Operator
OpenShift Container Platform での Operator の使用
概要
第1章 Operator の概要
Operator は OpenShift Container Platform の最も重要なコンポーネントです。Operator はコントロールプレーンでサービスをパッケージ化し、デプロイし、管理するための優先される方法です。Operator の使用は、ユーザーが実行するアプリケーションにも各種の利点があります。
Operator は kubectl
や oc
コマンドなどの Kubernetes API および CLI ツールと統合します。Operator はアプリケーションの監視、ヘルスチェックの実行、OTA (over-the-air) 更新の管理を実行し、アプリケーションが指定した状態にあることを確認するための手段となります。
どちらも同様の Operator の概念と目標に従いますが、OpenShift Container Platform の Operator は、目的に応じて 2 つの異なるシステムによって管理されます。
- Cluster Version Operator (CVO) によって管理される Cluster Operator は、クラスター機能を実行するためにデフォルトでインストールされます。
- Operator Lifecycle Manager (OLM) によって管理されるオプションのアドオン Operator は、ユーザーがアプリケーションで実行できるようにアクセスできるようにすることができます。
Operator を使用すると、クラスター内で実行中のサービスを監視するアプリケーションを作成できます。Operator は、アプリケーション専用に設計されています。Operator は、インストールや設定などの一般的な Day 1 の操作と、自動スケーリングやバックアップの作成などの Day 2 の操作を実装および自動化します。これらのアクティビティーはすべて、クラスター内で実行されているソフトウェアの一部です。
1.1. 開発者の場合
開発者は、次の Operator タスクを実行できます。
1.2. 管理者の場合
クラスター管理者は、次の Operator タスクを実行できます。
Red Hat が提供する Cluster Operator の詳細は、Cluster Operator リファレンス を参照してください。
1.3. 次のステップ
Operator の詳細は、Operator とはを参照してください。
第2章 Operator について
2.1. Operator について
概念的に言うと、Operator は人間の運用上のナレッジを使用し、これをコンシューマーと簡単に共有できるソフトウェアにエンコードします。
Operator は、ソフトウェアの他の部分を実行する運用上の複雑さを軽減するソフトウェアの特定の部分で設定されます。Operator はソフトウェアベンダーのエンジニアリングチームの拡張機能のように動作し、(OpenShift Container Platform などの) Kubernetes 環境を監視し、その最新状態に基づいてリアルタイムの意思決定を行います。高度な Operator はアップグレードをシームレスに実行し、障害に自動的に対応するように設計されており、時間の節約のためにソフトウェアのバックアッププロセスを省略するなどのショートカットを実行することはありません。
技術的に言うと、Operator は Kubernetes アプリケーションをパッケージ化し、デプロイし、管理する方法です。
Kubernetes アプリケーションは、Kubernetes にデプロイされ、Kubernetes API および kubectl
または oc
ツールを使用して管理されるアプリケーションです。Kubernetes を最大限に活用するには、Kubernetes 上で実行されるアプリケーションを提供し、管理するために拡張できるように一連の総合的な API が必要です。Operator は、Kubernetes 上でこのタイプのアプリケーションを管理するランタイムと見なすことができます。
2.1.1. Operator を使用する理由
Operator は以下を提供します。
- インストールおよびアップグレードの反復性。
- すべてのシステムコンポーネントの継続的なヘルスチェック。
- OpenShift コンポーネントおよび ISV コンテンツの OTA (Over-the-air) 更新。
- フィールドエンジニアの知識を凝縮し、1 人や 2 人だけでなくすべてのユーザーに広める場所。
- Kubernetes にデプロイする理由
- Kubernetes (延長線上で考えると OpenShift Container Platform も含まれる) には、シークレットの処理、負荷分散、サービスの検出、自動スケーリングなどの、オンプレミスおよびクラウドプロバイダーで機能する、複雑な分散システムをビルドするために必要なすべてのプリミティブが含まれます。
- アプリケーションを Kubernetes API および
kubectl
ツールで管理する理由 -
これらの API は機能的に充実しており、すべてのプラットフォームのクライアントを持ち、クラスターのアクセス制御/監査機能にプラグインします。Operator は Kubernetes の拡張メカニズム、カスタムリソース定義 (CRD、Custom Resource Definition ) を使用するため、
MongoDB
など のカスタムオブジェクトは、ビルトインされたネイティブ Kubernetes オブジェクトのように表示され、機能します。 - Operator とサービスブローカーとの比較
- サービスブローカーは、アプリケーションのプログラムによる検出およびデプロイメントを行うための 1 つの手段です。ただし、これは長期的に実行されるプロセスではないため、アップグレード、フェイルオーバー、またはスケーリングなどの Day 2 オペレーションを実行できません。カスタマイズおよびチューニング可能なパラメーターはインストール時に提供されるのに対し、Operator はクラスターの最新の状態を常に監視します。クラスター外のサービスを使用する場合は、Operator もこれらのクラスター外のサービスに使用できますが、これらをサービスブローカーで使用できます。
2.1.2. Operator Framework
Operator Framework は、上記のカスタマーエクスペリエンスに関連して提供されるツールおよび機能のファミリーです。これは、コードを作成するためだけにあるのではなく、Operator のテスト、実行、および更新などの重要な機能を実行します。Operator Framework コンポーネントは、これらの課題に対応するためのオープンソースツールで構成されています。
- Operator SDK
- Operator SDK は Kubernetes API の複雑性を把握していなくても、それぞれの専門知識に基づいて独自の Operator のブートストラップ、ビルド、テストおよびパッケージ化を実行できるよう Operator の作成者を支援します。
- Operator Lifecycle Manager
- Operator Lifecycle Manager (OLM) は、クラスター内の Operator のインストール、アップグレード、ロールベースのアクセス制御 (RBAC) を制御します。OpenShift Container Platform 4.15 では、デフォルトでデプロイされます。
- Operator レジストリー
- Operator レジストリーは、クラスターで作成するためのクラスターサービスバージョン (Cluster Service Version、CSV) およびカスタムリソース定義 (CRD) を保存し、パッケージおよびチャネルに関する Operator メタデータを保存します。これは Kubernetes または OpenShift クラスターで実行され、この Operator カタログデータを OLM に指定します。
- OperatorHub
- OperatorHub は、クラスター管理者がクラスター上にインストールする Operator を検出し、選択するための Web コンソールです。OpenShift Container Platform ではデフォルトでデプロイされます。
これらのツールは組み立て可能なツールとして設計されているため、役に立つと思われるツールを使用できます。
2.1.3. Operator 成熟度モデル
Operator 内にカプセル化されている管理ロジックの複雑さのレベルはさまざまです。また、このロジックは通常 Operator によって表されるサービスのタイプによって大きく変わります。
ただし、大半の Operator に含まれる特定の機能セットについては、Operator のカプセル化された操作の成熟度の規模を一般化することができます。このため、以下の Operator 成熟度モデルは、Operator の一般的な Day 2 オペレーションに関する 5 つのフェーズの成熟度を定義しています。
図2.1 Operator 成熟度モデル
上記のモデルでは、これらの機能を Operator SDK の Helm、Go、および Ansible 機能で最適に開発する方法も示します。
2.2. Operator Framework パッケージ形式
以下で、OpenShift Container Platform の Operator Lifecycle Manager (OLM) によってサポートされる Operator のパッケージ形式を説明します。
2.2.1. Bundle Format
Operator の Bundle Format は、Operator Framework によって導入されるパッケージ形式です。スケーラビリティーを向上させ、アップストリームユーザーがより効果的に独自のカタログをホストできるようにするために、Bundle Format 仕様は Operator メタデータのディストリビューションを単純化します。
Operator バンドルは、Operator の単一バージョンを表します。ディスク上の バンドルマニフェスト は、Kubernetes マニフェストおよび Operator メタデータを保存する実行不可能なコンテナーイメージである バンドルイメージ としてコンテナー化され、提供されます。次に、バンドルイメージの保存および配布は、podman
、docker
、および Quay などのコンテナーレジストリーを使用して管理されます。
Operator メタデータには以下を含めることができます。
- Operator を識別する情報 (名前およびバージョンなど)。
- UI を駆動する追加情報 (アイコンや一部のカスタムリソース (CR) など)。
- 必須および提供される API。
- 関連するイメージ。
マニフェストを Operator レジストリーデータベースに読み込む際に、以下の要件が検証されます。
- バンドルには、アノテーションで定義された 1 つ以上のチャネルが含まれる必要がある。
- すべてのバンドルには、1 つのクラスターサービスバージョン (CSV) がある。
- CSV がクラスターリソース定義 (CRD) を所有する場合、その CRD はバンドルに存在する必要がある。
2.2.1.1. マニフェスト
バンドルマニフェストは、Operator のデプロイメントおよび RBAC モデルを定義する Kubernetes マニフェストのセットを指します。
バンドルにはディレクトリーごとに 1 つの CSV が含まれ、通常は manifest/
ディレクトリーの CSV の所有される API を定義する CRD が含まれます。
Bundle Format のレイアウトの例
etcd ├── manifests │ ├── etcdcluster.crd.yaml │ └── etcdoperator.clusterserviceversion.yaml │ └── secret.yaml │ └── configmap.yaml └── metadata └── annotations.yaml └── dependencies.yaml
その他のサポート対象のオブジェクト
以下のオブジェクトタイプは、バンドルの /manifests
ディレクトリーにオプションとして追加することもできます。
サポート対象のオプションオブジェクトタイプ
-
ClusterRole
-
ClusterRoleBinding
-
ConfigMap
-
ConsoleCLIDownload
-
ConsoleLink
-
ConsoleQuickStart
-
ConsoleYamlSample
-
PodDisruptionBudget
-
PriorityClass
-
PrometheusRule
-
Role
-
RoleBinding
-
Secret
-
Service
-
ServiceAccount
-
ServiceMonitor
-
VerticalPodAutoscaler
これらのオプションオブジェクトがバンドルに含まれる場合、Operator Lifecycle Manager (OLM) はバンドルからこれらを作成し、CSV と共にそれらのライフサイクルを管理できます。
オプションオブジェクトのライフサイクル
- CSV が削除されると、OLM はオプションオブジェクトを削除します。
CSV がアップグレードされると、以下を実行します。
- オプションオブジェクトの名前が同じである場合、OLM はこれを更新します。
- オプションオブジェクトの名前がバージョン間で変更された場合、OLM はこれを削除し、再作成します。
2.2.1.2. アノテーション
バンドルには、その metadata/
ディレクトリーに annotations.yaml
ファイルも含まれます。このファイルは、バンドルをバンドルのインデックスに追加する方法に関する形式およびパッケージ情報の記述に役立つ高レベルの集計データを定義します。
annotations.yaml
の例
annotations: operators.operatorframework.io.bundle.mediatype.v1: "registry+v1" 1 operators.operatorframework.io.bundle.manifests.v1: "manifests/" 2 operators.operatorframework.io.bundle.metadata.v1: "metadata/" 3 operators.operatorframework.io.bundle.package.v1: "test-operator" 4 operators.operatorframework.io.bundle.channels.v1: "beta,stable" 5 operators.operatorframework.io.bundle.channel.default.v1: "stable" 6
- 1
- Operator バンドルのメディアタイプまたは形式。
registry+v1
形式の場合、これに CSV および関連付けられた Kubernetes オブジェクトが含まれることを意味します。 - 2
- Operator マニフェストが含まれるディレクトリーへのイメージのパス。このラベルは今後使用するために予約され、現時点ではデフォの
manifests/
に設定されています。manifests.v1
の値は、バンドルに Operator マニフェストが含まれることを示します。 - 3
- バンドルに関するメタデータファイルが含まれるディレクトリーへのイメージのパス。このラベルは今後使用するために予約され、現時点ではデフォの
metadata/
に設定されています。metadata.v1
の値は、このバンドルに Operator メタデータがあることを意味します。 - 4
- バンドルのパッケージ名。
- 5
- Operator レジストリーに追加される際にバンドルがサブスクライブするチャネルのリスト。
- 6
- レジストリーからインストールされる場合に Operator がサブスクライブされるデフォルトチャネル。
一致しない場合、annotations.yaml
ファイルは、これらのアノテーションに依存するクラスター上の Operator レジストリーのみがこのファイルにアクセスできるために権威を持つファイルになります。
2.2.1.3. Dependencies
Operator の依存関係は、バンドルの metadata/
フォルダー内の dependencies.yaml
ファイルに一覧表示されます。このファイルはオプションであり、現時点では明示的な Operator バージョンの依存関係を指定するためにのみ使用されます。
依存関係の一覧には、依存関係の内容を指定するために各項目の type
フィールドが含まれます。次のタイプの Operator 依存関係がサポートされています。
olm.package
-
このタイプは、特定の Operator バージョンの依存関係であることを意味します。依存関係情報には、パッケージ名とパッケージのバージョンを semver 形式で含める必要があります。たとえば、
0.5.2
などの特定バージョンや>0.5.1
などのバージョンの範囲を指定することができます。 olm.gvk
- このタイプの場合、作成者は CSV の既存の CRD および API ベースの使用方法と同様に group/version/kind (GVK) 情報で依存関係を指定できます。これは、Operator の作成者がすべての依存関係、API または明示的なバージョンを同じ場所に配置できるようにするパスです。
olm.constraint
- このタイプは、任意の Operator プロパティーに対するジェネリック制約を宣言します。
以下の例では、依存関係は Prometheus Operator および etcd CRD について指定されます。
dependencies.yaml
ファイルの例
dependencies: - type: olm.package value: packageName: prometheus version: ">0.27.0" - type: olm.gvk value: group: etcd.database.coreos.com kind: EtcdCluster version: v1beta2
2.2.1.4. opm CLI について
opm
CLI ツールは、Operator Bundle Format で使用するために Operator Framework によって提供されます。このツールを使用して、ソフトウェアリポジトリーに相当する Operator バンドルのリストから Operator のカタログを作成し、維持することができます。結果として、コンテナーイメージをコンテナーレジストリーに保存し、その後にクラスターにインストールできます。
カタログには、コンテナーイメージの実行時に提供される組み込まれた API を使用してクエリーできる、Operator マニフェストコンテンツへのポインターのデータベースが含まれます。OpenShift Container Platform では、Operator Lifecycle Manager (OLM) は、CatalogSource
オブジェクトが定義したカタログソース内のイメージ参照できます。これにより、クラスター上にインストールされた Operator への頻度の高い更新を可能にするためにイメージを一定の間隔でポーリングできます。
-
opm
CLI のインストール手順は、CLI ツール を参照してください。
2.2.2. ファイルベースのカタログ
ファイルベースのカタログは、Operator Lifecycle Manager(OLM) のカタログ形式の最新の反復になります。この形式は、プレーンテキストベース (JSON または YAML) であり、以前の SQLite データベース形式の宣言的な設定の進化であり、完全な下位互換性があります。この形式の目標は、Operator のカタログ編集、設定可能性、および拡張性を有効にすることです。
- 編集
ファイルベースのカタログを使用すると、カタログの内容を操作するユーザーは、形式を直接変更し、変更が有効であることを確認できます。この形式はプレーンテキストの JSON または YAML であるため、カタログメンテナーは、一般的に知られている、サポート対象の JSON または YAML ツール (例:
jq
CLI) を使用して、手動でカタログメタデータを簡単に操作できます。この編集機能により、以下の機能とユーザー定義の拡張が有効になります。
- 既存のバンドルの新規チャネルへのプロモート
- パッケージのデフォルトチャネルの変更
- アップグレードエッジを追加、更新、および削除するためのカスタムアルゴリズム
- コンポーザービリティー
ファイルベースのカタログは、任意のディレクトリー階層に保管され、カタログの作成が可能になります。たとえば、2 つのファイルベースのカタログディレクトリー (
catalogA
およびcatalogB
) について見てみましょう。カタログメンテナーは、新規のディレクトリーcatalogC
を作成してcatalogA
とcatalogB
をそのディレクトリーにコピーし、新しく結合カタログを作成できます。このコンポーザービリティーにより、カタログの分散化が可能になります。この形式により、Operator の作成者は Operator 固有のカタログを維持でき、メンテナーは個別の Operator カタログで構成されるカタログを簡単にビルドできます。ファイルベースのカタログは、他の複数のカタログを組み合わせたり、1 つのカタログのサブセットを抽出したり、またはこれらの両方を組み合わせたりすることで作成できます。
注記パッケージ内でパッケージおよびバンドルを重複できません。
opm validate
コマンドは、重複が見つかった場合はエラーを返します。Operator の作成者は Operator、その依存関係およびそのアップグレードの互換性について最も理解しているので、Operator 固有のカタログを独自のカタログに維持し、そのコンテンツを直接制御できます。ファイルベースのカタログの場合に、Operator の作成者はカタログでパッケージをビルドして維持するタスクを所有します。ただし、複合カタログメンテナーは、カタログ内のパッケージのキュレートおよびユーザーにカタログを公開するタスクのみを所有します。
- 拡張性
ファイルベースのカタログ仕様は、カタログの低レベル表現です。これは低レベルの形式で直接保守できますが、カタログメンテナーは、このレベルの上に任意の拡張をビルドして、独自のカスタムツールを使用して任意数の変更を加えることができます。
たとえば、ツールは
(mode=semver)
などの高レベルの API を、アップグレードエッジ用に低レベルのファイルベースのカタログ形式に変換できます。または、カタログ保守担当者は、特定の条件を満たすバンドルに新規プロパティーを追加して、すべてのバンドルメタデータをカスタマイズする必要がある場合があります。このような拡張性を使用すると、今後の OpenShift Container Platform リリース向けに、追加の正式なツールを下層の API 上で開発できますが、主な利点として、カタログメンテナーにもこの機能がある点が挙げられます。
OpenShift Container Platform 4.11 の時点で、デフォルトの Red Hat が提供する Operator カタログは、ファイルベースのカタログ形式でリリースされます。OpenShift Container Platform 4.6 から 4.10 までのデフォルトの Red Hat が提供する Operator カタログは、非推奨の SQLite データベース形式でリリースされました。
opm
サブコマンド、フラグ、および SQLite データベース形式に関連する機能も非推奨となり、今後のリリースで削除されます。機能は引き続きサポートされており、非推奨の SQLite データベース形式を使用するカタログに使用する必要があります。
opm index prune
などの SQLite データベース形式を使用する opm
サブコマンドおよびフラグの多くは、ファイルベースのカタログ形式では機能しません。ファイルベースのカタログの操作の詳細は、カスタムカタログの管理 と oc-mirror プラグインを使用した非接続型インストールのイメージのミラーリング を参照してください。
2.2.2.1. ディレクトリー構造
ファイルベースのカタログは、ディレクトリーベースのファイルシステムから保存してロードできます。opm
CLI は、root ディレクトリーを元に、サブディレクトリーに再帰してカタログを読み込みます。CLI は、検出されるすべてのファイルの読み込みを試行し、エラーが発生した場合には失敗します。
.gitignore
ファイルとパターンと優先順位が同じ .indexignore
ファイルを使用して、カタログ以外のファイルを無視できます。
例: .indexignore
ファイル
# Ignore everything except non-object .json and .yaml files **/* !*.json !*.yaml **/objects/*.json **/objects/*.yaml
カタログメンテナーは、必要なレイアウトを柔軟に選択できますが、各パッケージのファイルベースのカタログ Blob は別々のサブディレクトリーに保管することを推奨します。個々のファイルは JSON または YAML のいずれかをしようしてください。カタログ内のすべてのファイルが同じ形式を使用する必要はありません。
推奨される基本構造
catalog ├── packageA │ └── index.yaml ├── packageB │ ├── .indexignore │ ├── index.yaml │ └── objects │ └── packageB.v0.1.0.clusterserviceversion.yaml └── packageC └── index.json └── deprecations.yaml
この推奨の構造には、ディレクトリー階層内の各サブディレクトリーは自己完結型のカタログであるという特性があるので、カタログの作成、検出、およびナビゲーションなどのファイルシステムの操作が簡素化されます。このカタログは、親カタログのルートディレクトリーにコピーして親カタログに追加することもできます。
2.2.2.2. スキーマ
ファイルベースのカタログは、任意のスキーマで拡張できる CUE 言語仕様 に基づく形式を使用します。以下の _Meta
CUE スキーマは、すべてのファイルベースのカタログ Blob が順守する必要のある形式を定義します。
_Meta
スキーマ
_Meta: { // schema is required and must be a non-empty string schema: string & !="" // package is optional, but if it's defined, it must be a non-empty string package?: string & !="" // properties is optional, but if it's defined, it must be a list of 0 or more properties properties?: [... #Property] } #Property: { // type is required type: string & !="" // value is required, and it must not be null value: !=null }
この仕様にリストされている CUE スキーマは網羅されていると見なされます。opm validate
コマンドには、CUE で簡潔に記述するのが困難または不可能な追加の検証が含まれます。
Operator Lifecycle Manager(OLM) カタログは、現時点で OLM の既存のパッケージおよびバンドルの概念に対応する 3 つのスキーマ (olm.package
、olm.channel
および olm.bundle
) を使用します。
カタログの各 Operator パッケージには、olm.package
Blob が 1 つ (少なくとも olm.channel
Blob 1 つ、および 1 つ以上の olm.bundle
Blob) が必要です。
olm.*
スキーマは OLM 定義スキーマ用に予約されています。カスタムスキーマには、所有しているドメインなど、一意の接頭辞を使用する必要があります。
2.2.2.2.1. olm.package スキーマ
olm.package
スキーマは Operator のパッケージレベルのメタデータを定義します。これには、名前、説明、デフォルトのチャネル、およびアイコンが含まれます。
例2.1 olm.package
スキーマ
#Package: { schema: "olm.package" // Package name name: string & !="" // A description of the package description?: string // The package's default channel defaultChannel: string & !="" // An optional icon icon?: { base64data: string mediatype: string } }
2.2.2.2.2. olm.channel スキーマ
olm.channel
スキーマは、パッケージ内のチャネル、チャネルのメンバーであるバンドルエントリー、およびそれらのバンドルのアップグレードエッジを定義します。
バンドルエントリーが複数の olm.channel
Blob 内のエッジを表す場合、バンドルエントリーはチャネルごとに 1 つだけ指定できます。
エントリーの replaces
値が、このカタログにも別のカタログにも存在しない別のバンドル名を参照していても、有効とされます。ただし、他のすべてのチャネルの普遍条件に該当する必要があります (チャネルに複数のヘッドがない場合など)。
例2.2 olm.channel
スキーマ
#Channel: { schema: "olm.channel" package: string & !="" name: string & !="" entries: [...#ChannelEntry] } #ChannelEntry: { // name is required. It is the name of an `olm.bundle` that // is present in the channel. name: string & !="" // replaces is optional. It is the name of bundle that is replaced // by this entry. It does not have to be present in the entry list. replaces?: string & !="" // skips is optional. It is a list of bundle names that are skipped by // this entry. The skipped bundles do not have to be present in the // entry list. skips?: [...string & !=""] // skipRange is optional. It is the semver range of bundle versions // that are skipped by this entry. skipRange?: string & !="" }
skipRange
フィールドを使用すると、スキップされた Operator バージョンが更新グラフからプルーニングされ、ユーザーが Subscription
オブジェクトの spec.startingCSV
プロパティーを使用してそのバージョンをインストールできなくなります。
skipRange
フィールドと replaces
フィールドの両方を使用すると、以前にインストールしたバージョンをユーザーが将来インストールできるように維持しながら、Operator を段階的に更新できます。replaces
フィールドが当該 Operator バージョンの直前のバージョンを参照していることを確認してください。
2.2.2.2.3. olm.bundle スキーマ
例2.3 olm.bundle
スキーマ
#Bundle: { schema: "olm.bundle" package: string & !="" name: string & !="" image: string & !="" properties: [...#Property] relatedImages?: [...#RelatedImage] } #Property: { // type is required type: string & !="" // value is required, and it must not be null value: !=null } #RelatedImage: { // image is the image reference image: string & !="" // name is an optional descriptive name for an image that // helps identify its purpose in the context of the bundle name?: string & !="" }
2.2.2.2.4. olm.deprecations スキーマ
オプションの olm.deprecations
スキーマは、カタログ内のパッケージ、バンドル、チャネルの非推奨情報を定義します。Operator の作成者は、このスキーマを使用して、サポートステータスや推奨アップグレードパスなど、Operator に関する関連メッセージを、カタログから Operator を実行しているユーザーに提供できます。
olm.deprecations
スキーマエントリーには、非推奨の範囲を示す次の reference
タイプが 1 つ以上含まれています。Operator がインストールされると、指定されたメッセージが、関連する Subscription
オブジェクトのステータス状況として表示されます。
タイプ | Scope | ステータス状況 |
---|---|---|
| パッケージ全体を表します。 |
|
| 1 つのチャンネルを表します。 |
|
| 1 つのバンドルバージョンを表します。 |
|
次の例で詳しく説明するように、各 reference
タイプには独自の要件があります。
例2.4 各 reference
タイプを使用した olm.deprecations
スキーマの例
schema: olm.deprecations package: my-operator 1 entries: - reference: schema: olm.package 2 message: | 3 The 'my-operator' package is end of life. Please use the 'my-operator-new' package for support. - reference: schema: olm.channel name: alpha 4 message: | The 'alpha' channel is no longer supported. Please switch to the 'stable' channel. - reference: schema: olm.bundle name: my-operator.v1.68.0 5 message: | my-operator.v1.68.0 is deprecated. Uninstall my-operator.v1.68.0 and install my-operator.v1.72.0 for support.
