
  • FCP 接続の SCSI DVD ドライブ
Linux インストールに選択した z/VM ゲストの仮想マシンにログオンします。Red Hat Enterprise Linux の x3270 -text パッケージで利用可能な x3270 または c3270 端末エミュレーターを使用して、他の Linux システムから z/VM にログインできます。または、IBM Z HMC (ハードウェア管理コンソール) の IBM 3270 端末エミュレーターを使用することもできます。Microsoft Windows オペレーティングシステム搭載のマシンから作業する場合には、Jolly Giant (http://www.jollygiant.com/) で SSL 対応 3270 エミュレーターを使用できます。wc3270 と呼ばれる c3270 のフリーネイティブ Windows ポートもあります。
注記
使用中の 3270 接続が割り込みを受け、それまでのセッションがまだアクティブなために再ログインができない場合は、z/VM ログイン画面で以下のコマンドを入力すると、それまでのセッションを新規のセッションに置き換えることができます。
logon user here
user には z/VM ゲスト仮想マシンの名前を入れてください。RACF などの外部セキュリティーマネージャーが使用されているかどうかによって、ログオンコマンドが異なる場合があります。
ゲストで CMS (z/VM に同梱されているシングルユーザー用オペレーティングシステム)を実行していない場合は、以下のコマンドを入力してここで起動します。
cp ipl cms
インストールターゲットには、A ディスク (多くの場合デバイス番号は 0191) などの CMS ディスクを使用しないようにしてください。CMS で使用されているディスクを確認するには、以下のクエリーを使用します。
query disk
以下の CP (z/VM ハイパーバイザーである z/VM 制御プログラム) の query コマンドを使用すると、z/VM ゲスト仮想マシンのデバイス設定を確認できます。
  • 利用できるメインメモリーをクエリーします。IBM Z の用語では ストレージ と呼ばれています。IBM Z の用語では {0>storage<0} と呼ばれています。 ゲストには少なくとも 1 GB のメインメモリーが必要です。
    cp query virtual storage
  • 利用できるネットワークデバイスを以下のタイプ別にクエリーします。
    osa
    OSA - CHPID タイプ OSD、物理または仮想 (VSWITCH または GuestLAN)、いずれも QDIO モード
    hsi
    HiperSockets - CHPID タイプ IQD、物理または仮想 (GuestLAN タイプ Hipers)
    lcs
    LCS - CHPID タイプ OSE
    たとえば、上記のネットワークデバイスタイプをすべて問い合わせる場合は、次を実行します。
    cp query virtual osa
  • 利用できる DASD をクエリーします。インストールターゲットとして使用できるのは、RW に読み取り/書き込みモードのフラグが付いたもののみです。
    cp query virtual dasd
  • 利用できる FCP チャネルをクエリーします。
    cp query virtual fcp

16.3.1. z/VM リーダーの使用

以下の手順に従って z/VM リーダーから起動します。
  1. 必要に応じて、z/VM の TCP/IP ツールを含むデバイスを CMS ディスクの一覧に追加します。以下に例を示します。
    cp link tcpmaint 592 592
    acc 592 fm
    fmFILEMODE 文字に置き換えます。
  2. コマンドを実行します。
    ftp host
    host は、ブートイメージ(kernel.img および initrd.img)をホストする FTP サーバーのホスト名または IP アドレスになります。
  3. ログインして以下のコマンドを実行します。既存の kernel.img ファイル、initrd.img ファイル、generic.prm ファイル、または redhat.exec ファイルを上書きする場合は、(repl オプションを使用します)。
    cd /location/of/install-tree/images/
    ascii 
    get generic.prm (repl 
    get redhat.exec (repl 
    locsite fix 80 
    binary 
    get kernel.img (repl 
    get initrd.img (repl 
    quit
  4. 必要に応じて、CMS コマンド filelist を使用して受信したファイルとその形式を表示することにより、ファイルが正しく転送されたかどうかを確認します。kernel.img および initrd.img には、Format 列の固定レコード長の形式が F で、Lrecl 列のレコード長が 80 であることが重要です。以下に例を示します。
    VMUSER FILELIST A0 V 169 Trunc=169 Size=6 Line=1 Col=1 Alt=0
    Cmd Filename	Filetype	Fm	Format	Lrecl	Records	Blocks	Date	Time
    REDHAT	EXEC		B1	V	22	1 	1	4/15/10	9:30:40
    GENERIC	PRM		B1	V	44	1	1	4/15/10	9:30:32
    INITRD	IMG		B1	F	80	118545	2316	4/15/10	9:30:25
    KERNEL	IMG		B1	F	80	74541	912	4/15/10	9:30:17
    
    PF3 を押して filelist を終了し、CMS プロンプトに戻ります。
  5. 必要に応じて、generic.prm 内の起動パラメーターをカスタマイズします。詳細は 「ブートパラメーターのカスタマイズ」 を参照してください。
    CMS 設定ファイルを使用して、ストレージデバイスおよびネットワークデバイスを設定する方法もあります。このような場合は、CMSDASD= パラメーターおよび CMSCONFFILE= パラメーターを generic.prm に追加します。詳細は 「z/VM 設定ファイル」 を参照してください。
  6. 最後に、REXX スクリプト redhat.exec を実行してインストールプログラムを起動します。
    redhat

16.3.2. 設定済み DASD の使用

準備した DASD から起動し、Red Hat Enterprise Linux インストールプログラムを参照する zipl ブートメニューエントリーを選択します。コマンドを次の形式で使用します。
cp ipl DASD_device_number loadparm boot_entry_number
DASD_device_number をブートデバイスのデバイス番号に置き換え、boot_entry_number を、このデバイスの zipl 設定メニューに置き換えます。以下に例を示します。
cp ipl eb1c loadparm 0

16.3.3. 設定済み FCP 接続の SCSI ディスクの使用

設定済み FCP を接続した SCSI ディスクから起動するには、以下の手順を実行します。
  1. FCP ストレージエリアネットワーク内に準備した SCSI ディスクにアクセスできるように z/VM の SCSI ブートローダーを設定します。Red Hat Enterprise Linux インストールプログラムを参照する準備済みの zipl ブートメニューエントリーを選択します。コマンドを次の形式で使用します。
    cp set loaddev portname WWPN lun LUN bootprog boot_entry_number
    WWPN は、ストレージシステムのワールドワイドポート名に、LUN は、ディスクの論理ユニット番号に置き換えます。16 桁の 16 進数は、それぞれ 8 桁の 2 つのペアに分割する必要があります。以下に例を示します。
    cp set loaddev portname 50050763 050b073d lun 40204011 00000000 bootprog 0
  2. 必要に応じて、次のコマンドで設定を確認します。
    query loaddev
  3. 以下のコマンドを使用して、ディスクを含むストレージシステムに接続している FCP デバイスを起動します。
    cp ipl FCP_device 
    以下に例を示します。
    cp ipl fc00

16.3.4. FCP 接続の SCSI DVD ドライブ

SCSI DVD ドライブを FCP-to-SCSI ブリッジに接続し、このブリッジを IBM Z の FCP アダプターに接続する必要があります。FCP アダプターを設定して z/VM 環境で使用できるようにしておきます。
  1. DVD ドライブに Red Hat Enterprise Linux for IBM Z DVD を挿入します。
  2. FCP Storage Area Network の DVD ドライブにアクセスできるように z/VM の SCSI ブートローダーを設定し、IBM Z DVD 用の Red Hat Enterprise Linux のブートエントリーに 1 を指定します。コマンドを次の形式で使用します。
    cp set loaddev portname WWPN lun FCP_LUN bootprog 1
    WWPN は、FCP-to-SCSI ブリッジの WWPN に、FCP_LUN は、DVD ドライブの LUN に置き換えます。16 桁の 16 進数は、それぞれ 8 桁の 2 つのペアに分割する必要があります。以下に例を示します。
    cp set loaddev portname 20010060 eb1c0103 lun 00010000 00000000 bootprog 1
  3. 必要に応じて、次のコマンドで設定を確認します。
    cp query loaddev
  4. FCP-to-SCSI ブリッジに接続している FCP デバイスで IPL を行います。
    cp ipl FCP_device
    以下に例を示します。
    cp ipl fc00

16.4. LPAR へのインストール

LPAR (論理パーティション) 内にインストールする場合は以下から起動することができます。
  • FTP サーバー
  • DASD または FCP 接続の SCSI ドライブ( zipl ブートローダーを設定済み)
  • FCP 接続の SCSI DVD ドライブ
上記に共通する手順をまず実行します。
  1. LPAR に新しいオペレーティングシステムをインストールするために十分な権限を持つユーザーとして、IBM Z の HMC (ハードウェア管理コンソール) または SE (サポートエレメント) にログインします。SYSPROG ユーザーが推奨されます。
  2. イメージ を 選択し、インストールする LPAR を選択します。右側のフレームの矢印を使用して、CPC Recovery メニューに移動します。
  3. Operating System Messages をダブルクリックして、Linux の起動メッセージが表示されるテキストコンソールを表示します。
インストールソースの手順に進みます。
注記
ここまでの手順を完了して、インストールソースに従って以下のいずれかの手順を終わらせると、インストールが開始されます。インストーラーは追加の起動パラメーターを入力するようプロンプト表示します。必須のパラメーターについては、「ブートパラメーターのカスタマイズ」 で説明しています。

16.4.1. FTP サーバーの使用

  1. Load from CD-ROM、DVD、または Server をダブルクリックします。
  2. 続いて表示されるダイアログボックスで、FTP Source を選択し、次の情報を入力します。
    • Host Computer - インストール元となる FTP サーバーのホスト名または IP アドレス( ftp.redhat.comなど)
    • User ID - FTP サーバーのユーザー名。または、匿名 を指定します。
    • Password: パスワードanonymous としてログインする場合は、メールアドレスを使用します。
    • account (オプション) - このフィールドを空のままにします。
    • ファイルの場所(オプション) - Red Hat Enterprise Linux for IBM Z を保持する FTP サーバーのディレクトリー(例: /rhel/s390x/ )。
  3. Continue をクリックします。
  4. 続いて表示されるダイアログで、generic.ins のデフォルト選択をそのままにして、Continue をクリックします。

16.4.2. 設定済み DASD の使用

  1. Load をダブルクリックします。
  2. 続いて表示されるダイアログボックスで、Load typeNormal を選択します。
  3. Load address (ロードアドレス)には、DASD のデバイス番号を入力します。
  4. Load parameter には、Red Hat Enterprise Linux インストールプログラムを起動するために準備した zipl ブートメニューエントリーに対応する番号を入力します。
  5. OK ボタンをクリックします。

16.4.3. 設定済み FCP 接続の SCSI ディスクの使用

  1. Load をダブルクリックします。
  2. 続いて表示されるダイアログボックスで、Load type として SCSI を選択します。
  3. Load address (ロードアドレス)には、SCSI ディスクに接続されている FCP チャネルのデバイス番号を入力します。
  4. World wide port name には、ディスクを含むストレージシステムの WWPN を 16 桁の 16 進数で入力します。
  5. Logical unit number には、ディスクの LUN を 16 桁の 16 進数で入力します。
  6. Boot program selector には、Red Hat Enterprise Linux インストールプログラムを起動するために準備した zipl ブートメニューエントリーに対応する番号を入力します。
  7. Boot record logical block address0 のままにし、Operating system specific load parameters を空のままにします。
  8. OK ボタンをクリックします。

16.4.4. FCP 接続の SCSI DVD ドライブ

SCSI DVD ドライブ を FCP-to-SCSI ブリッジに接続し、このブリッジを IBM Z マシンの FCP アダプターに接続する必要があります。FCP アダプターを設定し、LPAR で利用可能にしておく必要があります。
  1. DVD ドライブに Red Hat Enterprise Linux for IBM Z DVD を挿入します。
  2. Load をダブルクリックします。
  3. 続いて表示されるダイアログボックスで、Load type として SCSI を選択します。
  4. Load address (ロードアドレス)には、FCP-to-SCSI ブリッジに接続されている FCP チャネルのデバイス番号を入力します。
  5. World wide port name には、FCP-to-SCSI ブリッジの WWPN を 16 桁の 16 進数で入力します。
  6. Logical unit number には、DVD ドライブの LUN を 16 桁の 16 進数で入力します。
  7. Boot program selector には、数字 1 を入力し、Red Hat Enterprise Linux for IBM Z DVD のブートエントリーを選択します。
  8. Boot record logical block address0 のままにし、Operating system specific load parameters を空のままにします。
  9. OK ボタンをクリックします。

第17章 インストールシステムへの接続

Anaconda インストールプログラムの初期プログラムロード (IPL) が完了したら、ssh 接続を使用して、ローカルマシンから IBM Z システムに接続します。
インストールプロセスを続行するには、インストールシステムに接続する必要があります。VNC モードを使用して GUI ベースのインストールを実行するか、確立済みの接続を使用してテキストモードのインストールを実行します。
追加リソース:
GUI ベースのインストールの VNC およびさまざまな VNC モードのインストール方法は、25章VNC の使用を参照してください。

17.1. VNC でリモート接続の設定

ローカルマシンから以下の手順を実行し、IBM Z システムとのリモート接続を設定します。
前提条件
  • IBM Z システムで最初のプログラムの起動が完了し、コマンドプロンプトに以下が表示されている。
    	Starting installer, one moment...
            Please ssh install@my-z-system (system ip address) to begin the install.
    
  • VNC アクセスをインストールシステムに限定する場合は、inst.vncpassword=PASSWORD ブートパラメーターが設定されていることを確認してください。
  1. コマンドプロンプトで、以下のコマンドを実行します。
    $ssh install@my-z-system-domain-name
    または
    $ssh install@my-z-system-IP-address
  2. inst.vnc パラメーターを設定したかどうかに応じて、ssh セッションに以下の出力が表示されます。
    inst.vnc パラメーターが設定されている場合:
    Starting installer, one moment...
    Please manually connect your vnc client to my-z-system:1 (system-ip-address:1) to begin the install.
    
    inst.vnc パラメーターが設定されていない場合:
    Starting installer, one moment...
    Graphical installation is not available. Starting text mode.
    =============
    Text mode provides a limited set of installation options. 
    It does not offer custom partitioning for full control 
    over the disk layout. Would you like to use VNC mode instead?
    1) Start VNC
    2) Use text mode
    Please make your choice from above ['q' to quit | 'c' to continue | 'r' to refresh]:
    
    inst.vnc パラメーターを設定した場合は、手順 5 に進みます。
  3. 1 を入力して VNC を起動します。
  4. inst.vncpassword= 起動オプションを設定しておらず、サーバー接続をセキュアに保つ場合は、パスワードを入力します。
  5. 新しいコマンドプロンプトから、VNC サーバーに接続します。
    $vncviewer my-z-system-ip-address:display_number
    接続にセキュリティー設定をした場合は、前の手順で入力したパスワード、inst.vncpassword= 起動オプションに設定したパスワードを使用します。
    RHEL インストーラーが VNC クライアントで起動している。

第18章 Anaconda を使用したインストール

本章では、Anaconda インストーラーを使用して Red Hat Enterprise Linux をインストールする手順を説明します。本章の大部分では、グラフィカルユーザーインタフェースを使用したインストールを説明しています。IBM Z の場合には、グラフィカルインターフェイスは、別のシステムから VNC プロトコル経由でアクセスします。グラフィカルディスプレイのないシステムではテキストモードが利用できますが、このモードは特定の機能 (カスタマイズのパーティション設定ができないなど) に制限があります。
グラフィカルインターフェイスで VNC モードが使用できない場合は、キックスタートを使った自動インストールを検討してください。キックスタートの詳細は27章キックスタートを使ったインストールを参照してください。

18.1. Anaconda の概要

Red Hat Enterprise Linux インストーラーである Anaconda は、その並列性があるため、他のほとんどのオペレーティングシステムのインストールプログラムとは異なります。ほとんどのインストーラーは、最初に言語の選択、次にネットワークの設定、それからインストールタイプ、パーティション設定、といったように、決まったパスで進められます。ある時点ですすめる方向は通常、1 つのみです。
Anaconda では、最初に言語とロケールのみを選択するだけで、中央画面が表示され、任意の順序でインストールのほとんどの側面を設定できます。これはインストールのすべての部分に該当するわけではありません。たとえば、ネットワークからインストールする場合は、インストールするパッケージが選択可能となる前にネットワークを設定する必要があります。
お使いのハードウェアやインストールを開始するメディアタイプによっては、自動で設定される画面もいくつかあります。その場合でも、検出された設定は変更することが可能です。自動設定されず、インストール前にユーザーの作業が必要となる画面には、感嘆符が付いています。実際のインストールプロセスを開始するには、これらの設定を完了する必要があります。
中央の画面では、他にも違いがあります。特に、カスタムのパーティション設定プロセスは他の Linux ディストリビューションとは非常に異なります。これらの違いについては、各画面のサブセクションで説明します。

18.2. インストール中のコンソールとロギング

以下のセクションでは、インストール中にログと対話式のシェルにアクセスする方法を説明しています。これは問題解決に役立ちますが、ほとんどの場合では必要ないはずです。

18.2.1. コンソールへのアクセス

Red Hat Enterprise Linux インストーラーは、tmux ターミナルマルチプレクサーを使用して、メインインターフェイスに加えて使用できるいくつかのウィンドウを表示および制御します。これらのウィンドウはそれぞれ異なる目的を果たします。インストール中の問題のトラブルシューティングに使用できるいくつかの異なるログが表示されます。ウィンドウの 1 つは、root 権限を持つインタラクティブなシェルプロンプトを提供します。オプションまたはキックスタートコマンド。
注記
一般的に、インストール関連の問題を診断する必要がなければ、デフォルトのグラフィカルインストール環境から、他の環境に移動する必要はありません。
端末マルチプレクサーは、仮想コンソール 1 で実行しています。グラフィカルインストール環境から tmux に切り替えるには、Ctrl+Alt+F1 を押します。仮想コンソール 6 で実行されるメインのインストールインターフェイスに戻るには、Ctrl+Alt+F6 を押します。
注記
テキストモードインストールを選択した場合、仮想コンソール 1 (tmux) で開始し、コンソール 6 に切り替えると、グラフィカルインターフェイスではなくシェルプロンプトが開きます。
tmux を実行しているコンソールには 5 つの使用可能なウィンドウがあります。それらの内容は、それらにアクセスするために使用されるキーボードショートカットと共に、以下の表で説明されています。キーボードショートカットは 2 つの部分に分かれていることに注意してください。最初に Ctrl+b を押してから、両方のキーを放し、使用するウィンドウの数字キーを押します。
Ctrl+b nCtrl+b p を使用して、それぞれ次または前の tmux ウィンドウに切り替えることもできます。
表18.1 利用可能な tmux ウィンドウ
ショートカット 内容
Ctrl+b 1 メインのインストールプログラム画面。テキストベースのプロンプト (テキストモードのインストール中もしくは VNC Direct モードを使用の場合) とデバッグ情報があります。
Ctrl+b 2 root 権限を持つ対話型シェルプロンプト。
Ctrl+b 3 インストールログ; /tmp/anaconda.log に保存されているメッセージを表示します。
Ctrl+b 4 ストレージログ; /tmp/storage.log に保存されている、カーネルおよびシステムサービスからのストレージデバイスに関連するメッセージを表示します。
Ctrl+b 5 プログラムログ; /tmp/program.log に保存されている、他のシステムユーティリティーからのメッセージを表示します。
Anaconda はtmux ウィンドウに診断情報を表示するだけでなく、インストールシステムから転送できるいくつかのログファイルも生成します。これらのログについては 表19.1「インストール中に生成されるログファイル」 を、インストールシステムからの転送方法は、19章IBM Z でのインストールに関するトラブルシューティングを参照してください。

18.2.2. スクリーンショットの保存

グラフィカルインストール中はいつでも Shift+Print Screen キー を押して、現在の画面をキャプチャーできます。これらのスクリーンショットは /tmp/anaconda-screenshots/ に保存されます。
さらに、Kickstart ファイルで autostep --autoscreenshot コマンドを使用して、インストールの各ステップを自動的にキャプチャーして保存することもできます。詳細は 「キックスタートのコマンドとオプション」 を参照してください。

18.3. 非対話形式のラインモードでのインストール

inst.cmdline オプションがパラメーターファイルで起動オプションとして指定されている場合 (「キックスタートを使ったインストールのパラメーター」) またはキックスタートファイルで cmdline オプションが指定されている (を参照)27章キックスタートを使ったインストール)、Anaconda は 非対話型テキスト行モードで開始します。このモードでは、キックスタートファイルで必要な情報をすべて提供する必要があります。インストールプログラムはユーザーの対話を許可し、必要なコマンドがない場合に停止します。

18.4. テキストモードでのインストール

テキストモードによるインストールでは、Red Hat Enterprise Linux のインストールに対話式で、グラフィカルではないインターフェイスを使用します。これはグラフィカル機能のないシステムでは便利ですが、テキストベースのインストールを開始する前に、常に利用可能な別の方法 (自動キックスタートインストールや VNC によるグラフィカルユーザーインタフェースの使用など) を検討してください。テキストモードでは、インストール中の選択肢の数に限りがあります。

図18.1 テキストモードでのインストール

テキストモードでのインストール
テキストモードでのインストールは、グラフィカルインストールと同様のパターンになります。決まった 1 つの方法ではなく、メインのステータス画面を使用して多くの設定を好きな順序で設定することができます。自動またはユーザーによって設定済みの画面には x のマークが付けられ、インストールを開始する前に注意が必要な画面には ! のマークが付けられています。利用可能なコマンドは、利用可能なオプション一覧の下に表示されます。
注記
関連するバックグラウンドタスクが実行されている場合、特定のメニュー項目が一時的に利用できなくなったり、処理中... ラベルが表示されたりすることがあります。テキストメニュー項目の現在のステータスに更新するには、テキストモードプロンプトで r オプションを使用します。
テキストモード画面の下部には、5 つのメニューオプションを表示する緑色のバーがあります。これらのオプションは、tmux ターミナルマルチプレクサーのさまざまな画面を表します。デフォルトでは、画面 1 から開始し、キーボードショートカットを使用して、ログと対話型コマンドプロンプトを含む他の画面に切り替えることができます。利用可能な画面やそれらへの切り替えに使用するショートカットについては、「コンソールへのアクセス」 を参照してください。
対話式テキストモードでのインストールには以下のような制限があります。
  • インストーラーは常に言語には英語を、キーボードには US English のキーボードレイアウトを使用します。言語とキーボードレイアウトは設定可能ですが、これはインストールされるシステムに適用されるもので、インストール自体には適用されません。
  • 高度なストレージメソッド (LVM、software RAID、FCoE、zFCP、および iSCSI) の設定はできません。
  • カスタムのパーティション設定はできません。自動パーティション設定のいずれかを使用する必要があります。また、ブートローダーのインストール場所を設定することもできません。
  • インストールするパッケージアドオンを選択することはできません。Yum パッケージマネージャーを使用して、インストールが完了した後に追加する必要があります。
テキストモードのインストールを開始するには、パラメーターファイル (generic.prm) で使用される inst.text 起動オプションを使用してインストールを起動します。パラメーターファイルの詳細は、21章IBM Z でのパラメーターと設定ファイル を参照してください。

18.5. グラフィカルユーザーインターフェイスでのインストール

Red Hat Enterprise Linux の手動でのインストールでは、グラフィカルインターフェイスが推奨の方法になります。カスタムのパーティション設定や高度なストレージ設定を含むすべての設定に対して完全な制御ができ、英語以外の多くの言語にローカライズされているので、インストール全体を別の言語で実行できます。ローカルメディア (CD、DVD または USB フラッシュドライブ) からシステムを起動すると、グラフィカルモードがデフォルトで使用されます。

図18.2 インストール概要 画面

インストール概要 画面
以下のセクションでは、インストールプロセスで使用可能な各画面について説明しています。インストーラーには並立的な性質があるため、ほとんどの画面は表示されている順序で完了する必要はないことに留意してください。
グラフィカルインターフェイスの各画面には、ヘルプ ボタンがあります。このボタンをクリックすると、Yelp ヘルプブラウザーが開き、現在の画面に関連する 『Red Hat Enterprise Linux インストールガイド』 のセクションが表示されます。
また、キーボードを使ってグラフィカルインストーラーを制御することもできます。以下の表では、利用可能なショートカットを示しています。
表18.2 グラフィカルインストーラーでのキーボードショートカット
ショートカットキー 用途
タブ+シフトタブ 表示画面上でアクティブな要素 (ボタン、チェックボックスなど) の間を移動します。
上下_ リストをスクロールします。
ツールバーとテーブルエントリーを左右にスクロールします。
スペースエンター 選択肢からハイライト表示したアイテムを選択または削除し、ドロップダウンメニューを展開、折りたたみます。
さらに、各画面の要素をそれぞれのショートカットで切り替えることもできます。これらのショートカットは、Alt キーを押したままにすると強調表示 (下線) されます。その要素を切り替えるには、Alt+X を押します。X ハイライトされた文字です。
使用中のキーボードレイアウトは、画面右上に表示されます。デフォルトでは、レイアウトは 1 つだけ設定されています。キーボードレイアウト 画面で複数のレイアウトを設定した場合 (「キーボードの設定」)、レイアウトインジケーターをクリックしてそれらを切り替えることができます。

18.6. ようこその画面と言語設定

インストールプログラムの最初の画面は 、Red Hat Enterprise Linux へようこそ 画面です。ここで、Anaconda が残りのインストールで使用する言語を選択します。この選択内容が、後に変更しない限り、インストール済みシステムのデフォルトになります。左側のパネルで、選択した言語 (英語 など) を選択します。次に、右側のパネルで地域固有のロケールを選択できます (例: English (United States))
注記
1 つの言語が一覧の上部に事前に設定されます。この時点でネットワークアクセスが設定されている場合 (たとえば、ローカルメディアではなくネットワークサーバーから起動した場合)、事前に選択された言語は、GeoIP モジュールを使用した自動位置検出に基づいて決定されます。
また、下図で示すように、検索ボックスに任意の言語を入力することもできます。
選択したら、続行 ボタンをクリックして、インストールの概要 画面に進みます。

図18.3 言語設定

言語設定
続行 ボタンをクリックすると、サポートされていないハードウェアダイアログが表示される場合があります。これは、カーネルがサポートしていないハードウェアを使用している場合に発生します。

18.7. インストールの概要画面

インストールの概要 画面は、インストールをセットアップするための中心的な場所です。

図18.4 インストール概要 画面

インストール概要 画面
Red Hat Enterprise Linux インストールプログラムでは、画面が次々と表示されるのではなく、ユーザーが選択する順番でインストールを設定できます。
マウスを使って、設定するインストールセクションのメニューアイテムを選択します。セクションの設定が完了したら、またはそのセクションを後で完了する場合は、画面の左上隅にある 完了 ボタンをクリックします。
警告シンボルのマークが付いたセクションのみが必須です。画面の下部の注で警告されているように、これらをインストールを開始する前に選択する必要があります。残りのセクションはオプションです。各セクションのタイトルの下には、現在の設定の概要が示されます。これを参考にして、該当セクションの設定が必要かどうかを決めることができます。
必要なセクションがすべて完了したら、インストールの開始 ボタンをクリックします。「インストールの開始」 も併せて参照してください。
インストールをキャンセルするには、終了 ボタンをクリックします。
注記
バックグラウンドで関連タスクが実行されている間は、特定のメニューアイテムが一時的に使用できなくなることがあります。

18.8. 日付と時刻

タイムゾーン、日付、およびオプションでネットワーク時間の設定を設定するには、インストールの概要 画面で 日付と時刻 を選択します。
タイムゾーンを選択するには、3 つの方法があります。
  • マウスを使って対話式マップをクリックして特定の都市を選択します。選択した都市を示す赤いピンが表示されます。
  • 画面上部の 地域都市の ドロップダウンメニューをスクロールして、タイムゾーンを選択することもできます。
  • 地域 ドロップダウンメニューの下部にある その他 を選択し、次のメニューで GMT/UTC に調整されたタイムゾーン (例: GMT+1) を選択します。
ご自分の都市が地図またはドロップダウンメニューに表示されない場合には、同じタイムゾーンの最も近い主要都市を選択してください。または、キックスタートファイルを使用することもできます。これにより、グラフィカルインターフェイスでは使用できない追加のタイムゾーンを指定できます。の timezone コマンドを参照してください。 timezone (必須) 詳細については。
注記
表示される都市や地域の一覧は Time Zone Database (tzdata) パブリックドメインのものを使用しています。このドメインは Internet Assigned Numbers Authority (IANA) で管理されています。Red Hat は、このデータベースに都市や地域を追加することはできません。詳細は、http://www.iana.org/time-zones の公式の Web サイトを参照してください。
システムクロックの精度を維持するために NTP (Network Time Protocol) を使用する予定であっても、タイムゾーンを指定してください。
ネットワークに接続している場合は、Network Time スイッチが有効になります。NTP を使用して日付と時刻を設定するには、Network Time スイッチを ON の 位置のままにし、設定アイコンをクリックして、Red Hat Enterprise Linux が使用する NTP サーバーを選択します。日付と時刻を手動で設定するには、スイッチを オフの 位置に動かします。システムクロックにより選択タイムゾーンに応じた正しい日付と時刻が画面下部に表示されるはずです。表示された時刻が正しくない場合は手動で調整してください。
インストール時に NTP サーバーが利用できない場合があります。このような場合はネットワーク時間を有効にしても自動設定は行われません。サーバーが利用できるようになると日付と時刻が更新されます。
選択したら、完了 をクリックして インストールの概要 画面に戻ります。
注記
インストールの完了後にタイムゾーンの設定を変更するには、設定 ダイアログウィンドウの 日付と時刻 セクションにアクセスします。

18.9. 言語サポート

追加のロケールおよび言語方言のサポートをインストールするには、インストールの概要 画面から 言語サポート を選択します。
インストールする追加の言語サポートをマウスで選びます。左側のパネルで、Español などの言語を選択します。次に、右側のパネルで地域固有のロケールを選択できます (例: Español (コスタリカ))。言語とロケールはどちらも複数選択が可能です。選択された言語は左側のパネルで太字で強調表示されます。

図18.5 言語サポートの設定

言語サポートの設定
選択が完了したら、完了 をクリックして インストールの概要 画面に戻ります。
注記
インストールの完了後に言語サポートの設定を変更するには、設定 ダイアログウィンドウの 地域と言語 セクションにアクセスしてください。

18.10. キーボードの設定

システムに複数のキーボードレイアウトを追加するには、インストールの概要 画面から キーボード を選択します。保存されたレイアウトは、インストールプログラムで即座に利用可能となり、画面右上に常時表示されるキーボードアイコンを使って切り替えることができます。
初めは、ようこその画面で選択された言語のみが左のペインにキーボードレイアウトとして表示されます。当初のレイアウトを置き換えたり、または新たなレイアウトを追加することができます。ただし、選択した言語が ASCII 文字を使用しない場合、暗号化されたディスクパーティションや root ユーザーのパスワードを正しく設定できるよう ASCII 文字を使用するキーボードレイアウトを追加する必要があります。

図18.6 キーボードの設定

キーボードの設定
追加のレイアウトを追加するには、+ ボタンをクリックしてリストから選択し、追加 をクリックします。レイアウトを削除するには、レイアウトを選択して - ボタンをクリックします。矢印ボタンを使ってレイアウトの優先順位を調整します。キーボードレイアウトの視覚的プレビューを表示するには、レイアウトを選択してからキーボードのボタンをクリックします。
レイアウトを試すには、マウスで右側のテキストボックス内をクリックします。テキストを入力してみて、選択した機能が正常に機能するか確認します。
追加したレイアウトを試す場合は、画面上部の言語セレクターをクリックしてそのレイアウトに切り替えます。ただし、レイアウト切り替え用のキーの組み合わせを設定しておくことが推奨されます。右側の オプション ボタンをクリックして レイアウト切り替えオプション ダイアログを開き、チェックボックスをオンにしてリストから組み合わせを選択します。組み合わせは オプション ボタンの上に表示されます。この組み合わせはインストール中およびインストール後のシステムの両方に適用されるため、インストール後に使用できるようここで組み合わせを設定しておく必要があります。また、レイアウトの切り替えには、複数の組み合わせを選択することもできます。
重要
ロシア 語などのラテン文字を受け入れることができないレイアウトを使用する場合、Red Hat は 英語 (米国) レイアウトを追加し、キーボードの組み合わせを設定して 2 つのレイアウトを切り替えることを推奨します。ラテン文字を含まないレイアウトのみを選択した場合、インストールプロセスの後半で有効な root パスワードおよびユーザー認証情報を入力できない可能性があります。これにより、インストールを完了できない可能性があります。
選択したら、完了 をクリックして インストールの概要 画面に戻ります。
注記
インストールの完了後にキーボード設定を変更するには、設定 ダイアログウィンドウの キーボード セクションにアクセスします。

18.11. セキュリティーポリシー

セキュリティーポリシー スポークを使用すると、Security Content Automation Protocol (SCAP) 標準で定義された制限と推奨事項 (コンプライアンスポリシー) に従って、インストールされたシステムを設定できます。この機能はアドオンが提供するもので、これは Red Hat Enterprise Linux 7.2 以降デフォルトで有効になっています。有効にすると、この機能の提供に必要なパッケージが自動的にインストールされます。ただし、デフォルトではポリシーが強制されることがなく、明確に設定されている場合を除いて、インストール時およびインストール後にチェックが行われません。
Red Hat Enterprise Linux 7 セキュリティーガイドでは、バックグラウンド情報、実用的な例、および追加リソースを含むセキュリティーコンプライアンスについての詳細情報を提供しています。
重要
セキュリティーポリシーの適用はすべてのシステムで必要なわけではありません。このウィンドウは、所定のポリシーの適用が業務規定や法令で義務付けられている場合にのみ使用してください。
セキュリティーポリシーをシステムに適用する場合は、選択したプロファイル内で定義される制限および推奨事項を使用してインストールされます。また、パッケージ選択に openscap-scanner パッケージが追加され、コンプライアンスおよび脆弱性スキャンのインストール済みツールが提供されます。インストールが終わると、システムは自動的にコンプライアンスを確認するためにスキャンされます。このスキャンの結果は、インストールされたシステムの /root/openscap_data ディレクトリーに保存されます。
この画面で使用できる定義済みのポリシーは、SCAP Security Guide によって提供されます。利用可能な各プロファイルについての詳細情報は、OpenSCAP Portal にあるリンクを参照してください。
HTTPS、HTTP または FTP サーバーから追加プロファイルを読み込むこともできます。

図18.7 セキュリティーポリシー選択画面

セキュリティーポリシー選択画面
システムでセキュリティーポリシーの使用を設定するには、まず セキュリティーポリシーの適用 スイッチを ON に設定して設定を有効にします。スイッチが オフの 位置にある場合、この画面の残りのコントロールは無効になります。
スイッチを使用してセキュリティーポリシーの設定を有効にした後、画面上部のウィンドウにリスト表示されているプロファイルの 1 つを選択し、下の プロファイルの選択 をクリックします。プロファイルが選択されたら、右側に緑色のチェックが表示され、下のフィールドに変更がインストール開始前に加えられるかどうかが表示されます。
注記
デフォルトで使用可能となっているプロファイルは、インストール開始前に変更を適用しません。ただし、下記のとおりにカスタムプロファイルを読み込むとインストール前のアクションが必要になる場合があります。
カスタムプロファイルを使用するには、左上隅にある コンテンツの変更 ボタンをクリックします。これで別の画面が開き、有効なセキュリティーコンテンツの URL を入力します。デフォルトのセキュリティーコンテンツ選択画面に戻るには、左上隅にある Use SCAP Security Guide をクリックします。
カスタムプロファイルは 、HTTPHTTPS、または FTP サーバーからロードできます。プロトコル (http:// など) を含む、コンテンツの完全なアドレスを使用します。カスタムプロファイルを読み込む前に、ネットワーク接続がアクティブになっている必要があります (「ネットワークとホスト名」 で有効にする)。コンテンツタイプはインストーラーが自動的に検出します。
プロファイルを選択した後、または画面を終了する場合は、左上隅にある 完了 をクリックしてに戻ります。「インストールの概要画面」 .

18.12. インストールソース

Red Hat Enterprise Linux のインストール元となるファイルまたは場所を指定するには、Installation Summary 画面から Installation Source を選択します。この画面では、ISO ファイルなどローカルで使用するインストールメディア、またはネットワーク上の場所のいずれかを選択することができます。

図18.8 インストールソースの画面

インストールソースの画面
以下のオプションのいずれかを選択します。
ISO ファイル
このオプションは、インストールプログラムで、ハードドライブがパーティションされており、マウント可能なファイルシステムを備えてられていることを検出した場合に、表示されます。このオプションを選択し、Choose an ISO ボタンをクリックして、システム上のインストール ISO ファイルの場所を参照します。次に、検証 をクリックして、ファイルがインストールに適していることを確認します。
ネットワーク上
ネットワークの場所を指定するには、このオプションを選択して、ドロップダウンメニューから以下のオプションのいずれかを選びます。
  • http://
  • https://
  • ftp://
  • nfs
上記の選択肢をネットワークの場所の URL の開始部分として使用し、残りのアドレスをアドレスボックスに入力します。NFS を選択した場合は、NFS マウントオプションを指定する別のボックスが表示されます。
重要
NFS ベースのインストールソースを選択する場合は、ホスト名とパスを区切るコロン (:) 文字を使用してアドレスを指定する必要があります。以下に例を示します。
server.example.com:/path/to/directory
HTTP または HTTPS ソースのプロキシーを設定するには、プロキシー設定 ボタンをクリックします。HTTP プロキシーを有効にする をオンにして、プロキシー URL ボックスに URL を入力します。プロキシーで認証が必要な場合は、認証を使用 をオンにして、ユーザー名とパスワードを入力します。Add をクリックします。
使用する HTTP もしくは HTTPS の URL がリポジトリーのミラーの一覧を参照する場合は、入力するフィールドの下のチェックボックスにチェックを入れます。
また、追加のリポジトリーを指定して、別のインストール環境やソフトウェアアドオンにアクセスすることもできます。詳細は、「ソフトウェアの選択」 を参照してください。
リポジトリーを追加するには、+ ボタンをクリックします。リポジトリーを削除するには、- ボタンをクリックします。矢印アイコンをクリックして、リポジトリーの前のリストに戻ります。つまり、現在のエントリーを、インストールソース 画面に入ったときに存在していたエントリーに置き換えます。リポジトリーをアクティブ化または非アクティブ化するには、リストの各エントリーの 有効 列のチェックボックスをクリックします。
画面の右側で追加したリポジトリーに名前を付け、ネットワーク上のプライマリーのリポジトリーを設定したときと同じように設定することができます。
インストールソースを選択したら、完了 をクリックして インストールの概要 画面に戻ります。

18.13. ネットワークとホスト名

システムに不可欠なネットワーク機能を設定するには、Installation Summary 画面で Network & Hostname を選択します。
ローカルでアクセスできるインターフェイスはインストールプログラムにより自動的に検出されるため、手動での追加または削除はできません。検出されたインターフェイスは左側のペインに一覧表示されます。一覧内のインターフェイスをクリックすると、右側にその詳細が表示されます。ネットワークインターフェイスをアクティブまたは非アクティブにするには、画面の右上隅にあるスイッチを ON または OFF に移動します。
注記
em1wl3sp0 などの永続的な名前でネットワークデバイスを識別するために使用されるネットワークデバイスの命名基準には、いくつかの種類があります。これらの標準については、Red Hat Enterprise Linux 7 ネットワークガイドを参照してください。

図18.9 ネットワークとホスト名の設定画面

ネットワークとホスト名の設定画面
接続のリストの下にある ホスト名 入力フィールドに、このコンピューターのホスト名を入力します。ホスト名は、hostname.domainname 形式の fully-qualified domain name (FQDN) または hostname 形式の short host name のいずれかを選択できます。多くのネットワークには、自動的に接続されたシステムにドメイン名を提供する DHCP (Dynamic Host Configuration Protocol) サービスがあります。DHCP サービスがこのマシンにドメイン名を割り当てるようにするには、短縮ホスト名のみを指定してください。値 localhost.localdomain は、ターゲットシステムの特定の静的ホスト名が設定されていないことを意味し、インストールされたシステムの実際のホスト名は、ネットワーク設定のプロセス中に設定されます (たとえば、DHCP または DNS を使用する NetworkManager によって)。
重要
ホスト名を手動で割り当てる場合は、委譲されていないドメイン名を使用しないでください。使用すると、ネットワークリソースが使用できなくなる可能性があります。詳細は、Red Hat Enterprise Linux 7 ネットワークガイドで推奨している命名方法の実践例を参照してください。
デフォルト設定の localhost.localdomain を、使用する各 Linux インスタントごとに一意のホスト名に変更します。
ネットワーク設定が完了したら、完了 をクリックして インストールの概要 画面に戻ります。

18.13.1. ネットワーク接続の編集

IBM Z 上のすべてのネットワーク接続は、Network & Hostname 画面にリスト表示されます。デフォルトでは、このリストには起動段階で設定された接続が含まれており、これは OSA、LCS、または HiperSockets のいずれかになります。これらのインターフェイスタイプはすべて、enccw0.0.0a00 などの enccw device_id の形式の名前を使用します。IBM Z では、ネットワークサブチャンネルをあらかじめグループ化してオンラインに設定する必要があるため、新しい接続を追加することができず、これは現在、起動段階でのみ行われている点に注意してください。詳細は 16章IBM Z でのインストールの起動 を参照してください。
通常、初期の起動段階で設定されたネットワーク接続は、残りのインストール手順で変更する必要はありません。ただし、既存の接続を変更する必要がある場合は、設定 ボタンをクリックします。以下で説明するように、有線接続に適した一連のタブを含む NetworkManager ダイアログが表示されます。ここではシステム用のネットワーク接続設定ができますが、すべてが IBM Z に関連する内容ではありません。
このセクションでは、インストール中に使用される一般的な有線接続の場合に最も重要となる設定についてのみ説明します。ほとんどの場合、オプションの多くは変更する必要はなく、インストールされるシステムにも引き継がれません。これ以外のネットワーク設定についてもほぼ同じですが、当然、特定の設定パラメーターは異なります。インストール後のネットワーク設定については、Red Hat Enterprise Linux 7 ネットワークガイドを参照してください。
ネットワーク接続を手動で設定するには、画面の右下隅にある 設定 ボタンをクリックします。ダイアログが表示され、選択された接続の設定ができるようになります。必要に応じて、ネットワーク設定の詳細情報については、『ネットワークガイド』を参照してください。
インストール中に設定しておくと便利なネットワーク設定オプションを以下に示します。
  • システムが起動するたびに接続 を使用する場合は、このネットワークが利用可能になったら自動的にこのネットワークに接続する チェックボックスをオンにします。自動的に接続するネットワークは、複数の接続を使用することができます。この設定は、インストールされるシステムに引き継がれます。

    図18.10 ネットワーク自動接続機能

    ネットワーク自動接続機能
  • デフォルトでは、IPv4 パラメーターが DHCP サービスにより自動的に設定されます。同時に、IPv6 設定は 自動 方式に設定されます。ほとんどの場合、この組み合わせが最適で通常は変更する必要はありません。

    図18.11 IP プロトコル設定

    IP プロトコル設定
ネットワーク設定の編集が完了したら、保存 をクリックして新しい設定を保存します。インストール中にすでに作動していたデバイスを再設定した場合、その新しい設定をインストール環境で使用するためにはデバイスの再起動を行う必要があります。Network & Host Name 画面の ON/OFF スイッチを使用して、デバイスを再起動します。

18.13.2. 高度なネットワークインターフェイス

高度なネットワークインターフェイスもインストールに使用できます。これには仮想ローカルエリアネットワーク (VLAN) と集約リンクを使用する 3 つの方法が含まれます。これらのインターフェイスについての詳細な説明は本ドキュメントの対象外となります。詳細情報は、Red Hat Enterprise Linux 7 ネットワークガイドを参照してください。
高度なネットワークインターフェイスを作成するには、ネットワークとホスト名 画面の左下隅にある + ボタンをクリックします。
ダイアログが表示され、以下のオプションがドロップダウンメニューから選択できます。
  • Bond - NIC (Network Interface Controller) Bonding を表します。これは、複数のネットワークインターフェイスをまとめて単一の結合チャネルにバインドする方法です。
  • ブリッジ - 複数の個別のネットワークを 1 つの集約ネットワークに接続する方法である NIC ブリッジングを表します。
  • チーム - リンクを集約するための新しい実装である NIC チーミングを表し、パケットフローの高速処理を実装するための小さなカーネルドライバーと、ユーザー空間で他のすべてを実行するためのさまざまなアプリケーションを提供するように設計されています。
  • VLAN - 相互に分離された複数の異なるブロードキャストドメインを作成する方法を表します。

図18.12 高度なネットワークインターフェイスのダイアログ

高度なネットワークインターフェイスのダイアログ
注記
ローカルでアクセスできるインターフェイスは有線、無線に関わらずインストールプログラムにより自動的に検出されるため、上記の操作手順で手動による追加や削除はできません。
オプションを選択して 追加 ボタンをクリックすると、新しいインターフェイスを設定するための別のダイアログが表示されます。詳細な手順については、Red Hat Enterprise Linux 7 ネットワークガイドを参照してください。既存の高度なインターフェイスで設定を編集するには、画面の右下隅にある 設定 ボタンをクリックします。- ボタンをクリックして、手動で追加したインターフェイスを削除することもできます。

18.14. ソフトウェアの選択

インストールするパッケージを指定するには、Installation Summary 画面で Software Selection を選択します。パッケージは ベース環境 に応じてグループ化されています。これらの環境は、特定の目的を持つ事前定義された一連のパッケージです。たとえば、仮想化ホスト 環境には、システム上で仮想マシンを実行するために必要な一連のソフトウェアパッケージが含まれています。インストール時に選択できる環境は一つのみです。
各環境には、アドオン という形で追加パッケージが選択できるようになっています。アドオンは画面の右側に表示され、環境を選び直すとアドオンの一覧も更新されます。アドオンは複数選択が可能です。
アドオン一覧は横線で上下に分割されています。
  • 横線の に表示されるアドオンは、選択した環境に固有のものです。いずれかのアドオンを選択してから環境の選択を変更すると、アドオンの選択は失われます。
  • 横線の に表示されるアドオンは、すべての環境で同じものです。別の環境を選択し直しても、ここでの選択は失われません。

図18.13 サーバーインストールでのソフトウェア選択の例

サーバーインストールでのソフトウェア選択の例
選択できるベース環境およびアドオンの種類は、インストールソースとして使用するインストール ISO イメージの種類によります。たとえば、サーバー バリアントはサーバー用に設計された環境を提供しますが、ワークステーション バリアントには開発者ワークステーションとしてデプロイメントするためのいくつかの選択肢があります。
インストールプログラムでは各環境に含まれているパッケージは表示されません。特定の環境またはアドオンに含まれるパッケージを確認するには、repodata/*-comps- variant を参照してください。 インストールソースとして使用している Red Hat Enterprise Linux インストール DVD の architecture .xml ファイル。このファイルには、使用可能な環境 (<environment> タグでマーク) とアドオン (<group> タグ) を記述した構造が含まれています。
重要
事前に定義された環境やアドオンを使用するとシステムをカスタマイズできますが、手動でのインストールでは、インストールする個別パッケージを選択する方法はありません。どのパッケージをインストールする必要があるかわからない場合、Red Hat は 最小インストール 環境を選択することを推奨します。最小限のインストール では、Red Hat Enterprise Linux の基本バージョンと最小限の追加ソフトウェアのみをインストールします。これにより、システムが脆弱性の影響を受ける可能性が大幅に減ります。システムのインストールが完了し、初めてログインした後、Yum パッケージマネージャーを使用して必要な追加ソフトウェアをインストールできます。Minimal install の詳細については、Red Hat Enterprise Linux 7 Security Guide の Installing the Minimum amount of Packages Required セクションを参照してください。
代わりに、キックスタートファイルを使ってインストールを自動化することによりインストールパッケージをより高度なレベルで管理することもできます。キックスタートファイルの %packages セクションで、環境、グループ、および個々のパッケージを指定できます。キックスタートファイルでインストールするパッケージを選択する方法については 「パッケージの選択」 を参照してください。キックスタートを使ってインストールを自動化する方法については27章キックスタートを使ったインストールを参照してください。
インストールする環境とアドオンを選択したら、完了 をクリックして インストールの概要 画面に戻ります。

18.14.1. コアとなるネットワークサービス

すべての Red Hat Enterprise Linux インストールには、以下のネットワークサービスが含まれます。
  • rsyslog サービスによる集中ログ
  • SMTP (Simple Mail Transfer Protocol) による電子メール
  • NFS (Network File System) によるネットワークファイル共有
  • SSH (Secure SHell) によるリモートアクセス
  • mDNS (multicast DNS) によるリソースのアドバタイズ
Red Hat Enterprise Linux システムの自動化プロセスは、システム管理者へのレポートやメッセージの送信に電子メールサービスを利用するものがあります。デフォルトでは、電子メール、ログ記録、印刷などのサービスは他のシステムからの接続は受信しません。
インストール後に電子メール、ファイル共有、ログ記録、印刷、リモートによるデスクトップへのアクセスなどのサービスを提供するように Red Hat Enterprise Linux システムを設定できます。SSH サービスはデフォルトで有効になっています。また、NFS 共有サービスを有効にしなくても、NFS を使って他のシステム上のファイルにアクセスすることもできます。

18.15. インストール先

ディスクを選択し、Red Hat Enterprise Linux をインストールするストレージスペースを分割するには、Installation Summary 画面で Installation Destination を選択します。ディスクのパーティション設定に慣れていない場合は、付録A ディスクパーティションの概要を参照してください。
警告
Red Hat では、システム上の全データを常にバックアップしておくことを推奨しています。たとえば、デュアルブートシステムをアップグレードする、または作成する場合には、保存しておきたいストレージデバイスのデータはすべてバックアップをとってください。万一、何らかのミスが発生した場合、全データを喪失してしまう可能性があります。
重要
Red Hat Enterprise Linux をテキストモードでインストールする場合は、このセクションで説明しているデフォルトのパーティション設定スキームしか使用できません。インストールプログラムで自動的に追加や削除が行われるもの以外、パーティションやファイルシステムの追加または削除はできません。

図18.14 ストレージ領域の概要

ストレージ領域の概要
この画面では、ご使用のコンピューターでローカルの使用が可能なストレージデバイスを確認することができます。ディスクの追加 ボタンをクリックして、特殊なデバイスやネットワークデバイスを追加することもできます。このデバイスの詳細は「ストレージデバイス」を参照してください。
警告
既知の問題により、HyperPAV エイリアスとして設定された DASD をインストール後に自動的にシステムにアタッチすることはできません。これらのストレージデバイスはインストール中にこの画面で利用できますが、インストールが完了して再起動しても、すぐにはアクセスできません。HyperPAV エイリアスデバイスを接続するには、次の説明に従ってシステムの /etc/dasd.conf 設定ファイルに手動で追加します。「DASD のオンラインでの永続的な設定」 .
システムのパーティション分割に慣れていない場合は、パーティションを自動的に設定する ラジオボタンのデフォルトの選択をそのままにして、インストールプログラムがストレージデバイスをパーティション分割できるようにします。
ストレージデバイスのペインの下には、その他のストレージオプション というラベルの付いた追加のコントロールがあります。
  • パーティショニング セクションでは、ストレージデバイスのパーティション分割方法とボリュームの作成方法を選択できます。パーティションを手動で設定する、またはインストールプログラムによる自動設定を選択することができます。
    今まで使用したことがないストレージにクリーンインストールを実行する場合、またはストレージに保存されているデータは一切必要ない場合には、自動パーティション設定が推奨されます。この方法で続行するには、パーティショニングを自動的に設定する ラジオボタンのデフォルトの選択をそのままにしておきます。インストールプログラムは必要なパーティションとボリュームをストレージスペースに作成します。
    自動パーティショニングの場合、追加のスペースを利用可能にしたい チェックボックスを選択して、他のファイルシステムからこのインストールにスペースを再割り当てする方法を選択することもできます。完了 をクリックすると、2 つのダイアログが表示されます。自動パーティション設定を選択しているものの、推奨のパーティション設定でインストールを完了するのに十分なストレージ領域がない場合には、以下のダイアログが表示されます。

    図18.15 インストールオプションのダイアログ内の領域を確保するオプション

    インストールオプションのダイアログ内の領域を確保するオプション
    Red Hat Enterprise Linux ソフトウェアの選択 リンクをクリックできます。リンクをクリックすると、ソフトウェアの選択 セクションに移動します。ここで、インストールするソフトウェアを変更したり、追加のストレージスペースを解放したりできます。
    または、キャンセルしてディスクを追加 を クリックして インストール先 画面に戻り、ストレージデバイスを追加するか、手動でパーティションを設定することを選択できます。Reclaim space をクリックして、既存のファイルシステムから一部のストレージスペースを解放します。詳細は 「ディスク領域の獲得」 を参照してください。
    十分な領域を確保できないと、別のダイアログが表示されます。この場合は、当初のストレージ画面でディスクを追加するか、インストールを中止することになります。
    手動セットアップ用に I will configure partitioning ラジオボタンを選択すると、Done をクリックすると Manual Partitioning 画面が表示されます。詳細は 「手動パーティション設定」 を参照してください。
  • 暗号化 セクションで、データを暗号化する チェックボックスをオンにして、/boot パーティションを除くすべてのパーティションを暗号化できます。暗号化についての詳細はRed Hat Enterprise Linux 7 セキュリティーガイドを参照してください。
画面の下部には、ブートローダーをインストールするディスクを設定するための フルディスクの概要 とブートローダー ボタンがあります。
選択が完了したら、完了 ボタンをクリックして 、インストールの概要 画面に戻るか、手動パーティション分割 画面に進みます。
重要
マルチパスストレージデバイスと非マルチパスのストレージデバイスの両方が使用されているシステムに Red Hat Enterprise Linux をインストールすると、インストールプログラムの自動パーティション設定レイアウトに、マルチパスのデバイスと非マルチパスのデバイスが混在するボリュームグループが作成される可能性があります。これはマルチパスストレージの目的に反することになります。
インストール先 画面で、マルチパスデバイスのみ、または非マルチパスデバイスのみを選択することを推奨します。もしくは、手動のパーティション設定を実行してください。

18.15.1. パーティションの暗号化

データを暗号化する オプションを選択した場合、クリックして次の画面に進むと、インストールプログラムは、システム上のパーティションを暗号化するためのパスフレーズの入力を求めます。
パーティションの暗号化は LUKS (Linux Unified Key Setup) を使用して行われます。詳細はRed Hat Enterprise Linux 7 セキュリティーガイドを参照してください。

図18.16 暗号化したパーティションのパスフレーズ入力

暗号化したパーティションのパスフレーズ入力
パスフレーズが決まったらダイアログボックスの 2 つのフィールドに入力します。パスフレーズの設定に使用するキーボードレイアウトは、後でパーティションのロック解除に使用するキーボードレイアウトと同じものを使用してください。言語レイアウトのアイコンで正しいレイアウトが選択されていることを確認します。このパスフレーズはシステムが起動するたび、毎回入力する必要があります。パスフレーズ 入力フィールドで Tab キー を押して、パスフレーズを再入力します。パスフレーズが脆弱すぎる場合はフィールドに警告アイコンが表示され、2 番目のフィールドに入力ができません。カーソルを警告アイコンの上に持って行くと、パスフレーズの改善方法が分かります。
警告
このパスフレーズを紛失してしまうと、暗号化したパーティションおよびそのパーティション上にあるデータは完全にアクセスできなくなります。分からなくなったパスフレーズを復元する方法はありません。
キックスタートを使用したインストールを行っている場合は、インストール中に暗号パスフレーズを保存してバックアップしておくことができます。ディスク暗号化の詳細はRed Hat Enterprise Linux 7 セキュリティーガイドを参照してください。

18.15.2. ディスク領域の獲得

インストール先 で選択したディスクに Red Hat Enterprise Linux をインストールするための十分なスペースがなく、インストールオプション ダイアログでスペース の再利用 を選択した場合、ディスク容量の再利用 ダイアログが表示されます。
警告
パーティションの縮小を選択していなければ、領域の確保によりそのパーティション上のデータはすべて消去されます。このため、保持しておく必要があるデータのバックアップがすでに用意されていることを必ず確認してください。

図18.17 既存ファイルシステムからのディスク領域の確保

既存ファイルシステムからのディスク領域の確保
Red Hat Enterprise Linux を検出した既存のファイルシステムが、該当するディスクの一部として表に一覧表示されます。Reclaimable Space 列には、このインストールに再割り当てできるスペースがリスト表示されます。アクション 列には、スペースを再利用するためにファイルシステムで実行されるアクションがリスト表示されます。
表の下にはボタンが 4 つあります。
  • 保存 - ファイルシステムは変更されず、データは削除されません。これがデフォルト動作です。
  • 削除 - ファイルシステムを完全に削除します。ファイルシステムが占めていた領域をすべてインストールで使用できるようにします。
  • 縮小 - ファイルシステムから空き領域を回復し、このインストールで使用できるようにします。スライダーを使って選択したパーティションの新たなサイズを設定します。LVM または RAID が使用されていない、サイズ変更可能なパーティションでしか使用できません。
  • すべて削除/すべて保存 - このボタンは右側にあり、デフォルトですべてのファイルシステムを削除対象としてマークします。もう一度クリックすると、ラベル名が変わり、全ファイルシステムを確保するように再度マークされます。
マウスを使ってテーブル内のファイルシステムまたはディスク全体を選択したら、ボタンをクリックします。アクション 列のラベルが選択内容に合わせて変更され、テーブルの下に表示される 再利用する選択済み 容量の合計がそれに応じて調整されます。この値の下にはインストールに必要となる領域サイズが表示されます。このサイズはインストールの選択をしたパッケージの量に基づいています。
インストールを続行するのに十分なスペースが再利用されると、Reclaim Space ボタンが使用可能になります。このボタンをクリックしてインストールの概要画面に戻り、インストールを続行します。

18.15.3. 手動パーティション設定

I will configure partitioning オプションを選択した場合、Done from Installation Destination をクリックすると、Manual Partitioning 画面が表示されます。各ディスクパーティションおよびマウントポイントの設定はこの画面で行います。ここで、Red Hat Enterprise Linux をインストールするファイルシステムを定義します。
警告
Red Hat では、システム上の全データを常にバックアップしておくことを推奨しています。たとえば、デュアルブートシステムをアップグレードする、または作成する場合には、保存しておきたいストレージデバイスのデータはすべてバックアップをとってください。万一、何らかのミスが発生した場合、全データを喪失してしまう可能性があります。

図18.18 手動パーティション設定の画面

手動パーティション設定の画面
手動パーティショニング 画面には、最初は左側にマウントポイント用の 1 つのペインがあります。このペインは、マウントポイント作成についての情報以外は空であるか、インストールプログラムが検出した既存のマウントポイントを表示します。これらのマウントポイントは、検出されたオペレーティングシステムのインストールごとにまとめられています。このため、パーティションがいくつかのインストールで共有されている場合は、複数回表示されるファイルシステムもあります。選択されたストレージデバイスの合計領域と利用可能な領域がこのペインの下に表示されます。
システムに既存のファイルシステムがある場合には、インストールに十分な領域があることを確認してください。- ボタンを使用して、不要なパーティションを削除します。
注記
ディスクパーティションに関する推奨事項および補足情報は、付録A ディスクパーティションの概要「推奨されるパーティション設定スキーム」 を参照してください。少なくとも、適切なサイズのルートパーティションと、通常、システムの RAM のサイズに応じた swap パーティションが必要です。
どのデバイスが /boot に関連付けられているかに注意してください。カーネルファイルとブートローダーセクターは、このデバイスに関連付けられます。最初の DASD または SCSI LUN が使用され、そのデバイス番号がインストール後のシステムを再度 IPL ブートする時に使用されます。
18.15.3.1. ファイルシステムの追加とパーティションの設定
Red Hat Enterprise Linux のインストールには最低限必要なパーティションは 1 つですが、Red Hat は、少なくとも /、/home / boot、および swap のパーティションまたはボリュームを使用することを推奨します。必要に応じて、その他のパーティションやボリュームを作成することもできます。詳細は 「推奨されるパーティション設定スキーム」 を参照してください。
注記
(特定のパーティションを特定のディスクに配置するなど) 特定のパーティションに要件があり、他のパーティションにはそのような要件がない場合は、要件のあるパーティションを先に作成します。
ファイルシステムの追加手順は 2 つに分かれます。まず、特定のパーティションスキームにマウントポイントを作成します。マウントポイントが左側のペインに表示されます。次に、右側のペインのオプションを使ってこのマウントポイントをカスタマイズします。ここではマウントポイント、デバイスタイプやファイルシステムタイプ、ラベルなどを変更する、該当パーティションを暗号化するまたは再フォーマットすることなどができます。
既存のファイルシステムがなく、インストールプログラムで必要なファイルシステムとそれらのマウントポイントを作成する場合は、左側のペインのドロップダウンメニューから任意のパーティション設定スキームを選択します (Red Hat Enterprise Linux のデフォルトは LVM)。次に、ペインの上部にあるリンクをクリックするとマウントポイントが自動的に作成されます。これにより、/boot パーティション、/ (root)ボリューム、および swap ボリュームが生成され、使用可能なストレージのサイズに比例します。これらのファイルシステムが一般的なインストールで推奨されるファイルシステムになります。ただし、必要に応じてファイルシステムとマウントポイントを追加することもできます。
または、ペインの下部にある + ボタンを使用して、個々のマウントポイントを作成します。これで 、新しいマウントポイントの追加 ダイアログが開きます。マウントポイント ドロップダウンメニューから事前に設定したパスのいずれかを選択するか、独自のパスを入力します。たとえば、root パーティションの場合は / を選択し、ブートパーティションには /boot を選択します。次に、ファイルシステムのサイズを Desired Capacity テキストフィールドに入力します(例: 2GiB )。フィールドを空白のままにしたり、利用可能な領域よりも大きいサイズを指定すると、残りの空の領域がすべて使用されることになります。これらの詳細を入力したら、マウントポイントの追加 ボタンをクリックしてパーティションを作成します。
注記
領域の割り当てに関する問題を回避するには、最初に /boot などの既知の固定サイズの小さなパーティションを作成し、その後に残りのパーティションを作成して、インストールプログラムが残りの領域をそれらに割り当てられるようにします。
同様に、システムが置かれることになる複数のディスクがあり、これらのサイズが異なり、また特定のパーティションが BIOS に検出される最初のディスク上で作成される必要がある場合、そのパーティションを最初に作成するようにしてください。
左側のペインにあるドロップダウンメニューを使うと、手作業で作成する新しいマウントポイントにパーティションスキームを設定することができます。利用可能なオプションは 、標準パーティションBTRFSLVM、および LVM シンプロビジョニング です。/boot パーティションは、このメニューで選択した値に関係なく、常に標準パーティションに配置されることに注意してください。
LVM 以外のマウントポイントを 1 つ配置するデバイスを変更するには、マウントポイントを選択し、右側のペインの Modify... ボタンをクリックして、マウントポイントの設定 ダイアログを開きます。1 つ以上のデバイスを選択し、Select クリックします。ダイアログが閉じたら、手動パーティション 設定 画面の右側にある 設定の 更新 ボタンをクリックしてこの設定を確定する必要がある点に注意してください。

図18.19 マウントポイントの設定

マウントポイントの設定
すべてのローカルディスクとパーティションに関する情報を更新するには、ツールバー Rescan ボタン(円形の矢印アイコンを使用)をクリックします。この作業が必要になるのはインストールプログラム以外で高度なパーティション設定を行った場合のみです。ディスクの再 スキャン ボタンをクリックすると、インストールプログラムで以前に行った設定変更がすべて失われることに注意してください。

図18.20 ディスクの再スキャン

ディスクの再スキャン
画面下部のリンクには、インストール先 で選択したストレージデバイスの数が表示されます( 「インストール先」を参照してください)。このリンクをクリックすると、選択したディスク ダイアログが開き、ディスクに関する情報が確認されます。
パーティションまたはボリュームをカスタマイズする場合は、左側のペインでパーティションまたはボリュームを選択すると、右側にカスタム可能な詳細が表示されます。

図18.21 パーティションのカスタマイズ

パーティションのカスタマイズ
  • マウントポイント - ファイルシステムのマウントポイントを入力します。たとえば、ファイルシステムが root ファイルシステムの場合は / を入力し、/boot ファイルシステムの場合は /boot を入力します。swap ファイルシステムの場合、マウントポイントは設定しないでください。ファイルシステムタイプを swap に設定するだけで十分です。
  • 必要な 容量: ファイルシステムの必要なサイズを入力します。単位には KiB や GiB が使用できます。単位を指定しない場合は、MiB がデフォルトになります。
  • デバイスタイプ - 標準パーティション、LVM、RAID LVM シンプロビジョニング 、または BTRFS のいずれかの種類を選択します。パーティションまたはボリュームを 暗号 化するには、隣接する 暗号化 ボックスにチェックを入れます。パスワードを設定するようプロンプトが後で表示されます。RAID は、パーティションに 2 つ以上のディスクが選択されている場合にのみ利用できます。このタイプを選択した場合は、RAID レベル を設定することもできます。同様に、LVM を選択した場合は、ボリュームグループ を 指定できます
  • ファイルシステム: ドロップダウンメニューで、このパーティションまたはボリュームに適したファイルシステムタイプを選択します。既存のパーティションをフォーマットする場合は、隣接する Reformat ボックスにチェックを入れるか、データを維持するためにチェックを外します。データをそのまま維持する場合は空白にしておきます。新規作成されたパーティションやボリュームは再フォーマットが必要で、この場合はチェックボックスのチェックを外すことはできません。
  • label - パーティションにラベルを割り当てます。ラベルを使うと、個別のパーティションの認識とアドレス指定が容易になります。
  • 名前: LVM または Btrfs ボリュームに名前を割り当てます。標準パーティションは作成時に自動的に名前が付けられ、/home には sda1 という名前が割り当てられているなど、名前を編集できないことに注意してください。
ファイルシステムおよびデバイスタイプの詳細は、「ファイルシステムのタイプ」 を参照してください。
設定の更新 ボタンをクリックして変更を保存し、カスタマイズする別のパーティションを選択します。インストールの概要ページからインストールを開始するまで、実際には変更は適用されません。Reset All ボタンをクリックして、すべてのパーティションへの変更をすべて破棄し、最初からやり直します。
すべてのファイルシステムとマウントポイントを作成してカスタマイズしたら、完了 ボタンをクリックします。ファイルシステムの暗号化を選択した場合はパスフレーズの作成が求められます。次に、インストールプログラムが受け取るストレージ関連の全アクションの概要を示すダイアログが表示されます。これにはパーティションおよびファイルシステムの作成、サイズ調整、削除が含まれます。すべての変更を確認し、Cancel & Return to Custom Partitioning をクリックして戻ることができます。変更を確認するには、Accept Changes をクリックして Installation Summary ページに戻ります。追加のデバイスをパーティションに分割するには、インストール先 画面でデバイスを選択し、手動パーティション設定 画面に戻り、本セクションで説明している追加のデバイスについてこの手順を繰り返します。
重要
/usr または /var のパーティションがルートボリュームとは別に設定されている場合、このディレクトリーには重要なコンポーネントが含まれているため、起動プロセスが非常に複雑になります。iSCSI ドライブや FCoE などの場所に配置してしまった場合には、システムが起動できなくなったり、電源オフや再起動の際に Device is busy のエラーでハングしたりする可能性があります。
この制限は /usr または /var にのみ適用され、それらの下のディレクトリーには適用されません。たとえば、/var/www 用の別のパーティションは問題なく機能します。
18.15.3.1.1. ファイルシステムのタイプ
Red Hat Enterprise Linux では、異なるデバイスタイプとファイルシステムを作成できます。各種のデバイスタイプおよびファイルシステムの種類とその使い方を以下に簡単に示します。

