4.5. Istio アンビエントモードでの waypoint プロキシーについて
ztunnel プロキシーを使用して Istio アンビエントモードを設定した後、waypoint プロキシーを追加して、Istio が提供する高度な Layer 7 (L7) 処理機能を有効化できます。
Istio アンビエントモードは、Istio の機能を 2 つのレイヤーに分離します。
- ztunnel プロキシーによって管理されるセキュアな Layer 4(L4) オーバーレイ
- オプションの waypoint プロキシーによって管理される L7 レイヤー
waypoint プロキシーは、アンビエントモードで実行されているワークロードに対して L7 処理を実行する Envoy ベースのプロキシーです。namespace、サービス、Pod などのリソースへのゲートウェイとして機能します。アプリケーションとは独立して、waypoint プロキシーをインストール、アップグレード、拡張できます。設定では Kubernetes Gateway API を使用します。
各ワークロードが独自の Envoy プロキシーを実行するサイドカーモデルとは異なり、waypoint プロキシーは、namespace 内のすべてのワークロードなど、同じセキュリティー境界内で複数のワークロードを処理することでリソースの使用量を削減します。
宛先 waypoint はゲートウェイとして機能し、ポリシーを適用します。namespace、サービス、Pod などのリソースへのすべての着信トラフィックは、ポリシー適用のために waypoint を通過します。
ztunnel ノードプロキシーは、相互 Transport Layer Security (mTLS) 暗号化、L4 トラフィック処理、テレメトリーなどの L4 機能をアンビエントモードで管理します。Ztunnel と waypoint プロキシーは、ポート 15008 で相互 TLS (mTLS) を使用して HTTP/2 CONNECT 経由でトラフィックをトンネリングするプロトコルである HBONE (HTTP ベースのオーバーレイネットワーク) を使用して通信します。
ワークロードに次のいずれかの L7 機能が必要な場合は、waypoint プロキシーを追加できます。
- トラフィック管理
- 高度な HTTP ルーティング、負荷分散、サーキットブレーキング、レート制限、フォールトインジェクション、再試行、タイムアウト
- セキュリティー
- リクエストタイプや HTTP ヘッダーなどの L7 属性に基づく認可ポリシー
- 可観測性
- HTTP メトリクス、アクセスロギング、アプリケーショントラフィックのトレース