- 1
- 各非推奨スキーマには
package
値が必要であり、そのパッケージ参照はカタログ全体で一意である必要があります。関連するname
フィールドを含めることはできません。 - 2
olm.package
スキーマにname
フィールドを含めることはできません。このフィールドは、スキーマ内で前に定義したpackage
フィールドによって決定されるためです。- 3
- すべての
message
フィールドは、reference
タイプを問わず、長さが 0 以外である必要があり、不透明なテキスト Blob として表す必要があります。 - 4
olm.channel
スキーマのname
フィールドは必須です。- 5
olm.bundle
スキーマのname
フィールドは必須です。
非推奨機能では、パッケージ、チャネル、バンドルなど、重複する非推奨は考慮されません。
Operator の作成者は、olm.deprecations
スキーマエントリーを deprecations.yaml
ファイルとしてパッケージの index.yaml
ファイルと同じディレクトリーに保存できます。
非推奨を含むカタログのディレクトリー構造の例
my-catalog └── my-operator ├── index.yaml └── deprecations.yaml
2.2.2.3. プロパティー
プロパティーは、ファイルベースのカタログスキーマに追加できる任意のメタデータです。type
フィールドは、value
フィールドのセマンティックおよび構文上の意味を効果的に指定する文字列です。値には任意の JSON または YAML を使用できます。
OLM は、予約済みの olm.*
接頭辞をもう一度使用して、いくつかのプロパティータイプを定義します。
2.2.2.3.1. olm.package プロパティー
olm.package
プロパティーは、パッケージ名とバージョンを定義します。これはバンドルの必須プロパティーであり、これらのプロパティーが 1 つ必要です。packageName
フィールドはバンドルのファーストクラス package
フィールドと同じでなければならず、version
フィールドは有効なセマンティクスバージョンである必要があります。
例2.5 olm.package
プロパティー
#PropertyPackage: { type: "olm.package" value: { packageName: string & !="" version: string & !="" } }
2.2.2.3.2. olm.gvk プロパティー
olm.gvk
プロパティーは、このバンドルで提供される Kubernetes API の group/version/kind(GVK) を定義します。このプロパティーは、OLM が使用して、必須の API と同じ GVK をリストする他のバンドルの依存関係として、このプロパティーでバンドルを解決します。GVK は Kubernetes GVK の検証に準拠する必要があります。
例2.6 olm.gvk
プロパティー
#PropertyGVK: { type: "olm.gvk" value: { group: string & !="" version: string & !="" kind: string & !="" } }
2.2.2.3.3. olm.package.required
olm.package.required
プロパティーは、このバンドルが必要な別のパッケージのパッケージ名とバージョン範囲を定義します。バンドルにリストされている必要なパッケージプロパティーごとに、OLM は、リストされているパッケージのクラスターに必要なバージョン範囲で Operator がインストールされていることを確認します。versionRange
フィールドは有効なセマンティクスバージョン (semver) の範囲である必要があります。
例2.7 olm.package.required
プロパティー
#PropertyPackageRequired: { type: "olm.package.required" value: { packageName: string & !="" versionRange: string & !="" } }
2.2.2.3.4. olm.gvk.required
olm.gvk.required
プロパティーは、このバンドルが必要とする Kubernetes API の group/version/kind(GVK) を定義します。バンドルにリストされている必要な GVK プロパティーごとに、OLM は、提供する Operator がクラスターにインストールされていることを確認します。GVK は Kubernetes GVK の検証に準拠する必要があります。
例2.8 olm.gvk.required
プロパティー
#PropertyGVKRequired: { type: "olm.gvk.required" value: { group: string & !="" version: string & !="" kind: string & !="" } }
2.2.2.4. カタログの例
ファイルベースのカタログを使用すると、カタログメンテナーは Operator のキュレーションおよび互換性に集中できます。Operator の作成者は Operator 用に Operator 固有のカタログをすでに生成しているので、カタログメンテナーは、各 Operator カタログをカタログのルートディレクトリーのサブディレクトリーにレンダリングしてビルドできます。
ファイルベースのカタログをビルドする方法は多数あります。以下の手順は、単純なアプローチの概要を示しています。
カタログの設定ファイルを 1 つ維持し、カタログ内に Operator ごとにイメージの参照を含めます。
カタログ設定ファイルのサンプル
name: community-operators repo: quay.io/community-operators/catalog tag: latest references: - name: etcd-operator image: quay.io/etcd-operator/index@sha256:5891b5b522d5df086d0ff0b110fbd9d21bb4fc7163af34d08286a2e846f6be03 - name: prometheus-operator image: quay.io/prometheus-operator/index@sha256:e258d248fda94c63753607f7c4494ee0fcbe92f1a76bfdac795c9d84101eb317
設定ファイルを解析し、その参照から新規カタログを作成するスクリプトを実行します。
スクリプトの例
name=$(yq eval '.name' catalog.yaml) mkdir "$name" yq eval '.name + "/" + .references[].name' catalog.yaml | xargs mkdir for l in $(yq e '.name as $catalog | .references[] | .image + "|" + $catalog + "/" + .name + "/index.yaml"' catalog.yaml); do image=$(echo $l | cut -d'|' -f1) file=$(echo $l | cut -d'|' -f2) opm render "$image" > "$file" done opm generate dockerfile "$name" indexImage=$(yq eval '.repo + ":" + .tag' catalog.yaml) docker build -t "$indexImage" -f "$name.Dockerfile" . docker push "$indexImage"
2.2.2.5. ガイドライン
ファイルベースのカタログを維持する場合には、以下のガイドラインを考慮してください。
2.2.2.5.1. イミュータブルなバンドル
Operator Lifecycle Manager(OLM) に関する一般的なアドバイスとして、バンドルイメージとそのメタデータをイミュータブルとして処理する必要がある点があります。
破損したバンドルがカタログにプッシュされている場合には、少なくとも 1 人のユーザーがそのバンドルにアップグレードしたと想定する必要があります。この仮定に基づいて、破損したバンドルがインストールされたユーザーがアップグレードを受信できるように、破損したバンドルから、アップグレードエッジが含まれる別のバンドルをリリースする必要があります。OLM は、カタログでバンドルの内容が更新された場合に、インストールされたバンドルは再インストールされません。
ただし、カタログメタデータの変更が推奨される場合があります。
-
チャネルプロモーション: バンドルをすでにリリースし、後で別のチャネルに追加することにした場合は、バンドルのエントリーを別の
olm.channel
Blob に追加できます。 -
新規アップグレードエッジ:
1.2.z
バンドルバージョンを新たにリリースしたが (例:1.2.4
)、1.3.0
がすでにリリースされている場合は、1.2.4
をスキップするように1.3.0
のカタログメタデータを更新できます。
2.2.2.5.2. ソース制御
カタログメタデータはソースコントロールに保存され、信頼できる情報源として処理される必要があります。以下の手順で、カタログイメージを更新する必要があります。
- ソース制御されたカタログディレクトリーを新規コミットを使用して更新します。
-
カタログイメージをビルドし、プッシュします。ユーザーがカタログが利用可能になり次第更新を受信できるように、一貫性のあるタグ付け (
:latest
or:<target_cluster_version>
) を使用します。
2.2.2.6. CLI の使用
opm
CLI を使用してファイルベースのカタログを作成する方法は、カスタムカタログの管理 を参照してください。
ファイルベースのカタログの管理に関連する opm
CLI コマンドの参考情報は、CLI ツール を参照してください。
2.2.2.7. 自動化
Operator の作成者およびカタログメンテナーは、CI/CD ワークフローを使用してカタログのメンテナンスを自動化することが推奨されます。カタログメンテナーは、GitOps 自動化をビルドして以下のタスクを実行し、これをさらに向上させることができます。
- パッケージのイメージ参照の更新など、プル要求 (PR) の作成者が要求された変更を実行できることを確認します。
-
カタログの更新で
opm validate
コマンドが指定されていることを確認します。 - 更新されたバンドルまたはカタログイメージの参照が存在し、カタログイメージがクラスターで正常に実行され、そのパッケージの Operator が正常にインストールされることを確認します。
- 以前のチェックに合格した PR を自動的にマージします。
- カタログイメージを自動的にもう一度ビルドして公開します。
2.2.3. RukPak (テクノロジープレビュー)
RukPak はテクノロジープレビュー機能です。テクノロジープレビュー機能は、Red Hat 製品のサービスレベルアグリーメント (SLA) の対象外であり、機能的に完全ではないことがあります。Red Hat は、実稼働環境でこれらを使用することを推奨していません。テクノロジープレビューの機能は、最新の製品機能をいち早く提供して、開発段階で機能のテストを行いフィードバックを提供していただくことを目的としています。
Red Hat のテクノロジープレビュー機能のサポート範囲に関する詳細は、テクノロジープレビュー機能のサポート範囲 を参照してください。
OpenShift Container Platform 4.12 では、プラットフォーム Operator タイプがテクノロジープレビュー機能として導入されています。Platform Operator メカニズムは、同じく OpenShift Container Platform 4.12 で導入された RukPak コンポーネントと、コンテンツを管理するためのそのリソースに依存しています。
OpenShift Container Platform 4.14 では、テクノロジープレビュー機能として Operator Lifecycle Manager (OLM) 1.0 が導入されました。これも RukPak コンポーネントに依存します。
RukPak は、クラウドネイティブコンテンツをパッケージ化して配布するためのプラグイン可能なソリューションです。インストール、更新、ポリシーに関する高度なストラテジーをサポートします。
RukPak は、Kubernetes クラスターにさまざまなアーティファクトをインストールするためのコンテンツエコシステムを提供します。アーティファクトの例には、Git リポジトリー、Helm チャート、OLM バンドルなどがあります。その後、RukPak はこれらのアーティファクトを安全な方法で管理、スケーリング、アップグレードして、強力なクラスター拡張を実現できます。
RukPak のコアは、API とコントローラーの小さなセットです。API は、クラスターにインストールするコンテンツや、そのコンテンツの実行デプロイメントを作成する方法を示すカスタムリソース定義 (CRD) としてパッケージ化されています。コントローラーは API を監視します。
一般的な用語
- バンドル
- クラスターにデプロイされるコンテンツを定義する Kubernetes マニフェストのコレクション
- バンドルイメージ
- ファイルシステム内にバンドルがあるコンテナーイメージ
- バンドル Git リポジトリー
- ディレクトリー内にバンドルがある Git リポジトリー
- プロビジョナー
- Kubernetes クラスターにコンテンツをインストールして管理するコントローラー
- バンドルデプロイメント
- バンドルのデプロイされたインスタンスを生成します
関連情報
2.2.3.1. バンドル
RukPak Bundle
オブジェクトは、クラスター内の他のコンシューマーが利用できるようにするコンテンツを表します。Pod が使用を開始するためにコンテナーイメージのコンテンツをプルしてアンパックする必要があるのと同じように、Bundle
オブジェクトは、プルしてアンパックする必要がある可能性があるコンテンツを参照するために使用されます。この意味で、バンドルはイメージの概念を一般化したものであり、あらゆるタイプのコンテンツを表すために使用できます。
バンドルは単独では何もできません。プロビジョナーがアンパックしてコンテンツをクラスターで利用できるようにする必要があります。これらは、プロビジョナー Pod にマウントされたディレクトリー内の tar.gz
ファイルなど、任意のストレージメディアに解凍できます。各 Bundle
オブジェクトには、その特定のバンドルタイプを監視およびアンパックする Provisioner
オブジェクトを示す、関連付けられた spec.provisionerClassName
フィールドがあります。
プレーンプロビジョナーと連携するように設定された Bundle
オブジェクトの例
apiVersion: core.rukpak.io/v1alpha1 kind: Bundle metadata: name: my-bundle spec: source: type: image image: ref: my-bundle@sha256:xyz123 provisionerClassName: core-rukpak-io-plain
バンドルは、作成後は不変と見なされます。
2.2.3.1.1. バンドルの不変性
Bundle
オブジェクトが API サーバーによって受け入れられると、そのバンドルは RukPak システムの残りの部分によって不変のアーティファクトと見なされます。この動作により、バンドルはクラスターにソーシングする一意の静的なコンテンツを表すという概念が適用されます。ユーザーは、特定のバンドルが特定の一連のマニフェストを指していて、新しいバンドルを作成しないと更新できないという確信を持つことができます。このプロパティーは、スタンドアロンバンドルと、組み込みの BundleTemplate
オブジェクトによって作成された動的バンドルの両方に当てはまります。
バンドルの不変性は、コア RukPak Webhook によって適用されます。この Webhook は Bundle
オブジェクトイベントを監視し、バンドルの更新について、既存のバンドルの spec
フィールドが提案された更新されたバンドルのそれと意味的に等しいかどうかをチェックします。それらが等しくない場合、更新は Webhook によって拒否されます。metadata
や status
などの他の Bundle
オブジェクトフィールドは、バンドルのライフサイクル中に更新されます。不変と見なされるのは spec
フィールドのみです。
Bundle
オブジェクトを適用してからその仕様を更新しようとすると失敗するはずです。たとえば、次の例はバンドルを作成します。
$ oc apply -f -<<EOF apiVersion: core.rukpak.io/v1alpha1 kind: Bundle metadata: name: combo-tag-ref spec: source: type: git git: ref: tag: v0.0.2 repository: https://github.com/operator-framework/combo provisionerClassName: core-rukpak-io-plain EOF
出力例
bundle.core.rukpak.io/combo-tag-ref created
次に、新しいタグを指すようにバンドルにパッチを適用すると、エラーが返されます。
$ oc patch bundle combo-tag-ref --type='merge' -p '{"spec":{"source":{"git":{"ref":{"tag":"v0.0.3"}}}}}'
出力例
Error from server (bundle.spec is immutable): admission webhook "vbundles.core.rukpak.io" denied the request: bundle.spec is immutable
コアの RukPak 受付 Webhook は、バンドルの仕様が不変であるため、パッチを拒否しました。バンドルのコンテンツを変更するための推奨される方法は、インプレースで更新するのではなく、新しい Bundle
オブジェクトを作成することです。
不変性に関するその他の考慮事項
Bundle
オブジェクトの spec
フィールドは不変ですが、基本となる spec
フィールドを変更せずに、BundleDeployment
オブジェクトを新しいバージョンのバンドルコンテンツにピボットすることは可能です。この意図しないピボットは、次のシナリオで発生する可能性があります。
-
ユーザーは、イメージタグ、Git ブランチ、または Git タグを
Bundle
オブジェクトのspec.source
フィールドに設定します。 - イメージタグが新しいダイジェストに移動するか、ユーザーが変更を Git ブランチにプッシュするか、ユーザーが別のコミットで Git タグを削除して再プッシュします。
- ユーザーが、アンパック Pod の削除など、バンドルアンパック Pod を再作成するために何らかの操作を行います。
このシナリオが発生した場合、手順 2 の新しいコンテンツは、手順 3 の結果としてアンパックされます。バンドルのデプロイメントにより、変更が検出され、新しいバージョンのコンテンツにピボットされます。
これは、Pod のコンテナーイメージの 1 つがタグを使用し、そのタグが別のダイジェストに移動され、将来のある時点で既存の Pod が別のノードで再スケジュールされる Pod の動作に似ています。その時点で、ノードは新しいダイジェストで新しいイメージをプルし、ユーザーが明示的に要求することなく別の何かを実行します。
基になる Bundle
仕様コンテンツが変更されないことを確信するには、バンドルを作成するときにダイジェストベースのイメージまたは Git コミット参照を使用します。
2.2.3.1.2. プレーンバンドル仕様
RukPak のプレーンバンドルは、特定のディレクトリーにある静的で任意の Kubernetes YAML マニフェストのコレクションです。
現在実装されているプレーンバンドル形式は、plain+v0
形式です。バンドル形式の名前 plain+v0
は、バンドルのタイプ (plain
) と現在のスキーマバージョン (v0
) を組み合わせたものです。
plain+v0
バンドル形式はスキーマバージョン v0
です。これは、変更される可能性がある実験的な形式であることを意味します。
たとえば、以下は、plain+v0
バンドルのファイルツリーを示しています。アプリケーションのデプロイに必要な Kubernetes リソースを含む manifests/
ディレクトリーが必要です。
plain+v0
バンドルファイルツリーの例
$ tree manifests manifests ├── namespace.yaml ├── service_account.yaml ├── cluster_role.yaml ├── cluster_role_binding.yaml └── deployment.yaml
静的マニフェストは、プロビジョナーがアンパックできる有効な plain+v0
バンドルになるように、少なくとも 1 つのリソースを含む manifests/
ディレクトリーに配置する必要があります。manifests/
ディレクトリーもフラットである必要があります。すべてのマニフェストは、サブディレクトリーのない最上位にある必要があります。
静的なマニフェストではないプレーンバンドルの manifests/
ディレクトリーにコンテンツを含めないでください。そうしないと、そのバンドルからクラスター上でコンテンツを作成するときにエラーが発生します。oc apply
コマンドで正常に適用されないファイルは、エラーになります。マルチオブジェクト YAML または JSON ファイルも有効です。
2.2.3.1.3. レジストリーバンドルの仕様
レジストリーバンドル、または registry+v1
バンドルには、従来の Operator Lifecycle Manager (OLM) バンドル形式で編成された一連の静的 Kubernetes YAML マニフェストが含まれています。
関連情報
2.2.3.2. BundleDeployment
BundleDeployment
オブジェクトは、オブジェクトのインストールと削除によって Kubernetes クラスターの状態を変更します。インストールされるコンテンツを検証して信頼し、RBAC を使用して BundleDeployment
API へのアクセスを、それらのアクセス許可を必要とするユーザーのみに制限することが重要です。
RukPak BundleDeployment
API は Bundle
オブジェクトを指し、それがアクティブであることを示します。これには、アクティブなバンドルの古いバージョンからのピボットが含まれます。BundleDeployment
オブジェクトには、目的のバンドルの組み込み仕様も含まれる場合があります。
Pod がコンテナーイメージのインスタンスを生成するのと同じように、バンドルのデプロイではデプロイされたバージョンのバンドルが生成されます。バンドルのデプロイは、Pod の概念の一般化と見なすことができます。
バンドルのデプロイが参照されたバンドルに基づいてクラスターに変更を加える方法の詳細は、そのバンドルのデプロイを監視するように設定されているプロビジョナーによって定義されます。
プレーンプロビジョナーと連携するように設定された BundleDeployment
オブジェクトの例
apiVersion: core.rukpak.io/v1alpha1 kind: BundleDeployment metadata: name: my-bundle-deployment spec: provisionerClassName: core-rukpak-io-plain template: metadata: labels: app: my-bundle spec: source: type: image image: ref: my-bundle@sha256:xyz123 provisionerClassName: core-rukpak-io-plain
2.2.3.3. プロビジョナーについて
RukPak は、プロビジョナー と呼ばれる一連のコントローラーで構成され、Kubernetes クラスターにコンテンツをインストールして管理します。RukPak は、Bundle
と BundleDeployment
という 2 つの主要な API も提供します。これらのコンポーネントが連携してコンテンツをクラスターに取り込み、インストールして、クラスター内にリソースを生成します。
2 つのプロビジョナーが現在実装され、RukPak にバンドルされています。これらは、plain+v0
バンドルをソースおよびアンパックする プレーンプロビジョナー と、Operator Lifecycle Manager (OLM) registry+v1
バンドルをソースおよびアンパックする レジストリープロビジョナー です。
各プロビジョナーには一意の ID が割り当てられ、特定の ID に一致する spec.provisionerClassName
フィールドを使用して Bundle
および BundleDeployment
オブジェクトを調整します。たとえば、プレーンプロビジョナーは、指定された plain+v0
バンドルをクラスターにアンパックしてからインスタンス化し、バンドルのコンテンツをクラスターで利用できるようにすることができます。
プロビジョナーは、プロビジョナーを明示的に参照する Bundle
リソースと BundleDeployment
リソースの両方にウォッチを配置します。特定のバンドルについて、プロビジョナーは Bundle
リソースのコンテンツをクラスターにアンパックします。次に、そのバンドルを参照する BundleDeployment
リソースを指定すると、プロビジョナーはバンドルのコンテンツをインストールし、それらのリソースのライフサイクルを管理します。
2.3. 一般的な Operator Framework 用語
このトピックでは、パッケージ形式に関する Operator Lifecycle Manager (OLM) および Operator SDK を含む、Operator Framework に関連する一般的な用語の用語集を提供します。
2.3.1. Operator Framework の一般的な用語
2.3.1.1. バンドル
Bundle Format では、バンドル は Operator CSV、マニフェスト、およびメタデータのコレクションです。さらに、それらはクラスターにインストールできる一意のバージョンの Operator を形成します。
2.3.1.2. バンドルイメージ
Bundle Format では、バンドルイメージ は Operator マニフェストからビルドされ、1 つのバンドルが含まれるコンテナーイメージです。バンドルイメージは、Quay.io または DockerHub などの Open Container Initiative (OCI) 仕様コンテナーレジストリーによって保存され、配布されます。
2.3.1.3. カタログソース
カタログソース は、OLM が Operator およびそれらの依存関係を検出し、インストールするためにクエリーできるメタデータのストアを表します。
2.3.1.4. チャネル
チャネル は Operator の更新ストリームを定義し、サブスクライバーの更新をロールアウトするために使用されます。ヘッドはそのチャネルの最新バージョンを参照します。たとえば stable
チャネルには、Operator のすべての安定したバージョンが最も古いものから最新のものへと編成されます。
Operator には複数のチャネルを含めることができ、特定のチャネルへのサブスクリプションのバインドはそのチャネル内の更新のみを検索します。
2.3.1.5. チャネルヘッド
チャネルヘッド は、特定のチャネル内の最新の既知の更新を指します。
2.3.1.6. クラスターサービスバージョン
クラスターサービスバージョン (CSV) は、クラスターでの Operator の実行に使用される Operator メタデータから作成される YAML マニフェストです。これは、ユーザーインターフェイスにロゴ、説明、およびバージョンなどの情報を設定するために使用される Operator コンテナーイメージに伴うメタデータです。
CSV は、Operator が必要とする RBAC ルールやそれが管理したり、依存したりするカスタムリソース (CR) などの Operator の実行に必要な技術情報の情報源でもあります。
2.3.1.7. 依存関係
Operator はクラスターに存在する別の Operator への 依存関係 を持つ場合があります。たとえば、Vault Operator にはそのデータ永続層について etcd Operator への依存関係があります。
OLM は、インストールフェーズで指定されたすべてのバージョンの Operator および CRD がクラスターにインストールされていることを確認して依存関係を解決します。この依存関係は、必要な CRD API を満たすカタログの Operator を検索し、インストールすることで解決され、パッケージまたはバンドルには関連しません。
2.3.1.8. インデックスイメージ
Bundle Format で、インデックスイメージ は、すべてのバージョンの CSV および CRD を含む Operator バンドルに関する情報が含まれるデータベースのイメージ (データベーススナップショット) を指します。このインデックスは、クラスターで Operator の履歴をホストでき、opm
CLI ツールを使用して Operator を追加または削除することで維持されます。
2.3.1.9. インストール計画
インストール計画 は、CSV を自動的にインストールするか、アップグレードするために作成されるリソースの計算された一覧です。
2.3.1.10. マルチテナントへの対応
OpenShift Container Platform の テナント は、通常は namespace またはプロジェクトによって表される、一連のデプロイされたワークロードに対する共通のアクセスと権限を共有するユーザーまたはユーザーのグループです。テナントを使用して、異なるグループまたはチーム間に一定レベルの分離を提供できます。
クラスターが複数のユーザーまたはグループによって共有されている場合、マルチテナント クラスターと見なされます。
2.3.1.11. Operator グループ
Operator グループ は、OperatorGroup
オブジェクトと同じ namespace にデプロイされたすべての Operator を、namespace のリストまたはクラスター全体でそれらの CR を監視できるように設定します。
2.3.1.12. Package
Bundle Format で、パッケージ は Operator のリリースされたすべての履歴をそれぞれのバージョンで囲むディレクトリーです。Operator のリリースされたバージョンは、CRD と共に CSV マニフェストに記述されます。
2.3.1.13. レジストリー
レジストリー は、Operator のバンドルイメージを保存するデータベースで、それぞれにすべてのチャネルの最新バージョンおよび過去のバージョンすべてが含まれます。
2.3.1.14. サブスクリプション
サブスクリプション は、パッケージのチャネルを追跡して CSV を最新の状態に保ちます。
2.3.1.15. 更新グラフ
更新グラフ は、他のパッケージ化されたソフトウェアの更新グラフと同様に、CSV の複数のバージョンを 1 つにまとめます。Operator を順番にインストールすることも、特定のバージョンを省略することもできます。更新グラフは、新しいバージョンが追加されている状態でヘッドでのみ拡張することが予想されます。
2.4. Operator Lifecycle Manager (OLM)
2.4.1. Operator Lifecycle Manager の概念およびリソース
以下で、OpenShift Container Platform での Operator Lifecycle Manager (OLM) に関連する概念を説明します。
2.4.1.1. Operator Lifecycle Manager について
Operator Lifecycle Manager (OLM) を使用することにより、ユーザーは Kubernetes ネイティブアプリケーション (Operator) および OpenShift Container Platform クラスター全体で実行される関連サービスについてインストール、更新、およびそのライフサイクルの管理を実行できます。これは、Operator を効果的かつ自動化された拡張可能な方法で管理するために設計されたオープンソースツールキットの Operator Framework の一部です。
図2.2 Operator Lifecycle Manager ワークフロー
OpenShift Container Platform 4.15 では、OLM がデフォルトで実行されます。これは、クラスター管理者がクラスターで実行されている Operator をインストールし、アップグレードし、アクセスをこれに付与するのに役立ちます。OpenShift Container Platform Web コンソールでは、クラスター管理者が Operator をインストールし、特定のプロジェクトアクセスを付与して、クラスターで利用可能な Operator のカタログを使用するための管理画面を利用できます。
開発者の場合は、セルフサービスを使用することで、専門的な知識がなくてもデータベースのインスタンスのプロビジョニングや設定、またモニタリング、ビッグデータサービスなどを実行できます。Operator にそれらに関するナレッジが織り込まれているためです。
2.4.1.2. OLM リソース
以下のカスタムリソース定義 (CRD) は Operator Lifecycle Manager (OLM) によって定義され、管理されます。
リソース | 短縮名 | 説明 |
---|---|---|
|
| アプリケーションメタデータ:例: 名前、バージョン、アイコン、必須リソース。 |
|
| CSV、CRD、およびアプリケーションを定義するパッケージのリポジトリー。 |
|
| パッケージのチャネルを追跡して CSV を最新の状態に保ちます。 |
|
| CSV を自動的にインストールするか、アップグレードするために作成されるリソースの計算された一覧。 |
|
|
|
| - |
OLM とそれが管理する Operator との間で通信チャネルを作成します。Operator は |
2.4.1.2.1. クラスターサービスバージョン
クラスターサービスバージョン (CSV) は、OpenShift Container Platform クラスター上で実行中の Operator の特定バージョンを表します。これは、クラスターでの Operator Lifecycle Manager (OLM) の Operator の実行に使用される Operator メタデータから作成される YAML マニフェストです。
OLM は Operator に関するこのメタデータを要求し、これがクラスターで安全に実行できるようにし、Operator の新規バージョンが公開される際に更新を適用する方法に関する情報を提供します。これは従来のオペレーティングシステムのソフトウェアのパッケージに似ています。OLM のパッケージ手順を、rpm
、deb
、または apk
バンドルを作成するステージとして捉えることができます。
CSV には、ユーザーインターフェイスに名前、バージョン、説明、ラベル、リポジトリーリンクおよびロゴなどの情報を設定するために使用される Operator コンテナーイメージに伴うメタデータが含まれます。
CSV は、Operator が管理したり、依存したりするカスタムリソース (CR)、RBAC ルール、クラスター要件、およびインストールストラテジーなどの Operator の実行に必要な技術情報の情報源でもあります。この情報は OLM に対して必要なリソースの作成方法と、Operator をデプロイメントとしてセットアップする方法を指示します。
2.4.1.2.2. カタログソース
カタログソース は、通常コンテナーレジストリーに保存されている インデックスイメージ を参照してメタデータのストアを表します。Operator Lifecycle Manager(OLM) はカタログソースをクエリーし、Operator およびそれらの依存関係を検出してインストールします。OpenShift Container Platform Web コンソールの OperatorHub は、カタログソースで提供される Operator も表示します。
クラスター管理者は、Web コンソールの Administration → Cluster Settings → Configuration → OperatorHub ページを使用して、クラスターで有効なログソースにより提供される Operator の詳細一覧を表示できます。
CatalogSource
オブジェクトの spec
は、Pod の構築方法、または Operator レジストリー gRPC API を提供するサービスとの通信方法を示します。
例2.9 CatalogSource
オブジェクトの例
apiVersion: operators.coreos.com/v1alpha1 kind: CatalogSource metadata: generation: 1 name: example-catalog 1 namespace: openshift-marketplace 2 annotations: olm.catalogImageTemplate: 3 "quay.io/example-org/example-catalog:v{kube_major_version}.{kube_minor_version}.{kube_patch_version}" spec: displayName: Example Catalog 4 image: quay.io/example-org/example-catalog:v1 5 priority: -400 6 publisher: Example Org sourceType: grpc 7 grpcPodConfig: securityContextConfig: <security_mode> 8 nodeSelector: 9 custom_label: <label> priorityClassName: system-cluster-critical 10 tolerations: 11 - key: "key1" operator: "Equal" value: "value1" effect: "NoSchedule" updateStrategy: registryPoll: 12 interval: 30m0s status: connectionState: address: example-catalog.openshift-marketplace.svc:50051 lastConnect: 2021-08-26T18:14:31Z lastObservedState: READY 13 latestImageRegistryPoll: 2021-08-26T18:46:25Z 14 registryService: 15 createdAt: 2021-08-26T16:16:37Z port: 50051 protocol: grpc serviceName: example-catalog serviceNamespace: openshift-marketplace
- 1
CatalogSource
オブジェクトの名前。この値は、要求された namespace で作成される、関連の Pod 名の一部としても使用されます。- 2
- カタログを作成する namespace。カタログを全 namespace のクラスター全体で利用可能にするには、この値を
openshift-marketplace
に設定します。Red Hat が提供するデフォルトのカタログソースもopenshift-marketplace
namespace を使用します。それ以外の場合は、値を特定の namespace に設定し、Operator をその namespace でのみ利用可能にします。 - 3
- 任意: クラスターのアップグレードにより、Operator のインストールがサポートされていない状態になったり、更新パスが継続されなかったりする可能性を回避するために、クラスターのアップグレードの一環として、Operator カタログのインデックスイメージのバージョンを自動的に変更するように有効化することができます。
olm.catalogImageTemplate
アノテーションをインデックスイメージ名に設定し、イメージタグのテンプレートを作成する際に、1 つ以上の Kubernetes クラスターバージョン変数を使用します。アノテーションは、実行時にspec.image
フィールドを上書きします。詳細は、「カスタムカタログソースのイメージテンプレート」のセクションを参照してください。 - 4
- Web コンソールおよび CLI でのカタログの表示名。
- 5
- カタログのインデックスイメージ。オプションで、
olm.catalogImageTemplate
アノテーションを使用して実行時のプル仕様を設定する場合には、省略できます。 - 6
- カタログソースの重み。OLM は重みを使用して依存関係の解決時に優先順位付けします。重みが大きい場合は、カタログが重みの小さいカタログよりも優先されることを示します。
- 7
- ソースタイプには以下が含まれます。
-
image
参照のあるgrpc
: OLM はイメージをポーリングし、Pod を実行します。これにより、準拠 API が提供されることが予想されます。 -
address
フィールドのあるgrpc
: OLM は所定アドレスでの gRPC API へのアクセスを試行します。これはほとんどの場合使用することができません。 -
configmap
: OLM は設定マップデータを解析し、gRPC API を提供できる Pod を実行します。
-
- 8
legacy
またはrestricted
の値を指定します。フィールドが設定されていない場合、デフォルト値はlegacy
です。今後の OpenShift Container Platform リリースでは、デフォルト値がrestricted
になる予定です。restricted
権限でカタログを実行できない場合は、このフィールドを手動でlegacy
に設定することを推奨します。- 9
- オプション:
grpc
タイプのカタログソースの場合は、spec.image
でコンテンツを提供する Pod のデフォルトのノードセレクターをオーバーライドします (定義されている場合)。 - 10
- オプション:
grpc
タイプのカタログソースの場合は、spec.image
でコンテンツを提供する Pod のデフォルトの優先度クラス名をオーバーライドします (定義されている場合)。Kubernetes は、デフォルトで優先度クラスsystem-cluster-critical
およびsystem-node-critical
を提供します。フィールドを空 (""
) に設定すると、Pod にデフォルトの優先度が割り当てられます。他の優先度クラスは、手動で定義できます。 - 11
- オプション:
grpc
タイプのカタログソースの場合は、spec.image
でコンテンツを提供する Pod のデフォルトの Toleration をオーバーライドします (定義されている場合)。 - 12
- 最新の状態を維持するために、特定の間隔で新しいバージョンの有無を自動的にチェックします。
- 13
- カタログ接続が最後に監視された状態。以下に例を示します。
-
READY
: 接続が正常に確立されました。 -
CONNECTING
: 接続が確立中です。 -
TRANSIENT_FAILURE
: タイムアウトなど、接続の確立時一時的な問題が発生しました。状態は最終的にCONNECTING
に戻り、再試行されます。
詳細は、gRPC ドキュメントの 接続の状態 を参照してください。
-
- 14
- カタログイメージを保存するコンテナーレジストリーがポーリングされ、イメージが最新の状態であることを確認します。
- 15
- カタログの Operator レジストリーサービスのステータス情報。
サブスクリプションの CatalogSource
オブジェクトの name
を参照すると、要求された Operator を検索する場所を、OLM に指示します。
例2.10 カタログソースを参照する Subscription
オブジェクトの例
apiVersion: operators.coreos.com/v1alpha1 kind: Subscription metadata: name: example-operator namespace: example-namespace spec: channel: stable name: example-operator source: example-catalog sourceNamespace: openshift-marketplace
関連情報
2.4.1.2.2.1. カスタムカタログソースのイメージテンプレート
基礎となるクラスターとの Operator との互換性は、さまざまな方法でカタログソースにより表現できます。デフォルトのRed Hat 提供カタログソースに使用される 1 つの方法として、OpenShift Container Platform 4.15 などの特定のプラットフォームリリース用として特別に作成されるインデックスイメージのイメージタグを特定する方法があります。
クラスターのアップグレード時に、Red Hat が提供するデフォルトのカタログソースのインデックスイメージのタグは、Operator Lifecycle Manager (OLM) が最新版のカタログをプルするように、Cluster Version Operator (CVO) により自動更新されます。たとえば、OpenShift Container Platform 4.14 から 4.15 へのアップグレード時に、redhat-operators
カタログの CatalogSource
オブジェクトの spec.image
フィールドは以下のようになります。
registry.redhat.io/redhat/redhat-operator-index:v4.14
更新後は次のようになります。
registry.redhat.io/redhat/redhat-operator-index:v4.15
ただし、CVO ではカスタムカタログのイメージタグは自動更新されません。クラスターのアップグレード後、ユーザーが互換性があり、サポート対象の Operator のインストールを確実に行えるようにするには、カスタムカタログも更新して、更新されたインデックスイメージを参照する必要があります。
OpenShift Container Platform 4.9 以降、クラスター管理者はカスタムカタログの CatalogSource
オブジェクトの olm.catalogImageTemplate
アノテーションを、テンプレートなどのイメージ参照に追加できます。以下の Kubernetes バージョン変数は、テンプレートで使用できるようにサポートされています。
-
kube_major_version
-
kube_minor_version
-
kube_patch_version
OpenShift Container Platform クラスターのバージョンはテンプレートに現在しようできないので、このクラスターではなく、Kubernetes クラスターのバージョンを指定する必要があります。
更新された Kubernetes バージョンを指定するタグでインデックスイメージを作成してプッシュしている場合に、このアノテーションを設定すると、カスタムカタログのインデックスイメージのバージョンがクラスターのアップグレード後に自動的に変更されます。アノテーションの値は、CatalogSource
オブジェクトの spec.image
フィールドでイメージ参照を設定したり、更新したりするために使用されます。こうすることで、サポートなしの状態や、継続する更新パスなしの状態で Operator がインストールされないようにします。
格納されているレジストリーがどれであっても、クラスターのアップグレード時に、クラスターが、更新されたタグを含むインデックスイメージにアクセスできるようにする必要があります。
例2.11 イメージテンプレートを含むカタログソースの例
apiVersion: operators.coreos.com/v1alpha1 kind: CatalogSource metadata: generation: 1 name: example-catalog namespace: openshift-marketplace annotations: olm.catalogImageTemplate: "quay.io/example-org/example-catalog:v{kube_major_version}.{kube_minor_version}" spec: displayName: Example Catalog image: quay.io/example-org/example-catalog:v1.28 priority: -400 publisher: Example Org
spec.image
フィールドおよび olm.catalogImageTemplate
アノテーションの両方が設定されている場合には、spec.image
フィールドはアノテーションから解決された値で上書きされます。アノテーションが使用可能なプル仕様に対して解決されない場合は、カタログソースは spec.image
値にフォールバックします。
spec.image
フィールドが設定されていない場合に、アノテーションが使用可能なプル仕様に対して解決されない場合は、OLM はカタログソースの調整を停止し、人間が判読できるエラー条件に設定します。
Kubernetes 1.28 を使用する OpenShift Container Platform 4.15 クラスターでは、前述の例の olm.catalogImageTemplate
アノテーションは以下のイメージ参照に解決されます。
quay.io/example-org/example-catalog:v1.28
OpenShift Container Platform の今後のリリースでは、より新しい OpenShift Container Platform バージョンが使用する、より新しい Kubernetes バージョンを対象とした、カスタムカタログの更新済みインデックスイメージを作成できます。アップグレード前に olm.catalogImageTemplate
アノテーションを設定してから、クラスターを新しい OpenShift Container Platform バージョンにアップグレードすると、カタログのインデックスイメージも自動的に更新されます。
2.4.1.2.2.2. カタログの正常性要件
クラスター上の Operator カタログは、インストール解決の観点から相互に置き換え可能です。Subscription
オブジェクトは特定のカタログを参照する場合がありますが、依存関係はクラスターのすべてのカタログを使用して解決されます。
たとえば、カタログ A が正常でない場合、カタログ A を参照するサブスクリプションはカタログ B の依存関係を解決する可能性があります。通常、B のカタログ優先度は A よりも低いため、クラスター管理者はこれおを想定していない可能性があります。
その結果、OLM では、特定のグローバル namespace (デフォルトの openshift-marketplace
namespace やカスタムグローバル namespace など) を持つすべてのカタログが正常であることが必要になります。カタログが正常でない場合、その共有グローバル namespace 内のすべての Operator のインストールまたは更新操作は、CatalogSourcesUnhealthy
状態で失敗します。正常でない状態でこれらの操作が許可されている場合、OLM はクラスター管理者が想定しない解決やインストールを決定する可能性があります。
クラスター管理者が、カタログが正常でないことを確認し、無効とみなして Operator インストールを再開する必要がある場合は、「カスタムカタログの削除」または「デフォルトの OperatorHub カタログソースの無効化」セクションで、正常でないカタログの削除について確認してください。
2.4.1.2.3. サブスクリプション
サブスクリプション は、Subscription
オブジェクトによって定義され、Operator をインストールする意図を表します。これは、Operator をカタログソースに関連付けるカスタムリソースです。
サブスクリプションは、サブスクライブする Operator パッケージのチャネルや、更新を自動または手動で実行するかどうかを記述します。サブスクリプションが自動に設定された場合、Operator Lifecycle Manager (OLM) が Operator を管理し、アップグレードして、最新バージョンがクラスター内で常に実行されるようにします。
Subscription
オブジェクトの例
apiVersion: operators.coreos.com/v1alpha1 kind: Subscription metadata: name: example-operator namespace: example-namespace spec: channel: stable name: example-operator source: example-catalog sourceNamespace: openshift-marketplace
この Subscription
オブジェクトは、Operator の名前と namespace、および Operator データのあるカタログを定義します。alpha
、beta
、または stable
などのチャネルは、カタログソースからインストールする必要のある Operator ストリームを判別するのに役立ちます。
サブスクリプションのチャネルの名前は Operator 間で異なる可能性がありますが、命名スキームは指定された Operator 内の一般的な規則に従う必要があります。たとえば、チャネル名は Operator によって提供されるアプリケーションのマイナーリリース更新ストリーム (1.2
、1.3
) またはリリース頻度 (stable
、fast
) に基づく可能性があります。
OpenShift Container Platform Web コンソールから簡単に表示されるだけでなく、関連するサブスクリプションのステータスを確認して、Operator の新規バージョンが利用可能になるタイミングを特定できます。currentCSV
フィールドに関連付けられる値は OLM に認識される最新のバージョンであり、installedCSV
はクラスターにインストールされるバージョンです。
2.4.1.2.4. インストール計画
InstallPlan
オブジェクトによって定義される インストール計画 は、Operator Lifecycle Manager(OLM) が特定バージョンの Operator をインストールまたはアップグレードするために作成するリソースのセットを記述します。バージョンはクラスターサービスバージョン (CSV) で定義されます。
Operator、クラスター管理者、または Operator インストールパーミッションが付与されているユーザーをインストールするには、まず Subscription
オブジェクトを作成する必要があります。サブスクリプションでは、カタログソースから利用可能なバージョンの Operator のストリームにサブスクライブする意図を表します。次に、サブスクリプションは InstallPlan
オブジェクトを作成し、Operator のリソースのインストールを容易にします。
その後、インストール計画は、以下の承認ストラテジーのいずれかをもとに承認される必要があります。
-
サブスクリプションの
spec.installPlanApproval
フィールドがAutomatic
に設定されている場合には、インストール計画は自動的に承認されます。 -
サブスクリプションの
spec.installPlanApproval
フィールドがManual
に設定されている場合には、インストール計画はクラスター管理者または適切なパーミッションが割り当てられたユーザーによって手動で承認する必要があります。
インストール計画が承認されると、OLM は指定されたリソースを作成し、サブスクリプションで指定された namespace に Operator をインストールします。
例2.12 InstallPlan
オブジェクトの例
apiVersion: operators.coreos.com/v1alpha1 kind: InstallPlan metadata: name: install-abcde namespace: operators spec: approval: Automatic approved: true clusterServiceVersionNames: - my-operator.v1.0.1 generation: 1 status: ... catalogSources: [] conditions: - lastTransitionTime: '2021-01-01T20:17:27Z' lastUpdateTime: '2021-01-01T20:17:27Z' status: 'True' type: Installed phase: Complete plan: - resolving: my-operator.v1.0.1 resource: group: operators.coreos.com kind: ClusterServiceVersion manifest: >- ... name: my-operator.v1.0.1 sourceName: redhat-operators sourceNamespace: openshift-marketplace version: v1alpha1 status: Created - resolving: my-operator.v1.0.1 resource: group: apiextensions.k8s.io kind: CustomResourceDefinition manifest: >- ... name: webservers.web.servers.org sourceName: redhat-operators sourceNamespace: openshift-marketplace version: v1beta1 status: Created - resolving: my-operator.v1.0.1 resource: group: '' kind: ServiceAccount manifest: >- ... name: my-operator sourceName: redhat-operators sourceNamespace: openshift-marketplace version: v1 status: Created - resolving: my-operator.v1.0.1 resource: group: rbac.authorization.k8s.io kind: Role manifest: >- ... name: my-operator.v1.0.1-my-operator-6d7cbc6f57 sourceName: redhat-operators sourceNamespace: openshift-marketplace version: v1 status: Created - resolving: my-operator.v1.0.1 resource: group: rbac.authorization.k8s.io kind: RoleBinding manifest: >- ... name: my-operator.v1.0.1-my-operator-6d7cbc6f57 sourceName: redhat-operators sourceNamespace: openshift-marketplace version: v1 status: Created ...
