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4.12. OADP 1.3 以降の Data Mover

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4.12.1. OADP 1.3 Data Mover について

OADP 1.3 には、Container Storage Interface (CSI) ボリュームのスナップショットをリモートオブジェクトストアに移動するために使用できる、ビルトイン Data Mover が含まれています。ビルトイン Data Mover を使用すると、クラスターの障害、誤削除、または破損が発生した場合に、リモートオブジェクトストアからステートフルアプリケーションを復元できます。スナップショットデータを読み取り、統合リポジトリーに書き込むためのアップローダーメカニズムとして Kopia を使用します。

OADP は、以下で CSI スナップショットをサポートします。

  • Red Hat OpenShift Data Foundation
  • Kubernetes Volume Snapshot API をサポートする Container Storage Interface (CSI) ドライバーを使用するその他のクラウドストレージプロバイダー
重要

OADP 1.3 でテクノロジープレビューとして導入された OADP 組み込みの Data Mover が、コンテナー化されたワークロードと仮想マシンのワークロードの両方で完全にサポートされるようになりました。

4.12.1.1. ビルトイン Data Mover の有効化

ビルトイン Data Mover を有効にするには、CSI プラグインを組み込み、DataProtectionApplication カスタムリソース (CR) でノードエージェントを有効にする必要があります。ノードエージェントは、データ移動モジュールをホストする Kubernetes デーモンセットです。これには、Data Mover のコントローラー、アップローダー、リポジトリーが含まれます。

DataProtectionApplication マニフェストの例

apiVersion: oadp.openshift.io/v1alpha1
kind: DataProtectionApplication
metadata:
  name: dpa-sample
spec:
  configuration:
    nodeAgent:
      enable: true 1
      uploaderType: kopia 2
    velero:
      defaultPlugins:
      - openshift
      - aws
      - csi 3
      defaultSnapshotMoveData: true
      defaultVolumesToFSBackup: 4
      featureFlags:
      - EnableCSI
# ...

1
ノードエージェントを有効にするフラグ。
2
アップローダーの種類。使用できる値は、restic または kopia です。ビルトイン Data Mover は、uploaderType フィールドの値に関係なく、デフォルトのアップローダーメカニズムとして Kopia を使用します。
3
デフォルトプラグインのリストに含まれる CSI プラグイン。
4
OADP 1.3.1 以降では、fs-backup をオプトアウトするボリュームにのみ Data Mover を使用する場合、true に設定します。ボリュームにデフォルトで Data Mover を使用する場合は false に設定します。

4.12.1.2. ビルトイン Data Mover のコントローラーとカスタムリソース定義 (CRD)

ビルトイン Data Mover 機能には、バックアップと復元を管理するための CRD として定義された 3 つの新しい API オブジェクトが導入されています。

  • DataDownload: ボリュームスナップショットのデータダウンロードを表します。CSI プラグインは、復元するボリュームごとに 1 つの DataDownload オブジェクトを作成します。DataDownload CR には、ターゲットボリューム、指定された Data Mover、現在のデータダウンロードの進行状況、指定されたバックアップリポジトリー、プロセス完了後の現在のデータダウンロードの結果に関する情報が含まれます。
  • DataUpload: ボリュームスナップショットのデータアップロードを表します。CSI プラグインは、CSI スナップショットごとに 1 つの DataUpload オブジェクトを作成します。DataUpload CR には、指定されたスナップショット、指定された Data Mover、指定されたバックアップリポジトリー、現在のデータアップロードの進行状況、およびプロセス完了後の現在のデータアップロードの結果に関する情報が含まれます。
  • BackupRepository: バックアップリポジトリーのライフサイクルを表し、管理します。OADP は、namespace の最初の CSI スナップショットバックアップまたは復元が要求されると、namespace ごとにバックアップリポジトリーを作成します。

4.12.1.3. 増分バックアップのサポートについて

OADP は、コンテナー化されたワークロードと OpenShift Virtualization ワークロードの両方で、block および Filesystem の永続ボリュームの増分バックアップをサポートしています。次の表は、File System Backup (FSB)、Container Storage Interface (CSI)、および CSI Data Mover のサポート状況をまとめたものです。