デバイスタイプ

  • 標準パーティション: 標準のパーティションにはファイルシステムまたはスワップ領域を含めることも、ソフトウェア RAID または LVM 物理ボリューム用のコンテナーを提供することもできます。
  • 論理ボリューム(LVM): LVM パーティションを作成すると、自動的に LVM 論理ボリュームが生成されます。LVM は、物理ディスクを使用する場合にパフォーマンスを向上させることができます。論理ボリュームを作成する方法は、「LVM 論理ボリュームの作成」 を参照してください。LVM に関する詳細は、Red Hat Enterprise Linux 7 論理ボリュームマネージャーの管理を参照してください。
  • LVM シンプロビジョニング - シンプロビジョニングを使用すると、シンプールと呼ばれる空き領域のストレージプールを管理できます。これは、アプリケーションで必要に応じて任意の数のデバイスに割り当てることができます。シンプールは、ストレージ領域をコスト効率よく割り当てる必要がある場合に、動的に拡張できます。LVM に関する詳細は、Red Hat Enterprise Linux 7 論理ボリュームマネージャーの管理を参照してください。
    注記
    インストーラーは、LVM シンプール論理ボリューム用に要求した領域の 20% を、これを格納しているボリュームグループ内で自動的に確保します。これは、シンプロビジョニングした論理ボリュームのデータボリュームやメタデータボリュームを拡張する場合に備えた安全対策です。
  • ソフトウェア RAID - 複数のソフトウェア RAID パーティションを作成すると、RAID デバイスを作成できます。システム上の各ディスクに対して RAID パーティションを 1 つずつ割り当てます。RAID デバイスを作成するには、「ソフトウェア RAID の作成」 を参照してください。RAID の詳細は、Red Hat Enterprise Linux 7 ストレージ管理ガイドを参照してください。

ファイルシステム

  • XFS - XFS は、最大 16 EiB (約 160,000 GiB)のファイルシステム、最大 8 EiB (約 80,000 GiB)のファイル、および数十万のエントリーを含むディレクトリー構造をサポートする、非常にスケーラブルで高パフォーマンスのファイルシステムです。XFS は、クラッシュからの回復が早いメタデータジャーナル機能に対応します。また、XFS ファイルシステムは、マウント中でアクティブな場合でも、最適化やサイズ変更を行うことができます。このファイルシステムはデフォルトで選択されており、強くお勧めします。以前使用された ext4 ファイルシステムから XFS に共通のコマンドを変換する方法は、付録F ext4 と XFS コマンドの参照表 を参照してください。
    Red Hat Enterprise Linux で XFS ファイルシステムで現在対応可能な最大サイズは、500 TiB です。
  • ext4: ext4 ファイルシステムは ext3 ファイルシステムをベースとし、多くの改善が行われています。より大きなファイルシステム、そしてより大きなファイルに対応するようになり、ディスク領域の割り当てに要する時間が短縮され効率化されています。また、ディレクトリー内のサブディレクトリーの数に制限がなく、ファイルシステムチェックが速くなり、ジャーナリングがより強力になりました。
    Red Hat Enterprise Linux で ext4 ファイルシステムで現在対応可能な最大サイズは、50 TiB です。
  • ext3 - ext3 ファイルシステムは ext2 ファイルシステムをベースとし、ジャーナリング機能という大きな利点を備えています。ジャーナリングファイルシステムを使用すると、クラッシュが発生するたびに fsck ユーティリティーを実行してメタデータの整合性をチェックする必要がないため、クラッシュ後のファイルシステムの復元にかかる時間が短縮されます。
  • ext2: ext2 ファイルシステムは、通常のファイル、ディレクトリー、シンボリックリンクなど、標準の Unix ファイルタイプをサポートします。最大 255 文字までの長いファイル名を割り当てることができます。
  • vfat: VFAT ファイルシステムは、FAT ファイルシステム上の Microsoft Windows の長いファイル名と互換性のある Linux ファイルシステムです。
  • swap - Swap パーティションは仮想メモリーをサポートするために使用されます。つまり、システムが処理しているデータを格納する RAM が不足すると、そのデータが swap パーティションに書き込まれます。
各ファイルシステムには、そのファイルシステムにより異なるサイズ制限があります。また、ファイルシステムごと個別のファイルを格納しています。対応している最大ファイルサイズおよび最大ファイルシステムサイズなどの一覧はカスタマーポータルの Red Hat Enterprise Linux technology capabilities and limits のページをご覧ください (https://access.redhat.com/site/articles/rhel-limits)。
18.15.3.2. ソフトウェア RAID の作成
注記
IBM Z では、ストレージサブシステムが RAID を透過的に使用します。手動でソフトウェア RAID を設定する必要はありません。
RAID (Redundant arrays of independent disks) は、複数のディスクで設定されており、組み合わせてパフォーマンスを向上させます。また、一部の設定では、より高い耐障害性を得ることができます。各種 RAID の詳細は以下をご覧ください。
RAID デバイスの作成は 1 つのステップで終わり、必要に応じてディスクを追加または削除できます。また、ディスクは必要に応じて追加や削除ができます。1 つの物理ディスクに 1 つの RAID パーティションが作成できるため、インストールプログラムで使用できるディスク数により利用できる RAID デバイスのレベルが確定されます。たとえば、システムに 2 つのハードドライブがある場合、RAID10 デバイスを作成することはできません。これには 4 つの別個のパーティションが必要になります。

図18.22 ソフトウェア RAID パーティションの作成 - デバイスタイプメニュー の展開

ソフトウェア RAID パーティションの作成 - デバイスタイプメニュー の展開
RAID 設定オプションはインストール用に複数のディスクを選択している場合にのみ、表示されます。RAID デバイスの作成には少なくともディスクが 2 つ必要になります。
RAID デバイスの作成
  1. 「ファイルシステムの追加とパーティションの設定」 の説明に従って、マウントポイントを作成します。このマウントポイントを設定することで、RAID デバイスを設定していることになります。
  2. 左側のペインでパーティションを選択したまま、ペインの下にある設定ボタンを選択して、マウントポイントの設定 ダイアログを 開きます。RAID デバイスに含まれるディスクを選択し、Select をクリックします。
  3. デバイスタイプ ドロップダウンメニューをクリックして、RAID を選択します。
  4. ファイルシステム ドロップダウン メニューを クリックして、目的のファイルシステムタイプを選択します( 「ファイルシステムのタイプ」 を参照してください)。
  5. RAID レベル ドロップダウンメニューをクリックして、目的の RAID レベルを選択します。
    利用できる RAID レベルは以下のとおりです。
    RAID0 - パフォーマンス(ストライプ)
    データを複数のディスクに分散させます。RAID レベル 0 は、標準パーティションでのパフォーマンスを向上させます。複数のディスクを 1 つの大きな仮想デバイスにまとめることができます。RAID レベル 0 には冗長性がなく、アレイ内の 1 ディスクに障害が発生するとアレイ全体のデータが壊れる点に注意してください。RAID 0 には少なくとも 2 つの RAID パーティションが必要です。
    RAID1 - 冗長性(ミラーリング)
    1 つのディスク上の全データを別のディスク (複数可) にミラーリングします。アレイ内のデバイスを増やすことで冗長レベルを強化します。RAID 1 には少なくとも 2 つの RAID パーティションが必要です。
    RAID4 - エラー検出(解析)
    データを複数のディスクに分散す、アレイ内の 1 ディスクにパリティー情報を格納しているため、アレイ内のいずれかのディスクに障害が発生した場合にアレイを保護します。すべてのパリティー情報が 1 つのディスクに格納されるため、このディスクにアクセスすると、アレイのパフォーマンスにボトルネックが発生します。RAID 4 には少なくとも 3 つの RAID パーティションが必要です。
    RAID5: 分散エラー検出
    データおよびパリティー情報を複数のディスクに分散させます。そのため、RAID レベル 5 は複数ディスクにデータを分散させパフォーマンスが向上する一方、パリティー情報もアレイ全体で分散されるため、RAID レベル 4 のようにパフォーマンスにボトルネックが発生しません。RAID 5 には少なくとも 3 つの RAID パーティションが必要です。
    RAID6: 冗長
    RAID レベル 6 は RAID レベル 5 と似ていますが、パリティーデータが 1 セットではなく 2 セット格納されます。RAID 6 には少なくとも 4 つの RAID パーティションが必要です。
    RAID10 : 冗長性(ミラー) および 最適化されたパフォーマンス(ストライプ)
    RAID レベル 10 はネスト化した RAID または ハイブリッド RAID になります。ミラーリングしているディスクセットに対してデータを分散させることで構築します。たとえば、4 つの RAID パーティションで構築した RAID レベル 10 のアレイは、ストライプ化されたパーティションをミラーリングする 2 組のペアで設定されます。RAID 10 には少なくとも 4 つの RAID パーティションが必要です。
  6. 設定の 更新 を クリックして変更を保存し、別のパーティションに進むか、完了 を クリック して インストールの概要 画面に戻ります。
ディスク数が指定した RAID レベルで必要なディスク数より少ない場合、選択した設定に必要とされるディスク数を示すメッセージがウィンドウ下部に表示されます。
18.15.3.3. LVM 論理ボリュームの作成
論理ボリューム管理 (LVM) では、ハードドライブや LUN などのベースとなっている物理ストレージ領域を論理的な観点から表示します。物理ストレージ上のパーティションは 物理ボリューム として表示され、ボリュームグループ にグループ化することができます。各ボリュームグループは複数の 論理ボリューム に分割することができます。したがって、LVM 論理ボリュームは、複数の物理ディスクにまたがることが可能なパーティションとして機能します。
LVM の詳細は、付録D LVM の理解 またはRed Hat Enterprise Linux 7 論理ボリュームマネージャーの管理を参照してください。LVM の設定はグラフィカルインストールプログラムでしかできないため注意してください。
重要
テキストモードによるインストールの場合は、LVM を設定できません。LVM 設定をゼロから作成する必要がある場合は、Ctrl+Alt+F2 を押して別の仮想コンソールを使用し、lvm コマンドを実行します。テキストモードのインストールに戻るには、Ctrl+Alt+F1 を押します。

図18.23 論理ボリュームの設定

論理ボリュームの設定
論理ボリュームを作成して新規または既存のボリュームグループに追加するには、以下を実行します。
  1. 「ファイルシステムの追加とパーティションの設定」 の説明に従い LVM ボリュームにマウントポイントを作成します。
  2. デバイスタイプ ドロップダウンメニューをクリックして、LVM を選択します。ボリュームグループ ドロップダウン メニューが表示され、新たに作成されたボリュームグループ名が表示されます。
  3. 必要に応じて、メニューをクリックし、Create a new volume group を選択するか、Modify をクリックして新たに作成したボリュームグループを設定します。Create a new volume group オプションと Modify ボタンの両方により、Configure Volume Group ダイアログが表示され、論理ボリュームグループの名前を変更し、追加するディスクを選択できます。
    注記
    設定ダイアログではボリュームグループの物理エクステントのサイズは指定できません。このサイズは、常にデフォルト値の 4 MiB に設定されます。別の物理エクステントのボリュームグループを作成する場合は、インタラクティブシェルに切り替え、vgcreate コマンドを使用して手動で作成するか、volgroup --pesize=size コマンドでキックスタートファイルを使用します。

    図18.24 LVM ボリュームグループのカスタマイズ

    LVM ボリュームグループのカスタマイズ
    利用可能な RAID レベルは、実際の RAID デバイスと同じです。詳細は、「ソフトウェア RAID の作成」 を参照してください。またボリュームグループの暗号化に印を付けて、サイズポリシーを設定することもできます。利用可能なポリシーオプションは以下のようになります。
    • 自動: ボリュームグループのサイズは自動で設定されるため、設定した論理ボリュームを格納するのに十分な大きさになります。ボリュームグループに空の領域が必要ない場合に最適です。
    • できるだけ大きく - 設定した論理ボリュームのサイズに関係なく、最大サイズのボリュームグループが作成されます。これは、ほとんどのデータを LVM に保存する場合、または後で既存の論理ボリュームのサイズを拡大する可能性がある場合、もしくはこのグループに別の論理ボリュームを作成する必要がある場合などに最適です。
    • Fixed: このオプションでは、ボリュームグループのサイズを正確に設定できます。設定している論理ボリュームが格納できるサイズにする必要があります。ボリュームグループに設定する容量が正確に分かっている場合に便利です。
    グループを設定したら Save をクリックします。
  4. 設定の 更新 を クリックして変更を保存し、別のパーティションに進むか、完了 を クリック して インストールの概要 画面に戻ります。
警告
LVM ボリュームへの /boot パーティションの配置はサポートされていません。

18.16. ストレージデバイス

さまざまなストレージデバイスに Red Hat Enterprise Linux をインストールできます。「インストール先」 で説明されているように、インストール先 のページ で、ローカルにアクセス可能な基本的なストレージデバイスを確認できます。専用のストレージデバイスを追加するには、画面の 特殊 なディスク およびネットワークディスク セクションの ディスクの追加 ボタンをクリックします。
ハードディスクドライブやソリッドステートドライブなど、ローカルシステムに直接接続されている基本的なストレージデバイスは、画面のローカルの 標準ディスク セクション に表示されます。IBM Z の場合、作動している DASD (Direct Access Storage Devices) が表示されます。
警告
既知の問題により、HyperPAV エイリアスとして設定された DASD をインストール後に自動的にシステムにアタッチすることはできません。これらのストレージデバイスはインストール中にこの画面で利用できますが、インストールが完了して再起動しても、すぐにはアクセスできません。HyperPAV エイリアスデバイスをアタッチするには、「DASD のオンラインでの永続的な設定」 の説明に従って、システムの /etc/dasd.conf 設定ファイルに手動で追加します。

図18.25 ストレージ領域の概要

ストレージ領域の概要

18.16.1. ストレージデバイス選択の画面

ストレージデバイス選択画面には、Anaconda インストールプログラムがアクセスできるすべてのストレージデバイスが表示されます。
デバイスは、次のタブに分類されます。
マルチパスデバイス
同じシステムにある、複数の SCSI コントローラーやファイバーチャネルポートなどの複数のパスからアクセスできるストレージデバイスです。
重要
インストールプログラムで検出できるのは、16 文字または 32 文字の長さのシリアル番号を持つマルチパスストレージデバイスのみです。
その他の SAN デバイス
単独パスで接続の FCP LUN など、SAN (Storage Area Network) で利用できる他のデバイスです。
ファームウェア RAID
ファームウェア RAID コントローラーに接続されているストレージデバイスです。このタブは、IBM Z では該当しません。
System z デバイス
このタブには、zSeries Linux FCP (ファイバーチャネルプロトコル) ドライバーで接続された ストレージデバイスもしくは LUN (論理ユニット) が含まれています。

図18.26 タブを使ってグループ分けされている特殊ストレージデバイスの概要

タブを使ってグループ分けされている特殊ストレージデバイスの概要
画面右下にボタンが表示されます。これらのボタンを使用して、新たなストレージデバイスを追加します。以下のボタンが利用可能です。
概要ページには Search タブも含まれており、このタブでは、アクセスする World Wide Identifier (WWID)またはポート、ターゲット、または 論理ユニット番号 (LUN)別にストレージデバイスをフィルターできます。

図18.27 ストレージデバイスの検索タブ

ストレージデバイスの検索タブ
Search タブには、ポート、ターゲット、LUN、または WWID での検索を選択する Search By ドロップダウンメニューが含まれます。WWID または LUN で検索するには、対応する入力テキストフィールドに値を入力する必要があります。検索 ボタンを クリック して検索を開始します。
左側にチェックボックスが付いたデバイスが列ごとに表示されます。インストールプロセス中にそのデバイスを使用可能にする場合は、このチェックボックスをクリックします。インストールプロセスの後半では、Red Hat Enterprise Linux のインストール先として、ここで選択したデバイスのいずれかを指定することができます。また、インストール完了後のシステムの一部として、ここで選択したデバイスの自動マウントを指定することができます。
ここで選択するデバイスのデータがインストールプロセスで自動的に消去されるわけではありません。この画面上でデバイスを選択しても、それだけでデバイスに保存されているデータが抹消されるわけではありません。また、インストールしたシステムの一部を形成するために選択しないデバイスは、インストール後に /etc/fstab ファイルを変更してシステムに追加できます。
インストール時に利用できるようにするストレージデバイスを選択したら、完了 を クリック して インストール先 画面に戻ります。
18.16.1.1. DASD の低レベルフォーマット
DASD へのインストールの場合は、Compatible Disk Layout (CDL) フォーマットでの低レベルフォーマットが推奨されます。ただし、CMS フォーマットの FBA DASD を使用することもできます。インストール 画面で DASD を選択して 完了 をクリックすると、インストールプログラムがフォーマットされていないディスクまたは互換性のないフォーマットディスクを検出し、以下のダイアログが表示されます。

図18.28 DASD デバイスフォーマットのダイアログ

DASD デバイスフォーマットのダイアログ
ダイアログでは、キャンセル をクリックして インストール先 画面に戻り、ディスクの選択を編集できます。選択が正しければ、dasdfmt を使用したフォーマット ボタンをクリックして、フォーマットされていないすべての DASD で dasdfmt ユーティリティーを起動します。
フォーマットプロセスが完了したら、OK ボタンをクリックすると、DASD の一覧が更新される インストール先 画面に戻ります。この後にインストール用のディスクを再度選択して、進みます。
フォーマットされていないオンライン DASD の低レベルのフォーマットを自動的に許可するには、キックスタートコマンド zerombr を指定します。詳細は zerombr (オプション) を参照してください。
FBA DASD CMS ディスクレイアウトをターゲットとして IBM Z に Red Hat Enterprise Linux をインストールする場合には、使用可能なパーティションは 3 つのみです。インストーラーはまず msdos パーティションテーブルをターゲットの DASD に作成します。この表では、1 つの DASD デバイスで 3 つを超えるパーティションを使用することはできません。パーティションを手動で作成するか、または autopart --nohome キックスタートオプションを使用して、インストーラーが別の /home/ パーティションを作成しないようにします。ホーム ディレクトリーがない場合は、パーティションの数が 3 つに保たれます。
18.16.1.2. 高度なストレージオプション
高度なストレージデバイスを使用する場合は、インストール先の画面の右下にあるボタンをクリックして、iSCSI (SCSI over TCP/IP) ターゲットまたは zFCP (zSeries Fibre Channel Protocol) LUN (論理ユニット) を設定します。iSCSI の概要は、付録B iSCSI ディスク を参照してください。

図18.29 高度なストレージオプション

高度なストレージオプション
18.16.1.2.1. iSCSI パラメーターの設定
Add iSCSI target... ボタンをクリックすると、iSCSI ターゲットの追加 ダイアログが 表示されます。

図18.30 iSCSI 検出詳細のダイアログ

iSCSI 検出詳細のダイアログ
インストールに iSCSI ストレージデバイスを使用するには、Anaconda が iSCSI ターゲットとして 検出 し、それにアクセスするための iSCSI セッション を作成できる必要があります。検出、セッションの作成それぞれで CHAP (Challenge Handshake Authentication Protocol) 認証用のユーザー名とパスワードが必要になる場合があります。また、検出、セッションの作成いずれの場合も、iSCSI ターゲット側でターゲットの接続先となるシステムの iSCSI イニシエータを認証するよう設定することもできます (リバース CHAP)。CHAP とリバース CHAP を併用する場合は 相互 CHAP または 双方向 CHAP と呼ばれます。相互 CHAP を使用すると、特に CHAP 認証とリバース CHAP 認証でユーザー名やパスワードが異なる場合などに、iSCSI 接続に対する最大限の安全レベルを確保できます。
注記
iSCSI 検出と iSCSI ログインの手順を繰り返して、必要なすべての iSCSI ストレージの追加を行います。ただし、初回の検出試行後は、iSCSI イニシエーターの名前の変更はできません。iSCSI イニシエーターの名前を変更する場合は、インストールを最初からやり直す必要があります。

手順18.1 iSCSI の検出と iSCSI セッションの開始

iSCSI ストレージターゲットの追加 ダイアログを使用して、iSCSI ターゲットの検出に必要な情報を Anaconda に提供します。
  1. ターゲット IP アドレス フィールドに iSCSI ターゲットの IP アドレスを入力し ます。
  2. iSCSI イニシエーター名 フィールドに iSCSI 修飾名 (IQN)形式で iSCSI イニシエーターの名前 を指定します。IQN エントリーには次を含めてください。
    • word . の 文字列(ピリオドに注意)
    • 日付コード (企業や組織のインターネットドメイン名またはサブドメイン名が登録された年と月、記述の順序は年を表す 4 桁の数字、ダッシュ記号、月を表す 2 桁の数字、ピリオドの順で設定。たとえば、2010 年 9 月を 2010-09 と 表します。
    • 企業や組織のインターネットドメイン名またはサブドメイン名 (トップレベルのドメインを先頭にして逆順で表す。たとえば、storage.example.com のサブドメインは com.example.storageと表現します。
    • コロン (:) と、ドメインまたはサブドメイン内でその iSCSI イニシエーターを固有に識別する文字列。例: :diskarrays-sn-a8675309
    そのため、完全な IQN は次のようになり ます。iqn.2010-09.storage.example.com:diskarrays-sn-a8675309anaconda は、設定に役立つように、この形式で iSCSI Initiator Name フィールドに名前を入力します。
    IQN の詳細については、 http://tools.ietf.org/html/rfc3720#section-3.2.6 に記載の『RFC 3720 - Internet Small Computer Systems Interface (iSCSI)』の『3.2.6. iSCSI Names』のセクションや、http://tools.ietf.org/html/rfc3721#section-1 に記載の『RFC 3721 - Internet Small Computer Systems Interface (iSCSI) Naming and Discovery』の 『1. iSCSI Names and Addresses』 のセクションを参照してください。
  3. 認証タイプの検出 ドロップダウン メニューを使用して、iSCSI 検出に使用する認証タイプを指定します。以下のタイプが使用できます。
    • 証明書なし
    • CHAP 秘密鍵
    • CHAP 秘密鍵とリバースペア
    • 認証タイプに CHAP ペア を選択した場合は、CHAP ユーザー名 と CHAP パスワード フィールドに iSCSI ターゲットのユーザー名 とパスワードを指定 ます。
    • 認証タイプに CHAP ペアとリバースペア を選択した場合は、CHAP ユーザー名 と CHAP パスワード フィールドに iSCSI ターゲットのユーザー名 とパスワードを入力します。また、リバース CHAP ユーザー名 と Reverse CHAP パスワード の各フィールドに、iSCSI イニシエーターのユーザー名 とパスワードを指定します。
  4. 必要に応じて、Bind targets to network interfaces というラベルが付いたボックスにチェックを入れます。
  5. Start Discovery ボタンをクリックします。Anaconda は指定した情報に基づいて iSCSI ターゲットを検出しようとします。検出に成功すると、ダイアログにターゲット上で検出された全 iSCSI ノードの一覧が表示されます。
  6. 各ノードにはチェックボックスが付いています。インストールに使用するノードのチェックボックスをクリックします。

    図18.31 検出された iSCSI ノードを表示しているダイアログ

    検出された iSCSI ノードを表示しているダイアログ
  7. Node login authentication type メニューは、手順 3 で説明されている Discovery Authentication Type メニューと同じオプションを提供します。ただし、認証タイプの検索に認証情報を必要とした場合、検出したノードへのログインにも同じ認証情報を使用するのが一般的です。これを行うには、追加の Use the credentials from discovery オプションを使用します。適切な認証情報を指定すると、ログイン ボタンが利用可能になります。
  8. ログイン をクリックして iSCSI セッションを開始します。
18.16.1.2.2. DASD ストレージデバイス
Installation Destination 画面の Add DASD ボタンをクリックすると、DASD (Direct Access Storage Device)ストレージデバイスを追加するダイアログが表示されます。このダイアログでは、インストール開始時には検出されなかった新たな DASD をアタッチすることができます。

図18.32 DASD ストレージターゲットの追加

DASD ストレージターゲットの追加
DASD ストレージターゲットの追加 ダイアログで は、0.0.0204 などのデバイス番号を指定するように求められます。アタッチする DASD のデバイス番号を入力し、検出を開始 をクリックします。
指定されたデバイス番号の DASD が見つかり、これがアタッチされていない場合は、ダイアログウィンドウが閉じて発見されたドライブが 「ストレージデバイス選択の画面」 のドライブ一覧に表示されるようになります。ここでは、画面の左側にあるチェックボックスを使用して、どのドライブを利用可能にするかを選択できます。これを行ったら、左上隅にある Done を押して 「インストール先」 に戻ります。画面の ローカルの標準ディスク セクションで、新しい DASD が選択できるようになります( DASD device 0.0.xxxxとマークされます)。
無効なデバイス番号を入力した場合、または指定したデバイス番号の DASD が既にシステムに割り当てられている場合は、ダイアログウィンドウにエラーメッセージとその理由が表示され、別のデバイス番号で再試行するように求められます。
18.16.1.2.3. FCP デバイス
ZFCP LUN を追加 ボタンをクリックすると、FCP (Fibre Channel Protocol)ストレージデバイスを追加するダイアログが表示されます。
FCP デバイスは、IBM Z が DASD デバイスの代わりに、または DASD デバイスに加えて、SCSI デバイスを使用できるようにするものです。FCP デバイスは交換ファブリックスイッチを提供し、これにより IBM Z システムが SCSI LUN を従来の DASD デバイスとして用いる使い方に加えて、ディスクデバイスとして使えるようにします。
IBM Z では、インストールプログラムが FCP LUN をアクティベートするために、いずれの FCP デバイスも手動で入力される必要があります。これは、Anaconda で対話的に行うか、パラメーターまたは CMS 設定ファイル内で一意のパラメーターエントリーとして指定できます。ここで入力される値は、設定されている各サイトに固有のものとなります。

注記

  • FCP デバイスの対話形式の作成は、グラフィカルモードでのみ可能です。テキストモードのインストールでは、FCP デバイスを対話形式で設定できません。
  • 16 進法で小文字のみを使用してください。誤った値を入力して 検出を開始 ボタンを押すと、インストールプログラムが警告を表示し、設定情報を編集し、検出の試行を再試行できます。
  • これらの値については、ハードウェアに添付のドキュメントを参照し、このシステムのネットワークを設定したシステム管理者に確認してください。
FCP SCSI デバイスを設定するには、16 ビットのデバイス番号、64 ビットの World Wide Port Number (WWPN)、および、64 ビットの FCP LUN の識別子を入力します。検出を開始 ボタンをクリックして、この情報を使用して FCP デバイスに接続します。

図18.33 FCP デバイスの追加

FCP デバイスの追加
新たに追加されたデバイスは、インストール先 画面の System z Devices タブに表示されます。
重要
SCSI のみのインストールでは DASD がないことを示すために、DASD= をパラメーターもしくは CMS 設定ファイルから削除してください。
18.16.1.2.4. FCoE パラメーターの設定
FCoE SAN を追加 ボタンをクリックすると、FCoE ストレージデバイスを検出するようにネットワークインターフェイスを設定するダイアログが表示されます。
まず、NIC ドロップダウンメニューで FCoE スイッチに接続するネットワークインターフェイスを選択し、FCoE ディスクの追加 ボタンをクリックして SAN デバイスのネットワークをスキャンします。

図18.34 FCoE パラメーターの設定

FCoE パラメーターの設定
追加オプションには、以下のものがあります。
DCB を使用する
Data Center Bridging (DCB) とは、ストレージネットワークやクラスターでイーサネット接続の効率性を向上させる目的で設計されたイーサネットプロトコルに対する拡張セットです。このダイアログのチェックボックスを使って、インストールプログラムによる DCB 認識を有効または無効にします。このオプションは、ネットワークインターフェイスでホストベースの DCBX クライアントを必要とする場合にのみ有効にします。ハードウェアの DCBX クライアントを実装するインターフェイス上での設定の場合には、このチェックボックスは空のままにしておいてください。
自動 vlan の使用
自動 VLAN では、VLAN 検出を行うかどうかを指定します。このボックスにチェックを入れると、リンク設定が検証された後、FIP (FCoE Initiation Protocol) VLAN 検出プロトコルがイーサネットインタフェースで実行されます。まだ設定が行われていない場合には、検出された FCoE VLAN 全てに対してネットワークインターフェイスが自動的に作成され、FCoE のインスタンスが VLAN インターフェイス上に作成されます。このオプションはデフォルトで有効になっています。
検出された FCoE デバイスが、インストール先 画面の 他の SAN デバイス タブに表示されます。

18.17. Kdump

この画面を使用して、このシステムで Kdump を使用するかどうかを選択します。kdump は、カーネルクラッシュをダンプするメカニズムで、システムクラッシュが発生した場合は、クラッシュの原因を判断するのに非常に重要な情報をキャプチャーします。
Kdump を有効にする場合は、一定量のシステムメモリーを予約する必要があります。このため、プロセスに利用可能なメモリー容量は少なくなります。
このシステムで Kdump を使用しない場合は、Enable kdump のチェックを外します。それ以外の場合は、Kdump 用に確保するメモリー容量を設定します。インストーラーで自動的に保持する容量を決定するか、手動で任意の容量を設定することができます。設定が適切であれば、完了 をクリックして設定を保存し、前の画面に戻ります。

図18.35 Kdump の有効化と設定

Kdump の有効化と設定

18.18. インストールの開始

インストールの概要 画面の必要なセクションがすべて完了したら、メニュー画面の下部にある警告が表示されなくなり、Begin Installation ボタンが利用可能になります。

図18.36 インストールの準備完了

インストールの準備完了
警告
インストールプロセスのこの時点までは、コンピューターに対して永続的となる変更は行われていません。インストールの 開始 をクリックすると、インストール プログラムがハードドライブの領域を割り当て、Red Hat Enterprise Linux をこの領域に移動します。選択したパーティション設定オプションに応じて、このプロセスでは、コンピューターに存在しているデータの消去が行われる場合があります。
この時点までに行った選択のいずれかを変更するには、Installation Summary 画面の該当セクションに戻ります。インストールを完全に取り消すには、Quit をクリックするか、コンピューターをオフにします。この時点で電源を切る場合、ほとんどのコンピューターでは電源ボタンを数秒間、押し続けると電源が切れます。
インストールのカスタマイズが完了し、インストールを続行する場合は、Begin Installation をクリックします。
インストールの開始 を クリックしたら、インストール プロセスを完了させます。コンピューターの電源を切ったり、リセットしたり、または停電になったりしてプロセスが中断されると、Red Hat Enterprise Linux のインストールプロセスをやり直す、または別のオペレーティングシステムをインストールするまで、そのコンピューターは使用できなくなります。

18.19. 設定のメニューと進捗状況の画面

Installation Summary 画面で Begin Installation をクリックすると、進捗画面が表示されます。Red Hat Enterprise Linux は選択したパッケージをシステムに書き込む時にインストールの進捗を画面上で報告します。

図18.37 パッケージのインストール

パッケージのインストール
参考までに、インストールの完全なログは、システムの再起動後に /var/log/anaconda/anaconda.packaging.log ファイルで確認できます。
パーティション設定中に 1 つ以上のパーティションを暗号化することを選択すると、インストールプロセスの初期に進捗バーを表示するダイアログウィンドウが表示されます。このウィンドウでは、暗号化が安全となるように十分なエントロピー (ランダムデータ) をインストーラーが収集していることを知らせます。256 ビットのエントロピーが収集されるか 10 分間経過すると、このウィンドウは表示されなくなります。マウスを動かしたり、キーボードでランダムに入力すると、この収集プロセスが短縮されます。ウィンドウが消えるとインストールプロセスが続行されます。

図18.38 暗号用のエントロピーの収集

暗号用のエントロピーの収集
パッケージのインストール中は、より多くの設定が必要になります。インストールの進捗バーの上には、Root Password および User Creation メニュー項目があります。
Root Password 画面では、システムの root アカウントを設定します。このアカウントでは、重要なシステム管理と管理タスクを実行できます。wheel グループメンバーシップを持つユーザーアカウントでも、同じタスクを実行できます。インストール中にこのようなユーザーアカウントを作成する場合は、root パスワードの設定は必須ではありません。
ユーザーアカウントの作成はオプションのため、インストール後に行うことも可能ですが、この画面で作成しておくことが推奨されます。ユーザーアカウントは通常の業務およびシステムへのアクセスに使用します。システムへのアクセスは root アカウントではなく、常にユーザーアカウントでアクセスすることがベストプラクティスになります。
Root パスワード または ユーザーの 作成 画面へのアクセスを無効にでき ます。これを行うには、rootpw --lock コマンドまたは user --lock コマンドを含むキックスタートファイルを使用します。これらのコマンドの詳細は、 「キックスタートのコマンドとオプション」 を参照してください。

18.19.1. Root パスワードの設定

root アカウントとパスワードの設定は、インストールにおける重要なステップです。root アカウント (スーパーユーザーとも呼ぶ) は、パッケージのインストールや RPM パッケージ更新、ほとんどのシステムメンテナーンスの実行に使用されます。root アカウントを使用することにより、システム全体を完全に制御することができるようになります。このため、root アカウントの使用は システムのメンテナーンスもしくは管理を行う場合に限る のが最適です。root ユーザーでログインするまたは root ユーザーに切り替える方法については、Red Hat Enterprise Linux 7 システム管理者のガイドを参照してください。

図18.39 Root パスワード画面

Root パスワード画面
注記
インストール済みのシステムへの root 権限を確保するには、少なくとも 1 つの方法( root アカウントを使用するか、管理者権限( wheel グループのメンバー)を持つユーザーアカウントを作成するか、またはその両方を設定する必要があります。
Root Password メニュー項目をクリックし、Root Password フィールドに新しいパスワードを入力します。Red Hat Enterprise Linux では、セキュリティー上の理由から文字がアスタリスクで表示されます。確認 フィールドに同じパスワードを入力して、正しく設定されていることを確認 します。root パスワードを設定したら、完了 を クリック して ユーザー設定 画面に戻ります。
強固な root パスワードを作成する際の要件と推奨事項を以下に示します。
  • 最低でも 8 文字の長さが 必要 である
  • 数字、文字 (大文字と小文字)、記号を含めることができる
  • 大文字と小文字を区別するため、これらの組み合わせを使用する
  • 覚えやすいが他人からは簡単に推測できないものにする
  • ユーザーまたはユーザーが属する組織と関連のある単語や略語、数字、また辞書にある単語 (外国語も含む) などは避ける
  • パスワードは書き留めない (書き留めておく必要がある場合は、安全な所に保管してください)
注記
インストール完了後に root パスワードを変更するには、rootpasswd コマンドを実行します。root パスワードを忘れた場合は、 「root パスワードのリセット」 にあるレスキューモードを使用して新しい設定方法を参照してください。

18.19.2. ユーザーアカウントの作成

インストール時に通常の(root 以外の)ユーザーアカウントを作成するには、進捗画面 で ユーザー設定 をクリックします。Create User 画面が表示され、通常のユーザーアカウントを設定し、そのパラメーターを設定できるようになります。ユーザーの作成はインストール時に行うことを推奨していますが、この作業はオプションとなるためインストール完了後に行うこともできます。
注記
インストール済みのシステムへの root 権限を確保するには、少なくとも 1 つの方法( root アカウントを使用するか、管理者権限( wheel グループのメンバー)を持つユーザーアカウントを作成するか、またはその両方を設定する必要があります。
ユーザー作成画面を入力した後、ユーザーを作成したままにするには、すべてのフィールドを空のままにして、Done をクリックします。

図18.40 ユーザーアカウント設定画面

ユーザーアカウント設定画面
各フィールドにフルネームとユーザー名を入力します。システムのユーザー名は 32 文字以内の長さにしてください。空白を含めることはできません。新しいアカウントにはパスワードを設定することを強く推奨します。
root 以外のユーザーにも強固なパスワードを設定する場合は「Root パスワードの設定」 に記載のガイドラインに従います。
Advanced ボタンをクリックして、追加設定を含む新しいダイアログを開きます。

図18.41 高度なユーザー設定

高度なユーザー設定
デフォルトでは、各ユーザーにはユーザー名に対応するホームディレクトリーが作成されます。ほとんどの場合、この設定を変更する必要はありません。
また、手動でチェックボックスを選択すると、新規ユーザーとそのデフォルトグループのシステム ID 番号を指定することができます。一般ユーザー ID の範囲は、1000 から始まります。ダイアログの下部では、この新規ユーザーが所属することになる追加グループをコンマで区切った一覧形式で入力することができます。この新規グループがシステム内に作成されます。グループ ID をカスタマイズする場合は、ID 番号を括弧で囲んで指定します。
注記
一般ユーザーとそのデフォルトグループの ID を 1000 ではなく 5000 から始まる範囲に設定することを検討してください。これは、システムユーザーおよびグループ用に予約されている範囲 0~999 が今後増え、通常のユーザーの ID と重複する可能性があるためです。
キックスタートでカスタム ID を指定してユーザーを作成する場合は、 user (任意) を参照してください。
インストール後に UID と GID の下限を変更して、選択した UID と GID の範囲がユーザー作成時に自動的に適用されるようにする方法は、システム管理者のガイドのユーザーとグループの概要の章を参照してください。
ユーザーアカウントをカスタマイズしたら、変更の保存 をクリックして ユーザー 設定 画面に 戻ります。

18.20. インストールの完了

おめでとうございます。Red Hat Enterprise Linux のインストールが完了しました。
インストールプログラムにより、システム再起動の準備を求めるプロンプトが表示されます。
インストールプログラムは、インストールが完了したシステムで自動的に再起動します。
インストールプログラムは、再起動されない場合には、IPL を行う (起動する) デバイスからの情報を表示します。シャットダウンオプションを受け入れ、シャットダウン後に、Red Hat Enterprise Linux の /boot パーティションがインストールされている DASD または SCSI LUN から IPL を設定します。

18.20.1. z/VM 環境での起動 (IPL)

DASD から起動 (IPL) するには、3270 コンソール上の DASD デバイス 200 などを使用し、次のコマンドを実行します。
#cp i 200
自動パーティション設定(すべてのパーティションからデータを消去)が使用される環境では、最初にアクティブ化された DASD は、通常 /boot パーティションがある場所です。
FCP LUN で /boot を使用すると、IPL に使用する FCP 接続のデバイスに WWPN および LUN を指定する必要があります。
FCP 接続のデバイスから起動 (IPL) するには、以下を実行します。
  1. FCP 接続のデバイスに FCP ルーティング情報を提供します。たとえば、0x50050763050B073D は WWPN、0x4020400100000000 は FCP LUN です。
    #cp set loaddev portname 50050763 050B073D lun 40204001 00000000
  2. FCP アダプター( FC00 など)を IPL します。
    #cp ipl FC00
注記
仮想マシンで実行している Linux を停止せずに 3270 端末から切断するには、#cp logoff の代わりに #cp disconnect を使用します。通常のログオン手順で仮想マシンを再接続すると、CP コンソールの機能モード(CP READ)に置かれる可能性があります。その場合は、仮想マシンの実行を再開するには、BEGIN コマンドを入力します。

18.20.2. LPAR 上での起動 (IPL)

LPAR ベースのインストールの場合、HMC で LPAR にロードコマンドを実行し、特定の DASD、または /boot パーティションがある FCP アダプター、WWPN、および FCP LUN を指定します。

18.20.3. 再起動後のプロセス

インストールした Red Hat Enterprise Linux オペレーティングシステムの自動再起動または手動の IPL の後に、ssh を使用してシステムにログインできます。root としてログインできる場所は、3270 端末または /etc/securetty に記載されているその他のターミナルデバイスからのものだけである点に注意してください。
グラフィカル環境で初めて Red Hat Enterprise Linux システムを起動する場合は、初期 設定 を使用して Red Hat Enterprise Linux の設定を確認できます。初期設定 では、最初に環境を設定して、Red Hat Enterprise Linux システムをすぐに使い始めることができます。
設定プロセスの詳細は 30章初期設定 (Initial Setup) を参照してください。

第19章 IBM Z でのインストールに関するトラブルシューティング

本章では、一般的なインストール関連の問題とその解決法について説明していきます。
デバッグの目的で、Anaconda はインストールアクションを /tmp ディレクトリー内のファイルにログ記録します。以下の表に各種のログファイルを示します。
表19.1 インストール中に生成されるログファイル
ログファイル 内容
/tmp/anaconda.log Anaconda に関する一般的なメッセージ
/tmp/program.log インストール中に実行されたすべての外部プログラム
/tmp/storage.log ストレージモジュールの詳細情報
/tmp/packaging.log yum パッケージおよび rpm パッケージのインストールメッセージ
/tmp/syslog ハードウェア関連のシステムメッセージ
インストールに失敗すると、これらのファイルからのメッセージは /tmp/anaconda-tb-identifier に統合されます。identifier はランダムな文字列です。
インストールに成功すると、デフォルトでは、これらのファイルは /var/log/anaconda/ ディレクトリー下のインストール済みシステムにコピーされます。ただし、インストールが失敗した場合、またはインストールシステムの起動時に inst.nosave=all オプションまたは inst.nosave=logs オプションを使用すると、ログはインストールプログラムの RAM ディスクにのみ存在します。つまり、ファイルは永久的には保存されず、システムの電源を切ると失われることになります。永続的に保存するには、インストールプログラムを実行しているシステムで scp を使用してネットワーク上の別のシステムにこれらのファイルをコピーするか、マウントされたストレージデバイス(USB フラッシュドライブなど)にコピーします。ネットワーク経由でログファイルを転送する方法を以下に示します。
注記
以下の手順では、インストールシステムがネットワークにアクセスでき、ターゲットシステムが ssh プロトコルでファイルを受信できるようにする必要があります。

手順19.1 ネットワークを介してログファイルを転送する

  1. インストールしているシステムでシェルプロンプトにアクセスします。次の手順で行います。
    • インストールシステムの実行中の tmux セッションで、Ctrlb p b n を押すと、それぞれ前の端末または次の端末に切り替え、root シェルでターミナルを見つけます。
    • ssh でインストールシステムに接続します。
    いずれの場合も、インストールシステムのシェルを root として使用できます。
  2. ログファイルが置かれている /tmp ディレクトリーに移動します。
    # cd /tmp
  3. scp コマンドを使用して、ネットワーク上の別のシステムにログファイルをコピーします。
    # scp *log user@address:path
    user には転送先システムで有効なユーザー名を入力します。address には転送先システムのアドレスまたはホスト名を入力します。path にはログファイルを保存するディレクトリーへのパスを入力します。たとえば、john として IP アドレスが 192.168.0.122 のシステムにログインして、ログファイルをそのシステムの /home/john/logs/ ディレクトリーに置く場合は、以下のような形式になります。
    # scp *log john@192.168.0.122:/home/john/logs/
    初めてターゲットシステムに接続する際に、SSH クライアントにより、リモートシステムのフィンガープリントが正しいことと、継続するかを尋ねられます。
    The authenticity of host '192.168.0.122 (192.168.0.122)' can't be established.
    ECDSA key fingerprint is a4:60:76:eb:b2:d0:aa:23:af:3d:59:5c:de:bb:c4:42.
    Are you sure you want to continue connecting (yes/no)?
    yes入力 し、Enter を押して続行します。プロンプトに従いパスワードを入力します。転送先システムの指定ディレクトリーへのファイル転送が開始されます。
これでインストールによるログファイルが完全に転送先システムに保存され、後で確認できるようになります。

19.1. インストール中の問題

19.1.1. ディスクが検出されない

インストール先 画面では、以下のエラーメッセージが下部に表示されます: No disks detected.コンピューターをシャットダウンしてから、少なくともひとつのディスクに接続を行ってからインストールを再開してください。)
このメッセージは通常、DASD (Direct Access Storage Device) デバイスに問題があることを示します。このエラーが発生した場合は、DASD=<disks > パラメーターをパラメーターファイルまたは CMS 設定ファイル( disks はインストール用に予約された DASD の範囲)に追加し、インストールを再度開始します。
また、CMS を使用して DASD をフォーマットするのではなく、Linux root シェル内で dasdfmt コマンドを使用して DASD をフォーマットするようにしてください。Anaconda は、まだフォーマットされていない DASD デバイスを自動的に検出し、デバイスのフォーマットを行うかどうかを尋ねます。
1 つ以上の iSCSI デバイスにインストールを実行していて、システム上にローカルストレージがない場合、必要なすべての LUN (論理ユニット番号) が適切な HBA (ホストバスアダプター) に示されていることを確認してください。iSCSI の詳細は、付録B iSCSI ディスク を参照してください。

19.1.2. トレースバックメッセージの報告

グラフィカルインストールプログラムでエラーが発生すると、クラッシュレポートのダイアログボックスが表示されます。このダイアログボックスを使って、発生した問題に関する情報を Red Hat に送信することができます。クラッシュレポートを送信するには、カスタマーポータルの認証情報を入力する必要があります。カスタマーポータルのアカウントをお持ちでない場合は、https://www.redhat.com/wapps/ugc/register.html で登録していただくことができます。自動クラッシュレポートの機能を利用する場合には、動作しているネットワーク接続も必要になります。

図19.1 クラッシュレポートのダイアログボックス

クラッシュレポートのダイアログボックス
ダイアログが表示されたら、問題を 報告する場合は バグ の報告 を選択するか、Quit を選択してインストールを終了します。
必要に応じて、More Info をクリックして、エラーの原因を特定するのに役立つ詳細な出力を表示します。デバッグに精通している場合は、Debug をクリックします。これにより、仮想ターミナル tty1 が表示されます。ここでは、バグレポートを強化するより正確な情報をリクエストできます。tty1 からグラフィカルインターフェイスに戻るには、continue コマンドを使用します。

図19.2 クラッシュレポートのダイアログを展開した例

クラッシュレポートのダイアログを展開した例
カスタマーポータルにバグを報告する場合は、次の手順に従ってください。

手順19.2 Red Hat カスタマーポータルにエラーを報告する

  1. 表示されるメニューで、Report a bug to Red Hat Customer Portal を選択します。
  2. Red Hat にバグを報告するには、まずカスタマーポータルの認証情報を入力する必要があります。Red Hat カスタマーサポートの設定 をクリックします。

    図19.3 カスタマーポータル認証情報

    カスタマーポータル認証情報
  3. 新しいウィンドウが開き、カスタマーポータルのユーザー名とパスワードの入力が求められます。Red Hat カスタマーポータル認証情報を入力してください。

    図19.4 Red Hat カスタマーサポートの設定

    Red Hat カスタマーサポートの設定
    ネットワーク設定で HTTP または HTTPS プロキシーを使用する必要がある場合は、Advanced メニューを展開し、プロキシーサーバーのアドレスを入力して設定できます。
    必要な認証情報をすべて入力したら、OK をクリックして続行します。
  4. テキストフィールドがある新しいウィンドウが表示されます。ここに関連情報やコメントを入力します。クラッシュレポートのダイアログが表示されるまでに行った動作を一つずつ入力し、どのようにしたらエラーが再現できるかを説明してください。できるだけ具体的に、デバッグを行った場合はそのときに得られた情報も入力してください。ここに入力された情報はカスタマーポータルで公開される可能性があるので注意してください。
    エラーの原因が分からない場合は、ダイアログの下部にある I don't know this issue のラベルが付いた ボックスにチェックを入れてください。
    次に、Forward をクリックします。

    図19.5 問題の詳細を入力する

    問題の詳細を入力する
  5. 次に、カスタマーポータルに送信する情報を再確認します。指定した説明は comment タブにあります。他のタブには、システムのホスト名やインストール環境に関する詳細などが含まれています。Red Hat に送信したくない情報は削除することができます。ただし、報告していただく内容が限られると、問題の調査に影響するため注意してください。
    送信する情報の確認が終了したら Forward をクリックします。

    図19.6 送信データの再確認

    送信データの再確認
  6. 添付ファイルとしてバグ報告に含ませて送信するファイルの一覧を確認します。このファイルには調査に役立つシステム関連情報が含まれています。特定のファイルを送信したくない場合は、そのファイルの横にあるボックスのチェックマークを外します。問題を見つけるのに役立つ追加のファイルを指定するには、Attach a file をクリックします。
    送信するファイルを確認したら、I have review the data and agree with submitting it というラベルが付いたボックスにチェックを入れます。Forward をクリックして、レポートと添付ファイルをカスタマーポータルに送信します。

    図19.7 送信ファイルの再確認

    送信ファイルの再確認
  7. ダイアログが処理が完了したと報告されたら、Show log をクリックしてレポートプロセスの詳細を表示するか、Close をクリックして最初のクラッシュレポートダイアログボックスに戻ります。Quit をクリックしてインストールを終了します。

19.1.3. プレインストールログファイルの作成

インストール問題をデバッグするには、インストール前に inst.debug オプションを設定して環境からログファイルを作成することができます。これらのログファイルには、現行のストレージ設定などが含まれます。
Red Hat Enterprise Linux インストール起動メニューでオプションを設定するには、以下を実行します。
  1. Install Red Hat Enterprise Linux 7.3 エントリーを選択します。
  2. Tab キーを押して、起動オプションを編集します。
  3. オプションに inst.debug を追加します。以下に例を示します。
    > vmlinuz ... inst.debug
    詳細は23章起動オプションを参照してください。
  4. Enter を押して設定を開始します。
システムは、Anaconda が起動する前に、プレインストールのログファイルを /tmp/pre-anaconda-logs/ ディレクトリーに保存します。このログファイルにアクセスするには、以下を実行します。
  1. コンソールに切り替えます。「コンソールへのアクセス」 を参照してください。
  2. /tmp/pre-anaconda-logs/ ディレクトリーに移動します。
    # cd /tmp/pre-anaconda-logs/

19.2. インストール後の問題

19.2.1. リモートグラフィカルデスクトップと XDMCP

X Window System をインストールし、グラフィカルログインマネージャーを使用して Red Hat Enterprise Linux システムにログインする場合は、XDMCP ( X Display Manager Control Protocol )を有効にします。このプロトコルにより、ユーザーはネットワーク接続したワークステーションや X11 ターミナルなどの X 互換クライアントからデスクトップ環境にリモートでログインできるようになります。以下の手順に従うと、XDMCP を有効にできます。

手順19.3 IBM Z 上で XDMCP を有効にする

  1. vinano などのプレーンテキストエディターで /etc/gdm/custom.conf 設定ファイルを開きます。
  2. custom.conf ファイルで、[xdmcp] で始まるセクションを見つけます。このセクションに、以下の行を追加します。
    Enable=true
  3. ファイルを保存して、テキストエディターを終了します。
  4. X Window System を再起動します。これを行うには、システム全体を再起動するか、root で以下のコマンドを使用して GNOME Display Manager を再起動します。
    # systemctl restart gdm.service
    再度ログインプロンプトが表示されるのを待ち、通常のユーザー名とパスワードを使ってログインします。
これで IBM Z サーバーが XDMCP 用に設定されました。クライアントワークステーションで X コマンドを使用してリモート X セッションを開始することで、別のワークステーション(クライアント)から接続できます。以下に例を示します。
$ X :1 -query address
address は、リモート X11 サーバーのホスト名で置き換えます。このコマンドは、XDMCP を使用してリモート X11 サーバーに接続し、X11 サーバーシステムのディスプレイ :1 にリモートグラフィカルログイン画面を表示します(通常は Ctrl-Alt-F8を押してアクセスできます)。
nested X11 サーバーを使用してリモートデスクトップセッションにアクセスすることもできます。これにより、リモートデスクトップが現在の X11 セッションの画面として開きます。Xnest を使用すると、ユーザーはローカルの X11 セッション内にネストされたリモートデスクトップを開くことができます。たとえば、以下のコマンドを使用して Xnest を実行します。address は、リモート X11 サーバーのホスト名に置き換えます。
$ Xnest :1 -query address
XDMCP の詳細は、X Window System のドキュメント() http://www.x.org/releases/X11R7.6/doc/libXdmcp/xdmcp.html を参照してください。

19.2.2. signal 11 エラーが表示される

セグメンテーション違反 と呼ばれる signal 11 エラーとは、割り当てられていないメモリーにプログラムがアクセスを行ったという意味です。インストールされているソフトウェアプログラムのいずれかにバグがあったり、ハードウェアに障害があると signal 11 エラーが発生する場合があります。
インストール時に致命的なシグナル 11 エラーが発生した場合は、最初に最新のインストールイメージを使用していることを確認し、Anaconda に検証して、それらが破損していないことを確認します。signal 11 エラーの原因として不良インストールメディア (書き込みが不適切だったり、傷が付いている光学ディスクなど) がよく見られます。インストールを行う前には、必ずインストールメディアの整合性を確認することが推奨されます。
最新のインストールメディアを取得する方法は、2章Red Hat Enterprise Linux のダウンロード を参照してください。インストールを開始する前にメディアチェックを実行するには、起動メニューに rd.live.check 起動オプションを追加します。詳細は 「起動メディアの検証」 を参照してください。
これ以外に考えられる原因は、本書では扱いません。詳細は、ハードウェアの製造元のドキュメントを参照してください。

第20章 IBM Z インスタンスでのインストール済み Linux の設定

IBM Z 上の Linux に関する詳細情報は、22章IBM Z に関する参考文献に一覧表示されている資料を参照してください。一般的なタスクの一部がここで説明されています。

20.1. DASD の追加

DASD (ダイレクトアクセスストレージデバイス) は、IBM Z で一般的に使用されるタイプのストレージです。このストレージデバイスの使用方法については、IBM Knowledge Center (http://www-01.ibm.com/support/knowledgecenter/linuxonibm/com.ibm.linux.z.lgdd/lgdd_t_dasd_wrk.html) を参照してください。
DASD をオンラインに設定してフォーマットし、変更を永続化する方法の例を以下に示します。
注記
z/VM 環境下で実行する場合は、デバイスが Linux システムに接続またはリンクされていることを確認してください。
CP ATTACH EB1C TO *
アクセス可能なミニディスクをリンクするには、以下のようなコマンドを実行します。
CP LINK RHEL7X 4B2E 4B2E MR
DASD 4B2E LINKED R/W
上記のコマンドについての詳細は『z/VM: CP Commands and Utilities Reference, SC24-6175』を参照してください。

20.1.1. DASD のオンラインでの動的な設定

DASD をオンラインで設定するには、次の手順に従います。
  1. cio_ignore ユーティリティーを使用して、無視するデバイスの一覧から DASD を削除し、Linux から見えるようにします。
    # cio_ignore -r device_number
    device_number は DASD のデバイス番号で置き換えます。以下に例を示します。
    # cio_ignore -r 4b2e
  2. デバイスをオンラインに設定します。コマンドを次の形式で使用します。
    # chccwdev -e device_number
    device_number は DASD のデバイス番号で置き換えます。以下に例を示します。
    # chccwdev -e 4b2e
    または、sysfs 属性を使用してデバイスをオンラインに設定できます。
    1. cd コマンドを使用して、そのボリュームを表す /sys/ ディレクトリーに移動します。
      # cd /sys/bus/ccw/drivers/dasd-eckd/0.0.4b2e/
      # ls -l
      total 0
      -r--r--r--  1 root root 4096 Aug 25 17:04 availability
      -rw-r--r--  1 root root 4096 Aug 25 17:04 cmb_enable
      -r--r--r--  1 root root 4096 Aug 25 17:04 cutype
      -rw-r--r--  1 root root 4096 Aug 25 17:04 detach_state
      -r--r--r--  1 root root 4096 Aug 25 17:04 devtype
      -r--r--r--  1 root root 4096 Aug 25 17:04 discipline
      -rw-r--r--  1 root root 4096 Aug 25 17:04 online
      -rw-r--r--  1 root root 4096 Aug 25 17:04 readonly
      -rw-r--r--  1 root root 4096 Aug 25 17:04 use_diag
    2. デバイスがすでにオンラインになっているかを確認します。
      # cat online
      0
    3. オンラインになっていない場合は、次のコマンドを実行してオンラインにします。
      # echo 1 > online
      # cat online
      1
  3. どのブロック devnode にアクセスしているかを確認します。
    # ls -l
    total 0
    -r--r--r--  1 root root 4096 Aug 25 17:04 availability
    lrwxrwxrwx  1 root root    0 Aug 25 17:07 block -> ../../../../block/dasdb
    -rw-r--r--  1 root root 4096 Aug 25 17:04 cmb_enable
    -r--r--r--  1 root root 4096 Aug 25 17:04 cutype
    -rw-r--r--  1 root root 4096 Aug 25 17:04 detach_state
    -r--r--r--  1 root root 4096 Aug 25 17:04 devtype
    -r--r--r--  1 root root 4096 Aug 25 17:04 discipline
    -rw-r--r--  1 root root    0 Aug 25 17:04 online
    -rw-r--r--  1 root root 4096 Aug 25 17:04 readonly
    -rw-r--r--  1 root root 4096 Aug 25 17:04 use_diag
    この例では、 /dev/dasdb としてデバイス 4B2E にアクセスしてます。
この命令では、現行セッションに DASD オンラインを設定しましたが、システムが再起動すると元に戻ります。DASD オンラインを永続的に設定する場合は 「DASD のオンラインでの永続的な設定」 を参照してください。DASD を使用する場合は、/dev/disk/by-path/ の下にある永続的なデバイスのシンボリックリンクを使用します。ストレージデバイスを連続的に参照する別の方法については、Red Hat Enterprise Linux 7 ストレージ管理ガイドの永続ストレージデバイスの命名についての章を参照してください。

20.1.2. 低レベルフォーマットによる新規 DASD の準備

ディスクがオンラインになったら、/root ディレクトリーに戻り、デバイスをローレベルフォーマットします。DASD の有効期間中に必要なローレベルフォーマットは、この 1 回のみです。
# cd /root
# dasdfmt -b 4096 -d cdl -p /dev/disk/by-path/ccw-0.0.4b2e
Drive Geometry: 10017 Cylinders * 15 Heads =  150255 Tracks

I am going to format the device /dev/disk/by-path/ccw-0.0.4b2e in the following way:
Device number of device : 0x4b2e
Labelling device        : yes
Disk label              : VOL1
Disk identifier         : 0X4B2E
Extent start (trk no)   : 0
Extent end (trk no)     : 150254
Compatible Disk Layout  : yes
Blocksize               : 4096

--->> ATTENTION! <<---
All data of that device will be lost.
Type "yes" to continue, no will leave the disk untouched: yes
cyl    97 of  3338 |#----------------------------------------------|   2%
進捗バーが最後まで到達し、フォーマットが完了すると、dasdfmt は以下の出力を出力します。
Rereading the partition table...
Exiting...
ここで、fdasd を使用して DASD にパーティションを設定します。DASD には最大 3 つの パーティションを作成できます。この例では、ディスク全体にまたがるパーティションを 1 つ作成します。
# fdasd -a /dev/disk/by-path/ccw-0.0.4b2e
auto-creating one partition for the whole disk...
writing volume label...
writing VTOC...
checking !
wrote NATIVE!
rereading partition table...
(ローレベルフォーマットを行った) DASD をオンラインにすると、Linux 環境下の他のディスクと同様に使用できます。たとえば、/dev/disk/by-path/ccw-0.0.4b2e-part1 などのパーティションにファイルシステム、LVM 物理ボリューム、またはスワップ領域を作成できます。dasdfmt コマンドおよび fdasd コマンド以外には、絶対に DASD デバイス全体(dev/dasdb)を使用しないでください。DASD 全体を使用する場合は、上記の fdasd の例のように、ドライブ全体にまたがるパーティションを 1 つ作成します。
たとえば、/etc/fstab の既存のディスクエントリーを破損せずにディスクを後で追加するには、/dev/disk/by-path/ の下にある永続的なデバイスのシンボリックリンクを使用します。

20.1.3. DASD のオンラインでの永続的な設定

上記の手順では、実行中のシステムで DASD を動的にアクティベートする手順を説明しています。しかし、そのような変更は永続的ではなく再起動後には維持されません。Linux システム内で DASD 設定の変更を永続的にするには、DASD がルートファイルシステムに属するかどうかによります。root ファイルシステムに必要な DASD は、ブートプロセスの初期段階で initramfs でアクティベートして、root ファイルシステムをマウントできるようにする必要があります。
cio_ignore コマンドは、永続的なデバイス設定に対して透過的に処理されるため、無視リストからデバイスを手動で解放する必要はありません。
20.1.3.1. ルートファイルシステムの一部である DASD
ルートファイルシステムの一部である DASD を追加するために必要な唯一のファイルは /etc/zipl.conf です。次に、zipl ブートローダーツールを実行します。initramfs を再作成する必要はありません。
起動プロセスの早い段階で DASD をアクティベートする起動オプションである rd.dasd= があります。このオプションは、DASD (Direct Access Storage Device) アダプターデバイスバス識別子を取ります。複数の DASD の場合は、パラメーターを複数回指定するか、バス ID のコンマ区切りリストを使用します。DASD の範囲を指定するには、最初と最後のバス ID を指定します。
以下は、LVM ボリュームグループ vg_devel1 用に 2 つの DASD のパーティションにある物理ボリュームを使用するシステム用の zipl.conf の例です。これには、root ファイルシステムの論理ボリューム lv_root が含まれています。
[defaultboot]
default=linux
target=/boot/

[linux]
image=/boot/vmlinuz-2.6.32-19.el7.s390x
ramdisk=/boot/initramfs-2.6.32-19.el7.s390x.img
parameters="root=/dev/mapper/vg_devel1-lv_root rd.dasd=0.0.0200,use_diag=0,readonly=0,erplog=0,failfast=0 rd.dasd=0.0.0207,use_diag=0,readonly=0,erplog=0,failfast=0  rd_LVM_LV=vg_devel1/lv_root rd_NO_LUKS rd_NO_MD rd_NO_DM LANG=en_US.UTF-8 SYSFONT=latarcyrheb-sun16 KEYTABLE=us cio_ignore=all,!condev"
デバイスバス ID 0.0.202b の 3 番目の DASD のパーティションに、物理ボリュームをもう 1 つ追加するとします。これを行うには、rd.dasd=0.0.202bzipl.conf のブートカーネルのパラメーター行に追加します。
[defaultboot]
default=linux
target=/boot/

[linux]
image=/boot/vmlinuz-2.6.32-19.el7.s390x
ramdisk=/boot/initramfs-2.6.32-19.el7.s390x.img
parameters="root=/dev/mapper/vg_devel1-lv_root rd.dasd=0.0.0200,use_diag=0,readonly=0,erplog=0,failfast=0 rd.dasd=0.0.0207,use_diag=0,readonly=0,erplog=0,failfast=0 rd.dasd=0.0.202b  rd_LVM_LV=vg_devel1/lv_root rd_NO_LUKS rd_NO_MD rd_NO_DM LANG=en_US.UTF-8 SYSFONT=latarcyrheb-sun16 KEYTABLE=us cio_ignore=all,!condev"
警告
/etc/zipl.conf のカーネルコマンドラインの長さが 896 バイトを超えないようにしてください。これを超えてしまうとブートローダーを保存できず、インストールに失敗します。
zipl を実行して、次回の IPL に /etc/zipl.conf の変更を適用します。
# zipl -V
Using config file '/etc/zipl.conf'
Target device information
Device..........................: 5e:00
Partition.......................: 5e:01
Device name.....................: dasda
DASD device number..............: 0201
Type............................: disk partition
Disk layout.....................: ECKD/compatible disk layout
Geometry - heads................: 15
Geometry - sectors..............: 12
Geometry - cylinders............: 3308
Geometry - start................: 24
File system block size..........: 4096
Physical block size.............: 4096
Device size in physical blocks..: 595416
Building bootmap in '/boot/'
Building menu 'rh-automatic-menu'
Adding #1: IPL section 'linux' (default)
kernel image......: /boot/vmlinuz-2.6.32-19.el7.s390x
kernel parmline...: 'root=/dev/mapper/vg_devel1-lv_root rd.dasd=0.0.0200,use_diag=0,readonly=0,erplog=0,failfast=0 rd.dasd=0.0.0207,use_diag=0,readonly=0,erplog=0,failfast=0 rd.dasd=0.0.202b rd_LVM_LV=vg_devel1/lv_root rd_NO_LUKS rd_NO_MD rd_NO_DM LANG=en_US.UTF-8 SYSFONT=latarcyrheb-sun16 KEYTABLE=us cio_ignore=all,!condev'
initial ramdisk...: /boot/initramfs-2.6.32-19.el7.s390x.img
component address:
kernel image....: 0x00010000-0x00a70fff
parmline........: 0x00001000-0x00001fff
initial ramdisk.: 0x02000000-0x022d2fff
internal loader.: 0x0000a000-0x0000afff
Preparing boot device: dasda (0201).
Preparing boot menu
Interactive prompt......: enabled
Menu timeout............: 15 seconds
Default configuration...: 'linux'
Syncing disks...
Done.
20.1.3.2. ルートファイルシステムの一部ではない DASD
ルートファイルシステムの一部ではない DASD ( データディスク )は、/etc/dasd.conf ファイルで永続的に設定されます。このファイルでは各行に 1 つの DASD が含まれています。各行は DASD のデバイスバス ID で始まります。オプションとして各行は、空白またはタブ文字区切りでオプションを続けられます。オプションは、キーと値が等号 (=) で分けられたキーと値ペアで設定されています。
このキーは、DASD が持つことができる有効な sysfs 属性に対応します。値はキーの sysfs 属性に書き込まれます。DASD がシステムに追加されると、/etc/dasd.conf 内のエントリーが udev によってアクティベートされ、設定されます。起動時に、システムに表示されるすべての DASD が追加され、udev が発生します。
/etc/dasd.conf のコンテンツの例:
0.0.0207
0.0.0200 use_diag=1 readonly=1
/etc/dasd.conf の変更は、システムの再起動後か、システムの I/O 設定を変更して新規の DASD を動的に追加(つまり、DASD は z/VM の下に接続)しないと有効になりません。または、/etc/dasd.conf で、アクティブでなかった DASD に対して、以下のコマンドを実行して、新しいエントリーをアクティベートできます。
  1. cio_ignore ユーティリティーを使用して、無視するデバイスの一覧から DASD を削除し、Linux から見えるようにします。
    # cio_ignore -r device_number
    以下に例を示します。
    # cio_ignore -r 021a
  2. デバイスの uevent 属性に書き込むことにより、アクティベーションをトリガーします。
    # echo add > /sys/bus/ccw/devices/device-bus-ID/uevent
    以下に例を示します。
    # echo add > /sys/bus/ccw/devices/0.0.021a/uevent

20.2. FCP 接続の LUN (論理 ユニット) の追加

FCP LUN の追加方法の例を以下に示します。
注記
z/VM 下で実行している場合は、FCP アダプターが z/VM ゲストの仮想マシンに接続されていることを確認してください。実稼働環境でのマルチパス設定には、2 つの異なる物理アダプター (CHPID) 上に少なくとも 2 つの FCP デバイスを配置することになります。以下に例を示します。
CP ATTACH FC00 TO *
CP ATTACH FCD0 TO *