2.4.1.2.5. Operator グループ
Operator グループ は、OperatorGroup
リソースによって定義され、マルチテナント設定を OLM でインストールされた Operator に提供します。Operator グループは、そのメンバー Operator に必要な RBAC アクセスを生成するために使用するターゲット namespace を選択します。
ターゲット namespace のセットは、クラスターサービスバージョン (CSV) の olm.targetNamespaces
アノテーションに保存されるコンマ区切りの文字列によって指定されます。このアノテーションは、メンバー Operator の CSV インスタンスに適用され、それらのデプロインメントに展開されます。
関連情報
2.4.1.2.6. Operator 条件
Operator のライフサイクル管理のロールの一部として、Operator Lifecycle Manager (OLM) は、Operator を定義する Kubernetes リソースの状態から Operator の状態を推測します。このアプローチでは、Operator が特定の状態にあることをある程度保証しますが、推測できない情報を Operator が OLM と通信して提供する必要がある場合も多々あります。続いて、OLM がこの情報を使用して、Operator のライフサイクルをより適切に管理することができます。
OLM は、Operator が OLM に条件について通信できる OperatorCondition
というカスタムリソース定義 (CRD) を提供します。OperatorCondition
リソースの Spec.Conditions
配列にある場合に、OLM による Operator の管理に影響するサポートされる条件のセットがあります。
デフォルトでは、Spec.Conditions
配列は、ユーザーによって追加されるか、カスタム Operator ロジックの結果として追加されるまで、OperatorCondition
オブジェクトに存在しません。
関連情報
2.4.2. Operator Lifecycle Manager アーキテクチャー
以下では、OpenShift Container Platform における Operator Lifecycle Manager (OLM) のコンポーネントのアーキテクチャーを説明します。
2.4.2.1. コンポーネントのロール
Operator Lifecycle Manager (OLM) は、OLM Operator および Catalog Operator の 2 つの Operator で構成されています。
これらの Operator はそれぞれ OLM フレームワークのベースとなるカスタムリソース定義 (CRD) を管理します。
リソース | 短縮名 | 所有する Operator | 説明 |
---|---|---|---|
|
| OLM | アプリケーションのメタデータ: 名前、バージョン、アイコン、必須リソース、インストールなど。 |
|
| カタログ | CSV を自動的にインストールするか、アップグレードするために作成されるリソースの計算された一覧。 |
|
| カタログ | CSV、CRD、およびアプリケーションを定義するパッケージのリポジトリー。 |
|
| カタログ | パッケージのチャネルを追跡して CSV を最新の状態に保つために使用されます。 |
|
| OLM |
|
これらの Operator のそれぞれは以下のリソースの作成も行います。
リソース | 所有する Operator |
---|---|
| OLM |
| |
| |
| |
| カタログ |
|
2.4.2.2. OLM Operator
OLM Operator は、CSV で指定された必須リソースがクラスター内にあることが確認された後に CSV リソースで定義されるアプリケーションをデプロイします。
OLM Operator は必須リソースの作成には関与せず、ユーザーが CLI またはカタログ Operator を使用してこれらのリソースを手動で作成することを選択できます。このタスクの分離により、アプリケーションに OLM フレームワークをどの程度活用するかに関連してユーザーによる追加機能の購入を可能にします。
OLM Operator は以下のワークフローを使用します。
- namespace でクラスターサービスバージョン (CSV) の有無を確認し、要件を満たしていることを確認します。
要件が満たされている場合、CSV のインストールストラテジーを実行します。
注記CSV は、インストールストラテジーの実行を可能にするために Operator グループのアクティブなメンバーである必要があります。
2.4.2.3. Catalog Operator
Catalog Operator はクラスターサービスバージョン (CSV) およびそれらが指定する必須リソースを解決し、インストールします。また、カタログソースでチャネル内のパッケージへの更新の有無を確認し、必要な場合はそれらを利用可能な最新バージョンに自動的にアップグレードします。
チャネル内のパッケージを追跡するために、必要なパッケージ、チャネル、および更新のプルに使用する CatalogSource
オブジェクトを設定して Subscription
オブジェクトを作成できます。更新が見つかると、ユーザーに代わって適切な InstallPlan
オブジェクトの namespace への書き込みが行われます。
Catalog Operator は以下のワークフローを使用します。
- クラスターの各カタログソースに接続します。
ユーザーによって作成された未解決のインストール計画の有無を確認し、これがあった場合は以下を実行します。
- 要求される名前に一致する CSV を検索し、これを解決済みリソースとして追加します。
- マネージドまたは必須の CRD のそれぞれについて、これを解決済みリソースとして追加します。
- 必須 CRD のそれぞれについて、これを管理する CSV を検索します。
- 解決済みのインストール計画の有無を確認し、それに関する検出されたすべてのリソースを作成します (ユーザーによって、または自動的に承認される場合)。
- カタログソースおよびサブスクリプションの有無を確認し、それらに基づいてインストール計画を作成します。
2.4.2.4. カタログレジストリー
カタログレジストリーは、クラスター内での作成用に CSV および CRD を保存し、パッケージおよびチャネルに関するメタデータを保存します。
パッケージマニフェスト は、パッケージアイデンティティーを CSV のセットに関連付けるカタログレジストリー内のエントリーです。パッケージ内で、チャネルは特定の CSV を参照します。CSV は置き換え対象の CSV を明示的に参照するため、パッケージマニフェストは Catalog Operator に対し、CSV をチャネル内の最新バージョンに更新するために必要なすべての情報を提供します (各中間バージョンをステップスルー)。
2.4.3. Operator Lifecycle Manager ワークフロー
以下では、OpenShift Container Platform における Operator Lifecycle Manager (OLM) のワークロードを説明します。
2.4.3.1. OLM での Operator のインストールおよびアップグレードのワークフロー
Operator Lifecycle Manager (OLM) エコシステムでは、以下のリソースを使用して Operator インストールおよびアップグレードを解決します。
-
ClusterServiceVersion
(CSV) -
CatalogSource
-
Subscription
CSV で定義される Operator メタデータは、カタログソースというコレクションに保存できます。OLM はカタログソースを使用します。これは Operator Registry API を使用して利用可能な Operator やインストールされた Operator のアップグレードについてクエリーします。
図2.3 カタログソースの概要
カタログソース内で、Operator は パッケージ と チャネル という更新のストリームに編成されます。これは、Web ブラウザーのような継続的なリリースサイクルの OpenShift Container Platform や他のソフトウェアで使用される更新パターンです。
図2.4 カタログソースのパッケージおよびチャネル
ユーザーは サブスクリプション の特定のカタログソースの特定のパッケージおよびチャネルを指定できます (例: etcd
パッケージおよびその alpha
チャネル)。サブスクリプションが namespace にインストールされていないパッケージに対して作成されると、そのパッケージの最新 Operator がインストールされます。
OLM では、バージョンの比較が意図的に避けられます。そのため、所定の catalog → channel → package パスから利用可能な "latest" または "newest" Operator が必ずしも最も高いバージョン番号である必要はありません。これは Git リポジトリーの場合と同様に、チャネルの Head リファレンスとして見なされます。
各 CSV には、これが置き換える Operator を示唆する replaces
パラメーターがあります。これにより、OLM でクエリー可能な CSV のグラフが作成され、更新がチャネル間で共有されます。チャネルは、更新グラフのエントリーポイントと見なすことができます。
図2.5 利用可能なチャネル更新に関する OLM グラフ
パッケージのチャネルの例
packageName: example channels: - name: alpha currentCSV: example.v0.1.2 - name: beta currentCSV: example.v0.1.3 defaultChannel: alpha
カタログソース、パッケージ、チャネルおよび CSV がある状態で、OLM が更新のクエリーを実行できるようにするには、カタログが入力された CSV の置き換え (replaces
) を実行する単一 CSV を明確にかつ確定的に返すことができる必要があります。
2.4.3.1.1. アップグレードパスの例
アップグレードシナリオのサンプルについて、CSV バージョン 0.1.1
に対応するインストールされた Operator について見てみましょう。OLM はカタログソースをクエリーし、新規 CSV バージョン 0.1.3
についてサブスクライブされたチャネルのアップグレードを検出します。これは、古いバージョンでインストールされていない CSV バージョン 0.1.2
を置き換えます。その後、さらに古いインストールされた CSV バージョン 0.1.1
を置き換えます。
OLM は、チャネルヘッドから CSV で指定された replaces
フィールドで以前のバージョンに戻り、アップグレードパス 0.1.3
→ 0.1.2
→ 0.1.1
を判別します。矢印の方向は前者が後者を置き換えることを示します。OLM は、チャネルヘッドに到達するまで Operator を 1 バージョンずつアップグレードします。
このシナリオでは、OLM は Operator バージョン 0.1.2
をインストールし、既存の Operator バージョン 0.1.1
を置き換えます。その後、Operator バージョン 0.1.3
をインストールし、直前にインストールされた Operator バージョン 0.1.2
を置き換えます。この時点で、インストールされた Operator のバージョン 0.1.3
はチャネルヘッドに一致し、アップグレードは完了します。
2.4.3.1.2. アップグレードの省略
OLM のアップグレードの基本パスは以下の通りです。
- カタログソースは Operator への 1 つ以上の更新によって更新されます。
- OLM は、カタログソースに含まれる最新バージョンに到達するまで、Operator のすべてのバージョンを横断します。
ただし、この操作の実行は安全でない場合があります。公開されているバージョンの Operator がクラスターにインストールされていない場合、そのバージョンによって深刻な脆弱性が導入される可能性があるなどの理由でその Operator をがクラスターにインストールできないことがあります。
この場合、OLM は以下の 2 つのクラスターの状態を考慮に入れて、それらの両方に対応する更新グラフを提供する必要があります。
- "問題のある" 中間 Operator がクラスターによって確認され、かつインストールされている。
- "問題のある" 中間 Operator がクラスターにまだインストールされていない。
OLM は、新規カタログを送り、省略されたリリースを追加することで、クラスターの状態や問題のある更新が発見されたかどうかにかかわらず、単一の固有の更新を常に取得することができます。
省略されたリリースの CSV 例
apiVersion: operators.coreos.com/v1alpha1 kind: ClusterServiceVersion metadata: name: etcdoperator.v0.9.2 namespace: placeholder annotations: spec: displayName: etcd description: Etcd Operator replaces: etcdoperator.v0.9.0 skips: - etcdoperator.v0.9.1
古い CatalogSource および 新規 CatalogSource に関する以下の例を見てみましょう。
図2.6 更新のスキップ
このグラフは、以下を示しています。
- 古い CatalogSource の Operator には、新規 CatalogSource の単一の置き換えがある。
- 新規 CatalogSource の Operator には、新規 CatalogSource の単一の置き換えがある。
- 問題のある更新がインストールされていない場合、これがインストールされることはない。
2.4.3.1.3. 複数 Operator の置き換え
説明されているように 新規 CatalogSource を作成するには、1 つの Operator を置き換える (置き換える
) が、複数バージョンを省略 (skip
) できる CSV を公開する必要があります。これは、skipRange
アノテーションを使用して実行できます。
olm.skipRange: <semver_range>
ここで <semver_range>
には、semver ライブラリー でサポートされるバージョン範囲の形式が使用されます。
カタログで更新を検索する場合、チャネルのヘッドに skipRange
アノテーションがあり、現在インストールされている Operator にその範囲内のバージョンフィールドがある場合、OLM はチャネル内の最新エントリーに対して更新されます。
以下は動作が実行される順序になります。
-
サブスクリプションの
sourceName
で指定されるソースのチャネルヘッド (省略する他の条件が満たされている場合)。 -
sourceName
で指定されるソースの現行バージョンを置き換える次の Operator。 - サブスクリプションに表示される別のソースのチャネルヘッド (省略する他の条件が満たされている場合)。
- サブスクリプションに表示されるソースの現行バージョンを置き換える次の Operator。
skipRange
を含む CSV の例
apiVersion: operators.coreos.com/v1alpha1 kind: ClusterServiceVersion metadata: name: elasticsearch-operator.v4.1.2 namespace: <namespace> annotations: olm.skipRange: '>=4.1.0 <4.1.2'
2.4.3.1.4. z-stream サポート
z-streamまたはパッチリリースは、同じマイナーバージョンの以前のすべての z-stream リリースを置き換える必要があります。OLM は、メジャー、マイナーまたはパッチバージョンを考慮せず、カタログ内で正確なグラフのみを作成する必要があります。
つまり、OLM では 古い CatalogSource のようにグラフを使用し、以前と同様に 新規 CatalogSource にあるようなグラフを生成する必要があります。
図2.7 複数 Operator の置き換え
このグラフは、以下を示しています。
- 古い CatalogSource の Operator には、新規 CatalogSource の単一の置き換えがある。
- 新規 CatalogSource の Operator には、新規 CatalogSource の単一の置き換えがある。
- 古い CatalogSource の z-stream リリースは、新規 CatalogSource の最新 z-stream リリースに更新される。
- 使用不可のリリースは "仮想" グラフノードと見なされる。それらのコンテンツは存在する必要がなく、レジストリーはグラフが示すように応答することのみが必要になります。
2.4.4. Operator Lifecycle Manager の依存関係の解決
以下で、OpenShift Container Platform の Operator Lifecycle Manager (OLM) での依存関係の解決およびカスタムリソース定義 (CRD) アップグレードライフサイクルを説明します。
2.4.4.1. 依存関係の解決
Operator Lifecycle Manager (OLM) は、実行中の Operator の依存関係の解決とアップグレードのライフサイクルを管理します。多くの場合、OLM が直面する問題は、yum
やrpm
などの他のシステムまたは言語パッケージマネージャーと同様です。
ただし、OLM にはあるものの、通常同様のシステムにはない 1 つの制約があります。Operator は常に実行されており、OLM は相互に機能しない Operator のセットの共存を防ごうとします。
その結果、以下のシナリオで OLM を使用しないでください。
- 提供できない API を必要とする Operator のセットのインストール
- Operator と依存関係のあるものに障害を発生させる仕方での Operator の更新
これは、次の 2 種類のデータで可能になります。
プロパティー | Operator に関する型付きのメタデータ。これは、依存関係のリゾルバーで Operator の公開インターフェイスを構成します。例としては、Operator が提供する API の group/version/kind (GVK) や Operator のセマンティックバージョン (semver) などがあります。 |
制約または依存関係 | ターゲットクラスターにすでにインストールされているかどうかに関係なく、他の Operator が満たす必要のある Operator の要件。これらは、使用可能なすべての Operator に対するクエリーまたはフィルターとして機能し、依存関係の解決およびインストール中に選択を制限します。クラスターで特定の API が利用できる状態にする必要がある場合や、特定のバージョンに特定の Operator をインストールする必要がある場合など、例として挙げられます。 |
OLM は、これらのプロパティーと制約をブール式のシステムに変換して SAT ソルバーに渡します。これは、ブールの充足可能性を確立するプログラムであり、インストールする Operator を決定する作業を行います。
2.4.4.2. Operator のプロパティー
カタログ内の Operator にはすべて、次のプロパティーが含まれます。
olm.package
- パッケージの名前と Operator のバージョンを含めます。
olm.gvk
- クラスターサービスバージョン (CSV) から提供された API ごとに 1 つのプロパティー
追加のプロパティーは、Operator バンドルの metadata/
ディレクトリーにproperties.yaml
ファイルを追加して、Operator 作成者が直接宣言することもできます。
任意のプロパティーの例
properties: - type: olm.kubeversion value: version: "1.16.0"
2.4.4.2.1. 任意のプロパティー
Operator の作成者は、Operator バンドルのmetadata/
ディレクトリーにあるproperties.yaml
ファイルで任意のプロパティーを宣言できます。これらのプロパティーは、実行時に Operator Lifecycle Manager (OLM) リゾルバーへの入力として使用されるマップデータ構造に変換されます。
これらのプロパティーはリゾルバーには不透明です。リゾルバーはプロパティーについて理解しませんが、これらのプロパティーに対する一般的な制約を評価して、プロパティーリストを指定することで制約を満たすことができるかどうかを判断します。
任意のプロパティーの例
properties: - property: type: color value: red - property: type: shape value: square - property: type: olm.gvk value: group: olm.coreos.io version: v1alpha1 kind: myresource
この構造を使用して、ジェネリック制約の Common Expression Language (CEL) 式を作成できます。
2.4.4.3. Operator の依存関係
Operator の依存関係は、バンドルの metadata/
フォルダー内の dependencies.yaml
ファイルに一覧表示されます。このファイルはオプションであり、現時点では明示的な Operator バージョンの依存関係を指定するためにのみ使用されます。
依存関係の一覧には、依存関係の内容を指定するために各項目の type
フィールドが含まれます。次のタイプの Operator 依存関係がサポートされています。
olm.package
-
このタイプは、特定の Operator バージョンの依存関係であることを意味します。依存関係情報には、パッケージ名とパッケージのバージョンを semver 形式で含める必要があります。たとえば、
0.5.2
などの特定バージョンや>0.5.1
などのバージョンの範囲を指定することができます。 olm.gvk
- このタイプの場合、作成者は CSV の既存の CRD および API ベースの使用方法と同様に group/version/kind (GVK) 情報で依存関係を指定できます。これは、Operator の作成者がすべての依存関係、API または明示的なバージョンを同じ場所に配置できるようにするパスです。
olm.constraint
- このタイプは、任意の Operator プロパティーに対するジェネリック制約を宣言します。
以下の例では、依存関係は Prometheus Operator および etcd CRD について指定されます。
dependencies.yaml
ファイルの例
dependencies: - type: olm.package value: packageName: prometheus version: ">0.27.0" - type: olm.gvk value: group: etcd.database.coreos.com kind: EtcdCluster version: v1beta2
2.4.4.4. 一般的な制約
olm.constraint
プロパティーは、特定のタイプの依存関係制約を宣言し、非制約プロパティーと制約プロパティーを区別します。その値
フィールドは、制約メッセージの文字列表現を保持するfailureMessage
フィールドを含むオブジェクトです。このメッセージは、実行時に制約が満たされない場合に、ユーザーへの参考のコメントとして表示されます。
次のキーは、使用可能な制約タイプを示します。
gvk
-
値と解釈が
olm.gvk
タイプと同じタイプ package
-
値と解釈が
olm.package
タイプと同じタイプ cel
- 任意のバンドルプロパティーとクラスター情報に対して Operator Lifecycle Manager (OLM) リゾルバーによって実行時に評価される Common Expression Language (CEL) 式
all
、any
、not
-
gvk
やネストされた複合制約など、1 つ以上の具体的な制約を含む、論理積、論理和、否定の制約。
2.4.4.4.1. Common Expression Language (CEL) の制約
cel
制約型は、式言語としてCommon Expression Language (CEL)をサポートしています。cel
構造には、Operator が制約を満たしているかどうかを判断するために、実行時に Operator プロパティーに対して評価される CEL 式文字列を含む rule
フィールドがあります。
cel
制約の例
type: olm.constraint value: failureMessage: 'require to have "certified"' cel: rule: 'properties.exists(p, p.type == "certified")'
CEL 構文は、AND
や OR
などの幅広い論理演算子をサポートします。その結果、単一の CEL 式は、これらの論理演算子で相互にリンクされる複数の条件に対して複数のルールを含めることができます。これらのルールは、バンドルまたは任意のソースからの複数の異なるプロパティーのデータセットに対して評価され、出力は、単一の制約内でこれらのルールのすべてを満たす単一のバンドルまたは Operator に対して解決されます。
複数のルールが指定されたcel
制約の例
type: olm.constraint value: failureMessage: 'require to have "certified" and "stable" properties' cel: rule: 'properties.exists(p, p.type == "certified") && properties.exists(p, p.type == "stable")'
2.4.4.4.2. 複合制約 (all, any, not)
複合制約タイプは、論理定義に従って評価されます。
以下は、2 つのパッケージと 1 つの GVK の接続制約 (all
) の例です。つまり、インストールされたバンドルがすべての制約を満たす必要があります。
all
制約の例
schema: olm.bundle name: red.v1.0.0 properties: - type: olm.constraint value: failureMessage: All are required for Red because... all: constraints: - failureMessage: Package blue is needed for... package: name: blue versionRange: '>=1.0.0' - failureMessage: GVK Green/v1 is needed for... gvk: group: greens.example.com version: v1 kind: Green
以下は、同じ GVK の 3 つのバージョンの選言的制約 ( any
) の例です。つまり、インストールされたバンドルが少なくとも 1 つの制約を満たす必要があります。
any
制約の例
schema: olm.bundle name: red.v1.0.0 properties: - type: olm.constraint value: failureMessage: Any are required for Red because... any: constraints: - gvk: group: blues.example.com version: v1beta1 kind: Blue - gvk: group: blues.example.com version: v1beta2 kind: Blue - gvk: group: blues.example.com version: v1 kind: Blue
以下は、GVK の 1 つのバージョンの否定制約 (not
) の例です。つまり、この結果セットのバンドルでは、この GVK を提供できません。
not
の制約例
schema: olm.bundle name: red.v1.0.0 properties: - type: olm.constraint value: all: constraints: - failureMessage: Package blue is needed for... package: name: blue versionRange: '>=1.0.0' - failureMessage: Cannot be required for Red because... not: constraints: - gvk: group: greens.example.com version: v1alpha1 kind: greens
否定のセマンティクスは、not
制約のコンテキストで不明確であるように見える場合があります。つまり、この否定では、特定の GVK、あるバージョンのパッケージを含むソリューション、または結果セットからの子の複合制約を満たすソリューションを削除するように、リゾルバーに対して指示を出しています。
当然の結果として、最初に可能な依存関係のセットを選択せずに否定することは意味がないため、複合ではnot
制約はall
またはany
制約内でのみ使用する必要があります。
2.4.4.4.3. ネストされた複合制約
ネストされた複合制約 (少なくとも 1 つの子複合制約と 0 個以上の単純な制約を含む制約) は、前述の各制約タイプの手順に従って、下から上に評価されます。
以下は、接続詞の論理和の例で、one、the other、または both が制約を満たすことができます。
ネストされた複合制約の例
schema: olm.bundle name: red.v1.0.0 properties: - type: olm.constraint value: failureMessage: Required for Red because... any: constraints: - all: constraints: - package: name: blue versionRange: '>=1.0.0' - gvk: group: blues.example.com version: v1 kind: Blue - all: constraints: - package: name: blue versionRange: '<1.0.0' - gvk: group: blues.example.com version: v1beta1 kind: Blue
olm.constraint
タイプの最大 raw サイズは 64KB に設定されており、リソース枯渇攻撃を制限しています。
2.4.4.5. 依存関係の設定
Operator の依存関係を同等に満たすオプションが多数ある場合があります。Operator Lifecycle Manager (OLM) の依存関係リゾルバーは、要求された Operator の要件に最も適したオプションを判別します。Operator の作成者またはユーザーとして、依存関係の解決が明確になるようにこれらの選択方法を理解することは重要です。
2.4.4.5.1. カタログの優先順位
OpenShift Container Platform クラスターでは、OLM はカタログソースを読み取り、インストールに使用できる Operator を確認します。
CatalogSource
オブジェクトの例
apiVersion: "operators.coreos.com/v1alpha1"
kind: "CatalogSource"
metadata:
name: "my-operators"
namespace: "operators"
spec:
sourceType: grpc
grpcPodConfig:
securityContextConfig: <security_mode> 1
image: example.com/my/operator-index:v1
displayName: "My Operators"
priority: 100
- 1
legacy
またはrestricted
の値を指定します。フィールドが設定されていない場合、デフォルト値はlegacy
です。今後の OpenShift Container Platform リリースでは、デフォルト値がrestricted
になる予定です。restricted
権限でカタログを実行できない場合は、このフィールドを手動でlegacy
に設定することを推奨します。
CatalogSource
オブジェクトには priority
フィールドがあります。このフィールドは、依存関係のオプションを優先する方法を把握するためにリゾルバーによって使用されます。
カタログ設定を規定する 2 つのルールがあります。
- 優先順位の高いカタログにあるオプションは、優先順位の低いカタログのオプションよりも優先されます。
- 依存オブジェクトと同じカタログにあるオプションは他のカタログよりも優先されます。
2.4.4.5.2. チャネルの順序付け
カタログの Operator パッケージは、ユーザーが OpenShift Container Platform クラスターでサブスクライブできる更新チャネルのコレクションです。チャネルは、マイナーリリース (1.2
、1.3
) またはリリース頻度 (stable
、fast
) に関する特定の更新ストリームを提供するために使用できます。
同じパッケージの Operator によって依存関係が満たされる可能性がありますが、その場合、異なるチャネルの Operator のバージョンによって満たされる可能性があります。たとえば、Operator のバージョン 1.2
は stable
および fast
チャネルの両方に存在する可能性があります。
それぞれのパッケージにはデフォルトのチャネルがあり、これは常にデフォルト以外のチャネルよりも優先されます。デフォルトチャネルのオプションが依存関係を満たさない場合には、オプションは、チャネル名の辞書式順序 (lexicographic order) で残りのチャネルから検討されます。
2.4.4.5.3. チャネル内での順序
ほとんどの場合、単一のチャネル内に依存関係を満たすオプションが複数あります。たとえば、1 つのパッケージおよびチャネルの Operator は同じセットの API を提供します。
ユーザーがサブスクリプションを作成すると、それらはどのチャネルから更新を受け取るかを示唆します。これにより、すぐにその 1 つのチャネルだけに検索が絞られます。ただし、チャネル内では、多くの Operator が依存関係を満たす可能性があります。
チャネル内では、更新グラフでより上位にある新規 Operator が優先されます。チャネルのヘッドが依存関係を満たす場合、これがまず試行されます。
2.4.4.5.4. その他の制約
OLM には、パッケージの依存関係で指定される制約のほかに、必要なユーザーの状態を表し、常にメンテナンスする必要のある依存関係の解決を適用するための追加の制約が含まれます。
2.4.4.5.4.1. サブスクリプションの制約
サブスクリプションの制約は、サブスクリプションを満たすことのできる Operator のセットをフィルターします。サブスクリプションは、依存関係リゾルバーに関するユーザー指定の制約です。それらは、クラスター上にない場合は新規 Operator をインストールすることを宣言するか、既存 Operator の更新された状態を維持することを宣言します。
2.4.4.5.4.2. パッケージの制約
namespace 内では、2 つの Operator が同じパッケージから取得されることはありません。
2.4.4.5.5. 関連情報
2.4.4.6. CRD のアップグレード
OLM は、単一のクラスターサービスバージョン (CSV) によって所有されている場合にはカスタムリソース定義 (CRD) をすぐにアップグレードします。CRD が複数の CSV によって所有されている場合、CRD は、以下の後方互換性の条件のすべてを満たす場合にアップグレードされます。
- 現行 CRD の既存の有効にされたバージョンすべてが新規 CRD に存在する。
- 検証が新規 CRD の検証スキーマに対して行われる場合、CRD の提供バージョンに関連付けられる既存インスタンスまたはカスタムリソースすべてが有効である。
2.4.4.7. 依存関係のベストプラクティス
依存関係を指定する際には、ベストプラクティスを考慮する必要があります。
- Operator の API または特定のバージョン範囲によって異なります。
-
Operator は API をいつでも追加または削除できます。Operator が必要とする API に
olm.gvk
依存関係を常に指定できます。これの例外は、olm.package
制約を代わりに指定する場合です。 - 最小バージョンの設定
API の変更に関する Kubernetes ドキュメントでは、Kubernetes 形式の Operator で許可される変更を説明しています。これらのバージョン管理規則により、Operator は API バージョンに後方互換性がある限り、API バージョンに影響を与えずに API を更新することができます。
Operator の依存関係の場合、依存関係の API バージョンを把握するだけでは、依存する Operator が確実に意図された通りに機能することを確認できないことを意味します。
以下に例を示します。
-
TestOperator v1.0.0 は、v1alpha1 API バージョンの
MyObject
リソースを提供します。 -
TestOperator v1.0.1 は新しいフィールド
spec.newfield
をMyObject
に追加しますが、v1alpha1 のままになります。
Operator では、
spec.newfield
をMyObject
リソースに書き込む機能が必要になる場合があります。olm.gvk
制約のみでは、OLM で TestOperator v1.0.0 ではなく TestOperator v1.0.1 が必要であると判断することはできません。可能な場合には、API を提供する特定の Operator が事前に分かっている場合、最小値を設定するために追加の
olm.package
制約を指定します。-
TestOperator v1.0.0 は、v1alpha1 API バージョンの
- 最大バージョンを省略するか、幅広いバージョンを許可します。
Operator は API サービスや CRD などのクラスタースコープのリソースを提供するため、依存関係に小規模な範囲を指定する Operator は、その依存関係の他のコンシューマーの更新に不要な制約を加える可能性があります。
可能な場合は、最大バージョンを設定しないでください。または、他の Operator との競合を防ぐために、幅広いセマンティクスの範囲を設定します。例:
>1.0.0 <2.0.0
従来のパッケージマネージャーとは異なり、Operator の作成者は更新が OLM のチャネルで更新を安全に行われるように Operator を明示的にエンコードします。更新が既存のサブスクリプションで利用可能な場合、Operator の作成者がこれが以前のバージョンから更新できることを示唆していることが想定されます。依存関係の最大バージョンを設定すると、特定の上限で不必要な切り捨てが行われることにより、作成者の更新ストリームが上書きされます。
注記クラスター管理者は、Operator の作成者が設定した依存関係を上書きすることはできません。
ただし、回避する必要がある非互換性があることが分かっている場合は、最大バージョンを設定でき、およびこれを設定する必要があります。特定のバージョンは、バージョン範囲の構文 (例:
1.0.0 !1.2.1
) で省略できます。
関連情報
- Kubernetes ドキュメント: Changing the API
2.4.4.8. 依存関係に関する注意事項
依存関係を指定する際には、考慮すべき注意事項があります。
- 複合制約がない (AND)
現時点で、制約の間に AND 関係を指定する方法はありません。つまり、ある Operator が、所定の API を提供し、バージョン
>1.1.0
を持つ別の Operator に依存するように指定することはできません。依存関係を指定すると、以下のようになります。
dependencies: - type: olm.package value: packageName: etcd version: ">3.1.0" - type: olm.gvk value: group: etcd.database.coreos.com kind: EtcdCluster version: v1beta2
OLM は EtcdCluster を提供する Operator とバージョン
>3.1.0
を持つ Operator の 2 つの Operator で、上記の依存関係の例の条件を満たすことができる可能性があります。その場合や、または両方の制約を満たす Operator が選択されるかどうかは、選択できる可能性のあるオプションが参照される順序によって変わります。依存関係の設定および順序のオプションは十分に定義され、理にかなったものであると考えられますが、Operator は継続的に特定のメカニズムをベースとする必要があります。- namespace 間の互換性
- OLM は namespace スコープで依存関係の解決を実行します。ある namespace での Operator の更新が別の namespace の Operator の問題となる場合、更新のデッドロックが生じる可能性があります。
2.4.4.9. 依存関係解決のシナリオ例
