4.5. インフラストラクチャーサービス
chrony
がバージョン 4.3 にリベースされました
chrony
スイートがバージョン 4.3 に更新されました。バージョン 4.2 からの主な機能強化は、以下のとおりです。
-
ネットワークタイムプロトコル (NTP) 測定の長期分位数ベースのフィルタリングを追加しました。この機能を有効にするには、
maxdelayquant
オプションをpool
、server
、またはpeer
ディレクティブに追加します。 -
ソースの
chronyd
選択に関する詳細情報を提供するために、選択ログを追加しました。選択ログを有効にするには、log
ディレクティブにselection
オプションを追加します。 - ハードウェアタイムスタンプおよび Pulse-Per-Second ハードウェアクロック (PHC) 基準クロックを使用する場合の同期の安定性が向上しました。
- 温度補償水晶発振器 (TCXO)、オーブン制御水晶発振器 (OCXO)、原子時計などのフリーランニング安定クロックを使用したシステムクロック安定化のサポートが追加されました。
- 最大ポーリングレートが 1 秒あたり 128 メッセージに増えました。
frr
がバージョン 8.3.1 にリベースされました。
動的ルーティングスタックを管理するための frr
パッケージがバージョン 8.3.1 に更新されました。バージョン 8.2.2 への主な変更点は、以下のとおりです。
ボーダーゲートウェイプロトコル (BGP) とやりとりするための新しいコマンドセットを追加しました。
-
BGP ルートの Autonomous System (AS) パス属性を新しい値に置き換える
set as-path replace
コマンド。 -
BGP ルートマップの設定時に、特定の BGP ピアまたはグループを照合するには、
match peer
コマンドを使用します。 -
ead-es-frag evi-limit
コマンドを使用して、EVPN で一定期間内に送信できる EVI フラグメントごとのイーサネット AD の数に制限を設定します。 -
match evpn route-type
コマンドを使用すると、ルートターゲット、ルート識別子、または MAC/IP ルートなど、特定のタイプの EVPN ルートに対して特定のアクションを実行できます。
-
BGP ルートの Autonomous System (AS) パス属性を新しい値に置き換える
-
FRR デーモンとやりとりするための
show thread timers
コマンドが VTYSH コマンドラインインターフェイスに追加されました。 -
OSPF プロトコルを通じて現在到達可能なルーターのリストを表示する
show ip ospf reachable-routers
コマンドが追加されました。 Protocol Independent Multicast (PIM) デーモンとやりとりするための新しいコマンドが追加されました。
-
debug igmp trace detail
コマンドを使用すると、詳細なトレースによるインターネットグループ管理プロトコル (IGMP) メッセージのデバッグが可能になります。 -
インターフェイスを passive と設定し、PIM メッセージを送信しないようにする
ip pim passive
コマンド
-
-
ECMP、EVPN、MPLS ステータスなどの
show zebra
コマンドの新しい出力が追加されました。 -
カーネルの
mroute
テーブルからマルチキャスト関連情報を表示するためのshow ip nht mrib
コマンドが ZEBRA コンポーネントに追加されました。
vsftpd
がバージョン 3.0.5 にリベースされました。
Very Secure FTP Daemon (vsftpd
) はホスト間でファイルを転送するセキュアな方法を提供します。vsftpd
パッケージがバージョン 3.0.5 に更新されました。以下の SSL モダナイゼーションを含む変更および機能強化がおこなわれています。
-
デフォルトでは、
vsftpd
ユーティリティーには、セキュアな接続のために、TLS バージョン 1.2 以降の使用が必要になりました。 -
vsftpd
ユーティリティーが最新の FileZilla クライアントと互換性を持つようになりました。
frr
パッケージには、ターゲットを絞った SELinux ポリシーが含まれるようになりました。
ダイナミックルーティングスタックを管理するための frr
パッケージの急速な開発により、新機能とアクセスベクターキャッシュ (AVC) の問題が頻繁に発生しました。この機能強化により、SELinux ルールが FRR とともにパッケージ化され、問題に迅速に対処できるようになりました。SELinux は、必須のアクセス制御ポリシーを強制することで、パッケージに追加の保護レベルを追加します。
powertop
がバージョン 2.15 にリベースされました。
エネルギー効率を向上させる powertop
パッケージがバージョン 2.15 に更新されました。注目すべき変更点と機能拡張は次のとおりです。
-
powertop
ツールの安定性を向上させるために、いくつかの Valgrind エラーとバッファーオーバーランの可能性が修正されました。 - Ryzen プロセッサーおよび Kaby Lake プラットフォームとの互換性が向上しました。
- Lake Field、Alder Lake N、および Raptor Lake プラットフォームのサポートが可能になりました。
- Ice Lake NNPI および Meteor Lake のモバイルおよびデスクトップのサポートを有効にしました。
Bugzilla:2044132
systemd-sysusers
ユーティリティーは、chrony
、dhcp
、radvd
、および quid
パッケージで使用できます。
systemd-sysusers
ユーティリティーは、パッケージのインストール時にシステムユーザーとグループを作成し、パッケージの削除時にそれらを削除します。この機能強化により、次のパッケージのスクリプトレットに systemd-sysusers
ユーティリティーが含まれるようになりました。
-
chrony
-
dhcp
-
radvd
-
squid
Jira:RHELPLAN-136485
周波数同期用の新しい synce4l
パッケージが利用可能になりました。
SyncE (同期イーサネット) は、PTP クロックが物理層で周波数の正確な同期を達成できるようにするハードウェア機能です。SyncE は、特定のネットワークインターフェイスカード (NIC) およびネットワークスイッチでサポートされています。
この機能強化により、SyncE のサポートを提供する新しい synce4l
パッケージが利用できるようになりました。その結果、Telco Radio Access Network (RAN) アプリケーションは、より正確な時刻同期により、より効率的な通信を実現できるようになりました。
Bugzilla:2143264
tuned
がバージョン 2.20.0 にリベースされました。
アプリケーションとワークロードのパフォーマンスを最適化するための TuneD ユーティリティーがバージョン 2.20.0 に更新されました。バージョン 2.19.0 に対する主な変更点および機能強化は、以下のとおりです。
- API の拡張機能により、実行時にプラグインインスタンス間でデバイスを移動できるようになります。
CPU 関連のパフォーマンス設定を微調整する
plugin_cpu
モジュールには、次の機能強化が導入されています。-
pm_qos_resume_latency_us
機能を使用すると、各 CPU がアイドル状態からアクティブ状態に移行するまでに許可される最大時間を制限できます。 -
TuneD は、さまざまな使用シナリオに基づいてシステムの電源管理を調整するためのスケーリングアルゴリズムを提供する
intel_pstate
スケーリングドライバーのサポートを追加します。
-
- Unix ドメインソケットを通じて TuneD を制御するソケット API がテクノロジープレビューとして利用可能になりました。詳細は、テクノロジープレビューとして利用可能な TuneD 用の Socket API を参照してください。
Bugzilla:2133815、Bugzilla:2113925、Bugzilla:2118786、Bugzilla:2095829