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第10章 パッケージとドライバーに関する変更点

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収納されているパッケージとシステムドライバー群は Red Hat Enterprise Linux のリリースの度に定期的な変更を受けます。 変更が行われる理由として、「新しい機能を提供するためオペレーティングシステムにパッケージやドライバーが追加または更新される」、「パッケージやドライバーが旧式で無効なハードウェア対応となるため削除される」、「パッケージやドライバーのアップストリームプロジェクトが維持されなくなる」、「ハードウェアベンダーによるハードウェア固有のパッケージやドライバーの対応が行われなくなるため削除される」などがあげられます。
本章では、Red Hat Enterprise Linux 6 で更新されたもの、 新規となるもの、 また非推奨となり廃止予定になったもの、実際に廃止されたもの (削除) について記載しています。

10.1. システム設定ツールの変更点

10.1.1. system-config-bind

system-config-bind ツールは非推奨となっているため削除され、代替ツールはありません。Red Hat Enterprise Linux 6 では、ネームサーバーの設定を編集する場合は named.conf ファイルから手作業で行うことをお勧めします。BIND に関する総合的なガイドは bind パッケージの一部として /usr/share/doc/bind-x.y.z 内にインストールされます。また、設定例については /usr/share/doc/bind-x.y.z/sample ディレクトリーをご覧ください。ただし、旧バージョンの system-config-bind ツールは標準の BIND 設定を生成するため、ご使用の環境によっては古い設定ファイルを正しい場所に移動して十分なテストを実行すればRed Hat Enterprise Linux 6 にある BIND のバージョンに移行することも可能です。

10.1.2. system-config-boot

system-config-boot ツールでは GRUB ブートローダーのグラフィカルな設定が可能でした。Red Hat Enterprise Linux 6 では、グラフィカルな設定は非推奨となっているため削除され、代替となるものはありません。多くのユーザーにとってはデフォルトの GRUB 設定で十分なはずですが、手作業による変更が必要な場合には /boot/grub ディレクトリー内の grub.conf ファイルに起動に関する設定がありますので、ここで変更することができます。Red Hat Enterprise Linux 6 では GRUB レガシーとも呼ばれる GRUB のバージョン 1 を使用しています。GRUB の設定に関する詳細については GRUB のホームページ http://www.gnu.org/software/grub/ をご覧ください。

10.1.3. system-config-cluster

system-config-cluster ツールは非推奨となっているため削除され、 代替のツールはありません。 ricciluci (Conga プロジェクトのパッケージ) の使用をお薦めします。

10.1.4. system-config-display

system-config-display ツールは、 対応デスクトップとなる GNOME および KDE の両方で XRandr 設定ツールに入れ替わっています。 ディスプレイ管理は以下のメニューオプションのいずれかで動的に行われるようになるため、 デフォルトの X サーバーインストール内には明示的な設定ファイル (xorg.conf) はありません。
GNOME: システム 設定 ディスプレイ (または system-config-display コマンド)
KDE: システムの設定 コンピュータ管理 ディスプレイ
ディスプレイ設定にコマンドラインユーティリティ (xrandr) を使用することもできます。詳細については xrandr --help コマンドまたは man xrandr コマンドで man ページを参照してください。

10.1.5. system-config-httpd

system-config-httpd ツールは非推奨となっているため削除され、代替となるツールはありません。Web サーバーの設定は手作業で行ってください。設定は /etc/httpd ディレクトリで行うことができます。主要設定ファイルは /etc/httpd/conf/httpd.conf にあります。このファイル内には、ほとんどのサーバー設定に関して詳細な説明が記載されています。ただし、必要であれば Apache Web サーバーに関して詳細に記載されているドキュメントが httpd-manual パッケージ内に収納されています。

10.1.6. system-config-lvm

system-config-lvm ツールは非推奨となっています。論理ボリュームの管理については gnome-disk-util または lvm のツールで行うことができます。

10.1.7. system-config-netboot

system-config-netboot ツールは非推奨となっているため削除され、代替のツールはありません。Red Hat Network Satellite の使用をお薦めします。

10.1.8. system-config-nfs

system-config-nfs ツールは非推奨となっているため削除され、代替のツールはありません。NFS サーバーの設定は手作業で行う必要があります。

10.1.9. system-config-rootpassword

system-config-rootpassword ツールは、 ユーザーの管理と設定を行うことができるパワフルなツール system-config-users ツールに入れ替わっています。 root パスワードは system-config-users ツール内で設定できます。 個人設定ダイアログ内の 「システムのユーザーとグループを隠す」 オプションのチェックを外します。 root ユーザーが主要一覧に表示されるようになり、 他のユーザーと同じようにパスワードを変更することができるようになります。

10.1.10. system-config-samba

system-config-samba ツールは非推奨となるため削除され、代替のツールはありません。SMB サーバーの設定は手作業で行う必要があります。

10.1.11. system-config-securitylevel

system-config-securitylevel ツールは削除されています。ファイアーウォールの設定には system-config-firewall ツールの使用をお勧めします。

10.1.12. system-config-soundcard

system-config-soundcard ツールは削除されています。 サウンドカードの検出と設定は自動的に行われます。

10.1.13. system-config-switchmail

system-config-switchmail ツールは非推奨となっているため削除され、代替のツールはありません。Red Hat Enterprise Linux 6 では Postfix がデフォルトの MTA (メール転送エージェント) で推奨となります。別の MTA を使用している場合は、その MTA 固有の設定ファイルと技術に応じた設定を手作業で行う必要があります。

10.1.14. Preupgrade Assistant

Preupgrade Assistant (preupg) は、使用中のシステムに変更を加える前に、Red Hat Enterprise Linux 6 から Red Hat Enterprise Linux 7 へのアップグレード時に直面する可能性のある問題をチェックします。これにより、実際のアップグレードプロセス開始前に、Red Hat Enterprise Linux 7 へのアップグレードが成功する可能性を評価することができます。
Preupgrade Assistant は、パッケージの削除や互換性のない古い機能、名前の変更、設定ファイルの互換性欠如など、システムにインプレースアップグレードを行った場合に考えられる限界を評価し、以下のアイテムを提供します。
  • 検出された移行問題に対する解決案を含むシステム分析レポート
  • システムのクローンを作成する際に利用できるデータ、インプレースアップグレードに適していない場合
  • インプレースアップグレードの終了後、より複雑な問題を解決するためのポストアップグレードスクリプト
Preupgrade Assistant によって保存される情報およびログ記録以外、システムに一切の変更は加えられません。
Preupgrade Assistant の取得および使用に関する詳細な指示は、https://access.redhat.com/site/node/637583/ を参照してください。

10.1.15. Red Hat Upgrade Tool

新しい Red Hat Upgrade ToolPreupgrade Assistant の後に使用され、アップグレードプロセスの以下の 3 つのフェーズを処理します。
  • Red Hat Upgrade Tool が、ディスクまたはサーバーからパッケージとアップグレードイメージを取り込み、システムをアップグレード用に準備して再起動します。
  • システムが再起動後にアップグレードパッケージが利用可能であることを検出し、systemd および yum パッケージを使用してシステム上のパッケージをアップグレードします。
  • Red Hat Upgrade Tool がアップグレード後にクリーンアップを実行し、アップグレードされたオペレーティングシステムにシステムを再起動します。
ネットワークベースおよびディスクベースの両方のアップグレードがサポートされています。システムアップグレードの詳細な指示については、https://access.redhat.com/site/node/637583/ を参照してください。
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