以下の例で、プロバイダー は CRD または API サービスを "所有" する Operator です。
例: 依存 API を非推奨にする
A および B は API (CRD):
- A のプロバイダーは B によって異なる。
- B のプロバイダーにはサブスクリプションがある。
- B のプロバイダーは C を提供するように更新するが、B を非推奨にする。
この結果は以下のようになります。
- B にはプロバイダーがなくなる。
- A は機能しなくなる。
これは OLM がアップグレードストラテジーで回避するケースです。
例: バージョンのデッドロック
A および B は API である:
- A のプロバイダーは B を必要とする。
- B のプロバイダーは A を必要とする。
- A のプロバイダーは (A2 を提供し、B2 を必要とするように) 更新し、A を非推奨にする。
- B のプロバイダーは (B2 を提供し、A2 を必要とするように) 更新し、B を非推奨にする。
OLM が B を同時に更新せずに A を更新しようとする場合や、その逆の場合、OLM は、新しい互換性のあるセットが見つかったとしても Operator の新規バージョンに進むことができません。
これは OLM がアップグレードストラテジーで回避するもう 1 つのケースです。
2.4.5. Operator グループ
以下では、OpenShift Container Platform で Operator Lifecycle Manager (OLM) を使用した Operator グループの使用を説明します。
2.4.5.1. Operator グループについて
Operator グループ は、OperatorGroup
リソースによって定義され、マルチテナント設定を OLM でインストールされた Operator に提供します。Operator グループは、そのメンバー Operator に必要な RBAC アクセスを生成するために使用するターゲット namespace を選択します。
ターゲット namespace のセットは、クラスターサービスバージョン (CSV) の olm.targetNamespaces
アノテーションに保存されるコンマ区切りの文字列によって指定されます。このアノテーションは、メンバー Operator の CSV インスタンスに適用され、それらのデプロインメントに展開されます。
2.4.5.2. Operator グループメンバーシップ
Operator は、以下の条件が true の場合に Operator グループの メンバー とみなされます。
- Operator の CSV が Operator グループと同じ namespace にある。
- Operator の CSV のインストールモードは Operator グループがターゲットに設定する namespace のセットをサポートする。
CSV のインストールモードは InstallModeType
フィールドおよびブール値の Supported
フィールドで構成されます。CSV の仕様には、4 つの固有の InstallModeTypes
のインストールモードのセットを含めることができます。
InstallMode タイプ | 説明 |
---|---|
| Operator は、独自の namespace を選択する Operator グループのメンバーにすることができます。 |
| Operator は 1 つの namespace を選択する Operator グループのメンバーにすることができます。 |
| Operator は複数の namespace を選択する Operator グループのメンバーにすることができます。 |
|
Operator はすべての namespace を選択する Operator グループのメンバーにすることができます (設定されるターゲット namespace は空の文字列 |
CSV の仕様が InstallModeType
のエントリーを省略する場合、そのタイプは暗黙的にこれをサポートする既存エントリーによってサポートが示唆されない限り、サポートされないものとみなされます。
2.4.5.3. ターゲット namespace の選択
spec.targetNamespaces
パラメーターを使用して Operator グループのターゲット namespace に名前を明示的に指定することができます。
apiVersion: operators.coreos.com/v1 kind: OperatorGroup metadata: name: my-group namespace: my-namespace spec: targetNamespaces: - my-namespace
または、spec.selector
パラメーターでラベルセレクターを使用して namespace を指定することもできます。
apiVersion: operators.coreos.com/v1 kind: OperatorGroup metadata: name: my-group namespace: my-namespace spec: selector: cool.io/prod: "true"
spec.targetNamespaces
で複数の namespace をリスト表示したり、spec.selector
でラベルセレクターを使用したりすることは推奨されません。Operator グループの複数のターゲット namespace のサポートは今後のリリースで取り除かれる可能性があります。
spec.targetNamespaces
と spec.selector
の両方が定義されている場合、spec.selector
は無視されます。または、spec.selector
と spec.targetNamespaces
の両方を省略し、global Operator グループを指定できます。これにより、すべての namespace が選択されます。
apiVersion: operators.coreos.com/v1 kind: OperatorGroup metadata: name: my-group namespace: my-namespace
選択された namespace の解決済みのセットは Operator グループの status.namespaces
パラメーターに表示されます。グローバル Operator グループの status.namespace
には空の文字列 (""
) が含まれます。 これは、消費する Operator に対し、すべての namespace を監視するように示唆します。
2.4.5.4. Operator グループの CSV アノテーション
Operator グループのメンバー CSV には以下のアノテーションがあります。
アノテーション | 説明 |
---|---|
| Operator グループの名前が含まれます。 |
| Operator グループの namespace が含まれます。 |
| Operator グループのターゲット namespace 選択をリスト表示するコンマ区切りの文字列が含まれます。 |
olm.targetNamespaces
以外のすべてのアノテーションがコピーされた CSV と共に含まれます。olm.targetNamespaces
アノテーションをコピーされた CSV で省略すると、テナント間のターゲット namespace の重複が回避されます。
2.4.5.5. 提供される API アノテーション
group/version/kind(GVK) は Kubernetes API の一意の識別子です。Operator グループによって提供される GVK に関する情報が olm.providedAPIs
アノテーションに表示されます。アノテーションの値は、コンマで区切られた <kind>.<version>.<group>
で構成される文字列です。Operator グループのすべてのアクティブメンバーの CSV によって提供される CRD および API サービスの GVK が含まれます。
PackageManifest
リースを提供する単一のアクティブメンバー CSV を含む OperatorGroup
オブジェクトの以下の例を確認してください。
apiVersion: operators.coreos.com/v1 kind: OperatorGroup metadata: annotations: olm.providedAPIs: PackageManifest.v1alpha1.packages.apps.redhat.com name: olm-operators namespace: local ... spec: selector: {} serviceAccount: metadata: creationTimestamp: null targetNamespaces: - local status: lastUpdated: 2019-02-19T16:18:28Z namespaces: - local
2.4.5.6. ロールベースのアクセス制御
Operator グループの作成時に、3 つのクラスタールールが生成されます。それぞれには、以下に示すようにクラスターロールセレクターがラベルに一致するように設定された単一の集計ルールが含まれます。
クラスターロール | 一致するラベル |
---|---|
|
|
|
|
|
|
以下の RBAC リソースは、CSV が AllNamespaces
インストールモードのあるすべての namespace を監視しており、理由が InterOperatorGroupOwnerConflict
の失敗状態にない限り、CSV が Operator グループのアクティブメンバーになる際に生成されます。
- CRD からの各 API リソースのクラスターロール
- API サービスからの各 API リソースのクラスターロール
- 追加のロールおよびロールバインディング
クラスターロール | 設定 |
---|---|
|
集計ラベル:
|
|
集計ラベル:
|
|
集計ラベル:
|
|
Verbs on
集計ラベル:
|
クラスターロール | 設定 |
---|---|
|
集計ラベル:
|
|
集計ラベル:
|
|
集計ラベル:
|
追加のロールおよびロールバインディング
-
CSV が
*
が含まれる 1 つのターゲット namespace を定義する場合、クラスターロールと対応するクラスターロールバインディングが CSV のpermissions
フィールドに定義されるパーミッションごとに生成されます。生成されたすべてのリソースにはolm.owner: <csv_name>
およびolm.owner.namespace: <csv_namespace>
ラベルが付与されます。 -
CSV が
*
が含まれる 1 つのターゲット namespace を定義 しない 場合、olm.owner: <csv_name>
およびolm.owner.namespace: <csv_namespace>
ラベルの付いた Operator namespace にあるすべてのロールおよびロールバインディングがターゲット namespace にコピーされます。
2.4.5.7. コピーされる CSV
OLM は、それぞれの Operator グループのターゲット namespace の Operator グループのすべてのアクティブな CSV のコピーを作成します。コピーされる CSV の目的は、ユーザーに対して、特定の Operator が作成されるリソースを監視するように設定されたターゲット namespace について通知することにあります。
コピーされる CSV にはステータスの理由 Copied
があり、それらのソース CSV のステータスに一致するように更新されます。olm.targetNamespaces
アノテーションは、クラスター上でコピーされる CSV が作成される前に取られます。ターゲット namespace 選択を省略すると、テナント間のターゲット namespace の重複が回避されます。
コピーされる CSV はそれらのソース CSV が存在しなくなるか、それらのソース CSV が属する Operator グループが、コピーされた CSV の namespace をターゲットに設定しなくなると削除されます。
デフォルトでは、disableCopiedCSVs
フィールドは無効になっています。disableCopiedCSVs
フィールドを有効にすると、OLM はクラスター上の既存のコピーされた CSV を削除します。disableCopiedCSVs
フィールドが無効になると、OLM はコピーされた CSV を再度追加します。
disableCopiedCSVs
フィールドを無効にします。$ cat << EOF | oc apply -f - apiVersion: operators.coreos.com/v1 kind: OLMConfig metadata: name: cluster spec: features: disableCopiedCSVs: false EOF
disableCopiedCSVs
フィールドを有効にします。$ cat << EOF | oc apply -f - apiVersion: operators.coreos.com/v1 kind: OLMConfig metadata: name: cluster spec: features: disableCopiedCSVs: true EOF
2.4.5.8. 静的 Operator グループ
Operator グループはその spec.staticProvidedAPIs
フィールドが true
に設定されると 静的 になります。その結果、OLM は Operator グループの olm.providedAPIs
アノテーションを変更しません。つまり、これを事前に設定することができます。これは、ユーザーが Operator グループを使用して namespace のセットでリソースの競合を防ぐ必要がある場合で、それらのリソースの API を提供するアクティブなメンバーの CSV がない場合に役立ちます。
以下は、something.cool.io/cluster-monitoring: "true"
アノテーションのあるすべての namespace の Prometheus
リソースを保護する Operator グループの例です。
apiVersion: operators.coreos.com/v1 kind: OperatorGroup metadata: name: cluster-monitoring namespace: cluster-monitoring annotations: olm.providedAPIs: Alertmanager.v1.monitoring.coreos.com,Prometheus.v1.monitoring.coreos.com,PrometheusRule.v1.monitoring.coreos.com,ServiceMonitor.v1.monitoring.coreos.com spec: staticProvidedAPIs: true selector: matchLabels: something.cool.io/cluster-monitoring: "true"
2.4.5.9. Operator グループの交差部分
2 つの Operator グループは、それらのターゲット namespace セットの交差部分が空のセットではなく、olm.providedAPIs
アノテーションで定義されるそれらの指定 API セットの交差部分が空のセットではない場合に、交差部分のある指定 API があると見なされます。
これによって生じ得る問題として、交差部分のある指定 API を持つ複数の Operator グループは、一連の交差部分のある namespace で同じリソースに関して競合関係になる可能性があります。
交差ルールを確認すると、Operator グループの namespace は常に選択されたターゲット namespace の一部として組み込まれます。
交差のルール
アクティブメンバーの CSV が同期する際はいつでも、OLM はクラスターで、CSV の Operator グループとそれ以外のすべての間での交差部分のある指定 API のセットについてクエリーします。その後、OLM はそのセットが空のセットであるかどうかを確認します。
true
であり、CSV の指定 API が Operator グループのサブセットである場合:- 移行を継続します。
true
であり、CSV の指定 API が Operator グループのサブセット ではない 場合:Operator グループが静的である場合:
- CSV に属するすべてのデプロイメントをクリーンアップします。
-
ステータスの理由
CannotModifyStaticOperatorGroupProvidedAPIs
のある失敗状態に CSV を移行します。
Operator グループが静的 ではない 場合:
-
Operator グループの
olm.providedAPIs
アノテーションを、それ自体と CSV の指定 API の集合に置き換えます。
-
Operator グループの
false
であり、CSV の指定 API が Operator グループのサブセット ではない 場合:- CSV に属するすべてのデプロイメントをクリーンアップします。
-
ステータスの理由
InterOperatorGroupOwnerConflict
のある失敗状態に CSV を移行します。
false
であり、CSV の指定 API が Operator グループのサブセットである場合:Operator グループが静的である場合:
- CSV に属するすべてのデプロイメントをクリーンアップします。
-
ステータスの理由
CannotModifyStaticOperatorGroupProvidedAPIs
のある失敗状態に CSV を移行します。
Operator グループが静的 ではない 場合:
-
Operator グループの
olm.providedAPIs
アノテーションを、それ自体と CSV の指定 API 間の差異部分に置き換えます。
-
Operator グループの
Operator グループによって生じる失敗状態は非終了状態です。
以下のアクションは、Operator グループが同期するたびに実行されます。
- アクティブメンバーの CSV の指定 API のセットは、クラスターから計算されます。コピーされた CSV は無視されることに注意してください。
-
クラスターセットは
olm.providedAPIs
と比較され、olm.providedAPIs
に追加の API が含まれる場合は、それらの API がプルーニングされます。 - すべての namespace で同じ API を提供するすべての CSV は再びキューに入れられます。これにより、交差部分のあるグループ間の競合する CSV に対して、それらの競合が競合する CSV のサイズ変更または削除のいずれかによって解決されている可能性があることが通知されます。
2.4.5.10. マルチテナント Operator 管理の制限事項
OpenShift Container Platform は、異なるバージョンの Operator を同じクラスターに同時にインストールするための限定的なサポートを提供します。Operator Lifecycle Manager (OLM) は、Operator を異なる namespace に複数回インストールします。その 1 つの制約として、Operator の API バージョンは同じである必要があります。
Operator は、Kubernetes のグローバルリソースである CustomResourceDefinition
オブジェクト (CRD) を使用するため、コントロールプレーンの拡張機能です。多くの場合、Operator の異なるメジャーバージョンには互換性のない CRD があります。これにより、クラスター上の異なる namespace に同時にインストールするのに互換性がなくなります。
すべてのテナントまたは namespace がクラスターの同じコントロールプレーンを共有します。したがって、マルチテナントクラスター内のテナントはグローバル CRD も共有するため、同じクラスターで同じ Operator の異なるインスタンスを並行して使用できるシナリオが制限されます。
サポートされているシナリオは次のとおりです。
- まったく同じ CRD 定義を提供する異なるバージョンの Operator (バージョン管理された CRD の場合は、まったく同じバージョンのセット)
- CRD を同梱せず、代わりに OperatorHub の別のバンドルで CRD を利用できる異なるバージョンの Operator
他のすべてのシナリオはサポートされていません。これは、異なる Operator バージョンからの複数の競合または重複する CRD が同じクラスター上で調整される場合、クラスターデータの整合性が保証されないためです。
2.4.5.11. Operator グループのトラブルシューティング
メンバーシップ
インストールプランの namespace には、Operator グループを 1 つだけ含める必要があります。namespace でクラスターサービスバージョン (CSV) を生成しようとすると、インストールプランでは、以下のシナリオの Operator グループが無効であると見なされます。
- インストールプランの namespace に Operator グループが存在しない。
- インストールプランの namespace に複数の Operator グループが存在する。
- Operator グループに、正しくないサービスアカウント名または存在しないサービスアカウント名が指定されている。
インストールプランで無効な Operator グループが検出された場合には、CSV は生成されず、
InstallPlan
リソースは関連するメッセージを出力して、インストールを続行します。たとえば、複数の Operator グループが同じ namespace に存在する場合に以下のメッセージが表示されます。attenuated service account query failed - more than one operator group(s) are managing this namespace count=2
ここでは、
count=
は、namespace 内の Operator グループの数を指します。-
CSV のインストールモードがその namespace で Operator グループのターゲット namespace 選択をサポートしない場合、CSV は
UnsupportedOperatorGroup
の理由で失敗状態に切り替わります。この理由で失敗した状態にある CSV は、Operator グループのターゲット namespace の選択がサポートされる設定に変更されるか、CSV のインストールモードがターゲット namespace 選択をサポートするように変更される場合に、保留状態に切り替わります。
2.4.6. マルチテナント対応と Operator のコロケーション
このガイドでは、Operator Lifecycle Manager (OLM) のマルチテナント対応と Operator のコロケーションを説明します。
2.4.6.1. namespace 内での Operator コロケーション
Operator Lifecycle Manager (OLM) は、同じ namespace にインストールされている OLM 管理 Operator を処理します。つまり、それらの Subscription
リソースは、関連する Operator として同じ namespace に配置されます。それらが実際には関連していなくても、いずれかが更新されると、OLM はバージョンや更新ポリシーなどの状態を考慮します。
このデフォルトの動作は、次の 2 つの方法で現れます。
-
保留中の更新の
InstallPlan
リソースには、同じ namespace にある他のすべての Operator のClusterServiceVersion
(CSV) リソースが含まれます。 - 同じ namespace 内のすべての Operator は、同じ更新ポリシーを共有します。たとえば、1 つの Operator が手動更新に設定されている場合は、他のすべての Operator の更新ポリシーも手動に設定されます。
これらのシナリオは、次の問題につながる可能性があります。
- 更新された Operator だけでなく、より多くのリソースが定義されているため、Operator 更新のインストール計画について推論するのは難しくなります。
- ネームスペース内の一部の Operator を自動的に更新し、他の Operator を手動で更新することは不可能になります。これは、クラスター管理者にとって一般的な要望です。
OpenShift Container Platform Web コンソールを使用して Operator をインストールすると、デフォルトの動作により、All namespaces インストールモードをサポートする Operator がデフォルトの openshift-operators
グローバル namespace にインストールされるため、これらの問題は通常表面化します。
クラスター管理者は、次のワークフローを使用して、このデフォルトの動作を手動でバイパスできます。
- Operator のインストール用の namespace を作成します。
- すべての namespace を監視する Operator グループである、カスタム グローバル Operator グループ を作成します。この Operator グループを作成した namespace に関連付けることで、インストール namespace がグローバル namespace になり、そこにインストールされた Operator がすべての namespace で使用できるようになります。
- 必要な Operator をインストール namespace にインストールします。
Operator に依存関係がある場合、依存関係は事前に作成された namespace に自動的にインストールされます。その結果、依存関係 Operator が同じ更新ポリシーと共有インストールプランを持つことが有効になります。詳細な手順については、「カスタム namespace へのグローバル Operator のインストール」を参照してください。
2.4.7. Operator 条件
以下では、Operator Lifecycle Manager (OLM) による Operator 条件の使用方法を説明します。
2.4.7.1. Operator 条件について
Operator のライフサイクル管理のロールの一部として、Operator Lifecycle Manager (OLM) は、Operator を定義する Kubernetes リソースの状態から Operator の状態を推測します。このアプローチでは、Operator が特定の状態にあることをある程度保証しますが、推測できない情報を Operator が OLM と通信して提供する必要がある場合も多々あります。続いて、OLM がこの情報を使用して、Operator のライフサイクルをより適切に管理することができます。
OLM は、Operator が OLM に条件について通信できる OperatorCondition
というカスタムリソース定義 (CRD) を提供します。OperatorCondition
リソースの Spec.Conditions
配列にある場合に、OLM による Operator の管理に影響するサポートされる条件のセットがあります。
デフォルトでは、Spec.Conditions
配列は、ユーザーによって追加されるか、カスタム Operator ロジックの結果として追加されるまで、OperatorCondition
オブジェクトに存在しません。
2.4.7.2. サポートされる条件
Operator Lifecycle Manager (OLM) は、以下の Operator 条件をサポートします。
2.4.7.2.1. アップグレード可能な条件
Upgradeable
Operator 条件は、既存のクラスターサービスバージョン (CSV) が、新規の CSV バージョンに置き換えられることを阻止します。この条件は、以下の場合に役に立ちます。
- Operator が重要なプロセスを開始するところで、プロセスが完了するまでアップグレードしてはいけない場合
- Operator が、Operator のアップグレードの準備ができる前に完了する必要のあるカスタムリソース (CR) の移行を実行している場合
Upgradeable
Operator の条件を False
値に設定しても、Pod の中断は回避できません。Pod が中断されないようにする必要がある場合は、「追加リソース」セクションの「Pod 中断バジェットを使用して稼働させなければならない Pod の数を指定する」と「正常な終了」を参照してください。
Upgradeable
Operator 条件の例
apiVersion: operators.coreos.com/v1 kind: OperatorCondition metadata: name: my-operator namespace: operators spec: conditions: - type: Upgradeable 1 status: "False" 2 reason: "migration" message: "The Operator is performing a migration." lastTransitionTime: "2020-08-24T23:15:55Z"
2.4.7.3. 関連情報
2.4.8. Operator Lifecycle Manager メトリクス
2.4.8.1. 公開されるメトリック
Operator Lifecycle Manager (OLM) は、Prometheus ベースの OpenShift Container Platform クラスターモニタリングスタックで使用される特定の OLM 固有のリソースを公開します。
名前 | 説明 |
---|---|
| カタログソースの数。 |
|
カタログソースの状態。値 |
|
クラスターサービスバージョン (CSV) を調整する際に、(インストールされていない場合など) CSV バージョンが |
| 正常に登録された CSV の数。 |
|
CSV を調整する際に、CSV バージョンが |
| CSV アップグレードの単調 (monotonic) カウント。 |
| インストール計画の数。 |
| インストール計画に含まれる非推奨のリソースなど、リソースによって生成される警告の個数。 |
| 依存関係解決の試行期間。 |
| サブスクリプションの数。 |
|
サブスクリプション同期の単調 (monotonic) カウント。 |
2.4.9. Operator Lifecycle Manager での Webhook の管理
Webhook により、リソースがオブジェクトストアに保存され、Operator コントローラーによって処理される前に、Operator の作成者はリソースのインターセプト、変更、許可、および拒否を実行することができます。Operator Lifecycle Manager (OLM) は、Operator と共に提供される際にこれらの Webhook のライフサイクルを管理できます。
Operator 開発者が自分の Operator に Webhook を定義する方法の詳細と、OLM で実行する場合の注意事項は、クラスターサービスのバージョン (CSV) を定義する を参照してください。
2.4.9.1. 関連情報
- Webhook 受付プラグインのタイプ
Kubernetes ドキュメント:
2.5. OperatorHub について
2.5.1. OperatorHub について
OperatorHub は OpenShift Container Platform の Web コンソールインターフェイスであり、これを使用してクラスター管理者は Operator を検出し、インストールします。1 回のクリックで、Operator をクラスター外のソースからプルし、クラスター上でインストールおよびサブスクライブして、エンジニアリングチームが Operator Lifecycle Manager (OLM) を使用してデプロイメント環境全体で製品をセルフサービスで管理される状態にすることができます。
クラスター管理者は、以下のカテゴリーにグループ化されたカタログから選択することができます。
カテゴリー | 説明 |
---|---|
Red Hat Operator | Red Hat によってパッケージ化され、出荷される Red Hat 製品。Red Hat によってサポートされます。 |
認定 Operator | 大手独立系ソフトウェアベンダー (ISV) の製品。Red Hat は ISV とのパートナーシップにより、パッケージ化および出荷を行います。ISV によってサポートされます。 |
Red Hat Marketplace | Red Hat Marketplace から購入できる認定ソフトウェア。 |
コミュニティー Operator | redhat-openshift-ecosystem/community-operators-prod/operators GitHub リポジトリーで関連する担当者によって保守されているオプションで表示可能なソフトウェア。正式なサポートはありません。 |
カスタム Operator | 各自でクラスターに追加する Operator。カスタム Operator を追加していない場合、カスタム カテゴリーは Web コンソールの OperatorHub 上に表示されません。 |
OperatorHub の Operator は OLM で実行されるようにパッケージ化されます。これには、Operator のインストールおよびセキュアな実行に必要なすべての CRD、RBAC ルール、デプロイメント、およびコンテナーイメージが含まれるクラスターサービスバージョン (CSV) という YAML ファイルが含まれます。また、機能の詳細やサポートされる Kubernetes バージョンなどのユーザーに表示される情報も含まれます。
Operator SDK は、開発者が OLM および OperatorHub で使用するために Operator のパッケージ化することを支援するために使用できます。お客様によるアクセスが可能な商用アプリケーションがある場合、Red Hat Partner Connect ポータル (connect.redhat.com) で提供される認定ワークフローを使用してこれを組み込むようにしてください。
2.5.2. OperatorHub アーキテクチャー
OperatorHub UI コンポーネントは、デフォルトで OpenShift Container Platform の openshift-marketplace
namespace で Marketplace Operator によって実行されます。
2.5.2.1. OperatorHub カスタムリソース
Marketplace Operator は、OperatorHub で提供されるデフォルトの CatalogSource
オブジェクトを管理する cluster
という名前の OperatorHub
カスタムリソース (CR) を管理します。このリソースを変更して、デフォルトのカタログを有効または無効にすることができます。これは、ネットワークが制限された環境で OpenShift Container Platform を設定する際に役立ちます。
OperatorHub
カスタムリースの例
apiVersion: config.openshift.io/v1 kind: OperatorHub metadata: name: cluster spec: disableAllDefaultSources: true 1 sources: [ 2 { name: "community-operators", disabled: false } ]
2.5.3. 関連情報
2.6. Red Hat が提供する Operator カタログ
Red Hat は、デフォルトで OpenShift Container Platform に含まれる複数の Operator カタログを提供します。
OpenShift Container Platform 4.11 の時点で、デフォルトの Red Hat が提供する Operator カタログは、ファイルベースのカタログ形式でリリースされます。OpenShift Container Platform 4.6 から 4.10 までのデフォルトの Red Hat が提供する Operator カタログは、非推奨の SQLite データベース形式でリリースされました。
opm
サブコマンド、フラグ、および SQLite データベース形式に関連する機能も非推奨となり、今後のリリースで削除されます。機能は引き続きサポートされており、非推奨の SQLite データベース形式を使用するカタログに使用する必要があります。
opm index prune
などの SQLite データベース形式を使用する opm
サブコマンドおよびフラグの多くは、ファイルベースのカタログ形式では機能しません。ファイルベースのカタログの使用の詳細は、カスタムカタログの管理、Operator Framework パッケージ形式、および oc-mirror プラグインを使用した非接続インストールのイメージのミラーリング を参照してください。
2.6.1. Operator カタログについて
Operator カタログは、Operator Lifecycle Manager (OLM) がクエリーを行い、Operator およびそれらの依存関係をクラスターで検出し、インストールできるメタデータのリポジトリーです。OLM は最新バージョンのカタログから Operator を常にインストールします。
Operator Bundle Format に基づくインデックスイメージは、カタログのコンテナー化されたスナップショットです。これは、Operator マニフェストコンテンツのセットへのポインターのデータベースが含まれるイミュータブルなアーティファクトです。カタログはインデックスイメージを参照し、クラスター上の OLM のコンテンツを調達できます。
カタログが更新されると、Operator の最新バージョンが変更され、それ以前のバージョンが削除または変更される可能性があります。さらに OLM がネットワークが制限された環境の OpenShift Container Platform クラスターで実行される場合、最新のコンテンツをプルするためにインターネットからカタログに直接アクセスすることはできません。
クラスター管理者は、Red Hat が提供するカタログをベースとして使用して、またはゼロから独自のカスタムインデックスイメージを作成できます。これを使用して、クラスターのカタログコンテンツを調達できます。独自のインデックスイメージの作成および更新により、クラスターで利用可能な Operator のセットをカスタマイズする方法が提供され、また前述のネットワークが制限された環境の問題を回避することができます。
Kubernetes は定期的に特定の API を非推奨とし、後続のリリースで削除します。その結果、Operator は API を削除した Kubernetes バージョンを使用する OpenShift Container Platform のバージョン以降、削除された API を使用できなくなります。
クラスターがカスタムカタログを使用している場合に、Operator の作成者がプロジェクトを更新してワークロードの問題や、互換性のないアップグレードを回避できるようにする方法については Operator の互換性の OpenShift Container Platform バージョンへの制御 を参照してください。
レガシー形式をしようしたカスタムのカタログなど、Operator のレガシー パッケージマニフェスト形式 のサポートは、OpenShift Container Platform 4.8 以降で削除されます。
カスタムカタログイメージを作成する場合、OpenShift Container Platform 4 の以前のバージョンでは、複数のリリースで非推奨となった oc adm catalog build
コマンドの使用が必要でしたが、これは削除されました。OpenShift Container Platform 4.6 以降で Red Hat が提供するインデックスイメージが利用可能になると、カタログビルダーは opm index
コマンドを使用してインデックスイメージを管理する必要があります。
2.6.2. Red Hat が提供する Operator カタログについて
Red Hat が提供するカタログソースは、デフォルトで openshift-marketplace
namespace にインストールされます。これにより、すべての namespace でクラスター全体でカタログを利用できるようになります。
以下の Operator カタログは Red Hat によって提供されます。
カタログ | インデックスイメージ | 説明 |
---|---|---|
|
| Red Hat によってパッケージ化され、出荷される Red Hat 製品。Red Hat によってサポートされます。 |
|
| 大手独立系ソフトウェアベンダー (ISV) の製品。Red Hat は ISV とのパートナーシップにより、パッケージ化および出荷を行います。ISV によってサポートされます。 |
|
| Red Hat Marketplace から購入できる認定ソフトウェア。 |
|
| redhat-openshift-ecosystem/community-operators-prod/operators GitHub リポジトリーで、関連する担当者によって保守されているソフトウェア。正式なサポートはありません。 |
クラスターのアップグレード時に、Red Hat が提供するデフォルトのカタログソースのインデックスイメージのタグは、Operator Lifecycle Manager (OLM) が最新版のカタログをプルするように、Cluster Version Operator (CVO) により自動更新されます。たとえば、OpenShift Container Platform 4.8 から 4.9 にアップグレードする場合には、redhat-operators