表4.4 コンテナー化されたワークロードの OADP バックアップのサポートマトリックス
ボリュームモードFSB - ResticFSB - KopiaCSICSI Data Mover

ファイルシステム

S [1]、I [2]

S [1]、I [2]

S [1]

S [1]、I [2]

ブロック

N [3]

N [3]

S [1]

S [1]、I [2]

表4.5 OpenShift Virtualization ワークロードの OADP バックアップのサポートマトリックス
ボリュームモードFSB - ResticFSB - KopiaCSICSI Data Mover

ファイルシステム

N [3]

N [3]

S [1]

S [1]、I [2]

ブロック

N [3]

N [3]

S [1]

S [1]、I [2]

  1. バックアップをサポート
  2. 増分バックアップをサポート
  3. サポート対象外
注記

CSI Data Mover バックアップでは、uploaderType に関係なく Kopia が使用されます。

4.12.2. CSI スナップショットのバックアップおよび復元のデータ移動

OADP 1.3 Data Mover を使用して、永続ボリュームのバックアップと復元を実行できます。

4.12.2.1. CSI スナップショットを使用した永続ボリュームのバックアップ

OADP Data Mover を使用して、Container Storage Interface (CSI) ボリュームのスナップショットをリモートオブジェクトストアにバックアップできます。

前提条件

  • cluster-admin ロールでクラスターにアクセスできる。
  • OADP Operator がインストールされている。
  • CSI プラグインを組み込み、DataProtectionApplication カスタムリソース (CR) でノードエージェントを有効にしている。
  • 別の namespace で実行されている永続ボリュームを持つアプリケーションがある。
  • metadata.labels.velero.io/csi-volumesnapshot-class: "true" のキー/値ペアを VolumeSnapshotClass CR に追加している。

手順

  1. 次の例のように、Backup オブジェクトの YAML ファイルを作成します。

    Backup CR の例

    kind: Backup
    apiVersion: velero.io/v1
    metadata:
      name: backup
      namespace: openshift-adp
    spec:
      csiSnapshotTimeout: 10m0s
      defaultVolumesToFsBackup: 1
      includedNamespaces:
      - mysql-persistent
      itemOperationTimeout: 4h0m0s
      snapshotMoveData: true 2
      storageLocation: default
      ttl: 720h0m0s 3
      volumeSnapshotLocations:
      - dpa-sample-1
    # ...

    1
    fs-backup をオプトアウトするボリュームにのみ Data Mover を使用する場合、true に設定します。ボリュームにデフォルトで Data Mover を使用する場合は false に設定します。
    2
    CSI スナップショットのリモートオブジェクトストレージへの移動を有効にするには、true に設定します。
    3
    ttl フィールドは、作成されたバックアップの保持期間とバックアップされたデータのバックアップを定義します。たとえば、バックアップツールとして Restic を使用している場合、バックアップの有効期限が切れるまで、バックアップされたデータ項目と永続ボリューム(PV)のデータコンテンツが保存されます。ただし、このデータを保存すると、ターゲットのバックアップの場所により多くの領域が使用されます。追加のストレージは、頻繁なバックアップで消費されます。バックアップは、他の期限切れでないバックアップがタイムアウトする前でも作成されます。
    注記

    XFS ファイルシステムを使用してボリュームをフォーマットし、ボリュームの容量が 100% になっている場合は、no space left on device エラーが発生してバックアップが失敗します。以下に例を示します。

    Error: relabel failed /var/lib/kubelet/pods/3ac..34/volumes/ \
    kubernetes.io~csi/pvc-684..12c/mount: lsetxattr /var/lib/kubelet/ \
    pods/3ac..34/volumes/kubernetes.io~csi/pvc-68..2c/mount/data-xfs-103: \
    no space left on device

    このシナリオでは、バックアップが正常に完了するように、ボリュームのサイズを変更するか、ext4 などの別のファイルシステムタイプを使用することを検討してください。

  2. マニフェストを適用します。

    $ oc create -f backup.yaml

    スナップショットの作成が完了すると、DataUpload CR が作成されます。

検証

  • DataUpload CR の status.phase フィールドを監視して、スナップショットデータがリモートオブジェクトストアに正常に転送されたことを確認します。使用される値は、In ProgressCompletedFailed、または Canceled です。オブジェクトストアは、DataProtectionApplication CR の backupLocations スタンザで設定されます。

