第2章 組織の管理
組織は、所有者、目的、コンテンツ、セキュリティーレベルなどに基づいて Red Hat Satellite 6 リソースを論理グループに分割します。Red Hat Satellite 6 では複数の組織を作成および管理し、Red Hat サブスクリプションを分割して、各個別組織に割り当てることができます。これにより、1 つの管理システムで複数の個別組織のコンテンツを管理できるようになります。以下に、組織管理の例をいくつか示します。
- 1 つの組織
- 単純なシステム管理チェーンを持つ小規模な会社。この場合は、会社に対して組織を 1 つ作成し、コンテンツをその組織に割り当てます。
- 複数の組織
- 複数の小規模な事業単位を所有する大規模な会社 (たとえば、独立したシステム管理およびソフトウェア開発グループがある会社)。この場合は、会社と会社が所有する各事業単位に対して組織を作成します。これにより、それぞれのシステムインフラストラクチャーを分けることができます。各組織に、それぞれのニーズに基づいてコンテンツを割り当てます。
- 外部組織
- 他の組織の外部システムを管理する会社 (たとえば、クラウドコンピューティングと Web ホスティングを顧客に提供する会社)。この場合は、会社の独自のシステムインフラストラクチャーの組織に加え、外部の各会社に対して組織を作ることが考えられます。必要に応じて、各組織にコンテンツを割り当てます。
Red Hat Satellite 6 のデフォルトのインストールでは、Default_Organization と呼ばれるデフォルトの組織が提供されます。
新しいユーザーにデフォルトの組織が割り当てられていないと、そのユーザーのアクセスは制限されます。ユーザーにシステムの権限を付与するには、ユーザーをデフォルトの組織に割り当てた後にログアウトし、再度ログインします。
2.1. 組織の作成
Web UI をご利用の場合
- 管理 > 組織 に移動します。
- 新規組織 をクリックします。
組織の基本的な詳細情報を指定します。
- 名前: プレーンテキスト形式の組織名。
- ラベル - 組織の一意な ID。これは、コンテンツストレージ用ディレクトリーなどの特定のアセットを作成およびマップする場合に使用されます。文字、数字、アンダースコア、およびダッシュを使用し、スペースは使用しないでください。
- 説明: プレーンテキスト形式の組織の説明 (オプション)。
送信 をクリックします。
組織が割り当てられていないホストがある場合には、ホストの選択 タブにリダイレクトされます。組織に割り当てるホスト 3 種類から選択します。
- Assign All (すべてを割り当て) を選択して、組織が割り当てられていないホストすべてを割り当てます。
- 手動割り当て をクリックして、組織に割り当てるホストを選択します。
- Proceed to Edit (編集に進む) を選択して、組織を割り当てずに Edit Properties (プロパティーの編集) ページに移動します。
- ホストに組織が割り当てられていない場合は、編集 ページに移動しますので、ここでインフラストラクチャーリソースを組織に割り当てることができます。このインフラストラクチャーリソースには、ネットワークリソース、インストールメディア、キックスタートテンプレートなどのパラメーターが含まれます。このページには、管理 > 組織 に移動し、編集する組織を選択するといつでも戻ることができます。
- 組織の作成後に、送信 をクリックします。
CLI をご利用の場合
以下のコマンドを入力して組織を作成します。
# hammer organization create \ --name "your_organization_name" \ --label "your_organization_label \ --description "your_organization_description"
2.2. 組織コンテキストの設定
ホストに使用する組織や関連するリソースを定義する組織のコンテキスト
Web UI をご利用の場合
組織メニューは、Satellite Web UI の左上にあるメニューバーの最初のメニュー項目です。現在の組織を選択していない場合には、メニューには 任意の組織 と表示されます。任意の組織 ボタンをクリックして、使用する組織を選択します。
CLI をご利用の場合
CLI を使用する場合は、オプションとして --organization "your_organization_name"
または --organization-label "your_organization_label"
を追加できます。以下に例を示します。
# hammer subscription list --organization "Default_Organization"
このコマンドは、Default_Organization に割り当てられたサブスクリプションを出力します。
2.3. 組織のデバッグ証明書の作成
組織のデバッグ証明書の新規作成:
- 管理 > 組織 に移動します。
- デバッグ証明書を生成する組織を選択します。
- 生成してダウンロード をクリックします。これにより、デバッグ証明書が生成されます。
- 証明書ファイルを安全な場所に保存します。
デバッグ証明書が組織内にダウンロードされていない場合は、プロビジョニングテンプレートのダウンロード時に自動的に生成されます。