カタログの CatalogSource
オブジェクトの spec.image
フィールドは、以下から更新されます。
registry.redhat.io/redhat/redhat-operator-index:v4.8
更新後は次のようになります。
registry.redhat.io/redhat/redhat-operator-index:v4.9
2.7. マルチテナントクラスター内の Operator
Operator Lifecycle Manager (OLM) のデフォルトの動作は、Operator のインストール時に簡素化することを目的としています。ただし、この動作は、特にマルチテナントクラスターでは柔軟性に欠ける場合があります。OpenShift Container Platform クラスターの複数のテナントが Operator を使用するために、OLM のデフォルトの動作では、管理者が Operator を All namespaces モードでインストールする必要があります。これは、最小特権の原則に違反していると見なすことができます。
以下のシナリオを考慮して、環境と要件に最適な Operator インストールワークフローを決定してください。
2.7.1. デフォルトの Operator インストールモードと動作
管理者として Web コンソールを使用して Operator をインストールする場合、通常、Operator の機能に応じて、インストールモードに 2 つの選択肢があります。
- 単一の namespace
- 選択した単一の namespace に Operator をインストールし、Operator が要求するすべての権限をその namespace で使用できるようにします。
- すべての namespace
-
デフォルトの
openshift-operators
namespace で Operator をインストールし、クラスターのすべての namespace を監視し、Operator をこれらの namespace に対して利用可能にします。Operator が要求するすべてのアクセス許可をすべての namespace で使用できるようにします。場合によっては、Operator の作成者はメタデータを定義して、その Operator が提案する namespace の 2 番目のオプションをユーザーに提供できます。
この選択は、影響を受ける namespace のユーザーが、namespace でのロールに応じて、所有するカスタムリソース (CR) を活用できる Operators API にアクセスできることも意味します。
-
namespace-admin
およびnamespace-edit
ロールは、Operator API の読み取り/書き込みが可能です。つまり、Operator API を使用できます。 -
namespace-view
ロールは、その Operator の CR オブジェクトを読み取ることができます。
Single namespace モードの場合、Operator 自体が選択した namespace にインストールされるため、その Pod とサービスアカウントもそこに配置されます。All namespaces モードの場合、Operator の権限はすべて自動的にクラスターロールに昇格されます。つまり、Operator はすべての namespace でこれらの権限を持ちます。
2.7.2. マルチテナントクラスターの推奨ソリューション
Multinamespace インストールモードは存在しますが、サポートされている Operator はほとんどありません。標準 All namespaces と Single namespace インストールモードの中間的なソリューションとして、次のワークフローを使用して、テナントごとに 1 つずつ、同じ Operator の複数のインスタンスをインストールできます。
- テナントの namespace とは別のテナント Operator の namespace を作成します。
- テナントの namespace のみを対象とするテナント Operator の Operator グループを作成します。
- テナント Operator namespace に Operator をインストールします。
その結果、Operator はテナントの Operator namespace に存在し、テナントの namespace を監視しますが、Operator の Pod もそのサービスアカウントも、テナントによって表示または使用できません。
このソリューションは、より優れたテナント分離、リソースの使用を犠牲にした最小特権の原則、および制約が確実に満たされるようにするための追加のオーケストレーションを提供します。詳細な手順については、「マルチテナントクラスター用の Operator の複数インスタンスの準備」を参照してください。
制限および考慮事項
このソリューションは、次の制約が満たされている場合にのみ機能します。
- 同じ Operator のすべてのインスタンスは、同じバージョンである必要があります。
- Operator は、他の Operator に依存することはできません。
- Operator は CRD 変換 Webhook を出荷できません。
同じクラスターで同じ Operator の異なるバージョンを使用することはできません。最終的に、Operator の別のインスタンスのインストールは、以下の条件を満たす場合にブロックされます。
- インスタンスは Operator の最新バージョンではありません。
- インスタンスは、クラスターですでに使用されている新しいリビジョンに含まれる情報またはバージョンを欠いている CRD の古いリビジョンを出荷します。
「非クラスター管理者による Operator のインストールの許可」で説明されているように、非クラスター管理者が自給自足で Operator をインストールできるようにする場合は、管理者として注意してください。これらのテナントは、依存関係がないことがわかっている Operator の精選されたカタログにのみアクセスできる必要があります。これらのテナントは、CRD が変更されないようにするために、Operator の同じバージョンラインを使用することを強制する必要もあります。これには、ネームスペーススコープのカタログを使用し、グローバルなデフォルトカタログを無効にする必要があります。
2.7.3. Operator のコロケーションと Operator グループ
Operator Lifecycle Manager (OLM) は、同じ namespace にインストールされている OLM 管理 Operator を処理します。つまり、それらの Subscription
リソースは、関連する Operator として同じ namespace に配置されます。それらが実際には関連していなくても、いずれかが更新されると、OLM はバージョンや更新ポリシーなどの状態を考慮します。
Operator のコロケーションと Operator グループの効果的な使用の詳細は、Operator Lifecycle Manager (OLM) → マルチテナント対応と Operator のコロケーション を参照してください。
2.8. CRD
2.8.1. カスタムリソース定義による Kubernetes API の拡張
Operator は Kubernetes の拡張メカニズムであるカスタムリソース定義 (CRD) を使用するため、Operator によって管理されるカスタムオブジェクトは、組み込み済みのネイティブ Kubernetes オブジェクトのように表示され、機能します。以下では、CRD を作成し、管理することで、クラスター管理者が OpenShift Container Platform クラスターをどのように拡張できるかを説明します。
2.8.1.1. カスタムリソース定義
Kubernetes API では、リソース は特定の種類の API オブジェクトのコレクションを保管するエンドポイントです。たとえば、ビルトインされた Pods
リソースには、Pod
オブジェクトのコレクションが含まれます。
カスタムリソース定義 (CRD) オブジェクトは、クラスター内に新規の固有オブジェクト kind を定義し、Kubernetes API サーバーにそのライフサイクル全体を処理させます。
カスタムリソース (CR) オブジェクトは、クラスター管理者によってクラスターに追加された CRD から作成され、すべてのクラスターユーザーが新規リソースタイプをプロジェクトに追加できるようにします。
クラスター管理者が新規 CRD をクラスターに追加する際に、Kubernetes API サーバーは、クラスター全体または単一プロジェクト (namespace) によってアクセスできる新規の RESTful リソースパスを作成することによって応答し、指定された CR を提供し始めます。
CRD へのアクセスを他のユーザーに付与する必要のあるクラスター管理者は、クラスターロールの集計を使用して admin
、edit
、または view
のデフォルトクラスターロールを持つユーザーにアクセスを付与できます。また、クラスターロールの集計により、カスタムポリシールールをこれらのクラスターロールに挿入することができます。この動作は、新規リソースを組み込み型のインリソースであるかのようにクラスターの RBAC ポリシーに統合します。
Operator はとりわけ CRD を必要な RBAC ポリシーおよび他のソフトウェア固有のロジックでパッケージ化することで CRD を利用します。またクラスター管理者は、Operator のライフサイクル外にあるクラスターに CRD を手動で追加でき、これらをすべてのユーザーに利用可能にすることができます。
クラスター管理者のみが CRD を作成できる一方で、開発者は CRD への読み取りおよび書き込みパーミッションがある場合には、既存の CRD から CR を作成することができます。
2.8.1.2. カスタムリソース定義の作成
カスタムリソース (CR) オブジェクトを作成するには、クラスター管理者はまずカスタムリソース定義 (CRD) を作成する必要があります。
前提条件
-
cluster-admin
ユーザー権限を使用した OpenShift Container Platform クラスターへのアクセス
手順
CRD を作成するには、以下を実行します。
以下の例のようなフィールドタイプを含む YAML ファイルを作成します。
CRD の YAML ファイルの例
apiVersion: apiextensions.k8s.io/v1 1 kind: CustomResourceDefinition metadata: name: crontabs.stable.example.com 2 spec: group: stable.example.com 3 versions: - name: v1 4 served: true storage: true schema: openAPIV3Schema: type: object properties: spec: type: object properties: cronSpec: type: string image: type: string replicas: type: integer scope: Namespaced 5 names: plural: crontabs 6 singular: crontab 7 kind: CronTab 8 shortNames: - ct 9
- 1
apiextensions.k8s.io/v1
API を使用します。- 2
- 定義の名前を指定します。これは
group
およびplural
フィールドの値を使用する<plural-name>.<group>
形式である必要があります。 - 3
- API のグループ名を指定します。API グループは、論理的に関連付けられるオブジェクトのコレクションです。たとえば、
Job
またはScheduledJob
などのすべてのバッチオブジェクトはバッチ API グループ (batch.api.example.com
など) である可能性があります。組織の完全修飾ドメイン名 (FQDN) を使用することが奨励されます。 - 4
- URL で使用されるバージョン名を指定します。それぞれの API グループは複数バージョンに存在させることができます (例:
v1alpha
、v1beta
、v1
)。 - 5
- カスタムオブジェクトがクラスター (
Cluster
) の 1 つのプロジェクト (Namespaced
) またはすべてのプロジェクトで利用可能であるかどうかを指定します。 - 6
- URL で使用される複数形の名前を指定します。
plural
フィールドは API URL のリソースと同じになります。 - 7
- CLI および表示用にエイリアスとして使用される単数形の名前を指定します。
- 8
- 作成できるオブジェクトの種類を指定します。タイプは CamelCase にすることができます。
- 9
- CLI でリソースに一致する短い文字列を指定します。
注記デフォルトで、CRD のスコープはクラスターで設定され、すべてのプロジェクトで利用可能です。
CRD オブジェクトを作成します。
$ oc create -f <file_name>.yaml
新規の RESTful API エンドポイントは以下のように作成されます。
/apis/<spec:group>/<spec:version>/<scope>/*/<names-plural>/...
たとえば、サンプルファイルを使用すると、以下のエンドポイントが作成されます。
/apis/stable.example.com/v1/namespaces/*/crontabs/...
このエンドポイント URL を使用して CR を作成し、管理できます。オブジェクト kind は、作成した CRD オブジェクトの
spec.kind
フィールドに基づいています。
2.8.1.3. カスタムリソース定義のクラスターロールの作成
クラスター管理者は、既存のクラスタースコープのカスタムリソース定義 (CRD) にパーミッションを付与できます。admin
、edit
、および view
のデフォルトクラスターロールを使用する場合、これらのルールについてクラスターロールの集計を利用できます。
これらのロールのいずれかにパーミッションを付与する際は、明示的に付与する必要があります。より多くのパーミッションを持つロールはより少ないパーミッションを持つロールからルールを継承しません。ルールをあるロールに割り当てる場合、より多くのパーミッションを持つロールにもその動詞を割り当てる必要もあります。たとえば、get crontabs
パーミッションを表示ロールに付与する場合、これを edit
および admin
ロールにも付与する必要があります。admin
または edit
ロールは通常、プロジェクトテンプレートでプロジェクトを作成したユーザーに割り当てられます。
前提条件
- CRD を作成します。
手順
CRD のクラスターロール定義ファイルを作成します。クラスターロール定義は、各クラスターロールに適用されるルールが含まれる YAML ファイルです。OpenShift Container Platform Controller はデフォルトクラスターロールに指定するルールを追加します。
カスタムロール定義の YAML ファイルの例
kind: ClusterRole apiVersion: rbac.authorization.k8s.io/v1 1 metadata: name: aggregate-cron-tabs-admin-edit 2 labels: rbac.authorization.k8s.io/aggregate-to-admin: "true" 3 rbac.authorization.k8s.io/aggregate-to-edit: "true" 4 rules: - apiGroups: ["stable.example.com"] 5 resources: ["crontabs"] 6 verbs: ["get", "list", "watch", "create", "update", "patch", "delete", "deletecollection"] 7 --- kind: ClusterRole apiVersion: rbac.authorization.k8s.io/v1 metadata: name: aggregate-cron-tabs-view 8 labels: # Add these permissions to the "view" default role. rbac.authorization.k8s.io/aggregate-to-view: "true" 9 rbac.authorization.k8s.io/aggregate-to-cluster-reader: "true" 10 rules: - apiGroups: ["stable.example.com"] 11 resources: ["crontabs"] 12 verbs: ["get", "list", "watch"] 13
- 1
rbac.authorization.k8s.io/v1
API を使用します。- 2 8
- 定義の名前を指定します。
- 3
- パーミッションを管理のデフォルトロールに付与するためにこのラベルを指定します。
- 4
- パーミッションを編集のデフォルトロールに付与するためにこのラベルを指定します。
- 5 11
- CRD のグループ名を指定します
- 6 12
- これらのルールが適用される CRD の複数形の名前を指定します。
- 7 13
- ロールに付与されるパーミッションを表す動詞を指定します。たとえば、読み取りおよび書き込みパーミッションを
admin
およびedit
ロールに適用し、読み取り専用パーミッションをview
ロールに適用します。 - 9
- このラベルを指定して、パーミッションを
view
デフォルトロールに付与します。 - 10
- このラベルを指定して、パーミッションを
cluster-reader
デフォルトロールに付与します。
クラスターロールを作成します。
$ oc create -f <file_name>.yaml
2.8.1.4. ファイルからのカスタムリソースの作成
カスタムリソース定義 (CRD) がクラスターに追加された後に、クラスターリソース (CR) は CR 仕様を使用するファイルを使って CLI で作成できます。
前提条件
- CRD がクラスター管理者によってクラスターに追加されている。
手順
CR の YAML ファイルを作成します。以下の定義例では、
cronSpec
とimage
のカスタムフィールドがKind: CronTab
の CR に設定されます。このKind
は、CRD オブジェクトのspec.kind
フィールドから取得されます。CR の YAML ファイルサンプル
apiVersion: "stable.example.com/v1" 1 kind: CronTab 2 metadata: name: my-new-cron-object 3 finalizers: 4 - finalizer.stable.example.com spec: 5 cronSpec: "* * * * /5" image: my-awesome-cron-image
ファイルの作成後に、オブジェクトを作成します。
$ oc create -f <file_name>.yaml
2.8.1.5. カスタムリソースの検査
CLI を使用してクラスターに存在するカスタムリソース (CR) オブジェクトを検査できます。
前提条件
- CR オブジェクトがアクセスできる namespace にあること。
手順
CR の特定の kind に関する情報を取得するには、以下を実行します。
$ oc get <kind>
以下に例を示します。
$ oc get crontab
出力例
NAME KIND my-new-cron-object CronTab.v1.stable.example.com
リソース名では大文字と小文字が区別されず、CRD で定義される単数形または複数形のいずれか、および任意の短縮名を指定できます。以下に例を示します。
$ oc get crontabs
$ oc get crontab
$ oc get ct
CR の未加工の YAML データを確認することもできます。
$ oc get <kind> -o yaml
以下に例を示します。
$ oc get ct -o yaml
出力例
apiVersion: v1 items: - apiVersion: stable.example.com/v1 kind: CronTab metadata: clusterName: "" creationTimestamp: 2017-05-31T12:56:35Z deletionGracePeriodSeconds: null deletionTimestamp: null name: my-new-cron-object namespace: default resourceVersion: "285" selfLink: /apis/stable.example.com/v1/namespaces/default/crontabs/my-new-cron-object uid: 9423255b-4600-11e7-af6a-28d2447dc82b spec: cronSpec: '* * * * /5' 1 image: my-awesome-cron-image 2
2.8.2. カスタムリソース定義からのリソースの管理
以下では、開発者がカスタムリソース定義 (CRD) にあるカスタムリソース (CR) をどのように管理できるかを説明します。
2.8.2.1. カスタムリソース定義
Kubernetes API では、リソース は特定の種類の API オブジェクトのコレクションを保管するエンドポイントです。たとえば、ビルトインされた Pods
リソースには、Pod
オブジェクトのコレクションが含まれます。
カスタムリソース定義 (CRD) オブジェクトは、クラスター内に新規の固有オブジェクト kind を定義し、Kubernetes API サーバーにそのライフサイクル全体を処理させます。
カスタムリソース (CR) オブジェクトは、クラスター管理者によってクラスターに追加された CRD から作成され、すべてのクラスターユーザーが新規リソースタイプをプロジェクトに追加できるようにします。
Operator はとりわけ CRD を必要な RBAC ポリシーおよび他のソフトウェア固有のロジックでパッケージ化することで CRD を利用します。またクラスター管理者は、Operator のライフサイクル外にあるクラスターに CRD を手動で追加でき、これらをすべてのユーザーに利用可能にすることができます。
クラスター管理者のみが CRD を作成できる一方で、開発者は CRD への読み取りおよび書き込みパーミッションがある場合には、既存の CRD から CR を作成することができます。
2.8.2.2. ファイルからのカスタムリソースの作成
カスタムリソース定義 (CRD) がクラスターに追加された後に、クラスターリソース (CR) は CR 仕様を使用するファイルを使って CLI で作成できます。
前提条件
- CRD がクラスター管理者によってクラスターに追加されている。
手順
CR の YAML ファイルを作成します。以下の定義例では、
cronSpec
とimage
のカスタムフィールドがKind: CronTab
の CR に設定されます。このKind
は、CRD オブジェクトのspec.kind
フィールドから取得されます。CR の YAML ファイルサンプル
apiVersion: "stable.example.com/v1" 1 kind: CronTab 2 metadata: name: my-new-cron-object 3 finalizers: 4 - finalizer.stable.example.com spec: 5 cronSpec: "* * * * /5" image: my-awesome-cron-image
ファイルの作成後に、オブジェクトを作成します。
$ oc create -f <file_name>.yaml
2.8.2.3. カスタムリソースの検査
CLI を使用してクラスターに存在するカスタムリソース (CR) オブジェクトを検査できます。
前提条件
- CR オブジェクトがアクセスできる namespace にあること。
手順
CR の特定の kind に関する情報を取得するには、以下を実行します。
$ oc get <kind>
以下に例を示します。
$ oc get crontab
出力例
NAME KIND my-new-cron-object CronTab.v1.stable.example.com
リソース名では大文字と小文字が区別されず、CRD で定義される単数形または複数形のいずれか、および任意の短縮名を指定できます。以下に例を示します。
$ oc get crontabs
$ oc get crontab
$ oc get ct
CR の未加工の YAML データを確認することもできます。
$ oc get <kind> -o yaml
以下に例を示します。
$ oc get ct -o yaml
出力例
apiVersion: v1 items: - apiVersion: stable.example.com/v1 kind: CronTab metadata: clusterName: "" creationTimestamp: 2017-05-31T12:56:35Z deletionGracePeriodSeconds: null deletionTimestamp: null name: my-new-cron-object namespace: default resourceVersion: "285" selfLink: /apis/stable.example.com/v1/namespaces/default/crontabs/my-new-cron-object uid: 9423255b-4600-11e7-af6a-28d2447dc82b spec: cronSpec: '* * * * /5' 1 image: my-awesome-cron-image 2
第3章 ユーザータスク
3.1. インストールされた Operator からのアプリケーションの作成
以下では、開発者を対象に、OpenShift Container Platform Web コンソールを使用して、インストールされた Operator からアプリケーションを作成する例を示します。
3.1.1. Operator を使用した etcd クラスターの作成
この手順では、Operator Lifecycle Manager (OLM) で管理される etcd Operator を使用した新規 etcd クラスターの作成を説明します。
前提条件
- OpenShift Container Platform 4.15 クラスターにアクセスできる。
- 管理者によってクラスター全体に etcd Operator がすでにインストールされている。
手順
-
この手順を実行するために OpenShift Container Platform Web コンソールで新規プロジェクトを作成します。この例では、
my-etcd
というプロジェクトを使用します。 Operators → Installed Operators ページに移動します。クラスター管理者によってクラスターにインストールされ、使用可能にされた Operator がクラスターサービスバージョン (CSV) のリストとしてここに表示されます。CSV は Operator によって提供されるソフトウェアを起動し、管理するために使用されます。
ヒント以下を使用して、CLI でこのリストを取得できます。
$ oc get csv
Installed Operators ページで、etcd Operator をクリックして詳細情報および選択可能なアクションを表示します。
Provided APIs に表示されているように、この Operator は 3 つの新規リソースタイプを利用可能にします。これには、etcd クラスター (
EtcdCluster
リソース) のタイプが含まれます。これらのオブジェクトは、Deployment
またはReplicaSet
などの組み込み済みのネイティブ Kubernetes オブジェクトと同様に機能しますが、これらには etcd を管理するための固有のロジックが含まれます。新規 etcd クラスターを作成します。
- etcd Cluster API ボックスで、Create instance をクリックします。
-
次のページでは、
EtcdCluster
オブジェクト (クラスターのサイズなど) のテンプレートを起動する最小条件を変更できます。ここでは Create をクリックして確定します。これにより、Operator がトリガーされ、Pod、サービス、および新規 etcd クラスターの他のコンポーネントが起動します。
example etcd クラスター、Resources タブの順にクリックし、Operator が自動的に作成および設定した多数のリソースが含まれていることを確認します。
Kubernetes サービスが作成され、プロジェクトの他の Pod からデータベースにアクセスできることを確認します。
所定プロジェクトで
edit
ロールを持つすべてのユーザーは、クラウドサービスのようにセルフサービス方式でプロジェクトにすでに作成されている Operator によって管理されるアプリケーションのインスタンス (この例では etcd クラスター) を作成し、管理し、削除することができます。この機能を持つ追加のユーザーを有効にする必要がある場合、プロジェクト管理者は以下のコマンドを使用してこのロールを追加できます。$ oc policy add-role-to-user edit <user> -n <target_project>
これで、etcd クラスターは Pod が正常でなくなったり、クラスターのノード間で移行する際の障害に対応し、データのリバランスを行います。最も重要な点として、適切なアクセスを持つクラスター管理者または開発者は独自のアプリケーションでデータベースを簡単に使用できるようになります。
3.2. namespace への Operator のインストール
クラスター管理者が Operator のインストールパーミッションをお使いのアカウントに委任している場合、セルフサービス方式で Operator をインストールし、これを namespace にサブスクライブできます。
3.2.1. 前提条件
- クラスター管理者は、namespace へのセルフサービス Operator のインストールを許可するために OpenShift Container Platform ユーザーアカウントに特定のパーミッションを追加する必要があります。詳細は、クラスター管理者以外による Operator のインストールの許可 を参照してください。
3.2.2. OperatorHub を使用した Operator のインストールについて
OperatorHub は Operator を検出するためのユーザーインターフェイスです。これは Operator Lifecycle Manager (OLM) と連携し、クラスター上で Operator をインストールし、管理します。
適切なパーミッションを持つユーザーとして、OpenShift Container Platform Web コンソールまたは CLI を使用して OperatorHub から Operator をインストールできます。
インストール時に、Operator の以下の初期設定を判別する必要があります。
- インストールモード
- Operator をインストールする特定の namespace を選択します。
- 更新チャネル
- Operator が複数のチャネルで利用可能な場合、サブスクライブするチャネルを選択できます。たとえば、(利用可能な場合に) stable チャネルからデプロイするには、これをリストから選択します。
- 承認ストラテジー
自動 (Automatic) または手動 (Manual) のいずれかの更新を選択します。
インストールされた Operator について自動更新を選択する場合、Operator の新規バージョンが選択されたチャネルで利用可能になると、Operator Lifecycle Manager (OLM) は人の介入なしに、Operator の実行中のインスタンスを自動的にアップグレードします。
手動更新を選択する場合、Operator の新規バージョンが利用可能になると、OLM は更新要求を作成します。クラスター管理者は、Operator が新規バージョンに更新されるように更新要求を手動で承認する必要があります。
3.2.3. Web コンソールを使用して OperatorHub からインストールする
OpenShift Container Platform Web コンソールを使用して OperatorHub から Operator をインストールし、これをサブスクライブできます。
前提条件
- Operator インストールパーミッションを持つアカウントを使用して OpenShift Container Platform クラスターにアクセスできる。
手順
- Web コンソールで、Operators → OperatorHub ページに移動します。
スクロールするか、キーワードを Filter by keyword ボックスに入力し、必要な Operator を見つけます。たとえば、Advanced Cluster Management for Kubernetes Operator を検索するには
advanced
を入力します。また、インフラストラクチャー機能 でオプションをフィルターすることもできます。たとえば、非接続環境 (ネットワークが制限された環境ともしても知られる) で機能する Operator を表示するには、Disconnected を選択します。
Operator を選択して、追加情報を表示します。
注記コミュニティー Operator を選択すると、Red Hat がコミュニティー Operator を認定していないことを警告します。続行する前に警告を確認する必要があります。
- Operator の情報を確認してから、Install をクリックします。
Install Operator ページで、Operator のインストールを設定します。
特定のバージョンの Operator をインストールする場合は、リストから Update channel と Version を選択します。Operator のすべてのチャネルから Operator のさまざまなバージョンを参照し、そのチャネルとバージョンのメタデータを表示して、インストールする正確なバージョンを選択できます。
注記バージョン選択のデフォルトは、選択したチャネルの最新バージョンです。チャネルの最新バージョンが選択されている場合は、自動 承認戦略がデフォルトで有効になります。それ以外の場合、選択したチャネルの最新バージョンをインストールしない場合は、手動 による承認が必要です。
手動 承認を使用して Operator をインストールすると、namespace 内にインストールされたすべての Operator が 手動 承認戦略で機能し、すべての Operator が一緒に更新されます。Operator を個別に更新する場合は、Operator を別の namespace にインストールします。
- Operator をインストールする特定の単一 namespace を選択します。Operator は監視のみを実行し、この単一 namespace で使用されるように利用可能になります。
トークン認証が有効になっているクラウドプロバイダー上のクラスターの場合:
- クラスターが AWS STS (Web コンソールの STS モード) を使用する場合は、ロール ARN フィールドにサービスアカウントの AWS IAM ロールの Amazon Resource Name (ARN) を入力します。ロールの ARN を作成するには、AWS アカウントの準備 で説明されている手順に従います。
- クラスターが Microsoft Entra Workload ID (Web コンソールの Workload アイデンティティー/フェデレーションされたアイデンティティーモード) を使用する場合は、適切なフィールドにクライアント ID、テナント ID、サブスクリプション ID を追加します。
Update approval で、承認ストラテジー Automatic または Manual を選択します。
重要Web コンソールに、クラスターが AWS STS または Microsoft Entra Workload ID を使用していることが示されている場合は、Update approval を Manual に設定する必要があります。
更新前に権限の変更が必要になる可能性があるため、自動更新承認のあるサブスクリプションは推奨できません。手動更新承認付きのサブスクリプションにより、管理者は新しいバージョンの権限を確認し、更新前に必要な手順を実行する機会が確保されます。
Install をクリックし、Operator をこの OpenShift Container Platform クラスターの選択した namespace で利用可能にします。
手動 の承認ストラテジーを選択している場合、サブスクリプションのアップグレードステータスは、そのインストール計画を確認し、承認するまで Upgrading のままになります。
Install Plan ページでの承認後に、サブスクリプションのアップグレードステータスは Up to date に移行します。
- 自動 の承認ストラテジーを選択している場合、アップグレードステータスは、介入なしに Up to date に解決するはずです。
検証
サブスクリプションのアップグレードステータスが Up to date になった後に、Operators → Installed Operators を選択し、インストールされた Operator のクラスターサービスバージョン (CSV) が表示されることを確認します。Status は、関連する namespace で最終的に Succeeded に解決されるはずです。
注記All namespaces… インストールモードの場合、ステータスは
openshift-operators
namespace で Succeeded になりますが、他の namespace でチェックする場合、ステータスは Copied になります。上記通りにならない場合、以下を実行します。
-
さらにトラブルシューティングを行うために問題を報告している Workloads → Pods ページで、
openshift-operators
プロジェクト (または A specific namespace… インストールモードが選択されている場合は他の関連の namespace) の Pod のログを確認します。
-
さらにトラブルシューティングを行うために問題を報告している Workloads → Pods ページで、
Operator をインストールすると、メタデータに、インストールされているチャネルとバージョンが示されます。
注記ドロップダウンメニュー Channel および Version は、このカタログコンテキストで他のバージョンのメタデータを表示するために引き続き使用できます。
3.2.4. CLI を使用して OperatorHub からインストールする
OpenShift Container Platform Web コンソールを使用する代わりに、CLI を使用して OperatorHub から Operator をインストールできます。oc
コマンドを使用して、Subscription
オブジェクトを作成または更新します。
SingleNamespace
インストールモードの場合は、関連する namespace に適切な Operator グループが存在することも確認する必要があります。OperatorGroup
で定義される Operator グループは、Operator グループと同じ namespace 内のすべての Operator に必要な RBAC アクセスを生成するターゲット namespace を選択します。
ほとんどの場合は、この手順の Web コンソール方式が推奨されます。これは、SingleNamespace
モードを選択したときに OperatorGroup
オブジェクトおよび Subscription
オブジェクトの作成を自動的に処理するなど、バックグラウンドでタスクが自動化されるためです。
前提条件
- Operator インストールパーミッションを持つアカウントを使用して OpenShift Container Platform クラスターにアクセスできる。
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。
手順
OperatorHub からクラスターで利用できる Operator のリストを表示します。
$ oc get packagemanifests -n openshift-marketplace
例3.1 出力例
NAME CATALOG AGE 3scale-operator Red Hat Operators 91m advanced-cluster-management Red Hat Operators 91m amq7-cert-manager Red Hat Operators 91m # ... couchbase-enterprise-certified Certified Operators 91m crunchy-postgres-operator Certified Operators 91m mongodb-enterprise Certified Operators 91m # ... etcd Community Operators 91m jaeger Community Operators 91m kubefed Community Operators 91m # ...
