第1章 Block Storage サービスのカスタムバックエンドのデプロイの概要
Red Hat OpenStack Platform director は、手動の設定を最小限に抑え、完全なエンタープライズレベルの OpenStack デプロイメントをインストールし、管理します。director の詳細は、『director のインストールと使用方法』 を参照してください。
director が作成する Openstack 環境は、オーバークラウドと呼ばれます。オーバークラウドには、Block Storage など、エンドユーザーにサービスを提供するすべてのコンポーネントが含まれます。本項では、オーバークラウド上の Block Storage サービス(cinder)にカスタムのバックエンドをデプロイする方法について説明します。デフォルトでは、Block Storage サービスはコントローラーノードにインストールされます。
前提条件
- director を使用してオーバークラウドがインストール済みである。
- オーバークラウドに、機能する Block Storage サービスが設定されている。
- Block Storage の概念および設定を理解している。Block Storage の詳細は、『Storage Guide』の「Block Storage and Volumes」を参照してください。
この手順は、一部のユースケースで正常にテストされています。実稼働以外の環境で計画したデプロイメントを最初にテストするようにしてください。ご質問がございましたら、Red Hat サポートにお問い合わせください。
1.1. カスタムバックエンドについて
カスタムバックエンドは、Red Hat OpenStack Platform director に完全に統合されていないストレージサーバー、アプライアンス、または設定です。サポート対象の Block Storage バックエンドは、すでにビルトインの director ファイルで統合および事前設定されています。たとえば、Red Hat Ceph および Dell EMC PS Series、Dell Storage Center、および NetApp アプライアンスの設定などです。
統合ストレージアプライアンスは、シングルインスタンスのバックエンドのみをサポートします。たとえば、Dell Storage Center 向けに事前に設定された director ファイルでは、1 つのバックエンドしかデプロイできません。このアプライアンスの複数のバックエンドインスタンスをデプロイする場合は、カスタム設定が必要です。
Block Storage サービスが配置されているノード上の /etc/cinder/cinder.conf
ファイルを直接編集して Block Storage サービスを手動で設定できますが、openstack overcloud deploy
コマンドを実行すると、設定が director により上書きされます。詳細は、「3章設定済みのバックエンドのデプロイ」を参照してください。director を使用して Block Storage バックエンドをデプロイし、オーバークラウドのデプロイメントと更新を行っても、設定が永続されるようにします。
バックエンド設定が完全に統合されている場合は、パッケージ化された環境ファイルを編集して呼び出すことができます。ただし、カスタムバックエンドの場合は、独自の環境ファイルを作成する必要があります。本ガイドには、デプロイメント用に編集可能な /home/stack/templates/custom-env.yaml
ファイルが含まれます。このサンプルファイルは、2 つの NetApp バックエンドを使用するように Block Storage サービスを設定するのに適しています。環境ファイルの詳細は、『director のインストールと使用方法』の「オーバークラウドデプロイメントへの環境ファイルの追加」を参照してください。