    • 次のコマンドを実行して、すべての DataUpload オブジェクトのリストを取得します。

      $ oc get datauploads -A

      出力例

      NAMESPACE       NAME                  STATUS      STARTED   BYTES DONE   TOTAL BYTES   STORAGE LOCATION   AGE     NODE
      openshift-adp   backup-test-1-sw76b   Completed   9m47s     108104082    108104082     dpa-sample-1       9m47s   ip-10-0-150-57.us-west-2.compute.internal
      openshift-adp   mongo-block-7dtpf     Completed   14m       1073741824   1073741824    dpa-sample-1       14m     ip-10-0-150-57.us-west-2.compute.internal

    • 次のコマンドを実行して、DataUpload オブジェクトの status.phase フィールドの値を確認します。

      $ oc get datauploads <dataupload_name> -o yaml

      出力例

      apiVersion: velero.io/v2alpha1
      kind: DataUpload
      metadata:
        name: backup-test-1-sw76b
        namespace: openshift-adp
      spec:
        backupStorageLocation: dpa-sample-1
        csiSnapshot:
          snapshotClass: ""
          storageClass: gp3-csi
          volumeSnapshot: velero-mysql-fq8sl
        operationTimeout: 10m0s
        snapshotType: CSI
        sourceNamespace: mysql-persistent
        sourcePVC: mysql
      status:
        completionTimestamp: "2023-11-02T16:57:02Z"
        node: ip-10-0-150-57.us-west-2.compute.internal
        path: /host_pods/15116bac-cc01-4d9b-8ee7-609c3bef6bde/volumes/kubernetes.io~csi/pvc-eead8167-556b-461a-b3ec-441749e291c4/mount
        phase: Completed 1
        progress:
          bytesDone: 108104082
          totalBytes: 108104082
        snapshotID: 8da1c5febf25225f4577ada2aeb9f899
        startTimestamp: "2023-11-02T16:56:22Z"

      1
      これは、スナップショットデータがリモートオブジェクトストアに正常に転送されたことを示しています。

4.12.2.2. CSI ボリュームスナップショットの復元

Restore CR を作成することで、ボリュームスナップショットを復元できます。

注記

OAPD 1.3 のビルトイン Data Mover を使用して、OADP 1.2 から Volsync バックアップを復元することはできません。OADP 1.3 にアップグレードする前に、Restic を使用してすべてのワークロードのファイルシステムバックアップを実行することが推奨されます。

前提条件

  • cluster-admin ロールでクラスターにアクセスできる。
  • データの復元元となる OADP Backup CR がある。

手順

  1. 次の例のように、Restore CR の YAML ファイルを作成します。

    Restore CR の例

    apiVersion: velero.io/v1
    kind: Restore
    metadata:
      name: restore
      namespace: openshift-adp
    spec:
      backupName: <backup>
    # ...

  2. マニフェストを適用します。

    $ oc create -f restore.yaml

    復元が開始されると、DataDownload が作成されます。

検証

  • DataDownload CR の status.phase フィールドをチェックすることで、復元プロセスのステータスを監視できます。使用される値は、In ProgressCompletedFailed、または Canceled です。

    • すべての DataDownload オブジェクトのリストを取得するには、次のコマンドを実行します。

      $ oc get datadownloads -A

      出力例

      NAMESPACE       NAME                   STATUS      STARTED   BYTES DONE   TOTAL BYTES   STORAGE LOCATION   AGE     NODE
      openshift-adp   restore-test-1-sk7lg   Completed   7m11s     108104082    108104082     dpa-sample-1       7m11s   ip-10-0-150-57.us-west-2.compute.internal