必要な Operator のカタログをメモします。
必要な Operator を検査して、サポートされるインストールモードおよび利用可能なチャネルを確認します。
$ oc describe packagemanifests <operator_name> -n openshift-marketplace
例3.2 出力例
# ... Kind: PackageManifest # ... Install Modes: 1 Supported: true Type: OwnNamespace Supported: true Type: SingleNamespace Supported: false Type: MultiNamespace Supported: true Type: AllNamespaces # ... Entries: Name: example-operator.v3.7.11 Version: 3.7.11 Name: example-operator.v3.7.10 Version: 3.7.10 Name: stable-3.7 2 # ... Entries: Name: example-operator.v3.8.5 Version: 3.8.5 Name: example-operator.v3.8.4 Version: 3.8.4 Name: stable-3.8 3 Default Channel: stable-3.8 4
ヒント次のコマンドを実行すると、Operator のバージョンとチャネル情報を YAML 形式で出力できます。
$ oc get packagemanifests <operator_name> -n <catalog_namespace> -o yaml
namespace に複数のカタログがインストールされている場合は、次のコマンドを実行して、特定のカタログから Operator の使用可能なバージョンとチャネルを検索します。
$ oc get packagemanifest \ --selector=catalog=<catalogsource_name> \ --field-selector metadata.name=<operator_name> \ -n <catalog_namespace> -o yaml
重要Operator のカタログを指定しない場合、
oc get packagemanifest
およびoc describe packagemanifest
コマンドを実行すると、次の条件が満たされると予期しないカタログからパッケージが返される可能性があります。- 複数のカタログが同じ namespace にインストールされます。
- カタログには、同じ Operator、または同じ名前の Operator が含まれています。
インストールする Operator が
AllNamespaces
インストールモードをサポートしており、このモードを使用することを選択した場合は、openshift-operators
namespace にglobal-operators
と呼ばれる適切な Operator グループがデフォルトですでに配置されているため、この手順をスキップしてください。インストールする Operator が
SingleNamespace
インストールモードをサポートしており、このモードを使用することを選択した場合は、関連する namespace に適切な Operator グループが存在することを確認する必要があります。存在しない場合は、次の手順に従って作成できます。重要namespace ごとに Operator グループを 1 つだけ持つことができます。詳細は、「Operator グループ」を参照してください。
SingleNamespace
インストールモード用に、OperatorGroup
オブジェクト YAML ファイル (例:operatorgroup.yaml
) を作成します。SingleNamespace
インストールモードのOperatorGroup
オブジェクトの例apiVersion: operators.coreos.com/v1 kind: OperatorGroup metadata: name: <operatorgroup_name> namespace: <namespace> 1 spec: targetNamespaces: - <namespace> 2
OperatorGroup
オブジェクトを作成します。$ oc apply -f operatorgroup.yaml
namespace を Operator にサブスクライブするための
Subscription
オブジェクトを作成します。Subscription
オブジェクトの YAML ファイル (例:subscription.yaml
) を作成します。注記特定のバージョンの Operator をサブスクライブする場合は、
startingCSV
フィールドを目的のバージョンに設定し、installPlanApproval
フィールドをManual
に設定して、カタログに新しいバージョンが存在する場合に Operator が自動的にアップグレードされないようにします。詳細は、次の「特定の開始 Operator バージョンを持つSubscription
オブジェクトの例」を参照してください。例3.3
Subscription
オブジェクトの例apiVersion: operators.coreos.com/v1alpha1 kind: Subscription metadata: name: <subscription_name> namespace: <namespace_per_install_mode> 1 spec: channel: <channel_name> 2 name: <operator_name> 3 source: <catalog_name> 4 sourceNamespace: <catalog_source_namespace> 5 config: env: 6 - name: ARGS value: "-v=10" envFrom: 7 - secretRef: name: license-secret volumes: 8 - name: <volume_name> configMap: name: <configmap_name> volumeMounts: 9 - mountPath: <directory_name> name: <volume_name> tolerations: 10 - operator: "Exists" resources: 11 requests: memory: "64Mi" cpu: "250m" limits: memory: "128Mi" cpu: "500m" nodeSelector: 12 foo: bar
- 1
- デフォルトの
AllNamespaces
インストールモードの使用については、openshift-operators
namespace を指定します。カスタムグローバル namespace を作成している場合はこれを指定できます。SingleNamespace
インストールモードを使用する場合は、関連する単一の namespace を指定します。 - 2
- サブスクライブするチャネルの名前。
- 3
- サブスクライブする Operator の名前。
- 4
- Operator を提供するカタログソースの名前。
- 5
- カタログソースの namespace。デフォルトの OperatorHub カタログソースには
openshift-marketplace
を使用します。 - 6
env
パラメーターは、OLM によって作成される Pod のすべてのコンテナーに存在する必要がある環境変数の一覧を定義します。- 7
envFrom
パラメーターは、コンテナーの環境変数に反映するためのソースの一覧を定義します。- 8
volumes
パラメーターは、OLM によって作成される Pod に存在する必要があるボリュームの一覧を定義します。- 9
volumeMounts
パラメーターは、OLM によって作成される Pod のすべてのコンテナーに存在する必要があるボリュームマウントの一覧を定義します。volumeMount
が存在しないボリューム
を参照する場合、OLM は Operator のデプロイに失敗します。- 10
tolerations
パラメーターは、OLM によって作成される Pod の toleration の一覧を定義します。- 11
resources
パラメーターは、OLM によって作成される Pod のすべてのコンテナーのリソース制約を定義します。- 12
nodeSelector
パラメーターは、OLM によって作成される Pod のNodeSelector
を定義します。
例3.4 特定の開始 Operator バージョンを持つ
Subscription
オブジェクトの例apiVersion: operators.coreos.com/v1alpha1 kind: Subscription metadata: name: example-operator namespace: example-operator spec: channel: stable-3.7 installPlanApproval: Manual 1 name: example-operator source: custom-operators sourceNamespace: openshift-marketplace startingCSV: example-operator.v3.7.10 2
トークン認証が有効になっているクラウドプロバイダー上のクラスターの場合は、次の手順に従って
Subscription
オブジェクトを設定します。Subscription
オブジェクトが手動更新承認に設定されていることを確認します。kind: Subscription # ... spec: installPlanApproval: Manual 1
- 1
- 更新前に権限の変更が必要になる可能性があるため、自動更新承認のあるサブスクリプションは推奨できません。手動更新承認付きのサブスクリプションにより、管理者は新しいバージョンの権限を確認し、更新前に必要な手順を実行する機会が確保されます。
関連するクラウドプロバイダー固有のフィールドを
Subscription
オブジェクトのconfig
セクションに含めます。クラスターが AWS STS モードの場合は、次のフィールドを含めます。
kind: Subscription # ... spec: config: env: - name: ROLEARN value: "<role_arn>" 1
- 1
- ロール ARN の詳細を含めます。
クラスターが Microsoft Entra Workload ID モードの場合は、次のフィールドを含めます。
kind: Subscription # ... spec: config: env: - name: CLIENTID value: "<client_id>" 1 - name: TENANTID value: "<tenant_id>" 2 - name: SUBSCRIPTIONID value: "<subscription_id>" 3
以下のコマンドを実行して
Subscription
オブジェクトを作成します。$ oc apply -f subscription.yaml
-
installPlanApproval
フィールドをManual
に設定する場合は、保留中のインストールプランを手動で承認して Operator のインストールを完了します。詳細は、「保留中の Operator 更新の手動による承認」を参照してください。
この時点で、OLM は選択した Operator を認識します。Operator のクラスターサービスバージョン (CSV) はターゲット namespace に表示され、Operator で指定される API は作成用に利用可能になります。
検証
次のコマンドを実行して、インストールされている Operator の
Subscription
オブジェクトのステータスを確認します。$ oc describe subscription <subscription_name> -n <namespace>
SingleNamespace
インストールモードの Operator グループを作成した場合は、次のコマンドを実行してOperatorGroup
オブジェクトのステータスを確認します。$ oc describe operatorgroup <operatorgroup_name> -n <namespace>
関連情報
第4章 管理者タスク
4.1. Operator のクラスターへの追加
Operator Lifecycle Manager (OLM) を使用して、クラスター管理者は OLM ベースの Operator を OpenShift Container Platform クラスターにインストールできます。
OLM が同一 namespace に配置されたインストール済み Operator の更新を処理する方法や、カスタムグローバル Operator グループで Operator をインストールする別の方法は、マルチテナント対応と Operator のコロケーション を参照してください。
4.1.1. OperatorHub を使用した Operator のインストールについて
OperatorHub は Operator を検出するためのユーザーインターフェイスです。これは Operator Lifecycle Manager (OLM) と連携し、クラスター上で Operator をインストールし、管理します。
クラスター管理者は、OpenShift Container Platform Web コンソールまたは CLI を使用して OperatorHub から Operator をインストールできます。Operator を 1 つまたは複数の namespace にサブスクライブし、Operator をクラスター上で開発者が使用できるようにできます。
インストール時に、Operator の以下の初期設定を判別する必要があります。
- インストールモード
- All namespaces on the cluster (default) を選択して Operator をすべての namespace にインストールするか、(利用可能な場合は) 個別の namespace を選択し、選択された namespace のみに Operator をインストールします。この例では、All namespaces… を選択し、Operator をすべてのユーザーおよびプロジェクトで利用可能にします。
- 更新チャネル
- Operator が複数のチャネルで利用可能な場合、サブスクライブするチャネルを選択できます。たとえば、(利用可能な場合に) stable チャネルからデプロイするには、これをリストから選択します。
- 承認ストラテジー
自動 (Automatic) または手動 (Manual) のいずれかの更新を選択します。
インストールされた Operator について自動更新を選択する場合、Operator の新規バージョンが選択されたチャネルで利用可能になると、Operator Lifecycle Manager (OLM) は人の介入なしに、Operator の実行中のインスタンスを自動的にアップグレードします。
手動更新を選択する場合、Operator の新規バージョンが利用可能になると、OLM は更新要求を作成します。クラスター管理者は、Operator が新規バージョンに更新されるように更新要求を手動で承認する必要があります。
関連情報
4.1.2. Web コンソールを使用して OperatorHub からインストールする
OpenShift Container Platform Web コンソールを使用して OperatorHub から Operator をインストールし、これをサブスクライブできます。
前提条件
-
cluster-admin
権限を持つアカウントを使用して OpenShift Container Platform クラスターにアクセスできる。
手順
- Web コンソールで、Operators → OperatorHub ページに移動します。
スクロールするか、キーワードを Filter by keyword ボックスに入力し、必要な Operator を見つけます。たとえば、Advanced Cluster Management for Kubernetes Operator を検索するには
advanced
を入力します。また、インフラストラクチャー機能 でオプションをフィルターすることもできます。たとえば、非接続環境 (ネットワークが制限された環境ともしても知られる) で機能する Operator を表示するには、Disconnected を選択します。
Operator を選択して、追加情報を表示します。
注記コミュニティー Operator を選択すると、Red Hat がコミュニティー Operator を認定していないことを警告します。続行する前に警告を確認する必要があります。
- Operator の情報を確認してから、Install をクリックします。
Install Operator ページで、Operator のインストールを設定します。
特定のバージョンの Operator をインストールする場合は、リストから Update channel と Version を選択します。Operator のすべてのチャネルから Operator のさまざまなバージョンを参照し、そのチャネルとバージョンのメタデータを表示して、インストールする正確なバージョンを選択できます。
注記バージョン選択のデフォルトは、選択したチャネルの最新バージョンです。チャネルの最新バージョンが選択されている場合は、自動 承認戦略がデフォルトで有効になります。それ以外の場合、選択したチャネルの最新バージョンをインストールしない場合は、手動 による承認が必要です。
手動 承認を使用して Operator をインストールすると、namespace 内にインストールされたすべての Operator が 手動 承認戦略で機能し、すべての Operator が一緒に更新されます。Operator を個別に更新する場合は、Operator を別の namespace にインストールします。
Operator のインストールモードを確認します。
-
All namespaces on the cluster (default) は、デフォルトの
openshift-operators
namespace で Operator をインストールし、クラスターのすべての namespace を監視し、Operator をこれらの namespace に対して利用可能にします。このオプションは常に選択可能です。 - A specific namespace on the cluster では、Operator をインストールする特定の単一 namespace を選択できます。Operator は監視のみを実行し、この単一 namespace で使用されるように利用可能になります。
-
All namespaces on the cluster (default) は、デフォルトの
トークン認証が有効になっているクラウドプロバイダー上のクラスターの場合:
- クラスターが AWS STS (Web コンソールの STS モード) を使用する場合は、ロール ARN フィールドにサービスアカウントの AWS IAM ロールの Amazon Resource Name (ARN) を入力します。ロールの ARN を作成するには、AWS アカウントの準備 で説明されている手順に従います。
- クラスターが Microsoft Entra Workload ID (Web コンソールの Workload アイデンティティー/フェデレーションされたアイデンティティーモード) を使用する場合は、適切なフィールドにクライアント ID、テナント ID、サブスクリプション ID を追加します。
Update approval で、承認ストラテジー Automatic または Manual を選択します。
重要Web コンソールに、クラスターが AWS STS または Microsoft Entra Workload ID を使用していることが示されている場合は、Update approval を Manual に設定する必要があります。
更新前に権限の変更が必要になる可能性があるため、自動更新承認のあるサブスクリプションは推奨できません。手動更新承認付きのサブスクリプションにより、管理者は新しいバージョンの権限を確認し、更新前に必要な手順を実行する機会が確保されます。
Install をクリックし、Operator をこの OpenShift Container Platform クラスターの選択した namespace で利用可能にします。
手動 の承認ストラテジーを選択している場合、サブスクリプションのアップグレードステータスは、そのインストール計画を確認し、承認するまで Upgrading のままになります。
Install Plan ページでの承認後に、サブスクリプションのアップグレードステータスは Up to date に移行します。
- 自動 の承認ストラテジーを選択している場合、アップグレードステータスは、介入なしに Up to date に解決するはずです。
検証
サブスクリプションのアップグレードステータスが Up to date になった後に、Operators → Installed Operators を選択し、インストールされた Operator のクラスターサービスバージョン (CSV) が表示されることを確認します。Status は、関連する namespace で最終的に Succeeded に解決されるはずです。
注記All namespaces… インストールモードの場合、ステータスは
openshift-operators
namespace で Succeeded になりますが、他の namespace でチェックする場合、ステータスは Copied になります。上記通りにならない場合、以下を実行します。
-
さらにトラブルシューティングを行うために問題を報告している Workloads → Pods ページで、
openshift-operators
プロジェクト (または A specific namespace… インストールモードが選択されている場合は他の関連の namespace) の Pod のログを確認します。
-
さらにトラブルシューティングを行うために問題を報告している Workloads → Pods ページで、
Operator をインストールすると、メタデータに、インストールされているチャネルとバージョンが示されます。
注記ドロップダウンメニュー Channel および Version は、このカタログコンテキストで他のバージョンのメタデータを表示するために引き続き使用できます。
4.1.3. CLI を使用して OperatorHub からインストールする
OpenShift Container Platform Web コンソールを使用する代わりに、CLI を使用して OperatorHub から Operator をインストールできます。oc
コマンドを使用して、Subscription
オブジェクトを作成または更新します。
SingleNamespace
インストールモードの場合は、関連する namespace に適切な Operator グループが存在することも確認する必要があります。OperatorGroup
で定義される Operator グループは、Operator グループと同じ namespace 内のすべての Operator に必要な RBAC アクセスを生成するターゲット namespace を選択します。
ほとんどの場合は、この手順の Web コンソール方式が推奨されます。これは、SingleNamespace
モードを選択したときに OperatorGroup
オブジェクトおよび Subscription
オブジェクトの作成を自動的に処理するなど、バックグラウンドでタスクが自動化されるためです。
前提条件
-
cluster-admin
権限を持つアカウントを使用して OpenShift Container Platform クラスターにアクセスできる。 -
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。
手順
OperatorHub からクラスターで利用できる Operator のリストを表示します。
$ oc get packagemanifests -n openshift-marketplace
例4.1 出力例
NAME CATALOG AGE 3scale-operator Red Hat Operators 91m advanced-cluster-management Red Hat Operators 91m amq7-cert-manager Red Hat Operators 91m # ... couchbase-enterprise-certified Certified Operators 91m crunchy-postgres-operator Certified Operators 91m mongodb-enterprise Certified Operators 91m # ... etcd Community Operators 91m jaeger Community Operators 91m kubefed Community Operators 91m # ...
必要な Operator のカタログをメモします。
必要な Operator を検査して、サポートされるインストールモードおよび利用可能なチャネルを確認します。
$ oc describe packagemanifests <operator_name> -n openshift-marketplace
例4.2 出力例
# ... Kind: PackageManifest # ... Install Modes: 1 Supported: true Type: OwnNamespace Supported: true Type: SingleNamespace Supported: false Type: MultiNamespace Supported: true Type: AllNamespaces # ... Entries: Name: example-operator.v3.7.11 Version: 3.7.11 Name: example-operator.v3.7.10 Version: 3.7.10 Name: stable-3.7 2 # ... Entries: Name: example-operator.v3.8.5 Version: 3.8.5 Name: example-operator.v3.8.4 Version: 3.8.4 Name: stable-3.8 3 Default Channel: stable-3.8 4
ヒント次のコマンドを実行すると、Operator のバージョンとチャネル情報を YAML 形式で出力できます。
$ oc get packagemanifests <operator_name> -n <catalog_namespace> -o yaml
namespace に複数のカタログがインストールされている場合は、次のコマンドを実行して、特定のカタログから Operator の使用可能なバージョンとチャネルを検索します。
$ oc get packagemanifest \ --selector=catalog=<catalogsource_name> \ --field-selector metadata.name=<operator_name> \ -n <catalog_namespace> -o yaml
重要Operator のカタログを指定しない場合、
oc get packagemanifest
およびoc describe packagemanifest
コマンドを実行すると、次の条件が満たされると予期しないカタログからパッケージが返される可能性があります。- 複数のカタログが同じ namespace にインストールされます。
- カタログには、同じ Operator、または同じ名前の Operator が含まれています。
インストールする Operator が
AllNamespaces
インストールモードをサポートしており、このモードを使用することを選択した場合は、openshift-operators
namespace にglobal-operators
と呼ばれる適切な Operator グループがデフォルトですでに配置されているため、この手順をスキップしてください。インストールする Operator が
SingleNamespace
インストールモードをサポートしており、このモードを使用することを選択した場合は、関連する namespace に適切な Operator グループが存在することを確認する必要があります。存在しない場合は、次の手順に従って作成できます。重要namespace ごとに Operator グループを 1 つだけ持つことができます。詳細は、「Operator グループ」を参照してください。
SingleNamespace
インストールモード用に、OperatorGroup
オブジェクト YAML ファイル (例:operatorgroup.yaml
) を作成します。SingleNamespace
インストールモードのOperatorGroup
オブジェクトの例apiVersion: operators.coreos.com/v1 kind: OperatorGroup metadata: name: <operatorgroup_name> namespace: <namespace> 1 spec: targetNamespaces: - <namespace> 2
OperatorGroup
オブジェクトを作成します。$ oc apply -f operatorgroup.yaml
namespace を Operator にサブスクライブするための
Subscription
オブジェクトを作成します。Subscription
オブジェクトの YAML ファイル (例:subscription.yaml
) を作成します。注記特定のバージョンの Operator をサブスクライブする場合は、
startingCSV
フィールドを目的のバージョンに設定し、installPlanApproval
フィールドをManual
に設定して、カタログに新しいバージョンが存在する場合に Operator が自動的にアップグレードされないようにします。詳細は、次の「特定の開始 Operator バージョンを持つSubscription
オブジェクトの例」を参照してください。例4.3
Subscription
オブジェクトの例apiVersion: operators.coreos.com/v1alpha1 kind: Subscription metadata: name: <subscription_name> namespace: <namespace_per_install_mode> 1 spec: channel: <channel_name> 2 name: <operator_name> 3 source: <catalog_name> 4 sourceNamespace: <catalog_source_namespace> 5 config: env: 6 - name: ARGS value: "-v=10" envFrom: 7 - secretRef: name: license-secret volumes: 8 - name: <volume_name> configMap: name: <configmap_name> volumeMounts: 9 - mountPath: <directory_name> name: <volume_name> tolerations: 10 - operator: "Exists" resources: 11 requests: memory: "64Mi" cpu: "250m" limits: memory: "128Mi" cpu: "500m" nodeSelector: 12 foo: bar
- 1
- デフォルトの
AllNamespaces
インストールモードの使用については、openshift-operators
namespace を指定します。カスタムグローバル namespace を作成している場合はこれを指定できます。SingleNamespace
インストールモードを使用する場合は、関連する単一の namespace を指定します。 - 2
- サブスクライブするチャネルの名前。
- 3
- サブスクライブする Operator の名前。
- 4
- Operator を提供するカタログソースの名前。
- 5
- カタログソースの namespace。デフォルトの OperatorHub カタログソースには
openshift-marketplace
を使用します。 - 6
env
パラメーターは、OLM によって作成される Pod のすべてのコンテナーに存在する必要がある環境変数の一覧を定義します。- 7
envFrom
パラメーターは、コンテナーの環境変数に反映するためのソースの一覧を定義します。- 8
volumes
パラメーターは、OLM によって作成される Pod に存在する必要があるボリュームの一覧を定義します。- 9
volumeMounts
パラメーターは、OLM によって作成される Pod のすべてのコンテナーに存在する必要があるボリュームマウントの一覧を定義します。volumeMount
が存在しないボリューム
を参照する場合、OLM は Operator のデプロイに失敗します。- 10
tolerations
パラメーターは、OLM によって作成される Pod の toleration の一覧を定義します。- 11
resources
パラメーターは、OLM によって作成される Pod のすべてのコンテナーのリソース制約を定義します。- 12
nodeSelector
パラメーターは、OLM によって作成される Pod のNodeSelector
を定義します。
例4.4 特定の開始 Operator バージョンを持つ
Subscription
オブジェクトの例apiVersion: operators.coreos.com/v1alpha1 kind: Subscription metadata: name: example-operator namespace: example-operator spec: channel: stable-3.7 installPlanApproval: Manual 1 name: example-operator source: custom-operators sourceNamespace: openshift-marketplace startingCSV: example-operator.v3.7.10 2
トークン認証が有効になっているクラウドプロバイダー上のクラスターの場合は、次の手順に従って
Subscription
オブジェクトを設定します。Subscription
オブジェクトが手動更新承認に設定されていることを確認します。kind: Subscription # ... spec: installPlanApproval: Manual 1
- 1
- 更新前に権限の変更が必要になる可能性があるため、自動更新承認のあるサブスクリプションは推奨できません。手動更新承認付きのサブスクリプションにより、管理者は新しいバージョンの権限を確認し、更新前に必要な手順を実行する機会が確保されます。
関連するクラウドプロバイダー固有のフィールドを
Subscription
オブジェクトのconfig
セクションに含めます。クラスターが AWS STS モードの場合は、次のフィールドを含めます。
kind: Subscription # ... spec: config: env: - name: ROLEARN value: "<role_arn>" 1
- 1
- ロール ARN の詳細を含めます。
クラスターが Microsoft Entra Workload ID モードの場合は、次のフィールドを含めます。
kind: Subscription # ... spec: config: env: - name: CLIENTID value: "<client_id>" 1 - name: TENANTID value: "<tenant_id>" 2 - name: SUBSCRIPTIONID value: "<subscription_id>" 3
以下のコマンドを実行して
Subscription
オブジェクトを作成します。$ oc apply -f subscription.yaml
-
installPlanApproval
フィールドをManual
に設定する場合は、保留中のインストールプランを手動で承認して Operator のインストールを完了します。詳細は、「保留中の Operator 更新の手動による承認」を参照してください。
この時点で、OLM は選択した Operator を認識します。Operator のクラスターサービスバージョン (CSV) はターゲット namespace に表示され、Operator で指定される API は作成用に利用可能になります。
検証
次のコマンドを実行して、インストールされている Operator の
Subscription
オブジェクトのステータスを確認します。$ oc describe subscription <subscription_name> -n <namespace>
SingleNamespace
インストールモードの Operator グループを作成した場合は、次のコマンドを実行してOperatorGroup
オブジェクトのステータスを確認します。$ oc describe operatorgroup <operatorgroup_name> -n <namespace>
4.1.4. マルチテナントクラスター用の Operator の複数インスタンスの準備
クラスター管理者は、マルチテナントクラスターで使用する Operator の複数のインスタンスを追加できます。これは、最小特権の原則に違反していると見なされる標準の All namespaces インストールモード、または広く採用されていない Multinamespace モードのいずれかを使用する代替ソリューションです。詳細は、「マルチテナントクラスター内の Operator」を参照してください。
次の手順では、テナント は、デプロイされた一連のワークロードに対する共通のアクセス権と特権を共有するユーザーまたはユーザーのグループです。テナント Operator は、そのテナントのみによる使用を意図した Operator のインスタンスです。
前提条件
インストールする Operator のすべてのインスタンスは、特定のクラスター全体で同じバージョンである必要があります。
重要この制限およびその他の制限の詳細は、「マルチテナントクラスター内の Operator」を参照してください。
手順
Operator をインストールする前に、テナントの namespace とは別のテナント Operator の namespace を作成します。たとえば、テナントの namespace が
team1
の場合、team1-operator
namespace を作成できます。Namespace
リソースを定義し、YAML ファイル (例:team1-operator.yaml)
を保存します。apiVersion: v1 kind: Namespace metadata: name: team1-operator
以下のコマンドを実行して namespace を作成します。
$ oc create -f team1-operator.yaml
spec.targetNamespaces
リストにその 1 つの namespace エントリーのみを使用して、テナントの namespace をスコープとするテナント Operator の Operator グループを作成します。OperatorGroup
リソースを定義し、YAML ファイル (例:team1-operatorgroup.yaml)
を保存します。apiVersion: operators.coreos.com/v1 kind: OperatorGroup metadata: name: team1-operatorgroup namespace: team1-operator spec: targetNamespaces: - team1 1
- 1
spec.targetNamespaces
リストでテナントの namespace のみを定義します。
以下のコマンドを実行して Operator グループを作成します。
$ oc create -f team1-operatorgroup.yaml
次のステップ
テナント Operator namespace に Operator をインストールします。このタスクは、CLI の代わりに Web コンソールで OperatorHub を使用することにより、より簡単に実行できます。詳細な手順は、Web コンソールを使用した OperatorHub からのインストール を参照してください。
注記Operator のインストールが完了すると、Operator はテナントの Operator namespace に存在し、テナントの namespace を監視しますが、Operator の Pod もそのサービスアカウントも、テナントによって表示または使用されません。
4.1.5. カスタム namespace にグローバル Operator をインストールする
OpenShift Container Platform Web コンソールを使用して Operator をインストールする場合、デフォルトの動作により、All namespaces インストールモードをサポートする Operator がデフォルトの openshift-operators
グローバル namespace にインストールされます。これにより、namespace 内のすべての Operator 間で共有インストールプランと更新ポリシーに関連する問題が発生する可能性があります。これらの制限の詳細は、「マルチテナント対応と Operator のコロケーション」を参照してください。
クラスター管理者は、カスタムグローバル namespace を作成し、その namespace を使用して、個々のまたは範囲指定された一連の Operator とその依存関係をインストールすることにより、このデフォルトの動作を手動でバイパスできます。
前提条件
-
cluster-admin
ロールを持つユーザーとしてクラスターにアクセスできる。
手順
Operator をインストールする前に、目的の Operator をインストールするための namespace を作成します。このインストール namespace は、カスタムグローバル namespace になります。
Namespace
リソースを定義し、YAML ファイル (例:global-operators.yaml
) を保存します。apiVersion: v1 kind: Namespace metadata: name: global-operators
以下のコマンドを実行して namespace を作成します。
$ oc create -f global-operators.yaml
すべての namespace を監視する Operator グループである、カスタム global Operator group を作成します。
OperatorGroup
リソースを定義し、global-operatorgroup.yaml
などの YAML ファイルを保存します。spec.selector
フィールドとspec.targetNamespaces
フィールドの両方を省略して、すべての namespace を選択する global Operator group にします。apiVersion: operators.coreos.com/v1 kind: OperatorGroup metadata: name: global-operatorgroup namespace: global-operators
注記作成されたグローバル Operator グループの
status.namespaces
には、空の文字列 (""
) が含まれています。これは、すべての namespace を監視する必要があることを消費する Operator に通知します。以下のコマンドを実行して Operator グループを作成します。
$ oc create -f global-operatorgroup.yaml
次のステップ
必要な Operator をカスタムグローバル namespace にインストールします。Web コンソールは、Operator のインストール時にカスタムグローバル namespace で Installed Namespace メニューを設定しないため、このタスクは OpenShift CLI (
oc
) でのみ実行できます。詳細な手順は、CLI を使用した OperatorHub からのインストール を参照してください。注記Operator のインストールを開始すると、Operator に依存関係がある場合、その依存関係もカスタムグローバル namespace に自動的にインストールされます。その結果、依存関係 Operator が同じ更新ポリシーと共有インストールプランを持つことが有効になります。
4.1.6. Operator ワークロードの Pod の配置
デフォルトで、Operator Lifecycle Manager (OLM) は、Operator のインストールまたはオペランドのワークロードのデプロイ時に Pod を任意のワーカーノードに配置します。管理者は、ノードセレクター、taint、および toleration の組み合わせを持つプロジェクトを使用して、Operator およびオペランドの特定のノードへの配置を制御できます。
Operator およびオペランドワークロードの Pod 配置の制御には以下の前提条件があります。
-
要件に応じて Pod のターゲットとするノードまたはノードのセットを判別します。利用可能な場合は、単数または複数のノードを特定する
node-role.kubernetes.io/app
などの既存ラベルをメモします。それ以外の場合は、コンピュートマシンセットを使用するか、ノードを直接編集して、myoperator
などのラベルを追加します。このラベルは、後のステップでプロジェクトのノードセレクターとして使用します。 -
関連しないワークロードを他のノードに向けつつ、特定のラベルの付いた Pod のみがノードで実行されるようにする必要がある場合、コンピュートマシンセットを使用するか、ノードを直接編集して taint をノードに追加します。taint に一致しない新規 Pod がノードにスケジュールされないようにする effect を使用します。たとえば、
myoperator:NoSchedule
taint は、taint に一致しない新規 Pod がノードにスケジュールされないようにしますが、ノードの既存 Pod はそのまま残ります。 - デフォルトのノードセレクターで設定され、taint を追加している場合に一致する toleration を持つプロジェクトを作成します。
この時点で、作成したプロジェクトでは、以下のシナリオの場合に指定されたノードに Pod を導くことができます。
- Operator Pod の場合
-
管理者は、次のセクションで説明するように、プロジェクトに
Subscription
オブジェクトを作成できます。その結果、Operator Pod は指定されたノードに配置されます。 - オペランド Pod の場合
- インストールされた Operator を使用して、ユーザーはプロジェクトにアプリケーションを作成できます。これにより、Operator が所有するカスタムリソース (CR) がプロジェクトに置かれます。その結果、Operator が他の namespace にクラスター全体のオブジェクトまたはリソースをデプロイしない限り、オペランド Pod は指定されたノードに配置されます。この場合、このカスタマイズされた Pod の配置は適用されません。
関連情報
- ノードに手動で、または コンピュートマシンセットを使用 して taint と toleration を追加する
- プロジェクトスコープのノードセレクターの作成
- ノードセレクターおよび toleration を使用したプロジェクトの作成
4.1.7. Operator のインストール場所の制御
デフォルトでは、Operator をインストールすると、OpenShift Container Platform は Operator Pod をワーカーノードの 1 つにランダムにインストールします。ただし、特定のノードまたはノードのセットでその Pod をスケジュールする必要がある場合があります。
以下の例では、Operator Pod を特定のノードまたはノードのセットにスケジュールする状況を説明します。
-
Operator が
amd64
やarm64
などの特定のプラットフォームを必要とする場合 - オペレータが Linux や Windows などの特定のオペレーティングシステムを必要とする場合
- 同じホストまたは同じラックに配置されたホストでスケジュールされた一緒に動作する Operator が必要な場合
- ネットワークまたはハードウェアの問題によるダウンタイムを回避するために、Operator をインフラストラクチャー全体に分散させたい場合
Operator の Subscription
オブジェクトにノードアフィニティー、Pod アフィニティー、または Pod 非アフィニティー制約を追加することで、Operator Pod がインストールされる場所を制御できます。ノードアフィニティーは、Pod の配置場所を判別するためにスケジューラーによって使用されるルールのセットです。Pod アフィニティーを使用すると、関連する Pod が同じノードにスケジュールされていることを確認できます。Pod 非アフィニティーを使用すると、ノードで Pod がスケジュールされないようにすることができます。
次の例は、ノードアフィニティーまたは Pod 非アフィニティーを使用して、Custom Metrics Autoscaler Operator のインスタンスをクラスター内の特定のノードにインストールする方法を示しています。
Operator Pod を特定のノードに配置するノードアフィニティーの例
apiVersion: operators.coreos.com/v1alpha1
kind: Subscription
metadata:
name: openshift-custom-metrics-autoscaler-operator
namespace: openshift-keda
spec:
name: my-package
source: my-operators
sourceNamespace: operator-registries
config:
affinity:
nodeAffinity: 1
requiredDuringSchedulingIgnoredDuringExecution:
nodeSelectorTerms:
- matchExpressions:
- key: kubernetes.io/hostname
operator: In
values:
- ip-10-0-163-94.us-west-2.compute.internal
#...