20.2.1. FCP LUN の動的なアクティベート

LUN をアクティベートするには以下の手順に従います。
  1. cio_ignore ユーティリティーを使用して、無視するデバイスの一覧から FCP アダプターを削除し、Linux から見えるようにします。
    # cio_ignore -r device_number
    device_number は、FCP アダプターのデバイス番号に置き換えます。以下に例を示します。
  2. 以下のコマンドを使用して FCP アダプターデバイスをオンラインにします。
    # chccwdev -e fc00
  3. zfcp デバイスドライバーの自動ポートスキャンで必要な WWPN が検出されたこと確認します。
    # ls -l /sys/bus/ccw/drivers/zfcp/0.0.fc00/
    drwxr-xr-x.  3 root root    0 Apr 28 18:19 0x500507630040710b
    drwxr-xr-x.  3 root root    0 Apr 28 18:19 0x50050763050b073d
    drwxr-xr-x.  3 root root    0 Apr 28 18:19 0x500507630e060521
    drwxr-xr-x.  3 root root    0 Apr 28 18:19 0x500507630e860521
    -r--r--r--.  1 root root 4096 Apr 28 18:17 availability
    -r--r--r--.  1 root root 4096 Apr 28 18:19 card_version
    -rw-r--r--.  1 root root 4096 Apr 28 18:17 cmb_enable
    -r--r--r--.  1 root root 4096 Apr 28 18:17 cutype
    -r--r--r--.  1 root root 4096 Apr 28 18:17 devtype
    lrwxrwxrwx.  1 root root    0 Apr 28 18:17 driver ->  ../../../../bus/ccw/drivers/zfcp
    -rw-r--r--.  1 root root 4096 Apr 28 18:17 failed
    -r--r--r--.  1 root root 4096 Apr 28 18:19 hardware_version
    drwxr-xr-x. 35 root root    0 Apr 28 18:17 host0
    -r--r--r--.  1 root root 4096 Apr 28 18:17 in_recovery
    -r--r--r--.  1 root root 4096 Apr 28 18:19 lic_version
    -r--r--r--.  1 root root 4096 Apr 28 18:17 modalias
    -rw-r--r--.  1 root root 4096 Apr 28 18:17 online
    -r--r--r--.  1 root root 4096 Apr 28 18:19 peer_d_id
    -r--r--r--.  1 root root 4096 Apr 28 18:19 peer_wwnn
    -r--r--r--.  1 root root 4096 Apr 28 18:19 peer_wwpn
    --w-------.  1 root root 4096 Apr 28 18:19 port_remove
    --w-------.  1 root root 4096 Apr 28 18:19 port_rescan
    drwxr-xr-x.  2 root root    0 Apr 28 18:19 power
    -r--r--r--.  1 root root 4096 Apr 28 18:19 status
    lrwxrwxrwx.  1 root root    0 Apr 28 18:17 subsystem ->  ../../../../bus/ccw
    -rw-r--r--.  1 root root 4096 Apr 28 18:17 uevent
  4. LUN へのアクセスに使用するポート (WWPN) に FCP LUN を追加して FCP LUN をアクティベートします。
    # echo 0x4020400100000000 > /sys/bus/ccw/drivers/zfcp/0.0.fc00/0x50050763050b073d/unit_add
  5. 割り当て済みの SCSI デバイス名を見つけます。
    # lszfcp -DV
    /sys/devices/css0/0.0.0015/0.0.fc00/0x50050763050b073d/0x4020400100000000
    /sys/bus/ccw/drivers/zfcp/0.0.fc00/host0/rport-0:0-21/target0:0:21/0:0:21:1089355792

20.2.2. FCP LUN の永続的なアクティベート

上記では、実行中のシステムで FCP LUN を動的にアクティベートする手順を説明しています。しかし、そのような変更は永続的ではなく再起動後には維持されません。Linux システムにおいて FCP 設定の変更を永続化する方法は、FCP LUN がルートファイルシステムに属しているかどうかによって異なります。root ファイルシステムに必要なものは、ブートプロセスの初期段階で initramfs でアクティベートして、root ファイルシステムをマウントできるようにする必要があります。cio_ignore コマンドは、永続的なデバイス設定に対して透過的に処理されるため、無視リストからデバイスを手動で解放する必要はありません。
20.2.2.1. ルートファイルシステムの一部である FCP LUN
ルートファイルシステムの一部である FCP LUN を追加するために必要な唯一のファイルは、/etc/zipl.conf の後に zipl ブートローダーツールを実行します。initramfs を再作成する必要はありません。
Red Hat Enterprise Linux には、起動プロセスの早い段階で FCP LUN をアクティブにするパラメーターである rd.zfcp= があります。この値は、デバイスバス ID を含むコンマ区切りのリスト、0x で始まる 16 桁の 16 進数の WWPN、および 0x で始まり 16 桁の 16 桁の数字の右側にゼロを入れた FCP LUN です。
次の zipl.conf の例は、LVM ボリュームグループ vg_devel1 用に 2 つの FCP LUN のパーティションにある物理ボリュームを使用するシステム用で、root ファイルシステム用の論理ボリューム lv_root が含まれています。分かりやすくするため、この例ではマルチパスなしの設定となっています。
[defaultboot]
default=linux
target=/boot/

[linux]
image=/boot/vmlinuz-2.6.32-19.el7.s390x
ramdisk=/boot/initramfs-2.6.32-19.el7.s390x.img
parameters="root=/dev/mapper/vg_devel1-lv_root
rd.zfcp=0.0.fc00,0x5105074308c212e9,0x401040a000000000
rd.zfcp=0.0.fc00,0x5105074308c212e9,0x401040a100000000
rd_LVM_LV=vg_devel1/lv_root rd_NO_LUKS rd_NO_MD rd_NO_DM LANG=en_US.UTF-8
SYSFONT=latarcyrheb-sun16 KEYTABLE=us cio_ignore=all,!condev"
デバイスバス ID が 0.0.fc00、WWPN 0x5105074308c212e9、および FCP LUN 0x401040a300000000 の 3 番目の FCP LUN のパーティションに別の物理ボリュームを追加するには、rd.zfcp=0.0.fc00,0x5105074308c212e9,0x401040a300000000zipl.conf のブートカーネルのパラメーター行に追加します。以下に例を示します。
[defaultboot]
default=linux
target=/boot/

[linux]
image=/boot/vmlinuz-2.6.32-19.el7.s390x
ramdisk=/boot/initramfs-2.6.32-19.el7.s390x.img
parameters="root=/dev/mapper/vg_devel1-lv_root
rd.zfcp=0.0.fc00,0x5105074308c212e9,0x401040a000000000
rd.zfcp=0.0.fc00,0x5105074308c212e9,0x401040a100000000
rd.zfcp=0.0.fc00,0x5105074308c212e9,0x401040a300000000
rd_LVM_LV=vg_devel1/lv_root rd_NO_LUKS rd_NO_MD rd_NO_DM LANG=en_US.UTF-8
SYSFONT=latarcyrheb-sun16 KEYTABLE=us cio_ignore=all,!condev"
警告
/etc/zipl.conf のカーネルコマンドラインの長さが 896 バイトを超えないようにしてください。これを超えてしまうとブートローダーを保存できず、インストールに失敗します。
zipl を実行して、次回の IPL に /etc/zipl.conf の変更を適用します。
# zipl -V
Using config file '/etc/zipl.conf'
Target device information
Device..........................: 08:00
Partition.......................: 08:01
Device name.....................: sda
Device driver name..............: sd
Type............................: disk partition
Disk layout.....................: SCSI disk layout
Geometry - start................: 2048
File system block size..........: 4096
Physical block size.............: 512
Device size in physical blocks..: 10074112
Building bootmap in '/boot/'
Building menu 'rh-automatic-menu'
Adding #1: IPL section 'linux' (default)
kernel image......: /boot/vmlinuz-2.6.32-19.el7.s390x
kernel parmline...: 'root=/dev/mapper/vg_devel1-lv_root rd.zfcp=0.0.fc00,0x5105074308c212e9,0x401040a000000000 rd.zfcp=0.0.fc00,0x5105074308c212e9,0x401040a100000000 rd.zfcp=0.0.fc00,0x5105074308c212e9,0x401040a300000000 rd_LVM_LV=vg_devel1/lv_root rd_NO_LUKS rd_NO_MD rd_NO_DM LANG=en_US.UTF-8 SYSFONT=latarcyrheb-sun16 KEYTABLE=us cio_ignore=all,!condev'
initial ramdisk...: /boot/initramfs-2.6.32-19.el7.s390x.img
component address:
kernel image....: 0x00010000-0x007a21ff
parmline........: 0x00001000-0x000011ff
initial ramdisk.: 0x02000000-0x028f63ff
internal loader.: 0x0000a000-0x0000a3ff
Preparing boot device: sda.
Detected SCSI PCBIOS disk layout.
Writing SCSI master boot record.
Syncing disks...
Done.
20.2.2.2. ルートファイルシステムの一部ではない FCP LUN
データディスクなど、root ファイルシステムの一部ではない FCP LUN は、/etc/zfcp.conf ファイルで永続的に設定されます。このファイルの各行には FCP LUN が含まれています。各行には、FCP アダプターのデバイスバス ID、0x で始まる 16 桁の 16 桁の数字の WWPN、および 0x で始まり 16 桁の 16 桁の数字の右側にゼロが付く FCP LUN が、スペースまたはタブで区切られます。FCP アダプターがシステムに追加されると、/etc/zfcp.conf 内のエントリーが udev によってアクティベートされ、設定されます。起動時に、システムに表示される FCP アダプターがすべて追加され、udev がトリガーされます。
/etc/zfcp.conf のコンテンツの例:
0.0.fc00 0x5105074308c212e9 0x401040a000000000
0.0.fc00 0x5105074308c212e9 0x401040a100000000
0.0.fc00 0x5105074308c212e9 0x401040a300000000
0.0.fcd0 0x5105074308c2aee9 0x401040a000000000
0.0.fcd0 0x5105074308c2aee9 0x401040a100000000
0.0.fcd0 0x5105074308c2aee9 0x401040a300000000
/etc/zfcp.conf の変更は、システムの再起動後か、システムの I/O 設定を変更して新規の FCP チャネルを動的に追加(たとえば、チャネルが z/VM の下に接続)された後にのみ有効になります。または、/etc/zfcp.conf で、アクティブでなかった FCP アダプター用に、以下のコマンドを実行して、新しいエントリーをアクティベートできます。
  1. cio_ignore ユーティリティーを使用して、無視するデバイスの一覧から FCP アダプターを削除し、Linux から見えるようにします。
    # cio_ignore -r device_number
    device_number は、FCP アダプターのデバイス番号に置き換えます。以下に例を示します。
    # cio_ignore -r fcfc
  2. 次に変更をアクティベートする uevent を開始します。
    # echo add > /sys/bus/ccw/devices/device-bus-ID/uevent
    以下に例を示します。
    # echo add > /sys/bus/ccw/devices/0.0.fcfc/uevent

20.3. ネットワークデバイスの追加

ネットワークデバイスドライバーモジュールは、udev により自動的に読み込まれます。
ネットワークインターフェイスは、動的または永続的に IBM Z 上で追加できます。
  • 動的に追加する方法
    1. デバイスドライバーを読み込みます。
    2. 無視するデバイスの一覧からネットワークデバイスを削除します。
    3. グループデバイスを作成します。
    4. デバイスを設定します。
    5. デバイスをオンラインに設定します。
  • 永続的に追加する方法
    1. 設定スクリプトを作成します。
    2. インターフェイスをアクティベートします。
以下のセクションでは、各 IBM Z ネットワークデバイスドライバーのタスクごとに基本情報を説明します。「qeth デバイスの追加」 では、qeth デバイスを Red Hat Enterprise Linux の既存のインスタンスに追加する方法を説明しています。「LCS デバイスの追加」 では、lcs デバイスを Red Hat Enterprise Linux の既存のインスタンスに追加する方法を説明しています。

20.3.1. qeth デバイスの追加

qeth ネットワークデバイスドライバーは、IBM Z の OSA-Express 機能を QDIO モード、HiperSockets、z/VM ゲスト LAN、および z/VM VSWITCH でサポートします。
qeth デバイスドライバーは、イーサネットおよび Hipersockets デバイスに同じインターフェイス名( enccwbus_ID )を割り当てます。バス ID は、チャネルサブシステム ID、サブチャンネルセット ID、およびデバイス番号(例: enccw0.0.0a00 )で設定されています。
20.3.1.1. qeth デバイスの動的な追加
qeth デバイスを動的に追加するには、以下の手順に従います。
  1. qeth デバイスドライバーモジュールが読み込まれているかどうかを確認します。以下の例は、ロードされた qeth モジュールを示しています。
    # lsmod | grep qeth
    											qeth_l3                  127056  9
    											qeth_l2                   73008  3
    											ipv6                  492872  155ip6t_REJECT,nf_conntrack_ipv6,qeth_l3
    											qeth                  115808  2 qeth_l3,qeth_l2
    											qdio                   68240  1 qeth
    											ccwgroup               12112  2 qeth
    lsmod コマンドの出力で qeth モジュールが読み込まれていないことを示す場合は、modprobe コマンドを実行してそれらを読み込みます。
    # modprobe qeth
  2. cio_ignore ユーティリティーを使用して無視するデバイスの一覧からネットワークチャネルを削除し、Linux から見えるようにします。
    # cio_ignore -r read_device_bus_id,write_device_bus_id,data_device_bus_id
    read_device_bus_idwrite_device_bus_iddata_device_bus_id は、ネットワークデバイスを表す 3 つのデバイスバス ID で置き換えます。たとえば、read_device_bus_id0.0.f500 の場合、write_device_bus_id0.0.f501 で、data_device_bus_id0.0.f502 になります。
    # cio_ignore -r 0.0.f500,0.0.f501,0.0.f502
  3. znetconf ユーティリティーを使用して、ネットワークデバイスの候補設定を識別し、一覧表示します。
    # znetconf -u
    Scanning for network devices...
    Device IDs                 Type    Card Type      CHPID Drv.
    ------------------------------------------------------------
    0.0.f500,0.0.f501,0.0.f502 1731/01 OSA (QDIO)        00 qeth
    0.0.f503,0.0.f504,0.0.f505 1731/01 OSA (QDIO)        01 qeth
    0.0.0400,0.0.0401,0.0.0402 1731/05 HiperSockets      02 qeth
  4. 使用する設定を選択し、znetconf を使用して設定を適用し、設定したグループデバイスをネットワークデバイスとしてオンラインにします。
    # znetconf -a f500
    Scanning for network devices...
    Successfully configured device 0.0.f500 (enccw0.0.f500)
  5. 必要に応じて、オンラインに設定する前に、グループデバイスに設定されている引数を渡すこともできます。
    # znetconf -a f500 -o portname=myname
    Scanning for network devices...
    Successfully configured device 0.0.f500 (enccw0.0.f500)
    これで、enccw0.0.f500 ネットワークインターフェイスの設定を継続できます。
または、sysfs 属性を使用して、以下のようにデバイスをオンラインに設定できます。
  1. qeth グループデバイスを作成します。
    # echo read_device_bus_id,write_device_bus_id,data_device_bus_id > /sys/bus/ccwgroup/drivers/qeth/group
    以下に例を示します。
    # echo 0.0.f500,0.0.f501,0.0.f502 > /sys/bus/ccwgroup/drivers/qeth/group
  2. 次に、読み込みチャネルを探して、qeth グループデバイスが正しく作成されていることを確認します。
    # ls /sys/bus/ccwgroup/drivers/qeth/0.0.f500
    必要なシステムや機能を設定する方法により、オプションで追加のパラメーターや機能を設定できます。以下に例を示します。
    • portno
    • layer2
    • portname
  3. オンライン sysfs 属性に 1 を書き込んでデバイスをオンラインにします。
    # echo 1 > /sys/bus/ccwgroup/drivers/qeth/0.0.f500/online
  4. 次に、デバイスの状態を確認します。
    # cat /sys/bus/ccwgroup/drivers/qeth/0.0.f500/online
    											1
    戻り値が 1 の場合は、デバイスがオンラインであることを示します。戻り値 0 はデバイスがオフラインであることを示します。
  5. デバイスに割り当てられたインターフェイス名を見つけます。
    # cat /sys/bus/ccwgroup/drivers/qeth/0.0.f500/if_name
    enccw0.0.f500
    これで、enccw0.0.f500 ネットワークインターフェイスの設定を継続できます。
    s390utils パッケージの以下のコマンドは、qeth デバイスの最も重要な設定を表示します。
    # lsqeth enccw0.0.f500
    Device name                     : enccw0.0.f500
    -------------------------------------------------
    card_type               : OSD_1000
    cdev0                   : 0.0.f500
    cdev1                   : 0.0.f501
    cdev2                   : 0.0.f502
    chpid                   : 76
    online                  : 1
    portname                : OSAPORT
    portno                  : 0
    state                   : UP (LAN ONLINE)
    priority_queueing       : always queue 0
    buffer_count            : 16
    layer2                  : 1
    isolation               : none
20.3.1.2. qeth デバイスの動的な削除
qeth デバイスを削除するには、znetconf ユーティリティーを使用します。以下に例を示します。
  1. znetconf ユーティリティーを使用して、設定されたすべてのネットワークデバイスを表示します。
    # znetconf -c
    Device IDs                 Type    Card Type      CHPID Drv. Name        	State
    --------------------------------------------------------------------------------------
    0.0.8036,0.0.8037,0.0.8038 1731/05 HiperSockets      FB qeth hsi1        	online
    0.0.f5f0,0.0.f5f1,0.0.f5f2 1731/01 OSD_1000          76 qeth enccw0.0.09a0      online
    0.0.f500,0.0.f501,0.0.f502 1731/01 GuestLAN QDIO     00 qeth enccw0.0.f500      online
  2. 削除するネットワークデバイスを選択し、znetconf を実行してデバイスをオフラインに設定し、ccw> グループデバイスのグループ化を解除します。
    # znetconf -r f500
    Remove network device 0.0.f500 (0.0.f500,0.0.f501,0.0.f502)?
    Warning: this may affect network connectivity!
    Do you want to continue (y/n)?y
    Successfully removed device 0.0.f500 (enccw0.0.f500)
  3. 削除の完了を確認します。
    # znetconf -c
    Device IDs                 Type    Card Type      CHPID Drv. Name        	State
    --------------------------------------------------------------------------------------
    0.0.8036,0.0.8037,0.0.8038 1731/05 HiperSockets      FB qeth hsi1        	online
    0.0.f5f0,0.0.f5f1,0.0.f5f2 1731/01 OSD_1000          76 qeth enccw0.0.09a0      online
20.3.1.3. qeth デバイスの永続的な追加
新しい qeth デバイスを永続化するには、新しいインターフェイス用の設定ファイルを作成する必要があります。ネットワークインターフェイス設定ファイルは /etc/sysconfig/network-scripts/ ディレクトリーに配置されます。
ネットワーク設定ファイルは、命名規則の ifcfg-device を使用します。device は、先に作成した qeth グループデバイスの if_name ファイルで見つかった値(例: enccw0.0.09a0 )です。cio_ignore コマンドは、永続的なデバイス設定に対して透過的に処理されるため、無視リストからデバイスを手動で解放する必要はありません。
同じタイプの別のデバイスの設定ファイルがすでにある場合は、それを新しい名前にコピーしてから編集するのが一番簡単な方法です。
# cd /etc/sysconfig/network-scripts
# cp ifcfg-enccw0.0.09a0 ifcfg-enccw0.0.0600
ネットワークデバイスの ID を確認するには、lsqeth ユーティリティーを使用します。
# lsqeth -p
devices                    CHPID interface        cardtype       port chksum prio-q'ing rtr4 rtr6 lay'2 cnt
-------------------------- ----- ---------------- -------------- ---- ------ ---------- ---- ---- ----- -----
0.0.09a0/0.0.09a1/0.0.09a2 x00   enccw0.0.09a0    Virt.NIC QDIO  0    sw     always_q_2 n/a  n/a  1     64
0.0.0600/0.0.0601/0.0.0602 x00   enccw0.0.0600    Virt.NIC QDIO  0    sw     always_q_2 n/a  n/a  1     64
同様のデバイスをこれまでに定義していない場合は、新規のファイルを作成する必要があります。以下の /etc/sysconfig/network-scripts/ifcfg-0.0.09a0 の例をテンプレートとして使用します。
# IBM QETH
DEVICE=enccw0.0.09a0
BOOTPROTO=static
IPADDR=10.12.20.136
NETMASK=255.255.255.0
ONBOOT=yes
NETTYPE=qeth
SUBCHANNELS=0.0.09a0,0.0.09a1,0.0.09a2
PORTNAME=OSAPORT
OPTIONS='layer2=1 portno=0'
MACADDR=02:00:00:23:65:1a
TYPE=Ethernet
新しい ifcfg-0.0.0600 ファイルを以下のように編集します。
  1. DEVICE ステートメントを変更して、ccw グループの if_name ファイルの内容を反映します。
  2. IPADDR ステートメントを変更して、新しいインターフェイスの IP アドレスを反映させます。
  3. 必要に応じて NETMASK ステートメントを変更します。
  4. 起動時に新しいインターフェイスをアクティブにする場合は、ONBOOTyes に設定されていることを確認します。
  5. SUBCHANNELS ステートメントが qeth デバイスのハードウェアアドレスと一致していることを確認します。ID は小文字で指定する必要があることに注意してください。
  6. PORTNAME ステートメントを修正するか、お使いの環境で必要でない場合は除外します。
  7. OPTIONS パラメーターに、有効な sysfs 属性とその値を追加できます。現在、Red Hat Enterprise Linux インストールプログラムでは、これを使用してレイヤーモード(layer2)と qeth デバイスの関連ポート番号(portno)を設定します。
    OSA デバイス用の qeth デバイスドライバーのデフォルトがレイヤー 2 モードになりました。以前のデフォルトであるレイヤー 3 モードに依存する旧式の ifcfg 定義を引き続き使用するには、layer2=0 を OPTIONS パラメーターに追加します。
/etc/sysconfig/network-scripts/ifcfg-0.0.0600
# IBM QETH
DEVICE=enccw0.0.0600
BOOTPROTO=static
IPADDR=192.168.70.87
NETMASK=255.255.255.0
ONBOOT=yes
NETTYPE=qeth
SUBCHANNELS=0.0.0600,0.0.0601,0.0.0602
PORTNAME=OSAPORT
OPTIONS='layer2=1 portno=0'
MACADDR=02:00:00:b3:84:ef
TYPE=Ethernet
ifcfg ファイルへの変更は、システムの再起動後か、システムの I/O 設定を変更(z/VM 下で接続など)を変更することで、新しいネットワークデバイスチャネルの動的な追加後にのみ有効になります。または、以前はアクティブになっていなかったネットワークチャネルに対して、以下のコマンドを実行して ifcfg ファイルのアクティベーションを開始できます。
  1. cio_ignore ユーティリティーを使用して無視するデバイスの一覧からネットワークチャネルを削除し、Linux から見えるようにします。
    # cio_ignore -r read_device_bus_id,write_device_bus_id,data_device_bus_id
    read_device_bus_idwrite_device_bus_iddata_device_bus_id は、ネットワークデバイスを表す 3 つのデバイスバス ID で置き換えます。たとえば、read_device_bus_id0.0.0600 の場合、write_device_bus_id0.0.0601 で、data_device_bus_id0.0.0602 になります。
    #  cio_ignore -r 0.0.0600,0.0.0601,0.0.0602
  2. 次に変更をアクティベートする uevent を開始します。
    # echo add > /sys/bus/ccw/devices/read-channel/uevent
    以下に例を示します。
    # echo add > /sys/bus/ccw/devices/0.0.0600/uevent
  3. ネットワークデバイスのステータスを確認します。
    # lsqeth
  4. ここで新しいインターフェイスを開始します。
    # ifup enccw0.0.0600
  5. インターフェイスのステータスを確認します。
    # ip addr show enccw0.0.0600
    3: enccw0.0.0600:  <BROADCAST,MULTICAST,UP,LOWER_UP> mtu 1500 qdisc pfifo_fast state UP group default qlen 1000
    link/ether 3c:97:0e:51:38:17 brd ff:ff:ff:ff:ff:ff
    inet 10.85.1.245/24 brd 10.34.3.255 scope global dynamic enccw0.0.0600
    valid_lft 81487sec preferred_lft 81487sec
    inet6 1574:12:5:1185:3e97:eff:fe51:3817/64 scope global noprefixroute dynamic
    valid_lft 2591994sec preferred_lft 604794sec
    inet6 fe45::a455:eff:d078:3847/64 scope link
    valid_lft forever preferred_lft forever
  6. 新しいインターフェイスのルーティングを確認します。
    # ip route
    default via 10.85.1.245 dev enccw0.0.0600  proto static  metric 1024
    12.34.4.95/24 dev enp0s25  proto kernel  scope link  src 12.34.4.201
    12.38.4.128 via 12.38.19.254 dev enp0s25  proto dhcp  metric 1
    192.168.122.0/24 dev virbr0  proto kernel  scope link  src 192.168.122.1
  7. ping ユーティリティーを使用して、ゲートウェイまたは新しいデバイスのサブネットにある別のホストに ping して、変更を確認します。
    # ping -c 1 192.168.70.8
    PING 192.168.70.8 (192.168.70.8) 56(84) bytes of data.
    64 bytes from 192.168.70.8: icmp_seq=0 ttl=63 time=8.07 ms
  8. デフォルトのルート情報が変更された場合は、それに応じて /etc/sysconfig/network も更新する必要があります。

20.3.2. LCS デバイスの追加

LCS (LAN チャネルステーション) のデバイスドライバーは、OSA-Express2 と OSA-Express 3 機能で 1000Base-T Ethernet をサポートします。
LCS デバイスドライバーは、OSA-Express Fast イーサネットおよびギガビットイーサネットデバイスに次のインターフェイス名( enccwbus_ID )を割り当てます。バス ID は、チャネルサブシステム ID、サブチャンネルセット ID、およびデバイス番号(例: enccw0.0.0a00 )で設定されています。
20.3.2.1. LCS デバイスの動的な追加
  1. デバイスドライバーを読み込みます。
    # modprobe lcs
  2. cio_ignore ユーティリティーを使用して無視するデバイスの一覧からネットワークチャネルを削除し、Linux から見えるようにします。
    # cio_ignore -r read_device_bus_id,write_device_bus_id
    read_device_bus_idwrite_device_bus_id は、ネットワークデバイスを表す 2 つのデバイス ID で置き換えます。以下に例を示します。
    # cio_ignore -r 0.0.09a0,0.0.09a1
  3. グループデバイスを作成します。
    # echo read_device_bus_id,write_device_bus_id > /sys/bus/ccwgroup/drivers/lcs/group
  4. デバイスを設定します。OSA カードは、CHPID 1 つにつき最大 16 ポートまで提供できます。デフォルトでは、LCS グループデバイスはポート 0 を使用します。別のポートを使うには、次のようなコマンドを実行します。
    # echo portno > /sys/bus/ccwgroup/drivers/lcs/device_bus_id/portno
    portno には使用するポート番号を入力します。
  5. デバイスをオンラインに設定します。
    # echo 1 > /sys/bus/ccwgroup/drivers/lcs/read_device_bus_id/online
  6. 割り当て済みのネットワークデバイス名を確認するには、以下のコマンドを入力します。
    # ls -l /sys/bus/ccwgroup/drivers/lcs/read_device_bus_ID/net/
    drwxr-xr-x 4 root root 0 2010-04-22 16:54 enccw0.0.0600
20.3.2.2. LCS デバイスの永続的な追加
cio_ignore コマンドは、永続的なデバイス設定に対して透過的に処理されるため、無視リストからデバイスを手動で解放する必要はありません。
LCS デバイスを永続的に追加するには、以下の手順に従います。
  1. /etc/sysconfig/network-scripts/ に、ifcfg- device などの名前で設定スクリプトを作成します。device は、先に作成した qeth グループデバイスの if_name ファイルで見つかった値です(例: enccw0.0.09a0 )。このファイルは以下のようになります。
    # IBM LCS
    DEVICE=enccw0.0.09a0
    BOOTPROTO=static
    IPADDR=10.12.20.136
    NETMASK=255.255.255.0
    ONBOOT=yes
    NETTYPE=lcs
    SUBCHANNELS=0.0.09a0,0.0.09a1
    PORTNAME=0
    OPTIONS=''
    TYPE=Ethernet
  2. PORTNAME の値を変更して、使用する LCS ポート番号(portno)を反映します。任意の OPTIONS パラメーターに、有効な lcs sysfs 属性とその値を追加できます。この構文については、「qeth デバイスの永続的な追加」 を参照してください。
  3. DEVICE パラメーターを以下のように設定します。
    DEVICE=enccwbus_ID
  4. ifup コマンドを実行して、デバイスをアクティベートします。
    # ifup enccwbus_ID
ifcfg ファイルへの変更は、システムの再起動後にのみ有効になります。以下のコマンドを実行して、ネットワークチャネル用の ifcfg ファイルのアクティベーションを開始できます。
  1. cio_ignore ユーティリティーを使用して、無視するデバイスの一覧から LCS デバイスアダプターを削除し、Linux から見えるようにします。
    # cio_ignore -r read_device_bus_id,write_device_bus_id
    read_device_bus_idwrite_device_bus_id は、LCS デバイスのデバイス ID で置き換えます。以下に例を示します。
    # cio_ignore -r 0.0.09a0,0.0.09a1
  2. 次に変更をアクティベートする uevent を開始します。
    # echo add > /sys/bus/ccw/devices/read-channel/uevent
    以下に例を示します。
    # echo add > /sys/bus/ccw/devices/0.0.09a0/uevent

20.3.3. ネットワークルートファイルシステム用の IBM Z ネットワークデバイスの設定

root ファイルシステムへのアクセスに必要なネットワークデバイスを追加するには、起動オプションの変更だけが必要です。起動オプションは、パラメーターファイル( 21章IBM Z でのパラメーターと設定ファイルを参照)か、zipl ブートローダーが準備した DASD または FCP 接続の SCSI LUN の zipl.conf の一部に置くことができます。initramfs を再作成する必要はありません。
Dracut は、initrd に代わる initramfs で機能を提供する mkinitrd の後継であり、起動プロセスの早い段階で IBM Z 上のネットワークデバイスをアクティベートするための起動パラメーター rd.znet= を提供します。
このパラメーターは入力として、NETTYPE (qeth、lcs、ctc)、2 つ(lcs、ctc)または 3 つ(qeth)デバイスバス ID と、ネットワークデバイス sysfs 属性に対応するキーと値のペアで設定される任意の追加パラメーターを取ります。このパラメーターは、IBM Z のネットワークハードウェアを設定し、アクティベートします。IP アドレスとその他のネットワーク仕様の設定は、他のプラットフォームと同様に機能します。詳細は dracut のドキュメントを参照してください。
ネットワークチャネルの cio_ignore コマンドは、起動時に透過的に処理されます。
NFS 経由のネットワークでアクセスした root ファイルシステムの起動オプションの例:
root=10.16.105.196:/nfs/nfs_root cio_ignore=all,!condev rd.znet=qeth,0.0.0a00,0.0.0a01,0.0.0a02,layer2=1,portno=0,portname=OSAPORT ip=10.16.105.197:10.16.105.196:10.16.111.254:255.255.248.0:nfs‑server.subdomain.domain:enccw0.0.09a0:none rd_NO_LUKS rd_NO_LVM rd_NO_MD rd_NO_DM LANG=en_US.UTF-8 SYSFONT=latarcyrheb-sun16 KEYTABLE=us

第21章 IBM Z でのパラメーターと設定ファイル

IBM Z アーキテクチャーでは、カスタマイズされたパラメーターファイルを使用して、カーネルとインストールプログラムに起動パラメーターを渡すことができます。このセクションでは、このパラメーターファイルの内容について説明します。
本セクションは、配布されているパラメーターファイルを変更する場合にのみお読みください。次を行う場合は、パラメーターを変更する必要があります。
  • キックスタートによる無人インストール
  • レスキューモードなど、インストールプログラムの対話式ユーザーインターフェイスからはアクセスできないデフォルト以外のインストール設定の選択。
パラメーターファイルは、インストールプログラム(ローダーおよび Anaconda)の起動前に、非対話式にネットワークを設定するために使用できます。
カーネルパラメーターファイルは、895 文字に行末文字を加えた長さに制限されています。パラメーターファイルには、可変長または固定長のレコードフォーマットのいずれかが使用されます。固定長レコードフォーマットは、レコードの長さまで各行を追加してファイルサイズを増やします。インストールプログラムが LPAR 環境内のすべての指定パラメーターを認識しないという問題が生じた場合は、すべてのパラメーターを 1 行に収めるか、各行を空白文字で開始および終了することを試してください。
パラメーターファイルには、ro などのカーネルパラメーターと、vncpassword=testvnc などのインストールプロセスのパラメーターが含まれます。

21.1. 必須パラメーター

以下のパラメーターは必須となるので、パラメーターファイル内に必ず含めてください。また、インストール DVD の images/ ディレクトリーの generic.prm ファイルでも提供されます。
ro
RAM ディスクであり、読み取り専用であるルートファイルシステムをマウントします。
ramdisk_size=size
RAM ディスク用に予約されているメモリーサイズは、Red Hat Enterprise Linux インストールプログラムを格納できるように変更してください。たとえば、ramdisk_size=40000 です。
generic.prm ファイルには、追加のパラメーター cio_ignore=all,!condev も含まれます。この設定は、デバイスが多いシステムで、起動とデバイス検出を高速化します。インストールプログラムは、無視されるデバイスのアクティベーションを透過的に処理します。
重要
スタック全体で cio_ignore サポートが実装されていないことに起因するインストールの問題を回避するには、cio_ignore= パラメーターの値をシステムに調整するか、インストールプログラムのブート(IPL)に使用されるパラメーターファイルからパラメーターを完全に削除します。

21.2. z/VM 設定ファイル

以下は、z/VM 環境でのインストールにのみ適用されます。z/VM では、CMS でフォーマットしたディスクの設定ファイルを使用できます。CMS 設定ファイルの目的は、パラメーターファイル内の領域を節約することにあります。これは、初期ネットワーク設定や、DASD および FCP 仕様を設定するパラメーターをパラメーターファイルから移動することによって実行されます (「インストール用ネットワークパラメーター」 を参照)。
CMS 設定ファイルの各行には、変数とそれに関連する値が、次のシェルスタイルの構文( variable=value )に含まれています。
パラメーターファイルには CMSDASD パラメーターおよび CMSCONFFILE パラメーターも追加する必要があります。このパラメーターは、設定ファイルの場所をインストールプログラムに指定します。
CMSDASD=cmsdasd_address
cmsdasd_address には設定ファイルを格納している CMS フォーマット済みディスクのデバイス番号を入れます。これは通常 CMS ユーザーの A ディスクです。
たとえば、CMSDASD=191です。
CMSCONFFILE=configuration_file
configuration_file は設定ファイル名に置き換えます。この値は小文字で指定してください。CMS_file_name. CMS_file_typeの Linux ファイル名 形式で指定します。
CMS ファイルの REDHAT CONFredhat.conf として指定されます。CMS のファイル名およびファイルタイプは、それぞれ CMS 規則に従い 1 文字から 8 文字の長さにします。
たとえば、CMSCONFFILE=redhat.confです。

21.3. インストール用ネットワークパラメーター

以下のパラメーターは準備段階のネットワークを自動的に設定するために使用され、CMS 設定ファイル内で定義できます。このセクションで説明するパラメーターは、CMS 設定ファイルでも使用できるパラメーターのみに限定されます。その他のセクションで扱われるその他のパラメーターはすべて、パラメーターファイル内で指定する必要があります。
NETTYPE="type"
typeqethlcsctc のいずれかでなければなりません。デフォルトは qeth です。
以下の lcs を選択します。
  • OSA-2 イーサネット/トークンリング
  • 非 QDIO モードの OSA-Express Fast イーサネット
  • 非 QDIO モードの OSA-Express High Speed トークンリング
  • 非 QDIO モードの Gigabit イーサネット
以下で qeth を選択します。
  • OSA-Express Fast イーサネット
  • Gigabit イーサネット (1000Base-T を含む)
  • High Speed トークンリング
  • HiperSockets
  • ATM (イーサネット LAN エミュレーションを実行)
SUBCHANNELS="device_bus_IDs"
ここでは、device_bus_IDs は 2 つまたは 3 つのデバイスバス ID のコンマ区切りの一覧です。ID は小文字で指定する必要があります。
各ネットワークインターフェイスに、それぞれ必要なデバイスバス ID を入力します。
qeth: SUBCHANNELS="read_device_bus_id,write_device_bus_id,data_device_bus_id"
lcs or ctc: SUBCHANNELS="read_device_bus_id,write_device_bus_id"
以下に例を示します (qeth SUBCHANNEL ステートメントの場合)。
SUBCHANNELS="0.0.f5f0,0.0.f5f1,0.0.f5f2"
PORTNAME="osa_portname" , PORTNAME="lcs_portnumber"
この変数は、qdio モードまたは非 qdio モードで動作する OSA デバイスに対応します。
qdio モード(NETTYPE="qeth")を使用する場合、qeth モードで動作している OSA デバイスで指定したポート名は osa_portname です。
非 qdio モード(NETTYPE="lcs")を使用する場合、lcs_portnumber を使用して、0 から 15 の範囲の 10 進数の整数として相対ポート番号を渡します。
PORTNO="portnumber"
CMS 設定ファイルに PORTNO=" 0" (ポート 0 を使用)または PORTNO="1" (CHPID あたり 2 つのポートを持つ OSA 機能のポート 1 を使用)のいずれかを追加して、モードの入力を求められないようにします。
LAYER2="value"
value0 または 1 です。
レイヤー 3 モード(NETTYPE ="qeth")で OSA または HiperSockets デバイスを操作するには、LAYER2 ="0"を使用します。レイヤー 2 モードに は LAYER2=" 1" を使用します。z/VM 環境の仮想ネットワークデバイスの場合、この設定はデバイスを接続する GuestLAN または VSWITCH の定義と同じにしてください。
DHCP などのレイヤー 2 (Data Link Layer またはその MAC サブレイヤー) で動作するネットワークサービスを使用する場合は、レイヤー 2 モードを選択することが推奨されます。
OSA デバイス用の qeth デバイスドライバーのデフォルトがレイヤー 2 モードになります。以前のデフォルトであるレイヤー 3 モードを引き続き使用するには、LAYER2="0 " を明示的に設定します。
VSWITCH="value"
value0 または 1 です。
z/VM VSWITCH または GuestLAN に接続する場合は VSWITCH="1" を指定します。実際の OSA または実際の HiperSocket を直接アタッチする場合は、VSWITCH="0 " (またはまったくない)を指定します。
MACADDR="MAC_address"
LAYER2="1"VSWITCH="0 " を指定すると、オプションでこのパラメーターを使用して MAC アドレスを指定できます。Linux には、小文字の 16 進数のペアとしてコロンで区切られた octet が必要です(例: MACADDR=62:a3:18:e7:bc:5f )。z/VM で使用される表記とは異なります。
LAYER2="1"VSWITCH="1 " を指定すると、レイヤー 2 モードで、z/VM が固有の MAC アドレスを仮想ネットワークデバイスに割り当てるため、MACADDR は指定しないでください。
CTCPROT="value"
value は、01、または 3 です。
NETTYPE="ctc" の CTC プロトコルを指定します。デフォルトは 0 です。
HOSTNAME="string"
string は新たにインストールした Linux インスタンスのホスト名で置き換えます。
IPADDR="IP"
IP は新しい Linux インスタンスの IP アドレスを入力します。
NETMASK="netmask"
netmask はネットマスクです。
IPv4 CIDR (クラスレス相互ドメインルーティング) で規定されているようにネットマスクでは接頭辞の整数 (1 から 32) の構文に対応しています。たとえば、255.255.255.0 の代わりに 24 を指定したり、255.255. 240.0 の代わりに 20 を指定でき ます。
GATEWAY="gw"
gw はこのネットワークデバイスのゲートウェイ IP アドレスを入力します。
MTU="mtu"
mtu はこのネットワークデバイスの Maximum Transmission Unit (MTU) を入力します。
DNS="server1:server2:additional_server_terms:serverN"
"server1:server2:additional_server_terms:serverN" はコロンで区切った DNS サーバーの一覧です。以下に例を示します。
DNS="10.1.2.3:10.3.2.1"
SEARCHDNS="domain1:domain2:additional_dns_terms:domainN"
"domain1:domain2:additional_dns_terms:domainN" はコロンで区切った検索ドメインの一覧です。以下に例を示します。
SEARCHDNS="subdomain.domain:domain"
SEARCHDNS= は、DNS= パラメーターを指定する場合にのみ必要です。
DASD=
DASD または DASD の範囲を定義して、インストールを設定します。
インストールプログラムは、オプション属性である rodiagerplog、および failfast を持つ、コンマ区切りのデバイスバス ID の一覧、またはデバイスバス ID の範囲の一覧をサポートします。必要に応じて、デバイス番号で先行するゼロを除くことでデバイスバス ID を短縮できます。いずれのオプション属性も、コロンで区切り、括弧で囲む必要があります。オプションの属性は、デバイスバス ID、またはデバイスバス ID の範囲の後に続きます。
サポートされている唯一のグローバルオプションは autodetect です。ここでは、存在しない DASD の仕様をサポートして、後で追加する DASD 用にカーネルデバイス名を確保するということは行いません。永続的な DASD デバイス名(例: /dev/disk/by-path/...)を使用して、後で透過的なディスクを追加できるようにします。probeonlynopav または nofcx などの他のグローバルオプションは、インストールプログラムではサポートしていません。
システムには、実際にインストールする必要のある DASD のみを指定します。ここで指定してある未フォーマットの DASD はすべて、後でインストールプログラム内で確認後にフォーマットする必要があります (「DASD の低レベルフォーマット」を参照)。「ルートファイルシステムの一部ではない DASD」 の説明に従って、インストール後に root ファイルシステムまたは /boot パーティションに必要のないデータ DASD を追加します。
以下に例を示します。
DASD="eb1c,0.0.a000-0.0.a003,eb10-eb14(diag),0.0.ab1c(ro:diag)"
FCP のみの環境では、DASD が存在しないことを示すために、CMS 設定ファイルから DASD= オプションを削除します。
FCP_n="device_bus_ID WWPN FCP_LUN"
この場合、以下のとおりとなります。
  • n は通常整数値( FCP_1FCP_2など)ですが、アルファベット、数字、またはアンダースコアを含む任意の文字列にすることができます。
  • device_bus_ id は、HBA ( ホストバスアダプター)を表す FCP デバイスのデバイスバス ID を指定します(例:デバイス fc00 の場合は 0.0.fc00 )。
  • WWPN はルーティングに使用されるワールドワイドポート名で、16 桁の 16 進数の値( 0x50050763050b073dなど)になります。
  • FCP_LUN はストレージの論理ユニット識別子を指し、16 桁の 16 進数の右側にゼロを加えた値で指定します(例: 0x4020400100000000)。
この変数は、システムで、FCP デバイスとともに使用して、SCSI ディスクなどの FCP LUN をアクティベートできます。新たな FCP LUN はインストール中に対話式に、またはキックスタートファイルを介してアクティベートできます。サンプル値は以下のようになります。
FCP_1="0.0.fc00 0x50050763050b073d 0x4020400100000000"
重要
FCP パラメーターで使用される各値( FCP_1FCP_2など)はサイト固有で、通常は FCP ストレージ管理者によって提供されます。
FCP_n 以外の必須のパラメーターが、パラメーターや設定ファイル内に記載されていないと、インストールプログラムにより入力が求められます。

21.4. キックスタートを使ったインストールのパラメーター

以下のパラメーターは、パラメーターファイル内で定義できますが、CMS 設定ファイル内では機能しません。
inst.ks=URL
キックスタートファイルを参照します。これは通常、IBM Z 上の Linux インストールのネットワークにあります。URL を、キックスタートファイルのファイル名を含む完全なパスに置き換えます。このパラメーターは、キックスタートによる自動インストールを有効にします。詳細は キックスタート起動オプション および 「キックスタートを使ったインストールの開始」 を参照してください。
RUNKS=value
重要
このパラメーターは非推奨となっています。キックスタートファイル内でこれを使用すると、無視されます。IBM Z でキックスタートインストールを開始するのに必要なのは、inst.ks= パラメーターのみです。
ここでは、SSH を使用したネットワーク上でログインを必要とせずに Linux コンソール上で自動的にローダーを実行する場合、value1 と定義します。RUNKS=1 を使用するには、コンソールがフルスクリーンをサポートするか、以下の inst.cmdline オプションを使用する必要があります。後者は、z/VM 環境下の 3270 ターミナルまたは LPAR 用のオペレーティングシステムメッセージコンソールに適用されるものです。キックスタートによる完全自動インストールには、RUNKS=1 が推奨されます。RUNKS=1 が設定されている場合、インストールプログラムはパラメーターエラーの発生時に自動的に続行され、ユーザーの対話を求めるプロンプトにより無人インストールが中断されません。
パラメーターを省略するか、または RUNKS=0 を指定します。
inst.cmdline
このオプションが指定されている場合は、ラインモード端末 (z/VM 環境下の 3270 や LPAR 用のオペレーティングシステムメッセージなど) の出力が読み取り可能になります。これは、インストールプログラムが、UNIX スタイルのコンソールにのみ適用されるエスケープ端末シーケンスを無効にするためです。インストールプログラムは、cmdline モード内での対話式のユーザー入力をサポートしないため、すべての質問に回答するキックスタートファイルによるインストールが必要になります。
inst.cmdline オプションを使用する前に、キックスタートファイルに必要なパラメーターがすべて含まれていることを確認してください。必要なコマンドがないと、インストールが失敗します。詳細は 27章キックスタートを使ったインストール を参照してください。

21.5. その他のパラメーター

以下のパラメーターは、パラメーターファイル内で定義できますが、CMS 設定ファイル内では機能しません。
rd.live.check
ISO ベースのインストールソースのテストを有効にします。たとえば、FCP 接続の DVD から起動したり、ローカルハードディスク上の ISO で inst.repo= を使用したり、NFS でマウントしたりする場合などにテストします。
nompath
マルチパスデバイスのサポートを無効にします。
proxy=[protocol://][username[:password]@]host[:port]
HTTP、HTTPS、または FTP を介したインストールで使用するプロキシーを指定します。
inst.rescue
RAM ディスクからレスキューシステムを起動して、インストールされたシステムを修正または復元できます。
inst.stage2=URL
インストールソースではなく、install.img ファイルへのパスを指定します。それ以外の場合は、inst.repo= と同じ構文に従います。inst.stage2 が指定されている場合、通常は install.img を検索する他の方法よりも優先されます。ただし、Anaconda がローカルメディアで install.img を見つけると、inst.stage2 URL は無視されます。
inst.stage2 が指定されておらず、install.img がローカルで見つからない場合、Anacondainst.repo= または method= で指定された場所を検索します。
inst.repo= または method= なしで inst.stage2 = のみが指定されている場合、Anaconda は、インストール用にデフォルトで有効になっているインストール済みシステムが使用するリポジトリーを使用します。
複数の HTTP、HTTPS、または FTP ソースを指定する場合は、オプションを複数回使用します。複数の HTTP、HTTPS、または FTP のパスが指定されると、いずれかが成功するまで順番に試行されます。
inst.stage2=host1/install.img inst.stage2=host2/install.img inst.stage3=host3/install.img
inst.syslog=IP/hostname[:port]
ログメッセージをリモートの syslog サーバーに送信します。
ここで説明されているブートパラメーターは、IBM Z へのインストールとトラブルシューティングに非常に便利ですが、インストールプログラムに影響を及ぼすのはこれらのサブセットのみです。利用可能なブートパラメーターの全一覧は、23章起動オプション を参照してください。

21.6. パラメーターファイルと CMS 設定ファイルの例

パラメーターファイルを変更するには、同梱の generic.prm ファイルを拡張して開始します。
generic.prm ファイルの例:
ro ramdisk_size=40000 cio_ignore=all,!condev
CMSDASD="191" CMSCONFFILE="redhat.conf"
vnc
inst.repo=http://example.com/path/to/repository
QETH ネットワークデバイスを設定する redhat.conf ファイルの例( generic.prmCMSCONFFILE で指定)
NETTYPE="qeth"
SUBCHANNELS="0.0.0600,0.0.0601,0.0.0602"
PORTNAME="FOOBAR"
PORTNO="0"
LAYER2="1"
MACADDR="02:00:be:3a:01:f3"
HOSTNAME="foobar.systemz.example.com"
IPADDR="192.168.17.115"
NETMASK="255.255.255.0"
GATEWAY="192.168.17.254"
DNS="192.168.17.1"
SEARCHDNS="systemz.example.com:example.com"
DASD="200-203"

第22章 IBM Z に関する参考文献

22.1. IBM Z に関する出版物

IBM Z での Linux に関する資料の現行バージョンは、http://www.ibm.com/developerworks/linux/linux390/documentation_red_hat.html を参照してください。使用可能なオプションには、以下のものがあります。

Linux on System z - How to use FC-attached SCSI devices with Linux on System z9 and zSeries (Linux on System z9 および zSeries で FC 接続した SCSI デバイスの使い方). IBM . 2008. SC33-8413.

Linux on System z - How to Improve Performance with PAV (PAV でパフォーマンスを向上させる方法). IBM . 2008. SC33-8414.

z/VM - Getting Started with Linux on System z (Linux on System z スタートガイド). IBM . 2009. SC24-6194.

22.2. IBM Z に関する IBM Redbooks 資料

IBM Redbooks の資料の現行バージョンは、http://www.redbooks.ibm.com/ を参照してください。使用可能なオプションには、以下のものがあります。

入門用の出版物

Introduction to the New Mainframe: z/VM Basics (新メインフレーム入門編: z/VM Basics). IBM Redbooks . 2007. SG24-7316.

Practical Migration to Linux on System z (Linux on System z への実践的マイグレーション). IBM Redbooks . 2009. SG24-7727.

パフォーマンスおよび高可用性

Linux on IBM System z: Performance Measurement and Tuning (パフォーマンスの測定とチューニング). IBM Redbooks . 2011. SG24-6926.

Achieving High Availability on Linux for System z with Linux-HA Release 2 (Linux for System z で Linux-HA Release 2 を使用して高可用性を実現する方法). IBM Redbooks . 2009. SG24-7711.

セキュリティー

Security for Linux on System z (Linux on System z 向けセキュリティー). IBM Redbooks . 2013. SG24-7728.

ネットワーク

IBM System z Connectivity Handbook (IBM System z の接続性ハンドブック). IBM Redbooks . 2013. SG24-5444.

OSA Express Implementation Guide (OSA Express 実装ガイド). IBM Redbooks . 2009. SG24-5948.

HiperSockets Implementation Guide (HiperSockets 実装ガイド). IBM Redbooks . 2007. SG24-6816.

Fibre Channel Protocol for Linux and z/VM on IBM System z (IBM System z の Linux および z/VM 向けファイバーチャネルプロトコル). IBM Redbooks . 2007. SG24-7266.

22.3. オンラインリソース

z/VM の資料は、http://www.vm.ibm.com/library/を参照してください。 .

IBM Z I/O 接続性情報は、 http://www.ibm.com/systems/z/hardware/connectivity/index.html を参照してください。 .

IBM Z 暗号化プロセッサーの情報は、http://www.ibm.com/security/cryptocards/を参照してください。 .

IBM Z DASD ストレージ情報は、http://www-01.ibm.com/support/knowledgecenter/linuxonibm/com.ibm.linux.z.lgdd/lgdd_t_dasd_wrk.html を参照してください。 .

パート IV. 高度なインストールオプション

Red Hat Enterprise Linux インストールガイド』 のこのセクションでは、以下を含む Red Hat Enterprise Linux インストールの一般的でない高度な方法を説明しています。
  • 起動オプションを指定してインストールプログラムの動作をカスタマイズする
  • ネットワーク経由でインストールプログラムを起動できるよう PXE サーバーを設ける
  • VNC を使ってリモートアクセスでインストールする
  • キックスタートファイルを使ってインストールプロセスを自動化する
  • 物理ドライブではなくディスクイメージからインストールする
  • Red Hat Enterprise Linux の以前のリリースを現行バージョンにアップグレードする手順

第23章 起動オプション

Red Hat Enterprise Linux インストールシステムには、特定の機能を有効 (または無効) にして、インストールプログラムのデフォルトの動作を変更する、管理者用に各種起動オプションが含まれています。起動オプションを使用するには、「ブートメニューによるインストールシステムの設定」 の説明に従って、起動コマンドラインに追加します。複数のオプションを追加する場合は、それらのオプションを単一スペースで区切ってください。
本章では基本的な 2 種類のオプションタイプについて説明します。
  • 末尾に等号(=)と表示されるオプションでは、値を指定する必要があります。これらは独自に使用できません。たとえば、inst.vncpassword= オプションには値 (この場合はパスワード) も指定する必要があります。このため、正しい形式は inst.vncpassword=password です。パスワードを指定しないでオプションだけを使用した場合、このオプションは無効になります。
  • =記号なしで表示されるオプションは、値やパラメーターを受け入れません。たとえば、rd.live.check オプションでは、インストール開始前に Anaconda によりインストールメディアの検証が強制されます。このオプションが存在する場合はチェックが行われ、存在しない場合はチェックは省略されます。

23.1. ブートメニューによるインストールシステムの設定

注記
カスタムの起動オプションの設定方法は各システムのアーキテクチャーごとに異なります。アーキテクチャー固有の設定方法については次を参照してください。
ブートメニュー (インストールメディアの起動後に表示されるメニュー) で起動オプションを編集する方法はいくつかあります。
  • 起動メニューの任意の場所で Esc キーを押してアクセスされる boot: プロンプト。このプロンプトでは、まず先頭のオプションで読み込むべきインストールプログラムのイメージを指定する必要があります。ほとんどの場合、イメージは linux キーワードを使用して指定できます。必要に応じて、この文字列のあとに追加オプションを指定できます。
    このプロンプトで Tab キーを押すと、該当する場合に使用可能なコマンドの形式でヘルプが表示されます。オプションでインストールを開始するには、Enter キーを押します。boot: プロンプトからブートメニューに戻るには、コンピューターを再起動してインストールメディアから再度起動します。
  • BIOS ベースの AMD64 および Intel 64 システムの > プロンプトは、ブートメニューのエントリーを強調表示し、Tab キーを押してアクセスできます。boot: プロンプトとは異なり、このプロンプトで定義済みの起動オプションセットを編集できます。たとえば、Test this media & install Red Hat Enterprise Linux 7.5 というラベルが付いたエントリーを強調表示すると、このメニューエントリーで使用されるオプションの完全なセットがプロンプトに表示され、独自のオプションを追加できます。
    Enter を押すと、指定したオプションを使用してインストールが開始されます。編集をキャンセルして起動メニューに戻るには、いつでも Esc キーを押します。
  • GRUB2 メニュー(UEFI ベースの 64 ビット AMD、Intel、および ARM システム)。システムで UEFI を使用している場合は、エントリーを強調表示し、e キーを押して起動オプションを編集できます。編集が終了したら、F10 または Ctrl+X を押して、指定したオプションでインストールを開始します。
本章で説明するオプションに加えて、ブートプロンプトは dracut カーネルオプションも使用できます。これらのオプションの一覧は、dracut.cmdline (7) の man ページで確認できます。
注記
インストールプログラムに固有の起動オプションは、本ガイドでは常に inst. で始まります。現在、この接頭辞はオプションです。たとえば resolution=1024x768inst.resolution=1024x768 と全く同じように機能します。ただし、今後のリリースでは inst. 接頭辞が必須になることが予想されます。

インストールソースの指定

inst.repo=
インストールソースを指定します。インストールソースとは、インストールプログラムが必要なイメージやパッケージを見つけることができる場所です。以下に例を示します。
inst.repo=cdrom
値は次のいずれかになります。
  • インストール可能なツリー(インストールプログラムのイメージ、パッケージ、リポジトリーデータ、および有効な .treeinfo ファイルを含むディレクトリー構造)
  • DVD (システムの DVD ドライブにある物理的なディスク)
  • (ハードドライブ、またはインストールシステムからアクセスできるネットワークの場所) にある Red Hat Enterprise Linux のフルインストール用 DVD の ISO イメージ (インストールソースとして NFS Server を指定する必要があります)
このオプションでは、異なる形式を使用することでさまざまなインストール方法を設定することができます。以下の表に構文を示します。
表23.1 インストールソース
インストールソース オプションの形式
CD/DVD ドライブ、指定なし inst.repo=cdrom
CD/DVD ドライブ、指定あり inst.repo=cdrom:device
ハードドライブ inst.repo=hd:device:/path
HMC inst.repo=hmc
HTTP サーバー inst.repo=http://host/path
HTTPS サーバー inst.repo=https://host/path
FTP サーバー inst.repo=ftp://username:password@host/path
NFS サーバー inst.repo=nfs:[options:]server:/path [a]
[a] このオプションでは、デフォルトで NFS プロトコルのバージョン 3 が使用されます。別のバージョンを使用するには、nfsvers=Xオプション に追加し、X を、使用するバージョン番号に置き換えます。
注記
Red Hat Enterprise Linux の以前のリリースでは、NFS (nfs オプション) でアクセスできるインストール可能なツリーと、NFS ソースにある ISO イメージ (nfsiso オプション) にそれぞれ異なるオプションがありました。Red Hat Enterprise Linux 7 では、ソースがインストール可能なツリーなのか、ISO イメージを含むディレクトリーなのかインストールプログラムが自動的に検知できるので、nfsiso オプションが非推奨になりました。
ディスクデバイス名は、次の形式で指定します。
  • カーネルデバイス名(例: /dev/sda1 または sdb2
  • ファイルシステムラベル( LABEL=Flash または LABEL=RHEL7など)
  • ファイルシステムの UUID (例: UUID=8176c7bf-04ff-403a-a832-9557f94e61db
英数字以外の文字は \xNN として表す必要があります。NN は文字の 16 進数表現です。たとえば、\x20 は空白(" " )です。
inst.stage2=
読み込み対象のインストールプログラムのランタイムイメージの場所を指定します。構文は インストールソースの指定 と同じです。このオプションは、有効な .treeinfo ファイルを含むディレクトリーへのパスを想定します。ランタイムイメージの場所は、このファイルから読み取られます(見つかった場合)。.treeinfo ファイルが利用できない場合には、AnacondaLiveOS/squashfs.img からイメージを読み込もうとします。
複数の HTTP、HTTPS、または FTP ソースを指定する場合は、オプションを複数回使用します。
inst.stage2=host1/install.img inst.stage2=host2/install.img	inst.stage2=host3/install.img
注記
デフォルトでは、インストールメデイアで inst.stage2= 起動オプションが使用され、特定のラベル (たとえば inst.stage2=hd:LABEL=RHEL7\x20Server.x86_64) に設定されます。ランタイムイメージを含むファイルシステムのデフォルトラベルを修正するか、インストールシステムの起動にカスタマイズした手順を使用する場合は、このオプションを正しい値に設定する必要があります。
inst.dd=
インストール時にドライバーを更新する必要がある場合は、inst.dd= オプションを使用します。複数回の使用が可能です。ドライバーの RPM パッケージの場所は、インストールソースの指定 で詳述されている任意の形式で指定できます。inst.dd=cdrom オプション以外は、常にデバイス名を指定する必要があります。以下に例を示します。
inst.dd=/dev/sdb1
このオプションにパラメーターを付けずに使用すると (inst.dd のみ)、対話形式のメニューでドライバー更新ディスクの選択が求められます。
ドライバーディスクは、ネットワーク経由または initrd から読み込むのではなく、ハードディスクドライブまたは同様のデバイスから読み込むこともできます。以下の手順に従います。
  1. ハードディスクドライブ、USB、または同様のデバイスにドライバーディスクを読み込みます。
  2. このデバイスに対して DD などのラベルを設定します。
  3. 起動の引数として以下を指定して、
    inst.dd=hd:LABEL=DD:/dd.rpm
    インストールを開始します。
DD を具体的なラベルに、dd.rpm は具体的な名前に置き換えます。LABEL ではなく、inst.repo コマンドで対応している内容を使用して、ハードディスクドライブを指定します。
インストール時のドライバー更新についての詳細は、6章AMD64 および Intel 64 システムへのインストール中におけるドライバー更新 (AMD64 および Intel 64 システム)、および11章IBM Power Systems へのインストール中におけるドライバー更新 (IBM Power Systems サーバー) を参照してください。

キックスタート起動オプション

inst.ks=
インストールの自動化に使用するキックスタートファイルの場所を入力します。ロケーションは、inst.repo に有効ないずれかの形式で指定できます。詳細は インストールソースの指定 を参照してください。
複数の HTTP、HTTPS、または FTP ソースを指定する場合は、オプションを複数回使用します。複数の HTTP、HTTPS、または FTP の場所が指定されると、それらの場所はいずれかが成功するまで順番に試行されます。
inst.ks=host1/directory/ks.cfg inst.ks=host2/directory/ks.cfg inst.ks=host3/directory/ks.cfg
パスではなくデバイスのみを指定すると、インストールプログラムは指定したデバイスの /ks.cfg でキックスタートファイルを検索します。デバイスを指定せずにこのオプションを使用すると、インストールプログラムは次を使用します。
inst.ks=nfs:next-server:/filename
上記の例では、next-server は DHCP の next-server オプションまたは DHCP サーバーの IP アドレスで、filename は DHCP の filename オプションまたは /kickstart/ です。指定のファイル名が / 文字で終わる場合は、ip-kickstart が追加されます。以下に例を示します。
表23.2 デフォルトのキックスタートファイルの場所
DHCP サーバーのアドレス クライアントのアドレス キックスタートファイルの場所
192.168.122.1 192.168.122.100 192.168.122.1:/kickstart/192.168.122.100-kickstart
さらに、Red Hat Enterprise Linux 7.2 以降、インストーラーは OEMDRV のラベルが付いたボリュームから ks.cfg という名前のキックスタートファイル(存在する場合)を読み込もうとします。キックスタートファイルがこの場所にある場合は、inst.ks= 起動オプションを使用する必要がありません。
inst.ks.sendmac
すべてのネットワークインターフェイスの MAC アドレスを持つ HTTP 送信要求にヘッダーを追加します。以下に例を示します。
X-RHN-Provisioning-MAC-0: eth0 01:23:45:67:89:ab
これは、inst.ks=http を使用してシステムをプロビジョニングする場合に便利です。
inst.ks.sendsn
HTTP 送信リクエストにヘッダーを追加します。このヘッダーには、/sys/class/dmi/id/product_serial から読み取られたシステムのシリアル番号が含まれます。ヘッダーの構文は以下のとおりです。
X-System-Serial-Number: R8VA23D

コンソール、環境、ディスプレイの各オプション

console=
このカーネルオプションでは、プライマリーコンソールとして使用するデバイスを指定します。たとえば、最初のシリアルポートでコンソールを使用するには、console=ttyS0 を使用します。このオプションは、inst.text オプションと併用する必要があります。
このオプションは複数回使用できます。この場合、起動メッセージが指定したコンソールすべてで表示されますが、これ以降インストールプログラムが使用するのは最後のコンソールのみです。たとえば、console=ttyS0 console=ttyS1 を指定すると、インストールプログラムは ttyS1 を使用します。
noshell
インストール中の root シェルへのアクセスを無効にします。これは、自動(キックスタート)インストールに役立ちます。このオプションを使用すると、ユーザーはインストールの進捗を確認できますが、Ctrl+Alt+F2 を押して root シェルにアクセスして干渉することはできません。
inst.lang=
インストール時に使用する言語を設定します。言語コードは、「キックスタートのコマンドとオプション」 で説明されている lang キックスタートコマンドで使用されるものと同じです。system-config-language パッケージがインストールされているシステムでは、有効な値の一覧は /usr/share/system-config-language/locale-list で確認できます。
inst.geoloc=
インストールプログラムで地理位置情報の使用を設定します。地理位置情報は、言語およびタイムゾーンの事前設定に使用され、 inst.geoloc=value 構文を使用します。
value パラメーターは次のいずれかにします。
表23.3 inst.geoloc オプションに使用できる値
地理位置情報の無効化 inst.geoloc=0
Fedora GeoIP API の使用 inst.geoloc=provider_fedora_geoip
Hostip.info GeoIP API の使用 inst.geoloc=provider_hostip
このオプションを指定しないと、Anacondaprovider_fedora_geoip を使用します。
inst.keymap=
インストールプログラムで使用するキーボードのレイアウトを指定します。レイアウトコードは、「キックスタートのコマンドとオプション」 で説明されている keyboard キックスタートコマンドで使用されるものと同じです。
inst.text
インストールプログラムをグラフィカルモードではなくテキストモードで強制実行します。テキストユーザーインターフェイスの場合、パーティションレイアウトの変更ができなかったり、LVM を設定できないなどの制限があります。グラフィック機能に制限のあるマシンにシステムをインストールする場合は、リモートアクセスの有効化で説明されている VNC の使用をお勧めします。
inst.cmdline
インストールプログラムをコマンドラインモードで強制実行します。このモードでは一切のやりとりができないため、オプションはすべてキックスタートファイル内またはコマンドライン上で指定する必要があります。
inst.graphical
インストールプログラムをグラフィカルモードで強制実行します。これがデフォルトのモードです。
inst.resolution=
グラフィカルモードでの画面解像度を指定します。NxM の形式をとります。ここでは、N は、画面の幅、M は画面の高さ (ピクセル) に置き換えます。 サポートされる最小解像度は 800x600 です。
inst.headless
インストールしているマシンにディスプレイ用ハードウェアがないことを指定します。つまり、このオプションを設定するとインストールプログラムによる画面の検出が試行されなくなります。
inst.xdriver=
インストール中およびインストール済みシステムで使用される X ドライバーの名前を指定します。
inst.usefbx
ハードウェア固有のドライバーではなく、フレームバッファー X ドライバーを使用するようにインストールプログラムに指示します。このオプションは、inst.xdriver=fbdev と同じです。
modprobe.blacklist=
ドライバーをブラックリストに登録します (完全無効)。このオプションで無効にしたドライバー (mods) はインストール開始時の読み込みから除外され、インストール終了後、インストールが完了したシステムでもこの設定が維持されます。ブラックリストに登録されたドライバーは、/etc/modprobe.d/ ディレクトリーにあります。
複数のドライバーを無効にするには、コンマ区切り一覧を使用します。以下に例を示します。
modprobe.blacklist=ahci,firewire_ohci
inst.sshd=0
デフォルトでは、sshd は IBM Z でのみ自動的に起動され、その他のアーキテクチャーでは、inst. sshd オプションが使用されない限り、sshd は起動しません。このオプションは、IBM Z で sshd が自動的に起動しないようにします。
inst.sshd
インストール時に sshd サービスを開始します。これにより、SSH を使用してインストール中にシステムに接続し、その進捗を監視できます。SSH の詳細は、ssh (1) の man ページと、Red Hat Enterprise Linux 7 システム管理者のガイドの 該当する章を参照してください。デフォルトでは、sshd は IBM Z でのみ自動的に起動され、その他のアーキテクチャーでは、inst. sshd オプションが使用されない限り、sshd は起動しません。
注記
インストール時に、root アカウントにはデフォルトではパスワードがありません。「キックスタートのコマンドとオプション」 で説明されているように、sshpw キックスタートコマンドを使用して、インストール中に使用する root パスワードを設定できます。
inst.kdump_addon=
インストーラーで Kdump 設定画面(アドオン)を有効または無効にします。この画面はデフォルトで有効になっているため、無効にする場合は inst.kdump_addon=off を使用します。アドオンを無効にすると、グラフィカルおよびテキストベースのインターフェイスと %addon com_redhat_kdump Kickstart コマンドの両方で Kdump 画面が無効になることに注意してください。

ネットワーク起動オプション

初期ネットワークの初期化は dracut によって処理されます。本セクションでは、より一般的に使用されるオプションについてのみ一覧表示します。完全な一覧は、dracut.cmdline (7) の man ページを参照してください。ネットワークに関する追加情報は、Red Hat Enterprise Linux 7 ネットワークガイドも併せて参照してください。
ip=
ネットワークインターフェイスを設定します。複数のインターフェイスを設定するには、インターフェイスごとに 1 回ずつ、ip オプションを複数回使用できます。複数のインターフェイスを設定する場合は、rd.neednet=1 オプションも使用する必要があり、以下で説明されている bootdev オプションを使用してプライマリー起動インターフェイスを指定する必要があります。または、ip オプションを 1 回使用してから、キックスタートを使用してさらにインターフェイスを設定することもできます。
このオプションでは、複数の形式が使用できます。最も一般的な形式は、表23.4「ネットワークインタフェースの設定形式」 で説明されています。
表23.4 ネットワークインタフェースの設定形式
設定方法 オプションの形式
全インターフェイスの自動設定 ip=method
特定インターフェイスの自動設定 ip=interface:method
静的設定 ip=ip::gateway:netmask:hostname:interface:none
オーバーライドを使用した特定インターフェイスの自動設定 [a] ip=ip::gateway:netmask:hostname:interface:method:mtu
[a] dhcp など、指定した自動設定方法を使用して、指定したインターフェイスを起動しますが、自動取得した IP アドレス、ゲートウェイ、ネットマスク、ホスト名、またはその他の指定パラメーターが上書きされます。パラメーターはすべてオプションです。無効にするパラメーターだけを指定します。それ以外のパラメーターには自動取得した値が使用されます。
method パラメーターには、以下のいずれかを使用します。
表23.5 自動インターフェイス設定方法
自動設定の方法
DHCP dhcp
IPv6 DHCP dhcp6
IPv6 自動設定 auto6
iBFT (iSCSI Boot Firmware Table) ibft
注記
ip オプションを指定せずに、inst.ks=http://host/path などのネットワークアクセスが必要な起動オプションを使用している場合は、インストールプログラムで ip=dhcp が使用されます。
重要
iSCSI ターゲットに自動接続するには、ターゲットにアクセスするネットワークデバイスがアクティベートされている必要があります。こにれついての推奨の方法として、起動オプション ip=ibft を使用します。
上記の表では ip パラメーターはクライアントの IP アドレスを指定しています。IPv6 アドレスは、角括弧で囲むことで指定できます ([2001:DB8::1] など)。
gateway パラメーターはデフォルトのゲートウェイになります。IPv6 アドレスはここでも使用できます。
netmask パラメーターは使用するネットマスクです。これは、IPv4 の完全ネットマスク( 255.255.255.0など)または IPv6 の接頭辞( 64など)のいずれかになります。
hostname パラメーターはクライアントシステムのホスト名です。このパラメーターは任意です。
nameserver=
ネームサーバーのアドレスを指定します。このオプションは複数回使用できます。
rd.neednet=
複数の ip オプションを使用する場合は rd.neednet=1 オプションを使用する必要があります。また、複数のネットワークインターフェイスを設定する場合は、一度その ip を使用してから、キックスタートで追加インターフェイスを設定することもできます。
bootdev=
起動インターフェイスを指定します。このオプションは、ip オプションを複数回使用する場合に必要になります。
ifname=
特定の MAC アドレスを持たせた指定インターフェイス名をネットワークデバイスに割り当てます。複数回の使用が可能です。構文は ifname=interface:MAC です。以下に例を示します。
ifname=eth0:01:23:45:67:89:ab
注記
インストール中にカスタムのネットワークインターフェイス名を設定する場合にサポートされる唯一の方法として、ifname= オプションを使用します。
inst.dhcpclass=
DHCP のベンダークラス識別子を指定します。dhcpd サービスは、この値を vendor-class-identifier として認識します。デフォルト値は anaconda-$(uname -srm) です。
inst.waitfornet=
inst.waitfornet=SECONDS 起動オプションを使用すると、インストールシステムはインストール前にネットワーク接続を待機します。SECONDS で指定する秒数は、タイムアウトして、ネットワーク接続がない場合でもインストールプロセスを継続するまでの最大秒数になります。
vlan=
仮想 LAN (VLAN) デバイスに特定の名前を付けて、指定インターフェイス上にセットアップします。構文は vlan=name:interface です。以下に例を示します。
vlan=vlan5:em1
上記により、vlan5 という名前の VLAN デバイスが em1 インターフェイスに設定されます。name は以下のような形式をとります。
表23.6 VLAN デバイスの命名規則
命名スキーム
VLAN_PLUS_VID vlan0005
VLAN_PLUS_VID_NO_PAD vlan5
DEV_PLUS_VID em1.0005.
DEV_PLUS_VID_NO_PAD em1.5.
bond=
ボンディングデバイスは bond=name[:slaves][:options] の構文を使用して設定します。name は、ボンディング名に置き換え、slaves は、コンマで区切った物理 (イーサネット) インターフェイスに置き換え、options は、コンマで区切ったボンディングオプションに置き換えます。以下に例を示します。
bond=bond0:em1,em2:mode=active-backup,tx_queues=32,downdelay=5000
利用可能なオプションの一覧は、modinfo bonding コマンドを実行します。
パラメーターを何も付けずにこのオプションを使用すると、bond=bond0:eth0,eth1:mode=balance-rr となります。
team=
team=master:slaves 構文でチームデバイスを設定します。master は、マスターのチームデバイス名に置き換え、slaves は、チームデバイスでスレーブとして使用する物理 (イーサネット) デバイスをコンマで区切った一覧形式で入力します。以下に例を示します。
team=team0:em1,em2

高度なインストールオプション

inst.kexec
このオプションを指定すると、インストーラーは、再起動を実行する代わりに、インストールの最後に kexec システムコールを使用します。これにより新システムが即座に読み込まれ、BIOS またはファームウェアが通常実行するハードウェアの初期化が省略されます。
重要
kexec を使用したシステムのブートには複雑であるため、すべての状況で明示的にテストして機能することが保証されていません。
kexec を使用すると、(完全なシステム再起動で通常はクリアされる)デバイスレジスタにデータが入ったままになり、デバイスドライバーによっては問題が発生する可能性があります。
inst.gpt
インストールプログラムがパーティション情報を Master Boot Record (MBR) ではなく GUID Partition Table (GPT) にインストールするように強制します。UEFI ベースのシステムでは、BIOS 互換モードになっていなければ、このオプションは意味がありません。
通常、BIOS 互換モードの BIOS ベースのシステムおよび UEFI ベースのシステムでは、ディスクのサイズが 232 セクター以上でない限り、パーティション情報の格納には MBR スキーマを使用しようとします。通常はディスクの 1 セクターは 512 バイトで、これは 2 TiB にあたります。このオプションを使用することでこの動作が変更され、このサイズより小さいディスクにも GPT の書き込みが可能になります。
GPT および MBR 「MBR と GPT に関する注意点」 の詳細はを参照してください。また、GPT、MBR、およびディスクパーティション設定全般に関する詳細情報は、「GUID パーティションテーブル (GPT)」 を参照してください。
inst.multilib
multilib パッケージ用にシステムを設定し (つまり、64 ビットの AMD64 もしくは Intel 64 システムに 32 ビットのパッケージをインストールできるようにする)、このセクションで説明しているようにパッケージをインストールします。
通常、AMD64 または Intel 64 のシステムでは、このアーキテクチャー用のパッケージ( x86_64 の印が付いている)と、すべてのアーキテクチャー用のパッケージ( noarch の印が付いている)のみがインストールされます。このオプションを使用すると、32 ビットの AMD または Intel システム用のパッケージ( i686の印が付いている)が、利用可能な場合は自動的にインストールされます。
これは、%packages セクションで直接指定されたパッケージにのみ適用されます。依存パッケージとしてインストールされる場合は、依存パッケージに該当するものしかインストールされません。たとえば、bash パッケージをインストールするときにこのパッケージが glibc パッケージに依存している場合に、前者は複数のバリアントにインストールされ、後者は、特別に必要とされるバリアントにだけインストールされます。
selinux=0
デフォルトでは、SELinux はインストーラーでは Permissive モードで動作し、インストール済みシステムでは Enforcing モードで動作します。このオプションは、インストールおよびインストールされたシステム全体での SELinux の使用を無効にします。
注記
selinux=0inst.selinux=0 のオプションは同じではありません。selinux=0 オプションは、インストーラーおよびインストール済みシステムで SELinux の使用を無効にしますが、inst.selinux=0 はインストーラーでのみ SELinux を無効にします。デフォルトでは、SELinux はインストーラーで Permissive モードで動作するように設定されているため、無効にしてもほとんど影響はありません。
inst.nosave=
Red Hat Enterprise Linux 7.3 から導入されたこのオプションは、インストールするシステムに保存するキックスタートファイルとインストールログを指定します。OEM のオペレーティングシステムのインストールを実行している場合や、内部リポジトリー URL などの機密ソースを使用してイメージを生成する場合など、これらのデータの保存を無効にする場合に特に便利です。無効にしないと、これらのリソースはキックスタートファイルもしくはイメージ上のログ、またはそれら両方に記述されることになるためです。使用可能な値は以下のとおりです。
input_ks: 入力キックスタートファイルの保存を無効にします(存在する場合)。
output_ks: Anaconda が生成した出力キックスタートファイルの保存を無効にします。
all_ks: 入出力キックスタートファイルの両方の保存を無効にします。
logs: すべてのインストールログの保存を無効にします。
all: すべて のキックスタートファイルとすべてのインストールログの保存を無効にします。
複数の値はコンマ区切りリストとして組み合わせることができます(例: input_ks,logs)。
inst.zram
このオプションは、インストール中の zRAM swap の使用量を制御します。これはシステムの RAM の内部に圧縮ブロックデバイスを作成し、これをハードドライブではなく swap 領域向けに使用します。これにより、インストーラーが利用可能なメモリー量が実質上増えることになり、メモリーが少ないシステムでのインストールが迅速にできるようになります。
デフォルトでは、zRAM 上のスワップは、搭載されている RAM が 2 GiB 以下のシステムで有効になり、2 GiB を超えるシステムでは無効になります。このオプションを使用するとこの動作を変更できます。RAM が 2 GiB を超えるシステムでは inst.zram=1 を使用して有効にし、2 GiB 以下のメモリーのシステムでは inst.zram=0 を使用してこの機能を無効にします。

リモートアクセスの有効化

リモートグラフィカルインストール用に Anaconda を設定するには、以下のオプションが必要です。詳細は 25章VNC の使用 を参照してください。
inst.vnc
インストールプログラムのグラフィカルインターフェイスを VNC セッションで実行するように指定します。このオプションを指定する場合、インストールプログラムと通信することができる VNC クライアントアプリケーションを使ってシステムを接続しておく必要があります。VNC 共有を有効にすることで、複数のクライアントを同時にシステムに接続できるようになります。
注記
VNC でインストールしたシステムは、デフォルトではテキストモードで起動します。
inst.vncpassword=
インストールプログラムが使用する VNC サーバーでパスワードを設定します。これにより、このシステムに接続を試行する VNC クライアントはすべて、正しいパスワードを入力しないとアクセスできなくなります。たとえば、inst.vncpassword=testpwd は、パスワードを testpwd に設定します。VNC パスワードは 6 文字から 8 文字に設定する必要があります。
注記
無効なパスワードを指定すると (長すぎるまたは短すぎるパスワード)、インストールプログラムにより別のパスワードの指定を求めるメッセージが出力されます。
VNC password must be six to eight characters long.
Please enter a new one, or leave blank for no password.