    • 次のコマンドを入力して、特定の DataDownload オブジェクトの status.phase フィールドの値を確認します。

      $ oc get datadownloads <datadownload_name> -o yaml

      出力例

      apiVersion: velero.io/v2alpha1
      kind: DataDownload
      metadata:
        name: restore-test-1-sk7lg
        namespace: openshift-adp
      spec:
        backupStorageLocation: dpa-sample-1
        operationTimeout: 10m0s
        snapshotID: 8da1c5febf25225f4577ada2aeb9f899
        sourceNamespace: mysql-persistent
        targetVolume:
          namespace: mysql-persistent
          pv: ""
          pvc: mysql
      status:
        completionTimestamp: "2023-11-02T17:01:24Z"
        node: ip-10-0-150-57.us-west-2.compute.internal
        phase: Completed 1
        progress:
          bytesDone: 108104082
          totalBytes: 108104082
        startTimestamp: "2023-11-02T17:00:52Z"

      1
      CSI スナップショットデータが正常に復元されたことを示します。

4.12.2.3. OADP 1.3 の削除ポリシー

削除ポリシーは、システムからデータを削除するためのルールを決定します。保存期間、データの機密性、コンプライアンス要件などの要素に基づいて、削除をいつどのように行うかを指定します。規制を遵守し、貴重な情報を保護しながら、データの削除を効果的に管理します。

4.12.2.3.1. OADP 1.3 の削除ポリシーガイドライン

OADP 1.3 の次の削除ポリシーガイドラインを確認してください。

  • OADP 1.3.x でいずれかのタイプのバックアップおよびリストア方法を使用する場合は、VolumeSnapshotClass カスタムリソース (CR) の deletionPolicy フィールドを Retain または Delete に設定できます。

4.12.3. Kopia のハッシュ、暗号化、およびスプリッターアルゴリズムのオーバーライド

Data Protection Application (DPA) の特定の環境変数を使用すると、Kopia のハッシュ、暗号化、およびスプリッターアルゴリズムのデフォルト値をオーバーライドできます。

4.12.3.1. Kopia のハッシュ、暗号化、スプリッターアルゴリズムをオーバーライドするように DPA を設定する

OpenShift API for Data Protection (OADP) のオプションを使用すると、ハッシュ、暗号化、スプリッターのデフォルトの Kopia アルゴリズムをオーバーライドして、Kopia のパフォーマンスを向上させたり、パフォーマンスメトリクスを比較したりできます。DPA の spec.configuration.velero.podConfig.env セクションで次の環境変数を設定できます。

  • KOPIA_HASHING_ALGORITHM
  • KOPIA_ENCRYPTION_ALGORITHM
  • KOPIA_SPLITTER_ALGORITHM

前提条件

  • OADP Operator がインストールされている。
  • クラウドプロバイダーから提供された認証情報を使用してシークレットを作成した。

手順

  • 次の例に示すように、ハッシュ、暗号化、およびスプリッター用の環境変数を使用して DPA を設定します。

    DPA の例

    apiVersion: oadp.openshift.io/v1alpha1
    kind: DataProtectionApplication
    #...
    configuration:
      nodeAgent:
        enable: true 1
        uploaderType: kopia 2
      velero:
        defaultPlugins:
        - openshift
        - aws
        - csi 3
        defaultSnapshotMoveData: true
        podConfig:
          env:
            - name: KOPIA_HASHING_ALGORITHM
              value: <hashing_algorithm_name> 4
            - name: KOPIA_ENCRYPTION_ALGORITHM
              value: <encryption_algorithm_name> 5
            - name: KOPIA_SPLITTER_ALGORITHM
              value: <splitter_algorithm_name> 6

    1
    nodeAgent を有効にします。
    2
    uploaderTypekopia に指定します。
    3
    csi プラグインを含めます。
    4
    ハッシュアルゴリズムを指定します。たとえば、BLAKE3-256 です。
    5
    暗号化アルゴリズムを指定します。たとえば、CHACHA20-POLY1305-HMAC-SHA256 です。
    6
    スプリッターアルゴリズムを指定します。たとえば、DYNAMIC-8M-RABINKARP です。

4.12.3.2. Kopia のハッシュ、暗号化、およびスプリッターアルゴリズムのオーバーライドの使用例

この使用例では、ハッシュ、暗号化、スプリッター用の Kopia 環境変数を使用してアプリケーションのバックアップを作成する方法を示します。バックアップは AWS S3 バケットに保存します。その後、Kopia リポジトリーに接続して環境変数を検証します。