- 1
- Operator の Pod を
ip-10-0-163-94.us-west-2.compute.internal
という名前のノードでスケジュールする必要があるノードアフィニティー。
Operator Pod を特定のプラットフォームのノードに配置するノードアフィニティーの例
apiVersion: operators.coreos.com/v1alpha1
kind: Subscription
metadata:
name: openshift-custom-metrics-autoscaler-operator
namespace: openshift-keda
spec:
name: my-package
source: my-operators
sourceNamespace: operator-registries
config:
affinity:
nodeAffinity: 1
requiredDuringSchedulingIgnoredDuringExecution:
nodeSelectorTerms:
- matchExpressions:
- key: kubernetes.io/arch
operator: In
values:
- arm64
- key: kubernetes.io/os
operator: In
values:
- linux
#...
- 1
- Operator の Pod を
kubernetes.io/arch=arm64
およびkubernetes.io/os=linux
ラベルを持つノードでスケジュールする必要があるノードアフィニティー。
Operator Pod を 1 つ以上の特定のノードに配置する Pod アフィニティーの例
apiVersion: operators.coreos.com/v1alpha1
kind: Subscription
metadata:
name: openshift-custom-metrics-autoscaler-operator
namespace: openshift-keda
spec:
name: my-package
source: my-operators
sourceNamespace: operator-registries
config:
affinity:
podAffinity: 1
requiredDuringSchedulingIgnoredDuringExecution:
- labelSelector:
matchExpressions:
- key: app
operator: In
values:
- test
topologyKey: kubernetes.io/hostname
#...
- 1
app=test
ラベルを持つ Pod を持つノードに Operator の Pod を配置する Pod アフィニティー。
Operator Pod が 1 つ以上の特定のノードからアクセスできないようにする Pod 非アフィニティーの例
apiVersion: operators.coreos.com/v1alpha1
kind: Subscription
metadata:
name: openshift-custom-metrics-autoscaler-operator
namespace: openshift-keda
spec:
name: my-package
source: my-operators
sourceNamespace: operator-registries
config:
affinity:
podAntiAffinity: 1
requiredDuringSchedulingIgnoredDuringExecution:
- labelSelector:
matchExpressions:
- key: cpu
operator: In
values:
- high
topologyKey: kubernetes.io/hostname
#...
- 1
- Operator の Pod が
cpu=high
ラベルの Pod を持つノードでスケジュールされないようにする Pod 非アフィニティー。
手順
Operator Pod の配置を制御するには、次の手順を実行します。
- 通常どおり Operator をインストールします。
- 必要に応じて、ノードがアフィニティーに適切に応答するようにラベル付けされていることを確認してください。
Operator
Subscription
オブジェクトを編集してアフィニティーを追加します。apiVersion: operators.coreos.com/v1alpha1 kind: Subscription metadata: name: openshift-custom-metrics-autoscaler-operator namespace: openshift-keda spec: name: my-package source: my-operators sourceNamespace: operator-registries config: affinity: 1 nodeAffinity: requiredDuringSchedulingIgnoredDuringExecution: nodeSelectorTerms: - matchExpressions: - key: kubernetes.io/hostname operator: In values: - ip-10-0-185-229.ec2.internal #...
- 1
nodeAffinity
、podAffinity
、またはpodAntiAffinity
を追加します。アフィニティーの作成については、以下のその他のリソースセクションを参照してください。
検証
Pod が特定のノードにデプロイされていることを確認するには、次のコマンドを実行します。
$ oc get pods -o wide
出力例
NAME READY STATUS RESTARTS AGE IP NODE NOMINATED NODE READINESS GATES custom-metrics-autoscaler-operator-5dcc45d656-bhshg 1/1 Running 0 50s 10.131.0.20 ip-10-0-185-229.ec2.internal <none> <none>
4.2. インストール済み Operator の更新
クラスター管理者は、OpenShift Container Platform クラスターで Operator Lifecycle Manager (OLM) を使用し、以前にインストールされた Operator を更新できます。
OLM が同一 namespace に配置されたインストール済み Operator の更新を処理する方法や、カスタムグローバル Operator グループで Operator をインストールする別の方法は、マルチテナント対応と Operator のコロケーション を参照してください。
4.2.1. Operator 更新の準備
インストールされた Operator のサブスクリプションは、Operator の更新を追跡および受信する更新チャネルを指定します。更新チャネルを変更して、新しいチャネルからの更新の追跡と受信を開始できます。
サブスクリプションの更新チャネルの名前は Operator 間で異なる可能性がありますが、命名スキーム通常、特定の Operator 内の共通の規則に従います。たとえば、チャネル名は Operator によって提供されるアプリケーションのマイナーリリース更新ストリーム (1.2
、1.3
) またはリリース頻度 (stable
、fast
) に基づく可能性があります。
インストールされた Operator は、現在のチャネルよりも古いチャネルに切り換えることはできません。
Red Hat Customer Portal Labs には、管理者が Operator の更新を準備するのに役立つ以下のアプリケーションが含まれています。
このアプリケーションを使用して、Operator Lifecycle Manager ベースの Operator を検索し、OpenShift Container Platform の異なるバージョン間で更新チャネルごとに利用可能な Operator バージョンを確認できます。Cluster Version Operator ベースの Operator は含まれません。
4.2.2. Operator の更新チャネルの変更
OpenShift Container Platform Web コンソールを使用して、Operator の更新チャネルを変更できます。
サブスクリプションの承認ストラテジーが Automatic に設定されている場合、アップグレードプロセスは、選択したチャネルで新規 Operator バージョンが利用可能になるとすぐに開始します。承認ストラテジーが Manual に設定されている場合は、保留中のアップグレードを手動で承認する必要があります。
前提条件
- Operator Lifecycle Manager (OLM) を使用して以前にインストールされている Operator。
手順
- Web コンソールの Administrator パースペクティブで、Operators → Installed Operators に移動します。
- 更新チャネルを変更する Operator の名前をクリックします。
- Subscription タブをクリックします。
- Update channel の下にある更新チャネルの名前をクリックします。
- 変更する新しい更新チャネルをクリックし、Save をクリックします。
Automatic 承認ストラテジーのあるサブスクリプションの場合、更新は自動的に開始します。Operators → Installed Operators ページに戻り、更新の進捗をモニターします。完了時に、ステータスは Succeeded および Up to date に変更されます。
Manual 承認ストラテジーのあるサブスクリプションの場合、Subscription タブから更新を手動で承認できます。
4.2.3. 保留中の Operator 更新の手動による承認
インストールされた Operator のサブスクリプションの承認ストラテジーが Manual に設定されている場合、新規の更新が現在の更新チャネルにリリースされると、インストールを開始する前に更新を手動で承認する必要があります。
前提条件
- Operator Lifecycle Manager (OLM) を使用して以前にインストールされている Operator。
手順
- OpenShift Container Platform Web コンソールの Administrator パースペクティブで、Operators → Installed Operators に移動します。
- 更新が保留中の Operator は Upgrade available のステータスを表示します。更新する Operator の名前をクリックします。
- Subscription タブをクリックします。承認が必要な更新は、Upgrade status の横に表示されます。たとえば、1 requires approval が表示される可能性があります。
- 1 requires approval をクリックしてから、Preview Install Plan をクリックします。
- 更新に利用可能なリソースとして一覧表示されているリソースを確認します。問題がなければ、Approve をクリックします。
- Operators → Installed Operators ページに戻り、更新の進捗をモニターします。完了時に、ステータスは Succeeded および Up to date に変更されます。
4.2.4. 関連情報
4.3. クラスターからの Operator の削除
以下では、OpenShift Container Platform クラスター上で Operator Lifecycle Manager (OLM) を使用して以前にインストールされた Operator を削除またはアンインストールする方法を説明します。
同じ Operator の再インストールを試行する前に、Operator を正常かつ完全にアンインストールする必要があります。Operator を適切かつ完全にアンインストールできていない場合、プロジェクトや namespace などのリソースが "Terminating" ステータスでスタックし、Operator を再インストールしようとすると "error resolving resource" メッセージが表示される可能性があります。
詳細は、アンインストール失敗後の Operator の再インストール を参照してください。
4.3.1. Web コンソールの使用によるクラスターからの Operator の削除
クラスター管理者は Web コンソールを使用して、選択した namespace からインストールされた Operator を削除できます。
前提条件
-
cluster-admin
パーミッションを持つアカウントを使用して OpenShift Container Platform クラスター Web コンソールにアクセスできる。
手順
- Operators → Installed Operators ページに移動します。
- スクロールするか、キーワードを Filter by name フィールドに入力して、削除する Operator を見つけます。次に、それをクリックします。
Operator Details ページの右側で、Actions 一覧から Uninstall Operator を選択します。
Uninstall Operator? ダイアログボックスが表示されます。
Uninstall を選択し、Operator、Operator デプロイメント、および Pod を削除します。このアクションの後には、Operator は実行を停止し、更新を受信しなくなります。
注記このアクションは、カスタムリソース定義 (CRD) およびカスタムリソース (CR) など、Operator が管理するリソースは削除されません。Web コンソールおよび継続して実行されるクラスター外のリソースによって有効にされるダッシュボードおよびナビゲーションアイテムには、手動でのクリーンアップが必要になる場合があります。Operator のアンインストール後にこれらを削除するには、Operator CRD を手動で削除する必要があります。
4.3.2. CLI の使用によるクラスターからの Operator の削除
クラスター管理者は CLI を使用して、選択した namespace からインストールされた Operator を削除できます。
前提条件
-
cluster-admin
パーミッションを持つアカウントを使用して OpenShift Container Platform クラスターにアクセスできる。 -
OpenShift CLI (
oc
) がワークステーションにインストールされている。
手順
サブスクライブした Operator の最新バージョン (
serverless-operator
など) が、currentCSV
フィールドで識別されていることを確認します。$ oc get subscription.operators.coreos.com serverless-operator -n openshift-serverless -o yaml | grep currentCSV
出力例
currentCSV: serverless-operator.v1.28.0
サブスクリプション (
serverless-operator
など) を削除します。$ oc delete subscription.operators.coreos.com serverless-operator -n openshift-serverless
出力例
subscription.operators.coreos.com "serverless-operator" deleted
直前の手順で
currentCSV
値を使用し、ターゲット namespace の Operator の CSV を削除します。$ oc delete clusterserviceversion serverless-operator.v1.28.0 -n openshift-serverless
出力例
clusterserviceversion.operators.coreos.com "serverless-operator.v1.28.0" deleted
4.3.3. 障害のあるサブスクリプションの更新
Operator Lifecycle Manager (OLM) で、ネットワークでアクセスできないイメージを参照する Operator をサブスクライブする場合、以下のエラーを出して失敗した openshift-marketplace
namespace でジョブを見つけることができます。
出力例
ImagePullBackOff for Back-off pulling image "example.com/openshift4/ose-elasticsearch-operator-bundle@sha256:6d2587129c846ec28d384540322b40b05833e7e00b25cca584e004af9a1d292e"
出力例
rpc error: code = Unknown desc = error pinging docker registry example.com: Get "https://example.com/v2/": dial tcp: lookup example.com on 10.0.0.1:53: no such host
その結果、サブスクリプションはこの障害のある状態のままとなり、Operator はインストールまたはアップグレードを実行できません。
サブスクリプション、クラスターサービスバージョン (CSV) その他の関連オブジェクトを削除して、障害のあるサブスクリプションを更新できます。サブスクリプションを再作成した後に、OLM は Operator の正しいバージョンを再インストールします。
前提条件
- アクセス不可能なバンドルイメージをプルできない障害のあるサブスクリプションがある。
- 正しいバンドルイメージにアクセスできることを確認している。
手順
Operator がインストールされている namespace から
Subscription
およびClusterServiceVersion
オブジェクトの名前を取得します。$ oc get sub,csv -n <namespace>
出力例
NAME PACKAGE SOURCE CHANNEL subscription.operators.coreos.com/elasticsearch-operator elasticsearch-operator redhat-operators 5.0 NAME DISPLAY VERSION REPLACES PHASE clusterserviceversion.operators.coreos.com/elasticsearch-operator.5.0.0-65 OpenShift Elasticsearch Operator 5.0.0-65 Succeeded
サブスクリプションを削除します。
$ oc delete subscription <subscription_name> -n <namespace>
クラスターサービスバージョンを削除します。
$ oc delete csv <csv_name> -n <namespace>
openshift-marketplace
namespace の失敗したジョブおよび関連する config map の名前を取得します。$ oc get job,configmap -n openshift-marketplace
出力例
NAME COMPLETIONS DURATION AGE job.batch/1de9443b6324e629ddf31fed0a853a121275806170e34c926d69e53a7fcbccb 1/1 26s 9m30s NAME DATA AGE configmap/1de9443b6324e629ddf31fed0a853a121275806170e34c926d69e53a7fcbccb 3 9m30s
ジョブを削除します。
$ oc delete job <job_name> -n openshift-marketplace
これにより、アクセスできないイメージのプルを試行する Pod は再作成されなくなります。
設定マップを削除します。
$ oc delete configmap <configmap_name> -n openshift-marketplace
- Web コンソールの OperatorHub を使用した Operator の再インストール
検証
Operator が正常に再インストールされていることを確認します。
$ oc get sub,csv,installplan -n <namespace>
4.4. Operator Lifecycle Manager 機能の設定
Operator Lifecycle Manager (OLM) コントローラーは、cluster
という名前の OLMConfig
カスタムリソース (CR) で設定されます。クラスター管理者は、このリソースを変更して、特定の機能を有効または無効にすることができます。
このドキュメントでは、OLMConfig
リソースによって設定されている OLM で現在サポートされている機能について概説します。
4.4.1. コピーした CSV の無効化
Operator が Operator Lifecycle Manager (OLM) によってインストールされると、そのクラスターサービスバージョン (CSV) の簡易コピーが、Operator が監視するように設定されているすべての namespace にデフォルトで作成されます。これらの CSV は、コピーされた CSV と呼ばれ、特定の namespace でリソースイベントをアクティブに調整しているコントローラーをユーザーに通知します。
Operator が AllNamespaces
インストールモードを使用するように設定されている場合、単一または指定された一連の namespace をターゲットとするのではなく、Operator のコピーされた CSV がクラスター上のすべての namespace に作成されます。特に大規模なクラスターでは、namespace およびインストールされた Operator が数百または数千の場合に、コピーされた CSV は OLM のメモリー使用量、クラスター etcd 制限、およびネットワークなどのリソースを有効にしない量を消費する可能性があります。
これらの大規模なクラスターをサポートするために、クラスター管理者は、AllNamespaces
モードでグローバルにインストールされた Operator のコピーされた CSV を無効にすることができます。
コピーされた CSV を無効にすると、AllNamespaces
モードでインストールされた Operator の CSV は、クラスター上のすべての namespace ではなく、openshift
namespace にのみコピーされます。無効なコピー CSV モードでは、Web コンソールと CLI で動作が異なります。
-
Web コンソールでは、CSV が実際にすべての namespace にコピーされない場合でも、
openshift
namespace からコピーされた CSV をすべての namespace に表示するようにデフォルトの動作が変更されます。これにより、通常のユーザーは引き続き namespace でこれらの Operator の詳細を表示し、関連するカスタムリソース (CR) を作成できます。 OpenShift CLI (
oc
) では、通常のユーザーはoc get csvs
コマンドを使用して namespace に直接インストールされた Operator を表示できますが、openshift
名前空間からコピーされた CSV はその namespace には表示されません。この制限の影響を受ける Operator は引き続き利用でき、ユーザーの namespace でイベントの調整を継続します。Web コンソールの動作と同様に、インストールされているグローバル Operator の完全なリストを表示するには、認証されたすべてのユーザーが次のコマンドを実行できます。
$ oc get csvs -n openshift
手順
cluster
という名前のOLMConfig
オブジェクトを編集し、spec.features.disableCopiedCSVs
フィールドをtrue
に設定します。$ oc apply -f - <<EOF apiVersion: operators.coreos.com/v1 kind: OLMConfig metadata: name: cluster spec: features: disableCopiedCSVs: true 1 EOF
- 1
AllNamespaces
インストールモード Operator 向けのコピーされた CSV を無効にしました。
検証
コピーされた CSV が無効になっている場合には、OLM は Operator の namespace のイベントでこの情報をキャプチャします。
$ oc get events
出力例
LAST SEEN TYPE REASON OBJECT MESSAGE 85s Warning DisabledCopiedCSVs clusterserviceversion/my-csv.v1.0.0 CSV copying disabled for operators/my-csv.v1.0.0
spec.features.disableCopiedCSVs
フィールドが欠落しているか、false
に設定されている場合に、OLM はAllNamespaces
モードでインストールされた全 Operator 向けのコピーされた CSV を再作成し、前述のイベントを削除します。
関連情報
4.5. Operator Lifecycle Manager でのプロキシーサポートの設定
グローバルプロキシーが OpenShift Container Platform クラスターで設定されている場合、Operator Lifecycle Manager (OLM) はクラスター全体のプロキシーで管理する Operator を自動的に設定します。ただし、インストールされた Operator をグローバルプロキシーを上書きするか、カスタム CA 証明書を挿入するように設定することもできます。
関連情報
- カスタム PKI の設定 (カスタム CA 証明書)
- Go、Ansible、および Helm のプロキシー設定をサポートする Operator の開発
4.5.1. Operator のプロキシー設定の上書き
クラスター全体の egress プロキシーが設定されている場合、Operator Lifecycle Manager (OLM) を使用して実行する Operator は、デプロイメントでクラスター全体のプロキシー設定を継承します。クラスター管理者は、Operator のサブスクリプションを設定してこれらのプロキシー設定を上書きすることもできます。
Operator は、マネージドオペランドの Pod でのプロキシー設定の環境変数の設定を処理する必要があります。
前提条件
-
cluster-admin
権限を持つアカウントを使用して OpenShift Container Platform クラスターにアクセスできる。
手順
- Web コンソールで、Operators → OperatorHub ページに移動します。
- Operator を選択し、Install をクリックします。
Install Operator ページで、
Subscription
オブジェクトを変更して以下の 1 つ以上の環境変数をspec
セクションに組み込みます。-
HTTP_PROXY
-
HTTPS_PROXY
-
NO_PROXY
以下に例を示します。
プロキシー設定の上書きのある
Subscription
オブジェクトapiVersion: operators.coreos.com/v1alpha1 kind: Subscription metadata: name: etcd-config-test namespace: openshift-operators spec: config: env: - name: HTTP_PROXY value: test_http - name: HTTPS_PROXY value: test_https - name: NO_PROXY value: test channel: clusterwide-alpha installPlanApproval: Automatic name: etcd source: community-operators sourceNamespace: openshift-marketplace startingCSV: etcdoperator.v0.9.4-clusterwide
注記これらの環境変数については、以前に設定されたクラスター全体またはカスタムプロキシーの設定を削除するために空の値を使用してそれらの設定を解除することもできます。
OLM はこれらの環境変数を単位として処理します。それらの環境変数が 1 つ以上設定されている場合、それらはすべて上書きされているものと見なされ、クラスター全体のデフォルト値はサブスクライブされた Operator のデプロイメントには使用されません。
-
- Install をクリックし、Operator を選択された namespace で利用可能にします。
Operator の CSV が関連する namespace に表示されると、カスタムプロキシーの環境変数がデプロイメントに設定されていることを確認できます。たとえば、CLI を使用します。
$ oc get deployment -n openshift-operators \ etcd-operator -o yaml \ | grep -i "PROXY" -A 2
出力例
- name: HTTP_PROXY value: test_http - name: HTTPS_PROXY value: test_https - name: NO_PROXY value: test image: quay.io/coreos/etcd-operator@sha256:66a37fd61a06a43969854ee6d3e21088a98b93838e284a6086b13917f96b0d9c ...
4.5.2. カスタム CA 証明書の挿入
クラスター管理者が設定マップを使用してカスタム CA 証明書をクラスターに追加すると、Cluster Network Operator はユーザーによってプロビジョニングされる証明書およびシステム CA 証明書を単一バンドルにマージします。このマージされたバンドルを Operator Lifecycle Manager (OLM) で実行されている Operator に挿入することができます。これは、man-in-the-middle HTTPS プロキシーがある場合に役立ちます。
前提条件
-
cluster-admin
権限を持つアカウントを使用して OpenShift Container Platform クラスターにアクセスできる。 - 設定マップを使用してクラスターに追加されたカスタム CA 証明書。
- 必要な Operator が OLM にインストールされ、実行される。
手順
Operator のサブスクリプションがある namespace に空の設定マップを作成し、以下のラベルを組み込みます。
apiVersion: v1 kind: ConfigMap metadata: name: trusted-ca 1 labels: config.openshift.io/inject-trusted-cabundle: "true" 2
この設定マップの作成後すぐに、設定マップにはマージされたバンドルの証明書の内容が設定されます。
Subscription
オブジェクトを更新し、trusted-ca
設定マップをカスタム CA を必要とする Pod 内の各コンテナーにボリュームとしてマウントするspec.config
セクションを追加します。apiVersion: operators.coreos.com/v1alpha1 kind: Subscription metadata: name: my-operator spec: package: etcd channel: alpha config: 1 selector: matchLabels: <labels_for_pods> 2 volumes: 3 - name: trusted-ca configMap: name: trusted-ca items: - key: ca-bundle.crt 4 path: tls-ca-bundle.pem 5 volumeMounts: 6 - name: trusted-ca mountPath: /etc/pki/ca-trust/extracted/pem readOnly: true
注記Operator のデプロイメントは認証局の検証に失敗し、
x509 certificate signed by unknown authority
エラーが表示される可能性があります。このエラーは、Operator のサブスクリプションの使用時にカスタム CA を挿入した後でも発生する可能性があります。この場合、Operator のサブスクリプションを使用して、trusted-ca のmountPath
を/etc/ssl/certs
として設定できます。
4.6. Operator ステータスの表示
Operator Lifecycle Manager (OLM) のシステムの状態を理解することは、インストールされた Operator に関する問題について意思決定を行い、デバッグを行う上で重要です。OLM は、サブスクリプションおよびそれに関連するカタログソースリソースの状態および実行されたアクションに関する知見を提供します。これは、それぞれの Operator の正常性を把握するのに役立ちます。
4.6.1. Operator サブスクリプションの状態のタイプ
サブスクリプションは状態に関する以下のタイプを報告します。
状態 | 説明 |
---|---|
| 解決に使用される一部のまたはすべてのカタログソースは正常ではありません。 |
| サブスクリプションのインストール計画がありません。 |
| サブスクリプションのインストール計画はインストールの保留中です。 |
| サブスクリプションのインストール計画が失敗しました。 |
| サブスクリプションの依存関係の解決に失敗しました。 |
デフォルトの OpenShift Container Platform Cluster Operator は Cluster Version Operator (CVO) によって管理され、これらの Operator には Subscription
オブジェクトがありません。アプリケーション Operator は Operator Lifecycle Manager (OLM) によって管理され、それらには Subscription
オブジェクトがあります。
関連情報
4.6.2. CLI を使用した Operator サブスクリプションステータスの表示
CLI を使用して Operator サブスクリプションステータスを表示できます。
前提条件
-
cluster-admin
ロールを持つユーザーとしてクラスターにアクセスできる。 -
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。
手順
Operator サブスクリプションをリスト表示します。
$ oc get subs -n <operator_namespace>
oc describe
コマンドを使用して、Subscription
リソースを検査します。$ oc describe sub <subscription_name> -n <operator_namespace>
コマンド出力で、
Conditions
セクションで Operator サブスクリプションの状態タイプのステータスを確認します。以下の例では、利用可能なすべてのカタログソースが正常であるため、CatalogSourcesUnhealthy
状態タイプのステータスはfalse
になります。出力例
Name: cluster-logging Namespace: openshift-logging Labels: operators.coreos.com/cluster-logging.openshift-logging= Annotations: <none> API Version: operators.coreos.com/v1alpha1 Kind: Subscription # ... Conditions: Last Transition Time: 2019-07-29T13:42:57Z Message: all available catalogsources are healthy Reason: AllCatalogSourcesHealthy Status: False Type: CatalogSourcesUnhealthy # ...