Password:
inst.vncconnect=
インストールの開始後、指定ホストのポートで待機している VNC クライアントに接続します。正しい構文は inst.vncconnect=host:port です。ここでは、host は VNC クライアントのホストのアドレスに置き換え、port は使用するポートを指定します。port パラメーターは任意です。指定しないと、インストールプログラムは 5900 を使用します。

デバッグとトラブルシューティング

inst.updates=
インストールプログラムランタイムに適用される updates.img ファイルの場所を指定します。構文は、inst.repo オプションと同じです。詳細は 表23.1「インストールソース」 を参照してください。すべての形式では、ファイル名を指定せずにディレクトリーのみを指定すると、インストールプログラムは updates.img という名前のファイルを検索します。
inst.loglevel=
ターミナルでログ表示されるメッセージの最低レベルを指定します。このオプションで設定するのはターミナル表示のみです。ログファイルには常に全レベルのメッセージが記録されます。
このオプションに使用できる値は、最小レベルから最高レベルまで、debuginfowarningerror、および critical です。デフォルト値は info です。これは、デフォルトでは info から critical までのメッセージがロギング端末に表示されます。
inst.syslog=
インストールが開始されると、このオプションはログメッセージを、指定されたホスト上の syslog プロセスに送ります。リモート syslog プロセスは、着信接続を受け入れるように設定する必要があります。syslog サービスが着信接続を受け入れるように設定する方法については、Red Hat Enterprise Linux 7 システム管理者のガイドを参照してください。
inst.virtiolog=
ログの転送に使用する virtio ポート( /dev/virtio-ports/のキャラクターデバイス)を指定します。デフォルト値は org.fedoraproject.anaconda.log.0 です。このポートが存在する場合は使用されます。
rd.live.ram
このオプションを指定すると、ステージ 2 イメージが RAM にコピーされます。インストールは NFS リポジトリー上のステージ 2 イメージ上に構築された環境内のネットワーク再設定に影響される場合があるので、NFS 上のステージ 2 イメージが使用されると、このオプションによりインストールがスムーズに進む場合があります。
NFS サーバー上にステージ 2 イメージがある場合にこのオプションを使用すると、イメージで必要となる最小メモリーがおよそ 500 MiB 増えることに注意してください。
inst.nokill
致命的なエラーが発生した場合、またはインストールプロセスの終了時に、anaconda がリブートしないようにするデバッグオプションです。これを使用すると、リブートすると失われてしまうインストールのログが取得できます。

23.1.1. 廃止予定および削除された起動オプション

廃止予定の起動オプション

この一覧に記載されているオプションは 廃止予定 です。動作はしますが同じ機能を提供している別のオプションがあります。廃止予定のオプションの使用は推奨されせん。今後のリリースで削除される予定です。
注記
「ブートメニューによるインストールシステムの設定」 では、インストールプログラムに固有のオプションが inst. 接頭辞を使用するようになったことに注意してください。たとえば、vnc= オプションは非推奨とみなされ、inst.vnc= オプションに置き換えられます。これらの変更は、ここでは一覧表示されていません。
method=
インストール方法の設定に使用されていました。代わりに inst.repo= オプションを使用してください。
repo=nfsiso:server:/path
NFS インストールで、ターゲットがインストール可能なツリーではなく、NFS サーバー上にある ISO イメージであることを指定。この違いは自動的に検出されるようになったため、このオプションは inst.repo=nfs:server:/パスと同じです
dns=
ドメインネームサーバー (DNS) の設定に使用していました。代わりに nameserver= オプションを使用してください。
netmask=, gateway=, hostname=, ip=, ipv6=
これらのオプションは、ip= オプションに統合されました。
ksdevice=
インストールの初期段階で使用するネットワークデバイスを選択します。値、オプションともに変更があります。以下の表を参照してください。
表23.7 自動インターフェイス設定方法
現在の動作
存在しない 目的のデバイスと設定が ip= オプションまたは BOOTIF オプションで指定されていない限り、dhcp を使用してすべてのデバイスのアクティブ化を試みます。
ksdevice=link 上記と同様ですが、(必要の有無にかかわらず) ネットワークが initramfs で常にアクティブにされる点が異なります。同じ結果を得るには、サポートされる rd.neednet dracut オプションを使用する必要があります。
ksdevice=bootif 無視されます (指定すると BOOTIF= オプションがデフォルトで使用されます)。
ksdevice=ibft ip=ibft dracut オプションに置き換え
ksdevice=MAC BOOTIF=MACに置き換え
ksdevice=device replace は、ip= dracut オプションを使用してデバイス名を指定します。
blacklist=
指定したドライバーの無効化に使用していました。これは、modprobe.blacklist= オプションで処理するようになりました。
nofirewire=
FireWire インターフェイスのサポートの無効化に使用していました。代わりに modprobe.blacklist= オプションを使用して、FireWire ドライバー(firewire_ohci)を無効にすることができます。
modprobe.blacklist=firewire_ohci
nicdelay=
ネットワークアクティブであると認識されるまでの遅延の表示に使用されていました。システムは、ゲートウェイが ping に成功するか、パラメーターで指定されている経過時間 (秒数) まで待機しました。RHEL 7 では、dracut モジュールによりインストールの初期段階でネットワークデバイスが設定され、アクティベートされます。これにより、続行する前にゲートウェイにアクセスできるようになります。dracut の詳細は、 dracut.cmdline (7) の man ページを参照してください。
linksleep=
デバイス上のリンクをアクティベートするまでの anaconda の待機時間を設定していました。この機能は、特定の rd.net.timeout.* オプションを、ネットワークデバイスの初期化が遅いことが原因で発生する問題を処理するように設定できる dracut モジュールで利用できるようになりました。dracut の詳細は、 dracut.cmdline (7) の man ページを参照してください。

削除済みの起動オプション

次のオプションは削除されました。これらは、Red Hat Enterprise Linux の以前のリリースに存在していましたが、使用できません。
askmethod, asknetwork
インストールプログラムの initramfs は完全に非対話型になったため、これらのオプションは利用できなくなりました。代わりに、inst.repo= を使用してインストール方法と ip= を指定してネットワーク設定を行います。
serial
このオプションにより、Anaconda/dev/ttyS0 コンソールを出力として強制的に使用します。代わりに console=/dev/ttyS0 (または同様のもの) を使用してください。
updates=
インストールプログラムの更新の場所を指定するときに使用していました。代わりに inst.updates= オプションを使用してください。
essid=, wepkey=, wpakey=
ワイヤレスのネットワークアクセスを設定する際に使用していました。ネットワーク設定は dracut により処理されます。これはワイヤレスネットワークに対応していないため、これらのオプションが無駄になります。
ethtool=
低レベルのネットワーク設定に使用していました。ネットワーク設定はすべて、ip= オプションで処理されています。
gdb
ローダーのデバッグを許可する場合に使用していました。代わりに rd.debug を使用してください。
mediacheck
インストール開始前のインストールメディアの検証に使用していました。rd.live.check オプションに置き換えられました。
ks=floppy
3.5 インチのディスクをキックスタートファイルのソースとして指定していました。このドライブはサポートされていません。
display=
リモートディスプレイの設定に使用していました。inst.vnc オプションに置き換えられました。
utf8
テキストモードでのインストール時に UTF8 サポートを追加。UTF8 サポートは自動的に機能するようになりました。
noipv6
インストールプログラムで IPv6 サポートを無効化するために使用していました。IPv6 はカーネルに組み込まれるため、ドライバーはブラックリストに登録できなくなりますが、ipv6.disable dracut オプションを使用して IPv6 を無効 にできます。
upgradeany
アップグレードは、Red Hat Enterprise Linux 7 では別の方法で行われます。システムのアップグレードの詳細は、29章現在のシステムのアップグレード を参照してください。
vlanid=
仮想 LAN (802.1q tag) デバイスの設定に使用していました。代わりに vlan= dracut オプションを使用してください。

23.2. メンテナーンス起動モードの使い方

23.2.1. メモリー (RAM) テストモードの読み込み

メモリー (RAM) モジュールでの障害が原因で、システムの予期しないフリーズやクラッシュが発生する場合があります。特定の状況では、メモリー障害は、ソフトウェアの特定の組み合わせでのみエラーが発生する可能性があります。この理由から、Red Hat Enterprise Linux を初めてインストールする前に、その他のオペレーティングシステムを実行していても、コンピューターのメモリーをテストする必要があります。
Red Hat Enterprise Linux には、Memtest86+ メモリーテストアプリケーションが含まれています。メモリーテストモードを開始するには、ブートメニューで Troubleshooting > Memory test を選択します。直ちにテストが開始されます。デフォルトでは、Memtest86+ はパスごとに 10 つのテストを行います。異なる設定を指定するには、c キーを使用して設定画面にアクセスします。最初のパスが完了すると、現在の状態を示すメッセージが画面下部に表示され、自動的に次のパスが開始されます。
注記
Memtest86+ は BIOS システムでのみ機能します。UEFI システムのサポートは現在利用できません。

図23.1 Memtest86+ を使ったメモリーチェック

Memtest86+ を使ったメモリーチェック
テスト進行中に表示されるメイン画面は主に 3 エリアに分けられます。
  • 左上には、メモリーおよびプロセッサーキャッシュ専用に割り当てられたサイズ、そのスループットとプロセッサー、チップセット情報など、システムのメモリー設定に関する情報が表示されます。この情報は、Memtest86+ の起動時に検出されます。
  • 右上には、現在のパスの進捗状況、そのパスで現在実行中のテスト、テスト詳細など、テストに関する情報が表示されます。
  • 画面の中央には、合計時間、完了したパス数、検出されたエラー数、選択しているテストなど、ツールが起動した時点からの全テストに関する情報が表示されます。一部のシステムでは、インストールしているメモリー (搭載モジュール数、製造元、周波数、遅延時間など) に関する詳細情報についても表示されます。完了したパスの後ろには簡単な概要が表示されます。以下に例を示します。
    ** Pass complete, no errors, press Esc to exit **
    Memtest86+ がエラーを検出すると、このエリアにも赤色で強調表示されます。メッセージには問題を検出したテスト、障害が発生しているメモリーの場所、その他、詳細な情報が含まれます。
ほとんどの場合、一つのパスでのテスト成功で、使用している RAM の健全性を十分に確認できます (10 種類の全テストを 1 回実行)。ただし、まれに最初のパスでは検出されなかったエラーがその後のテストで出現する場合があります。重要なシステムで完全なテストを実施する場合は、複数パスを完了させるため一晩または数日、テストを実行させたままにしておきます。
注記
Memtest86+ の 1 つの完全パスを完了するのにかかる時間は、システムの設定(特に RAM のサイズと速度)によって異なります。たとえば、2 GiB の DDR2 メモリー、速度が 667 MHz の場合、パスをひとつ完了するのに 20 分ほどかかります。
テストを停止してコンピューターを再起動するには、いつでも esc キーを押します。
Memtest86+ の使用の詳細については、公式の Web サイト() http://www.memtest.org/ を参照してください。README ファイルは、memtest86+ パッケージがインストールされた Red Hat Enterprise Linux システムの /usr/share/doc/ memtest86+ -バージョン/ にも存在します。

23.2.2. 起動メディアの検証

Red Hat Enterprise Linux のインストールに使用する前に、ISO ベースのインストールソースの整合性をテストできます。インストールソースには DVD や ハードドライブ、NFS サーバーに保存している ISO イメージなどが含まれます。インストール前に ISO イメージの整合性を検証することで、インストール中に何度も遭遇する問題を回避することができます。
ISO イメージのチェックサムの整合性をテストするには、ブートローダーコマンドラインに rd.live.check を追加します。起動メニューからデフォルトのインストールオプションを選択すると、このオプションが自動的に使用されることに注意してください(Test this media & install Red Hat Enterprise Linux 7.0)。

23.2.3. レスキューモードでのコンピューターの起動

実際に Red Hat Enterprise Linux をコンピューターにインストールせずに、インストールディスクから Linux システムを起動できます。これにより稼働している Linux システムのユーティリティーおよび機能を使って、すでにインストール済みのオペレーティングシステムの修正や修復を行うことができるようになります。
インストールディスクまたは USB ドライブを使用してレスキューシステムを読み込むには、起動メニューの Troubleshooting サブメニューから Rescue a Red Hat Enterprise Linux system を選択するか、inst.rescue 起動オプションを使用します。
次に表示される画面で、言語、キーボードのレイアウト、ネットワーク設定をレスキューシステム用に指定します。最後のセットアップ画面では、コンピューター上の既存システムへのアクセスを設定します。
デフォルトでは、既存のオペレーティングシステムが /mnt/sysimage/ ディレクトリー下のレスキューシステムに接続されます。
レスキューモードおよびその他のメンテナーンスモードの詳細は、32章基本的なシステムの復元 を参照してください。

第24章 ネットワークからのインストールの準備

インストールサーバーを使用したネットワークインストールでは、ネットワークブート サーバーを使用して複数のシステムに Red Hat Enterprise Linux をインストールできます。この方法では、PXE インストール設定されたシステムはすべてこのサーバーによって提供されるイメージを使用して起動し、インストールプログラムを自動的に開始します。
注記
Red Hat Satellite には、PXE サーバーを自動設定する機能があります。詳細は、 Red Hat Satellite のドキュメント を参照してください。
ネットワークからのインストールには、少なくとも以下の 2 つのシステムが必要になります。
  • サーバー: DHCP サーバー、起動ファイルを提供する TFTP サーバー、およびインストールイメージを格納している HTTP、FTP もしくは NFS サーバーを稼働するシステム。理論的には、これらの各サーバーは別個のシステム上で稼働することが可能です。本セクションの手順では便宜上、単一のシステムがこれらすべてのサーバーを稼働していることを前提とします。
  • クライアント - Red Hat Enterprise Linux をインストールするシステムインストールが開始されると、クライアントは DHCP サーバーにクエリーを行い、TFTP サーバーから起動ファイルを取得し、HTTP、FTP または NFS サーバーからインストールイメージをダウンロードします。
他のインストール方法とは異なり、インストールを開始するためにクライアント (インストール先のシステム) に物理的な起動メディアを挿入する必要はありません。本章では、ネットワークからのインストールの準備に必要となるステップを説明します。
ネットワークインストールの準備として次の手順を実行してください。
  1. ネットワークサーバー(NFSHTTPSHTTP、または FTP)を設定して、インストールツリーまたはインストール ISO イメージをエクスポートします。設定を記述する手順は、「インストールソース - ネットワーク」 を参照してください。
  2. ネットワークブートに必要な tftp サーバーでファイルを設定し、DHCP を設定し、PXE サーバーで tftp サービスを開始します。詳細は 「ネットワークブートサービスの設定」 を参照してください。
    重要
    GRUB2 ブートローダーは、tftp サーバーに加えて、HTTP からのネットワークブートをサポートします。ただし、このプロトコルによる起動ファイル (カーネルおよびインストーラー用初期 RAM ディスク) の取得は時間がかかり、タイムアウトになるリスクがあります。tftp サーバーを使用してブートファイルを提供することが推奨されます。
    この警告は、カーネルと初期 RAM ディスク(vmlinuz および initrd)にのみ適用されます。HTTP サーバーから インストールソース を取得しても、このリスクはありません。
  3. クライアント (Red Hat Enterprise Linux をインストールするシステム) を起動し、インストールを開始します。
注記
本章の手順では、Red Hat Enterprise Linux 7 システムにネットワークブートサーバーを設定する方法を説明します。以前の Red Hat Enterprise Linux リリースでネットワークからの起動を設定する方法については、各リリースの『インストールガイド』を参照してください。

24.1. ネットワークブートサービスの設定

インストールで使用するパッケージリポジトリーが格納されたネットワークサーバーの設定が完了したら、次は PXE サーバー自体を設定します。このサーバーには、Red Hat Enterprise Linux を起動し、インストールを開始するために必要なファイルが含まれます。さらに、DHCP サーバーを設定し、必要なすべてのサービスを有効にして起動する必要があります。
注記
ネットワークブートの設定手順は、Red Hat Enterprise Linux をインストールする AMD64/Intel 64 システムが BIOS または UEFI を使用するかどうかによって異なります。ご使用のシステムがどちらを使用しているかを製造元が提供する説明書でご確認の上、該当する手順に従ってください。
GRUB2 ブートローダーを使用してネットワーク上の場所から IBM Power Systems を起動する方法は別途提供されています。詳細は 「GRUB2 を使用した IBM Power Systems 向けのネットワークブートの設定」 を参照してください。
ヘッドレスシステム (ディスプレイ、キーボード、マウスが直接接続されていないシステム) で使用するネットワークブートサーバーの設定に関する詳細情報は、26章ヘッドレスシステムを参照してください。

24.1.1. BIOS ベースの AMD64 と Intel 64 クライアント向け TFTP サーバーの設定

以下の手順では、BIOS ベースの AMD64 および Intel 64 システムの起動用の PXE サーバーの準備について説明しています。UEFI ベースのシステムの詳細は 「UEFI ベースの AMD64/Intel 64 および ARM クライアント向け TFTP サーバーの設定」 を参照してください。

手順24.1 BIOS ベースのシステム向けに TFTP ブートサーバーを設定する

  1. tftp-server パッケージをインストールします。これを行うには、root で以下のコマンドを入力します。
    # yum install tftp-server
  2. ファイアウォールで tftp サービスへの着信接続を許可します。
    # firewall-cmd --add-service=tftp
    注記
    上記のコマンドが有効にするのは、次回のサーバー再起動までのアクセスのみです。アクセスを永続的に許可するには、--permanent オプションを追加します。ファイアウォール設定の詳細は、Red Hat Enterprise Linux 7 セキュリティーガイドを参照してください。
  3. SYSLINUX に同梱されているブートイメージを使用するように DHCP サーバーを設定します。DHCP サーバーがインストールされていない場合は、Red Hat Enterprise Linux 7 ネットワークガイドを参照してください。
    /etc/dhcp/dhcpd.conf ファイルの設定例は以下のようになります。
    option space pxelinux;
    option pxelinux.magic code 208 = string;
    option pxelinux.configfile code 209 = text;
    option pxelinux.pathprefix code 210 = text;
    option pxelinux.reboottime code 211 = unsigned integer 32;
    option architecture-type code 93 = unsigned integer 16;
    
    subnet 10.0.0.0 netmask 255.255.255.0 {
    	option routers 10.0.0.254;
    	range 10.0.0.2 10.0.0.253;
    
    	class "pxeclients" {
    	  match if substring (option vendor-class-identifier, 0, 9) = "PXEClient";
    	  next-server 10.0.0.1;
    
    	  if option architecture-type = 00:07 {
    	    filename "uefi/shim.efi";
    	    } else {
    	    filename "pxelinux/pxelinux.0";
    	  }
    	}
    }
    
  4. これで、完全インストール DVD の ISO イメージファイルにある SYSLINUX パッケージの pxelinux.0 ファイルが必要になります。このファイルにアクセスするには、次のコマンドを root で実行します。
    # mount -t iso9660 /path_to_image/name_of_image.iso /mount_point -o loop,ro
    # cp -pr /mount_point/Packages/syslinux-version-architecture.rpm /publicly_available_directory
    # umount /mount_point
    パッケージを展開します。
    # rpm2cpio syslinux-version-architecture.rpm | cpio -dimv
  5. tftpboot/ 内に pxelinux/ ディレクトリーを作成し、pxelinux.0 ファイルをそこにコピーします。
    # mkdir /var/lib/tftpboot/pxelinux
    # cp publicly_available_directory/usr/share/syslinux/pxelinux.0 /var/lib/tftpboot/pxelinux
  6. pxelinux/ ディレクトリーに pxelinux.cfg/ ディレクトリーを作成します。
    # mkdir /var/lib/tftpboot/pxelinux/pxelinux.cfg
    default という名前の設定ファイルを pxelinux.cfg/ ディレクトリーに追加します。
    /var/lib/tftpboot/pxelinux/pxelinux.cfg/default にある設定ファイルのサンプルは以下のようになります。
    default vesamenu.c32
    prompt 1
    timeout 600
    
    display boot.msg
    
    label linux
      menu label ^Install system
      menu default
      kernel images/RHEL-7.1/vmlinuz
      append initrd=images/RHEL-7.1/initrd.img ip=dhcp inst.repo=http://10.32.5.1/mnt/archive/RHEL-7/7.x/Server/x86_64/os/
    label vesa
      menu label Install system with ^basic video driver
      kernel images/RHEL-7.1/vmlinuz
      append initrd=images/RHEL-7.1/initrd.img ip=dhcp inst.xdriver=vesa nomodeset inst.repo=http://10.32.5.1/mnt/archive/RHEL-7/7.x/Server/x86_64/os/
    label rescue
      menu label ^Rescue installed system
      kernel images/RHEL-7.1/vmlinuz
      append initrd=images/RHEL-7.1/initrd.img rescue
    label local
      menu label Boot from ^local drive
      localboot 0xffff
    重要
    上記の例の inst.repo= Anaconda オプションを使用して、インストールプログラムのイメージとインストールソースを指定するために常に使用する必要があります。このオプションを使用しないと、インストールプログラムは起動できなくなります。Anaconda の起動オプションの詳細は、「ブートメニューによるインストールシステムの設定」 を参照してください。
  7. /var/lib/tftpboot/ ディレクトリーにブートイメージファイルを保存するサブディレクトリーを作成し、そのディレクトリーにブートイメージファイルをコピーします。この例では、/var/lib/tftpboot/pxelinux/images/RHEL-release_number/ ディレクトリーを使用します。
    # mkdir -p /var/lib/tftpboot/pxelinux/images/RHEL-7.1/
    # cp /path_to_x86_64_images/pxeboot/{vmlinuz,initrd.img} /var/lib/tftpboot/pxelinux/images/RHEL-release_number/
  8. 最後に、サービスを開始して有効にします。
    • dhcpd サービス:
      # systemctl start dhcpd
      # systemctl enable dhcpd
    • tftpd サービスを管理する xinetd サービス:
      # systemctl start xinetd
      # systemctl enable xinetd
この手順を完了すると、PXE ブートサーバーが PXE クライアントにサービスを提供できるようになります。Red Hat Enterprise Linux をインストールするシステムを起動し、ブートソースを指定するように求められたら PXE ブート を選択して、ネットワークインストールを開始できます。詳細は、「PXE を使ったネットワークからの起動」 を参照してください。

24.1.2. UEFI ベースの AMD64/Intel 64 および ARM クライアント向け TFTP サーバーの設定

以下の手順では、UEFI ベースの AMD64/Intel 64 および ARM システムの起動用の PXE サーバーの準備について説明しています。BIOS ベースのシステムの詳細は、「BIOS ベースの AMD64 と Intel 64 クライアント向け TFTP サーバーの設定」 を参照してください。

手順24.2 UEFI ベースのシステム向けに TFTP での起動を設定する

注記
Red Hat Enterprise Linux 7 UEFI PXE ブートは、MAC ベースの grub メニューファイルの小文字のファイル形式に対応します。たとえば、grub2 の MAC アドレスのファイル形式は grub.cfg-01-aa-bb-cc-dd-ee-ff です。
  1. tftp-server パッケージをインストールします。これを行うには、root で以下のコマンドを入力します。
    # yum install tftp-server
  2. ファイアウォールで tftp サービスへの着信接続を許可します。
    # firewall-cmd --add-service=tftp
    注記
    上記のコマンドが有効にするのは、次回のサーバー再起動までのアクセスのみです。アクセスを永続的に許可するには、--permanent オプションを追加します。ファイアウォール設定の詳細は、Red Hat Enterprise Linux 7 セキュリティーガイドを参照してください。
  3. shim に同梱されている EFI ブートイメージを使用するように DHCP サーバーを設定します。DHCP サーバーがインストールされていない場合は、Red Hat Enterprise Linux 7 ネットワークガイドを参照してください。
    /etc/dhcp/dhcpd.conf ファイルの設定例は以下のようになります。
    option space pxelinux;
    option pxelinux.magic code 208 = string;
    option pxelinux.configfile code 209 = text;
    option pxelinux.pathprefix code 210 = text;
    option pxelinux.reboottime code 211 = unsigned integer 32;
    option architecture-type code 93 = unsigned integer 16;
    
    subnet 10.0.0.0 netmask 255.255.255.0 {
    	option routers 10.0.0.254;
    	range 10.0.0.2 10.0.0.253;
    
    	class "pxeclients" {
    	  match if substring (option vendor-class-identifier, 0, 9) = "PXEClient";
    	  next-server 10.0.0.1;
    
    	  if option architecture-type = 00:07 {
    	    filename "shim.efi";
    	  } else {
    	    filename "pxelinux/pxelinux.0";
    		}
      }
    }
    
  4. これで、shim パッケージの shim.efi ファイルと、ISO イメージファイルの grub 2-efi パッケージの grubx64.efi ファイルが必要になります。これらのファイルにアクセスするには次のコマンドを root で実行します。
    # mount -t iso9660 /path_to_image/name_of_image.iso /mount_point -o loop,ro
    # cp -pr /mount_point/Packages/shim-version-architecture.rpm /publicly_available_directory
    # cp -pr /mount_point/Packages/grub2-efi-version-architecture.rpm /publicly_available_directory
    # umount /mount_point
    パッケージを抽出します。
    # rpm2cpio shim-version-architecture.rpm | cpio -dimv
    # rpm2cpio grub2-efi-version-architecture.rpm | cpio -dimv
  5. ブートディレクトリーから EFI ブートイメージをコピーします。
    # cp publicly_available_directory/boot/efi/EFI/redhat/shim.efi /var/lib/tftpboot/
    # cp publicly_available_directory/boot/efi/EFI/redhat/grubx64.efi /var/lib/tftpboot/
  6. grub.cfg という名前の設定ファイルを tftpboot/ ディレクトリーに追加します。/var/lib/tftpboot/grub.cfg の設定ファイルの例を以下に示します。
    set timeout=60
    menuentry 'RHEL 7' {
      linuxefi images/RHEL-7.1/vmlinuz ip=dhcp inst.repo=http://10.32.5.1/mnt/archive/RHEL-7/7.1/Server/x86_64/os/
      initrdefi images/RHEL-7.1/initrd.img
    }
    
    重要
    上記の例の inst.repo= Anaconda オプションを使用して、インストールプログラムのイメージとインストールソースを指定するために常に使用する必要があります。このオプションを使用しないと、インストールプログラムは起動できなくなります。Anaconda の起動オプションの詳細は、「ブートメニューによるインストールシステムの設定」 を参照してください。
  7. /var/lib/tftpboot/ ディレクトリーにブートイメージファイルを保存するサブディレクトリーを作成し、そのディレクトリーにブートイメージファイルをコピーします。この例では、/var/lib/tftpboot/images/RHEL-7.1/ ディレクトリーを使用します。
    # mkdir -p /var/lib/tftpboot/images/RHEL-7.1/# cp /path_to_x86_64_images/pxeboot/{vmlinuz,initrd.img} /var/lib/tftpboot/images/RHEL-7.1/
  8. 最後に、サービスを開始して有効にします。
    • dhcpd サービス:
      # systemctl start dhcpd
      # systemctl enable dhcpd
    • tftpd サービスを管理する xinetd サービス:
      # systemctl start xinetd
      # systemctl enable xinetd
この手順を完了すると、PXE ブートサーバーが PXE クライアントにサービスを提供できるようになります。Red Hat Enterprise Linux をインストールするシステムを起動し、ブートソースを指定するように求められたら PXE ブート を選択して、ネットワークインストールを開始できます。詳細は、「PXE を使ったネットワークからの起動」 を参照してください。

24.1.3. GRUB2 を使用した IBM Power Systems 向けのネットワークブートの設定

手順24.3 GRUB2 を使用した IBM Power Systems 向けのネットワークブートサーバーの設定

  1. tftp-server パッケージをインストールします。これを行うには、root で以下のコマンドを入力します。
    # yum install tftp-server
  2. ファイアウォールで tftp サービスへの着信接続を許可します。
    # firewall-cmd --add-service=tftp
    注記
    上記のコマンドが有効にするのは、次回のサーバー再起動までのアクセスのみです。アクセスを永続的に許可するには、--permanent オプションを追加します。ファイアウォール設定の詳細は、Red Hat Enterprise Linux 7 セキュリティーガイドを参照してください。
  3. tftp のルートに、GRUB2 ネットワーク起動ディレクトリーを作成します。
    # grub2-mknetdir --net-directory=/var/lib/tftpboot
    Netboot directory for powerpc-ieee1275 created. Configure your DHCP server to point to /boot/grub2/powerpc-ieee1275/core.elf
    コマンドの出力に注意してください。これは、DHCP 設定でどのファイルをファイル として設定する必要があるかについて通知します。これは、本手順でさらに重要になります。
  4. GRUB2 設定ファイル( /var/lib/tftpboot/boot/grub2/grub.cfg) を作成します。grub.cfg の構文については、Red Hat Enterprise Linux 7 システム管理者のガイドを参照してください
    以下は設定ファイルの例になります。
    set default=0
    set timeout=5
    
    echo -e "\nWelcome to the Red Hat Enterprise Linux 7 installer!\n\n"
    
    menuentry 'Red Hat Enterprise Linux 7' {
      linux grub2-ppc64/vmlinuz ro ip=dhcp inst.repo=http://10.32.5.1/mnt/archive/RHEL-7/7.6-Beta/Server/ppc64/os/
      initrd grub2-ppc64/initrd.img
    }
    
    重要
    上記の例の inst.repo= Anaconda オプションを使用して、インストールプログラムのイメージとインストールソースを指定するために常に使用する必要があります。このオプションを使用しないと、インストールプログラムは起動できなくなります。Anaconda の起動オプションの詳細は、「ブートメニューによるインストールシステムの設定」 を参照してください。
  5. GRUB2 に同梱されているブートイメージを使用するように DHCP サーバーを設定します。DHCP サーバーがインストールされていない場合は、Red Hat Enterprise Linux 7 ネットワークガイドを参照してください。
    /etc/dhcp/dhcpd.conf ファイルの設定例は以下のようになります。
    subnet 192.168.0.1 netmask 255.255.255.0 {
      allow bootp;
      option routers 192.168.0.5;
      group { #BOOTP POWER clients
        filename "boot/grub2/powerpc-ieee1275/core.elf";
        host client1 {
        hardware ethernet 01:23:45:67:89:ab;
        fixed-address 192.168.0.112;
        }
      }
    }
    
    ネットワーク設定に合わせて、サンプルパラメーターの subnetnetmaskroutersfixed-address、および hardware ethernet を変更します。filename パラメーターにも注意してください。これは、手順の前の grub2-mknetdir コマンドで出力されたファイル名です。
  6. 最後に、サービスを開始して有効にします。
    • dhcpd サービス:
      # systemctl start dhcpd
      # systemctl enable dhcpd
    • tftpd サービスを管理する xinetd サービス:
      # systemctl start xinetd
      # systemctl enable xinetd
この手順を完了すると、PXE ブートサーバーが PXE クライアントにサービスを提供できるようになります。12章IBM Power Systems でのインストールの起動 で説明されている手順に従って、このサーバーから Power Systems クライアントを起動します。
IBM Power Systems クライアント向けにネットワーク起動を設定する詳細情報については、IBM DeveloperWorks ウェブサイトのNetbooting on POWER - An Introductionを参照してください。

第25章 VNC の使用

Red Hat Enterprise Linux をインストールする方法として、グラフィカルインストールインターフェイスが推奨されます。ただし、グラフィカルインターフェイスへの直接のアクセスが困難または不可能な場合もあります。多くのエンタープライズシステム、特にサーバー (IBM Power Systems および IBM Z) には、ディスプレイやキーボードへの接続機能がなく、手動によるインストール (キックスタート以外) を行うために VNC が不可欠となります。
ヘッドレスシステム (ディスプレイ、キーボード、マウスが直接接続されていないシステム)での手動インストールを可能にするために、Anaconda インストールプログラムには Virtual Network Computing (VNC)インストールが含まれています。これにより、インストールプログラムのグラフィカルモードがローカルで実行でき、ネットワークに接続されているシステムで表示できます。VNC を使用したインストールを行うと、ディスプレイや入力デバイスがない場合でもすべてのインストールオプションを選択することができます。
本章では、インストールするシステムで VNC モードを作動させ、VNC ビューアーを使ってこのシステムに接続する方法を説明しています。

25.1. VNC ビューアーのインストール

VNC を使ったインストールを行う場合、ワークステーションまたは別の端末コンピューター上で VNC ビューアーを実行しておく必要があります。VNC ビューアーはほとんどの Linux ディストリビューションのリポジトリーに含まれています。また、Windows など他のオペレーティングシステムの場合にも無料 VNC ビューアーを入手することができます。Linux システムの場合は、パッケージマネージャーを使ってディストリビューションのビューアーを検索します。
Red Hat Enterprise Linux では、以下の VNC ビューアーを利用できます。
  • TigerVNC: デスクトップ環境に依存しない基本的なビューアーです。tigervnc パッケージとしてインストールされます。
  • vinagre: GNOME デスクトップ環境のビューアーです。vinagre パッケージとしてインストールされます。
  • KRDC: KDE デスクトップ環境に統合されているビューアーです。kdenetwork-krdc パッケージとしてインストールされます。
上記のビューアーのいずれかをインストールするには、root で以下のコマンドを実行します。
# yum install package
package は使用するビューアーのパッケージ名 (tigervnc など) に置き換えてください。
注記
本章の手順では、VNC ビューアーとして TigerVNC を使用していることを前提としています。他のビューアーの場合、手順が異なることがありますが全般的な原則は適用することができます。

25.2. VNC インストールの実行

Anaconda インストールプログラムは、VNC インストール用に 2 つのモードを提供します。これらのモードは Direct Mode および Connect Mode です。Direct モードでは、VNC ビューアーがインストールされているシステムへの接続を開始する必要があります。Connect モードでは、VNC ビューアーへの接続を開始するにはシステムをインストールしておく必要があります。接続が確立されると、この 2 つのモードに違いはありません。選択するモードは、お使いの環境の設定により異なります。
Direct モード
このモードでは、Anaconda はインストールを開始するように設定され、VNC ビューアーを待ってから続行します。インストールするシステムで IP アドレスとポートが表示されます。この情報を使って、別のコンピューターからインストールするシステムへの接続を確立します。このため、インストールするシステムで視覚的に対話が可能なアクセスを必要とします。
Connect モード
このモードでは、まずリモートシステム上の VNC ビューアーを リスニングモード で開始します。VNC ビューアーに指定ポートでの着信接続を待機させます。 次に、Anaconda が起動し、起動オプションまたはキックスタートコマンドを使用してホスト名およびポート番号が提供されます。インストールが開始されると、インストールプログラムは指定されたホスト名およびポート番号を使用して、リスニング VNC ビューアーで接続を確立します。このため、リモートシステムは、着信ネットワーク接続を許可できるようにしておく必要があります。

VNC インストールモードを選択する際の注意点

  • システムで視覚的に対話可能なアクセス
    • インストールするシステムで視覚的に対話が可能なアクセスがない場合は、Connect モードを使用する必要があります。
  • ネットワーク接続のルールとファイアウォール
    • インストールするシステムでファイアウォールにより着信接続が許可されていない場合は、Connect モードを使用するかファイアウォールを無効にする必要があります。ファイアウォールを無効にすると、セキュリティーに影響を及ぼす可能性があります。
    • VNC ビューアーを実行しているリモートのシステムでファイアウォールにより着信接続が許可されていない場合は、Direct モードを使用するかファイアウォールを無効にする必要があります。ファイアウォールを無効にすると、セキュリティーに影響を及ぼす可能性があります。ファイアウォールの設定方法はRed Hat Enterprise Linux 7 セキュリティーガイドを参照してください。
注記
VNC を使ったインストールを開始するには、カスタムの起動オプションを指定する必要があります。これを行う方法は、システムのアーキテクチャーによって異なります。アーキテクチャー固有の設定方法については次を参照してください。

25.2.1. VNC Direct モードでのインストール

Direct モードでは、VNC ビューアーがインストールされているシステムへの接続を開始する必要があります。Anaconda はこの接続の開始を要求します。

手順25.1 Direct モードで VNC を開始する

  1. インストールされているシステムへの接続に使用するワークステーション上で VNC ビューアーを実行します。たとえば、TigerVNC を使用する場合:

    図25.1 TigerVNC の接続詳細

    TigerVNC の接続詳細
  2. インストールシステムを起動し、ブートメニューが表示されるまで待ちます。メニューで Tab キーを押して起動オプションを編集します。inst.vnc オプションをコマンドラインの最後に追加します。
    必要に応じて、インストールシステムに VNC アクセスを制限する場合は、inst.vncpassword=PASSWORD 起動オプションも追加します。PASSWORD は、インストールで使用するパスワードに置き換えます。VNC パスワードは 6 文字から 8 文字に設定する必要があります。
    重要
    inst.vncpassword= オプションには一時的なパスワードを使用してください。システムで使用する実際のパスワードまたは root パスワードは指定しないでください。

    図25.2 AMD、Intel、および ARM システムでの VNC ブートオプションの追加

    AMD、Intel、および ARM システムでの VNC ブートオプションの追加
  3. Enter を押してインストールを開始します。システムはインストールプログラムを初期化し、必要なサービスを開始します。システムの準備ができると、以下のようなメッセージが画面上に表示されます。
    13:14:47 Please manually connect your VNC viewer to 192.168.100.131:1 to begin the install.
    IP アドレスとポート番号を書き留めます(上記の例では 192.168.100.131:1)。
  4. VNC ビューアーを実行しているシステムで、前の手順で取得した IP アドレスとポート番号を Anaconda で画面上に表示された形式と同じ形式で Connection Details ダイアログに入力します。次に、Connect をクリックします。VNC ビューアーによりインストールシステムに接続されます。VNC パスワードを設定する場合は、プロンプトが表示されたら入力し、OK をクリックします。
    VNC クライアントの使用に関する詳細は、Red Hat Enterprise Linux 7 システム管理者のガイド の該当するセクションを参照してください。
この手順が終了すると新しいウィンドウが開き、VNC 接続が確立され、インストールメニューが表示されます。このウィンドウでは、システムに直接インストールするときと同じように、Anaconda グラフィカルインターフェイスを使用できます。
次のいずれかに進みます。

25.2.2. VNC Connect モードでのインストール

Connect モードでは、インストールされているシステムがリモートシステム上で実行中の VNC ビューアーへ接続を開始します。作業の開始前に、リモートシステムで VNC に使用するポートでの着信接続が受け取れるよう設定されていることを確認してください。接続が妨害されていないことを確認する方法はネットワークやワークステーションの設定により異なります。ファイアウォール設定に関する詳細はRed Hat Enterprise Linux 7 Security Guideを参照してください。

手順25.2 Connect モードで VNC を開始する

  1. クライアント側のシステムで VNC ビューアーをリスニングモードで開始します。たとえば、TigerVNC を使用する Red Hat Enterprise Linux で、以下のコマンドを実行します。
    $ vncviewer -listen PORT
    PORT は、接続に使用するポート番号に置き換えます。
    端末に以下の例のようなメッセージが表示されます。

    例25.1 TigerVNC ビューアーの待機

    TigerVNC Viewer 64-bit v1.3.0 (20130924)
    Built on Sep 24 2013 at 16:32:56
    Copyright (C) 1999-2011 TigerVNC Team and many others (see README.txt)
    See http://www.tigervnc.org for information on TigerVNC.
    
    Thu Feb 20 15:23:54 2014
    main:        Listening on port 5901
    
    これで VNC ビューアーの準備が整い、インストールシステムからの着信接続を待機している状態になります。
  2. インストールするシステムを起動し、ブートメニューの表示を待ちます。メニューで Tab キーを押して起動オプションを編集します。コマンドラインに以下のオプションを追加します。
    inst.vnc inst.vncconnect=HOST:PORT
    HOST には VNC ビューアーを待機させているシステムの IP アドレス、PORT には VNC ビューアーがリッスンしているポート番号を入力します。
  3. Enter を押してインストールを開始します。システムはインストールプログラムを初期化し、必要なサービスを開始します。初期化が完了すると、Anaconda は前のステップで指定した IP アドレスとポートへの接続を試みます。
    接続が正常に確立されると、VNC ビューアーを実行するシステム上で新規のウィンドウが開き、インストールメニューが表示されます。このウィンドウでは、システムに直接インストールするときと同じように、Anaconda グラフィカルインターフェイスを使用できます。
この手順の終了後は、次に進むことができます。

25.3. キックスタートに関する注意点

VNC で使用するコマンドは、キックスタートを使ったインストールでも使用できます。vnc コマンドのみを使用すると、Direct モードを使用してインストールされます。Connect モードでのインストールでは、追加オプションが利用可能になります。キックスタートファイルで使用する vnc コマンドおよびオプションの詳細は、「キックスタートのコマンドとオプション」 を参照してください。

第26章 ヘッドレスシステム

ヘッドレスのシステムをインストールする場合、選択できるオプションはキックスタートによる自動インストールまたは Connect モードでの対話式 VNC インストールのみになります。自動キックスタートインストールの詳細は、「キックスタートのコマンドとオプション」 を参照してください。以下では対話式 VNC インストールの全般的な手順について説明します。
  1. インストールを開始するためのネットワーク起動サーバーをセットアップします。ネットワーク起動サーバーの基本設定のインストールおよび実行に関する情報は、24章ネットワークからのインストールの準備 を参照してください。
  2. Connect モードの VNC インストール用起動オプションを使用するようサーバーを設定します。これらの起動オプションは、「VNC Connect モードでのインストール」 を参照してください。
  3. 手順25.2「Connect モードで VNC を開始する」 に記載された手順に従って、Connect モードでの VNC インストールを実行します。ただし、システムを起動するよう指示されたら、ローカルメディアからではなく、ネットワークサーバーから起動します。

第27章 キックスタートを使ったインストール

27.1. キックスタートを使ったインストールとは

インストールプロセスを部分的または完全に自動化する方法がキックスタートを使ったインストールになります。キックスタートファイルには、システムで使用するタイムゾーン、ドライブのパーティション設定、インストールするパッケージなど、インストールプログラムで入力を求められる一般的な質問に対する答えがすべて格納されます。このため、準備されたキックスタートファイルをインストール開始時に提供することで、ユーザーによる作業を必要としない自動インストールが実行できるようになります。これは、Red Hat Enterprise Linux を多数のシステムに一度にデプロイする場合などに特に便利です。
キックスタートファイルを 1 つのサーバーに置くことで、インストール時に各コンピューターが読み込むことができます。この方法を使用すると、1 つのキックスタートファイルで複数のマシンに Red Hat Enterprise Linux をインストールできるため、ネットワークおよびシステム管理者には理想的な方法になります。
キックスタートスクリプトとその実行のログファイルは、インストールの失敗のデバッグに役立つように /tmp ディレクトリーに保存されます。
注記
キックスタートは、Red Hat Enterprise Linux の以前のバージョンではシステムをアップグレードするのに使用できました。Red Hat Enterprise Linux 7 では、この機能は削除されており、システムのアップグレードではなく、特殊なツールにより処理されます。詳細は 29章現在のシステムのアップグレード を参照してください。

27.2. キックスタートを使ったインストールの実行方法

キックスタートを使用したインストールは、ローカルの DVD またはローカルのハードドライブを使用するか、NFS、FTP、HTTP、HTTPS などにより実行できます。
キックスタートを使用する場合、次の手順を行う必要があります。
  1. キックスタートファイルを作成する
  2. リムーバブルメディア、ハードドライブ、ネットワークの場所のいずれかの場所でキックスタートファイルを利用可能にする
  3. インストール開始に使用する起動メディアを作成する
  4. インストールソースを準備する
  5. キックスタートを使ったインストールを開始する
本章では、これらの手順について詳しく見ていきます。

27.2.1. キックスタートファイルの作成

キックスタートファイル自体は、「キックスタート構文の参考資料」 に記載のキーワードを含むプレーンテキストファイルで、インストールでの指示出しのロールを果たします。ファイルを ASCII テキストとして保存できるテキストエディター(Linux システムの Gedit または vim、Windows システムの ノートパッド など)は、キックスタートファイルの作成および編集に使用できます。キックスタート設定ファイルには任意の名前を付けることができますが、後で他の設定ファイルやダイアログでこの名前を指定する必要があるため、シンプルな名前にしておくことが推奨されます。
まず任意のシステムに手動のインストールを行うことが、キックスタートファイル作成の推奨方法となります。インストールが完了すると、インストール中に行ったすべての選択肢が、インストール済みシステムの /root/ ディレクトリーにある anaconda-ks.cfg という名前のファイルに保存されます。このファイルをコピーして、必要に応じて変更を加えると、この後のインストールでこの設定ファイルを使用することができます。
重要
Red Hat カスタマーポータルのアカウントをお持ちの場合は、カスタマーポータル Labs の で入手 https://access.redhat.com/labs/kickstartconfig/ 可能な キックスタート設定ツール を使用できます。このツールは基本的な設定を説明し、作成されるキックスタートファイルのダウンロードを可能にします。ただし、このツールは現在、高度なパーティション作成をサポートしていません。
Kickstart Configurator (キックスタートファイルを作成するグラフィカルツール)は引き続き利用可能です。ただし、今後更新されることはなく、Red Hat Enterprise Linux 6 から 7 へのキックスタート構文における変更を反映しません。
キックスタートファイルを作成する際は次の点に注意してください。
  • 各セクションは決められた順序で指定してください。セクション内の項目については、特に指定がない限り順序は関係ありません。セクションの順序は次のようになります。
    重要
    %addon%packages%onerror%pre、および %post セクションは、%end で終了する必要があります。そうしないと、インストールプログラムがキックスタートファイルを拒否する必要があります。
  • 必須項目以外は省略しても構いません。
  • 必須項目が省略されている場合は、通常のインストール中のプロンプトと同様、インストールプログラムにより、その関連項目についての回答が求められます。回答を入力すると、インストールが自動的に続行されます (他にも省略されている部分があればその部分まで)。
  • ポンド(数字)記号(#)で始まる行はコメントとして扱われ、無視されます。

27.2.2. キックスタートファイルの維持

27.2.2.1. キックスタートファイルの確認
キックスタートファイルの作成時もしくはカスタマイズ時には、ファイルをインストールで使用する前にその有効性を確認すると便利です。Red Hat Enterprise Linux 7 には、これに使用できる ksvalidator コマンドラインユーティリティーが含まれています。このツールは、pykickstart パッケージに含まれます。このパッケージをインストールするには、root で以下のコマンドを実行します。
# yum install pykickstart
パッケージをインストールしたら、以下のコマンドを使用してキックスタートファイルを検証できます。
$ ksvalidator /path/to/kickstart.ks
/path/to/kickstart.ks は、確認するキックスタートファイルへのパスに置き換えます。
このツールの詳細は、ksvalidator (1) の man ページを参照してください。
重要
検証ツールには制限があることに留意してください。キックスタートファイルは非常に複雑になる場合があります。ksvalidator は構文が正しいこと、およびファイルに非推奨のオプションが含まれていないことを確認できますが、インストールの成功を保証することはできません。また、キックスタートファイルの %pre セクション、%post セクション、および %packages セクションは検証されません。
27.2.2.2. キックスタート構文の違い
Red Hat Enterprise Linux の主要リリース間では、キックスタートを使ったインストールの全般的な原則はほぼ同じですが、コマンドおよびオプションが変更されることがあります。ksverdiff コマンドを使用すると、2 つのバージョンのキックスタート構文の違いを表示できます。これは、既存のキックスタートファイルを新しいリリースで使用するための更新をする際に便利なコマンドです。Red Hat Enterprise Linux 6 と 7 の構文の変更一覧を表示するには、以下のコマンドを使用します。
$ ksverdiff -f RHEL6 -t RHEL7
-f オプションは、比較を開始するリリースを指定し、-t オプションは、終了するリリースを指定します。詳細は、ksverdiff (1) man ページを参照してください。

27.2.3. キックスタートファイルの準備

キックスタートファイルは次のいずれかの場所に配置しておく必要があります。
  • DVD や USB フラッシュドライブなどの リムーバブルメディア
  • インストールするシステムに接続している ハードドライブ
  • インストールするシステムからアクセスできる ネットワーク共有
通常、キックスタートファイルはリムバーブルメディアやハードドライブにコピーするか、ネットワーク上で利用できるようにしておきます。ファイルをネットワーク上の場所に置くことで、キックスタートインストールへの通常のアプローチが補完されます。通常のアプローチもネットワークベースです。PXE サーバーを使ってシステムが起動され、キックスタートファイルがネットワーク共有からダウンロードされます。そして、ファイルで指定されているソフトウェアパッケージがリモートのリポジトリーからダウンロードされます。
キックスタートファイルを準備して、インストールするシステムからアクセスできるようにする手順は、インストール ISO イメージまたはツリーの代わりにキックスタートファイルを使用する点以外は、インストールソースの準備とまったく同じになります。全手順は、「インストールソースの準備」 を参照してください。

27.2.4. インストールソースの準備

システムに必要なパッケージをインストールするため、キックスタートを使ったインストールではインストールソースにアクセスする必要があります。ソースは、Red Hat Enterprise Linux のフルインストール DVD ISO イメージまたは インストールツリー のいずれかになります。インストールツリーは、同じディレクトリー構造を持つバイナリー Red Hat Enterprise Linux DVD のコピーです。
DVD ベースのインストールの場合は、キックスタートインストールを開始する前に、Red Hat Enterprise Linux インストール DVD をコンピューターに挿入します。インストールソースとして Red Hat Enterprise Linux DVD を使用する方法は、「インストールソース - DVD」 を参照してください。
(ハードドライブまたは USB フラッシュドライブのいずれかを使った) ハードドライブインストールを実行する場合は、バイナリー Red Hat Enterprise Linux DVD の ISO イメージがコンピューターのハードドライブ上にあることを確認してください。インストールソースにハードドライブを使用する方法は、「インストールソース - ハードドライブ」 を参照してください。
ネットワークベース (NFS、FTP、HTTP など) のインストールを実行する場合は、ネットワーク経由でインストールツリーやバイナリー DVD ISO イメージ (使用するプロトコルによる) などにアクセスできることを確認してください。詳細は 「インストールソース - ネットワーク」 を参照してください。

27.2.5. キックスタートを使ったインストールの開始

注記
inst.ks= 起動オプションを指定せずにキックスタートファイルを自動的に読み込むには、ファイルに ks.cfg という名前を付け、OEMDRV というラベルが付いたストレージボリュームに配置します。
インストールシステムを起動する場合は、起動オプション inst.ks=location を使用します。location は、キックスタートファイルの場所に置き換えます。起動オプションを指定する方法は、システムのアーキテクチャーによって異なります。詳細は 23章起動オプション を参照してください。
64 ビット AMD、Intel、および ARM システム、ならびに IBM Power Systems サーバーでは、PXE サーバーを使って起動する機能があります。PXE サーバーの設定時に、ブートローダー設定ファイルに起動オプションを追加できます。これにより、インストールを自動的に開始できるようになります。このアプローチにより、ブートプロセスを含めたインストールを完全に自動化できるようになります。PXE サーバーの設定方法は24章ネットワークからのインストールの準備を参照してください。
本セクションでは、キックスタートファイルがインストールシステムからアクセスできる場所に既に配置されていること、また起動メディアまたはシステムを起動しインストールを開始することができる PXE サーバーのいずれかの準備が整っていることを前提としています。記載されている手順は、一部がシステムのアーキテクチャーによって異なるため、一般的な説明としてご利用ください。また、すべてのアーキテクチャーですべてのオプションが使用できるわけではありません (IBM Z では PXE 起動は使用できないなど)。
27.2.5.1. 手動でのキックスタートインストールの開始
本セクションでは、手動でキックスタートインストールを開始する方法を説明します。つまり、boot: プロンプトで起動オプションを追加する必要があります。

手順27.1 起動オプションを使ってキックスタートを使ったインストールを開始する

  1. ローカルメディア (CD、DVD、USB フラッシュドライブなど) のいずれかを使ってシステムを起動します。アーキテクチャー固有の詳細については以下をご覧ください。
  2. 起動プロンプトで、inst.ks= 起動オプションと、キックスタートファイルの場所を指定します。キックスタートファイルがネットワークの場所にある場合は、ip= オプションを使用したネットワークの設定が必要になる場合があります。必要なパッケージがインストールされるソフトウェアソースにアクセスするには、inst.repo= オプションが必要になる場合があります。
    起動オプションと有効な構文に関する詳細は、23章起動オプション を参照してください。
  3. 追加した起動オプションを確認してインストールを開始します。
これにより、キックスタートファイルで指定されているインストールオプションを使用したインストールが開始します。キックスタートファイルに問題がなく、必要なコマンドがすべて含まれていれば、この時点からインストールは完全に自動化で行われます。
27.2.5.2. 自動的なキックスタートインストールの開始
以下の手順では、ネットワーク起動 (PXE) サーバーと適切に設定されたブートローダーを使って、キックスタートを使ったインストールを完全に自動化する方法を説明します。この方法に従うと、必要な作業はシステムをオンにすることだけになります。この時点からインストールが完了するまで、他の対話形式は一切不要となります。
注記
IBM Z では PXE インストールは利用できません。

手順27.2 ブートローダー設定を編集してキックスタートを使ったインストールを開始する

  1. PXE サーバー上でブートローダー設定ファイルを開き、inst.ks= 起動オプションを適切な行に追加します。ファイル名と構文は、システムのアーキテクチャーおよびハードウェアにより異なります。
    • BIOS が搭載されている AMD64 システムおよび Intel 64 システムの場合、ファイル名は デフォルト か、システムの IP アドレスを基にできます。この場合は、インストールエントリーの append 行に inst.ks= オプションを追加します。設定ファイルの append 行の例を以下に示します。
      append initrd=initrd.img inst.ks=http://10.32.5.1/mnt/archive/RHEL-7/7.x/Server/x86_64/kickstarts/ks.cfg
    • GRUB2 ブートローダーを使用するシステム(64 ビット AMD、Intel、および ARM システムで UEFI ファームウェアおよび IBM Power Systems サーバーがある)システムでは、ファイル名は grub.cfg になります。このファイルで、インストールエントリーの kernel 行に inst.ks= オプションを追加します。設定ファイルの kernel 行の例を以下に示します。
      kernel vmlinuz inst.ks=http://10.32.5.1/mnt/archive/RHEL-7/7.x/Server/x86_64/kickstarts/ks.cfg
  2. ネットワークサーバーからインストールを起動します。アーキテクチャー固有の詳細については以下をご覧ください。
これでキックスタートファイルで指定されているインストールオプションを使用したインストールが開始します。キックスタートファイルに問題がなく、必要なコマンドがすべて含まれていれば、インストールは完全に自動で行われます。