前提条件

  • OADP Operator がインストールされている。
  • バックアップの保存場所として AWS S3 バケットが設定されている。
  • クラウドプロバイダーから提供された認証情報を使用してシークレットを作成した。
  • Kopia クライアントがインストールされている。
  • 別の namespace で実行されている永続ボリュームを持つアプリケーションがある。

手順

  1. 次の例に示すように、Data Protection Application (DPA) を設定します。

    apiVersion: oadp.openshift.io/v1alpha1
    kind: DataProtectionApplication
    metadata:
    name: <dpa_name> 1
    namespace: openshift-adp
    spec:
    backupLocations:
    - name: aws
      velero:
        config:
          profile: default
          region: <region_name> 2
        credential:
          key: cloud
          name: cloud-credentials 3
        default: true
        objectStorage:
          bucket: <bucket_name> 4
          prefix: velero
        provider: aws
    configuration:
      nodeAgent:
        enable: true
        uploaderType: kopia
      velero:
        defaultPlugins:
        - openshift
        - aws
        - csi 5
        defaultSnapshotMoveData: true
        podConfig:
          env:
            - name: KOPIA_HASHING_ALGORITHM
              value: BLAKE3-256 6
            - name: KOPIA_ENCRYPTION_ALGORITHM
              value: CHACHA20-POLY1305-HMAC-SHA256 7
            - name: KOPIA_SPLITTER_ALGORITHM
              value: DYNAMIC-8M-RABINKARP 8
    1
    DPA の名前を指定します。
    2
    バックアップの保存場所のリージョンを指定します。
    3
    デフォルトの Secret オブジェクトの名前を指定します。
    4
    AWS S3 バケット名を指定します。
    5
    csi プラグインを含めます。
    6
    ハッシュアルゴリズムを BLAKE3-256 に指定します。
    7
    暗号化アルゴリズムを CHACHA20-POLY1305-HMAC-SHA256 に指定します。
    8
    スプリッターアルゴリズムを DYNAMIC-8M-RABINKARP に指定します。
  2. 次のコマンドを実行して DPA を作成します。

    $ oc create -f <dpa_file_name> 1
    1
    設定した DPA のファイル名を指定します。
  3. 次のコマンドを実行して、DPA が調整されたことを確認します。

    $ oc get dpa -o yaml
  4. 次の例に示すように、バックアップ CR を作成します。

    バックアップ CR の例

    apiVersion: velero.io/v1
    kind: Backup
    metadata:
      name: test-backup
      namespace: openshift-adp
    spec:
      includedNamespaces:
      - <application_namespace> 1
      defaultVolumesToFsBackup: true

    1
    クラスターにインストールされているアプリケーションの namespace を指定します。
  5. 次のコマンドを実行してバックアップを作成します。

    $ oc apply -f <backup_file_name> 1
    1
    バックアップ CR ファイルの名前を指定します。
  6. 次のコマンドを実行して、バックアップが完了したことを確認します。

    $ oc get backup <backup_name> -o yaml 1
    1
    バックアップの名前を指定します。

検証

  1. 次のコマンドを実行して、Kopia リポジトリーに接続します。

    $ kopia repository connect s3 \
      --bucket=<bucket_name> \ 1
      --prefix=velero/kopia/<application_namespace> \ 2
      --password=static-passw0rd \ 3
      --access-key="<aws_s3_access_key>" \ 4
      --secret-access-key="<aws_s3_secret_access_key>" \ 5
    1
    AWS S3 バケット名を指定します。
    2
    アプリケーションの namespace を指定します。
    3
    これはリポジトリーに接続するための Kopia パスワードです。
    4
    AWS S3 アクセスキーを指定します。
    5
    AWS S3 ストレージプロバイダーのシークレットアクセスキーを指定します。
    注記

    AWS S3 以外のストレージプロバイダーを使用している場合は、コマンドにバケットエンドポイントの URL パラメーター --endpoint を追加する必要があります。

  2. 次のコマンドを実行して、バックアップ用に DPA で設定した環境変数を Kopia が使用していることを確認します。

    $ kopia repository status

    出力例

    Config file:         /../.config/kopia/repository.config
    
    Description:         Repository in S3: s3.amazonaws.com <bucket_name>
    # ...
    
