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6.2. Geo レプリケーション

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注記

現在、Geo レプリケーション機能は IBM Power ではサポートされていません。

Geo レプリケーションでは、地理的に分散した複数の Red Hat Quay デプロイメントを、クライアントやユーザーの視点から、単一のレジストリーとして動作させることができます。グローバルに分散された Red Hat Quay のセットアップにおいて、プッシュとプルのパフォーマンスが大幅に向上します。イメージデータはバックグラウンドで非同期的に複製され、クライアントには透過的なフェイルオーバー/リダイレクトが行われます。

Geo レプリケーションを使用した Red Hat Quay のデプロイメントは、スタンドアロンおよび Operator デプロイメントでサポートされます。

6.2.1. Geo レプリケーション機能

  • Geo レプリケーションが設定されると、コンテナーイメージのプッシュはその Red Hat Quay インスタンスの優先ストレージエンジンに書き込まれます。これは通常、リージョン内で最も近いストレージバックエンドです。
  • 最初のプッシュの後、イメージデータはバックグランドで他のストレージエンジンに複製されます。
  • レプリケーションロケーションのリストは設定可能で、それらは異なるストレージバックエンドにできます。
  • イメージプルでは、プルのパフォーマンスを最大化するために、常に利用可能な最も近いストレージエンジンを使用します。
  • レプリケーションがまだ完了していない場合、プルでは代わりにソースストレージバックエンドが使用されます。

6.2.2. Geo レプリケーションの要件と制約

  • Geo レプリケーション設定では、Red Hat Quay で、すべてのリージョンが他の全リージョンのオブジェクトストレージに対して読み取りと書き込みができるようにする必要があります。オブジェクトストレージは、他のすべてのリージョンから地理的にアクセスできる必要があります。
  • 1 つの Geo レプリケーションサイトでオブジェクトストレージシステムに障害が発生した場合に、そのサイトの Red Hat Quay デプロイメントをシャットダウンして、クライアントがグローバルロードバランサーにより、ストレージシステムで問題のない残りのサイトにリダイレクトされるようにする必要があります。そうしないと、クライアントでプルとプッシュの失敗が発生します。
  • Red Hat Quay は、接続されたオブジェクトストレージシステムの健全性や可用性を内部的に認識しません。分散システムの健全性を監視し、ストレージのステータスに基づいてトラフィックを別のサイトにルーティングするには、ユーザーがグローバルロードバランサー (LB) を設定する必要があります。
  • Geo レプリケーションデプロイメントのステータスを確認するには、/health/endtoend チェックポイントを使用する必要があります。このチェックポイントは全体的な健全性の監視に使用されます。/health/endtoend エンドポイントを使用してリダイレクトを手動で設定する必要があります。/health/instance エンドポイントは、ローカルインスタンスの健全性のみをチェックします。
  • 1 つのサイトのオブジェクトストレージシステムが利用できなくなった場合に、残りのサイトの残りのストレージシステム (複数可) に自動的にリダイレクトされません。
  • Geo レプリケーションは非同期です。サイトが完全に失われると、そのサイトのオブジェクトストレージシステムに保存されていても、障害発生時に残りのサイトに複製されていないデータが失われます。
  • 単一のデータベース、つまりすべてのメタデータと Red Hat Quay 設定がすべてのリージョンで共有されます。

    Geo レプリケーションはデータベースをレプリケートしません。障害が発生すると、Geo レプリケーションが有効になっている Red Hat Quay は別のデータベースにフェイルオーバーしません。