27.3. キックスタート構文の参考資料

27.3.1. キックスタートのコマンドとオプション

注記
オプションの後に等号(=)が続く場合は、後に値を指定する必要があります。上記のコマンド例では、コマンドでは、角括弧([ ])内のオプションがオプションの引数です。
auth または authconfig (オプション)
authconfig コマンドを使用してシステムの認証オプションを設定します。インストール完了後もコマンドラインで実行できます。詳細は、authconfig (8) man ページおよび authconfig --help コマンドを参照してください。デフォルトでは、パスワードがシャドウ化されています。
警告
SSL プロトコルで OpenLDAP を使用する場合は、サーバー設定で SSLv2 プロトコルおよび SSLv3 プロトコルが無効になっていることを確認してください。POODLE SSL 脆弱性 (CVE-2014-3566) の影響を受けないようにするためです。詳細は https://access.redhat.com/solutions/1234843 を参照してください。
  • --enablenis - NIS サポートをオンにします。デフォルトでは、--enablenis はネットワーク上で見つけた任意のドメインを使用します。ドメインは、ほとんどの場合は --nisdomain= オプションを使って設定する必要があります。
  • --nisdomain= - NIS サービスに使用する NIS ドメイン名。
  • --nisserver= - NIS サービスに使用するサーバー (デフォルトではブロードキャスト)。
  • --useshadow または --enableshadow - シャドウパスワードを使用します。
  • --enableldap - /etc/nsswitch.conf で LDAP サポートを有効にし、システムが LDAP ディレクトリーからユーザーに関する情報(UID、ホームディレクトリー、シェルなど)を取得できるようにします。このオプションを使用するには、nss-pam-ldapd パッケージをインストールする必要があります。また、--ldapserver= および --ldapbasedn= で、サーバーとベース DN (識別名) も指定する必要があります。
  • --enableldapauth - LDAP を認証方法として使用します。これにより、LDAP ディレクトリーを使用した認証およびパスワード変更の pam_ldap モジュールが有効になります。この項目を使用するには、nss-pam-ldapd がインストールされている必要があります。また、--ldapserver= および --ldapbasedn= で、サーバーとベース DN (識別名) も指定する必要があります。お使いの環境で TLS (Transport Layer Security) が使用されない場合は、--disableldaptls スイッチを使用して、生成される設定ファイルが機能することを確認します。
  • --ldapserver=: --enableldap または --enableldapauth のいずれかを指定した場合は、このオプションで、使用する LDAP サーバーの名前を指定します。このオプションは /etc/ldap.conf ファイルに設定されます。
  • --ldapbasedn=: --enableldap または --enableldapauth のいずれかを指定した場合は、このオプションで、ユーザー情報が保存される LDAP ディレクトリーツリーに DN を指定します。このオプションは /etc/ldap.conf ファイルに設定されます。
  • --enableldaptls: TLS(Transport Layer Security) ルックアップを使用します。認証の前に、LDAP から LDAP サーバーに暗号化したユーザー名とパスワードを送信することができます。
  • --disableldaptls: 認証に LDAP を使用する環境で TLS (Transport Layer Security) ルックアップを使用しないでください。
  • --enablekrb5: ユーザーの認証に Kerberos 5 を使用します。Kerberos 自体はホームディレクトリー、UID、シェルなどを認識しません。Kerberos を有効にする場合は、LDAP、NIS、Hesiod または useradd コマンドを使用して、このワークステーションにユーザーのアカウントを認識させる必要があります。この項目を使用する場合は、pam_krb5 がインストールされている必要があります。
  • --krb5realm=: ワークステーションが属する Kerberos 5 レルム。
  • --krb5kdc=: レルムの要求を処理する KDC。領域内に複数の KDC がある場合は、空白を入れずにコンマで区切って指定します。
  • --krb5adminserver=: kadmind も実行しているレルムの KDC。このサーバーでパスワードの変更やその他の管理要求を処理します。複数の KDC を設置する場合、このサーバーはマスターの KDC で実行する必要があります。
  • --enablehesiod: ユーザーのホームディレクトリー、UID、シェルなどを検索できるよう Hesiod サポートを有効にします。ネットワーク上での Hesiod の設定および使用に関する詳細は、glibc パッケージに含まれる /usr/share/doc/glibc-2.x.x/README.hesiod を参照してください。Hesiod は DNS の拡張機能になります。DNS レコードを使ってユーザー、グループ、その他の情報を格納します。
  • --hesiodlhs および --hesiodrhs: /etc/hesiod.conf で設定される Hesiod LHS (左サイド)および RHS (右側)値。Hesiod ライブラリーはこれらの値を使用して、LDAP がベース DN を使用する方法と同様に、DNS で名前を検索します。
    ユーザー名 jim のユーザー情報を検索するには、Hesiod ライブラリーは jim.passwdLHSRHS を検索します。これは、passwd ファイルのそのユーザーのエントリーと同じ文字列を含む TXT レコードに対して解決する必要があります : jim:*:1001:1001:Jungle Jim:/home/jim:/bin/bashHesiod ライブラリーは、代わりに jim.groupLHSRHS を検索し、グループを検索します。
    ユーザーおよびグループを番号で検索するには、jim.passwd の CNAME を 1001.uid にし、jim.group の CNAME を 1001.gid にします。検索の実行時に、ライブラリーはピリオド(.)を LHS および RHS の値の前に配置しません。したがって、LHS と RHS の値の前にピリオドが必要な場合は、--hesiodlh--hesiodrhs に設定する値にピリオドを含める必要があります。
  • --enablesmbauth: SMB サーバー (通常は Samba または Windows サーバー) に対するユーザーの認証を有効にします。SMB 認証サポートでは、ホームディレクトリー、UID、シェルなどは認識しません。SMB を有効にする場合は、LDAP、NIS、Hesiod または useradd コマンドを使用して、ワークステーションにユーザーのアカウントを認識させる必要があります。
  • --smbservers=: SMB 認証に使用するサーバー名。複数のサーバーを指定するには、名前をコンマ()で区切ります。
  • --smbworkgroup=: SMB サーバーの workgroup の名前。
  • --enablecache - nscd サービスを有効にします。nscd サービスは、ユーザー、グループ、およびその他のタイプの情報をキャッシュします。NISLDAP、または Hesiod を使用して、ネットワーク経由でユーザーおよびグループに関する情報を配信する場合は、キャッシュが特に便利です。
  • --passalgo=: SHA-256 ハッシュアルゴリズムを設定するには sha256 を、SHA-512 ハッシュアルゴリズムは、sha512 を設定します。
autopart (任意)
自動的に作成するパーティション:ルート(/)パーティション(1 GB 以上)、swap パーティション、アーキテクチャーに適した /boot パーティション。十分な大きさのドライブ(50 GB 以上)では、/home パーティションも作成されます。
重要
autopart オプションは、同じキックスタートファイル内の part/partition オプション、raid オプション、logvol オプション、または volgroup オプションとは併用できません。
  • --type= - 事前定義済み自動パーティション設定スキームの中から、使用するスキームを選択します。次の値を取ります。
    • lvm: LVM パーティション設定スキーム
    • Btrfs: Btrfs パーティション設定スキーム
    • plain: LVM または Btrfs のない通常のパーティション。
    • thinp: LVM シンプロビジョニングのパーティション設定スキーム
    使用可能なパーティションスキームの説明は、「ファイルシステムのタイプ」 を参照してください。
  • --fstype= - 利用可能なファイルシステムのタイプを選択します。使用可能な値は、ext2ext3ext4xfs、および vfat です。デフォルトのファイルシステムは xfs です。これらのファイルシステムに関する詳細は「ファイルシステムのタイプ」を参照してください。
  • --nohome - /home パーティションの自動作成を無効にします。
  • --nolvm - 自動パーティション設定に LVM または Btrfs を使用しないでください。このオプションは - -type=plain と同じです。
  • --encrypted - すべてのパーティションを暗号化します。これは、手動グラフィカルインストール中の初期パーティション設定画面の Encrypt partitions チェックボックスをオンにすることと同じです。
    注記
    1 つ以上のパーティションを暗号化する際に、Anaconda は、パーティションを安全に暗号化するために 256 ビットのエントロピーを収集しようとします。エントロピーの収集には時間がかかる場合があります。十分なエントロピーが収集されたかどうかにかかわらず、このプロセスは最大 10 分後に終了します。
    プロセスは、インストールシステムと対話することにより高速化できます (キーボードで入力またはマウスの移動)。仮想マシンにインストールしている場合は、Red Hat Enterprise Linux 7 仮想化の導入および管理ガイドにあるように、virtio-rng デバイス (仮想のランダム番号ジェネレーター) をゲストにアタッチすることもできます。
  • --passphrase= - 暗号化した全デバイスに、デフォルトのシステムワイドパスフレーズを指定します。
  • --escrowcert=URL_of_X.509_certificate - 暗号化した全ボリュームのデータ暗号化の鍵を /root 配下にファイルとして格納します。URL_of_X.509 _certificate で指定した URL の X.509 証明書 を使用して暗号化します。鍵は暗号化したボリュームごとに別のファイルとして格納されます。--encrypted と併用しないと有効ではありません。
  • --backuppassphrase - 暗号化されたボリュームにそれぞれランダムに生成されたパスフレーズを追加します。これらのパスフレーズは /root 配下に別々のファイルに保存します。--escrowcert で指定した X.509 証明書を使用して暗号化されます。--escrowcert と併用しないと有効ではありません。
  • --cipher= - Anaconda のデフォルトである aes-xts-plain64 が飽和していない場合に使用する暗号化のタイプを指定します。--encrypted オプションと併用してください。このオプションだけを使用しても暗号化されません。利用可能な暗号化の種類は、Red Hat Enterprise Linux 7 セキュリティーガイド に記載されていますが、Red Hat では aes-xts-plain64 または aes-cbc-essiv:sha256 のいずれかの使用を強く推奨しています。
    注記
    CMS タイプの 1 つの FBA DASD にインストールする場合は、autopart --nohome のキックスタートオプションを使用することが推奨されます。これにより、インストーラーは別の /home パーティションを作成しません。その後、インストールは成功します。
autostep (任意)
キックスタートインストールでは、通常、必要ない画面は表示されません。このオプションを使用すると、すべてのウィンドウを省略せずに少しの間表示します。このオプションは、パッケージのインストールを中断させることができるため、システムのデプロイ時には使用しないでください。
  • --autoscreenshot - インストール中のすべてのステップでスクリーンショットを作成します。これらのスクリーンショットは、インストール時に /tmp/anaconda-screenshots/ に保存され、インストールが完了すると /root/anaconda-screenshots で確認できます。
    各スクリーンは、インストーラーが次のスクリーンに切り替える直前のショットを撮ります。必要なキックスタートオプションをすべて使用しておらず、インストールが自動的に開始しない場合は、自動的に設定されていないウィンドウに移動して、希望する設定を実行できるため、これは重要になります。完了 をクリックして続行 する と、指定した設定を含む画面がキャプチャーされます。
bootloader (必須)
ブートローダーのインストール方法を指定します。
重要
Red Hat は、全マシンにブートローダーのパスワードを設定することを強く推奨します。ブートローダーが保護されていないと、攻撃者によりシステムの起動オプションが修正され、システムへの不正アクセスが許可されてしまう可能性があります。
重要
sdX (または /dev/sdX) 形式でのデバイス名がシステムの再起動後に維持される保証がないため、一部のキックスタートコマンドを複雑にします。コマンドがデバイスノード名を呼び出す際には、代わりに /dev/disk からのアイテムを使用することができます。以下に例を示します。
part / --fstype=xfs --onpart=sda1
以下のいずれかのようなエントリーを使用します。
part / --fstype=xfs --onpart=/dev/disk/by-path/pci-0000:00:05.0-scsi-0:0:0:0-part1
part / --fstype=xfs --onpart=/dev/disk/by-id/ata-ST3160815AS_6RA0C882-part1
上記の手順により、コマンドは常に同じストレージデバイスをターゲットとします。これは、大規模なストレージ環境で特に役立ちます。ストレージデバイスを連続的に参照する別の方法については、Red Hat Enterprise Linux 7 ストレージ管理ガイドの永続ストレージデバイスの命名についての章を参照してください。
注記
場合によっては、64 ビットの AMD、Intel、および ARM のシステムにブートローダーをインストールするのに、特殊なパーティションが必要になります。このパーティションの種類およびサイズについては、ブートローダーをインストールするディスクが Master Boot Record (MBR) スキーマを使用するのか、それとも GUID Partition Table (GPT) スキーマを使用するのかによって異なります。詳細は、「ブートローダーのインストール」 を参照してください。
  • --append= - 追加のカーネルパラメーターを指定します。複数のパラメーターを指定する場合は空白で区切ります。以下に例を示します。
    bootloader --location=mbr --append="hdd=ide-scsi ide=nodma"
    rhgbquiet のパラメーターは、ここで特に指定しない場合や --append= コマンドを使用しない場合でも、常に使用されます。
    このオプションは、Meltdown および Spectre に起因する脆弱性の問題を軽減するために実装されたメカニズムを無効にする場合に便利です。投機的実行を悪用するもので、今日のほとんどのプロセッサーで確認されています (CVE-2017-5754、CVE-2017-5753、および CVE-2017-5715)。場合によっては、これらのメカニズムは不要で、有効にしてもセキュリティーは向上せずパフォーマンスが低下する可能性があります。これらのメカニズムを無効にするには、AMD64/Intel 64 システムの bootloader --append="nopti noibrs noibpb" などのオプションをキックスタートファイルに追加します。
    警告
    脆弱性の問題を軽減するメカニズムを無効にする場合は、システムが攻撃の危険にさらされていないことを確認する必要があります。Meltdown および Spectre に起因する脆弱性については、Red Hat vulnerability response article の記事を参照してください。
  • --boot-drive= - ブートローダーの書き込み先のドライブを指定します。つまり、コンピューターが起動するドライブです。ブートドライブにマルチパスデバイスを使用する場合は、disk/by-id/dm-uuid-mpath-WWID 名を使用してデバイスを指定します。
    重要
    現在、zipl ブートローダーを使用する IBM Z システムの Red Hat Enterprise Linux インストールでは、--boot-drive= オプションが無視されます。zipl をインストールすると、それ自体で起動ドライブが決まります。
  • --leavebootorder - インストーラーが、ブートローダーのインストール済みシステム一覧の最上位に Red Hat Enterprise Linux 7 を追加し、その順番と既存の全エントリーを保持します。
  • --driveorder= - BIOS の起動順序で最初のドライブを指定します。以下に例を示します。
    bootloader --driveorder=sda,hda
  • --location= - ブートレコードの書き込み先を指定します。使用できる値は以下のとおりです。
    • MBR - デフォルトのオプション。ドライブが使用しているのが Master Boot Record (MBR) スキームか GUID Partition Table (GPT) スキームかによって、動作が異なります。
      • GPT フォーマット済みディスクの場合は、ブートローダーのステージ 1.5 が BIOS 起動パーティションにインストールされます。
      • MBR フォーマット済みディスクの場合は、MBR と 1 番目のパーティションの間にある空白領域にステージ 1.5 がインストールされます。
    • partition - カーネルを含むパーティションの最初のセクターにブートローダーをインストールします。
    • None - ブートローダーをインストールしません。
    ほとんどの場合、このオプションは指定する必要がありません。
  • --password= - GRUB2 を使用している場合は、このオプションで指定したパスワードをブートローダーのパスワードに設定します。任意のカーネルオプションを指定できる GRUB2 シェルへのアクセスを制限するために使用する必要があります。
    パスワードを指定すると、GRUB2 はユーザー名も要求します。ユーザー名は常に root です。
  • --iscrypted - --password= オプションを使用してブートローダーのパスワードを指定すると、通常、キックスタートファイルにプレーンテキスト形式で保存されます。このパスワードを暗号化する場合に、このオプションを使用して暗号化パスワードを生成します。
    暗号化されたパスワードを生成するには、grub2-mkpasswd-pbkdf2 コマンドを使用して、使用するパスワードを入力し、コマンドの出力( grub.pbkdf2で始まるハッシュ)をキックスタートファイルにコピーします。暗号化したパスワードがあるキックスタートエントリーの bootloader の例は、以下のようになります。
    bootloader --iscrypted --password=grub.pbkdf2.sha512.10000.5520C6C9832F3AC3D149AC0B24BE69E2D4FB0DBEEDBD29CA1D30A044DE2645C4C7A291E585D4DC43F8A4D82479F8B95CA4BA4381F8550510B75E8E0BB2938990.C688B6F0EF935701FF9BD1A8EC7FE5BD2333799C98F28420C5CC8F1A2A233DE22C83705BB614EA17F3FDFDF4AC2161CEA3384E56EB38A2E39102F5334C47405E
  • --timeout= - ブートローダーがデフォルトオプションで起動するまでの待ち時間を指定します (秒単位)。
  • --default= - ブートローダー設定内のデフォルトのブートイメージを設定します。
  • --extlinux - GRUB2 の代わりに extlinux ブートローダーを使用します。このオプションは、extlinux でサポートされているシステムでのみ機能します。
  • --disabled - このオプションは、--location=none のより強力なバージョンになります。--location=none は単にブートローダーのインストールを無効にしますが、--disabled だとブートローダーのインストールを無効にするほか、ブートローダーを含むパッケージのインストールを無効にするため、領域が節約できます。
Btrfs (任意)
Btrfs ボリュームまたはサブボリュームを作成します。ボリュームを作成する場合の構文を示します。
btrfs mntpoint --data=level --metadata=level --label=label partitions
partitions には、1 つ以上のパーティションを指定できます。複数のパーティションを指定する場合、エントリーは単一スペースで区切ります。デモンストレーションについては、例27.1「Btrfs のボリュームとサブボリュームの作成」を参照してください。
サブボリュームを作成する場合の構文を示します。
btrfs mntpoint --subvol --name=path parent
parent はサブボリュームの親ボリュームとなる識別子です。mntpoint はファイルシステムをマウントする場所です。
  • --data= - ファイルシステムデータに使用する RAID レベルを指定します (例: 0、1、10)。このパラメーターは任意のもので、サブボリュームには影響ありません。複数の物理ディスクが必要になります。
  • --metadata= - ファイルシステム/ボリュームメタデータに使用する RAID レベルを指定します( 0110など)。オプション:このオプションは、サブボリュームには影響ありません。複数の物理ディスクが必要になります。
  • --label=: Btrfs ファイルシステムのラベルを指定します。指定したラベルが別のファイルシステムで既に使用されている場合には、新しいラベルが作成されます。このオプションは、サブボリュームには影響ありません。
  • --noformat または --useexisting: 既存の Btrfs ボリューム (またはサブボリューム) を使用し、ファイルシステムの再フォーマットは行いません。
  • --mkfsoptions= - このパーティションでファイルシステムを作成するプログラムに渡す追加のパラメーターを指定します。引数のリストでは処理が行われないため、直接 mkfs プログラムに渡すことのできる形式で処理を行う必要があります。つまり、複数のオプションはコンマ区切りにするか、二重引用符で囲む必要があります (ファイルシステムによって異なります)。
以下の例は、/ および /home のサブボリュームを使用して、3 つのディスク上のメンバーパーティションから Btrfs ボリュームを作成する方法を示しています。この例では、メインのボリュームは、直接マウントしたり、使用したりしません。

例27.1 Btrfs のボリュームとサブボリュームの作成

part btrfs.01 --size=6000 --ondisk=sda
part btrfs.02 --size=6000 --ondisk=sdb
part btrfs.03 --size=6000 --ondisk=sdc

btrfs none --data=0 --metadata=1 --label=rhel7 btrfs.01 btrfs.02 btrfs.03
btrfs / --subvol --name=root LABEL=rhel7
btrfs /home --subvol --name=home rhel7
clearpart (オプション)
新しいパーティションを作成する前に、システムからパーティションを削除します。デフォルトでは、パーティションは削除されません。
重要
sdX (または /dev/sdX) 形式でのデバイス名がシステムの再起動後に維持される保証がないため、一部のキックスタートコマンドを複雑にします。コマンドがデバイスノード名を呼び出す際には、代わりに /dev/disk からのアイテムを使用することができます。以下に例を示します。
part / --fstype=xfs --onpart=sda1
以下のいずれかのようなエントリーを使用します。
part / --fstype=xfs --onpart=/dev/disk/by-path/pci-0000:00:05.0-scsi-0:0:0:0-part1
part / --fstype=xfs --onpart=/dev/disk/by-id/ata-ST3160815AS_6RA0C882-part1
上記の手順により、コマンドは常に同じストレージデバイスをターゲットとします。これは、大規模なストレージ環境で特に役立ちます。ストレージデバイスを連続的に参照する別の方法については、Red Hat Enterprise Linux 7 ストレージ管理ガイドの永続ストレージデバイスの命名についての章を参照してください。
注記
clearpart コマンドを使用すると、論理パーティションで part --onpart コマンドは使用できません。
clearpart コマンドを含むパーティション設定の詳細な例は、「高度なパーティション設定の例」 を参照してください。
  • --all - システムにあるすべてのパーティションを消去します。
    警告
    このオプションを使用すると接続しているネットワークストレージなどインストーラーでアクセスできるディスクはすべて消去されます。使用する場合は注意が必要です。
    clearpart が、--drives= オプションを使用して消去するドライブのみを指定する、ネットワークストレージを後で接続(キックスタートファイルの %post セクションなど)、またはネットワークストレージへのアクセスに使用されるカーネルモジュールをブラックリストに登録することで、保持したいストレージが消去されないようにできます。
  • --drives= - ドライブを指定してパーティションを消去します。次の例では、プライマリー IDE コントローラーの 1 番目と 2 番目のドライブにあるパーティションをすべて消去することになります。
    clearpart --drives=hda,hdb --all
    マルチパスデバイスを削除するには、disk/by-id/scsi-WWID の形式を使用します。WWID は、デバイス の World- Wide Identifier です。WWID が 58095BEC5510947BE8C0360F604351918 のディスクを消去する場合は、以下を使用します。
    clearpart --drives=disk/by-id/scsi-58095BEC5510947BE8C0360F604351918
    この形式はすべてのマルチパスデバイスに適していますが、エラーが発生した場合は、論理ボリューム管理 (LVM)を使用しないマルチパスデバイスは、disk/by-id/dm-uuid-mpath-WWID 形式を使用して消去することもできます。WWID はデバイスの World - Wide Identifier です。WWID が 2416CD96995134CA5D787F00A5AA11017 のディスクを消去する場合は、以下を使用します。
    clearpart --drives=disk/by-id/dm-uuid-mpath-2416CD96995134CA5D787F00A5AA11017
    警告
    mpatha などのデバイス名でマルチパスデバイスを指定しないでください。このようなデバイス名は、特定のディスクに固有の名前ではありません。インストール中に /dev/mpatha という名前のディスクは、予想されるディスクではない場合があります。したがって、clearpart コマンドは誤ったディスクをターゲットにする可能性があります。
  • --initlabel - フォーマット用に指定されたそれぞれのアーキテクチャーで全ディスクに対してデフォルトのディスクラベルを作成して、ディスクを初期化します。たとえば、x86 の場合は msdos になります。--initlabel ではすべてのディスクが表示されてしまうため、フォーマット対象のドライブだけを接続することが重要です。
    clearpart --initlabel --drives=names_of_disks
    以下に例を示します。
    clearpart --initlabel --drives=dasda,dasdb,dasdc
  • --list= - 消去するパーティションを指定します。このオプションを使用すると、--all および --linux のオプションが上書きされます。異なるドライブ間で使用できます。以下に例を示します。
    clearpart --list=sda2,sda3,sdb1
  • --linux - すべての Linux パーティションを消去します。
  • --none (デフォルト) - パーティションを消去しません。
注記
キックスタートファイルで clearpart --all コマンドを使用してインストール中に既存のパーティションをすべて削除すると、Anaconda が一時停止し、特定のケースでは確認を求めるプロンプトが出される可能性があります。対話なしで自動的にインストールを実行する必要がある場合は、zerombr コマンドをキックスタートファイルに追加します。
cmdline (任意)
完全に非対話式のコマンドラインモードでインストールを実行します。対話のプロンプトがあるとインストールは停止します。このモードは、x3270 端末と共に IBM Z システムで使用する場合に便利です。「キックスタートを使ったインストールのパラメーター」 を参照してください。
重要
完全に自動的なインストールでは、キックスタートファイルで利用可能なモード(グラフィカルテキスト、または cmdline)のいずれかを指定するか、コンソール、環境、ディスプレイの各オプション で説明されているように、起動オプション console= を使用する必要があります。モードが指定されていない場合は、システムにより、続行前にいずれかを選択するように求められます。
device (任意)
ほとんどの PCI システムでは、イーサネットカードや SCSI カードが自動検出されます。ただし、旧式のシステムや一部の PCI では、適切なデバイスを検出できるようキックスタートにヒントを追加する必要があります。追加モジュールをインストールするようにインストールプログラムに指示する device コマンドは、以下の形式を使用します。
device moduleName --opts=options
  • moduleName: インストールが必要なカーネルモジュール名に置き換えます。
  • --opts=: カーネルモジュールに渡すオプションです。以下に例を示します。
    device --opts="aic152x=0x340 io=11"
driverdisk (任意)
ドライバーディスクは、キックスタートを使用したインストール中に、デフォルトでは含まれていないドライバーを追加する場合に使用します。ドライバーディスクのコンテンツを、システムのハードドライブにあるパーティションのルートディレクトリーにコピーする必要があります。次に、driverdisk コマンドを使用して、インストールプログラムがドライバーディスクとその場所を検索するように指定する必要があります。
driverdisk [partition|--source=url|--biospart=biospart]
ドライバーディスクにはネットワーク上の場所を指定することもできます。
driverdisk --source=ftp://path/to/dd.img
driverdisk --source=http://path/to/dd.img
driverdisk --source=nfs:host:/path/to/img
  • partition: ドライバーディスクを含むパーティションです。パーティションは、パーティション名( sdb1など)だけで なく、完全パス( /dev/sdb1など)として指定する必要があります。
  • --source= - ドライバーディスクの URL。NFS の場所は、nfs:host:/path/to/img の形式で指定できます。
  • --biospart= - ドライバーディスクを含む BIOS パーティションを指定します(例: 82p2)。
ドライバーディスクは、ネットワーク経由または initrd から読み込むのではなく、ハードディスクドライブまたは同様のデバイスから読み込むこともできます。以下の手順に従います。
  1. ハードディスクドライブ、USB、または同様のデバイスにドライバーディスクを読み込みます。
  2. このデバイスに対して DD などのラベルを設定します。
  3. キックスタートファイルに以下の行を追加します。
    driverdisk LABEL=DD:/e1000.rpm
DD を具体的なラベルに、dd.rpm は具体的な名前に置き換えます。LABEL ではなく、inst.repo コマンドで対応している内容を使用して、ハードディスクドライブを指定します。
e ULA (オプション)
ユーザーの介入を必要とせず、自動的に End User License Agreement (EULA) に同意する場合にこのオプションを使用します。このオプションを指定すると インストールが完了して初めてシステムを再起動した後に、ライセンス契約に同意するように求められなくなります。詳細は、30章初期設定 (Initial Setup) を参照してください。
  • --agreed (必須) - EULA に同意します。このオプションは常に使用する必要があります。使用しないと、eula コマンドは意味がありません。
FCoE (任意)
Enhanced Disk Drive Services (EDD) で検出されたデバイス以外で、自動的にアクティベートする FCoE デバイスを指定します。
fcoe --nic=name [options]
  • --nic= (必須) - アクティベートするデバイス名です。
  • --dd= - データセンターブリッジ (DCB) の設定を確立します。
  • --autovlan - VLAN を自動検出します。
ファイアウォール (任意)
インストールされるシステムのファイアウォールの設定を指定します。
firewall --enabled|--disabled device [options]
  • --enabled または --enable - DNS 応答や DHCP 要求など、発信要求に対する応答ではない着信接続を拒否します。このマシンで実行中のサービスへのアクセスが必要な場合は、特定サービスに対してファイアウォールの通過許可を選択できます。
  • --remove-service - サービスがファイアウォールを通過するのを許可しません。
  • --disabled または --disable - iptable ルールを一切設定しません。
  • --trust - em1 などのデバイスを指定して、デバイスに対する着信トラフィックおよび発信トラフィックすべてを許可し、ファイアウォールを通過できるようにします。。複数のデバイスを一覧表示するには、--trust em1 --trust em2 を使用します。--trust em1, em2 などのコンマ区切りは使用しないでください。
  • incoming: 指定したサービスがファイアウォールを通過できるよう以下のいずれかに置き換えます (複数指定が可能です)。
    • --ssh
    • --smtp
    • --http
    • --ftp
  • --port= - port:protocol の形式で指定したポートのファイアウォール通過を許可できます。たとえば、IMAP アクセスを許可するには、imap:tcp を指定します。数値ポートを明示的に指定することもできます。たとえば、ポート 1234 の UDP パケットを許可するには、1234:udp を指定します。複数のポートを指定する場合は、コンマで区切って指定します。
  • --service= - このオプションは、サービスがファイアウォールを通過できるように高レベルの方法を提供します。一部のサービス( cupsavahi など)では、サービスを機能させるために複数のポートを開くか、またはその他の特別な設定が必要になります。--port オプションを使用して各ポートを指定するか、--service= を指定して、すべてを一度に開くことができます。
    firewalld パッケージの firewall-offline-cmd プログラムが認識するオプションは、すべて使用できます。firewalld を実行している場合は、firewall-cmd --get-services を実行すると、既知のサービス名の一覧が表示されます。
firstboot (任意)
システムの初回起動時に、初期セットアップ アプリケーションを起動するかどうかを決定します。有効にする場合は、initial-setup パッケージをインストールする必要があります。何も指定しないとデフォルトで無効になるオプションです。
  • --enable または --enabled - システムの初回起動時に、初期セットアップ を開始します。
  • --disable または --disabled - システムの初回起動時に、初期セットアップ を開始しません。
  • --reconfig - システムの起動時に、初期セットアップ が再設定モードで開始します。このモードでは、デフォルトの設定のほかに、言語、マウス、キーボード、root パスワード、セキュリティーレベル、タイムゾーン、ネットワーク設定オプションなどを設定できます。
group (任意)
システムに新しいユーザーグループを作成します。そのグループ名または GID がすでに存在している場合、このコマンドは失敗します。さらに、user コマンドを使用して、新しく作成されたユーザーに新しいグループを作成できます。
group --name=name [--gid=gid]
  • --name= - グループ名を指定します。
  • --gid= - グループの GID です。指定しないとシステムの GID 以外で次に使用可能な GID がデフォルト設定されます。
graphical (オプション)
グラフィカルモードでインストールを実行します。これはデフォルトです。
重要
完全に自動的なインストールでは、キックスタートファイルで利用可能なモード(グラフィカルテキスト、または cmdline)のいずれかを指定するか、コンソール、環境、ディスプレイの各オプション で説明されているように、起動オプション console= を使用する必要があります。モードが指定されていない場合は、システムにより、続行前にいずれかを選択するように求められます。
halt (任意)
インストールが正常に完了するとシステムを一時停止します。これは手動インストールと似ていますが、Anaconda はメッセージを表示し、ユーザーがキーを押すのを待ってから再起動します。キックスタートを使ったインストールでは、完了方法の指定がない場合、このオプションがデフォルトとして使用されます。
halt コマンドは shutdown -h コマンドと同じです。
他の完了方法については、poweroff コマンド、reboot コマンド、および shutdown コマンドを参照してください。
ignoredisk (任意)
インストールプログラムが指定ディスクを無視するようにします。自動パーティション設定を使用して、特定のディスクを無視する場合に便利なオプションです。たとえば、ignoredisk なしで SAN クラスターにデプロイしようとすると、インストールプログラムが SAN へのパッシブパスを検出し、パーティションテーブルが返されないため、キックスタートが失敗します。
ignoredisk --drives=drive1,drive2,...
driveN は、sdasdbhda などです。
重要
sdX (または /dev/sdX) 形式でのデバイス名がシステムの再起動後に維持される保証がないため、一部のキックスタートコマンドを複雑にします。コマンドがデバイスノード名を呼び出す際には、代わりに /dev/disk からのアイテムを使用することができます。以下に例を示します。
part / --fstype=xfs --onpart=sda1
以下のいずれかのようなエントリーを使用します。
part / --fstype=xfs --onpart=/dev/disk/by-path/pci-0000:00:05.0-scsi-0:0:0:0-part1
part / --fstype=xfs --onpart=/dev/disk/by-id/ata-ST3160815AS_6RA0C882-part1
上記の手順により、コマンドは常に同じストレージデバイスをターゲットとします。これは、大規模なストレージ環境で特に役立ちます。ストレージデバイスを連続的に参照する別の方法については、Red Hat Enterprise Linux 7 ストレージ管理ガイドの永続ストレージデバイスの命名についての章を参照してください。
論理ボリューム管理 (LVM)を使用しないマルチパスデバイスを無視するには、disk/by-id/dm-uuid-mpath-WWID の形式を使用します。WWID はデバイスの World - Wide Identifier です。たとえば、WWID 2416CD96995134CA5D787F00A5AA11017 のディスクを無視するには、以下を使用します。
ignoredisk --drives=disk/by-id/dm-uuid-mpath-2416CD96995134CA5D787F00A5AA11017
警告
mpatha などのデバイス名でマルチパスデバイスを指定しないでください。このようなデバイス名は、特定のディスクに固有の名前ではありません。インストール中に /dev/mpatha という名前のディスクは、予想されるディスクではない場合があります。したがって、clearpart コマンドは誤ったディスクをターゲットにする可能性があります。
  • --only-use - インストールプログラムで使用するディスクの一覧を指定します。これ以外のディスクはすべて無視されます。たとえば、インストール中にディスク sda を使用し、他のすべてのディスクを無視するには、次のコマンドを実行します。
    ignoredisk --only-use=sda
    LVM を使用しないマルチパスのデバイスを指定する場合は、次のコマンドを実行します。
    ignoredisk --only-use=disk/by-id/dm-uuid-mpath-2416CD96995134CA5D787F00A5AA11017
    LVM を使用するマルチパスのデバイスを指定する場合は、次のコマンドを実行します。
    ignoredisk --only-use=/dev/disk/by-id/dm-uuid-mpath-
    bootloader --location=mbr
  • --interactive - 高度なストレージ画面を手動で移動できます。
インストール (任意)
デフォルトのインストールモードです。インストールタイプを cdromharddrivenfsliveimg、または url (FTP、HTTP、または HTTPS インストールの場合)から指定する必要があります。install コマンドとインストール方法のコマンドは別々の行に指定する必要があります。以下に例を示します。
install
liveimg --url=file:///images/install/squashfs.img --noverifyssl
  • cdrom - システムの最初の光学ドライブからインストールします。
  • harddrive: ローカルドライブの Red Hat インストールツリーまたは完全インストール ISO イメージからインストールします。ドライブには、インストールプログラムがマウントできるファイルシステム( ext2ext3ext4vfat、または xfs )が含まれている必要があります。
    • --biospart= - インストール元となる BIOS パーティションを指定します( 82など)。
    • --partition= - インストール元となるパーティション( sdb2など)。
    • --dir= - インストールツリーの variant ディレクトリー、または完全インストール DVD の ISO イメージを含むディレクトリーです。
    以下に例を示します。
    harddrive --partition=hdb2 --dir=/tmp/install-tree
  • liveimg: パッケージの代わりにディスクイメージからインストールします。イメージは、ライブ ISO イメージの squashfs.img ファイル、圧縮 tar ファイル(.tar.tbz.tgz、.txz、.txz.tar.bz2.tar.gz、または .tar.xz )、またはインストールメディアがマウントできるファイルシステムになります。サポートされるファイルシステムは、ext2ext3ext4vfat、および xfs です。
    注記
    ドライバーディスクで liveimg インストールモードを使用する場合、ディスク上のドライバーは自動的にインストール済みシステムに含まれません。必要に応じて、これらのドライバーを手動でインストールするか、キックスタートスクリプトの %post セクションにインストールする必要があります。
    • --url= - インストール元となる場所です。HTTPHTTPSFTPfile が対応プロトコルになります。
    • --proxy= - インストールの実行中に使用する HTTPHTTPS、または FTP プロキシーを指定します。
    • --checksum= - 検証に使用されるイメージファイルの SHA256 チェックサムを持つ任意の引数。
    • --noverifyssl - HTTPS サーバーへの接続時に SSL 検証を無効にします。
    以下に例を示します。
    liveimg --url=file:///images/install/squashfs.img --checksum=03825f567f17705100de3308a20354b4d81ac9d8bed4bb4692b2381045e56197 --noverifyssl
  • nfs - 指定した NFS サーバーからインストールします。
    • --server= - インストール元となるサーバーを指定します (ホスト名または IP)。
    • --dir= - インストールツリーの variant ディレクトリーを含むディレクトリーを指定します。
    • --opts= - NFS エクスポートのマウントに使用するマウントポイントを指定します (オプション)。
    以下に例を示します。
    nfs --server=nfsserver.example.com --dir=/tmp/install-tree
  • URL: FTPHTTP、または HTTPS プロトコルを使用して、リモートサーバーのインストールツリーからインストールします。URL は 1 つだけ指定できます。
    • --url= - インストール元となる HTTPHTTPSFTP、または ファイル の場所を指定します。
    • --mirrorlist= - インストール元となるミラー URL を指定します。
    • --proxy= - インストール時に使用する HTTPHTTPS、または FTP プロキシーを指定します。
    • --noverifyssl - HTTPS サーバーへの接続時に SSL 検証を無効にします。
    以下に例を示します。
    url --url http://server/path
    または
    url --url ftp://username:password@server/path
iSCSI (任意)
iscsi --ipaddr=address [options]
インストール中に追加で接続する iSCSI ストレージを指定します。iscsi コマンドを使用する場合は、iscsiname コマンドを使用して iSCSI ノードに名前を割り当てる必要もあります。iscsiname コマンドは、キックスタートファイルで iscsi コマンドの前に表示されている必要があります。
iscsi コマンドではなく、システムの BIOS またはファームウェア(Intel システムの場合は iBFT)で iSCSI ストレージを設定することを推奨します。Anaconda は BIOS またはファームウェアで設定されたディスクを自動的に検出して使用し、キックスタートファイルで特別な設定は必要ありません。
iscsi コマンドを使用する必要がある場合は、インストールの開始時にネットワークがアクティブになっており、iscsi コマンドが、clearpartignoredisk などのコマンドで iSCSI ディスクを参照する に、キックスタートファイルに表示されることを確認します。
  • --ipaddr= (必須) - 接続先ターゲットの IP アドレスを指定します。
  • --port= (必須) - ポート番号 (通常は --port=3260) を指定します。
  • --target= - ターゲットの IQN (iSCSI 修飾名) を指定します。
  • --iface= - ネットワーク層で確定されるデフォルトのネットワークインターフェイスではなく、特定のネットワークインターフェイスに接続をバインドします。使用後は、キックスタートファイル全体で iscsi コマンドのすべてのインスタンスで指定する必要があります。
  • --user= - ターゲットでの認証に必要なユーザー名を指定します。
  • --password= - ターゲットに指定したユーザー名のパスワードを指定します。
  • --reverse-user= - 逆 CHAP 認証を使用するターゲットのイニシエーターでの認証に必要なユーザー名を指定します。
  • --reverse-password= - イニシエーターに指定したユーザー名のパスワードを指定します。
iscsiname (任意)
iscsi パラメーターで指定された iSCSI ノードに名前を割り当てます。キックスタートファイルで iscsi パラメーターを使用する場合は、先に iscsiname を指定する必要があります。
iscsiname iqn
%addon com_redhat_kdump (オプション)
このコマンドは、kdump カーネルクラッシュのダンプメカニズムを設定します。
注記
このコマンドは、ビルトインのキックスタートコマンドではなくアドオンであることから、構文は通常のものとは異なります。アドオンの詳細は、「キックスタートのアドオン」 を参照してください。
kdump は、システムのメモリーの内容を後で分析するために保存できるカーネルクラッシュのダンプメカニズムです。これは kexec に依存しており、システムを再起動しなくても別のカーネルのコンテキストから Linux カーネルを起動し、通常は失われてしまう最初のカーネルメモリーの内容を保持することができます。
システムクラッシュが発生すると、kexec は 2 番目のカーネルで起動します( キャプチャーカーネル)。このキャプチャーカーネルは、1 番目のカーネルからはアクセスできないシステムメモリーの予約部分に収納されています。kdump は、クラッシュしたカーネルメモリーの内容( クラッシュダンプ)をキャプチャーして、指定した場所に保存します。この場所は、このキックスタートコマンドを使用して設定することはできません。インストール後に /etc/kdump.conf 設定ファイルを編集して設定する必要があります。
Kdump の詳細は、Red Hat Enterprise Linux 7 カーネルクラッシュダンプガイド を参照してください。
利用可能なオプションは以下の通りです。
  • --enable - インストール済みのシステムで kdump を有効にします。
  • --disable - インストール済みのシステムで kdump を無効にします。
  • --reserve-mb= - kdump 用に予約するメモリーの量 (MiB 単位)。以下に例を示します。
    %addon com_redhat_kdump --enable --reserve-mb=128
    %end
    数値の代わりに auto を指定することもできます。その場合は、インストーラーがRed Hat Enterprise Linux 7 カーネル管理ガイドに記載の基準に基づいて自動でメモリー量を決定します。
    kdump を有効にして、--reserve-mb= オプションを指定しないと、auto の値が使用されます。
  • --enablefadump - 対応するシステム (特に IBM Power Systems サーバー) へのファームウェア補助によるダンピングを有効にします。
keyboard (必須)
システムで使用可能な 1 種類または複数のキーボードレイアウトを設定します。
  • --vckeymap= - 使用する VConsole キーマップを指定します。有効な名前は、.map.gz 拡張子のない /usr/lib/kbd/keymaps/ ディレクトリー内のファイルの一覧に対応します。
  • --xlayouts= - スペースなしのコンマ区切りリストとして使用する X レイアウトの一覧を指定します。setxkbmap (1) と同じ形式の値、レイアウト形式(cz など)、またはレイアウト ( バリアント)形式( cz(qwerty) など)のいずれかで指定します。
    使用できるレイアウトはすべて、Layoutsxkeyboard-config (7) man ページで確認できます。
  • --switch= - レイアウト切り替えのオプション一覧を指定します (複数のキーボードレイアウト切り替え用のショートカット)。複数のオプションは、空白なしのコンマで区切ってください。setxkbmap (1) と同じ形式の値を受け入れます。
    利用可能な切り替えオプションは、xkeyboard-config (7) man ページの Options で確認できます。
以下の例では、--xlayouts= オプションを使用して 2 つのキーボードレイアウト(英語(US)Czech (qwerty))を設定し、Alt+Shift を使用してそれらを切り替えできるようにします。
keyboard --xlayouts=us,'cz (qwerty)' --switch=grp:alt_shift_toggle
重要
--vckeymap= オプションまたは --xlayouts= オプションのいずれかを使用する必要があります。
lang (必須)
インストール中に使用する言語およびインストール後のシステムで使用するデフォルトの言語を設定します。たとえば、言語を英語に設定する場合は、次の行をキックスタートファイルに含めます。
lang en_US
/usr/share/system-config-language/locale-list ファイルは、各行の最初のコラムに有効な言語コードの一覧を提供し、system-config-language パッケージの一部です。
テキストモードのインストールでは、特定の言語には対応していません (中国語、日本語、韓国語、インド系言語など)。lang コマンドでこれらの言語を指定すると、インストールプロセスは英語で続行されますが、インストール済みシステムはデフォルト言語として選択を使用します。
  • --addsupport= - 追加言語のサポートを指定します。空白を入れずコンマで区切った形式を受け取ります。以下に例を示します。
    lang en_US --addsupport=cs_CZ,de_DE,en_UK
logging (任意)
インストール中に Anaconda のエラーログを制御します。インストール済みのシステムには影響しません。
logging [--host=host] [--port=port] [--level=debug|info|error|critical]
  • --host= - 指定したリモートホストにログ情報を送信します。ログを受け取るには、リモートホストで設定した syslogd プロセスが実行している必要があります。
  • --port= - リモートの syslogd プロセスがデフォルト以外のポートを使用する場合は、このオプションを使用して設定します。
  • --level= - tty3 に表示されるメッセージの最低レベルを指定します。ただし、このレベルに関係なくログファイルには全メッセージが送信されます。使用できる値は debuginfowarningerror、または critical です。
log Vol (オプション)
次の構文を使用して、論理ボリューム管理 (LVM) の論理ボリュームを作成します。LVM に関する詳細は、Red Hat Enterprise Linux 7 論理ボリュームマネージャーの管理を参照してください。このコマンドは、以下の構文を使用します。
logvol mntpoint --vgname=name --name=name [options]
注記
キックスタートを使用して Red Hat Enterprise Linux をインストールする場合は、論理ボリューム名およびボリュームグループ名にダッシュ(-)文字を使用しないでください。この文字を使用すると、インストールは正常に終了しますが、/dev/mapper/ ディレクトリーには、ダッシュが二重に各ボリュームとボリュームグループが一覧表示されます。たとえば、ボリュームグループ volgrp-01 に論理ボリューム logvol -01 が格納されている場合は、/dev/mapper/volgrp--01-logvol--01 と表示されます。
この制約が適用されるのは、新規作成の論理ボリュームおよびボリュームグループ名のみです。既存の論理ボリュームを --noformat オプションを使用して再利用する場合、その名前は変更されません。
logvol の実行例の詳細については、「高度なパーティション設定の例」 を参照してください。
  • mntpoint はパーティションをマウントする場所になります。次のいずれかの形式にしてください。
    • /パス
      / または /homeなど
    • swap
      このパーティションは、swap 領域として使用されます。
      自動的に swap パーティションのサイズを確定させる場合は、--recommended オプションを使用します。
      swap --recommended
      自動的に swap パーティションサイズを確定し、ハイバネート用に追加領域も配分するには、--hibernation オプションを使用します。
      swap --hibernation
      割り当てられるサイズは、--recommended で割り当てられる swap 領域に加え、システムの RAM の容量が割り当てられるサイズになります。
      これらのコマンドで割り当てられる swap サイズについては、「推奨されるパーティション設定スキーム」 (64 ビット AMD、Intel、および ARM システム)、「推奨されるパーティション設定スキーム」 (IBM Power Systems サーバー)、「推奨されるパーティション設定スキーム」 (IBM Z) を参照してください。
オプションは次のとおりです。
  • --noformat - 既存の論理ボリュームを使用し、フォーマットは行いません。
  • --useexisting - 既存の論理ボリュームを使用し、再フォーマットします。
  • --fstype= - 論理ボリュームのファイルシステムのタイプを設定します。有効な値は、xfsext2ext3ext4swapvfat です。
  • --fsoptions= - ファイルシステムをマウントする場合に使用するオプションの文字列を自由形式で指定します。この文字列はインストールされたシステムの /etc/fstab ファイルにコピーされ、引用符で囲む必要があります。
  • --mkfsoptions= - このパーティションでファイルシステムを作成するプログラムに渡す追加のパラメーターを指定します。引数のリストでは処理が行われないため、直接 mkfs プログラムに渡すことのできる形式で処理を行う必要があります。つまり、複数のオプションはコンマ区切りにするか、二重引用符で囲む必要があります (ファイルシステムによって異なります)。
  • --label= - 論理ボリュームのラベルを設定します。
  • --grow - このオプションは、利用可能なサイズ (存在する場合) を埋めるために、または最大サイズ設定 (指定されている場合) まで論理ボリュームを拡張するように指定します。--percent= または --size= のいずれかのオプションを使用して、最小サイズを指定する必要があります。
    注記
    イメージファイルへの書き込み時に領域を割り当てる方法は、Red Hat Enterprise Linux 7 ストレージ管理ガイド の イメージ ファイル を記述する 3.5.4. ホスト ストレージ セクションを参照してください。
  • --size= - 論理ボリュームのサイズを MiB 単位で指定します。このオプションは --percent= オプションと併用することはできません。
  • --percent= - サイズを静的に指定した論理ボリュームを考慮に入れた後のボリュームグループにある空き領域を表すパーセンテージとして、論理ボリュームのサイズを指定します。このオプションは --size= オプションと併用することはできません。
    重要
    論理ボリュームの新規作成時には、--size= オプションで静的なサイズを指定するか、--percent= オプションで残りの空き領域をパーセンテージとして指定する必要があります。1 つの論理ボリュームで、両方のオプションを使用することはできません。
    これは Red Hat Enterprise Linux 7.1 以降にのみ適用されることに留意してください。Red Hat Enterprise Linux 7.0 ではこれらのオプションは異なる動作をします。
  • --maxsize= - 論理ボリュームを grow に設定した場合の最大サイズを MiB 単位で指定します。500 などの整数値を指定します(単位は含めないでください)。
  • --recommended - swap 論理ボリュームを作成して、システムのハードウェアに基づいて、このボリュームのサイズを自動的に決定する時に、このオプションを使用します。推奨スキームについての詳細は、「推奨されるパーティション設定スキーム」 (64 ビット AMD、Intel、および ARM システム)、「推奨されるパーティション設定スキーム」 (IBM Power Systems)、および 「推奨されるパーティション設定スキーム」 (IBM Z) を参照してください。
  • --resize - 論理ボリュームのサイズを変更します。このオプションを使用する場合は、--useexisting--size も指定する必要があります。
  • --encrypted - --passphrase= オプションで入力したパスフレーズを使用して、この論理ボリュームを暗号化するように指定します。パスフレーズを指定しないと、インストールプログラムは autopart --passphrase コマンドで設定されるデフォルトのシステムワイドパスフレーズを使用します。または、インストールを停止して、デフォルトが設定されていない場合にはパスフレーズの入力が求められます。
    注記
    1 つ以上のパーティションを暗号化する際に、Anaconda は、パーティションを安全に暗号化するために 256 ビットのエントロピーを収集しようとします。エントロピーの収集には時間がかかる場合があります。十分なエントロピーが収集されたかどうかにかかわらず、このプロセスは最大 10 分後に終了します。
    プロセスは、インストールシステムと対話することにより高速化できます (キーボードで入力またはマウスの移動)。仮想マシンにインストールしている場合は、Red Hat Enterprise Linux 7 仮想化の導入および管理ガイドにあるように、virtio-rng デバイス (仮想のランダム番号ジェネレーター) をゲストにアタッチすることもできます。
  • --passphrase= - この論理ボリュームを暗号化する際に使用するパスフレーズを指定します。--encrypted オプションと併用してください。単独で使用しても暗号化されません。
  • --cipher= - Anaconda のデフォルトである aes-xts-plain64 が飽和していない場合に使用する暗号化のタイプを指定します。--encrypted オプションと併用してください。このオプションだけを使用しても暗号化されません。使用できる暗号化の種類についてはRed Hat Enterprise Linux 7 セキュリティーガイドに記載されていますが、Red Hat では aes-xts-plain64 または aes-cbc-essiv:sha256 のいずれかの使用を推奨しています。
  • --escrowcert=URL_of_X.509_certificate - 暗号化されたすべてのボリュームのデータ暗号化の鍵を /root 配下にファイルとして格納します。URL_of_X.509 _certificate で指定した URL の X.509 証明書 を使用して暗号化します。鍵は暗号化したボリュームごとに別のファイルとして格納されます。--encrypted と併用しないと有効ではありません。
  • --backuppassphrase - 暗号化されたボリュームにそれぞれランダムに生成されたパスフレーズを追加します。これらのパスフレーズは /root 配下に別々のファイルに保存します。--escrowcert で指定した X.509 証明書を使用して暗号化されます。--escrowcert と併用しないと有効ではありません。
  • --thinpool - シンプール論理ボリュームを作成します。( noneのマウントポイントを使用)
  • --metadatasize=size - 新しいシンプールデバイスのメタデータ領域サイズを指定します (MiB 単位)。
  • --chunksize=size - 新しいシンプールデバイスのチャンクサイズを指定します (KiB 単位)。
  • --thin - シン論理ボリュームを作成します。(--poolname が必要です。)
  • --poolname=name - シン論理ボリュームを作成するシンプール名を指定します。--thin オプションが必要です。
  • --profile=name - シン論理ボリュームで使用する設定プロファイル名を指定します。これを使用する場合は、この名前は特定の論理ボリュームのメタデータにも含まれることになります。デフォルトでは、利用可能なプロファイルは default および thin-performance で、/etc/lvm/profile/ ディレクトリーで定義されます。詳細は、lvm (8) man ページを参照してください。
  • --cachepvs= - 該当ボリュームのキャッシュとして使用する物理ボリュームをコンマ区切りで記入します。
  • --CacheMode= - この論理ボリュームのキャッシュ に使用するモードを指定します( writeback または writethrough のいずれか)。
    注記
    キャッシュされた論理ボリュームとそのモードの詳細は、lvmcache (7) man ページを参照してください。
  • --cacheSize= - 論理ボリュームにアタッチするキャッシュのサイズを MiB 単位で指定します。このオプションは、--cachepvs= オプションと併用する必要があります。
まずパーティションを作成します。次に論理ボリュームグループを作成して、論理ボリュームを作成します。以下に例を示します。
part pv.01 --size 3000
volgroup myvg pv.01
logvol / --vgname=myvg --size=2000 --name=rootvol
最初にパーティションを作成します。次に論理ボリュームグループを作成して、ボリュームグループに残っている領域の 90 % を占める論理ボリュームを作成します。以下に例を示します。
part pv.01 --size 1 --grow
volgroup myvg pv.01
logvol / --vgname=myvg --name=rootvol --percent=90
mediacheck (任意)
このコマンドを使用すると、インストール開始前にメディアチェックの実行が強制されます (rd.live.check)。このコマンドではインストール時の介入が必要となるため、デフォルトでは無効になっています。
マウント (任意)
マウントポイントを既存のブロックデバイスに割り当てます。また、指定したフォーマットに再フォーマットします (オプション)。
mount [--reformat [REFORMAT]] [--mkfsoptions MKFS_OPTS] [--mountoptions MOUNT_OPTS] device mntpoint
キックスタートの他の多くのストレージ設定コマンドとは異なり、mount では、キックスタートファイルでストレージ設定全体を記述する必要はありません。確認する必要があるのは、記述されたブロックデバイスがシステムに存在することだけです。ただし、すべてのデバイスがマウントされたストレージスタックを 作成 する場合は、part などの他のコマンドを使用する必要があります。
重要
mount は、同じキックスタートファイルの partlogvol、または autopart などの他のストレージ関連コマンドと併用することはできません。
必須の引数:
  • device - マウントするブロックデバイス。
  • mntpoint -device をマウントする場所。デバイスがアンマウント可能な場合は //usr などの有効なマウントポイントである必要があります( swapなど)。
その他の引数 (オプション):
  • --reformat= - デバイスを再フォーマットする新しい形式( ext4など)を指定します。
  • --mkfsoptions= - --reformat= で指定した新しいファイルシステムを作成するコマンドに渡す追加の引数を指定します。ここで指定する引数のリストは処理されないため、mkfs プログラムに直接渡すことができる形式で指定する必要があります。オプションのリストは、コンマ区切りにするか、二重引用符で囲む必要があります (ファイルシステムによって異なります)。詳細は、作成するファイルシステムの mkfs man ページで確認してください(例: mkfs.ext4 (8 )または mkfs.xfs (8))。
  • --mountoptions= - ファイルシステムをマウントする場合に使用するオプションを含む文字列を自由形式で指定します。文字列はインストールされたシステムの /etc/fstab ファイルにコピーされ、二重引用符で囲む必要があります。マウントオプションの完全なリストは mount (8) の man ページを、概要は fstab (5 )を参照してください。
ネットワーク (オプション)
ターゲットとなるシステムのネットワーク情報を設定し、インストール環境でネットワークデバイスを作動させます。最初の network コマンドで指定したデバイスは自動的にアクティベートされます。また、デバイスの起動は、--activate オプションでの明示的な指定が必要な場合もあります。
注記
em1wl3sp0 などの永続的な名前でネットワークデバイスを識別するために使用されるネットワークデバイス命名標準にはいくつかのタイプがあります。これらの標準については、Red Hat Enterprise Linux 7 ネットワークガイドを参照してください。
  • --activate - インストール環境でこのデバイスをアクティブにします。
    既にアクティブ化しているデバイスに対して --activate オプションを使用すると (たとえば、キックスタートファイルを取得できるよう起動オプションで設定したインターフェイスなど)、キックスタートファイルで指定している詳細を使用するようデバイスが再アクティブ化されます。
    デバイスにデフォルトのルートを使用しないようにするには、--nodefroute オプションを使用します。
  • --no-activate - インストール環境でこのデバイスをアクティブにしません。
    デフォルトでは、--activate オプションにかかわらず、Anaconda はキックスタートファイルの 1 番目のネットワークデバイスをアクティブにします。--no-activate オプションを使用して、デフォルトの設定を無効にできます。
  • --BOOTPROTO= - dhcpbootpibft、または static のいずれかを指定します。デフォルトのオプションは dhcp で、dhcpbootp オプションは同じです。デバイスの ipv4 設定を無効にするには、--noipv4 オプションを使用します。
    注記
    このオプションは、デバイスの ipv4 設定を行います。ipv6 の設定には、--ipv6 および --ipv6gateway のオプションを使用します。
    DHCP メソッドでは、DHCP サーバーシステムを使用してネットワーク設定を取得します。BOOTP メソッドも同様で、BOOTP サーバーがネットワーク設定を提供する必要があります。システムが DHCP を使用するようにする場合は、以下のように指定します。
    network --bootproto=dhcp
    BOOTP を使用してネットワーク設定を取得する場合は、キックスタートファイルで次の行を使用します。
    network --bootproto=bootp
    iBFT で指定されている設定を使用する場合は、以下のようにします。
    network --bootproto=ibft
    static メソッドでは、キックスタートファイルに IP アドレスとネットマスクを指定する必要があります。これらの情報は静的となるため、インストール時およびインストール後にも使用されます。
    すべての静的ネットワーク設定情報は 1 行で指定する必要があります。コマンドラインのようにバックスラッシュ(\)を使用して行をラップすることはできません。
    network --bootproto=static --ip=10.0.2.15 --netmask=255.255.255.0 --gateway=10.0.2.254 --nameserver=10.0.2.1
    ネームサーバーは同時に複数設定することもできます。以下のように、1 つの --nameserver= オプションに対して、ネームサーバーの IP アドレスをコンマ区切りで指定します。
    network --bootproto=static --ip=10.0.2.15 --netmask=255.255.255.0 --gateway=10.0.2.254 --nameserver=192.168.2.1,192.168.3.1
  • --device= - network コマンドで設定するデバイス(および最終的に Anacondaでアクティベート)を指定します。
    network コマンドの 初回 使用時に --device= オプションがない場合は、Anaconda 起動オプション ksdevice= の値(利用可能な場合)が使用されます。これは非推奨の動作と見なされることに注意してください。ほとんどの場合、すべての network コマンドに --device= を指定する必要があります。
    --device= オプションがない場合は、同じキックスタートファイル内の後続の network コマンドの動作が指定されていません。1 番目以降の network コマンドには、必ずこのオプションを指定してください。
    起動するデバイスは、以下のいずれかの方法で指定します。
    • インターフェイスのデバイス名(例: em1
    • インターフェイスの MAC アドレス( 01:23:45:67:89:abなど)
    • キーワード link: up 状態のリンクを持つ最初のインターフェイスを指定します。
    • キーワード bootif。これは、pxelinuxBOOTIF 変数に設定する MAC アドレスを使用します。pxelinuxBOOTIF 変数を設定するには、pxelinux.cfg ファイルに IPAPPEND 2 を設定します。
    以下に例を示します。
    network --bootproto=dhcp --device=em1
  • --ip= - デバイスの IP アドレスを指定します。
  • --ipv6= - デバイスの IPv6 アドレスを アドレス[/prefix length] の形式で指定します(例: 3ffe:ffff:0:1::1/128) prefix を省略すると、64 が使用されます。自動設定に auto を使用したり、DHCPv6 のみの設定に dhcp を使用することもできます(ルーター広告なし)。
  • --gateway= - 単一 IPv4 アドレスのデフォルトゲートウェイを指定します。
  • --ipv6gateway= - 単一 IPv6 アドレスのデフォルトゲートウェイを指定します。
  • --nodefroute - インターフェイスがデフォルトのルートとして設定されないようにします。iSCSI ターゲット用に別のサブネットにある NIC など、--activate= オプションで追加デバイスをアクティブにする場合は、このオプションを使用します。
  • --nameserver= - IP アドレスに DNS ネームサーバーを指定します。複数のネームサーバーを指定する場合は、1 つの オプションに対して、IP アドレスをコンマ区切りで指定します。
  • --NoDNS - DNS サーバーを設定しません。
  • --netmask= - インストール後のシステムのネットワークマスクを指定します。
  • --hostname= - インストールシステムのホスト名を指定します。ホスト名は、host _name. domainname 形式の完全修飾ドメイン名(FQDN)か、ドメインのない短縮ホスト名 のいずれかになります。多くのネットワークには、接続システムにドメイン名を自動的に供給する DHCP (Dynamic Host Configuration Protocol) サービスが備わっています。DHCP によるドメイン名の割り当てを許可する場合は、短縮ホスト名のみを指定してください。
    重要
    ネットワークが DHCP サービスを提供しない場合は、システムのホスト名に FQDN を必ず使用してください。
  • --ethtool= - ethtool プログラムに渡されるネットワークデバイスの低レベルの追加設定を指定します。
  • --essid= - ワイヤレスネットワークのネットワーク ID を指定します。
  • --wepkey= - ワイヤレスネットワークの WEP 暗号化キー。
  • --wpakey= - ワイヤレスネットワーク用の WPA 暗号化キー
  • --onboot= - システムの起動時にデバイスを有効にするかどうかを指定します。
  • --dhcpclass= - DHCP クラスを指定します。
  • --mtu= - デバイスの MTU を指定します。
  • --noipv4 - このデバイスで IPv4 を無効にします。
  • --noipv6 - このデバイスで IPv6 を無効にします。
  • --bondslaves= - このオプションを使用すると、--bondslaves= オプションで定義されたスレーブを使用して、--device= オプションで指定したネットワークデバイスが作成されます。以下に例を示します。
    network --device=mynetwork --bondslaves=em1,em2
    上記のコマンドは、em1 および em2 インターフェイスをスレーブとして使用し、mynetwork という名前のボンドデバイスを作成します。
  • --bondopts=: --bond slaves= および -- device= オプションを使用して指定するボンディングインターフェイスのオプションパラメーターの一覧です。この一覧のオプションは、コンマ(",")またはセミコロン(";")で区切る必要があります。オプション自体にコンマが含まれている場合はセミコロンを使用してください。以下に例を示します。
    network --bondopts=mode=active-backup,balance-rr;primary=eth1
    使用できるオプションのパラメーターについては、Red Hat Enterprise Linux 7 システム管理者のガイドの『カーネルモジュールでの作業』の章に一覧があります。
    重要
    --bondopts=mode= パラメーターは、balance-rrbroadcast などの完全なモード名のみをサポートし、03 などの数値表現ではありません。
  • --vlanid= - --device= で指定したデバイスを親として作成する仮想デバイスの仮想 LAN (VLAN) の ID 番号 (802.1q タグ) を指定します。たとえば、network --device=em1 --vlanid=171 は、仮想 LAN デバイス em1.171 を作成します。
  • --interfacename= - 仮想 LAN デバイスのカスタムのインターフェイス名を指定します。--vlanid= オプションで生成されるデフォルト名が望ましくない場合に使用してください。--vlanid= と併用する必要があります。以下に例を示します。
    network --device=em1 --vlanid=171 --interfacename=vlan171
    上記のコマンドは、ID が 171em1 デバイス上に vlan171 という名前の仮想 LAN インターフェイスを作成します。
    インターフェイス名は任意(例: my-vlan)にすることができますが、特定のケースでは、以下の規則に従う必要があります。
    • 名前にドット()が含まれている場合は、NAME .ID の形式で指定する必要があります。NAME は任意の名前で構いませんが ID は VLAN ID にする必要があります。例: em1.171 または my-vlan.171
    • vlan で始まる名前は vlanID の形式にする必要があります(例: vlan171 )。
  • --teamslaves= - このオプションで指定したスレーブを使用して、--device= オプションで指定したチームデバイスを作成します。スレーブとスレーブの間はコンマで区切ってください。スレーブの後ろにその設定を指定できます。\ 文字でエスケープした二重引用符で一重引用符で囲まれた JSON 文字列になります。以下に例を示します。
    network --teamslaves="p3p1'{\"prio\": -10, \"sticky\": true}',p3p2'{\"prio\": 100}'"
    --teamconfig= オプションも参照してください。
  • --teamconfig= - 二重引用符付きの JSON 文字列で \ 文字でエスケープしたチームデバイスの設定を二重引用符で囲みます。デバイス名は --device= オプションで指定し、スレーブとその設定は、--teamslaves= オプションで設定します。以下に例を示します。
    network --device team0 --activate --bootproto static --ip=10.34.102.222 --netmask=255.255.255.0 --gateway=10.34.102.254 --nameserver=10.34.39.2 --teamslaves="p3p1'{\"prio\": -10, \"sticky\": true}',p3p2'{\"prio\": 100}'" --teamconfig="{\"runner\": {\"name\": \"activebackup\"}}"
  • --bridgeslaves= - このオプションを使用すると、--device= オプションで指定したデバイス名でネットワークブリッジが作成され、このネットワークブリッジに、--bridgeslaves= オプションで指定したデバイスが追加されます。以下に例を示します。
    network --device=bridge0 --bridgeslaves=em1
  • --bridgeopts= - オプションでブリッジしたインターフェイス用パラメーターの一覧をコンマで区切って指定します。使用可能な値は、stppriorityforward-delayhello-timemax-age、および ageing-time です。これらのパラメーターの詳細は、nm-settings (5) man ページの 『bridge setting』 table または を参照して https://developer.gnome.org/NetworkManager/0.9/ref-settings.html ください。
    ネットワークブリッジについての全般的な情報については、 Red Hat Enterprise Linux 7 ネットワークガイドを参照してください。
  • --bindto=mac - インストール済みシステム上のデバイス設定(ifcfg)ファイルを、インターフェイス名(DEVICE)へのデフォルトのバインディングではなく、デバイスの MAC アドレス(HWADDR)にバインドします。このオプションは --device= オプションとは独立しています。同じ network コマンドでデバイス名、リンク、または bootif も指定されていても、--bindto=mac が適用されます。
NVDIMM (任意)
非揮発性デュアルインラインメモリーモジュール (NVDIMM) デバイスに関するアクションを実施します。このコマンドのフォーマットは以下のとおりです。
nvdimm action [options]
注記
デフォルトでは、インストーラーはすべての NVDIMM デバイスを無視します。これらのデバイスでのインストールを有効にするには、nvdimm コマンドを使用する必要があります。
以下のアクションを使用できます。
  • reconfigure - 特定の NVDIMM デバイスを特定のモードに再設定します。さらに、指定したデバイスは暗示的に使用されるように識別されるため、同じデバイスの後続の nvdimm use コマンドは冗長になります。このアクションは以下の形式を使用します。
    nvdimm reconfigure [--namespace=NAMESPACE] [--mode=MODE] [--sectorsize=SECTORSIZE]
    • --namespace= - 名前空間でデバイスを指定します。以下に例を示します。
      nvdimm reconfigure --namespace=namespace0.0 --mode=sector --sectorsize=512
    • --mode= - モードを指定します。現在、利用可能な値 セクター のみを使用できます。
    • --sectorsize= - セクターサイズ (セクターモードの場合)。以下に例を示します。
      nvdimm reconfigure --namespace=namespace0.0 --mode=sector --sectorsize=512
      サポートされるセクターサイズは 512 バイトおよび 4096 バイトです。
  • use - NVDIMM デバイスをインストールのターゲットとして指定します。デバイスは、nvdimm reconfigure コマンドでセクターモードに設定されている必要があります。このアクションは以下の形式を使用します。
    nvdimm use [--namespace=NAMESPACE|--blockdevs=DEVICES]
    • --namespace= - 名前空間でデバイスを指定します。以下に例を示します。
      nvdimm use --namespace=namespace0.0
    • --blockdevs= - 使用する NVDIMM デバイスに対応するブロックデバイスをコンマ区切りリストで指定します。アスタリスク * ワイルドカードがサポートされます。以下に例を示します。
      nvdimm use --blockdevs=pmem0s,pmem1s
      nvdimm use --blockdevs=pmem*
%addon org_fedora_oscap (オプション)
OpenSCAP インストーラーアドオンは、インストールシステム上で SCAP (Security Content Automation Protocol) のコンテンツ、セキュリティーポリシーを適用するために使用されます。Red Hat Enterprise Linux 7.2 以降、このアドオンがデフォルトで有効になりました。有効にすると、この機能の提供に必要なパッケージが自動的にインストールされます。ただし、デフォルトではポリシーが強制されることがなく、明確に設定されている場合を除いて、インストール時およびインストール後にチェックが行われません。
重要
セキュリティーポリシーの適用はすべてのシステムで必要なわけではありません。このウィンドウは、所定のポリシーの適用が業務規定や法令で義務付けられている場合にのみ使用してください。
その他のほとんどのコマンドとは異なり、このアドオンは通常のオプションを受け入れず、%addon 定義の本文でキーと値のペアを使用します。空白は無視されます。値は一重引用符(')または二重引用符()で囲むことができます。
アドオンは以下の鍵を認識します。
  • Content-type: セキュリティーコンテンツのタイプ。使用できる値は、datastreamarchiverpm、および scap-security-guide です。
    content-typescap-security-guide の場合、アドオンは scap-security-guide パッケージが提供するコンテンツを使用します。これはブートメディアにあります。つまり、profile 以外のキーはすべて効果がないことを意味します。
  • content-url: セキュリティーコンテンツの場所。コンテンツは、HTTP、HTTPS、FTP のいずれかを使用してアクセスできるようにする必要があります。ローカルストレージは現在、サポートされていません。リモートの場所にあるコンテンツ定義に到達するネットワーク接続が必要になります。
  • datastream-id - content-url 値で参照されるデータストリームの ID。content-typedatastream の場合のみ使用されます。
  • xdf-id - 使用するベンチマークの ID。
  • Xccdf-path - 使用する XCCDF ファイルへのパス。アーカイブの相対パスとして指定します。
  • profile - 適用するプロファイルの ID。default を使用してデフォルトのプロファイルを適用します。
  • フィンガープリント: content-url によって参照されるコンテンツの MD5、SHA1、または SHA2 のチェックサム。
  • tailoring-path - 使用するテーラリングファイルのパスを、アーカイブ内の相対パスで指定します。
インストールメディアの scap-security-guide のコンテンツを使用する %addon org_fedora_oscap セクションの例は、以下のようになります。

例27.2 SCAP Security Guide を使用した OpenSCAP アドオン定義の例

%addon org_fedora_oscap
content-type = scap-security-guide
profile = xccdf_org.ssgproject.content_profile_pci-dss
%end
Web サーバーからカスタムプロファイルを読み込むより複雑な例は、以下のようになります。