    Storage type:        s3
    Storage capacity:    unbounded
    Storage config:      {
                           "bucket": <bucket_name>,
                           "prefix": "velero/kopia/<application_namespace>/",
                           "endpoint": "s3.amazonaws.com",
                           "accessKeyID": <access_key>,
                           "secretAccessKey": "****************************************",
                           "sessionToken": ""
                         }
    
    Unique ID:           58....aeb0
    Hash:                BLAKE3-256
    Encryption:          CHACHA20-POLY1305-HMAC-SHA256
    Splitter:            DYNAMIC-8M-RABINKARP
    Format version:      3
    # ...

4.12.3.3. Kopia のハッシュ、暗号化、およびスプリッターアルゴリズムのベンチマーク

Kopia のコマンドを実行して、ハッシュ、暗号化、およびスプリッターアルゴリズムのベンチマークを実行できます。ベンチマークの結果に基づいて、ワークロードに最も適したアルゴリズムを選択できます。この手順では、クラスター上の Pod から Kopia ベンチマークコマンドを実行します。ベンチマークの結果は、CPU 速度、使用可能な RAM、ディスク速度、現在の I/O 負荷などによって異なります。

前提条件

  • OADP Operator がインストールされている。
  • 別の namespace で実行されている永続ボリュームを持つアプリケーションがある。
  • Container Storage Interface (CSI) スナップショットを使用してアプリケーションのバックアップを実行した。

手順

  1. 次の例に示すように Pod を設定します。必ず OADP バージョン 1.3 以降の oadp-mustgather イメージを使用してください。

    Pod 設定の例

    apiVersion: v1
    kind: Pod
    metadata:
      name: oadp-mustgather-pod
      labels:
        purpose: user-interaction
    spec:
      containers:
      - name: oadp-mustgather-container
        image: registry.redhat.io/oadp/oadp-mustgather-rhel9:v1.3
        command: ["sleep"]
        args: ["infinity"]

    注記

    Kopia クライアントは oadp-mustgather イメージで利用できます。

  2. 以下のコマンドを実行して Pod を作成します。

    $ oc apply -f <pod_config_file_name> 1
    1
    Pod 設定用の YAML ファイルの名前を指定します。
  3. Kopia がリポジトリーに接続できるように、Pod の Security Context Constraints (SCC) が anyuid であることを確認します。

    $ oc describe pod/oadp-mustgather-pod | grep scc

    出力例

    openshift.io/scc: anyuid

  4. 次のコマンドを実行して、SSH 経由で Pod に接続します。

    $ oc -n openshift-adp rsh pod/oadp-mustgather-pod
  5. 次のコマンドを実行して、Kopia リポジトリーに接続します。

    sh-5.1# kopia repository connect s3 \
      --bucket=<bucket_name> \ 1
      --prefix=velero/kopia/<application_namespace> \ 2
      --password=static-passw0rd \ 3
      --access-key="<access_key>" \ 4
      --secret-access-key="<secret_access_key>" \ 5
      --endpoint=<bucket_endpoint> \ 6
    1
    オブジェクトストレージプロバイダーのバケット名を指定します。
    2
    アプリケーションの namespace を指定します。
    3
    これはリポジトリーに接続するための Kopia パスワードです。
    4
    オブジェクトストレージプロバイダーのアクセスキーを指定します。
    5
    オブジェクトストレージプロバイダーのシークレットアクセスキーを指定します。
    6
    バケットのエンドポイントを指定します。ストレージプロバイダーとして AWS S3 を使用している場合は、バケットエンドポイントを指定する必要はありません。
    注記

