第13章 コンテンツ管理の最終処理
コンテンツ管理は Red Hat Satellite 6 の機能の一部に過ぎません。Red Hat Satellite 6 ではシステムのプロビジョニングやシステム管理、カプセル制御、モニタリング、およびレポーティングなどの機能が提供されます。ただしコンテンツ管理は、Red Hat Satellite 6 エコシステムの初期段階として機能します。本章では、本ガイドでここまで説明したコンテンツ管理についておさらいし、これが他の Red Hat Satellite 6 の機能に及ぼす影響を説明します。
13.1. シナリオにおける目的の完了
本書では、ACME という架空の企業におけるエンドツーエンドのシナリオで、以下の目的を達成する方法を示してきました。
- Red Hat サブスクリプションの管理
- サブスクリプションマニフェストを使用して Red Hat Satellite 6 内の Red Hat コンテンツにアクセスします。サブスクリプションマニフェストを生成し、カスタマーポータルからこれをダウンロードして、Satellite Server 上の組織にインポートします。これで Satellite 環境から RPM、キックスタートコンテンツ、ISO、および Red Hat の Content Delivery Network からのコンテナーイメージにアクセスできるようになります。
- Definitive Media Library (DML) の作成
- コンテンツ管理は、DML の作成が基本となります。DML は、コンテンツの全マスターコピー用の中央ライブラリーとして機能します。外部ソースのコンテンツを Red Hat Satellite 6 に同期して DML を形成します。この外部ソースには、Red Hat のソースやカスタムソースも含まれます。また、同期プランを使用して DML を最新に保ちます。
- 異なるコンテンツタイプの管理
- 本書では、RPM ファイルや Puppet モジュール、コンテナーイメージなどの異なるタイプのコンテンツを管理する例を説明しました。
- アプリケーションライフサイクルの作成
- アプリケーションライフサイクルは、コンテンツ管理の核となる概念です。組織の実稼働サイクルをベースに、アプリケーションライフサイクル内に環境を作成します。次に、コンテンツをフィルタリングするコンテンツビューを定義し、作成されるリポジトリーを公開して、それらをアプリケーションライフサイクル内の環境にプロモートします。アクティベーションキーを使用してシステムを特定の環境に登録します。
- エラータの管理
- Red Hat Satellite 6 のツールを使用してエラータを確認し、これを登録済みのシステムに適用します。各エラータには、該当システムにリモートでインストールすることが可能な関連パッケージのセットが含まれています。
- コンテナーイメージの管理
- Satellite Server がコンテナーイメージのレジストリーとして機能するようにします。Red Hat などのソースからのコンテナーイメージを同期し、コンテンツビューを使用してそれらを管理し、公開します。
13.2. システムのプロビジョニング
本ガイドのシナリオにおける Satellite Server には、この時点でアプリケーションライフサイクルで管理されているコンテンツが含まれています。これで、特定の環境にシステムをプロビジョニングすることができるようになりました。ここからベアメタルシステムをプロビジョニングする方法を説明していきます。
Capsule からシステムをプロビジョニングした場合は、Capsule に割り当てたコンテンツビューに、プロビジョニングした Red Hat Enterprise Linux バージョンに対するキックスタートリポジトリーが含まれる必要があります。
13.2.1. キックスタートリポジトリーをインストールメディアとして使用
Satellite には、ホストのインストールメディアとして使用できるキックスタートリポジトリーのセットが含まれます。
キックスタートリポジトリーをインストールメディアとして使用するには
- 同期したキックスタートリポジトリーをインストールメディアとして既存のコンテンツビューに追加するか、コンテンツビューを新たに作成してキックスタートリポジトリーを追加します。
- キックスタートリポジトリーを追加した新しいバージョンのコンテンツビューを公開し、必要なライフサイクル環境にプロモートします。詳細は「7章コンテンツビューの管理」を参照してください。
キックスタートリポジトリーをインストールメディアとして使用するホストを作成します。
- ホスト > すべてのホスト に移動し、ホストの作成 をクリックします。
- ライフサイクル環境 一覧から、対応するライフサイクル環境を選択します。
- コンテンツビュー 一覧から、対応するコンテンツビューを選択します。
- コンテンツソース 一覧から、対応するコンテンツソースを選択します。
- オペレーティングシステム タブに移動して、対応するアーキテクチャーおよびオペレーティングシステムに移動します。
- 残りの必須フィールドをすべて入力し、送信 をクリックします。
キックスタートツリーの表示
キックスタートツリーを表示するには、以下のコマンドを入力します。
# hammer medium list --organization "your_organization"
13.2.2. 環境への登録
キックスタートプロセスの一部として、Satellite Server は、プロビジョニングテンプレートおよびスニペットのセットを使用して、キックスタートファイルを作成します。subscription_manager_registration
スニペットは登録プロセスを制御し、主に以下の 2 つの機能があります。
- プロビジョニング時に選択するアクティベーションキーを使用して、プロビジョニングシステムを Satellite Server に登録します。
-
Satellite Server がシステムと接続するのに使用する
katello-agent
をインストールします。キックスタートのプロビジョニングテンプレートのほとんどのデフォルトには、システムを登録するこのスニペットが含まれます。
Web UI をご利用の場合
ホスト > プロビジョニングテンプレート に移動し、subscription_manager_registration
スニペットをクリックしてそれを表示します。
CLI をご利用の場合
以下のコマンドを実行して、subscription_manager_registration
スニペットを表示します。
# hammer template dump --name subscription_manager_registration
キックスタートテンプレートを作成した場合は、以下の行をテンプレートに使用して、このスニペットを参照します。
<%= snippet "subscription_manager_registration" %>
13.2.3. 新規システムのプロビジョニング
新規システムの作成時には、コンテンツ管理設定から以下の点を選択します。
- アプリケーションライフサイクルの環境
- その環境におけるコンテンツビュー
- 選択した環境からの Puppet クラス
- 使用するインストールメディア
新規ホストのこれらの点は、プロビジョニング中にインストールされるパッケージや登録に使用するアクティベーションキー、更新用のリポジトリー、設定中にシステムに適用する Puppet モジュールとそのクラスに影響を与えます。また、ネットワーク情報、パーティションテーブル、カプセル、プロビジョニングテンプレートで変数として使用されるシステム固有のパラメーターなど、ホストの他の点も指定する必要があります。ホストを作成してプロビジョニングプロセスを開始する方法は『ホストの管理』の「ホストの作成」セクションを参照してください。