例27.3 データストリームを使用した OpenSCAP アドオン定義の例

%addon org_fedora_oscap
content-type = datastream
content-url = http://www.example.com/scap/testing_ds.xml
datastream-id = scap_example.com_datastream_testing
xccdf-id = scap_example.com_cref_xccdf.xml
profile =  xccdf_example.com_profile_my_profile
fingerprint = 240f2f18222faa98856c3b4fc50c4195
%end
SCAP セキュリティーガイドで使用可能なプロファイルの詳細は、Red Hat Enterprise Linux 7 セキュリティーガイドを参照してください。
part または partition (必須)
システムにパーティションを作成します。
警告
--noformat および --onpart を使用しないと、作成されたパーティションはすべてインストールプロセスの一部としてフォーマット化されます。
重要
sdX (または /dev/sdX) 形式でのデバイス名がシステムの再起動後に維持される保証がないため、一部のキックスタートコマンドを複雑にします。コマンドがデバイスノード名を呼び出す際には、代わりに /dev/disk からのアイテムを使用することができます。以下に例を示します。
part / --fstype=xfs --onpart=sda1
以下のいずれかのようなエントリーを使用します。
part / --fstype=xfs --onpart=/dev/disk/by-path/pci-0000:00:05.0-scsi-0:0:0:0-part1
part / --fstype=xfs --onpart=/dev/disk/by-id/ata-ST3160815AS_6RA0C882-part1
上記の手順により、コマンドは常に同じストレージデバイスをターゲットとします。これは、大規模なストレージ環境で特に役立ちます。ストレージデバイスを連続的に参照する別の方法については、Red Hat Enterprise Linux 7 ストレージ管理ガイドの永続ストレージデバイスの命名についての章を参照してください。
part の実行例の詳細については、「高度なパーティション設定の例」 を参照してください。
part|partition mntpoint [options]
  • mntpoint: パーティションをマウントする場所です。値は次のいずれかの形式になります。
    • /パス
      たとえば、//usr/homeです。
    • swap
      このパーティションは、swap 領域として使用されます。
      自動的に swap パーティションのサイズを確定させる場合は、--recommended オプションを使用します。
      swap --recommended
      有効なサイズが割り当てられますが、システムに対して正確に調整されたサイズではありません。
      自動的に swap パーティションサイズを確定しながら、ハイバネート用に余剰領域も割り当てる場合は、--hibernation オプションを使用します。
      swap --hibernation
      割り当てられるサイズは、--recommended で割り当てられる swap 領域に加え、システムの RAM の容量が割り当てられるサイズになります。
      これらのコマンドで割り当てられる swap サイズについては、「推奨されるパーティション設定スキーム」 (64 ビット AMD、Intel、および ARM システム)、「推奨されるパーティション設定スキーム」 (IBM Power Systems サーバー)、「推奨されるパーティション設定スキーム」 (IBM Z) を参照してください。
    • raid.id
      パーティションはソフトウェア RAID に使用されます(RAID を参照 )
    • pv.id
      パーティションは LVM に使用されます( logvolを参照)。
    • biosboot
      このパーティションは、BIOS 起動パーティションに使用されます。GPT (GUID Partition Table) を使用する BIOS ベースの AMD64 および Intel 64 システムには 1 MiB の BIOS 起動パーティションが必要になります。UEFI システムには必要ありません。bootloader コマンドも参照してください。
    • /boot/efi
      EFI システムパーティションです。UEFI ベースの AMD、Intel、および ARM には 50 MiB の EFI パーティションが必要になります。推奨されるサイズは 200 MiB です。BIOS システムには必要ありません。bootloader コマンドも参照してください。
  • --size= - パーティションの最小サイズを MiB 単位で指定します。500 などの整数値を指定します(単位は含めないでください)。
    重要
    --size の値が小さすぎると、インストールに失敗します。--size の値は、必要となる領域の最小容量として設定します。推奨されるサイズは、「推奨されるパーティション設定スキーム」 を参照してください。
  • --grow - これを指定すると、最大利用可能サイズ、または指定限度サイズまでパーティションが拡張されます。
    注記
    swap パーティションに --maxsize= を設定せずに --grow= を使用すると、Anaconda は swap パーティションの最大サイズを制限します。物理メモリーが 2 GB 未満のシステムの場合は、物理メモリー量の 2 倍に制限されます。物理メモリーが 2 GB 以上のシステムの場合は、物理メモリー量に 2GB を足した量に制限されます。
  • --maxsize= - パーティションが grow に設定されている場合の最大サイズを MiB 単位で指定します。500 などの整数値を指定します(単位は含めないでください)。
  • --noformat - パーティションをフォーマットしない場合に指定します。--onpart コマンドと併用してください。
  • --onpart= または --usepart= - 既存の空のデバイスを使用して、新規の指定された種類にフォーマットします。以下に例を示します。
    partition /home --onpart=hda1
    /home/dev/hda1 に配置します。
    このオプションを使用して、パーティションを論理ボリュームに追加することもできます。以下に例を示します。
    partition pv.1 --onpart=hda2
    この場合は、デバイスがシステムに存在している必要があります。--onpart オプションでデバイスを作成するわけではありません。
    パーティションではなく、ドライブ全体を指定することも可能です。その場合、Anaconda はパーティションテーブルを作成せずにドライブをフォーマットして使用します。ただし、この方法でフォーマットしたデバイスでは GRUB2 のインストールがサポートされないため、パーティションテーブルのあるドライブに置かれる必要があります。
  • --ondisk= または --ondrive= - 既存ディスクに (part コマンドで指定した) パーティションを作成します。このコマンドは、パーティションを常に作成します。たとえば、--ondisk=sdb を使用すると、パーティションは 2 番目の SCSI ディスクに作成されます。
    論理ボリューム管理 (LVM)を使用しないマルチパスデバイスを指定するには、disk/by-id/dm-uuid-mpath-WWID の形式を使用します。WWID はデバイスの World - Wide Identifier です。WWID が 2416CD96995134CA5D787F00A5AA11017 のディスクを指定するには、以下を使用します。
    part / --fstype=xfs --grow --asprimary --size=8192 --ondisk=disk/by-id/dm-uuid-mpath-2416CD96995134CA5D787F00A5AA11017
    警告
    mpatha などのデバイス名でマルチパスデバイスを指定しないでください。このようなデバイス名は、特定のディスクに固有の名前ではありません。インストール中に /dev/mpatha という名前のディスクは、予想されるディスクではない場合があります。したがって、clearpart コマンドは誤ったディスクをターゲットにする可能性があります。
  • --asprimary - パーティションが プライマリー パーティションとして割り当てられるように強制実行します。(通常、すでに割り当てられているプライマリーパーティションが多すぎるという理由で) パーティションをプライマリーとして割り当てられない場合は、パーティション設定のプロセスが失敗します。このオプションは、Master Boot Record (MBR) をディスクが使用する場合にのみ有効で、GUID Partition Table (GPT) ラベルが付いたディスクでは有効ではありません。プライマリー (および拡張) パーティションについての情報は、「パーティション: 1 つのドライブの分割」 を参照してください。
  • --fsprofile= - このパーティションでファイルシステムを作成するプログラムに渡すのに使用するタイプを指定します。ファイルシステムの作成時に使用されるさまざまなチューニングパラメーターは、この使用タイプにより定義されます。ファイルシステム側で使用タイプという概念に対応し、有効なタイプを指定する設定ファイルがないと、このオプションは正しく機能しません。ext2ext3ext4 の場合、この設定ファイルは /etc/mke2fs.conf になります。
  • --mkfsoptions= - このパーティションでファイルシステムを作成するプログラムに渡す追加のパラメーターを指定します。これは --fsprofile と似ていますが、プロフィールの概念に対応するものだけではなく、すべてのファイルシステムで機能するものです。引数のリストでは処理が行われないため、直接 mkfs プログラムに渡すことのできる形式で処理を行う必要があります。つまり、複数のオプションはコンマ区切りにするか、二重引用符で囲む必要があります (ファイルシステムによって異なります)。
  • --fstype= - パーティションのファイルシステムタイプを設定します。有効な値は、xfsext2ext3ext4swapvfatefi、および biosboot です。
  • --fsoptions= - ファイルシステムをマウントする場合に使用するオプションの文字列を自由形式で指定します。この文字列はインストールされたシステムの /etc/fstab ファイルにコピーされ、引用符で囲む必要があります。
  • --label= - 個別パーティションにラベルを割り当てます。
  • --recommended - パーティションのサイズを自動的に確定します。推奨スキームについての詳細は、「推奨されるパーティション設定スキーム」 (64 ビット AMD、Intel、および ARM)、「推奨されるパーティション設定スキーム」 (IBM Power Systems)、および「推奨されるパーティション設定スキーム」 (IBM Z) を参照してください。
    重要
    このオプションは、/boot パーティションや swap 領域などのファイルシステムとなるパーティションにのみ使用できます。LVM 物理ボリュームや RAID メンバーの作成には使用できません。
  • --onbiosdisk - BIOS で検出された特定のディスクに強制的にパーティションを作成します。
  • --encrypted - --passphrase オプションで入力したパスフレーズを使用して、このパーティションを暗号化するように指定します。パスフレーズを指定しないと、Anacondaautopart --passphrase コマンドで設定されるデフォルトのシステムワイドパスフレーズを使用するか、インストールを停止して、デフォルトが設定されていない場合にはパスフレーズの入力を要求します。
    注記
    1 つ以上のパーティションを暗号化する際に、Anaconda は、パーティションを安全に暗号化するために 256 ビットのエントロピーを収集しようとします。エントロピーの収集には時間がかかる場合があります。十分なエントロピーが収集されたかどうかにかかわらず、このプロセスは最大 10 分後に終了します。
    プロセスは、インストールシステムと対話することにより高速化できます (キーボードで入力またはマウスの移動)。仮想マシンにインストールしている場合は、Red Hat Enterprise Linux 7 仮想化の導入および管理ガイドにあるように、virtio-rng デバイス (仮想のランダム番号ジェネレーター) をゲストにアタッチすることもできます。
  • --passphrase= - このパーティションの暗号化を行う際に使用するパスフレーズを入力します。--encrypted オプションと併用してください。このオプションだけを使用しても暗号化されません。
  • --cipher= - Anaconda のデフォルトである aes-xts-plain64 が飽和していない場合に使用する暗号化のタイプを指定します。--encrypted オプションと併用してください。このオプションだけを使用しても暗号化されません。利用可能な暗号化の種類は、Red Hat Enterprise Linux 7 セキュリティーガイド に記載されていますが、Red Hat では aes-xts-plain64 または aes-cbc-essiv:sha256 のいずれかの使用を強く推奨しています。
  • --escrowcert=URL_of_X.509_certificate - 暗号化されたすべてのパーティションのデータ暗号化の鍵を /root 配下にファイルとして格納します。URL_of_X.509 _certificate で指定した URL の X.509 証明書 を使用して暗号化します。鍵は、暗号化したパーティションごとに別のファイルとして格納されます。--encrypted と併用しないと有効ではありません。
  • --backuppassphrase - 暗号化されたパーティションにそれぞれランダムに生成されたパスフレーズを追加します。これらのパスフレーズは /root 配下に別々のファイルに保存します。--escrowcert で指定した X.509 証明書を使用して暗号化されます。--escrowcert と併用しないと有効ではありません。
  • --resize= - 既存のパーティションのサイズを変更します。このオプションを使用する場合は、--size= オプションで目的のサイズ (MiB 単位) を、--onpart= オプションで目的のパーティションを指定します。
注記
何らかの理由でパーティションの設定ができなかった場合には、診断メッセージが仮想コンソール 3 に表示されます。
poweroff (任意)
インストールが正常に完了したら、システムをシャットダウンして電源を切ります。通常、手動インストール時に Anaconda はメッセージを表示し、ユーザーがキーを押すのを待ってから再起動します。キックスタートを使ったインストールでは、完了方法が指定されていない場合、halt オプションがデフォルトとして使用されます。
poweroff オプションは shutdown -p コマンドと同じです。
注記
poweroff コマンドは、使用中のシステムハードウェアに大きく依存します。特に、BIOS、APM (advanced power management)、ACPI (advanced configuration and power interface) などの特定ハードウェアコンポーネントは、システムカーネルと対話できる状態にする必要があります。使用システムの APM/ACPI 能力に関しては、製造元発行のドキュメントをご覧ください。
その他の完了方法は、haltreboot、および shutdown キックスタートコマンドを参照してください。
RAID (任意)
ソフトウェア RAID デバイスを設定します。このコマンドの形式は次のとおりです。
raid mntpoint --level=level --device=device-name partitions*
  • mntpoint: RAID ファイルシステムをマウントする場所です。/ の場合は、ブートパーティション( / boot)が存在しない限り、RAID レベルは 1 である必要があります。ブートパーティションが存在する場合は、/boot パーティションはレベル 1 にし、ルート(/)パーティションは使用可能なタイプのいずれかになります。partitions* (複数パーティションの指定が可能) には RAID アレイに追加する RAID 識別子を指定します。
    重要
    IBM Power Systems で RAID デバイスの準備が完了し、インストール中に再フォーマットされていない場合は、RAID デバイスに /boot パーティションおよび PReP パーティションを配置する予定の場合は、RAID メタデータバージョンが 0.90 であることを確認します。
    デフォルトの Red Hat Enterprise Linux 7 mdadm メタデータバージョンは、ブートデバイスではサポートされていません。
    raid の実行例は、「高度なパーティション設定の例」 を参照してください。
  • --level=: 使用する RAID レベルを指定します (0、1、4、5、6、10 のいずれか)。利用可能な RAID レベルの詳細は、「ソフトウェア RAID の作成」 を参照してください。
  • --device= - 使用する RAID デバイス名を指定します (例: --device=root)。
    重要
    mdraid 名は md0 の形式で使用しないでください。これらの名前は永続的である保証はありません。代わりに、rootswap などの意味のある名前を使用してください。意味のある名前を使用すると、/dev/md/ から、X ノードがアレイに割り当てられているものへのシンボリックリンクが作成されます。
    名前を割り当てることができない旧アレイ (v0.90 メタデータ) を所有している場合には、ファイルシステムのラベルまたは UUID でアレイを指定できます (--device=rhel7-root --label=rhel7-root など)。
  • --chunksize= - RAID ストレージのチャンクサイズを KiB 単位で設定します。場合によっては、デフォルトのサイズ (512 Kib) 以外のチャンクサイズを使用すると、RAID のパフォーマンスが向上することもあります。
  • --spares= - RAID アレイに割り当てられるスペアドライブの数を指定します。スペアドライブは、ドライブに障害が発生した場合にアレイの再設定に使用されます。
  • --fsprofile= - このパーティションでファイルシステムを作成するプログラムに渡すのに使用するタイプを指定します。ファイルシステムの作成時に使用されるさまざまなチューニングパラメーターは、この使用タイプにより定義されます。ファイルシステム側で使用タイプという概念に対応し、有効なタイプを指定する設定ファイルがないと、このオプションは正しく機能しません。ext2、ext3、および ext4 の場合、この設定ファイルは /etc/mke2fs.conf になります。
  • --fstype= - RAID アレイのファイルシステムタイプを設定します。有効な値は、xfsext2ext3ext4swapvfat です。
  • --fsoptions= - ファイルシステムをマウントする場合に使用するオプションの文字列を自由形式で指定します。この文字列はインストールされたシステムの /etc/fstab ファイルにコピーされ、引用符で囲む必要があります。
  • --mkfsoptions= - このパーティションでファイルシステムを作成するプログラムに渡す追加のパラメーターを指定します。引数のリストでは処理が行われないため、直接 mkfs プログラムに渡すことのできる形式で処理を行う必要があります。つまり、複数のオプションはコンマ区切りにするか、二重引用符で囲む必要があります (ファイルシステムによって異なります)。
  • --label= - 作成するファイルシステムのラベルを指定します。指定ラベルが別のファイルシステムで既に使用されている場合は、新しいラベルが作成されます。
  • --noformat - 既存の RAID デバイスを使用し、RAID アレイのフォーマットは行いません。
  • --useexisting - 既存の RAID デバイスを使用し、再フォーマットします。
  • --encrypted - --passphrase オプションで入力したパスフレーズを使用して、この RAID デバイスを暗号化するように指定します。パスフレーズを指定しないと、Anacondaautopart --passphrase コマンドで設定されるデフォルトのシステムワイドパスフレーズを使用するか、インストールを停止して、デフォルトが設定されていない場合にはパスフレーズの入力を要求します。
    注記
    1 つ以上のパーティションを暗号化する際に、Anaconda は、パーティションを安全に暗号化するために 256 ビットのエントロピーを収集しようとします。エントロピーの収集には時間がかかる場合があります。十分なエントロピーが収集されたかどうかにかかわらず、このプロセスは最大 10 分後に終了します。
    プロセスは、インストールシステムと対話することにより高速化できます (キーボードで入力またはマウスの移動)。仮想マシンにインストールしている場合は、Red Hat Enterprise Linux 7 仮想化の導入および管理ガイドにあるように、virtio-rng デバイス (仮想のランダム番号ジェネレーター) をゲストにアタッチすることもできます。
  • --cipher= - Anaconda のデフォルトである aes-xts-plain64 が飽和していない場合に使用する暗号化のタイプを指定します。--encrypted オプションと併用してください。このオプションだけを使用しても暗号化されません。使用できる暗号化の種類についてはRed Hat Enterprise Linux 7 セキュリティーガイドに記載されていますが、Red Hat では aes-xts-plain64 または aes-cbc-essiv:sha256 のいずれかの使用を推奨しています。
  • --passphrase= - この RAID デバイスの暗号化を行う際に使用するパスフレーズを入力します。--encrypted オプションと併用してください。単独で使用しても暗号化されません。
  • --escrowcert=URL_of_X.509_certificate - このデバイスのデータ暗号化キーを /root のファイルに保存します。URL_ of_X.509_certificate で指定した URL の X.509 証明書 を使用して暗号化します。--encrypted と併用しないと有効ではありません。
  • --backuppassphrase - このデバイスにランダムに生成されたパスフレーズを追加します。パスフレーズを /root のファイルに保存し、--escrowcert で指定した X.509 証明書を使用して暗号化します。--escrowcert と併用しないと有効ではありません。
以下の例は、/ に RAID レベル 1 のパーティションを作成し、 / home に RAID レベル 5 のパーティションを作成する方法を示しています(システムには SCSI ディスクが 3 つある場合)。各ドライブに 1 つずつ、3 つの swap パーティションを作成します。

例27.4 raid キックスタートコマンドの使用例

part raid.01 --size=6000 --ondisk=sda
part raid.02 --size=6000 --ondisk=sdb
part raid.03 --size=6000 --ondisk=sdc

part swap --size=512 --ondisk=sda
part swap --size=512 --ondisk=sdb
part swap --size=512 --ondisk=sdc

part raid.11 --size=1 --grow --ondisk=sda
part raid.12 --size=1 --grow --ondisk=sdb
part raid.13 --size=1 --grow --ondisk=sdc

raid / --level=1 --device=rhel7-root --label=rhel7-root raid.01 raid.02 raid.03
raid /home --level=5 --device=rhel7-home --label=rhel7-home raid.11 raid.12 raid.13
realm (任意)
Active Directory や IPA ドメインをジョインさせます。このコマンドの詳細は、man ページの realm (8)join セクションを参照してください。
realm join [options] domain
  • --computer-ou=OU= - コンピューターアカウントを作成するために、組織単位の識別名を指定します。識別名の形式は、クライアントソフトウェアおよびメンバーシップのソフトウェアにより異なります。通常、識別名のルート DSE の部分は省略できます。
  • --no-password - パスワードの入力なしで自動的に参加します。
  • --one-time-password= - ワンタイムパスワードを使用して参加します。すべてのレルムで使用できるとは限りません。
  • --client-software= - ここで指定したクライアントソフトウェアを実行できるレルムにしか参加しません。有効な値は sssd および winbind です。すべてのレルムがすべての値に対応しているとは限りません。デフォルトでは、クライアントソフトウェアは自動的に選択されます。
  • --server-software= - ここで指定したサーバーソフトウェアを実行できるレルムにしか参加しません。使用できる値は active-directory または freeipa です。
  • --membership-software= - レルムに参加する際に、このソフトウェアを使用します。有効な値は samba および adcli です。すべてのレルムがすべての値に対応しているとは限りません。デフォルトでは、メンバーシップソフトウェアは自動的に選択されます。
reboot (任意)
インストールが正常に完了したら再起動します (引数なし)。通常、キックスタートは、メッセージを表示し、ユーザーがキーを押してから再起動します。
reboot オプションは shutdown -r コマンドと同じです。
IBM Z でコマンドラインモードでインストールする際に、reboot を指定してインストールを完全に自動化します。
その他の完了方法は、haltpoweroff、および shutdown のキックスタートオプションを参照してください。
キックスタートファイルに他のメソッドが明示的に指定されていない場合は、halt オプションがデフォルトの完了方法になります。
注記
reboot オプションを使用すると、インストールメディアと方法によっては、インストールが無限にループする 可能性があり ます。
  • --eject - 再起動する前に起動可能なメディア(DVD、USB、またはその他のメディア)の取り出しを試みます。
  • --kexec - 完全な再起動を実行する代わりに kexec システムコールを使用します。BIOS またはファームウェアが通常実行するハードウェアの初期化を行わずに、インストールされたシステムを即座にメモリーに読み込みます。
    重要
    kexec を使用したシステムのブートには複雑であるため、すべての状況で明示的にテストして機能することが保証されていません。
    kexec を使用すると、(完全なシステム再起動で通常はクリアされる)デバイスレジスタにデータが入ったままになり、デバイスドライバーによっては問題が発生する可能性があります。
リポジトリー (オプション)
パッケージインストール用のソースとして使用可能な追加の yum リポジトリーを設定します。複数の repo 行を追加できます。
repo --name=repoid [--baseurl=<url>|--mirrorlist=url] [options]
  • --name= - リポジトリー ID を指定します。このオプションは必須です。以前に追加したリポジトリーと名前が競合する場合は無視されます。インストールプログラムでは事前設定したリポジトリーの一覧が使用されるため、この一覧にあるリポジトリーと同じ名前のものは追加できません。
  • --baseurl= - リポジトリーの URL を指定します。ここでは、yum のリポジトリー設定ファイル内で使用可能な変数には対応していません。このオプションは、同じリポジトリー定義で --mirrorlist オプションと併用できません。
  • --mirrorlist= - リポジトリーのミラーの一覧を指す URL を指定します。ここでは、yum のリポジトリーの設定ファイル内で使用できる変数はサポートされません。このオプションは、同じリポジトリー定義の --baseurl オプションと併用することはできません。
  • --install - 指定したリポジトリー設定を、インストールしたシステムの /etc/yum.repos.d/ ディレクトリーに保存します。このオプションを使用しない場合は、キックスタートファイルで設定したリポジトリーの使用はインストール中に限られ、インストール後のシステムでは使用できません。
  • --cost= - このリポジトリーに割り当てるコストを整数で入力します。複数のリポジトリーで同じパッケージを提供している場合に、リポジトリーの使用優先順位がこの数値で決まります。コストの低いリポジトリーは、コストの高いリポジトリーよりも優先されます。
  • --excludepkgs= - このリポジトリーからは読み出してはならないパッケージ名の一覧をコンマ区切りで指定します。複数のリポジトリーで同じパッケージが提供されていて、特定のリポジトリーから読み出す場合に便利なオプションです。完全なパッケージ名( publican)と glob ( gnome-*など)の両方が許可されます。
  • --includepkgs= - このリポジトリーからプルする必要があるパッケージ名およびグロブの一覧をコンマ区切りで指定します。複数のリポジトリーで同じパッケージが提供されていて、このリポジトリーからプルする場合に便利なオプションです。
  • --proxy=[protocol://][username[:password]@]host[:port] - このリポジトリーにだけ使用する HTTP/HTTPS/FTP プロキシーを指定します。この設定は他のリポジトリーには影響しません。また、HTTP インストールでの install.img の取得方法には影響しません。
  • --ignoregroups=true - このオプションは、インストールツリーの設定時に使用し、インストールプロセス自体には影響がありません。不要な大量のデータをミラーリングしないように、ツリーのミラーリングを行う際にパッケージグループの情報を検索しないよう設定ツールに指示します。
  • --noverifyssl - HTTPS サーバーへの接続時に SSL 検証を無効にします。
重要
インストールに使用するリポジトリーは安定した状態を維持してください。インストールが終了する前にリポジトリーに変更が加えられると、インストールが失敗する可能があります。
rescue (任意)
自動的にインストールプログラムのレスキューモードに入ります。問題が発生している場合は、これによりシステムを修復することができるようになります。
rescue [--nomount|--romount]
  • --nomount または --romount - インストールを完了したシステムをレスキュー環境でマウントする方法を制御します。デフォルトでは、インストールプログラムによりシステムの検出が行われてから、読み取りと書き込みのモードでシステムのマウントが行われ、マウントされた場所が通知されます。オプションでマウントを行わない (--nomount オプション)、または読み取り専用モードでマウントする (--romount オプション) のいずれかを選択できます。指定できるのはどちらか一方です。
reqpart (任意)
使用中のハードウェアプラットホームで必要となるパーティションを自動的に作成します。これには、UEFI ファームウェアを持つシステム用の /boot/efi パーティション、BIOS ファームウェアおよび GPT を備えたシステム用の biosboot パーティション、IBM Power Systems 用の PRePBoot パーティションが含まれます。
reqpart [--add-boot]
  • --add-boot - ベースコマンドによって作成されるプラットフォーム固有のパーティションに加えて、個別の /boot パーティションを作成します。
注記
このコマンドは、autopart と併用することはできません。autopartreqpart コマンドが実行するものをすべて行い、さらに /swap などの他のパーティションや論理ボリュームも作成するためです。autopart とは対照的に、このコマンドはプラットフォーム固有のパーティションのみを作成し、ドライブの残りの部分を空のままにして、カスタムレイアウトを作成できます。
rootpw (必須)
システムの root パスワードを password 引数に設定します。
rootpw [--iscrypted|--plaintext] [--lock] password
  • --iscrypted - このオプションを指定すると、パスワード引数は既に暗号化済みと仮定されます。--plaintext と相互排他的になります。暗号化されたパスワードを作成するには、python を使用します。
    $ python -c 'import crypt,getpass;pw=getpass.getpass();print(crypt.crypt(pw) if (pw==getpass.getpass("Confirm: ")) else exit())'
    上記の例では、ランダムの salt を使用して、パスワードの sha512 暗号と互換性があるハッシュが生成されます。
  • --plaintext - このオプションを使用すると、パスワードの引数はプレーンテキストであると仮定されます。--iscrypted と相互排他的になります。
  • --lock - このオプションを指定すると、root アカウントはデフォルトでロックされます。つまり、root ユーザーはコンソールからログインできなくなります。また、グラフィカルおよびテキストベースの手動インストールの両方で、Root Password 画面が無効になります。
SELinux (任意)
インストールを完了したシステムに SELinux の状態を設定します。デフォルトの SELinux ポリシーは、Enforcing です。
selinux [--disabled|--enforcing|--permissive]
  • --enforcing - SELinux を、デフォルトの対象ポリシーである Enforcing で有効にします。
  • --permissive - SELinux のポリシーに基づく警告を出力します。ただし、実際にはポリシーは実施されません。
  • --disabled - SELinux を完全に無効にします。
SELinux の詳細は、Red Hat Enterprise Linux 7 SELinux ユーザーおよび管理者のガイドを参照してください。
services (任意)
デフォルトの systemd ターゲットで実行するデフォルトのサービスセットを変更します。無効にするサービスの一覧は、有効にするサービスの一覧の前に処理されます。したがって、サービスが両方の一覧に記載されていると、そのサービスは有効になります。
services [--disabled=list] [--enabled=list]
  • --disabled= - コンマ区切りリストで指定したサービスを無効にします。
  • --enabled= - コンマ区切りリストで指定したサービスを有効にします。
重要
サービスの一覧には空白文字を使用しないでください。空白があると、キックスタートでは、最初の空白の直前のサービスまでしか有効または無効になりません。以下に例を示します。
services --disabled=auditd, cups,smartd, nfslock
auditd サービスのみを無効にします。4 つのサービスすべてを無効にするためエントリーから空白を取り除きます。
services --disabled=auditd,cups,smartd,nfslock
shutdown (任意)
インストールが正常に完了したらシステムをシャットダウンします。キックスタートを使ったインストールでは、完了方法が指定されていないと、halt コマンドが使用されます。
shutdown キックスタートオプションは shutdown コマンドと同じです。
その他の完了方法については、haltpoweroff、および reboot キックスタートオプションを参照してください。
skipx (オプション)
存在する場合は、インストール済みシステムで X が設定されていません。
重要
パッケージ選択オプションにディスプレイマネージャーをインストールすると、このパッケージは X 設定を作成し、インストールされたシステムは graphical.target にデフォルト設定されます。skipx オプションの影響は上書きされます。
snapshot (任意)
snapshot コマンドを使用すると、インストールプロセス中に LVM シンボリュームスナップショットを作成できます。これにより、インストール前後の論理ボリュームのバックアップ作成が可能になります。
複数のスナップショットを作成するには、snaphost キックスタートコマンドを複数回追加します。
snapshots vg_name/lv_name --name=snapshot_name --when=pre-install|post-install
  • vg_name/lv_name - スナップショットの作成元となるボリュームグループや論理ボリュームの名前を設定します。
  • --name=snapshot_name - スナップショットの名前を設定します。この名前は、ボリュームグループ内で一意のものにする必要があります。
  • --when=pre-install|post-install - インストール前もしくは完了後にスナップショットを作成するかどうかを設定します。
sshpw (任意)
インストール時に、インストールプログラムと対話し、SSH 接続でその進捗を監視できます。sshpw コマンドを使用して、ログオンに使用する一時的なアカウントを作成します。コマンドの各インスタンスにより、インストール環境でしか存在しない個別アカウントが作成されます。ここで作成されたアカウントは、インストールが完了したシステムには転送されません。
sshpw --username=name password [--iscrypted|--plaintext] [--lock]
  • --username - ユーザー名を入力します。このオプションは必須です。
  • --iscrypted - このオプションを指定すると、パスワード引数は既に暗号化済みと仮定されます。--plaintext と相互排他的になります。暗号化されたパスワードを作成するには、python を使用します。
    $ python -c 'import crypt,getpass;pw=getpass.getpass();print(crypt.crypt(pw) if (pw==getpass.getpass("Confirm: ")) else exit())'
    上記の例では、ランダムの salt を使用して、パスワードの sha512 暗号と互換性があるハッシュが生成されます。
  • --plaintext - このオプションを使用すると、パスワードの引数はプレーンテキストであると仮定されます。--iscrypted と相互排他的になります。
  • --lock - このオプションを指定すると、このアカウントはデフォルトでロックされます。つまり、ユーザーはコンソールからログインできなくなります。
  • --ssh - このオプションを指定すると、パスワード文字列は ssh 鍵の値として解釈されます。
重要
デフォルトでは、ssh サーバーはインストール時に起動されません。インストール時に ssh を使用できるようにするには、カーネル起動オプション inst.sshd を使用してシステムを起動します。詳細は コンソール、環境、ディスプレイの各オプション を参照してください。
注記
別のユーザーの ssh アクセスを許可しつつ、root の ssh アクセスを無効にする場合は、以下を使用します。
sshpw --username=example_username example_password --plaintext
sshpw --username=root example_password --lock
単に root の ssh アクセスを無効にするには、以下を使用します。
sshpw --username=root example_password --lock
text (任意)
キックスタートを使ったインストールをテキストモードで実行します。キックスタートインストールは、デフォルトでグラフィカルモードで実行します。
重要
完全に自動的なインストールでは、キックスタートファイルで利用可能なモード(グラフィカルテキスト、または cmdline)のいずれかを指定するか、コンソール、環境、ディスプレイの各オプション で説明されているように、起動オプション console= を使用する必要があります。モードが指定されていない場合は、システムにより、続行前にいずれかを選択するように求められます。
timezone (必須)
システムのタイムゾーンを timezone に設定します。
timezone timezone [options]
  • --UTC - これを指定すると、ハードウェアクロックが UTC (グリニッジ標準) 時間に設定されているとシステムは見なします。
  • --nontp - NTP サービスの自動起動を無効にします。
  • --ntpservers= - 使用する NTP サーバーを空白を入れないコンマ区切りのリストで指定します。
Red Hat Entrerprise Linux 7.5 以降、タイムゾーン名は pytz パッケージで提供される pytz.all_timezones リストを使用して検証されます。以前のリリースでは、名前が、現在使用されているリストのサブセットである pytz.common_timezones に対して検証されていました。グラフィカルインターフェイスおよびテキストモードのインターフェイスは、引き続きより制限された pytz.common_timezones リストを使用することに注意してください。追加のタイムゾーン定義を使用するには、キックスタートファイルを使用する必要があります。
unsupported_hardware (オプション)
インストールプログラムに Unsupported Hardware Detected アラートを抑制するように指示します。このコマンドが含まれず、サポート外のハードウェアが検出された場合は、インストールはこの警告で停止します。
user (任意)
システム上で新規ユーザーを作成します。
user --name=username [options]
  • --name= - ユーザー名を入力します。このオプションは必須です。
  • --GECOS= - ユーザーの GECOS 情報を指定します。これは、コンマ区切りのさまざまなシステム固有フィールドの文字列です。ユーザーのフルネームやオフィス番号などを指定するためによく使われます。詳細は、passwd (5) man ページを参照してください。
  • --groups= - デフォルトグループの他にもユーザーが所属すべきグループ名のコンマ区切りのリストです。このグループは、ユーザーアカウントの作成前に存在する必要があります。group コマンドを参照してください。
  • --homedir= - ユーザーのホームディレクトリーです。指定しないと、/home/ユーザー名 がデフォルトになります
  • --lock - このオプションを指定すると、このアカウントはデフォルトでロックされます。つまり、ユーザーはコンソールからログインできなくなります。また、グラフィカルおよびテキストベースの手動インストールの両方で、Create User 画面が無効になります。
  • --password= - 新規のユーザーパスワードです。指定しないと、そのアカウントはデフォルトでロックされます。
  • --iscrypted - このオプションを追加すると、パスワード引数は既に暗号化済みと仮定されます。--plaintext と相互排他的になります。暗号化されたパスワードを作成するには、python を使用します。
    $ python -c 'import crypt,getpass;pw=getpass.getpass();print(crypt.crypt(pw) if (pw==getpass.getpass("Confirm: ")) else exit())'
    上記の例では、ランダムの salt を使用して、パスワードの sha512 暗号と互換性があるハッシュが生成されます。
  • --plaintext - このオプションを使用すると、パスワードの引数はプレーンテキストであると仮定されます。--iscryptedと相互排他的になります。
  • --shell= - ユーザーのログインシェルです。指定しないと、システムのデフォルトが使用されます。
  • --uid= - ユーザーの UID (User ID) です。指定しないと、次に利用可能なシステム以外の UID をデフォルトにします。
  • --gid= - ユーザーのグループに使用される GID (Group ID) です。指定しないと、次に利用可能なシステム以外のグループ ID をデフォルトにします。
    注記
    --uid オプションおよび --gid オプションを使用して、通常のユーザーとそのデフォルトグループの ID を 1000 ではなく 5000 から始まる範囲に設定することを検討してください。これは、システムユーザーおよびグループ用に予約されている範囲 0~999 が今後増え、通常のユーザーの ID と重複する可能性があるためです。
    インストール後に UID と GID の下限を変更して、選択した UID と GID の範囲がユーザー作成時に自動的に適用されるようにする方法は、システム管理者のガイドのユーザーとグループの概要の章を参照してください。
注記
ファイルおよびディレクトリーはさまざまなパーミッションで作成され、パーミッションは、ファイルまたはディレクトリーを作成するアプリケーションによる影響を受けます。たとえば、mkdir コマンドは、すべてのパーミッションを有効にしてディレクトリーを作成します。ただし、user file-creation mask 設定で指定されるように、アプリケーションは新しく作成されたファイルに特定のパーミッションを付与することができなくなります。
ユーザーのファイル作成マスク は、umask コマンドで制御できます。新規ユーザー向けの ユーザーファイル作成マスク のデフォルト設定は、インストール済みシステムの /etc/login.defs 設定ファイルの UMASK 変数で定義されます。設定されていない場合、デフォルトは 022 に設定されます。デフォルト値を使用し、アプリケーションがファイルを作成した場合は、ファイルの所有者以外のユーザーに書き込みパーミッションが付与されません。ただし、これは他の設定やスクリプトで無効にできます。詳細はRed Hat Enterprise Linux 7 システム管理者のガイドを参照してください。
VNC (任意)
VNC 経由のリモートでグラフィカルインストールを表示できるようにします。テキストインストールではサイズと言語の一部が制限されるため、通常はテキストモードよりもこの方法が好まれます。追加のオプション指定がないと、このコマンドは、パスワードを使用せずに、インストールシステムで VNC サーバーを開始し、接続に必要な詳細を表示します。
vnc [--host=host_name] [--port=port] [--password=password]
  • --host= - 指定したホスト名でリッスンしている VNC ビューアープロセスに接続します。
  • --port= - リモート VNC ビューアープロセスがリッスンしているポートを指定します。指定しないと、Anaconda は VNC のデフォルトポートである 5900 を使用します。
  • --password= - VNC セッションへの接続に必要なパスワードを設定します。これはオプションですが、推奨されます。
インストールシステムへの接続方法など、VNC インストールの詳細は、25章VNC の使用 を参照してください。
volgroup (任意)
LVM (論理ボリューム管理) グループを作成します。
volgroup name partition [options]
重要
キックスタートを使用して Red Hat Enterprise Linux をインストールする場合は、論理ボリューム名およびボリュームグループ名にダッシュ(-)文字を使用しないでください。この文字を使用すると、インストールは正常に終了しますが、/dev/mapper/ ディレクトリーには、ダッシュが二重に各ボリュームとボリュームグループが一覧表示されます。たとえば、ボリュームグループ volgrp-01 に論理ボリューム logvol -01 が格納されている場合は、/dev/mapper/volgrp--01-logvol--01 と表示されます。
この制約が適用されるのは、新規作成の論理ボリュームおよびボリュームグループ名のみです。既存の論理ボリュームを --noformat オプションを使用して再利用する場合、その名前は変更されません。
volgroup を含む詳細なパーティショニング例は、「高度なパーティション設定の例」 を参照してください。
オプションは次のとおりです。
  • --noformat - 既存のボリュームグループを使用し、フォーマットは行いません。
  • --useexisting - 既存のボリュームグループを使用し、そのボリュームグループを再フォーマットします。このオプションを使用する場合は partition は指定しないでください。以下に例を示します。
    volgroup rhel00 --useexisting --noformat
  • --pesize= - ボリュームグループの物理エクステントのサイズをキビバイト (KiB) 単位で設定します。デフォルト値は 4096 (4 MiB) で、最小値は 1024 (1 MiB) になります。
  • --reserved-space= - ボリュームグループに未使用で残す領域を MiB 単位で指定します。新規作成のボリュームグループにのみ適用されます。
  • --reserved-percent= - 未使用で残すボリュームグループ領域全体の割合を指定します。新規作成のボリュームグループにのみ適用されます。
まずパーティションを作成します。次に論理ボリュームグループを作成して、論理ボリュームを作成します。以下に例を示します。
part pv.01 --size 10000
volgroup volgrp pv.01 
logvol / --vgname=volgrp --size=2000 --name=root
xconfig (任意)
X Window System を設定します。xconfig コマンドを含まないキックスタートファイルで X Window System をインストールする場合は、インストール時に手動で X 設定を指定する必要があります。
X Window System をインストールしないキックスタートファイルでは、このコマンドを使用しないでください。
  • --defaultdesktop= - GNOME または KDE を指定してデフォルトのデスクトップを設定します(選択した環境( GNOME デスクトップ環境または KDE Desktop Environment のいずれか)が %packages セクションにインストールされていることを前提とします)。
    重要
    現在、このオプションを使用して KDE をデフォルトのデスクトップ環境として指定することはできません。これは既知の問題です。回避策については、https://access.redhat.com/solutions/1125833 を参照してください。この回避策は、「インストール後のスクリプト」 にあるキックスタートのインストール後のスクリプトに使用できます。
  • --startxonboot - インストール済みシステムでグラフィカルログインを使用します。
zerombr (オプション)
zerombr は、ディスク上で見つかった無効なパーティションテーブルを初期化し、無効なパーティションテーブルを持つディスクの内容をすべて破棄します。このコマンドは、フォーマットされていない DASD (Direct Access Storage Device) ディスクを備えた IBM Z システムでインストールを実行する場合に必要です。このコマンドを使用しないと、フォーマットされていないディスクがインストール時にフォーマットされず、使用されません。
警告
IBM Z では zerombr が指定されている場合、インストールプログラムに見える DASD ( Direct Access Storage Device )が、まだ低レベルフォーマットになっていないものは、自動的に dasdfmt で低レベルフォーマット化されます。このコマンドでは、対話型インストール中のユーザー選択も行われません。
zerombr が指定されておらず、少なくとも 1 つの未フォーマットの DASD がインストールプログラムに見える場合、非対話型のキックスタートインストールは失敗しなくなります。
zerombr が指定されておらず、少なくとも 1 つの未フォーマットの DASD がインストールプログラムに見える場合は、ユーザーが表示可能および未フォーマットの DASD のフォーマットに合意しない場合、インタラクティブなインストールが終了します。この状況を回避するには、インストール中に使用する DASD のみをアクティベートします。DASD は、インストール完了後にいつでも追加できます。
zfcp (任意)
ファイバーチャネルデバイスを定義します。このオプションは、IBM Z にのみ適用されます。下記のオプションをすべて指定する必要があります。
zfcp --devnum=devnum --wwpn=wwpn --fcplun=lun
  • --devnum= - デバイス番号 (zFCP アダプターデバイスバス ID)。
  • --wwpn= - デバイスの WWPN (ワールドワイドポートネーム)。0x で始まる 16 桁の番号になります。
  • --fcplun= - デバイスの論理ユニット番号 (LUN)。0x で始まる 16 桁の番号になります。
以下に例を示します。
zfcp --devnum=0.0.4000 --wwpn=0x5005076300C213e9 --fcplun=0x5022000000000000
%include (任意)
%include /path/to/file コマンドを使用して、キックスタートファイル内の別のファイルのコンテンツが、キックスタートファイルの %include コマンドの場所にあるかのように追加します。

27.3.2. パッケージの選択

%packages コマンドを使用して、インストールするソフトウェアパッケージを説明するキックスタートセクションを開始します。
パッケージは、環境グループ、もしくはパッケージ名で指定できます。関連パッケージを含むいくつかの環境およびグループが定義されます。repodata/*-comps- variant を参照してください。 環境とグループのリストについては、Red Hat Enterprise Linux 7 インストール DVD の architecture .xml ファイルを参照してください。
*-comps- バリアントアーキテクチャー .xml ファイルには、使用可能な環境 (<environment> タグでマーク) とグループ (<group> タグ) を記述する構造が含まれています。各エントリーには、ID、ユーザー可視性の値、名前、説明、パッケージ一覧があります。グループがインストール対象として選択されている場合、パッケージリストで 必須 とマークされているパッケージは常にインストールされます。デフォルト とマークされているパッケージは、他の場所で特に除外されていない場合にインストールされます。また、オプションと マークされているパッケージは、グループが選択されている場合でも、別の場所で明確に含める必要があります。.
ID (<id> タグ) または名前 (<name> タグ) を使用して、パッケージグループまたは環境を指定できます。
重要
どのパッケージをインストールする必要があるかわからない場合、Red Hat は 最小インストール 環境を選択することを推奨します。最小インストールでは、 Red Hat Enterprise Linux 7 の実行に不可欠なパッケージのみが提供されます。これにより、システムが脆弱性の影響を受ける可能性が大幅に減ります。必要な場合は、インストール後に追加パッケージをインストールできます。Minimal install の詳細については、Red Hat Enterprise Linux 7 Security Guide の Installing the Minimum amount of Packages Required セクションを参照してください。
重要
32 ビットパッケージを 64 ビットシステムにインストールするには、glibc.i686 のように、そのパッケージの構築対象である 32 ビットアーキテクチャーをパッケージ名に追記します。--multilib オプションは、キックスタートファイルで指定してください。以下で利用可能なオプションを参照してください。
重要
デスクトップ環境と X Window System が インストールに含まれていて、グラフィカルログインが有効になっていない限り、Kickstart ファイルからシステムをインストールした後、初期セットアップ は実行されません。つまり、デフォルトでは、root 以外のユーザーは作成されません。キックスタートファイルから追加のシステムをインストールする前に、キックスタートファイルで user オプションを使用してユーザーを作成できます (「キックスタートのコマンドとオプション」詳しくはこちら) または、インストールされたシステムに仮想コンソールで root としてログインし、useradd コマンドでユーザーを追加します。
%packages セクションは、%end コマンドで終了する必要があります。
環境の指定
グループのほかに、インストールする環境全体を指定することができます。
%packages
@^Infrastructure Server
%end
このコマンドは、インフラストラクチャーサーバー 環境の一部であるすべてのパッケージをインストールします。利用可能なすべての環境は repodata/*-comps- variant に記述されています。 Red Hat Enterprise Linux 7 インストール DVD の architecture .xml ファイル。キックスタートファイルでは、単一の環境のみが指定可能です。
グループの指定
@ 記号で始まる 1 行に 1 エントリーのグループを指定し、次に *-comps- variant で指定されている完全なグループ名またはグループ ID を指定します。アーキテクチャー .xml ファイル。以下に例を示します。
%packages
@X Window System
@Desktop
@Sound and Video
%end
Core グループは常に選択されています。%packages セクションで指定する必要はありません。
*-comps- バリアントArchitecture .xml ファイルは、Red Hat Enterprise Linux の各バリアントに対して Conflicts (variant) と呼ばれるグループも定義します。このグループには、ファイルの競合が発生することが分かっているパッケージがすべて含まれており、これは除外される予定です。
個別パッケージの指定
1 行に 1 エントリーで、名前で個別のパッケージを指定します。パッケージ名では、アスタリスク文字 (*) を ワイルドカード として使用できます。以下に例を示します。
%packages
sqlite
curl
aspell
docbook*
%end
docbook* エントリーには、ワイルドカードで表されるパターンに一致するパッケージ docbook-dtdsdocbook-simpledocbook-slides などが含まれます。
環境、グループ、パッケージの除外
インストールから除外するパッケージまたはグループを指定するには、先頭のダッシュ (-) を使用します。以下に例を示します。
%packages
-@Graphical Internet
-autofs
-ipa*fonts
%end
重要
@Conflicts (variant) グループを除外した場合でも、キックスタートファイルで * のみを使用してすべての利用可能なパッケージをインストールすることはサポートされていません。
いくつかのオプションを使用して、%packages セクションのデフォルトの動作を変更できます。オプションの中には、全パッケージの選択で機能するものと、特定のグループにのみ機能するものがあります。

一般的なパッケージ選択のオプション

%packages では、次のオプションを使用できます。オプションを使用するには、パッケージ選択セクションの最初に追加します。以下に例を示します。
%packages --multilib --ignoremissing
--default
パッケージのデフォルトセットをインストールします。これは、対話型インストール中に パッケージの選択 画面で他の選択が行われなかった場合にインストールされるパッケージセットに対応します。
--excludedocs
パッケージに含まれているドキュメンテーションをインストールしません。ほとんどの場合、/usr/share/doc ディレクトリーに通常インストールされるファイルはすべて除外されますが、除外される特定のファイルは個々のパッケージによって異なります。
--ignoremissing
インストールを停止してインストールの中止または続行を確認する代わりに、インストールソースにないパッケージ、グループおよび環境を無視します。
--instLangs=
インストールする言語リストを指定します。これはパッケージグループレベルでの選択とは異なることに注意してください。このオプションでは、インストールするパッケージグループを記述するのではなく、RPM マクロを設定して、個別パッケージからインストールする翻訳ファイルを制御します。
Red Hat Enterprise Linux パッケージは、ISO 639 言語コードを使用します。locale -a コマンドを実行すると、%packages --instLangs= 引数で適用可能な言語コードの包括的なリストが提供されます。

例27.5 インストールする言語のリストを指定する

  • 言語コードのコロンで区切られたリストは、指定されたロケールをインストールします。
    %packages --instLangs=es:fr:it
  • --instLangs= オプションを省略すると、すべてのロケールがインストールされます。
    %packages
  • 言語コードを省略すると、ロケールはインストールされません。
    %packages --instLangs=
--multilib
64 ビットのシステムに 32 ビットのパッケージをインストールできるように、multilib パッケージ用にインストールされたシステムを設定し、本セクションで説明しているようにパッケージをインストールします。
通常、AMD64 および Intel 64 システムでは、x86_64 および noarch パッケージのみをインストールできます。ただし、--multilib オプションを使用すると、32 ビット AMD および i686 Intel のシステムパッケージが存在する場合は自動的にインストールされます。
これは、%packages セクションで明示的に指定されたパッケージにのみ適用されます。キックスタートファイルで指定されずに依存関係としてのみインストールされるパッケージは、他のアーキテクチャーで利用可能な場合でも、必要とされるアーキテクチャーのバージョンにのみインストールされます。
このオプションは、インストール時および実行中のシステムで、 'yum' コマンドを使用すると機能します。
--nocore
デフォルトで常にインストールされる @Core パッケージグループのインストールを無効にします。--nocore を使用して @Core パッケージグループを無効にすることは、軽量コンテナーの作成にのみ使用する必要があります。--nocore を使用してデスクトップまたはサーバーシステムをインストールすると、システムが使用できなくなります。
注記
  • -@Core を使用して @Core パッケージグループ内のパッケージを除外しても機能しません。@Core パッケージグループを除外する唯一の方法は、--nocore オプションを使用することです。
  • @Core パッケージグループは、稼働中のシステムをインストールするために必要な最小限のパッケージセットとして定義されています。これは、パッケージマニフェストおよび対象範囲の詳細で定義されているコアパッケージには関係ありません。
--retries=
Yum が パッケージのダウンロードを試みる (再試行する) 回数を設定します。デフォルト値は 10 です。このオプションはインストール中にのみ適用され、インストールされたシステムの Yum 設定には影響しません。
--timeout=
Yum タイムアウトを秒単位で設定します。デフォルト値は 30 です。このオプションはインストール中にのみ適用され、インストールされたシステムの Yum 設定には影響しません。

特定パッケージグループ用のオプション

以下のオプションは、単一パッケージグループにのみ適用されます。Kickstart ファイルの %packages コマンドでそれらを使用する代わりに、それらをグループ名に追加します。以下に例を示します。
%packages
@Graphical Internet --optional
%end
--nodefaults
デフォルト選択ではなく、グループの必須パッケージのみをインストールします。
--optional
*-comps- variant のグループ定義でオプションとしてマークされたパッケージをインストールします。 デフォルトの選択をインストールすることに加えて、architecture .xml ファイル。
Scientific Support などの一部のパッケージグループには、必須またはデフォルトのパッケージが指定されておらず、オプションのパッケージのみが指定されていることに注意してください。この場合は、--optional オプションを常に使用する必要があり、このオプションを使用しないと、このグループからパッケージがインストールできません。

27.3.3. インストール前のスクリプト

%pre スクリプトは、キックスタートファイルが解析された直後、ただしインストールが開始される前にシステム上で実行されます。このセクションは、キックスタートファイルの最後に配置する必要があります。「キックスタートのコマンドとオプション」であり、%pre で始まり %end で終わる必要があります。キックスタートファイルに %post セクションも含まれる場合、%pre および %post セクションが含まれる順序は重要ではありません。
%pre スクリプトは、ネットワークデバイスとストレージデバイスのアクティブ化と設定に使用できます。また、インストール環境で利用可能なインタープリターを使用して、スクリプトを実行することもできます。%pre スクリプトを追加すると、インストールを続行する前に特別な設定が必要なネットワークとストレージがある場合、または追加のログパラメーターや環境変数を設定するスクリプトがある場合に役立ちます。%pre スクリプトを使用した問題のデバッグは困難な場合があるため、必要な場合にのみ %pre スクリプトを使用することを推奨します。
重要
キックスタートの %pre セクションは、インストーラーイメージ (inst.stage2) がフェッチされた後に発生するインストールの段階で実行されます。これは、ルートがインストーラー環境 (インストーラーイメージ) に切り替わった 、および Anaconda インストーラー自体が起動した 後に 実行されます。次に、%pre の設定が適用され、キックスタートの URL などで設定されたインストールリポジトリーからパッケージを取得するために使用できます。ただし、ネットワークからイメージ (inst.stage2) をフェッチするようにネットワークを設定するために使用する ことはできません
インストール環境の /sbin および /bin ディレクトリーにあるほとんどのユーティリティーに加えて、ネットワーク、ストレージ、およびファイルシステムに関連するコマンドを %pre スクリプトで使用できます。
%pre セクションでネットワークにアクセスできます。この時点では name サービス が設定されていないため、URL ではなく IP アドレスだけが有効です。
キックスタートのインストール前のスクリプトセクションは、複数のインストールツリーやソースメディアを管理できません。インストール前のスクリプトはインストールプロセスの第 2 段階で実行されるため、このような情報は作成された各キックスタートファイルに含める必要があります。
注記
インストール後スクリプトとは異なり、インストール前スクリプトは chroot 環境では実行されません。
以下のオプションを使用して、インストール前のスクリプトの動作を変更できます。オプションを使用するには、スクリプトの先頭にある %pre 行に追加します。以下に例を示します。
%pre --interpreter=/usr/bin/python
--- Python script omitted --
%end
--interpreter=
Python などの別のスクリプト言語を指定できます。システムで利用可能な任意のスクリプト言語を使用できます。ほとんどの場合、これらは /usr/bin/sh/usr/bin/bash、および /usr/bin/python です。
--erroronfail
スクリプトが失敗するとエラーを表示し、インストールを停止します。エラーメッセージは、失敗の原因がログ記録されている場所を示します。
--log=
スクリプトの出力を指定されたログファイルにログします。以下に例を示します。
%pre --log=/mnt/sysimage/root/ks-pre.log
以下は、%pre セクションの例です。

例27.6 %pre スクリプトの例

%pre
#!/bin/sh
hds=""
mymedia=""
for file in /proc/ide/h* do
mymedia=`cat $file/media`
if [ $mymedia == "disk" ] ; then
hds="$hds `basename $file`"
fi
done
set $hds
numhd=`echo $#`
drive1=`echo $hds | cut -d' ' -f1`
drive2=`echo $hds | cut -d' ' -f2`

#Write out partition scheme based on whether there are 1 or 2 hard drives
if [ $numhd == "2" ] ; then
#2 drives
echo "#partitioning scheme generated in %pre for 2 drives" > /tmp/part-include
echo "clearpart --all" >> /tmp/part-include
echo "part /boot --fstype xfs --size 75 --ondisk hda" >> /tmp/part-include
echo "part / --fstype xfs --size 1 --grow --ondisk hda" >> /tmp/part-include
echo "part swap --recommended --ondisk $drive1" >> /tmp/part-include
echo "part /home --fstype xfs --size 1 --grow --ondisk hdb" >> /tmp/part-include
else
#1 drive
echo "#partitioning scheme generated in %pre for 1 drive" > /tmp/part-include
echo "clearpart --all" >> /tmp/part-include
echo "part /boot --fstype xfs --size 75" >> /tmp/part-include
echo "part swap --recommended" >> /tmp/part-include
echo "part / --fstype xfs --size 2048" >> /tmp/part-include
echo "part /home --fstype xfs --size 2048 --grow" >> /tmp/part-include
fi
%end
このスクリプトはシステム内のハードドライブ数を判定して、ドライブ数が 1 台または 2 台かに合わせて、異なるパーティション設定スキームでテキストファイルを書き込みます。キックスタートファイルにパーティション設定コマンドのセットではなく、以下の行を含めます。
%include /tmp/part-include
スクリプト内で選択されたパーティション設定コマンドが使用されるようになります。

27.3.4. Anaconda の設定

追加のインストールオプションは、キックスタートファイルの %anaconda セクションで設定できます。このセクションでは、インストールシステムのユーザーインターフェイスの動作を制御します。
このセクションは、キックスタートファイルの最後に配置する必要があります。「キックスタートのコマンドとオプション」であり、%anaconda で始まり %end で終わる必要があります。
現在、%anaconda セクションで使用できる唯一のコマンドは pwpolicy です。詳細は 「キックスタートのコマンドとオプション」 を参照してください。
以下は、%anaconda セクションの例です。

例27.7 %anaconda スクリプトのサンプル

%anaconda
pwpolicy root --minlen=10 --strict
%end
この %anaconda セクションの例では、root パスワードの長さが 10 文字以上であることを要求するパスワードポリシーを設定し、この要件に一致しないパスワードを厳密に禁止しています。

27.3.5. インストール後のスクリプト

インストールが完了し、システムを最初に再起動する前に、システムで実行するコマンドを追加するオプションがあります。このセクションは、キックスタートファイルの最後に配置する必要があります。「キックスタートのコマンドとオプション」であり、%post で始まり %end で終わる必要があります。キックスタートファイルに %pre セクションも含まれている場合、%pre セクションと %post セクションの順序は関係ありません。
このセクションは、追加ソフトウェアのインストールや追加のネームサーバーの設定といった機能に役立ちます。インストール後のスクリプトは chroot 環境で実行されるので、インストールメディアからスクリプトや RPM をコピーするなどの作業はデフォルトでは機能しません。この動作は、以下で説明されているように --nochroot オプションを使用して変更できます。
インストール後のスクリプトは chroot 環境で実行されるため、ほとんどの systemctl コマンドはアクションの実行を拒否します。詳細については、Red Hat Enterprise Linux 7 のシステム管理者のガイドのchroot 環境における systemctl の動作セクションを参照してください。
重要
ネームサーバーを含む静的 IP 情報を使用してネットワークを設定した場合は、ネットワークにアクセスし、%post セクションで IP アドレスを解決できます。DHCP 用にネットワークを設定した場合、インストールが %post セクションを実行するときに /etc/resolv.conf ファイルが完了していません。ネットワークにアクセスすることはできますが、IP アドレスは解決できません。したがって、DHCP を 使用している場合は、%post セクションで IP アドレスを指定する必要があります。
以下のオプションを使用して、インストール後のスクリプトの動作を変更できます。オプションを使用するには、スクリプトの先頭にある %post 行に追加します。以下に例を示します。
%post --interpreter=/usr/bin/python
--- Python script omitted --
%end
--interpreter=
Python などの別のスクリプト言語を指定できます。以下に例を示します。
%post --interpreter=/usr/bin/python
システムで利用可能な任意のスクリプト言語を使用できます。ほとんどの場合、これらは /usr/bin/sh/usr/bin/bash、および /usr/bin/python です。
--nochroot
chroot 環境外で実行するコマンドを指定できます。
次の例では、ファイル /etc/resolv.conf を、インストールしたばかりのファイルシステムにコピーします。
%post --nochroot
cp /etc/resolv.conf /mnt/sysimage/etc/resolv.conf
%end
--erroronfail
スクリプトが失敗するとエラーを表示し、インストールを停止します。エラーメッセージは、失敗の原因がログ記録されている場所を示します。
--log=
スクリプトの出力を指定されたログファイルにログします。ログファイルのパスは、--nochroot オプションを使用しているかどうかを考慮に入れる必要があることに注意してください。--nochroot がない場合の例を示します。
%post --log=/root/ks-post.log
--nochroot:
%post --nochroot --log=/mnt/sysimage/root/ks-post.log
以下は、%post セクションの例です。

例27.8 %post スクリプトの例

# Start of the %post section with logging into /root/ks-post.log
%post --log=/root/ks-post.log

# Mount an NFS share
mkdir /mnt/temp
mount -o nolock 10.10.0.2:/usr/new-machines /mnt/temp
openvt -s -w -- /mnt/temp/runme
umount /mnt/temp

# End of the %post section
%end
上記の例では、NFS 共有をマウントし、共有 の/usr/new-machines/ にある runme という名前のスクリプトを実行します。キックスタートモードでは NFS ファイルのロックがサポートされていないため、-o nolock オプションが必要となることに注意してください。
キックスタートを使ったインストールで最もよく使われるインストール後のスクリプトの一つは、Red Hat Subscription Manager を使ったインストール済みシステムの自動登録です。以下は、%post スクリプトでの自動サブスクリプションの例です。

例27.9 インストール後のスクリプトで subscription-manager を実行する

%post --log=/root/ks-post.log
/usr/sbin/subscription-manager register --username=admin@example.com --password=secret --serverurl=sam-server.example.com --org="Admin Group" --environment="Dev" --servicelevel=standard --release="7.0"
%end
subscription-manager コマンドラインスクリプトは、システムを Red Hat Subscription Management サーバー (カスタマーポータルの Subscription Management、サブスクリプションアセットマネージャー、または CloudForms System Engine) に登録します。このスクリプトは、システムに最も適したサブスクリプションをそのシステムに自動的に割り当てる場合にも使用できます。
カスタマーポータルに登録する場合は、Red Hat ネットワークのログインに使用する認証情報を使用します。Subscription Asset Manager や CloudForms System Engine に登録する場合には、ローカルの管理者が作成したユーザーアカウントを使用します。
登録コマンドで追加オプションを使用してシステムに適したサービスレベルを設定し、また特定のオペレーティングシステムのバージョンに対する更新やエラータを制限できます。
また、キックスタートファイルでサブスクリプションマネージャーを使用するにはどうすればよいですか? も 参照してください。キックスタート %post セクションでの subscription-manager の 使用に関する追加情報については、Red Hat カスタマーポータルの記事を参照してください。

27.3.6. キックスタートでのエラー処理

Red Hat Enterprise Linux 7 以降、キックスタートインストールには、インストーラーで致命的なエラーが発生した場合に実行するカスタムスクリプトを含めることができます。たとえば、インストールを要求されたパッケージでのエラーや、指定した VNC を起動できないエラー、ストレージデバイスのスキャン時のエラーなどがあります。このようなエラーが発生すると、インストールが続行できません。インストーラーは、すべての %onerror スクリプトをキックスタートファイルで提供されている順序で実行します。さらに、トレースバックが発生すると、%onerror スクリプトが実行されます。
%onerror スクリプトは %end で終了する必要があります。
--erroronfail
スクリプトが失敗するとエラーを表示し、インストールを停止します。エラーメッセージは、失敗の原因がログ記録されている場所を示します。
--interpreter=
Python などの別のスクリプト言語を指定できます。以下に例を示します。
%post --interpreter=/usr/bin/python
システムで利用可能な任意のスクリプト言語を使用できます。ほとんどの場合、これらは /usr/bin/sh/usr/bin/bash、および /usr/bin/python です。
--log=
スクリプトの出力を指定されたログファイルにログします。

27.3.7. キックスタートのアドオン

Red Hat Enterprise Linux 7 以降は、キックスタートインストールでアドオンをサポートするようになりました。これらのアドオンは、多くの方法で基本的なキックスタート (および Anaconda) の機能を拡張できます。
キックスタートファイルでアドオンを使用するには、%addon addon_name options コマンドを使用し、前のセクションで説明したインストール前およびインストール後のスクリプトと同様に、%end ステートメントでコマンドを終了します。たとえば、デフォルトで Anaconda とともに配布されている Kdump アドオンを使用する場合は、次のコマンドを使用します。
%addon com_redhat_kdump --enable --reserve-mb=auto
%end
%addon コマンドには、独自のオプションは含まれていません。すべてのオプションは、実際のアドオンに依存しています。アドオンの詳細については、Red Hat Enterprise Linux 7 Anaconda カスタマイズガイドを参照してください。

27.4. キックスタート設定の例

27.4.1. 高度なパーティション設定の例

以下は、clearpartzerombrpartraidvolgroup、および logvol キックスタートオプションの動作を示す統合された例です。

例27.10 高度なパーティション設定の例

clearpart --drives=hda,hdc
zerombr
# Raid 1 IDE config
part raid.11 --size 1000 --asprimary --ondrive=hda
part raid.12 --size 1000 --asprimary --ondrive=hda
part raid.13 --size 2000 --asprimary --ondrive=hda
part raid.14 --size 8000 --ondrive=hda
part raid.15 --size 16384 --grow --ondrive=hda
part raid.21 --size 1000 --asprimary --ondrive=hdc
part raid.22 --size 1000 --asprimary --ondrive=hdc
part raid.23 --size 2000 --asprimary --ondrive=hdc
part raid.24 --size 8000 --ondrive=hdc
part raid.25 --size 16384 --grow --ondrive=hdc

# You can add --spares=x
raid / --fstype xfs --device root --level=RAID1 raid.11 raid.21
raid /safe --fstype xfs --device safe --level=RAID1 raid.12 raid.22
raid swap --fstype swap --device swap --level=RAID1 raid.13 raid.23
raid /usr --fstype xfs --device usr --level=RAID1 raid.14 raid.24
raid pv.01 --fstype xfs --device pv.01 --level=RAID1 raid.15 raid.25

# LVM configuration so that we can resize /var and /usr/local later
volgroup sysvg pv.01
logvol /var --vgname=sysvg --size=8000 --name=var
logvol /var/freespace --vgname=sysvg --size=8000 --name=freespacetouse
logvol /usr/local --vgname=sysvg --size=1 --grow --name=usrlocal
この高度な例では、RAID を使用した LVM や、将来的なデータの増加に応じてさまざまなディレクトリーのサイズを変更できる機能が実装されています。
まず、clearpart コマンドをドライブ hda および hdc で使用して消去します。zerombr コマンドは、未使用のパーティションテーブルを初期化します。
次に 2 つのドライブにパーティションを設定して、RAID 設定の準備をします。各ドライブは 5 つのパーティションに分割され、同一のレイアウトでパーティション設定されます。
次の部分では、これらの物理パーティションのペアを使って RAID1 レベル (ミラーリング) で ソフトウェア RAID デバイスを作成します。最初の 4 つの RAID デバイスは、/ (ルート)、/safeswap、および /usr に使用されます。5 番目に大きいパーティションのペアは pv.01 という名前で、次の部分で LVM の物理ボリュームとして使用されます。
最後に、コマンドの最後のセットは、最初に sysvg という名前のボリュームグループを pv.01 物理ボリューム上に作成します。次に、3 つの論理ボリューム (/var/var/freespace、および /usr/local) が作成され、sysvg ボリュームグループに追加されます。/var および /var/freespace ボリュームのサイズは 8 GB に設定されており、/usr/local ボリュームは --grow オプションを使用して残りの使用可能なスペースをすべて埋めます。

27.4.2. ユーザー入力の例

以下では、bash を使用してユーザーに入力を要求し、その入力を読み込み変数として保存する例を示します。

例27.11 ユーザー入力の例

%pre
exec < /dev/tty6 > /dev/tty6 2> /dev/tty6
chvt 6
IFS=$'\n'
echo -n "Enter input: "
read USERINPUT
echo
echo -n "You entered:" "$USERINPUT"
echo
chvt 1
exec < /dev/tty1 > /dev/tty1 2> /dev/tty1
%end
キックスタートの作動方法により、スクリプトはユーザー入力を読み込む前に新規の仮想マシンに切り替える必要があります。これ は、exec </dev/tty6 >/dev/tty6 2>/dev/tty6 および chvt 6 コマンドによって実現されます。read USERINPUT は、 Enter キーが押されるまでユーザーからの入力を読み取り、それを変数 USERINPUT に格納します。echo -n "Youentered:" "$USERINPUT" コマンドは、テキスト Youentered: に続いてユーザーの入力を表示します。最後に、chvt 1 および exec </dev/tty1 >/dev/tty1 2>/dev/tty1 コマンドは元の端末に戻り、キックスタートがインストールを続行できるようにします。

27.4.3. RNG デーモンをインストールして起動するキックスタートファイルの例

以下では、サービスをインストールして有効にするキックスタートファイルの例を説明します。ここでは、システムカーネルにエントロピーを提供する Random Number Generator (RNG) デーモンを使っています。

例27.12 RNG デーモンをインストールして起動するキックスタートファイルの例

services --enabled=rngd

%packages
rng-tools
%end
services --enabled=rngd コマンドは、システムが起動するたびに RNG デーモンを起動するように、インストールされたシステムに指示します。RNG デーモンが含まれる rng-tools パッケージは、インストールで指定されます。