  • 1 つの Redis キャッシュは Red Hat Quay のセットアップ全体で共有され、すべての Red Hat Quay Pod からアクセスできる必要があります。
  • ストレージバックエンド以外のすべてのリージョンで同じ設定を使用する必要があります。これは、QUAY_DISTRIBUTED_STORAGE_PREFERENCE 環境変数を使用して明示的に設定できます。
  • Geo レプリケーションでは、各リージョンにオブジェクトストレージが必要です。ローカルストレージでは機能しません。
  • 各リージョンは、ネットワークパスを必要とする各リージョン内のすべてのストレージエンジンにアクセスできる必要があります。
  • また、ストレージプロキシーオプションを使用することもできます。
  • ストレージバックエンド全体 (たとえば、すべての Blob) がレプリケートされます。対照的に、リポジトリーミラーリングはリポジトリーまたはイメージに限定できます。
  • すべての Red Hat Quay インスタンスは、通常はロードバランサーを介して同じエントリーポイントを共有する必要があります。
  • すべての Red Hat Quay インスタンスは、共通の設定ファイル内で定義されているため、スーパーユーザーの同じセットが含まれる必要があります。
  • Geo レプリケーションでは、Clair 設定を unmanaged に設定する必要があります。アンマネージド Clair データベースにより、Red Hat Quay は geo-replicated environment で作業できます。この環境では、Red Hat Quay Operator の複数のインスタンスが同じデータベースと通信する必要があります。詳細は、Clair の詳細設定 を参照してください。
  • Geo レプリケーションには SSL/TLS 証明書とキーが必要です。詳細は、「Geo-Replication には SSL/TLS 証明書とキーが必要」を参照してください。詳細は、SSL/TLS 証明書を使用した概念実証のデプロイメント を参照してください。

上記の要件を満たすことができない場合は、代わりに 2 つ以上の異なる Red Hat Quay のデプロイメントを使用し、リポジトリーミラーリング機能を利用する必要があります。

6.2.3. スタンドアロン Red Hat Quay を使用した Geo レプリケーション

次の図では、Red Hat Quay が 2 つの別々のリージョンでスタンドアロンで実行されており、共通のデータベースと共通の Redis インスタンスが使用されています。ローカライズされたイメージストレージは各リージョンで提供され、最も近くにある利用可能なストレージエンジンからイメージプルが提供されます。コンテナーイメージのプッシュは、Red Hat Quay インスタンスの優先ストレージエンジンに書き込まれ、バックグラウンドで他のストレージエンジンに複製されます。

注記

1 つのクラスター (たとえば、US クラスター) で Clair に障害が発生した場合、米国のユーザーには Red Hat Quay で 2 番目のクラスター (EU) の脆弱性レポートが表示されません。これは、すべての Clair インスタンスの状態が同じであるためです。Clair に障害が発生した場合、通常はクラスター内の問題が原因です。

Geo レプリケーションのアーキテクチャー

Geo-replication

6.2.4. Red Hat Quay Operator を使用した Geo レプリケーション

Geo-replication architecture

上記の例では、Red Hat Quay Operator は、共通のデータベースと共通の Redis インスタンスを使用して、2 つの別々のリージョンにデプロイされています。ローカライズされたイメージストレージは各リージョンで提供され、最も近くにある利用可能なストレージエンジンからイメージプルが提供されます。コンテナーイメージのプッシュは、Quay インスタンスの推奨ストレージエンジンに書き込まれ、次にバックグラウンドで他のストレージエンジンに複製されます。

Operator は現在、Clair セキュリティースキャナーとそのデータベースを別々に管理しているため、Geo レプリケーションの設定を活用して、Clair データベースを管理しないようにできます。代わりに、外部共有データベースが使用されます。Red Hat Quay と Clair は、PostgreSQL のいくつかのプロバイダーとベンダーをサポートします。これらは Red Hat Quay 3.x test matrix にあります。さらに、Operator は、デプロイメントに挿入できるカスタム Clair 設定もサポートします。これにより、ユーザーは外部データベースの接続認証情報を使用して Clair を設定できます。

6.2.5. Geo レプリケーションのための複合ストレージ

Red Hat Quay の Geo レプリケーションは、異なる複数のレプリケーションターゲットの使用をサポートしています。たとえば、パブリッククラウドの AWS S3 ストレージとオンプレミスの Ceph ストレージを使用します。これは、すべての Red Hat Quay Pod とクラスターノードからすべてのストレージバックエンドへのアクセスを許可するという重要な要件を複雑にします。そのため、以下を使用することを推奨します。

  • 内部ストレージの可視性を防ぐための VPN、または
  • Red Hat Quay が使用する特定のバケットへのアクセスのみを許可するトークンペア

これにより、Red Hat Quay のパブリッククラウドインスタンスがオンプレミスのストレージにアクセスできるようになりますが、ネットワークは暗号化され、保護され、ACL を使用するため、セキュリティー要件が満たされます。

これらのセキュリティー対策を実施できない場合は、2 つの異なる Red Hat Quay レジストリーをデプロイし、Geo レプリケーションの代わりにリポジトリーミラーリングを使用することが推奨されます。

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