2.4. 組織のデバッグ証明書の使用
組織のリポジトリーコンテンツは、その組織のデバッグ証明書を持っている場合に、ブラウザーまたは API を使用して表示できます。前のセクションで、X.509 形式の証明書の作成およびダウンロードを説明しました。ブラウザーを使用する場合は、最初に X.509 証明書を、ブラウザーがサポートする形式に変換し、次にその証明書をインポートする必要があります。curl
ユーティリティーでは、別のファイルへの証明書およびキーの抽出のみを行います。
Firefox での組織のデバッグ証明書の使用:
- 「組織のデバッグ証明書の作成」に記載されている手順で、組織の証明書を作成およびダウンロードします。
たとえば、デフォルトの組織の X.509 証明書を開きます。
$ vi 'Default Organization-key-cert.pem'
-
このファイルの
-----BEGIN RSA PRIVATE KEY-----
から-----END RSA PRIVATE KEY-----
までを、key.pem
ファイルにコピーします。 -
このファイルの
-----BEGIN CERTIFICATE-----
から-----END CERTIFICATE-----
までを、cert.pem
ファイルにコピーします。 以下のようにコマンドを入力して PKCS12 形式の証明書を作成し、パスワードまたはフレーズが要求された場合はそれを入力します。
$ openssl pkcs12 -keypbe PBE-SHA1-3DES -certpbe PBE-SHA1-3DES -export -in cert.pem -inkey key.pem -out organization_label.pfx -name organization_name Enter Export Password: Verifying - Enter Export Password:
-
設定タブを使用して、作成した
pfx
ファイルをブラウザーにインポートします。編集 > 設定 > 詳細タブ に移動します。証明書 ビューの 証明書の表示 を選択して、証明書マネージャー を開きます。ユーザーの証明書 タブで、インポート をクリックし、ロードするpfx
ファイルを選択します。証明書の作成時に、パスワードまたはフレーズを入力するように求められます。 ブラウザーのアドレスバーに以下の形式の URL を入力し、リポジトリーの参照を開始します。
http://satellite.example.com/pulp/repos/organization_label
Pulp は組織ラベルを使用するため、URL でも組織ラベルを使用する必要があります。
curl での組織のデバッグ証明書の使用:
- 「組織のデバッグ証明書の作成」に記載されている手順で、組織の証明書を作成およびダウンロードします。
たとえば、デフォルトの組織の X.509 証明書を開きます。
$ vi 'Default Organization-key-cert.pem'
-
このファイルの
-----BEGIN RSA PRIVATE KEY-----
から-----END RSA PRIVATE KEY-----
までを、key.pem
ファイルにコピーします。 -
このファイルの
-----BEGIN CERTIFICATE-----
から-----END CERTIFICATE-----
までを、cert.pem
ファイルにコピーします。 - リポジトリーの有効な URL を確認します。前の手順で説明した参照方法を使用するか、Web UI を使用します。たとえば、Web UI を使用して コンテンツ > 製品 に移動し、製品名を選択します。リポジトリー タブでリポジトリー名を選択し、公開 エントリーを探します。
curl
を使用してリポジトリーにアクセスするには、以下のようなコマンドを入力します。$ curl -k --cert cert.pem --key key.pem http://satellite.example.com/pulp/repos/Default_Organization/Library/content/dist/rhel/server/7/7Server/x86_64/sat-tools/6.4/os/
cert.pem
とkey.pem
へのパスが適切な絶対パスであることを確認します。間違っているとコマンドが失敗し、メッセージも表示されません。
2.5. 組織の削除
組織は、ライフサイクル環境またはホストグループに関連づけられていない場合に削除できます。削除する組織にライフサイクル環境またはホストグループが関連付けられている場合は、管理 > 組織> に移動して関連の組織をクリックします。インストール中に作成されたデフォルトの組織は、Satellite 環境で関連付けられていないホストへのプレースホルダーであるため、削除することは推奨されません。環境には常に 1 つ以上の組織が必要です。
Web UI をご利用の場合
- 管理 > 組織 に移動します。
- 削除する組織の名前の右側にあるリストから 削除 を選択します。
- OK をクリックして、組織を削除します。
CLI をご利用の場合
以下のコマンドを入力して組織を削除します。
# hammer organization delete --organization "your_organization_name"