第28章 ディスクイメージへのインストール

本章では、いくつか異なるタイプのカスタムかつ起動可能なイメージの作成プロセスと、他の関連トピックについて説明します。イメージの作成とインストールのプロセスは、通常のハードドライブのインストールと同様の手順で手動で実行することも、キックスタートファイルと livemedia-creator ツールを使用して自動化することもできます。
注記
livemedia-creator を使用したカスタムイメージの作成は、現在、AMD64 および Intel 64 (x86_64) および IBM POWER (ビッグエンディアン) システムでのみサポートされています。
また、Red Hat がサポートするのは、Red Hat Enterprise Linux 7 のカスタムイメージの作成のみになります。
手動で行う場合は、グラフィカルインストールプログラムを使用して対話形式でインストールを実行できます。このプロセスは、Red Hat Enterprise Linux の起動可能なメディアおよびグラフィカルインストールプログラムを使用したインストールと同様のものです。しかし、インストール開始前に 1 つ以上の空のイメージファイルを手動で作成する必要があります。
livemedia-creator を使用した自動ディスクイメージインストールは、ネットワークブートを使用したキックスタートインストールと多少似ています。このアプローチを使用するには、インストールを実行するために livemedia-creator によって使用される有効なキックスタートファイルを準備する必要があります。ディスクイメージファイルは、自動で作成されます。
ディスクイメージへのインストールでは、どちらのアプローチでも別個のインストールソースが必要になります。ほとんどの場合、バイナリー Red Hat Enterprise Linux DVD の ISO イメージの使用が最善のアプローチになります。インストール ISO イメージの取得の詳細は、2章Red Hat Enterprise Linux のダウンロード を参照してください。
重要
現時点では、Red Hat Enterprise Linux のインストール ISO イメージを追加の準備なしに使用することはできません。ディスクイメージインストール用のインストールソースは、通常のインストール実行用に準備される方法と同様に準備する必要があります。インストールソースの準備に関する情報は、「インストールソースの準備」 を参照してください。

28.1. 手動でのディスクイメージへのインストール

ディスクイメージへの手動インストールは、既存のシステムで Anaconda インストールプログラムを実行し、1 つ以上のディスクイメージファイルをインストールターゲットとして指定することによって実行されます。追加のオプションを使用して、Anaconda をさらに設定することもできます。anaconda -h コマンドを使用すると、使用可能なオプションのリストを取得できます。
警告
Anaconda を使用したイメージのインストールは、すでにインストールされているシステムでインストールプログラムを使用するため、潜在的に危険です。現時点では問題を引き起こす可能性のある既知のバグはありませんが、このプロセスによりシステム全体が使用できなくなる可能性があります。ディスクイメージへのインストールは、価値のあるデータを保持しているシステム上ではなく、この目的にのみ確保されたシステムもしくは仮想マシン上で常に行うべきです。
このセクションでは、空のディスクイメージを作成し、Anaconda インストールプログラムを使用して Red Hat Enterprise Linux をこれらのイメージにインストールする方法について説明します。

28.1.1. ディスクイメージの準備

手動でのディスクイメージへのインストールの最初のステップは、1 つ以上のイメージファイルを作成することです。このイメージファイルは、物理ストレージのように後で、インストールターゲットとして使用されます。Red Hat Enterprise Linux では、以下のコマンドを使用してディスクイメージファイルを作成できます。
$ fallocate -l size name
size を イメージのサイズを表す値 (10G5000M など) に置き換え、name を作成するイメージのファイル名に置き換えます。たとえば、サイズが 30GB の myimage.raw という名前のディスクイメージファイルを作成するには、次のコマンドを使用します。
$ fallocate -l 30G myimage.raw
注記
fallocate コマンドを使用すると、使用する接尾辞に応じて、さまざまな方法で作成するファイルのサイズを指定できます。サイズの指定の詳細については、fallocate (1) の マニュアルページを参照してください。
作成するディスクイメージファイルのサイズは、インストール中に作成されるファイルシステムの最大容量を制限することになります。イメージの最小サイズは常に 3GB 以上である必要がありますが、ほとんどの場合、領域の要件はこれよりも大きいものです。インストールに必要な正確なサイズはインストールするソフトウェアやスワップ領域、インストール後に必要とする領域の大きさによって異なります。パーティション設定にの詳細は、以下を参照してください。
1 つ以上の空のディスクイメージファイルを作成したら、「Red Hat Enterprise Linux のディスクイメージへのインストール」に進んでください。

28.1.2. Red Hat Enterprise Linux のディスクイメージへのインストール

重要
Anaconda でカスタムイメージを作成する前に、Security Enhanced Linux (SELinux) を permissive (または無効) モードに設定します。SELinux モードの設定については 、Red Hat Enterprise Linux 7 SELinux ユーザーおよび管理者のガイドを 参照してください。
ディスクイメージファイルへのインストールを開始するには、root として次のコマンドを実行します。
# anaconda --image=/path/to/image/file
/path/to/image/file は、先に作成したイメージファイルへの 完全 パスで置き換えます。
このコマンドを実行すると、システムで Anaconda が起動します。インストールインターフェイスは通常のインストール (Red Hat Enterprise Linux メディアからのシステムの起動) と同じですが、ブートメニューを省略してグラフィカルインストールが直接スタートします。これは、起動オプションを anaconda コマンドへの追加の引数として指定する必要があることを意味します。コマンドラインで anaconda -h を実行すると、サポートされているコマンドの完全なリストを表示できます。
最も重要なオプションの 1 つは --repo= で、これでインストールソースを指定できます。このオプションは、inst.repo= 起動オプションと同じ構文を使用します。詳細は、「ブートメニューによるインストールシステムの設定」 を参照してください。
--image= オプションを使用する場合には、指定したディスクイメージファイル のみ がインストールターゲットとして利用可能になります。Installation Destination ダイアログに他のデバイスは表示されません。複数のディスクイメージを使用する必要がある場合は、イメージファイルごとに --image= オプションを指定する必要があります。以下に例を示します。
# anaconda --image=/home/testuser/diskinstall/image1.raw --image=/home/testuser/diskinstall/image2.raw
上記のコマンドで Anaconda が起動し、Installation Destination 画面で、指定した両方のイメージファイルがインストールターゲットとして使用できるようになります。
オプションとして、インストールで使用されるディスクイメージファイルにカスタム名を割り当てることもできます。ディスクイメージファイルに名前を付けるには、ディスクイメージファイル名の末尾に : name を追加します。たとえば、/home/testuser/diskinstall/ image1.raw にあるディスクイメージファイルを使用し、それに myimage という 名前を割り当てるには、次のコマンドを実行します。
# anaconda --image=/home/testuser/diskinstall/image1.raw:myimage

28.2. 自動でのディスクイメージへのインストール

ディスクイメージの作成とそれらへのインストールは、livemedia-creator を使用して自動化できます。自動インストールを実行するには、Red Hat Enterprise Linux システムおよびキックスタートファイルが必要です。ディスクイメージ自体は手動で作成する必要はありません。キックスタートファイルの作成および使用に関する情報は、27章キックスタートを使ったインストール を参照してください。

28.2.1. livemedia-creator の概要

livemedia-creator を使用したカスタムイメージの作成は、通常、2 段階のプロセスです。最初の段階では、一時ディスクイメージファイルが作成され、Red Hat Enterprise Linux インストールプログラムである Anaconda が、キックスタートファイルで提供されるパラメーターに基づいて、このイメージにシステムをインストールします。次に、第 2 段階で、livemedia-creator は この一時システムを使用して、最終的な起動可能なイメージを作成します。
この動作は、追加オプションを指定することで変更可能です。たとえば、最初の段階のみを実行してディスクイメージファイルを作成したり、最初の段階を省略して既存のディスクやファイルシステムイメージを使用して最終的な起動可能な ISO イメージを作成するといったことができます。
livemedia-creator の使用例については、「カスタムイメージの作成」 .lorax パッケージがインストールされているシステムでは、livemedia-creator --help コマンドを使用して、使用可能なすべてのオプションのリストを表示できます。追加のドキュメントも lorax パッケージとともにインストールされます: livemedia-creator (1) man ページと、/usr/share/doc/lorax- version/ ディレクトリーにある README.livemedia-creator ファイル。ここで、version はのバージョンです。インストールした lorax パッケージ。

28.2.2. livemedia-creator のインストール

livemedia-creator ツールは、lorax パッケージの一部です。パッケージをインストールするには、root として次のコマンドを実行します。
# yum install lorax
また、lorax に加えてほかのパッケージをいくつかインストールする必要もあります。これらのパッケージは lorax の依存関係ではないため、自動的にはインストールされませんが、livemedia-creator を 正確に何のために使用しているかによっては必要になる場合があります。以下のパッケージになります。
  • virt-install: --no-virt オプションが指定されていない限り、ライブメディア作成の最初の段階で新規仮想マシンの構築に使用されるツールを提供するパッケージ。
  • libvirtqemu-kvmlibvirt-client およびその他の仮想化ツール: virt-install を使用する場合は、システムで、仮想マシンの作成、実行、管理の準備を整える必要があります。Red Hat Enterprise Linux における仮想化についての情報および仮想化ツールのインストールと作業についての資料は、Red Hat Enterprise Linux 7 仮想化の導入および管理ガイドを参照してください。
  • anaconda: Red Hat Enterprise Linux インストールプログラム。--no-virt オプションを指定すると、virt-install の代わりにこちらが第一段階で使用されます。
本章の対象範囲外となりますが、他のアプリケーションが必要となる場合もあります。livemedia-creator を 実行しようとして、指定したオプションで必要なパッケージが見つからない場合、プログラムは停止し、続行する前にインストールする必要があるパッケージを通知するエラーメッセージが表示されます。

28.2.3. キックスタートファイルのサンプル

カスタムのライブイメージを正常に作成するには、有効なキックスタート設定ファイルが必要になります。lorax では、2 つのサンプルが自動的にインストールされます。カスタムイメージの作成時には、これらのサンプルを参照するか、これらをコピーしてから使用目的に合わせてサンプルを修正することができます。提供されている両方のサンプルは 、/usr/share/doc/lorax- version/ ディレクトリーにあります。ここで、version は、システムにインストールされている lorax パッケージのバージョン番号です。
利用可能なサンプルは、以下のものです。
  • rhel7-minimal.ks : 最小限のインストール (@core グループ) と、カーネルや GRUB2 ブートローダーなどのその他の必須要素のみを提供する設定ファイル。root 以外のユーザーは作成されず、グラフィカルインターフェイスや追加パッケージもインストールされません。
  • rhel7-livemedia.ks : グラフィカルインターフェイスを備えたライブシステムを作成する、より高度な設定ファイル。root とともに liveuser という名前のユーザーが作成されます。
これらのサンプルをインストールソースとして有効な場所で使用するには、両方とも修正する必要があります。これには、ファイルを修正し、url コマンドが有効なインストールソースを参照するように更新します。キックスタートの詳細は、27章キックスタートを使ったインストール を参照してください。これらのサンプルが機能するためには、これ以外の変更は必要ありません。
重要
サンプルは、元の場所で修正しないでください。別のディレクトリーにコピーしてから、そのコピーされたものを修正してください。
注記
Red Hat では、Red Hat がインストールソースとして提供しているリポジトリーのみをサポートしています。
注記
提供されたサンプルを変更したり、キックスタートファイルを最初から作成したりする場合は、livemedia-creator でサポートされていないため、%include ステートメントを使用しないでください。すべてのキックスタートファイルは、使用する前に手動または ksflatten ツールを使用してフラット化する必要があります。

28.2.4. カスタムイメージの作成

本セクションでは、lorax パッケージのツールの一般的な使用パターンを説明します。これは、使用可能なオプションの完全なリストを意味するものではありません。livemedia-creator で使用可能なすべてのオプションを表示するには、livemedia-creator --help を実行するか、livemedia-creator (1) の マニュアルページを参照してください。lorax の詳細は https://weldr.io/lorax/ を参照してください。
28.2.4.1. lorax を使用した boot.iso ファイルの作成
Red Hat Enterprise Linux のインストールシステムは、lorax という名前のツールで作成されます。この lorax を使用して、更新済みカーネルや追加パッケージなどを含む独自のインストールメディアを作成することもできます。
注記
lorax を使用するシステムは、作成する Red Hat Enterprise Linux のイメージと同じリリースであることが推奨されます。
以下を root として実行すると、boot.iso という名前のインストールイメージが results/images ディレクトリーに作成されます。--repo= コマンドにより Yum リポジトリーの設定ファイルが読み込まれ (この場合はデフォルトの設定ファイル)、それを使用してシステム更新の場合と同様に Red Hat のコンテンツ配信ネットワークからパッケージがダウンロードされます。
# yum install lorax
# setenforce 0
# lorax -p RHEL -v 7.4 -r 7.4 --repo=/etc/yum.repos.d/redhat.repo ./results/
# setenforce 1
注記
上記のコマンドを使用するシステムは、Red Hat Subscription Manager に登録済みで、サブスクライブしている必要があります。詳細情報は、Red Hat Subscription Management を参照してください。
28.2.4.2. virt-install を使用したライブイメージの作成
おそらく、livemedia-creator の最も一般的な使用方法は、virt-install を使用して、ライブイメージの作成プロセスに使用する一時的な仮想マシンを作成することです。virt-install を使用してライブ ISO を作成するには、有効なキックスタートファイルと、Anaconda インストールプログラムを含む起動可能な ISO イメージが必要です。このようなイメージは、Red Hat が最小起動メディアとして提供しています。詳細は「USB インストールメディアの作成」 を参照してください。
次のコマンドは、virt-install を使用してライブイメージを作成するために最低限必要なものです。
# livemedia-creator --make-iso --iso=/path/to/boot.iso --ks=/path/to/valid/kickstart.ks
/path/to/boot.iso を最小限の起動メディアへのパスに、/path/to/valid/kickstart.ks をイメージ作成プロセスで使用する有効なキックスタートファイルへのパスに置き換えます。
このケースでは、以下のオプションがよく使用されます。
  • --vnc vnc : このオプションを使用すると、TigerVNC などの VNC クライアントを使用してインストールプロセスを監視できます。このオプションは virt-install の --graphics オプションに渡されます。詳細は、25章VNC の使用 を参照してください。
  • --RAM x: 一時仮想マシンの RAM の容量を MiB 単位で指定できます。
  • --vcpuss x: 仮想マシンのプロセッサーの量です。
28.2.4.3. Anaconda のイメージインストールを使用したライブイメージの作成
virt-install が利用できない場合、livemedia-creator アプリケーションは Anaconda パッケージを使用してライブイメージを作成できます。この場合、インストールプログラムを含むイメージは必要ありませんが、Anaconda パッケージをシステムにインストールする必要があります。プロセスはこの場合も 2 段階です。まず、一時ディスクイメージを作成し、システムをそのイメージにインストールします。次に、このイメージを使って最終的な起動用の ISO を作成します。
警告
Anaconda を使用したライブイメージの作成は、仮想マシン内ではなくシステム自体でインストールプログラムを使用するため、潜在的に危険です。現時点では問題を引き起こす可能性のある既知のバグはありませんが、このプロセスによりシステム全体が使用できなくなる可能性があります。したがって、--no-virt オプションを指定して livemedia-creator を実行することは、この目的のために特別に予約された仮想マシン (ゲスト) でのみ推奨されます。
重要
Anaconda でカスタムイメージを作成する前に、Security Enhanced Linux (SELinux) を permissive (または無効) モードに設定します。SELinux モードの設定については 、Red Hat Enterprise Linux 7 SELinux ユーザーおよび管理者のガイドを 参照してください。
Anaconda を使用してライブイメージを作成するには、--no-virt オプションを使用します。以下に例を示します。
# livemedia-creator --make-iso --ks=/path/to/valid/kickstart.ks --no-virt
28.2.4.4. ディスクまたはファイルシステムのイメージ作成
livemedia-creator を 使用して、ディスクまたはファイルシステムイメージを作成することもできます。この場合、イメージ作成プロセスの第 1 段階のみを実行することになります。最終的な ISO は作成されず、一時的なディスクもしくはファイルシステムのイメージファイルへのインストールプロセスが終了した時点で、プログラムは停止します。その後に、このイメージをマウントしてエラーがないか検査します。これは、修正されたキックスタートファイルのトラブルシューティングの際に役立ちます。また、今後のイメージ作成時のために保存しておくと時間の節約にもなります。
注記
本セクションのすべての例で --no-virt オプションを使用することもできます。
第 1 段階後に作成プロセスを停止するには、いくつか方法があります。以下の例のように、--image-only オプションを使用できます。
	# livemedia-creator --make-iso --ks=/path/to/valid/kickstart.ks --iso=/path/to/boot.iso --image-only
または、--make-iso の代わりに --make-disk オプションを使用します。
	# livemedia-creator --make-disk --ks=/path/to/valid/kickstart.ks --iso=/path/to/boot.iso
--make-fsimage オプションを使用して、パーティション化ディスクイメージの代わりにファイルシステムイメージを作成することもできます。
	# livemedia-creator --make-fsimage --ks=/path/to/valid/kickstart.ks --iso=/path/to/boot.iso
いずれの場合も、パーティション分割されたディスクイメージまたはファイルシステムイメージが作成され、デフォルトで /var/tmp/ ディレクトリーに配置されます。結果の場所を変更するには、--tmp /path/to/temporary/directory/ オプションを使用します。ここで /path/to/temporary/directory/ は、ターゲットディレクトリーへのパスです。
28.2.4.5. 以前に作成されたディスクもしくはファイルシステムのイメージの使用
すでにディスクまたはファイルシステムイメージがある場合 (「ディスクまたはファイルシステムのイメージ作成」)、これを livemedia-creator に提供して、最終的な起動可能な ISO イメージを生成できます。この場合、キックスタートファイルや Anaconda インストールイメージは必要ありません。これらは、この場合スキップされるイメージ作成プロセスの最初の段階でのみ必要です。
既存のパーティション設定されたディスクイメージファイルから最終イメージを作成するには、--disk-image オプションを使用します。以下に例を示します。
# livemedia-creator --make-iso --disk-image=/path/to/disk/image.img
ディスクイメージの代わりにファイルシステムイメージを使用する必要がある場合は、代わりに --fs-image オプションを使用します。
# livemedia-creator --make-iso --fs-image=/path/to/filesystem/image.img
28.2.4.6. アプライアンスの作成
livemedia-creator ユーティリティーを使用して、テンプレートを使用して生成された説明を含む XML ファイルを含むアプライアンスイメージ (パーティション分割されたディスクイメージ) を作成できます。この場合は、仮想マシンのインストールとイメージのインストールがサポートされます。アプライアンスのイメージと記述を作成するには、--make-iso の代わりに --make-appliance オプションを使用します。以下に例を示します。
# livemedia-creator --make-appliance --ks=/path/to/valid/kickstart.ks --iso=/path/to/boot.iso
--resultdir オプションを使用して別のディレクトリーを指定しない限り、イメージと説明 XML ファイルの両方が /var/tmp/ ディレクトリーに保存されます。
アプライアンス作成に固有の追加オプションには、以下のものがあります。
  • --app-name name : <name> タグでマークされた XML 記述ファイルに表示されるアプライアンスの名前を指定します。デフォルト値は なし です。
  • --app-template /path/to/template.tmpl: 使用するテンプレートを指定します。デフォルトは /usr/share/lorax/appliance/libvirt.tmpl です。
  • --app-file /path/to/app/file.xml: 生成された記述の XML ファイルの名前を指定します。デフォルト値は appliance.xml です。
28.2.4.7. Amazon Machine Image (AMI) の作成
Amazon Elastic Compute Cloud (EC2) 内で使用する Amazon Machine Image (AMI) を作成するには、--make-ami オプションを使用します。仮想およびイメージインストールの両方がサポートされています。
# livemedia-creator --make-ami --ks=/path/to/valid/kickstart.ks --iso=/path/to/boot.iso
--resultdir オプションを使用して別のファイルを指定しない限り、結果は /var/tmp/ ディレクトリーにある ami-root.img という名前のイメージファイルになります。
28.2.4.8. 追加の引数
次のオプションは、上記のすべてのユースケース (仮想インストール、Anaconda イメージのインストールなど) で使用できます。
  • --keep-image: このオプションを指定すると、インストールの最初の段階で使用される一時ディスクイメージファイルは削除されません。/var/tmp/ ディレクトリーに配置され、diskgU42Cq.img などのランダムに生成された名前が付けられます。
  • --image-only: このオプションを使用すると、イメージ作成プロセスの第 1 段階のみが実行されます。最終的な起動可能な ISO イメージを作成する代わりに、livemedia-creator は 一時的なディスクイメージファイルを作成し、その上でインストールを実行するだけです。このオプションを使用すると時間のかかる第 2 段階を省略し、一時的なディスクイメージファイルを検査するので、キックスタートファイルに加えた修正をテストする際に時間を節約できます。
  • --image-name name: 一時ディスクイメージファイルのカスタム名を指定できます。デフォルト名はランダムに生成されます (例: disk1Fac8G.img)。
  • --tmp /path/to/temporary/directory/: 最上位の一時ディレクトリーを指定します。デフォルト値は /var/tmp/ です。このオプションを使う場合は、既存のディレクトリーを指定する必要があります。
  • --resultdir /path/to/results/directory/ : livemedia-creator の 終了後に結果 (起動可能な ISO イメージ) が表示されるディレクトリーを指定します。既存のディレクトリーは指定できません。デフォルトは /var/tmp/ です。このオプションは、最終的な ISO イメージにのみ適用されます。ディスクまたはファイルシステムイメージを作成し、特定の場所で保存する場合は、--tmp オプションを使用します。
  • --logfile /path/to/log/file/: プログラムのログファイルの場所を指定します。

28.2.5. livemedia-creator のトラブルシューティング

このセクションでは、livemedia-creator の 使用時に一般的に発生するさまざまな問題を解決するための提案を提供します。ここで説明しない問題が発生した場合には、プログラムのログファイルを参照できます。このファイルは、実行時に必ず自動的に生成され、--logfile オプションを使用して別のディレクトリーを指定しない限り、ツールを実行したディレクトリーに保存されます。ログファイルは、使用したオプションに基づいて異なります。たとえば、--no-virt オプションを使用すると、virt-install.log は生成されません (代わりに、anaconda にある Anaconda からログファイルを取得します)。/ ディレクトリー)。その他のファイル、つまり livemedia.logprogram.log は 毎回生成されます。
別の問題特定および解決方法として、ユーティリティーの実行時に --image-only オプションを使用します。このオプションは第 1 段階後にプログラムを停止するので、最終的な起動用 ISO ではなく、ディスクイメージファイルのみが生成されます。すると、第 2 段階の終了を待たずにディスクイメージファイルをマウントし、コンテンツを調べることができます。または、--keep-image オプションを使用すると、どちらの段階も実行しますが、後で分析するために、一時ディスクイメージが保存されます。
キックスタートファイルへの変更をテストする場合は、--vnc オプションを使用することが推奨されます。このオプションを使うと、VNC クライアントを使って仮想マシンに接続し、インストールプロセスを見ることができます。詳細は 25章VNC の使用 を参照してください。
28.2.5.1. 仮想マシンのインストールが停止する場合
仮想インストールの最初の段階で何らかの理由でインストールプログラムが停止すると、livemedia-creator も停止し、インストールが完了するのを待ちます。プログラムに直接割り込むか、一時仮想マシンを停止することでこの問題を解決することができます。Livemedia-creator は、ゲストオペレーティングシステムが停止したことを検出し、すべての一時ファイルを削除して終了します。
一時仮想マシンを停止するには、以下の手順に従います。

手順28.1 一時仮想マシンを停止する

  1. virsh を使用して、システムで現在使用可能なすべての仮想マシン (ゲスト) をリスト表示します。出力は次のようになります。
    # virsh list --all
    	Id    Name                           State
    	----------------------------------------------------
    	93    LiveOS-2a198971-ba97-454e-a056-799f453e1bd7 running
    	-     RHEL7                      shut off
    
    一時仮想マシンを特定します。その名前は常に LiveOS で始まり、その後に乱数と文字の文字列が続きます。
  2. 一時仮想マシンを特定したら、virsh destroy name コマンドを使用して停止します。name 仮想マシンの名前です。
    # virsh destroy LiveOS-2a198971-ba97-454e-a056-799f453e1bd7
    Domain LiveOS-2a198971-ba97-454e-a056-799f453e1bd7 destroyed
    
28.2.5.2. 仮想マシンを使用したインストールの失敗
仮想インストールを実行中、初期段階に何らかの理由でプロセスが中断されてしまうと (ハードウェア障害や停電、キーボードによる中断など)、以前に作成した一時ディスクイメージおよび仮想マシンを削除するまで virt-install によるインストールを再開することができなくなります。一時ディスクイメージおよび仮想マシンの削除方法を以下で説明します。
すべてのステップが毎回必要とは限りません。たとえば、システムクラッシュ後に回復する場合、一時仮想マシンを停止する必要はなく、代わりに virsh undefine name コマンドを使用できます。livemedia-creator によって作成された一時ファイルのみをクリーンアップしたい場合は、手順 4 と 5 を使用することもできます。

手順28.2 一時ゲストおよびディスクイメージファイルを削除する

  1. virsh を使用して、システムで現在使用可能なすべての仮想マシン (ゲスト) をリスト表示します。出力は次のようになります。
    # virsh list --all
    Id    Name                           State
    ----------------------------------------------------
    93    LiveOS-2a198971-ba97-454e-a056-799f453e1bd7 running
    -     RHEL7                      shut off
    
    一時仮想マシンを特定します。この名前は常に LiveOS で始まり、その後に乱数と文字の文字列が続きます。
  2. 一時仮想マシンを特定したら、virsh destroy name コマンドを使用して停止します。name は仮想マシンの名前になります。
    # virsh destroy LiveOS-2a198971-ba97-454e-a056-799f453e1bd7
    Domain LiveOS-2a198971-ba97-454e-a056-799f453e1bd7 destroyed
    
  3. virsh undefine nameを使用して、前の手順で同じ 名前 を使用して一時仮想マシンを削除します。
    # virsh undefine LiveOS-2a198971-ba97-454e-a056-799f453e1bd7
    Domain LiveOS-2a198971-ba97-454e-a056-799f453e1bd7 has been undefined
    
  4. 一時ファイルシステムのマウント先を見つけます。/var/tmp/ ディレクトリーをターゲットにし、その名前は lorax.imgutils の後に 6 つの乱数または文字が続きます。
    # findmnt -T /var/tmp/lorax.imgutils*
    TARGET                         SOURCE     FSTYPE  OPTIONS
    /var/tmp/lorax.imgutils.bg6iPJ /dev/loop1 iso9660 ro,relatime
    
    次に、umount コマンドを使用してアンマウントします。
    # umount /var/tmp/lorax.imgutils.bg6iPJ
  5. /var/tmp/ ディレクトリーで virt-install によって作成された一時ディスクイメージを見つけます。このファイルの名前は、インストールプロセスの開始時にコマンドラインに出力されます、--image-name オプションを使用して名前を指定しない限り、無作為に生成されます。以下に例を示します。
    2013-10-30 09:53:03,161: disk_size = 5GB
    2013-10-30 09:53:03,161: disk_img = /var/tmp/diskQBkzRz.img
    2013-10-30 09:53:03,161: install_log = /home/pbokoc/lorax/virt-install.log
    mount: /dev/loop1 is write-protected, mounting read-only
    
    上記の例では、一時ディスクイメージは /var/tmp/diskQBkzRz.img です。
    最初のメッセージを見つけられない場合は、手動で一時ファイルを特定できます。ls コマンドを使用して /var/tmp/ ディレクトリーの内容をすべて一覧表示し、名前に disk が含まれるファイルの出力をフィルタリングします。
    # ls /var/tmp/ | grep disk
    diskQBkzRz.img
    
    その後に一時ディスクイメージを削除します。
    # rm -f /var/tmp/diskQBkzRz.img
この手順のステップをすべて実行すると、virt-install を使って新たなインストールを開始することができます。
28.2.5.3. Anaconda を使用したインストールの失敗
Anaconda イメージインストール機能( -no-virt オプション)を使用して割り込みインストールからの復元は、anaconda パッケージとともにインストールされる anaconda-cleanup スクリプトを実行します。このスクリプトは、/usr/bin/ ディレクトリーにあります。
以下のコマンドを使用して、クリーンアップスクリプトを実行します。これには、root 権限が必要になります。
# anaconda-cleanup

第29章 現在のシステムのアップグレード

現在のシステムにインプレースアップグレードを実施する場合は、次のユーティリティーを使います。
  • Preupgrade Assistant は、現在のシステムを評価し、アップグレード中またはアップグレード後に発生する可能性のある問題を特定する診断ユーティリティーです。
  • Red Hat Upgrade Tool ユーティリティー。Red Hat Enterprise Linux バージョン 6 からバージョン 7 へのアップグレードに使用されます。
注記
現在、インプレースアップグレードは AMD64 および Intel 64 (x86_64)システムおよび IBM Z (s390x)でのみサポートされています。さらに、Red Hat Upgrade Tool でアップグレードできるのは Server バリアントのみです。
Red Hat Enterprise Linux の以前のリリースから Red Hat Enterprise Linux 7 へのアップグレードプロセスに関するドキュメントは、Red Hat Enterprise Linux  7 移行計画ガイドを参照してください。
Red Hat Enterprise Linux 6 から 7 への移行には、Red Hat Enterprise Linux Upgrade Helper も使用できます。

パート V. インストール後

Red Hat Enterprise Linux インストールガイド』 では、インストールの最終段階、今後行う可能性のあるインストール関連の作業などについて説明します。これには、以下が含まれます。
  • Red Hat Subscription Management サービスへのシステムの登録などインストール後の一般的な作業
  • Red Hat Enterprise Linux インストールディスクを使用した破損システムの復元
  • コンピューターからの Red Hat Enterprise Linux の削除

第30章 初期設定 (Initial Setup)

サーバーをインストールした場合には、新しい Red Hat Enterprise Linux システムを起動すると、初期設定 アプリケーションが起動します。
  • Red Hat Enterprise Linux 設定での Server with GUI ベース環境の使用
  • %packages セクションに以下のいずれかのエントリーを含むキックスタートファイルを使用します。
    • グラフィカルモード用の initial-setup-gui
    • テキストモードの initial-setup パッケージ
    • x11 グループ
    • gnome-desktop グループ
    • kde-desktop グループ
注記
グラフィカルモードの初期セットアップアプリケーションは、グラフィカル出力を備えたシステムでのみ起動します。初期セットアップ (GUI があるサーバー、GNOME Desktop、KDE Plasma ワークスペースなど) を含む環境で、グラフィックカードがないシステムに Red Hat Enterprise Linux システムをインストールすると、初期セットアップアプリケーションがテキストモードで起動します。
初期設定でのオプション
初期セットアップ アプリケーションは、以下のオプションを表示できます。
オプション グラフィカルユーザーインターフェイス テキスト形式のユーザーインターフェイス
使用許諾契約書 [a] はい はい
言語設定 [b] いいえ はい
日付と時刻 [b] はい はい [c]
サブスクリプションマネージャー はい いいえ
ネットワークおよびホスト名 [b] はい いいえ
root パスワード [b] はい はい [c]
ユーザー作成 [b] はい はい
[a] このオプションは、ライセンスに同意しなかった場合に表示されます。
[b] このオプションは、言語が設定されていない場合にのみ表示されます。
[c] このオプションは、再設定モードで 初期 設定を実行する場合のみ利用できます。
重要
セットアップ時に設定されたオプションは、初期 設定 には表示されません。初期セットアップ ですべてのオプションを表示するには、以下のコマンドを含むキックスタートファイルを使用して Red Hat Enterprise Linux をインストールする必要があります。
firstboot --enable --reconfig
--reconfig オプションは、すべてのオプションが表示されるように指定します。キックスタートインストールの詳細は、27章キックスタートを使ったインストール を参照してください。

30.1. グラフィカルモード

グラフィカルモードでは、Initial Setup に次の画面が表示されます。

図30.1 初期設定のメイン画面

初期設定のメイン画面
ライセンス契約 画面には、Red Hat Enterprise Linux の全体的なライセンス条件が表示されます。

図30.2 ライセンス情報の画面

ライセンス情報の画面
設定のプロセスを続行するには、ライセンス契約に同意する必要があります。この手順を完了 せずに 初期設定 を終了すると、システムが再起動し、システムの再起動が完了すると、再度合意に同意するように求められます。
使用許諾契約を確認します。次に、I accept the license agreement を選択し、Done をクリックして続行します。
User Creation 画面は、インストール時にアカウントを作成するときに使用するものと同じです。詳細は 「ユーザーアカウントの作成」 を参照してください。
同様に、ネットワーク とホスト名 の 画面は、ネットワークの設定時に使用したものと同じです。詳細は 「ネットワークとホスト名」 を参照してください。
Subscription Manager 画面では、システムを Red Hat に登録して、Red Hat が提供するリポジトリーから追加のパッケージをインストールできます。システムの登録方法は「サブスクリプションマネージャー」を参照してください。
準備が整ったら、FINISH CONFIGURATION ボタンをクリックしてシステムを登録してから、初期設定の設定プロセスを 完了します。
初期設定 を再度開始するには、「手動での初期設定の開始」 を参照してください。

30.1.1. サブスクリプションマネージャー

Subscription Manager 画面では、更新を受信し、パッケージリポジトリーにアクセスするために、システムを Red Hat に登録できます。
注記
初期設定Subscription Manager 画面は、Red Hat Enterprise Linux 7.1 以前でシステムを登録するために使用されていた Firstboot ツールに代わるものです。

図30.3 サブスクリプションマネージャーの画面

サブスクリプションマネージャーの画面
システムにインストールした製品 (オペレーティングシステム自体を含む) は サブスクリプション の対象になります。サブスクリプションサービスを使用して、登録したシステム、システムにインストールした製品、その製品に適用するためシステムに割り当てられているサブスクリプションなどを追跡します。Red Hat では、システムが登録可能な複数のサブスクリプションサービスを提供しています。
  • カスタマーポータルサブスクリプション管理。Red Hat がホストしているサービスです (デフォルト)。
  • Subscription Asset Manager。オンプレミスのサブスクリプションサーバーです。プロキシーとして動作し、コンテンツ配信をカスタマーポータルのサービスに送信します。
  • CloudForms System Engine。オンプレミスのサービスです。サブスクリプションサービスとコンテンツ配信の両方を処理します。
Subscription Manager 画面は、ほとんどのユースケースに適した基本的なインターフェイスを提供します。シナリオによっては、初期設定 にはないオプションが必要になる場合があります。その場合は、インストール後の登録プロセスを省略し、コマンドラインから Subscription Manager を使用するか、グラフィカルインターフェイスを提供する subscription-manager-gui パッケージを使用します。
また、CloudForms System Engine を使用した登録などの登録シナリオでは、システムを登録する前に登録サーバーを準備する必要があることに注意してください。
システムを登録するには、画面の指示に従い、要求される認証情報を提供します。Subscription Manager 画面を離れてメインの Initial Setup 画面に戻る場合は、メインウィンドウの Back ボタンまたは Next ボタンではなく、画面の左上隅にある Done ボタンを使用する必要があります。
システム登録および管理用の各種ツールについてのドキュメンテーションは、Red Hat カスタマーポータルの Red Hat Subscription Management セクションを参照してください。また、Registration Assistant を使用して対話式で登録プロセスを進めることもできます。

30.2. テキストモード

X Window System を使用せずに Red Hat Enterprise Linux をインストールした場合、初期設定 は テキストモードで起動します。

図30.4 テキスト モードでの初期設定

テキスト モードでの初期設定
エントリーを設定するには、メニュー番号を 入力 し、Enter を押します。または、以下のキーを押すこともできます。
  • q を使用してアプリケーションを閉じます。アプリケーションを閉じると、ライセンス契約に同意しない限り、システムが再起動します。
  • c: 続行します。サブメニューでこのキーを押すと、メインメニューに戻ります。メインメニューで c キーを押すと、設定が保存され、アプリケーションを閉じます。ライセンス契約に同意しないと次に進むことができないことに注意してください。
  • r: メニューを更新します。
メニューエントリーには以下のステータスがあります。
  • [x]: この設定は設定済みです。ただし、これは変更可能です。
  • [!]: この設定は必須ですが、まだ設定されていません。
  • [ ]: この設定は任意であり、まだ設定されていません。
初期設定 を再度開始するには、「手動での初期設定の開始」 を参照してください。

30.3. 手動での初期設定の開始

初期設定 が完了すると、システムの起動時にアプリケーションは再起動しません。システム起動時に 初期設定 を手動で起動するには、以下を実行します。
  1. サービスの有効化:
    # systemctl enable initial-setup.service
  2. 必要に応じて、以前に設定したものを含むすべてのメニューオプションを表示するには、空の /.unconfigured ファイルを作成し、再設定モードで Initial Setup を起動します。
    # touch /.unconfigured
    この設定に関係に関係なく、ライセンス契約のエントリーは、すでに同意してる場合は、再度表示されることはありません。
  3. システムを再起動します。
注記
Initial Setup の実行には、initial-setup-gui (グラフィカルモード)または initial-setup (テキストモード)パッケージがインストールされている必要があります。

第31章 次のステップ

本章では、インストール後に必要となる一般的なステップを列記しています。ここに記載されている作業がすべて常に必要になるわけではありません。必要な作業について詳しく記載されている別のマニュアルを検索する場合に、このステップ一覧をお役立てください。
ヘルプや答えの取得、診断サービスの活用
Red Hat Access は GUI アプリケーションで、Red Hat のナレッジおよびソリューションに簡単にアクセスすることができます。エラーコードやメッセージ、興味のあるトピックの検索ができるほか、Red Hat カスタマーポータルから関連するナレッジを表示できます。Red Hat Access の詳細は、Red Hat カスタマーポータルの Red Hat Access GUI の記事を参照してください。
紛失した root パスワードのリカバリー
インストール中に設定する root パスワードは、root ユーザーとしてシステムにアクセスする際に必要になります。root パスワードがないと、システムを設定したり、追加のソフトウェアをインストールしたりできません。root パスワードを紛失した場合や忘れた場合は、「root パスワードのリセット」 の説明に従ってリセットできます。
ドライバー更新のインストール
通常、システムデバイスのドライバーは、Red Hat Enterprise Linux が提供するカーネル内ですでにサポートされています。しかし、最近リリースされたデバイスのサポートの場合は含まれていないことがあります。このようなケースでは、該当のデバイスを有効にするドライバー更新が利用できるようになっている可能性があります。
インストール開始前に、インストールの完了に必要となるデバイスにドライバー更新が提供されている場合があります。デバイスにドライバーがなくとも、インストール中に不可欠なドライバーでなければ、インストールの完了を待ってから後で追加のドライバーをインストールすることをお勧めします。RPM および Yum を使用してインストール済みシステムに追加のドライバーをインストールおよび有効にする方法は、Red Hat Enterprise Linux 7 システム管理者のガイド を参照してください。
ネットワークを設定する
ほとんどの場合、ネットワークアクセスは、インストールプロセス中にインストールプログラムやキックスタートファイルで設定されます。インストール後に設定する場合は、Red Hat Enterprise Linux 7 ネットワークガイドを参照してください。
Kdumpの設定
kdump は、カーネルクラッシュのダンプメカニズムです。システムで重大なエラーが発生した場合には、Kdump はシステムのメモリーの内容を カーネルクラッシュダンプ に保存し、分析してエラーの原因を見つけることができます。
kdump は、インストールプロセス時に有効にできます( 「Kdump」を参照してください)。また、インストール後、必要に応じて設定することも可能です。 Red Hat Enterprise Linux 7 カーネルクラッシュダンプガイドはKdump の仕組みとシステムでの設定方法を理解するために必要なすべての情報を提供します。
システムの登録
システムにインストールする製品 (オペレーティングシステム自体も含む) はサブスクリプションの対象となります。サブスクリプションサービスは、登録したシステム、インストールした製品、製品に付属のサブスクリプションなどの追跡に使用します。登録は、初期設定の設定プロセスに含まれます ( 「サブスクリプションマネージャー」を参照してください)。
ただし、初期設定 中にシステムを登録していない場合は、後で登録できます。詳細はRed Hat Subscription Manager の使用および設定およびRed Hat Satellite クイックスタートガイドを参照してください。
注記
また、Registration Assistant アプリケーションを使用して登録プロセスを進めることもできます。
cloud-init を使用したクラウドインスタンスの初期設定の自動化
クラウドインスタンスの初期設定には、cloud-init パッケージを使用できます。新規クラウドインスタンスでは、cloud-init は自動的に以下を行うことができます。
  • デフォルトロケールの設定
  • ホスト名の設定
  • ネットワークインターフェイスの設定
  • プライベート SSH キーの生成
  • ユーザーの .ssh/authorized_keys ファイルに SSH キーを追加します。
  • 一時的なマウントポイントの設定
cloud-init は、Red Hat のクラウド製品で使用されます。Red Hat 製品での cloud-init の使用に関するドキュメントを参照してください。
また、アップストリームの cloud-init のドキュメント も参照してください。
初期システム更新の実行
Red Hat では、インストール完了後に初期システムの更新を実行することを推奨しています。このプロセスでは、インストールしたパッケージがすべて利用可能な最新バージョンに更新されます。パッケージを更新することでセキュリティー修正、バグ修正、機能強化などを受けることができます。
Red Hat Enterprise Linux では、Yum パッケージマネージャーがインストール済みパッケージの更新に使用されます。Yum を使用したシステム更新の詳細は、Red Hat Enterprise Linux 7 システム管理者のガイド を参照してください。
リポジトリーの設定
新しいソフトウェアは パッケージリポジトリー からインストールされます。パッケージリポジトリーは、Yum パッケージマネージャーがアクセスできるソフトウェアおよびメタデータのセットを整理します。システムを Red Hat に登録すると、更新用リポジトリーが自動的に設定され、このリポジトリーから追加ソフトウェアや更新をインストールすることができます。しかし、独自ソフトウェアを収納するリポジトリーなど、リポジトリーを追加で設定する場合には、手順に従ってリポジトリーを設定する必要があります。
追加のソフトウェアリポジトリー設定についての詳細情報は、Red Hat Enterprise Linux 7 システム管理者のガイドを参照してください。
追加パッケージのインストール
グラフィカルインストールの ソフトウェアの選択 ダイアログで環境を選択すると、インストールする パッケージを制御できます。このダイアログでは事前に定義されたパッケージセットを選択します。ただし、Yum パッケージマネージャーを使用して、インストール後に追加のパッケージをインストールできます。詳細はRed Hat Enterprise Linux 7 システム管理者のガイド を参照してください。
グラフィカルログインへの切り替え
インストールプロセスで選択するオプションにより、システムにグラフィカルインターフェイスを持たせず、テキストベースのプロンプトのみを表示することが可能です。このような場合、インストール後にグラフィカルデスクトップを有効にする場合は、X Window System と任意のデスクトップ環境( GNOME または KDE)をインストールする必要があります。
他のすべてのソフトウェアと同様に、Yum パッケージマネージャーを使用してこれらのパッケージをインストールできます。Yum を使用して新しいパッケージをインストールする方法は、Red Hat Enterprise Linux 7 システム管理者のガイド を参照してください。デフォルトでグラフィカルログインを有効にする方法は、「グラフィカル環境での起動」 を参照してください。
GNOME 3 拡張機能の有効化または無効化
Red Hat Enterprise Linux 7 のデフォルトのデスクトップ環境は、 GNOME Shell および GNOME Classic ユーザーインターフェイスを提供する GNOME 3 です。これらのインターフェイスは、GNOME 3 拡張機能を有効または無効にすることでカスタマイズできます。詳細は、Red Hat Enterprise Linux 7 デスクトップの移行および管理ガイドを参照してください。

第32章 基本的なシステムの復元

問題が発生しても、それを解決する方法はあります。しかし、それらの方法を実行するには、システムを十分に理解している必要があります。本章では、発生する可能性のある一般的な問題についての情報を扱い、さらにそれらの問題を修復するために使用できる インストールプログラムレスキューモード について説明します。

32.1. 一般的な問題

以下のような場合は、インストールプログラムレスキューモードで起動する必要があります。
  • Red Hat Enterprise Linux を通常起動できない。
  • ハードウェアまたはソフトウェアの問題があり、システムのハードディスクドライブからデータを回収する。
  • root パスワードを忘れてしまった。

32.1.1. Red Hat Enterprise Linux を起動できない

Red Hat Enterprise Linux をインストールした後に別のオペレーティングシステムをインストールすることで、この問題はよく発生します。他のオペレーティングシステムの中には、コンピューターに他のオペレーティングシステムがないものととみなします。元々 GRUB2 ブートローダーを収納しているマスターブートレコード (MBR) を上書きしてしまうものがあります。このような方法でブートローダーが上書きされた場合には、インストールプログラムのレスキューモードを起動し、ブートローダーを再設定しない限り、Red Hat Enterprise Linux を起動できません。
もう 1 つの一般的な問題は、パーティションツールを使用してパーティションのサイズを調整したり、インストール後に空き領域から新しいパーティションを作成したりするときに発生します。これにより、パーティションの順番が変更されてしまいます。/ パーティションのパーティション番号が変更された場合は、ブートローダーがパーティションを見つけることができない可能性があります。この問題を解決するには、ブートローダーを再インストールする必要があります。手順は、「ブートローダーの再インストール」 を参照してください。

32.1.2. ハードウェアおよびソフトウェアの問題

このカテゴリーにはさまざまな状況が含まれます。例として、ハードドライブが機能しない場合と、ブートローダーの設定ファイル内に無効なルートデバイスまたはカーネルを指定する場合を挙げることができます。上記のいずれかが当てはまる場合は、Red Hat Enterprise Linux で再起動できない可能性があります。しかし、インストールプログラムレスキューモードシステムで起動すると、問題を解決するか、あるいは少なくとも重要なファイルのコピーを取得できる可能性があります。

32.1.3. root パスワードのリセット

Red Hat Enterprise Linux 7 システム管理者のガイドの該当セクションを参照してください。

32.2. Anaconda のレスキューモード

Anaconda インストールプログラムのレスキューモードは、Red Hat Enterprise Linux 7 DVD またはその他の起動メディアから起動できる最小限の Linux 環境です。さまざまな問題を修復するコマンドラインユーティリティーが含まれています。このレスキューモードは、ブートメニューの Troubleshooting サブメニューからアクセスできます。このモードでは、ファイルシステムを読み取り専用としてマウントすることや、マウント自体をしない選択や、ドライバーディスクで提供されるドライバーのブラックリスト登録または追加、さらにはシステムパッケージのインストールやアップグレード、またはパーティションの管理を実行することができます。
注記
Anaconda のレスキューモードは、systemd システムおよびサービスマネージャーの一部として提供される レスキュー モード( シングルユーザーモード と同等)と緊急モード とは異なります。これらのモードの詳細は、Red Hat Enterprise Linux 7 システム管理者のガイドを参照してください。
Anaconda レスキューモードで起動するには、最小限の起動ディスクや USB ドライブ、フルインストール DVD など、Red Hat Enterprise Linux ブートメディアを使用してシステムを起動できる必要があります。
Red Hat が提供するメディアを使用してシステムを起動する詳細な情報については、該当する章を参照してください。
重要
iSCSI デバイスや zFCP デバイスなどの高度なストレージは、dracut 起動オプション( rd.zfcp=root=iscsi:optionsなど)を使用するか、IBM Z の CMS 設定ファイルで設定する必要があります。レスキューモードで起動した後は、ストレージデバイスを対話的に設定することはできません。
dracut 起動オプションの詳細は、man ページの dracut.cmdline (7) を参照してください。CMS 設定ファイルの詳細は、21章IBM Z でのパラメーターと設定ファイル を参照してください。

手順32.1 Anaconda レスキューモードで起動する

  1. 最小限の起動メディアまたは完全インストール DVD もしくは USB ドライブからシステムを起動し、ブートメニューが表示されるまで待ちます。
  2. 起動メニューから Troubleshooting サブメニューから Rescue a Red Hat Enterprise Linux system オプションを選択するか、inst.rescue オプションを起動コマンドラインに追加します。起動コマンドラインに入るには、BIOS ベースのシステムで Tab キーを押すか、UEFI ベースのシステムで e キーを押します。
  3. 起動する ドライバーディスク で提供されるサードパーティーのドライバーが必要な場合は、inst.dd=driver_name を起動コマンドラインに追加します。
    inst.rescue inst.dd=driver_name
    起動時にドライバーディスクを使用する方法の詳細については、「手動によるドライバー更新」 (AMD64 および Intel 64 システム) または「手動によるドライバー更新」 (IBM Power Systems サーバー) を参照してください。
  4. Red Hat Enterprise Linux 7 ディストリビューションに含まれるドライバーが原因でシステムが起動しない場合は、modprobe.blacklist= オプションを起動コマンドラインに追加します。
    inst.rescue modprobe.blacklist=driver_name
    ドライバーのブラックリスト登録の詳細については、「ブラックリストへのドライバーの登録」 を参照してください。
  5. 準備ができたら、Enter (BIOS ベースのシステム)または Ctrl+X (UEFI ベースのシステム)を押して、変更したオプションを起動します。以下のメッセージが表示されるまで待機します。
    The rescue environment will now attempt to find your Linux installation and mount it under the /mnt/sysimage/ directory. You can then make any changes required to your system. If you want to proceed with this step choose 'Continue'. You can also choose to mount your file systems read-only instead of read-write by choosing 'Read-only'. If for some reason this process fails you can choose 'Skip' and this step will be skipped and you will go directly to a command line.
    
    Continue を選択すると、ファイルシステムを /mnt/sysimage/ ディレクトリーにマウントしようとします。パーティションのマウントが失敗した場合、その旨が通知されます。Read-Only を選択すると、ファイルシステムを /mnt/sysimage/ ディレクトリーにマウントしようとしますが、読み取り専用モードになります。Skip を選択した場合には、ファイルシステムがマウントされません。ファイルシステムが破損していると思われる場合は、スキップ を選択します。
  6. システムをレスキューモードで使用すると、VC (仮想コンソール)1 および VC 2 にプロンプトが表示されます(VC 1 にアクセスするには Ctrl+Alt+F1 キーの組み合わせを使用し、VC 2 にアクセスするには Ctrl+Alt+F2 を使用します)。
    sh-4.2#
ファイルシステムがマウントされている場合でも、Anaconda レスキューモードにおけるデフォルトの root パーティションは一時的な root パーティションであり、通常のユーザーモード(multi-user.target または graphical.target)で使用されるファイルシステムの root パーティションではありません。ファイルシステムのマウントを選択して正常にマウントした場合は、以下のコマンドを実行して Anaconda レスキューモード環境の root パーティションをファイルシステムの root パーティションに変更できます。
sh-4.2# chroot /mnt/sysimage
これは、ルートパーティションを / としてマウントする必要がある rpm などのコマンドを実行する必要がある場合に便利です。chroot 環境を終了するには、exit と入力してプロンプトに戻ります。
スキップ を選択した場合には、/directory/ などのディレクトリーを作成し、次のコマンドを入力して、Anaconda レスキューモード内でパーティションまたは LVM2 論理ボリュームを手動でマウントできます。
sh-4.2# mount -t xfs /dev/mapper/VolGroup00-LogVol02 /directory
上記のコマンドでは、/directory/ は作成したディレクトリーで、/dev/mapper/VolGroup00-LogVol02 はマウントする LVM2 論理ボリュームです。パーティションが XFS 以外のタイプの場合は、xfs 文字列を正しいタイプ( ext4など)に置き換えます。
すべての物理パーティションの名前が不明な場合は、次のコマンドを実行すると一覧が表示されます。
sh-4.2# fdisk -l
LVM2 物理ボリューム、ボリュームグループ、または論理ボリュームの名前がわからない場合は、それぞれ pvdisplay コマンド、vgdisplay コマンド、または lvdisplay コマンドを使用します。
プロンプトから、以下のような多くの便利なコマンドが実行できます。

32.2.1. sosreportのキャプチャー

sosreport コマンドラインユーティリティーは、実行中のカーネルバージョン、ロードされたモジュール、システムおよびサービス設定ファイルなどの設定および診断情報をシステムから収集します。ユーティリティーの出力は、/var/tmp/ ディレクトリーの tar アーカイブに保存されます。
sosreport ユーティリティーは、システムエラーの分析に役立ち、トラブルシューティングを容易にします。以下の手順では、Anaconda レスキューモードで sosreport 出力をキャプチャーする方法を説明します。

手順32.2 Anaconda レスキューモードでの sosreport の使用

  1. 手順32.1「Anaconda レスキューモードで起動する」 の手順に従って、Anaconda レスキューモードで起動します。インストール済みのシステムの / (root)パーティションを読み書きモードでマウントするようにしてください。
  2. root ディレクトリーを /mnt/sysimage/ ディレクトリーに変更します。
    sh-4.2# chroot /mnt/sysimage/
  3. sosreport を実行して、システム設定および診断情報を含むアーカイブを生成します。
    sh-4.2# sosreport
    重要
    sosreport を実行すると、Red Hat サポートサービスに連絡し、新しいサポートケースを作成する際に得られる名前とケース番号の入力を求めるプロンプトが表示されます。次の文字またはスペースを追加するとレポートが使用できなくなる可能性があるため、英数字のみを使用してください。
    # % & { } \ < > > * ? / $ ~ ' " : @ + ` | =
  4. 任意です。ネットワークを使用して、生成されたアーカイブを新しい場所に転送する場合は、ネットワークインターフェイスを設定する必要があります。動的 IP アドレス設定を使用する場合は、他に必要な手順はありません。ただし、静的アドレスを使用する場合は、次のコマンドを実行して、ネットワークインターフェイス (dev eth0 など) に IP アドレス (10.13.153.64/23 など) を割り当てます。
    bash-4.2# ip addr add 10.13.153.64/23 dev eth0
    静的アドレス指定の詳細は、 Red Hat Enterprise Linux 7 ネットワークガイドを参照してください。
  5. chroot 環境を終了します。
    sh-4.2# exit
  6. 生成されたアーカイブを新しい場所に保存し、その場所からアーカイブへのアクセスを容易にします。
    sh-4.2# cp /mnt/sysimage/var/tmp/sosreport new_location
    ネットワークを介してアーカイブを転送するには、scp ユーティリティーを使用します。
    sh-4.2# scp /mnt/sysimage/var/tmp/sosreport username@hostname:sosreport
詳細は、以下の参考情報をご覧ください。

32.2.2. ブートローダーの再インストール

GRUB2 ブートローダーが誤って削除されたり、破損したり、または他のオペレーティングシステムによって置き換えられたりする場合があります。以下の手順は、マスターブートレコードに GRUB を再インストールするプロセスについて詳述しています。

手順32.3 GRUB2 ブートローダーを再インストールする

  1. Anaconda レスキューモードで起動するには、手順32.1「Anaconda レスキューモードで起動する」 の手順に従います。インストール済みのシステムの / (root)パーティションを読み書きモードでマウントするようにしてください。
  2. root パーティションを変更します。
    sh-4.2# chroot /mnt/sysimage/
  3. 以下のコマンドを使用して GRUB2 ブートローダーを再インストールします。ここで、install_device はブートデバイス (通常は /dev/sda) になります。
    sh-4.2# /sbin/grub2-install install_device
  4. システムを再起動します。

32.2.3. RPM によるドライバーの追加、削除、置換

ドライバーが誤作動する場合やドライバーが不足している場合は、システムの起動時に問題が生じる可能性があります。Anaconda レスキューモードは、システムが起動に失敗した場合でもドライバーを追加、削除、または交換できる環境を提供します。可能な場合は、RPM パッケージマネージャーを使用して誤作動するドライバーを削除するか、更新されたドライバーまたは欠落しているドライバーを追加することを推奨します。
注記
ドライバーディスクからドライバーをインストールする場合、ドライバーディスクはこのドライバーを使用するためにシステム上のすべての initramfs イメージを更新します。ドライバーが原因でシステムが起動できない場合は、別の initramfs イメージからシステムを起動する方法は使用できません。

手順32.4 RPM を使用してドライバーを削除する

  1. Anaconda レスキューモードでシステムを起動します。手順32.1「Anaconda レスキューモードで起動する」 にある説明に従ってください。インストール済みのシステムは必ず読み取りと書き込み (read-write) モードでマウントしてください。
  2. root ディレクトリーを /mnt/sysimage/ に変更します。
    sh-4.2# chroot /mnt/sysimage/
  3. rpm -e コマンドを使用して、ドライバーパッケージを削除します。たとえば、xorg-x11-drv-wacom ドライバーパッケージを削除するには、次のコマンドを実行します。
    sh-4.2# rpm -e xorg-x11-drv-wacom
  4. chroot 環境を終了します。
    sh-4.2# exit
誤作動を起こすドライバーを何らかの理由で削除できない場合は、ドライバーが起動時に読み込まれないようにするため、代わりにドライバーを ブラックリスト に登録できます。ドライバーのブラックリスト登録に関する情報は 「ブラックリストへのドライバーの登録」 および 23章起動オプション を参照してください。
ドライバーをインストールするプロセスもこれに似ていますが、RPM パッケージがシステム上で利用できる状態である必要があります。

手順32.5 RPM パッケージからドライバーをインストールする

  1. Anaconda レスキューモードでシステムを起動します。手順32.1「Anaconda レスキューモードで起動する」 にある説明に従ってください。インストール済みのシステムは、読み取り専用でマウントしないでください
  2. そのドライバーを含む RPM パッケージを利用できるようにします。たとえば、CD または USB フラッシュドライブをマウントし、RPM パッケージを /mnt/sysimage/ の下の任意の場所にコピーします(例: /mnt/sysimage/root/drivers/)。
  3. root ディレクトリーを /mnt/sysimage/ に変更します。
    sh-4.2# chroot /mnt/sysimage/
  4. rpm -ivh コマンドを使用してドライバーパッケージをインストールします。たとえば、xorg-x11-drv-wacom ドライバーパッケージを /root/drivers/ からインストールするには、次のコマンドを実行します。
    sh-4.2# rpm -­ivh /root/drivers/xorg-x11-drv-wacom-0.23.0-6.el7.x86_64.rpm
    注記
    この chroot 環境の /root/drivers/ ディレクトリーは、元のレスキュー環境の /mnt/sysimage/root/drivers/ ディレクトリーです。
  5. chroot 環境を終了します。
    sh-4.2# exit
ドライバーの削除、インストールが終了したら、システムを再起動します。

第33章 Red Hat Subscription Management からの登録解除

システムが登録できるは、単一のサブスクリプションサービスに対してのみです。登録先のサブスクリプションサービスを変更する必要がある、または登録を取り消す場合、登録先のサブスクリプションサービスのタイプによって取り消しの手続きが異なります。

33.1. Red Hat Subscription Management に登録している場合

いくつかのサブスクリプションサービスでは、システムやインストール済み製品、アタッチされているサブスクリプションなどを特定する際に、証明書を基にした同一のフレームワークを使用します。カスタマーポータルによるサブスクリプション管理 (ホスト型)、Subscription Asset Manager (オンプレミスのサブスクリプションサービス)、CloudForms System Engine (オンプレミスのサブスクリプションおよびコンテンツ配信サービス) などがこれに該当します。これらはすべて Red Hat Subscription Management に含まれます。
Red Hat Subscription Management のサービスの場合、システムは Red Hat サブスクリプションマネージャーというクライアントツールで管理されます。
Red Hat Subscription Management サーバーに登録されているシステムの登録を解除するには、rootunregister コマンドをパラメーターなしで使用します。
# subscription-manager unregister

33.2. Red Hat Satellite に登録している場合

サーバーで Satellite を登録する場合は、システム タブでシステムを見つけ、適切なプロファイルを削除します。
詳細はRed Hat Satellite クイックスタートガイドを参照してください。

第34章 Red Hat Enterprise Linux のアンインストール

34.1. 64 ビット AMD、Intel、および ARM システムからの Red Hat Enterprise Linux の削除

コンピューターから Red Hat Enterprise Linux を削除する方法は、Red Hat Enterprise Linux がコンピューターにインストールされている唯一のオペレーティングシステムであるかどうかによって異なります。
削除を行う前に、次の点を考慮してください。
  • 場合によっては、このプロセスの完了後に、システムで使用する予定の Red Hat Enterprise Linux 以外のオペレーティングシステム用のインストールメディアが必要になる可能性があります。
  • 複数のオペレーティングシステムをインストールしている場合には、各オペレーティングシステムを個別に起動できること、またコンピューターの製造元やオペレーティングシステムの製造元で自動設定されている可能性のあるパスワードなどを含め、管理者用のすべてのパスワードが手元にあることを確認してください。
  • 削除する Red Hat Enterprise Linux のインストールからのデータを残す場合は、別の場所にバックアップする必要があります。機密データを含んでいるインストールを削除する場合は、必ず所属組織のセキュリティーポリシーに準じたデータの破棄を行ってください。バックアップ媒体が、データ復元先となるオペレーティングシステム上で読み取り可能であることを確認してください。たとえば、ext2、ext3、ext4、または XFS などのファイルシステムを使用するように Red Hat Enterprise Linux でフォーマット化した外付けハードドライブは、サードパーティーのソフトウェアがないと Microsoft Windows では読み取ることができません。
    警告
    念のために、同じコンピューターにインストールされている Red Hat Enterprise Linux も含め、すべてのオペレーティングシステムのデータのバックアップを取ってください。万一、何らかのミスが発生した場合、全データを喪失してしまう可能性があります。
  • アンインストールするのは Red Hat Enterprise Linux のみで、コンピューター全体を再インストールするわけではない場合、パーティションレイアウトを十分に理解しておく必要があります。特に、mount コマンドの出力は役に立ちます。また、grub.cfg で Red Hat Enterprise Linux インストールを起動するのに使用する menuitem を書き留めておくと役立ちます。
一般的に、システムから Red Hat Enterprise Linux をアンインストールするには、以下の 2 つの手順を実行します。
  1. マスターブートレコード (MBR) から Red Hat Enterprise Linux ブートローダー情報を削除します。
  2. Red Hat Enterprise Linux オペレーティングシステムを含むパーティションをすべて削除します。
ここでの説明では、コンピューターのあり得るすべての設定を対象とすることはできないため、以下に一般的な設定をあげておきます。
ご使用の設定が一覧にない場合や、高度にカスタマイズされたパーティションスキームである場合、一般的な参考として以下のセクションを使用してください。これらの状況では、選択したブートローダーを設定する方法を理解しておく必要もあります。GRUB2 ブートローダーの詳細は、Red Hat Enterprise Linux 7 システム管理者のガイド を参照してください。
Red Hat Enterprise Linux および他のオペレーティングシステムもすべてアンインストールする場合は、Red Hat Enterprise Linux のみインストールされているコンピューターについて説明している手順を実行してください。

34.1.1. Red Hat Enterprise Linux だけがインストールされている場合

以下の手順は、システムにインストールされているオペレーティングシステムが Red Hat Enterprise Linux のみである場合にこれを削除する方法について示しています。代わりに使用するオペレーティングシステムのインストールメディアを使って Red Hat Enterprise Linux の削除を行います。インストールメディアの例としては、Windows XP のインストール CD、Windows Vista のインストール DVD、または別の Linux ディストリビューションのインストール CD または DVD などがあります。
Microsoft Windows をプレインストールしている工場組み立てのコンピューター製造会社の一部には、コンピューターに Windows インストール用の CD または DVD を同梱していないメーカーがあるため注意してください。こうした製造会社では通常、代わりに独自のシステム復元ディスクを提供していたり、初回の起動でユーザー自身にシステム復元ディスクを作成するソフトウェアを同梱しています。また、システム復元ソフトウェアがシステムのハードドライブに設けられた独立パーティションに保存されていることもあります。コンピューターにプレインストールされていたオペレーティングシステムのインストール用メディアの形態がわからない場合は、マシンに同梱された資料を参照するか、製造元にお問い合わせください。
該当オペレーティングシステムのインストール用メディアを見つけたら、以下を実行します。
  1. 残すデータのバックアップを作成します。
  2. コンピューターをシャットダウンします。
  3. 代わりに使用するオペレーティングシステムのインストール用ディスクを使ってコンピューターを起動します。
  4. インストール中に表示されるプロンプトに従います。Windows、OS X、およびほとんどの Linux インストールディスクでは、インストール中にハードドライブのパーティション設定を手動で行うことができます。または、すべてのパーティションを一旦削除してから新たにパーティション設定を開始するオプションを選択することもできます。この段階で、インストールソフトウェアによって検出された既存のパーティションをすべて削除するか、インストールプログラムにパーティションの自動削除を任せます。Microsoft Windows がプリインストールされているコンピューターのシステム復元用メディアでは、何も入力しなくても自動的にデフォルトのレイアウトでパーティションが作成される場合があります。
    警告
    システム復元ソフトウェアがハードドライブ上のパーティションに収納されているコンピューターの場合は、他のメディアからオペレーティングシステムをインストールする際のパーティション削除には充分注意してください。パーティションの削除でシステム復元ソフトウェアを収納しているパーティションまで破棄してしまう恐れがあります。

34.1.2. 異なる Linux ディストリビューションでインストールされた Red Hat Enterprise Linux

以下の手順は、別の Linux ディストリビューションとともにインストールされたシステムで Red Hat Enterprise Linux を削除する方法を示しています。他の Linux ディストリビューションを使用して、ブートローダーのエントリーを削除したり、 Red Hat Enterprise Linux パーティションを削除することができます。
多くの Linux ディストリビューション間では違いがあるため、以下の手順は一般的な参考としてご利用ください。詳細は、特定のシステムの設定と、Red Hat Enterprise Linux をデュアルブートする Linux ディストリビューションによって異なります。
重要
この手順では、システムが GRUB2 ブートローダーを使用していることを前提としています。別のブートローダー( LILOなど)を使用する場合は、そのソフトウェアのドキュメントを参照して、ブートターゲットの一覧から Red Hat Enterprise Linux のエントリーを特定し、削除して、デフォルトのオペレーティングシステムが正しく指定されていることを確認します。
  1. ブートローダーからの Red Hat Enterprise Linux エントリーの削除
    1. お使いのコンピューターには、Red Hat Enterprise Linux ではなく、使用している Linux ディストリビューションを起動します。
    2. コマンドラインで su - と入力し、Enter を押します。システムで root パスワードの 入力 を求められたら、パスワードを入力して Enter キーを押します。
    3. vim などのテキストエディターを使用して、/boot/grub2/grub.cfg 設定ファイルを開きます。このファイルで、削除しようとしているシステムのエントリーを探します。grub.cfg ファイルの通常の Red Hat Enterprise Linux エントリーは以下のようになります。

      例34.1 A Red Hat Enterprise Linux Entry in grub.cfg

      menuentry 'Red Hat Enterprise Linux Server (3.10.0-57.el7.x86_64) 7 (Maipo)' --class red --class gnu-linux --class gnu --class os $menuentry_id_option 'gnulinux-3.10.0-53.el7.x86_64-advanced-9eecdce6-58ce-439b-bfa4-76a9ea6b0906' {
        load_video
        set gfxpayload=keep
        insmod gzio
        insmod part_msdos
        insmod xfs
        set root='hd0,msdos1'
        if [x$feature_platform_search_hint = xy ]; then
          search --no-floppy --fs-uuid --set=root --hint='hd0,msdos1' 0c70bc74-7675-4989-9dc8-bbcf5418ddf1
        else
          search --no-floppy --fs-uuid --set=root 0c70bc74-7675-4989-9dc8-bbcf5418ddf1
        fi
        linux16 /vmlinuz-3.10.0-57.el7.x86_64 root=/dev/mapper/rhel-root ro rd.lvm.lv=rhel/root vconsole.font=latarcyrheb-sun16 rd.lvm.lv=rhel/swap crashkernel=auto vconsole.keymap=us rhgb quiet LANG=en_US.UTF-8
        initrd16 /initramfs-3.10.0-57.el7.x86_64.img
      }
      