    これはコマンドの例です。コマンドはオブジェクトストレージプロバイダーによって異なる場合があります。

  6. ハッシュアルゴリズムをベンチマークするには、次のコマンドを実行します。

    sh-5.1# kopia benchmark hashing

    出力例

    Benchmarking hash 'BLAKE2B-256' (100 x 1048576 bytes, parallelism 1)
    Benchmarking hash 'BLAKE2B-256-128' (100 x 1048576 bytes, parallelism 1)
    Benchmarking hash 'BLAKE2S-128' (100 x 1048576 bytes, parallelism 1)
    Benchmarking hash 'BLAKE2S-256' (100 x 1048576 bytes, parallelism 1)
    Benchmarking hash 'BLAKE3-256' (100 x 1048576 bytes, parallelism 1)
    Benchmarking hash 'BLAKE3-256-128' (100 x 1048576 bytes, parallelism 1)
    Benchmarking hash 'HMAC-SHA224' (100 x 1048576 bytes, parallelism 1)
    Benchmarking hash 'HMAC-SHA256' (100 x 1048576 bytes, parallelism 1)
    Benchmarking hash 'HMAC-SHA256-128' (100 x 1048576 bytes, parallelism 1)
    Benchmarking hash 'HMAC-SHA3-224' (100 x 1048576 bytes, parallelism 1)
    Benchmarking hash 'HMAC-SHA3-256' (100 x 1048576 bytes, parallelism 1)
         Hash                 Throughput
    -----------------------------------------------------------------
      0. BLAKE3-256           15.3 GB / second
      1. BLAKE3-256-128       15.2 GB / second
      2. HMAC-SHA256-128      6.4 GB / second
      3. HMAC-SHA256          6.4 GB / second
      4. HMAC-SHA224          6.4 GB / second
      5. BLAKE2B-256-128      4.2 GB / second
      6. BLAKE2B-256          4.1 GB / second
      7. BLAKE2S-256          2.9 GB / second
      8. BLAKE2S-128          2.9 GB / second
      9. HMAC-SHA3-224        1.6 GB / second
     10. HMAC-SHA3-256        1.5 GB / second
    -----------------------------------------------------------------
    Fastest option for this machine is: --block-hash=BLAKE3-256

  7. 暗号化アルゴリズムをベンチマークするには、次のコマンドを実行します。

    sh-5.1# kopia benchmark encryption

    出力例

    Benchmarking encryption 'AES256-GCM-HMAC-SHA256'... (1000 x 1048576 bytes, parallelism 1)
    Benchmarking encryption 'CHACHA20-POLY1305-HMAC-SHA256'... (1000 x 1048576 bytes, parallelism 1)
         Encryption                     Throughput
    -----------------------------------------------------------------
      0. AES256-GCM-HMAC-SHA256         2.2 GB / second
      1. CHACHA20-POLY1305-HMAC-SHA256  1.8 GB / second
    -----------------------------------------------------------------
    Fastest option for this machine is: --encryption=AES256-GCM-HMAC-SHA256

  8. スプリッターアルゴリズムをベンチマークするには、次のコマンドを実行します。

    sh-5.1# kopia benchmark splitter

    出力例

    splitting 16 blocks of 32MiB each, parallelism 1
    DYNAMIC                     747.6 MB/s count:107 min:9467 10th:2277562 25th:2971794 50th:4747177 75th:7603998 90th:8388608 max:8388608
    DYNAMIC-128K-BUZHASH        718.5 MB/s count:3183 min:3076 10th:80896 25th:104312 50th:157621 75th:249115 90th:262144 max:262144
    DYNAMIC-128K-RABINKARP      164.4 MB/s count:3160 min:9667 10th:80098 25th:106626 50th:162269 75th:250655 90th:262144 max:262144
    # ...
    FIXED-512K                  102.9 TB/s count:1024 min:524288 10th:524288 25th:524288 50th:524288 75th:524288 90th:524288 max:524288
    FIXED-8M                    566.3 TB/s count:64 min:8388608 10th:8388608 25th:8388608 50th:8388608 75th:8388608 90th:8388608 max:8388608
    -----------------------------------------------------------------
      0. FIXED-8M                  566.3 TB/s   count:64 min:8388608 10th:8388608 25th:8388608 50th:8388608 75th:8388608 90th:8388608 max:8388608
      1. FIXED-4M                  425.8 TB/s   count:128 min:4194304 10th:4194304 25th:4194304 50th:4194304 75th:4194304 90th:4194304 max:4194304
      # ...
     22. DYNAMIC-128K-RABINKARP    164.4 MB/s   count:3160 min:9667 10th:80098 25th:106626 50th:162269 75th:250655 90th:262144 max:262144

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