3.10. 電力上限


Red Hat Enterprise Linux 7 は、HP Dynamic Power Capping (DPC) や Intel Node Manager (NM) テクノロジーなど、最近のハードウェアに見られる電力上限機能をサポートしています。電力上限により、管理者はサーバーが消費する電力を制限できますが、既存の電源装置が過負荷になるリスクが大幅に減少するため、管理者はデータセンターをより効率的に計画することもできます。管理者は、同じ物理フットプリント内により多くのサーバーを配置でき、サーバーの電力消費が制限されていれば、高負荷時の電力需要が利用可能な電力を超えないという確信が持てます。

HP 動的電力上限

動的電力上限は、一部の ProLiant および BladeSystem サーバーで利用できる機能で、システム管理者がサーバーまたはサーバーグループの電力消費を制限できるようにします。上限は、現在のワークロードに関係なく、サーバーが超えない決定的な制限です。サーバーが消費電力の上限に達するまで、上限は効果がありません。その時、管理プロセッサーは CPU の P ステートとクロックスロットリングを調整して、消費電力を制限します。

Dynamic Power Capping は、オペレーティングシステムとは無関係に CPU の動作を変更しますが、HP の 統合 Lights-Out 2 (iLO2) ファームウェアは、オペレーティングシステムが管理プロセッサーにアクセスできるようにするため、ユーザー空間のアプリケーションは管理プロセッサーにクエリーを実行できます。Red Hat Enterprise Linux 7 で使用されるカーネルには、HP iLO および iLO2 ファームウェア用のドライバーが含まれており、これによりプログラムは /dev/hpilo/d X ccb N にある管理プロセッサーにクエリーを実行できます。このカーネルには、電力制限機能をサポートするための hwmon sysfs インターフェイスの拡張機能と、sysfs インターフェイスを使用する ACPI 4.0 パワーメーター用の hwmon ドライバーも含まれています。これらの機能を組み合わせることで、オペレーティングシステムとユーザー空間ツールは、システムの現在の電力使用量と共に、電力上限に設定された値を読み取ることができます。
HP 動的消費電力上限の詳細は、https://support.hpe.com/hpsc/doc/public/display?docId=mmr_sf-EN_US000006556 で利用できる HPE のナレッジ記事 『HP ProLiant Gen8 Server Series - Power Capping and Dynamic Power Capping Settings in iLO 4 and RBSU』 を参照してください。

Intel Node Manager

Intel Node Manager は、プロセッサーの P ステートと T ステートを使用してシステムに電力上限を課し、CPU のパフォーマンスを制限して消費電力を制限します。管理者は、電源管理ポリシーを設定することにより、夜間や週末など、システムの負荷が低い時間帯に消費電力を抑えるようにシステムを設定できます。

Intel Node Manager は、標準の 高度な設定および電源管理 を介して、オペレーティングシステム主導の設定と電源管理 (OSPM) を使用して CPU パフォーマンスを調整します。Intel Node Manager が OSPM ドライバーに T ステートへの変更を通知すると、ドライバーは、プロセッサーの P ステートに対応する変更を行います。同様に、Intel Node Manager が OSPM ドライバーに P ステートへの変更を通知すると、ドライバーはそれに応じて T ステートを変更します。これらの変更は自動的に行われ、オペレーティングシステムからの入力は必要ありません。管理者は、Intel Data Center Manager (DCM) ソフトウェアを使用して Intel Node Manager を設定および監視します。
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