    4. menuentry から } までのエントリー全体を削除します。
      システムの設定によっては、grub.cfg に、それぞれ異なるバージョンの Linux カーネルに対応する複数の Red Hat Enterprise Linux エントリーが存在する可能性があります。ファイルから各 Red Hat Enterprise Linux エントリーを削除します。
    5. grub.cfg ファイルを保存して vimを閉じます。
  2. マルチブート環境で Red Hat Enterprise Linux パーティションを削除します。
    注記
    他のインストールがまだ使用しているパーティションを削除しないように注意してください。
    1. お使いのコンピューターには、Red Hat Enterprise Linux ではなく、使用している Linux ディストリビューションを起動します。
    2. たとえば、標準パーティションの場合は fdisk、論理ボリュームおよびボリュームグループを削除するには lvremove および vgremove などを使用して、不要なパーティションをすべて削除します。これらのユーティリティーに関する追加の情報は、それぞれの man ページまたはRed Hat Enterprise Linux 7 システム管理者のガイドを参照してください。

34.1.3. Red Hat Enterprise Linux の他に Microsoft Windows オペレーティングシステムがインストールされている場合

以下の手順は、Windows 2000、Windows Server 2000、Windows XP、Windows Server 2003、Windows Vista または Windows Server 2008 と共にインストールされているシステム上の Red Hat Enterprise Linux を削除する方法について示しています。Microsoft Windows インストールとそのインストールメディアを使用して、ブートローダーと Red Hat Enterprise Linux パーティションを削除できます。
MS-DOS または Windows XP 以前の Microsoft Windows バージョン (Windows 2000 を除く) をインストールしているシステムでの Red Hat Enterprise Linux の削除については、本ガイドの対象外となります。これらのオペレーティングシステムのパーティション管理は堅牢ではないため、Linux パーティションを削除することはできません。
Microsoft Windows のバージョン間には違いがあるため、以下の手順を実行する際は十分注意してください。以下の手順で使用するのは、ご使用の Microsoft Windows オペレーティングシステムのユーティリティーのみなので、Microsoft Windows オペレーティングシステムのマニュアルも合わせて参照してください。
警告
この手順は、Windows インストールディスクから読み込まれる Windows 回復コンソール または Windows リカバリー環境 に依存するため、このディスクにアクセスせずに手順を完了することはできません。一旦、手順を開始したらそれを完了させない限り、コンピューターが起動できない状態になってしまう可能性があります。Windows で事前にインストールしたファクトリービルドのコンピューターに用意されているシステム復元ディスクには、Windows リカバリーコンソール または Windows リカバリー 環境 が含まれていない可能性が あります
Windows 2000、Windows Server 2000、Windows XP、Windows Server 2003 のユーザーが本手順を実行すると、Windows システムの管理者用パスワードの入力が求められます。システムの管理者用パスワードがわかっている、またはシステムの管理者用パスワードは一切作成されていない (製造元でも作成および設定されていない) ことが確かな場合以外は、この手順を実行しないでください。
  1. Red Hat Enterprise Linux パーティションの削除
    1. コンピューターを Microsoft Windows 環境で起動します。
    2. Start>Run クリックして、diskmgmt.msc入力 し、Enter を押します。ディスク管理 ツールが開きます。
      各パーティションをバーで表したグラフが表示されます。最初のパーティションは通常 NTFS というラベルが付けられ、C: ドライブに対応します。少なくとも 2 つの Red Hat Enterprise Linux パーティションが表示されます。Windows ではこれらのパーティションのファイルシステムタイプは表示されませんが、ドライブ用の文字が割り当てることができます。
    3. Red Hat Enterprise Linux パーティションのいずれかを右クリックし、パーティションの削除 をクリックし、Yes クリックして削除を確定します。システムにある他の Red Hat Enterprise Linux パーティションにも、このプロセスを繰り返します。パーティションを削除すると、Windows は、以前にそれらのパーティションが占有していたハードドライブの領域に 未割り当て の のラベルを付けます。
      この未割り当て領域を既存の Windows パーティションに追加したり、別の用途に利用することができます。これを実行する方法は、Red Hat Enterprise Linux 以外のオペレーティングシステムのマニュアルを参照してください。
  2. Windows のブートローダーを復元する
    1. Windows 2000、Windows Server 2000、Windows XP、および Windows Server 2003 の場合
      1. Windows インストール用ディスクをコンピューターに挿入して再起動します。コンピューターが起動すると、画面に以下のメッセージが数秒間表示されます。
        Press any key to boot from CD
        このメッセージが表示されている間にいずれかのキーを押すと、Windows インストールソフトウェアが読み込まれます。
      2. Welcome to Setup 画面が表示されたら、Windows Recovery Console を開始できます。この手順は Windows のバージョンごとに若干異なります。
        1. Windows 2000 および Windows Server 2000 の場合は、R キーを押してから C キーを押します。
        2. Windows XP および Windows Server 2003 では、R キーを押します。
      3. Windows 回復コンソール は、ハードドライブをスキャンして Windows インストールをスキャンし、それぞれに番号を割り当てます。各 Windows インストールが表示され、いずれかひとつの選択を求められます。復元する Windows インストールの番号を入力します。
      4. Windows 回復コンソール により、Windows インストールの管理者パスワードの入力が求められます。Administrator パスワードを入力し、Enter キーを押します。このシステムの管理者パスワードがない場合は、Enter キーを押します。
      5. プロンプトでコマンド fixmbr と入力し、Enter を押します。fixmbr ツールは、システムのマスターブートレコードを復元するようになりました。
      6. プロンプトが再度表示されたら、exit と入力して Enter キーを押します。
      7. コンピューターが再起動し、Windows オペレーティングシステムを起動させます。
    2. Windows Vista および Windows Server 2008 の場合
      1. Windows インストール用ディスクをコンピューターに挿入して再起動します。コンピューターが起動すると、画面に以下のメッセージが数秒間表示されます。
        Press any key to boot from CD or DVD
        このメッセージが表示されている間にいずれかのキーを押すと、Windows インストールソフトウェアが読み込まれます。
      2. Windows のインストール ダイアログで、言語、時刻と通貨の形式、およびキーボードタイプを選択します。Nextをクリックします。
      3. Repair your computer をクリックします。
      4. Windows リカバリー環境 (WRE)では、システムで検出できる Windows インストールが表示されます。復元するインストールを選択し、Next をクリックします。
      5. コマンドプロンプト をクリックします。コマンドウィンドウが開きます。
      6. bootrec /fixmbr と入力し、Enter を押します。
      7. プロンプトが再度表示されたら、コマンドウィンドウを閉じ、Restart をクリックします。
      8. コンピューターが再起動し、Windows オペレーティングシステムを起動させます。

34.2. IBM Z からの Red Hat Enterprise Linux の削除

Linux ディスクに機密データが含まれている場合には、既存のオペレーティングシステムのデータを削除する時に、必ず所属組織のセキュリティーポリシーに準じてデータを破棄してください。以下の選択肢を検討した上で、削除の手順に進んでください。
  • 新規インストールでディスクを上書きします。
  • Linux がインストールされていた DASD または SCSI ディスクを他のシステムから見えるようにしてから、データを削除します。しかし、この操作には特別な権限が必要になる可能性があります。システム管理者に確認してください。dasdfmt (DASD のみ)、partedmke2fsdd などの Linux コマンドを使用できます。これらのコマンドの詳細は、該当の man ページを参照してください。

34.2.1. z/VM ゲストまたは LPAR 上での別オペレーティングシステムの実行

z/VM ゲスト仮想マシンまたは LPAR の環境下で、現在インストール済みのシステムが存在している場所とは異なる DASD または SCSI ディスクから起動したい場合、インストール済みの Red Hat Enterprise Linux をシャットダウンし、起動させる別の Linux インスタンスがインストールされているディスクを使用します。この操作でインストール済みのシステムのコンテンツが変更されることはありません。

パート VI. 技術解説

本セクションの付録には Red Hat Enterprise Linux のインストール方法についての説明は記載されていません。ここでは、インストールの過程で Red Hat Enterprise Linux で利用できる各種オプションの理解に役立つと思われる技術的な背景について解説しています。

付録A ディスクパーティションの概要

注記
AMD64 または Intel 64 以外のアーキテクチャーの場合、一部解説内容が該当しないこともあります。ただし、ここでは基本概念として該当する内容を解説しています
このセクションでは、基本的なディスクの概念、ディスクパーティションの再設定、Linux システムで使用されるパーティション命名スキーム、および関連トピックについて説明しています。
ディスクパーティションについて充分理解している場合は本章を省略しても構いません。Red Hat Enterprise Linux インストールの準備としてディスク領域を解放する手順を「ディスクのパーティション再設定に関する戦略」で確認してください。
注記
インストールの前に、ディスクデバイスにパーティションを設定するかどうかを検討する必要があります。詳細は、ナレッジベースの記事 (https://access.redhat.com/solutions/163853) を参照してください。

A.1. ハードディスクの基本概念

ハードディスクの機能は、データを保存し、命令に応じて確実に取得するという非常に簡単なものです。
ディスクパーティション設定などの問題を論議する場合、基礎となるハードウェアについての理解があることが重要となります。しかし、理論は非常に複雑で広範にわたるものなので、ここでは基本的な概念のみが説明されています。この付録では、簡素化されたディスクドライブの図を使用してパーティションにおけるプロセスと理論を説明しています。
図A.1「未使用のディスクドライブ」 は、新しい未使用のディスクドライブを示しています。

図A.1 未使用のディスクドライブ

未使用のディスクドライブ

A.1.1. ファイルシステム

ディスクドライブにデータを保存するには、最初にディスクドライブを フォーマット する必要があります。フォーマット (通常ファイルシステムを作るという意味で知られています) とは、ドライブに情報を書き込んで、未フォーマットのドライブの空白領域に順番を付けることです。

図A.2 ファイルシステムを備えたディスクドライブ

ファイルシステムを備えたディスクドライブ
上記の図で示されるように、ファイルシステムが与える順序により、いくつかのトレードオフが生じます。
  • ファイルシステムに関連するデータを保存するためドライブの使用可能領域の数パーセントが使用され、オーバーヘッドになります。
  • 残りの領域は小規模で均一なサイズのセグメントに分割されます。Linux の場合、これらのセグメントは ブロック と呼ばれます。[4]
単一のユニバーサルファイルシステムは存在しないことに留意してください。下記の図が示すように、ディスクドライブには多くの異なるファイルシステムが書き込まれている可能性があります。異なるファイルシステムには互換性がない傾向があります。つまり、あるファイルシステム (または、関連した一部のファイルシステムタイプ) をサポートするオペレーティングシステムが別のタイプをサポートしない可能性があります。ただし、たとえば &PRODUCT; は多様なファイルシステム (他のオペレーティングシステムで通常使用されている多くのタイプを含む) をサポートしているので、異なるファイルシステム間でのデータ交換が容易になります。

図A.3 別のファイルシステムを持つディスクドライブ

別のファイルシステムを持つディスクドライブ
ディスクへのファイルシステムの書き込みは最初のステップに過ぎません。このプロセスの最終目標は実際にデータを 保存 して 取り出す ことです。下図は、データが書き込まれたディスクドライブを示しています。

図A.4 データの書き込まれたディスクドライブ

データの書き込まれたディスクドライブ
上記の図では、以前に空白だったブロックにデータが保管されています。しかし、この図を見るだけではこのドライブに存在する正確なファイル数は分かりません。すべてのファイルが少なくとも 1 つのブロックを使用し、一部のファイルが複数のブロックを使用するため、ファイルが 1 つまたは多数ある場合があります。もう 1 つ注意すべき点は、使用済みのブロックは連続領域を形成する必要がないということです。使用ブロックと未使用ブロックが交互に混ざっている場合があります。これが 断片化 と呼ばれるものです。既存パーティションのサイズを変更する際に影響する可能性があります。
多くのコンピューター関連の技術と同じように、ディスクドライブは導入されてから常に変化し続けており、特に大型化しています。物理的サイズが大きくなっているわけではなく、情報保存の容量が大きくなっています。さらに、容量が追加されたことで、ディスクドライブの使用の仕方が基本的に変化しました。

A.1.2. パーティション: 1 つのドライブの分割

ディスクドライブは、複数の パーティション に分割できます。各パーティションは個々のディスクのように、別々にアクセスできます。パーティションテーブル を追加することでディスクドライブを複数パーティションに分割します。
ディスク領域を個別のディスクパーティションに割り当てる理由には以下のようなものがあります。
  • オペレーティングシステムのデータをユーザーのデータから論理的に分離させるため。
  • 異なるファイルシステムを使用するため。
  • 1 台のマシン上で複数のオペレーティングシステムを稼働させるため。
物理ハードディスクには現在、マスターブートレコード (MBR) および GUID パーティションテーブル (GPT) という 2 つのパーティションレイアウト標準があります。MBR は、BIOS ベースのコンピューターで使われている旧式のディスクパーティション方式です。GPT は新たなパーティションレイアウトで、Unified Extensible Firmware Interface (UEFI) の一部です。このセクションおよび 「パーティションの中のパーティション: 拡張パーティションの概要」 では、主に マスターブートレコード (MBR) のディスクパーティションスキームを説明しています。GUID パーティションテーブル (GPT) のパーティションレイアウトの詳細は、「GUID パーティションテーブル (GPT)」を参照してください。
注記
ここで示す図ではパーティションテーブルが実際のディスクドライブから離れていますが、本来の状況を正確に表しているわけではありません。実際には、パーティションテーブルはそのディスクの先頭部分となる、他のファイルシステムまたはユーザーデータの前に格納されています。ただし、わかりやすくするために図では別々に表示します。

図A.5 パーティションテーブルがあるディスクドライブ

パーティションテーブルがあるディスクドライブ
上記の図では、パーティションテーブルは 4 つのセクション、つまり 4 つの プライマリー パーティションに分割されています。プライマリーパーティションは、論理ドライブ (またはセクション) を 1 つだけ含むことができるハードドライブのパーティションです。各セクションは、1 つのパーティションの定義に必要な情報を保持できます。つまり、パーティションテーブルでは 4 つのパーティションを定義できません。
各パーティションテーブルエントリーには、パーティションの重要な特徴がいくつか含まれています。
  • ディスク上のパーティションの開始点と終了点
  • パーティションがアクティブかどうか
  • パーティションのタイプ
開始点と終了点により、パーティションサイズとディスク上の位置が定義されます。アクティブフラグは特定のオペレーティングシステムのブートローダーによって使用されます。つまり、アクティブの印が付いたパーティションにあるオペレーティングシステムが起動されます。
タイプとは、パーティションの用途を識別する番号です。一部のオペレーティングシステムでは、パーティションの種類を使用して特定のファイルシステムの種類を示し、特定のオペレーティングシステムに関連付けられていることを示すフラグを付け、パーティションに起動可能なオペレーティングシステムが含まれていること、またはその 3 つの組み合わせを示します。
以下の図は、1 つのパーティションがあるディスクドライブのイメージです。

図A.6 パーティションが 1 つのディスクドライブ

パーティションが 1 つのディスクドライブ
この例の単一のパーティションには、DOS というラベルが付けられています。このラベルは パーティションタイプ を示し、DOS は最も一般的なものの 1 つです。以下の表では、一般的なパーティションタイプとそれらを示す 16 進数を記載しています。
表A.1 パーティションタイプ
パーティションタイプ パーティションタイプ
空白 00 Novell Netware 386 65
DOS 12 ビット FAT 01 PIC/IX 75
XENIX root 02 Old MINIX 80
XENIX usr 03 Linux/MINUX 81
DOS 16-bit <=32M 04 Linux swap 82
Extended 05 Linux ネイティブ 83
DOS 16 ビット (32 以上) 06 Linux 拡張 85
OS/2 HPFS 07 Amoeba 93
AIX 08 Amoeba BBT 94
AIX ブート可能 09 BSD/386 a5
OS/2 Boot Manager 0a OpenBSD a6
Win95 FAT32 0b NEXTSTEP a7
Win95 FAT32 (LBA) 0c BSDI fs b7
Win95 FAT16 (LBA) 0e BSDI swap b8
Win95 Extended (LBA) 0f Syrinx c7
Venix 80286 40 CP/M db
Novell 51 DOS アクセス e1
PReP Boot 41 DOS R/O e3
GNU HURD 63 DOS セカンダリー f2
Novell Netware 286 64 BBT ff

A.1.3. パーティションの中のパーティション: 拡張パーティションの概要

4 つのパーティションで不十分な場合、拡張パーティション を使って新たなパーティションを作成できます。これは、パーティションのタイプを Extended (拡張) とすることで行います。
拡張パーティションは、それ自体がディスクドライブのようなものです。拡張パーティション自体に完全に含まれる、1 つ以上のパーティション (4 つの プライマリーパーティション ではなく、現在は 論理パーティション と呼ばれます) を指す独自のパーティションテーブルがあります。次の図は、1 つのプライマリーパーティションと、2 つの論理パーティションを含む 1 つの拡張パーティション (およびいくつかの未パーティションの空き領域) を備えたディスクドライブを示しています。

図A.7 拡張パーティションのあるディスクドライブ

拡張パーティションのあるディスクドライブ
この図は示すように、プライマリーパーティションと論理パーティションには違いがあります。最大 4 つのプライマリーパーティションしか存在できませんが、存在できる論理パーティションの数には固定制限がありません。プライマリーパーティションは 4 つしかできませんが、論理パーティションの数にはその制限がありません。しかし、Linux でのパーティションへのアクセス方法を考慮すると、1 つのディスクドライブに 12 個を超える論理パーティションを定義するのは避けてください。

A.1.4. GUID パーティションテーブル (GPT)

GUID パーティションテーブル (GPT) は、グローバルに固有となる識別子 (GUID) の使用を基本とする新しいパーティション設定スキームです。GPT は、MBR パーティションテーブルの限界、特に 1 ディスクで対応可能な最大ストレージ領域の上限に対処するため開発されました。2 TiB (ほぼ 2.2 TB と同様) を超えるストレージ領域には対応できない MBR とは異なり、GPT はこのサイズよりも大きなハードディスクでも使用することができます。処理可能な最大ディスクサイズは 2.2 ZiB です。また、デフォルトでは GPT は、最大 128 のプライマリーパーティションの作成に対応します。この数は、パーティションテーブルにより多くの領域を割り当てることで拡張できます。
GPT ディスクは論理ブロックアドレス指定 (LBA) を使用し、パーティションレイアウトは以下のようになります。
  • MBR ディスクとの後方互換性を保つため、GPT の最初のセクター (LBA 0) は MBR データ用に予約されています。このセクターはprotective MBRと呼ばれます。
  • プライマリー GPT ヘッダー は、デバイスの 2 つ目の論理ブロック (LBA 1) から始まります。このヘッダーには、ディスク GUID、プライマリーパーティションテーブルの位置、セカンダリー GPT ヘッダーの位置、それ自体の CRC32 チェックサムおよびプライマリーパーティションテーブルが含まれます。また、テーブルのパーティションエントリー数もこのヘッダーで指定します。
  • プライマリー GPT テーブル には、サイズが 128 バイト、パーティションタイプが GUID、固有パーティションが GUID のパーティションがデフォルトで 128 エントリー含まれています。
  • セカンダリー GPT テーブル はプライマリー GPT テーブルとまったく同じものになります。これは、プライマリーパーティションテーブルが破損した場合に、リカバリーのバックアップテーブルとして主に使用されます。
  • セカンダリー GPT ヘッダー はディスクの最後の論理セクターに位置し、プライマリーヘッダーが破損した場合に GPT 情報を復元する際に使用できます。ディスク GUID、セカンダリーパーティションテーブルの位置、プライマリー GPT ヘッダーの位置、それ自体の CRC32 チェックサムおよびセカンダリーパーティションテーブルが含まれます。また、作成可能なパーティションエントリー数も含まれます。
重要
GPT (GUID パーティションテーブル) を含むディスクには、ブートローダー用の BIOS 起動パーティションを正しくインストールしておく必要があります。これには、Anaconda によって初期化されるディスクが含まれます。ディスクに BIOS ブートパーティションがすでに含まれている場合は、再使用できます。

A.2. ディスクのパーティション再設定に関する戦略

ディスクのパーティションを再設定する場合、いくつか異なる方法があります。本セクションでは、以下のアプローチについて説明します。
  • パーティションが分割されていない空き領域が利用できる。
  • 未使用のパーティションが利用可能である。
  • アクティブに使用されているパーティションの空き領域が利用可能である。
本セクションでは、前述の概念について理論的にのみ説明し、ディスクのパーティションの再作成を段階的に実行する手順については説明しません。このような詳細情報は、本書では扱いません。
注記
以下の図は、分かりやすく、実際に Red Hat Enterprise Linux をインストールする際に発生する正確なパーティションレイアウトを反映していないことに注意してください。

A.2.1. パーティションが未設定の空き領域の使用

この状況では、既に定義されているパーティションはハードディスク全体に及んでおらず、定義済みのパーティションの一部ではない未割り当ての領域が残っています。次の図は、これがどのようになるかを示しています。

図A.8 パーティションが未設定の空き領域を持つディスクドライブ

パーティションが未設定の空き領域を持つディスクドライブ
上記の例の 1 では、パーティションが未定義で領域も割り当てられていない状態を示しています。2 では、パーティションが定義され領域も割り当てられている状態を示しています。
未使用のハードディスクもこのカテゴリーに分類されます。唯一の違いは、すべて の領域が定義されたパーティションの一部ではないことです。
いずれの場合も、未使用の領域から必要なパーティションを作成できます。ただし、Red Hat Enterprise Linux 用に新しいディスクを購入したばかりというような状況でない限り、このような非常に単純な状況になる可能性はあまりありません。ほとんどのプレインストールのオペレーティングシステムは、ディスクドライブで使用できる領域をすべて占有するよう設定されています (「使用中パーティションの空き領域の使用」を参照)。

A.2.2. 未使用パーティションからの領域の使用

この場合、すでに使用しなくなったパーティションがあることを想定しています。以下の図では、そのような状況を示しています。

図A.9 未使用のパーティションがあるディスクドライブ

未使用のパーティションがあるディスクドライブ
上記の例の 1 では、未使用のパーティションがある状態を示しています。2 では、未使用のパーティションを Linux 用に再割り当てした状態を示しています。
このような場合は、未使用のパーティションに割り当てられる領域を使用できます。まず、未使用のパーティションを削除し、次に、その場所に適切な Linux パーティションを作成します。未使用のパーティションを削除し、インストールプロセス時に新しいパーティションを手動で作成できます。

A.2.3. 使用中パーティションの空き領域の使用

これは最も一般的な状況です。ただし、最も扱いにくい状況でもあります。一番の問題は、たとえ十分な空き領域がある場合でも、それがすでに使用中のパーティションに割り当てられているということです。ソフトウェアが事前にインストールされているコンピューターを購入した場合、通常はハードディスクに OS とデータを格納した 1 つの大きなパーティションがあります。
システムに新しくハードディスクドライブを追加する以外に、2 つの選択肢があります。
破壊的な再設定
このケースでは、単一の大きなパーティションを削除して、いくつかの小さなパーティションを作成します。元のパーティションに格納されていたデータはすべて失われます。このため、完全なバックアップが必要になります。パーティションを削除するに、バックアップを 2 部作成し、検証機能 (ソフトウェアにこの機能がある場合) を使用してバックアップデータを読み込めるかどうかを試してください。
警告
オペレーティングシステムがそのパーティションにインストールされていて、そのシステムも使用する場合は、再インストールする必要があります。オペレーティングシステムがプリインストールされた状態で販売されている一部のコンピューターには、元のオペレーティングシステムを再インストールするためのインストールメディアが含まれていない場合があります。オリジナルのパーティションおよびオペレーティングシステムの破棄を行う前に、ご使用のコンピューターがこれに該当するかどうか必ず確認してください。
既存のオペレーティングシステムに小規模なパーティションを作成したら、ソフトウェアを再インストールし、データを復元し、Red Hat Enterprise Linux のインストールを開始できます。

図A.10 破壊的なパーティション再設定が行われたディスクドライブ

破壊的なパーティション再設定が行われたディスクドライブ
上記の例では、1 は前を、2 は後を示します。
警告
元のパーティションに存在していたデータはすべて失われます。
非破壊的な再パーティション
非破壊的なパーティション再分割では、大きなパーティションを小さくするプログラムを実行するため、そのパーティションに保存されているファイルを失うことはありません。通常、この方法は信頼性がありますが、大規模なドライブでは非常に時間がかかります。
非破壊的なパーティションの再設定は比較的簡単ですが、以下の 3 つの手順が必要となります。
  1. 既存データの圧縮とバックアップ
  2. 既存パーティションのサイズ
  3. 新しいパーティションの作成
各ステップについて詳しく説明していきます。
A.2.3.1. 既存データの圧縮
下図で示しているように、最初のステップでは既存パーティション内でデータを圧縮します。これを実行する理由は、データを再設定することでパーティションの後部にある使用可能な空き領域を最大化するためです。

図A.11 圧縮する前と後のディスクドライブ

圧縮する前と後のディスクドライブ
上記の例では、1 は前を、2 は後を示します。
このステップは重要です。この手順を実行しないと、データが存在する場所によっては希望どおりにパーティションのサイズを変更できなくなります。様々な理由で移動できないデータがあることにも留意してください。そのような場合 (また、新しいパーティションのサイズも厳密に制限される場合) には、ディスクのパーティションを削除して作り直すことを要求される場合があります。
A.2.3.2. 既存パーティションのサイズ変更
図A.12「既存パーティションのサイズを変更したディスクドライブ」 は、実際のサイズ変更プロセスを示しています。実際のサイズ変更の結果は使用するソフトウェアによって異なりますが、ほとんどの場合、新たに解放された領域を使用して、元のパーティションと同じタイプのフォーマットされていないパーティションが作成されます。

図A.12 既存パーティションのサイズを変更したディスクドライブ

既存パーティションのサイズを変更したディスクドライブ
上記の例では、1 は前を、2 は後を示します。
使用しているサイズ変更用ソフトウェアが、新たに解放された領域をどのように処理するのか理解すると、それに準じて適切なステップに進むことができます。ここでは、新しくできた DOS パーティションを削除して、目的の Linux パーティションを作成します。
A.2.3.3. 新規パーティションの作成
前の手順で示されるように、新しいパーティションの作成が必要な場合とそうでない場合があります。ただし、サイズ変更ソフトウェアが Linux をインストールしたシステムに対応していない限り、サイズ変更プロセスで作成されたパーティションを削除する必要があります。

図A.13 目的のパーティション持たせた最終設定のディスクドライブ

目的のパーティション持たせた最終設定のディスクドライブ
上記の例では、1 は前を、2 は後を示します。

A.3. パーティション命名スキームおよびマウントポイント

Linux に馴染みがないユーザーにとって混乱の元となるのは、Linux オペレーティングシステムにおけるパーティションの使い方とアクセスの仕方です。DOS/Windows の場合、各パーティションにドライブ文字が与えられるので、比較的簡単です。 パーティション上のファイルやディレクトリーを参照する場合は該当するドライブ文字を使用します。これは Linux でのパーティションの扱い方、またディスクストレージ全般に関しても全く異なります。本セクションでは、パーティション命名スキームの主な原則と、Red Hat Enterprise Linux でパーティションにアクセスする方法を説明します。

A.3.1. パーティションの命名スキーム

Red Hat Enterprise Linux は、/dev/xxyN の形式でファイル名を持つファイルベースの命名スキームを使用します。
以下は、デバイスおよびパーティションの名前の設定要素です。
/dev/
全デバイスのファイルが配置されるディレクトリー名です。パーティションはハードディスク上に存在し、ハードディスクはデバイスであるため、パーティションを表すファイルは /dev/ にあります。
xx
パーティション名の最初の 2 文字は、パーティションが存在するデバイスのタイプを示します(通常は sd )。
Y
この文字は、パーティションが存在するデバイスを示します。たとえば、最初のハードディスクは /dev/sda、2 つ目は /dev/sdb などになります。
N
最後の数字はパーティションを示します。最初の 4 つのパーティション(プライマリーまたは拡張)のパーティションには、1 から 4 までの番号が付けられます。論理パーティションは 5 から始まります。たとえば、/dev/sda3 は最初のハードディスクの 3 番目のプライマリーパーティションまたは拡張パーティションで、2 番目のハードディスクの 2 番目の論理パーティション /dev/sdb6 です。
注記
Red Hat Enterprise Linux が すべて のタイプのディスクパーティションを識別して参照できる場合でも、ファイルシステムを読み取れないため、すべてのパーティションタイプに保存されているデータにアクセスできます。ただし、多くの場合、別のオペレーティングシステム専用のパーティション上にあるデータには問題なくアクセスすることができます。

A.3.2. ディスクパーティションとマウントポイント

Red Hat Enterprise Linux では、各パーティションは、ファイルおよびディレクトリーの単一セットをサポートするのに必要なストレージの一部を形成するために使用されます。マウント と呼ばれるプロセスでパーティションとディレクトリーを関連付けることで行います。パーティションをマウントすると、指定されたディレクトリー (マウントポイント と呼ばれる) を開始点としてそのストレージが利用可能になります。
たとえば、パーティション /dev/sda5/usr/ にマウントされている場合、/usr/ の下にあるすべてのファイルとディレクトリーは物理的に /dev/sda5 に存在します。そのため、ファイル /usr/share/doc/FAQ/txt/Linux-FAQ/dev/sda5 に保存されますが、ファイル /etc/gdm/custom.conf は保存されません。
また、この例では、/usr/ 以下の 1 つ以上のディレクトリーが他のパーティションのマウントポイントになる可能性もあります。たとえば、パーティション(例: /dev/sda7)を /usr/local/ にマウントできます。つまり、/usr/local/man/whatis/dev/sda5 ではなく /dev/sda7 上に存在することになります。

A.3.3. パーティションの数

Red Hat Enterprise Linux のインストール準備を行っている段階で、新しいオペレーティングシステムで使用するパーティションの数とサイズを考慮しておく必要があります。ただし、あらゆる状況に対応する絶対的に正しい数やサイズというのは存在しません。パーティションの数やサイズは使用する側のニーズや要件によって異なってきます。
この点を考慮して、特に理由がない限り、少なくとも swap/boot/、および / (root)のパーティションを作成する必要があります。
AMD64 および Intel 64 システムについては 「推奨されるパーティション設定スキーム」、IBM Power Systems サーバーについては 「推奨されるパーティション設定スキーム」、IBM Z については 「推奨されるパーティション設定スキーム」 を参照してください。


[4] ブロックのサイズは図とは異り、実際には均一なサイズです。また、平均的なディスクドライブには数千のブロックが含まれている点にご留意ください。ここで説明するうえで、この図を簡略化しています。

付録B iSCSI ディスク

iSCSI (Internet Small Computer System Interface) は、SCSI の要求と応答を TCP/IP 上で運用することでコンピューターとストレージデバイスとの通信を可能にするプロトコルです。iSCSI は標準の SCSI プロトコルを土台にしているため、SCSI の用語を一部使用します。要求の送信先であり、その要求に応える SCSI バス上のデバイスは ターゲット、要求を発信する側のデバイスは イニシエーター と呼ばれます。言い替えると、iSCSI ディスクがターゲットで、SCSI コントローラーや SCSI Host Bus Adapter (HBA) に相当する iSCSI ソフトウェアがイニシエーターです。この付録での説明は、iSCSI イニシエーターとしての Linux に iSCSI ディスクを使用させる方法に限定しています。したがって、Linux に iSCSI ディスクをホストさせる方法については触れていません。
Linux には、SCSI HBA ドライバーの代わりとなるソフトウェア iSCSI イニシエーターがカーネルに内蔵されています。Linux ではこれを利用して iSCSI ディスクを使用します。ただし、iSCSI は完全にネットワークベースのプロトコルとなるため、iSCSI イニシエーターに対応するには、ネットワーク上で単に SCSI パケットを送信するだけではなくそれ以上の能力が必要とされます。Linux で iSCSI ターゲットを使用する前に、Linux 側からネットワーク上のターゲットを検出して接続を行わなければなりません。ターゲットへのアクセスを得るため、Linux 側から認証情報を送信しなければならない場合もあります。また、ネットワーク接続に障害が発生した場合には、Linux 側で障害の検出および新規接続の確立を行う必要があります。また必要に応じて再ログインも必要になります。
検出、接続、およびログインは iscsiadm ユーティリティーによりユーザー空間で処理され、エラーは iscsid ユーティリティーによってユーザー空間で処理されます。
iscsiadmiscsid はいずれも、Red Hat Enterprise Linux の iscsi-initiator-utils パッケージに含まれます。

B.1. Anaconda での iSCSI ディスク

Anaconda インストールプログラムは、次の 2 つの方法で iSCSI ディスクを検出してログインできます。
  1. Anaconda が起動すると、システムの BIOS またはアドオンブート ROM が iSCSI から起動できるシステムの BIOS 拡張である iBFT ( iSCSI Boot Firmware Table )に対応しているかどうかを確認します。BIOS が iBFT に対応している場合、Anaconda は BIOS から設定済みのブートディスクの iSCSI ターゲット情報を読み取り、このターゲットにログインし、インストールターゲットとして利用可能にします。
    重要
    iSCSI ターゲットに自動接続するには、ターゲットにアクセスするネットワークデバイスがアクティベートされている必要があります。こにれついての推奨の方法として、起動オプション ip=ibft を使用します。
  2. anaconda のグラフィカルユーザーインターフェイスでは、iSCSI ターゲットを手動で検出して追加できます。メインメニューのインストールの概要画面でインストール先オプションをクリックします。次に、画面の 特殊 なディスクおよびネットワーク ディスク セクションで ディスクの追加 をクリックします。タブが付いたストレージデバイスの一覧が表示されます。右下隅の Add iSCSI Target ボタンをクリックし、検出プロセスに進みます。詳細は、「ストレージデバイス選択の画面」 を参照してください。
    重要
    制限: /boot パーティションは、この方法を使用して手動で追加された iSCSI ターゲットには配置できません。/boot パーティションを含む iSCSI ターゲットは、iBFT で使用するように設定する必要があります。
    ただし、インストールされたシステムが、たとえば iPXE を使用してファームウェア iBFT 以外の方法で提供された iBFT 設定で iSCSI から起動する場合は、inst.nonibftiscsiboot インストーラー起動オプションを使用して /boot パーティション制限を無効にすることができます。
Anacondaiscsiadm を使用して iSCSI ターゲットを検索し、ログインしますが、iscsiadm はこれらのターゲットに関する情報を iscsiadm iSCSI データベースに自動的に保存します。次に、Anaconda はこのデータベースをインストール済みシステムにコピーし、/ に使用されていない iSCSI ターゲットをマークし、システムの起動時にシステムが自動的にログインできるようにします。/ が iSCSI ターゲットに配置されている場合、initrd はこのターゲットにログインし、Anaconda は同じターゲットに複数のログインを試みないように起動スクリプトにこのターゲットを含めません。

B.2. スタートアップ時の iSCSI ディスク

iSCSI 関連のイベントがシステム開始時に各所で発生する可能性があります。
  1. initrd の init スクリプトは、/ に使用される iSCSI ターゲットにログインします(存在する場合)。これは、iscsid を実行する必要なく iscsistart ユーティリティーを使用して行います。
    注記
    root ファイルシステムが IPv6 を使用して接続されている iSCSI ディスクにある場合は、インストール済みのシステムが ip= 起動オプション (例: ip=eth0:auto6) を使用していることを確認してください。このオプションが設定されていないと、インストールされたシステムは起動時に接続を確立するまでに最大 20 分間かかる場合があります。正しい ip= オプションを使用することで、この遅延がなくなります。
  2. root ファイルシステムがマウントされ、さまざまなサービスの init スクリプトが実行されると、iscsi init スクリプトが呼び出されます。/ に iSCSI ターゲットが使用されている場合、または iSCSI データベース内のターゲットが自動的にログインするようにマークされている場合、このスクリプトは iscsid デーモンを起動します。
  3. 従来のネットワークサービススクリプトの実行後に、iscsi init スクリプトが実行されます。ネットワークへのアクセスが可能であれば、自動ログインのマークが付いた iSCSI データベース内のターゲットにログインを行います。ネットワークへのアクセスができない場合には、スクリプトは何も表示せずに終了します。
  4. NetworkManager を使用してネットワークにアクセスする場合、従来のネットワークサービススクリプトの代わりに、NetworkManageriscsi init スクリプトを呼び出します。詳細は、/etc/NetworkManager/dispatcher.d/04-iscsi ファイルを参照してください。
    重要
    NetworkManager/usr ディレクトリーにインストールされているため、/usr が iSCSI ターゲットなどのネットワーク接続ストレージにある場合は、ネットワークアクセスを設定できません。
システムの起動時に iscsid が必要ない場合は、自動的に起動されません。iscsiadm を開始すると、 iscsiadm iscsid を開始します。

付録C Anaconda UI 固有のコマンド

C.1. Anaconda で使用されるコマンド

pwpolicy コマンドは、キックスタートファイルの %anaconda セクションでのみ使用できる Anaconda UI 固有のコマンドです。
pwpolicy (任意)
このコマンドは、カスタムのパスワードポリシーを強制します。このポリシーは、パスワードの長さや強度などの要素に基づいて、インストール中に作成されるパスワードの要件を指定するものです。
pwpolicy name [--minlen=length] [--minquality=quality] [--strict|--nostrict] [--emptyok|--noempty] [--changesok|--nochanges]
namerootuser、または luks に置き換え、それぞれ root パスワード、ユーザーパスワード、または LUKS パスフレーズのポリシーを強制します。
libpwquality ライブラリーは、パスワードの最小要件(長さおよび品質)を確認するために使用されます。libpwquality パッケージが提供する pwscore コマンドおよび pwmake コマンドを使用してパスワードの品質のスコアを確認したり、特定のスコアで無作為なパスワードを作成したりできます。これらのコマンドの詳細は、man ページの pwscore (1) および pwmake (1) を参照してください。
重要
このコマンドは、%anaconda セクション内でのみ使用できます。
  • --minlen= - パスワードの最低文字数を設定します。デフォルトは 6 です。
  • --minquality= - libpwquality ライブラリーで定義されているパスワードの最小品質を設定します。デフォルト値は 1 です。
  • --strict - 厳密なパスワード強制を有効にします。--minquality=--minlen= で指定された要件を満たさないパスワードは拒否されます。このオプションはデフォルトで無効になっています。
  • --notstrict - --minquality= オプションおよび -minlen= オプションで指定した最低品質要件を満たして ないパスワードは、Done が 2 回クリックされると許可されます。
  • --emptyok - 空のパスワードの使用を許可します。デフォルトでユーザーパスワードに有効となっています。
  • --notempty - 空のパスワードの使用を許可しません。root パスワードと LUKS パスフレーズについて、デフォルトで有効になっています。
  • --changesok - キックスタートファイルでパスワードが設定されていても、ユーザーインターフェイスでのパスワード変更を許可します。デフォルトでは無効です。
  • --nochanges - キックスタートファイルで設定されているパスワードの変更を許可しません。デフォルトでは有効です。

付録D LVM の理解

LVM (Logical Volume Management、論理ボリューム管理) パーティションは標準のパーティションに比べ便利な点がいくつかあります。LVM パーティションは、物理ボリューム としてフォーマット化し、ひとつまたは複数の物理ボリュームを結合させて ボリュームグループ を形成します。このボリュームグループの合計容量を再びひとつまたは複数の 論理ボリューム に分割します。論理ボリュームは、標準のパーティションと同様に機能します。xfs などのファイルシステムタイプとマウントポイントがあります。
重要
AMD、Intel、および ARM システム、ならびに IBM Power Systems サーバーなどでは、ブートローダーは LVM ボリュームを読み込むことができません。/boot パーティション用に、LVM 以外の標準のディスクパーティションを作成する必要があります。
IBM Z では、zipl ブートローダーはリニアマッピングを使用して LVM 論理ボリュームの /boot をサポートします。
デフォルトでは、インストールプロセスは常に / パーティションおよび swap パーティションを作成し、物理ボリュームに別の /boot パーティションを使用します。
物理ボリュームを積み重なった ブロック の山として考えるとわかりやすいでしょう。1 ブロックがデータ格納に使用される 1 ストレージユニットになります。複数のブロックの山を集めてさらに大きなひとつの山を作ることができるのと同じように、物理ボリュームを結合して一つのボリュームグループを作ります。できた大きな山から今度は目的にあった大きさの山をいくつか作ることができます。同じように、結合してできたボリュームグループを目的にあったいくつかの論理ボリュームに分割します。
管理者は、標準のディスクパーティションとは異なり、データを破棄せずに論理ボリュームを拡大または縮小できます。ボリュームグループの物理ボリュームが別のドライブまたは RAID アレイにある場合は、ストレージデバイスに論理ボリュームを分散することもできます。
論理ボリュームを、ボリュームに必要なデータよりも小さい容量に縮小すると、データが失われる可能性があります。柔軟性を最大限にするために、現在のニーズに合わせて論理ボリュームを作成し、過剰なストレージ容量を未割り当ての状態にします。必要に応じて、未割り当ての領域を使用するように、論理ボリュームを安全に拡張できます。

付録E その他のテクニカルドキュメント

Anaconda および Red Hat Enterprise Linux システムはいずれも、共通のソフトウェアコンポーネントのセットを使用します。重要なテクノロジーの詳細は、以下に示す Web サイトを参照してください。
ブートローダー
Red Hat Enterprise Linux は、GRUB2 ブートローダーを使用します。Red Hat Enterprise Linux 7 システム管理者のガイドの該当する箇所を参照してください。
ストレージ管理
論理ボリューム管理 (LVM) では、管理者に対してさまざまなストレージ管理機能を提供します。デフォルトでは、Red Hat Enterprise Linux インストールプロセスは、ドライブを LVM ボリュームとしてフォーマットします。詳細は、Red Hat Enterprise Linux 7 論理ボリュームマネージャーの管理を参照してください。
リモートディスプレイ
Red Hat Enterprise Linux および Anaconda には、グラフィカルディスプレイへのリモートアクセスを可能にする VNC (Virtual Network Computing)ソフトウェアが含まれています。VNC の詳細については、Red Hat Enterprise Linux 7 システム管理者のガイド の TigerVNC の章を参照してください。
Red Hat カスタマーポータルの VNC Configurator アプリケーションを使って、VNC サーバーおよびクライアントの設定をガイドに従って実施することもできます。
リモートシステムアクセス
Red Hat Enterprise Linux には、システムにリモートアクセスできるように OpenSSH スイートが組み込まれています。SSH サービスにより、他のシステムからのコマンドラインへのアクセス、遠隔からのコマンド実行、ネットワークファイルの転送などの機能が利用できるようになります。インストールプロセス時に、Anaconda は OpenSSH の scp 機能を使用してクラッシュレポートをリモートシステムに転送する場合があります。OpenSSH の詳細についてはRed Hat Enterprise Linux 7 システム管理者のガイドの該当のセクションを参照してください。
アクセス制御
SELinux では、標準の Linux セキュリティー機能を補完する Mandatory Access Control (MAC) 機能を提供しています。詳細は、Red Hat Enterprise Linux 7 SELinux ユーザーおよび管理者のガイドを参照してください。
ファイアウォール
Red Hat Enterprise Linux は、firewalld を使用してファイアウォール機能を提供します。詳細情報は、Red Hat Enterprise Linux 7 セキュリティーガイドを参照してください。
ソフトウェアのインストール
Red Hat Enterprise Linux は、yum を使用して、システムを設定する RPM パッケージを管理します。詳細は、Red Hat Enterprise Linux 7 システム管理者のガイドを参照してください。
仮想化
仮想化では、同じコンピューターで複数のオペレーティングシステムを同時に実行できます。Red Hat Enterprise Linux には Red Hat Enterprise Linux ホスト上にセカンダリーのシステムをインストールして管理を行うためのツールも収納されています。仮想化のサポートはインストール中でも、インストール後でも選択可能です。詳細は、Red Hat Enterprise Linux 7 仮想化の導入および管理ガイドを参照してください。

付録F ext4 と XFS コマンドの参照表

Red Hat Enterprise Linux 7 で、ext4 に代わって、XFS がデフォルトのファイルシステムとなっています。一般的なファイルシステム操作の作業に対する ext4 でのコマンドと XFS でのコマンドとの違いを以下の相互参照表で示します。
表F.1 ext4 と XFS コマンドの参照表
タスク ext4 XFS
ファイルシステムの作成 mkfs.ext4 mkfs.xfs
ファイルシステムのマウント mount mount
ファイルシステムのサイズ変更 resize2fs xfs_growfs [a]
ファイルシステムの修復 e2fsck xfs_repair
ファイルシステムのラベル変更 e2label xfs_admin -L
ディスク領域およびファイル使用量の報告 quota quota
ファイルシステムのデバッグ debugfs xfs_db
ファイルシステムの重要なメタデータのファイル保存 e2image xfs_metadump
[a] XFS ファイルシステムのサイズを縮小できません。サイズを増やす場合にだけこのコマンドを使用してください。

付録G データサイズ用語の参照表

表G.1 データサイズ用語の参照表
用語 略語 サイズ (バイト単位)
バイナリー (バイト)   
キビバイト KiB 1024
メビバイト MiB 10242
ギビバイト GiB 10243
テビバイト TiB 10244
ペビバイト PiB 10245
エクスビバイト EiB 10246
ゼビバイト ZiB 10247
ヨビバイト YiB 10248
十進法 (バイト)   
キロバイト KB 1000
メガバイト MB 10002
ギガバイト GB 10003
テラバイト TB 10004
ペタバイト PB 10005
エクサバイト EB 10006
ゼタバイト ZB 10007
ヨタバイト YB 10008
十進法 (ビット)   
キロビット Kb 125
メガビット Mb 125,000
ギガビット Gb 125,000,000

付録H 改訂履歴

改訂番号はこのマニュアルの編集に関するものであり、Red Hat Enterprise Linux の バージョン番号とは関係ありません。

改訂履歴
改訂 1.5-6Wed Aug 07 2019Eliane Pereira
改訂 1.5-5Thu Jul 11 2019Eliane Pereira
Image Builder は削除されており、専用のガイドに分かれました。
改訂 1.5-4Fri May 24 2019Sharon Moroney
7.7 ベータ版公開用ドキュメントの準備
改訂 1.5-3Tue Oct 30 2018Vladimír Slávik
7.6 GA 公開用ドキュメントの準備
改訂 1.5-2Tue Aug 21 2018Vladimír Slávik
7.6 ベータ版公開用ドキュメントの準備
改訂 1.5-1Fri Apr 6 2018Petr Bokoč
7.5 GA 公開用ドキュメントの準備
改訂 1.5-0Fri Dec 15 2017Petr Bokoč
7.5 ベータ版公開用ドキュメントの準備
改訂 1.4-2Thu Nov 23 2017Petr Bokoč
非同期の更新
改訂 1.4-1Fri Oct 13 2017Petr Bokoč
非同期の更新
改訂 1.4-0Tue Aug 1 2017Petr Bokoč
7.4 GA 公開用ドキュメントの準備
改訂 1.3-9Mon May 15 2017Petr Bokoč
7.4 ベータ版公開用ドキュメントの準備
改訂 1.3-8Tue Apr 4 2017Petr Bokoč
非同期の更新
改訂 1.3-7Sun Nov 6 2016Robert Kratky
7.3 GA リリースのバージョン
改訂 1.3-4Mon Nov 16 2015Petr Bokoč
7.2 GA 公開用バージョン
改訂 1.2-2Wed Feb 18 2015Petr Bokoč
7.1 GA 公開用バージョン
改訂 1.0-0Tue Jun 03 2014Petr Bokoč
7.0 GA 公開用バージョン

索引

シンボル

/boot パーティション
推奨されるパーティション, 推奨されるパーティション設定スキーム, 推奨されるパーティション設定スキーム
/var/ パーティション
推奨されるパーティション, 推奨されるパーティション設定スキーム, 推奨されるパーティション設定スキーム
アレイ (参照 RAID)
アンインストール
IBM Z から, IBM Z からの Red Hat Enterprise Linux の削除
x86_64 ベースのシステムの場合, 64 ビット AMD、Intel、および ARM システムからの Red Hat Enterprise Linux の削除
インストール
GRUB2, ブートローダーのインストール, ブートローダーのインストール
VNC の使用, VNC の使用
キックスタート (参照 キックスタートを使ったインストール)
スタートガイド, はじめに
テキストモード, ブートメニューによるインストールシステムの設定
ディスク領域, ディスク領域およびメモリーに関する要件, ディスク領域およびメモリーに関する要件
パーティション設定, 手動パーティション設定, 手動パーティション設定, 手動パーティション設定
プログラム
起動, インストールプログラムの起動
メモリーの要件, ディスク領域およびメモリーに関する要件, ディスク領域およびメモリーに関する要件
インストールのプランニング
IBM Z, プレインストール
インストールプログラム
AMD64 および Intel 64
起動, 物理メディアからの起動
インストールプログラムのレスキューモード
利用可能なユーティリティー, Anaconda のレスキューモード
定義, Anaconda のレスキューモード
インストールプログラムの起動
IBM Power Systems, IBM Power Systems でのインストールの起動
インストールメディア
ダウンロード中, Red Hat Enterprise Linux のダウンロード
カスタムイメージ
作成, ディスクイメージへのインストール
キックスタート
IBM Z パラメーターファイルのパラメーター, キックスタートを使ったインストールのパラメーター
サブスクリプション, インストール後のスクリプト
ファイルの表示方法, キックスタートを使ったインストールの開始
キックスタートを使ったインストール, キックスタートを使ったインストール
LVM, キックスタートのコマンドとオプション
インストールソース, インストールソースの準備
ネットワークベース, インストールソースの準備
ファイルの場所, キックスタートファイルの準備
ファイルフォーマット, キックスタートファイルの作成
起動, キックスタートを使ったインストールの開始
キックスタートインストール
検証, キックスタートファイルの確認
キックスタートファイル
%Anaconda, Anaconda の設定
%include, キックスタートのコマンドとオプション
%post, インストール後のスクリプト
%pre, インストール前のスクリプト
Anaconda の設定, Anaconda の設定
auth, キックスタートのコマンドとオプション
authconfig, キックスタートのコマンドとオプション
autopart, キックスタートのコマンドとオプション
autostep, キックスタートのコマンドとオプション
bootloader, キックスタートのコマンドとオプション
btrfs, キックスタートのコマンドとオプション
clearpart, キックスタートのコマンドとオプション
cmdline, キックスタートのコマンドとオプション
device, キックスタートのコマンドとオプション
driverdisk, キックスタートのコマンドとオプション
eula, キックスタートのコマンドとオプション
fcoe, キックスタートのコマンドとオプション
firewall, キックスタートのコマンドとオプション
firstboot, キックスタートのコマンドとオプション
graphical, キックスタートのコマンドとオプション
group, キックスタートのコマンドとオプション
halt, キックスタートのコマンドとオプション
ignoredisk, キックスタートのコマンドとオプション
install, キックスタートのコマンドとオプション
iscsi, キックスタートのコマンドとオプション
iscsiname, キックスタートのコマンドとオプション
kdump, キックスタートのコマンドとオプション
lang, キックスタートのコマンドとオプション
logvol, キックスタートのコマンドとオプション
mediacheck, キックスタートのコマンドとオプション
mount, キックスタートのコマンドとオプション
network, キックスタートのコマンドとオプション
nvdimm, キックスタートのコマンドとオプション
org_fedora_oscap, キックスタートのコマンドとオプション
part, キックスタートのコマンドとオプション
partition, キックスタートのコマンドとオプション
poweroff, キックスタートのコマンドとオプション
pwpolicy, Anaconda で使用されるコマンド
raid , キックスタートのコマンドとオプション
realm, キックスタートのコマンドとオプション
reboot, キックスタートのコマンドとオプション
rescue, キックスタートのコマンドとオプション
rootpw, キックスタートのコマンドとオプション
selinux, キックスタートのコマンドとオプション
services , キックスタートのコマンドとオプション
shutdown, キックスタートのコマンドとオプション
skipx, キックスタートのコマンドとオプション
snapshot, キックスタートのコマンドとオプション
sshpw, キックスタートのコマンドとオプション
text, キックスタートのコマンドとオプション
timezone, キックスタートのコマンドとオプション
unsupported_hardware, キックスタートのコマンドとオプション
user, キックスタートのコマンドとオプション
vnc, キックスタートのコマンドとオプション
volgroup, キックスタートのコマンドとオプション
xconfig, キックスタートのコマンドとオプション
zerombr, キックスタートのコマンドとオプション
zfcp, キックスタートのコマンドとオプション
インストールソース, キックスタートのコマンドとオプション
インストール前の設定, インストール前のスクリプト
インストール後の設定, インストール後のスクリプト
インストール方法, キックスタートのコマンドとオプション
オプション, キックスタートのコマンドとオプション
パーティショニングの例, 高度なパーティション設定の例
ユーザー入力, ユーザー入力の例
キーボード, キックスタートのコマンドとオプション
ネットワークベース, インストールソースの準備
パッケージ選択の指定, パッケージの選択
フォーマット, キックスタートファイルの作成
リポジトリーの設定, キックスタートのコマンドとオプション
ロギング, キックスタートのコマンドとオプション
作成, キックスタートのコマンドとオプション
例, キックスタートファイルの作成
別のファイルのコンテンツを含める, キックスタートのコマンドとオプション
必要なパーティションの作成, キックスタートのコマンドとオプション
構文の変更点, キックスタート構文の違い
キーボード
設定, キーボードの設定, キーボードの設定, キーボードの設定
キーマップ
キーボードタイプの選択, キーボードの設定, キーボードの設定, キーボードの設定
言語の選択, ようこその画面と言語設定, ようこその画面と言語設定, ようこその画面と言語設定
クロック, 日付と時刻, 日付と時刻, 日付と時刻
サブスクリプション
インストール後, サブスクリプションマネージャー
初期設定, サブスクリプションマネージャー
サブスクリプションサービス, Red Hat Subscription Management からの登録解除
システムの復元, 基本的なシステムの復元
一般的な問題, 一般的な問題
Red Hat Enterprise Linux で起動できない, Red Hat Enterprise Linux を起動できない
sosreport, sosreportのキャプチャー
ハードウェアおよびソフトウェアの問題, ハードウェアおよびソフトウェアの問題
ブートローダーの再インストール, ブートローダーの再インストール
ストレージデバイス
基本的なストレージデバイス, ストレージデバイス, ストレージデバイス, ストレージデバイス
特殊なストレージデバイス, ストレージデバイス, ストレージデバイス, ストレージデバイス
タイムゾーン
設定, 日付と時刻, 日付と時刻, 日付と時刻
チェーンロード, ストレージデバイス選択の画面, ストレージデバイス選択の画面
テキストモード
インストール, ブートメニューによるインストールシステムの設定
ディスクのパーティション設定, インストール先, インストール先, インストール先
ディスクパーティション機能
パーティションの追加
ボリュームの追加, ファイルシステムの追加とパーティションの設定, ファイルシステムの追加とパーティションの設定, ファイルシステムの追加とパーティションの設定
ディスク領域, ディスク領域およびメモリーに関する要件, ディスク領域およびメモリーに関する要件
トラブルシューティング
AMD64 および Intel 64, 64 ビット AMD、Intel、および ARM システムでのインストールに関連するトラブルシューティング
GNOME または KDE での起動
AMD64 および Intel 64, グラフィカル環境での起動
IBM Power Systems, グラフィカル環境での起動
GRUB2
next_entry, GRUB2 next_entry 変数は、仮想化環境で予期しない動作をする可能性がある
GUI インストール方法が利用できません
AMD64 および Intel 64, グラフィカルインストールの起動に関連する問題
IBM Power Systems, グラフィカルインストールの起動に関連する問題
IBM Power Systems, IBM Power Systems でのインストールに関するトラブルシューティング
IBM Z, IBM Z でのインストールに関するトラブルシューティング
IPL NWSSTG
IBM Power Systems, ネットワークストレージ領域 (*NWSSTG) から起動 (IPL) できない
RAM が認識されない
AMD64 および Intel 64, RAM が認識されませんか ?
X (X Window System)
AMD64 および Intel 64, グラフィカルユーザーインターフェイスが表示されない
IBM Power Systems, グラフィカルユーザーインターフェイスが表示されない
X Window System での起動
AMD64 および Intel 64, グラフィカル環境での起動
IBM Power Systems, グラフィカル環境での起動
X サーバーのクラッシュ
AMD64 および Intel 64, ユーザーがログインすると X サーバーがクラッシュする
IBM Power Systems, ユーザーがログインすると X サーバーがクラッシュする
インストールの開始
AMD64 および Intel 64, インストール開始時の問題
IBM Power Systems, インストール開始時の問題
インストール後
AMD64 および Intel 64, インストール後の問題
IBM Power Systems, インストール後の問題
IBM Z, インストール後の問題
インストール時
AMD64 および Intel 64, インストール中の問題
IBM Power Systems, インストール中の問題
IBM Z, インストール中の問題
グラフィカルブート
AMD64 および Intel 64, グラフィカルな起動シーケンスに関する問題
IBM Power Systems, グラフィカルな起動シーケンスに関する問題
グラフィカルログイン
IBM Z, リモートグラフィカルデスクトップと XDMCP
グラフィカル環境での起動
AMD64 および Intel 64, グラフィカル環境での起動
IBM Power Systems, グラフィカル環境での起動
コンソールが利用できない
AMD64 および Intel 64, シリアルコンソールが検出されない
IBM Power Systems, シリアルコンソールが検出されない
シグナル 11 エラー
AMD64 および Intel 64, signal 11 エラーが表示される
IBM Power Systems, signal 11 エラーが表示される
IBM Z, signal 11 エラーが表示される
ディスクが検出されない
AMD64 および Intel 64, ディスクが検出されない
IBM Power Systems, ディスクが検出されない
IBM Z, ディスクが検出されない
パーティションの完了
IBM Power Systems, IBM Power Systems ユーザー向けのパーティション作成に関するその他の問題
リムーバブルメディアのないトレースバックメッセージの保存
AMD64 および Intel 64, トレースバックメッセージの報告
IBM Power Systems, トレースバックメッセージの報告
IBM Z, トレースバックメッセージの報告
リモートデスクトップ
IBM Z, リモートグラフィカルデスクトップと XDMCP
起動
RAID カード, RAID カードから起動できない
トレースバックメッセージ
リムーバブルメディアのないトレースバックメッセージの保存
AMD64 および Intel 64, トレースバックメッセージの報告
IBM Power Systems, トレースバックメッセージの報告
IBM Z, トレースバックメッセージの報告
ネットワークブートインストール
概要, ネットワークからのインストールの準備
設定, ネットワークブートサービスの設定
ハードウェア
サポート, インストール先として対応しているターゲット, インストール先として対応しているターゲット
互換性, ハードウェアの互換性について, ハードウェアの互換性について
設定, システム仕様一覧, システム仕様一覧
ハードウェアの準備、IBM Power Systems サーバー, IBM Power Systems サーバーの準備
ハードディスク
パーティションの概要, パーティション: 1 つのドライブの分割
パーティションタイプ, パーティション: 1 つのドライブの分割
パーティション設定, ディスクパーティションの概要
ファイルシステムの形式, ファイルシステム
基本となる概念, ハードディスクの基本概念
拡張パーティション, パーティションの中のパーティション: 拡張パーティションの概要
パスワード
root の設定, Root パスワードの設定, Root パスワードの設定, Root パスワードの設定
パッケージ
インストール, ソフトウェアの選択, ソフトウェアの選択, ソフトウェアの選択
グループ, ソフトウェアの選択, ソフトウェアの選択, ソフトウェアの選択
選択, ソフトウェアの選択, ソフトウェアの選択, ソフトウェアの選択
選択, ソフトウェアの選択, ソフトウェアの選択, ソフトウェアの選択
パッケージのインストール, ソフトウェアの選択, ソフトウェアの選択, ソフトウェアの選択
パラメーターファイル, IBM Z でのパラメーターと設定ファイル
インストールネットワークパラメーター, インストール用ネットワークパラメーター
キックスタートパラメーター, キックスタートを使ったインストールのパラメーター
サンプルパラメーターファイル, パラメーターファイルと CMS 設定ファイルの例
必須パラメーター, 必須パラメーター
パーティション
拡張, パーティションの中のパーティション: 拡張パーティションの概要
パーティションの追加
ファイルシステムの種類, ファイルシステムのタイプ, ファイルシステムのタイプ, ファイルシステムのタイプ
ボリュームの追加, ファイルシステムの追加とパーティションの設定, ファイルシステムの追加とパーティションの設定, ファイルシステムの追加とパーティションの設定
パーティション設定, 手動パーティション設定, 手動パーティション設定, 手動パーティション設定
パーティションの数, パーティション: 1 つのドライブの分割, パーティションの命名スキーム, パーティションの数
パーティションの種類, パーティション: 1 つのドライブの分割
パーティションの追加
ファイルシステムの種類, ファイルシステムのタイプ, ファイルシステムのタイプ, ファイルシステムのタイプ
パーティション用の空き領域の作成, ディスクのパーティション再設定に関する戦略
プライマリーパーティション, パーティション: 1 つのドライブの分割
マウントポイントと, ディスクパーティションとマウントポイント
使用中のパーティションの使用, 使用中パーティションの空き領域の使用
命名パーティション, パーティションの命名スキーム
基本となる概念, ディスクパーティションの概要
拡張パーティション, パーティションの中のパーティション: 拡張パーティションの概要
推奨, 推奨されるパーティション設定スキーム, 推奨されるパーティション設定スキーム
新規作成, ファイルシステムの追加とパーティションの設定, ファイルシステムの追加とパーティションの設定, ファイルシステムの追加とパーティションの設定
ファイルシステムの種類, ファイルシステムのタイプ, ファイルシステムのタイプ, ファイルシステムのタイプ
未使用パーティションの使用, 未使用パーティションからの領域の使用
概要, パーティション: 1 つのドライブの分割
破壊, 使用中パーティションの空き領域の使用
空き領域の使用, パーティションが未設定の空き領域の使用
自動, インストール先, インストール先, インストール先
非破壊的, 使用中パーティションの空き領域の使用
ファイルシステム
形式、概要, ファイルシステム
ファイルシステムのタイプ, ファイルシステムのタイプ, ファイルシステムのタイプ, ファイルシステムのタイプ
ブートローダー, ブートローダーのインストール, ブートローダーのインストール
GRUB2, ブートローダーのインストール, ブートローダーのインストール
インストール, ブートローダーのインストール, ブートローダーのインストール
マウントポイント
パーティションおよび, ディスクパーティションとマウントポイント
マスターブートレコード, ブートローダーのインストール, ブートローダーのインストール, Red Hat Enterprise Linux を起動できない
再インストール, ブートローダーの再インストール
マルチパスデバイス
非マルチパスデバイスとの混在, インストール先
メモリー
最小要件, ディスク領域およびメモリーに関する要件, ディスク領域およびメモリーに関する要件
メモリーテストモード, メモリー (RAM) テストモードの読み込み
ライブイメージ
作成, ディスクイメージへのインストール
リモートインストール
VNC の使用, VNC の使用
レスキューモード, レスキューモードでのコンピューターの起動
インストールプログラムの使用, Anaconda のレスキューモード
ログファイル
AMD64 および Intel 64, 64 ビット AMD、Intel、および ARM システムでのインストールに関連するトラブルシューティング
IBM Power Systems, IBM Power Systems でのインストールに関するトラブルシューティング
IBM Z, IBM Z でのインストールに関するトラブルシューティング
キックスタートを使ったインストール, キックスタートを使ったインストールとは
ログファイルのインストール
anaconda.packaging.log , 設定のメニューと進捗状況の画面, 設定のメニューと進捗状況の画面, 設定のメニューと進捗状況の画面
仮想化
ドキュメント, その他のテクニカルドキュメント
初期設定 (Initial Setup)
キックスタート経由, キックスタートのコマンドとオプション
サブスクリプション, サブスクリプションマネージャー
削除中
Red Hat Enterprise Linux
IBM Z から, IBM Z からの Red Hat Enterprise Linux の削除
x86_64 ベースのシステムの場合, 64 ビット AMD、Intel、および ARM システムからの Red Hat Enterprise Linux の削除
手順
CD-ROM または DVD での起動, インストーラーの起動方法の選択, インストーラーの起動方法の選択
IBM Power Systems サーバーのハードウェア準備, IBM Power Systems サーバーの準備
サポート対象のハードウェア, インストール先として対応しているターゲット, インストール先として対応しているターゲット
ディスク領域, ディスク領域およびメモリーに関する要件, ディスク領域およびメモリーに関する要件
ハードウェアの互換性, ハードウェアの互換性について, ハードウェアの互換性について
拡張パーティション, パーティションの中のパーティション: 拡張パーティションの概要
登録解除, Red Hat Subscription Management からの登録解除
自動パーティション設定, インストール先, インストール先, インストール先
言語
設定, ようこその画面と言語設定, 言語サポート, ようこその画面と言語設定, 言語サポート, ようこその画面と言語設定, 言語サポート
設定
タイムゾーン, 日付と時刻, 日付と時刻, 日付と時刻
ハードウェア, システム仕様一覧, システム仕様一覧
時間, 日付と時刻, 日付と時刻, 日付と時刻
設定ファイル
CMS 設定ファイル, IBM Z でのパラメーターと設定ファイル
z/VM 設定ファイル, z/VM 設定ファイル
起動
インストール, インストールプログラムの起動
インストールプログラム
AMD64 および Intel 64, 物理メディアからの起動
レスキューモード, Anaconda のレスキューモード
起動オプション, 起動オプション
gpt, ブートメニューによるインストールシステムの設定
GUID パーティションテーブル, ブートメニューによるインストールシステムの設定
kexec, ブートメニューによるインストールシステムの設定
multilib, ブートメニューによるインストールシステムの設定
network, ブートメニューによるインストールシステムの設定
selinux, ブートメニューによるインストールシステムの設定
VNC, ブートメニューによるインストールシステムの設定
zram, ブートメニューによるインストールシステムの設定
zRAM, ブートメニューによるインストールシステムの設定
インストールソース, ブートメニューによるインストールシステムの設定
インストールプログラムのランタイムイメージ, ブートメニューによるインストールシステムの設定
コンソール, ブートメニューによるインストールシステムの設定
テキストモード, ブートメニューによるインストールシステムの設定
ディスクデバイス名, ブートメニューによるインストールシステムの設定
デバッグ, ブートメニューによるインストールシステムの設定
トラブルシューティング, ブートメニューによるインストールシステムの設定
ドライバーの更新, ブートメニューによるインストールシステムの設定
メディアの検証, 起動メディアの検証
メモリーテストモード, メモリー (RAM) テストモードの読み込み
リモートアクセス, ブートメニューによるインストールシステムの設定
レスキューモード, レスキューモードでのコンピューターの起動
ロギング, ブートメニューによるインストールシステムの設定
起動メニュー
オプション, 起動オプション
選択
パッケージ, ソフトウェアの選択, ソフトウェアの選択, ソフトウェアの選択

D

DASD, DASD ストレージデバイス
DHCP (Dynamic Host Configuration Protocol), ネットワークとホスト名, ネットワークとホスト名, ネットワークとホスト名
DVD メディア
ダウンロード中, Red Hat Enterprise Linux のダウンロード
(参照 ISO イメージ)

N

NTP (Network Time Protocol), 日付と時刻, 日付と時刻, 日付と時刻
NVDIMM
ハードウェア, RAID と他のディスクデバイス

R

RAID
RAID カードに接続されているドライブから起動できない
AMD64 および Intel 64, RAID カードから起動できない
キックスタートを使ったインストール, キックスタートのコマンドとオプション
ソフトウェア, RAID と他のディスクデバイス, RAID と他のディスクデバイス
ハードウェア, RAID と他のディスクデバイス, RAID と他のディスクデバイス
registration
キックスタートの使用, インストール後のスクリプト
初期設定, サブスクリプションマネージャー
root / パーティション
推奨されるパーティション, 推奨されるパーティション設定スキーム, 推奨されるパーティション設定スキーム
root パスワード, Root パスワードの設定, Root パスワードの設定, Root パスワードの設定

V

Vinagre, VNC ビューアーのインストール
VNC
Connect モード, VNC Connect モードでのインストール
Direct モード, VNC Direct モードでのインストール
インストール中の使用, VNC の使用
ビューアー, VNC ビューアーのインストール
VNC (仮想ネットワークコンピューティング)
ドキュメント, その他のテクニカルドキュメント
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