デフォルトの OpenShift Container Platform Cluster Operator は Cluster Version Operator (CVO) によって管理され、これらの Operator には Subscription
オブジェクトがありません。アプリケーション Operator は Operator Lifecycle Manager (OLM) によって管理され、それらには Subscription
オブジェクトがあります。
4.6.3. CLI を使用した Operator カタログソースのステータス表示
Operator カタログソースのステータスは、CLI を使用して確認できます。
前提条件
-
cluster-admin
ロールを持つユーザーとしてクラスターにアクセスできる。 -
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。
手順
namespace のカタログソースをリスト表示します。たとえば、クラスター全体のカタログソースに使用されている
openshift-marketplace
namespace を確認することができます。$ oc get catalogsources -n openshift-marketplace
出力例
NAME DISPLAY TYPE PUBLISHER AGE certified-operators Certified Operators grpc Red Hat 55m community-operators Community Operators grpc Red Hat 55m example-catalog Example Catalog grpc Example Org 2m25s redhat-marketplace Red Hat Marketplace grpc Red Hat 55m redhat-operators Red Hat Operators grpc Red Hat 55m
カタログソースの詳細やステータスを確認するには、
oc describe
コマンドを使用します。$ oc describe catalogsource example-catalog -n openshift-marketplace
出力例
Name: example-catalog Namespace: openshift-marketplace Labels: <none> Annotations: operatorframework.io/managed-by: marketplace-operator target.workload.openshift.io/management: {"effect": "PreferredDuringScheduling"} API Version: operators.coreos.com/v1alpha1 Kind: CatalogSource # ... Status: Connection State: Address: example-catalog.openshift-marketplace.svc:50051 Last Connect: 2021-09-09T17:07:35Z Last Observed State: TRANSIENT_FAILURE Registry Service: Created At: 2021-09-09T17:05:45Z Port: 50051 Protocol: grpc Service Name: example-catalog Service Namespace: openshift-marketplace # ...
前述の出力例では、最後に観測された状態が
TRANSIENT_FAILURE
となっています。この状態は、カタログソースの接続確立に問題があることを示しています。カタログソースが作成された namespace の Pod をリストアップします。
$ oc get pods -n openshift-marketplace
出力例
NAME READY STATUS RESTARTS AGE certified-operators-cv9nn 1/1 Running 0 36m community-operators-6v8lp 1/1 Running 0 36m marketplace-operator-86bfc75f9b-jkgbc 1/1 Running 0 42m example-catalog-bwt8z 0/1 ImagePullBackOff 0 3m55s redhat-marketplace-57p8c 1/1 Running 0 36m redhat-operators-smxx8 1/1 Running 0 36m
namespace にカタログソースを作成すると、その namespace にカタログソース用の Pod が作成されます。前述の出力例では、
example-catalog-bwt8z
Pod のステータスがImagePullBackOff
になっています。このステータスは、カタログソースのインデックスイメージのプルに問題があることを示しています。oc describe
コマンドを使用して、より詳細な情報を得るために Pod を検査します。$ oc describe pod example-catalog-bwt8z -n openshift-marketplace
出力例
Name: example-catalog-bwt8z Namespace: openshift-marketplace Priority: 0 Node: ci-ln-jyryyg2-f76d1-ggdbq-worker-b-vsxjd/10.0.128.2 ... Events: Type Reason Age From Message ---- ------ ---- ---- ------- Normal Scheduled 48s default-scheduler Successfully assigned openshift-marketplace/example-catalog-bwt8z to ci-ln-jyryyf2-f76d1-fgdbq-worker-b-vsxjd Normal AddedInterface 47s multus Add eth0 [10.131.0.40/23] from openshift-sdn Normal BackOff 20s (x2 over 46s) kubelet Back-off pulling image "quay.io/example-org/example-catalog:v1" Warning Failed 20s (x2 over 46s) kubelet Error: ImagePullBackOff Normal Pulling 8s (x3 over 47s) kubelet Pulling image "quay.io/example-org/example-catalog:v1" Warning Failed 8s (x3 over 47s) kubelet Failed to pull image "quay.io/example-org/example-catalog:v1": rpc error: code = Unknown desc = reading manifest v1 in quay.io/example-org/example-catalog: unauthorized: access to the requested resource is not authorized Warning Failed 8s (x3 over 47s) kubelet Error: ErrImagePull
前述の出力例では、エラーメッセージは、カタログソースのインデックスイメージが承認問題のために正常にプルできないことを示しています。例えば、インデックスイメージがログイン認証情報を必要とするレジストリーに保存されている場合があります。
4.7. Operator 条件の管理
クラスター管理者は、Operator Lifecycle Manager (OLM) を使用して Operator 条件を管理できます。
4.7.1. Operator 条件の上書き
クラスター管理者には、Operator が報告するサポートされている Operator 条件を無視することを推奨します。Operator 条件が存在する場合、Spec.Overrides
配列の Operator 条件は Spec.Conditions
配列の条件を上書きし、これによりクラスター管理者は、Operator が Operator Lifecycle Manager (OLM) に状態を誤って報告する状況に対応することができます。
デフォルトでは、Spec.Overrides
配列は、クラスター管理者によって追加されるまで、OperatorCondition
オブジェクトには存在しません。Spec.Conditions
配列も、ユーザーが追加するか、カスタム Operator ロジックの結果として追加されるまで存在しません。
たとえば、アップグレードできないことを常に通信する Operator の既知のバージョンについて考えてみましょう。この場合、Operator がアップグレードできないと通信していますが、Operator をアップグレードすることを推奨します。これは、条件の type
および status
を OperatorCondition
オブジェクトの Spec.Overrides
配列に追加して Operator 条件をオーバーライドすることによって実行できます。
前提条件
-
cluster-admin
ロールを持つユーザーとしてクラスターにアクセスできる。 -
OperatorCondition
オブジェクトを持つ Operator が OLM を使用してインストールされている。
手順
Operator の
OperatorCondition
オブジェクトを編集します。$ oc edit operatorcondition <name>
Spec.Overrides
配列をオブジェクトに追加します。Operator 条件の上書きの例
apiVersion: operators.coreos.com/v2 kind: OperatorCondition metadata: name: my-operator namespace: operators spec: overrides: - type: Upgradeable 1 status: "True" reason: "upgradeIsSafe" message: "This is a known issue with the Operator where it always reports that it cannot be upgraded." conditions: - type: Upgradeable status: "False" reason: "migration" message: "The operator is performing a migration." lastTransitionTime: "2020-08-24T23:15:55Z"
- 1
- クラスター管理者は、アップグレードの準備状態を
True
に変更できます。
4.7.2. Operator 条件を使用するための Operator の更新
Operator Lifecycle Manager (OLM) は、調整する ClusterServiceVersion
リソースごとに OperatorCondition
リソースを自動的に作成します。CSV のすべてのサービスアカウントには、Operator が所有する OperatorCondition
と対話するための RBAC が付与されます。
Operator の作成者は、Operator が OLM によってデプロイされた後に、独自の条件を設定できるように Operator を開発し、operator-lib
ライブラリーを使用することができます。Operator 作成者として Operator 条件を設定する方法の詳細は、Operator 条件の有効化 ページを参照してください。
4.7.2.1. デフォルトの設定
後方互換性を維持するために、OLM は OperatorCondition
リソースがない状態を条件からのオプトアウトとして扱います。そのため、Operator 条件の使用にオプトインする Operator は、Pod の ready プローブが true
に設定される前に、デフォルトの条件を設定する必要があります。これにより、Operator には、条件を正しい状態に更新するための猶予期間が与えられます。
4.7.3. 関連情報
4.8. クラスター管理者以外のユーザーによる Operator のインストールの許可
クラスター管理者は、Operator グループ を使用して、通常のユーザーが Operator をインストールできるようにすることができます。
関連情報
4.8.1. Operator インストールポリシーについて
Operator の実行には幅広い権限が必要になる可能性があり、必要な権限はバージョン間で異なる場合があります。Operator Lifecycle Manager (OLM) は、cluster-admin
権限で実行されます。デフォルトで、Operator の作成者はクラスターサービスバージョン (CSV) で任意のパーミッションのセットを指定でき、OLM はこれを Operator に付与します。
Operator がクラスタースコープの権限を取得できず、ユーザーが OLM を使用して権限を昇格できないようにするために、クラスター管理者は Operator をクラスターに追加する前に手動で監査できます。また、クラスター管理者には、サービスアカウントを使用した Operator のインストールまたはアップグレード時に許可されるアクションを判別し、制限するための各種ツールが提供されます。
クラスター管理者は、一連の権限が付与されたサービスアカウントに Operator グループを関連付けることができます。サービスアカウントは、ロールベースのアクセス制御 (RBAC) ルールを使用して、事前に定義された境界内でのみ実行されるように、Operator にポリシーを設定します。その結果、Operator は、それらのルールによって明示的に許可されていないことはいずれも実行できません。
Operator グループを採用することで、十分な権限を持つユーザーは、限られた範囲で Operator をインストールできます。その結果、より多くの Operator Framework ツールをより多くのユーザーが安全に利用できるようになり、Operator を使用してアプリケーションを構築するためのより豊かなエクスペリエンスが提供されます。
Subscription
オブジェクトのロールベースのアクセス制御 (RBAC) は、namespace で edit
または admin
のロールを持つすべてのユーザーに自動的に付与されます。ただし、RBAC は OperatorGroup
オブジェクトには存在しません。この不在が、通常のユーザーが Operator をインストールできない理由です。Operator グループを事前にインストールすることで、実質的にインストール権限が付与されます。
Operator グループをサービスアカウントに関連付ける際は、次の点に注意してください。
-
APIService
およびCustomResourceDefinition
リソースは、cluster-admin
ロールを使用して OLM によって常に作成されます。Operator グループに関連付けられたサービスアカウントには、これらのリソースを作成するための権限を付与できません。 - この Operator グループに関連付けられる Operator は、指定されたサービスアカウントに付与されるパーミッションに制限されるようになりました。Operator がサービスアカウントの範囲外のアクセス許可を要求した場合、インストールは適切なエラーで失敗するため、クラスター管理者は問題をトラブルシューティングして解決できます。
4.8.1.1. インストールシナリオ
Operator をクラスターでインストールまたはアップグレードできるかどうかを決定する際に、Operator Lifecycle Manager (OLM) は以下のシナリオを検討します。
- クラスター管理者は新規の Operator グループプを作成し、サービスアカウントを指定します。この Operator グループに関連付けられるすべての Operator がサービスアカウントに付与される権限に基づいてインストールされ、実行されます。
- クラスター管理者は新規の Operator グループを作成し、サービスアカウントを指定しません。OpenShift Container Platform は後方互換性を維持します。そのため、デフォルト動作はそのまま残り、Operator のインストールおよびアップグレードは許可されます。
- サービスアカウントを指定しない既存の Operator グループの場合、デフォルトの動作は残り、Operator のインストールおよびアップグレードは許可されます。
- クラスター管理者は既存の Operator グループを更新し、サービスアカウントを指定します。OLM により、既存の Operator は現在の権限で継続して実行されます。このような既存 Operator がアップグレードされる場合、これは再インストールされ、新規 Operator のようにサービスアカウントに付与される権限に基づいて実行されます。
- Operator グループで指定されるサービスアカウントは、パーミッションの追加または削除によって変更されるか、既存のサービスアカウントは新しいサービスアカウントに切り替わります。既存の Operator がアップグレードされる場合、これは再インストールされ、新規 Operator のように更新されたサービスアカウントに付与される権限に基づいて実行されます。
- クラスター管理者は、サービスアカウントを Operator グループから削除します。デフォルトの動作は残り、Operator のインストールおよびアップグレードは許可されます。
4.8.1.2. インストールワークフロー
Operator グループがサービスアカウントに関連付けられ、Operator がインストールまたはアップグレードされると、Operator Lifecycle Manager (OLM) は以下のワークフローを使用します。
-
指定された
Subscription
オブジェクトは OLM によって選択されます。 - OLM はこのサブスクリプションに関連する Operator グループをフェッチします。
- OLM は Operator グループにサービスアカウントが指定されていることを判別します。
- OLM はサービスアカウントにスコープが設定されたクライアントを作成し、スコープ設定されたクライアントを使用して Operator をインストールします。これにより、Operator で要求されるパーミッションは常に Operator グループのそのサービスアカウントのパーミッションに制限されるようになります。
- OLM は CSV で指定されたパーミッションセットを使用して新規サービスアカウントを作成し、これを Operator に割り当てます。Operator は割り当てられたサービスアカウントで実行されます。
4.8.2. Operator インストールのスコープ設定
Operator の Operator Lifecycle Manager (OLM) での Operator のインストールおよびアップグレードに関するスコープ設定ルールを提供するには、サービスアカウントを Operator グループに関連付けます。
この例では、クラスター管理者は一連の Operator を指定された namespace に制限できます。
前提条件
-
cluster-admin
ロールを持つユーザーとしてクラスターにアクセスできる。 -
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。
手順
新規の namespace を作成します。
$ cat <<EOF | oc create -f - apiVersion: v1 kind: Namespace metadata: name: scoped EOF
Operator を制限する必要のあるパーミッションを割り当てます。これには、新規サービスアカウント、関連するロール、およびロールバインディングの作成が必要になります。
$ cat <<EOF | oc create -f - apiVersion: v1 kind: ServiceAccount metadata: name: scoped namespace: scoped EOF
以下の例では、単純化するために、サービスアカウントに対し、指定される namespace ですべてのことを実行できるパーミッションを付与します。実稼働環境では、より粒度の細かいパーミッションセットを作成する必要があります。
$ cat <<EOF | oc create -f - apiVersion: rbac.authorization.k8s.io/v1 kind: Role metadata: name: scoped namespace: scoped rules: - apiGroups: ["*"] resources: ["*"] verbs: ["*"] --- apiVersion: rbac.authorization.k8s.io/v1 kind: RoleBinding metadata: name: scoped-bindings namespace: scoped roleRef: apiGroup: rbac.authorization.k8s.io kind: Role name: scoped subjects: - kind: ServiceAccount name: scoped namespace: scoped EOF
指定された namespace に
OperatorGroup
オブジェクトを作成します。この Operator グループは指定された namespace をターゲットにし、そのテナンシーがこれに制限されるようにします。さらに、Operator グループはユーザーがサービスアカウントを指定できるようにします。直前の手順で作成したサービスアカウントを指定します。
$ cat <<EOF | oc create -f - apiVersion: operators.coreos.com/v1 kind: OperatorGroup metadata: name: scoped namespace: scoped spec: serviceAccountName: scoped targetNamespaces: - scoped EOF
指定された namespace にインストールされる Operator はこの Operator グループに関連付けられ、指定されるサービスアカウントに関連付けられます。
指定された namespace で
Subscription
オブジェクトを作成し、Operator をインストールします。$ cat <<EOF | oc create -f - apiVersion: operators.coreos.com/v1alpha1 kind: Subscription metadata: name: etcd namespace: scoped spec: channel: singlenamespace-alpha name: etcd source: <catalog_source_name> 1 sourceNamespace: <catalog_source_namespace> 2 EOF
この Operator グループに関連付けられる Operator は、指定されたサービスアカウントに付与されるパーミッションに制限されます。Operator がサービスアカウントの範囲外のパーミッションを要求する場合、インストールは関連するエラーを出して失敗します。
4.8.2.1. 粒度の細かいパーミッション
Operator Lifecycle Manager (OLM) は Operator グループで指定されたサービスアカウントを使用して、インストールされる Operator に関連する以下のリソースを作成または更新します。
-
ClusterServiceVersion
-
Subscription
-
Secret
-
ServiceAccount
-
Service
-
ClusterRole
およびClusterRoleBinding
-
Role
およびRoleBinding
Operator を指定された namespace に制限するため、クラスター管理者は以下のパーミッションをサービスアカウントに付与して起動できます。
以下のロールは一般的なサンプルであり、特定の Operator に基づいて追加のルールが必要になる可能性があります。
kind: Role rules: - apiGroups: ["operators.coreos.com"] resources: ["subscriptions", "clusterserviceversions"] verbs: ["get", "create", "update", "patch"] - apiGroups: [""] resources: ["services", "serviceaccounts"] verbs: ["get", "create", "update", "patch"] - apiGroups: ["rbac.authorization.k8s.io"] resources: ["roles", "rolebindings"] verbs: ["get", "create", "update", "patch"] - apiGroups: ["apps"] 1 resources: ["deployments"] verbs: ["list", "watch", "get", "create", "update", "patch", "delete"] - apiGroups: [""] 2 resources: ["pods"] verbs: ["list", "watch", "get", "create", "update", "patch", "delete"]
さらに、Operator がプルシークレットを指定する場合、以下のパーミッションも追加する必要があります。
kind: ClusterRole 1
rules:
- apiGroups: [""]
resources: ["secrets"]
verbs: ["get"]
---
kind: Role
rules:
- apiGroups: [""]
resources: ["secrets"]
verbs: ["create", "update", "patch"]
- 1
- シークレットを OLM namespace から取得するために必要です。
4.8.3. Operator カタログのアクセス制御
Operator カタログがグローバルカタログ namespace openshift-marketplace
で作成されると、カタログの Operator がクラスター全体ですべての namespace で使用できるようになります。他の namespace で作成されたカタログは、カタログの同じ namespace でのみ Operator を使用できるようにします。
クラスター管理者以外のユーザーに Operator のインストール権限が委任されているクラスターでは、クラスター管理者は、それらのユーザーがインストールできる Operator のセットをさらに制御または制限しないといけない場合があります。これは、次のアクションで実現できます。
- デフォルトのグローバルカタログをすべて無効にします。
- 関連する Operator グループがプリインストールされているのと同じ namespace で、キュレートされたカスタムカタログを有効にします。
4.8.4. パーミッションに関する失敗のトラブルシューティング
パーミッションがないために Operator のインストールが失敗する場合は、以下の手順を使用してエラーを特定します。
手順
Subscription
オブジェクトを確認します。このステータスには、Operator の必要な[Cluster]Role[Binding]
オブジェクトの作成を試行したInstallPlan
オブジェクトをポイントするオブジェクト参照installPlanRef
があります。apiVersion: operators.coreos.com/v1 kind: Subscription metadata: name: etcd namespace: scoped status: installPlanRef: apiVersion: operators.coreos.com/v1 kind: InstallPlan name: install-4plp8 namespace: scoped resourceVersion: "117359" uid: 2c1df80e-afea-11e9-bce3-5254009c9c23
InstallPlan
オブジェクトのステータスでエラーの有無を確認します。apiVersion: operators.coreos.com/v1 kind: InstallPlan status: conditions: - lastTransitionTime: "2019-07-26T21:13:10Z" lastUpdateTime: "2019-07-26T21:13:10Z" message: 'error creating clusterrole etcdoperator.v0.9.4-clusterwide-dsfx4: clusterroles.rbac.authorization.k8s.io is forbidden: User "system:serviceaccount:scoped:scoped" cannot create resource "clusterroles" in API group "rbac.authorization.k8s.io" at the cluster scope' reason: InstallComponentFailed status: "False" type: Installed phase: Failed
エラーメッセージは、以下を示しています。
-
リソースの API グループを含む、作成に失敗したリソースのタイプ。この場合、これは
rbac.authorization.k8s.io
グループのclusterroles
です。 - リソースの名前。
-
エラーのタイプ:
is forbidden
は、ユーザーに操作を実行するための十分なパーミッションがないことを示します。 - リソースの作成または更新を試みたユーザーの名前。この場合、これは Operator グループで指定されたサービスアカウントを参照します。
操作の範囲が
cluster scope
かどうか。ユーザーは、不足しているパーミッションをサービスアカウントに追加してから、繰り返すことができます。
注記現時点で、Operator Lifecycle Manager (OLM) は最初の試行でエラーの詳細のリストを提供しません。
-
リソースの API グループを含む、作成に失敗したリソースのタイプ。この場合、これは
4.9. カスタムカタログの管理
クラスター管理者および Operator カタログメンテナーは、OpenShift Container Platform で Operator Lifecycle Manager (OLM) の Bundle Format を使用してパッケージ化されたカスタムカタログを作成し、管理できます。
Kubernetes は定期的に特定の API を非推奨とし、後続のリリースで削除します。その結果、Operator は API を削除した Kubernetes バージョンを使用する OpenShift Container Platform のバージョン以降、削除された API を使用できなくなります。
クラスターがカスタムカタログを使用している場合に、Operator の作成者がプロジェクトを更新してワークロードの問題や、互換性のないアップグレードを回避できるようにする方法については Operator の互換性の OpenShift Container Platform バージョンへの制御 を参照してください。
4.9.1. 前提条件
-
opm
CLI がインストールされている。
4.9.2. ファイルベースのカタログ
ファイルベースのカタログは、Operator Lifecycle Manager(OLM) のカタログ形式の最新の反復になります。この形式は、プレーンテキストベース (JSON または YAML) であり、以前の SQLite データベース形式の宣言的な設定の進化であり、完全な下位互換性があります。
OpenShift Container Platform 4.11 の時点で、デフォルトの Red Hat が提供する Operator カタログは、ファイルベースのカタログ形式でリリースされます。OpenShift Container Platform 4.6 から 4.10 までのデフォルトの Red Hat が提供する Operator カタログは、非推奨の SQLite データベース形式でリリースされました。
opm
サブコマンド、フラグ、および SQLite データベース形式に関連する機能も非推奨となり、今後のリリースで削除されます。機能は引き続きサポートされており、非推奨の SQLite データベース形式を使用するカタログに使用する必要があります。
opm index prune
などの SQLite データベース形式を使用する opm
サブコマンドおよびフラグの多くは、ファイルベースのカタログ形式では機能しません。ファイルベースのカタログの使用の詳細は、Operator Framework パッケージ形式 および oc-mirror プラグインを使用した非接続インストールのイメージのミラーリング を参照してください。
4.9.2.1. ファイルベースのカタログイメージの作成
opm
CLI を使用して、非推奨の SQLite データベース形式を置き換えるプレーンテキストの ファイルベースのカタログ 形式 (JSON または YAML) を使用するカタログイメージを作成できます。
前提条件
-
opm
CLI がインストールされている。 -
podman
バージョン 1.9.3 以降がある。 - バンドルイメージがビルドされ、Docker v2-2 をサポートするレジストリーにプッシュされている。
手順
カタログを初期化します。
次のコマンドを実行して、カタログ用のディレクトリーを作成します。
$ mkdir <catalog_dir>
opm generate dockerfile
コマンドを実行して、カタログイメージを構築できる Dockerfile を生成します。$ opm generate dockerfile <catalog_dir> \ -i registry.redhat.io/openshift4/ose-operator-registry-rhel9:v4.15 1
- 1
-i
フラグを使用して公式の Red Hat ベースイメージを指定します。それ以外の場合、Dockerfile はデフォルトのアップストリームイメージを使用します。
Dockerfile は、直前の手順で作成したカタログディレクトリーと同じ親ディレクトリーに存在する必要があります。
ディレクトリー構造の例
. 1 ├── <catalog_dir> 2 └── <catalog_dir>.Dockerfile 3
opm init
コマンドを実行して、カタログに Operator のパッケージ定義を追加します。$ opm init <operator_name> \ 1 --default-channel=preview \ 2 --description=./README.md \ 3 --icon=./operator-icon.svg \ 4 --output yaml \ 5 > <catalog_dir>/index.yaml 6
このコマンドは、指定されたカタログ設定ファイルに
olm.package
宣言型設定 blob を生成します。
opm render
コマンドを実行して、バンドルをカタログに追加します。$ opm render <registry>/<namespace>/<bundle_image_name>:<tag> \ 1 --output=yaml \ >> <catalog_dir>/index.yaml 2
注記チャネルには、1 つ以上のバンドルが含まれる必要があります。
バンドルのチャネルエントリーを追加します。たとえば、次の例を仕様に合わせて変更し、
<catalog_dir>/index.yaml
ファイルに追加します。チャネルエントリーの例
--- schema: olm.channel package: <operator_name> name: preview entries: - name: <operator_name>.v0.1.0 1
- 1
<operator_name>
の後、かつ、バージョンのv
の前に、ピリオド (.
) を追加するようにしてください。それ以外の場合、エントリーがopm validate
コマンドに合格できません。
ファイルベースのカタログを検証します。
カタログディレクトリーに対して
opm validate
コマンドを実行します。$ opm validate <catalog_dir>
エラーコードが
0
であることを確認します。$ echo $?
出力例
0
podman build
コマンドを実行して、カタログイメージをビルドします。$ podman build . \ -f <catalog_dir>.Dockerfile \ -t <registry>/<namespace>/<catalog_image_name>:<tag>
カタログイメージをレジストリーにプッシュします。
必要に応じて、
podman login
コマンドを実行してターゲットレジストリーで認証します。$ podman login <registry>
podman push
コマンドを実行して、カタログイメージをプッシュします。$ podman push <registry>/<namespace>/<catalog_image_name>:<tag>
関連情報
4.9.2.2. ファイルベースのカタログイメージの更新またはフィルタリング
opm
CLI を使用して、ファイルベースのカタログ形式を使用するカタログイメージを更新またはフィルタリングできます。既存のカタログイメージのコンテンツを抽出すると、必要に応じてカタログを変更できます。たとえば、以下を実行できます。
- パッケージの追加
- パッケージの削除
- 既存のパッケージエントリーの更新
- パッケージ、チャネル、バンドルごとの非推奨メッセージの記載
その後、イメージをカタログの更新バージョンとして再構築できます。
または、ミラーレジストリーにカタログイメージがすでにある場合は、oc-mirror CLI プラグインを使用して、ターゲットレジストリーにミラーリングする際に、そのカタログイメージの更新されたソースバージョンから削除されたイメージを自動的にプルーニングできます。
oc-mirror プラグインとこのユースケースの詳細は、「ミラーレジストリーのコンテンツを最新の状態に維持」セクション、および「oc-mirror プラグインを使用した非接続インストールのイメージのミラーリング」の「イメージのプルーニング」サブセクションを参照してください。
前提条件
ワークステーションに以下が含まれている。
-
opm
CLI。 -
podman
version 1.9.3+。 - ファイルベースのカタログイメージ。
このカタログに関連するワークステーションで最近初期化されたカタログディレクトリー構造。
初期化されたカタログディレクトリーがない場合は、ディレクトリーを作成し、Dockerfile を生成します。詳細は、「ファイルベースのカタログイメージの作成」手順の「カタログの初期化」手順を参照してください。
-
手順
カタログイメージのコンテンツを YAML 形式でカタログディレクトリーの
index.yaml
ファイルに展開します。$ opm render <registry>/<namespace>/<catalog_image_name>:<tag> \ -o yaml > <catalog_dir>/index.yaml
注記または、
-o json
フラグを使用して JSON 形式で出力することもできます。作成された
index.yaml
ファイルの内容を仕様に合わせて変更します。重要バンドルがカタログに公開されたら、いずれかのユーザーがバンドルをインストールしていると想定します。カタログ内で以前に公開されたすべてのバンドルに、現在または新しいチャネルヘッドへの更新パスが設定されていることを確認し、そのバージョンがインストールされているユーザーが立ち往生するのを防ぎます。
- Operator を追加するには、「ファイルベースのカタログイメージの作成」手順のパッケージ、バンドル、およびチャネルエントリーを作成する手順に従います。
Operator を削除するには、パッケージに関連する
olm.package
、olm.channel
、およびolm.bundle
Blob のセットを削除します。次の例は、カタログからexample-operator
パッケージを削除するために削除する必要があるセットを示しています。例4.5 削除されたエントリーの例
--- defaultChannel: release-2.7 icon: base64data: <base64_string> mediatype: image/svg+xml name: example-operator schema: olm.package --- entries: - name: example-operator.v2.7.0 skipRange: '>=2.6.0 <2.7.0' - name: example-operator.v2.7.1 replaces: example-operator.v2.7.0 skipRange: '>=2.6.0 <2.7.1' - name: example-operator.v2.7.2 replaces: example-operator.v2.7.1 skipRange: '>=2.6.0 <2.7.2' - name: example-operator.v2.7.3 replaces: example-operator.v2.7.2 skipRange: '>=2.6.0 <2.7.3' - name: example-operator.v2.7.4 replaces: example-operator.v2.7.3 skipRange: '>=2.6.0 <2.7.4' name: release-2.7 package: example-operator schema: olm.channel --- image: example.com/example-inc/example-operator-bundle@sha256:<digest> name: example-operator.v2.7.0 package: example-operator properties: - type: olm.gvk value: group: example-group.example.io kind: MyObject version: v1alpha1 - type: olm.gvk value: group: example-group.example.io kind: MyOtherObject version: v1beta1 - type: olm.package value: packageName: example-operator version: 2.7.0 - type: olm.bundle.object value: data: <base64_string> - type: olm.bundle.object value: data: <base64_string> relatedImages: - image: example.com/example-inc/example-related-image@sha256:<digest> name: example-related-image schema: olm.bundle ---
-
Operator の非推奨メッセージを追加または更新するには、パッケージの
index.yaml
ファイルと同じディレクトリーにdeprecations.yaml
ファイルがあることを確認してください。deprecations.yaml
ファイル形式の詳細は、「olm.deprecations スキーマ」を参照してください。
- 変更を保存します。
カタログを検証します。
$ opm validate <catalog_dir>
カタログを再構築します。
$ podman build . \ -f <catalog_dir>.Dockerfile \ -t <registry>/<namespace>/<catalog_image_name>:<tag>
更新されたカタログイメージをレジストリーにプッシュします。
$ podman push <registry>/<namespace>/<catalog_image_name>:<tag>
検証
- Web コンソールで、Administration → Cluster Settings → Configuration ページで OperatorHub 設定リソースに移動します。
カタログソースを追加するか、既存のカタログソースを更新して、更新されたカタログイメージのプル仕様を使用します。
詳細は、このセクションの「関連情報」にある「クラスターへのカタログソースの追加」を参照してください。
- カタログソースが READY 状態になったら、Operators → OperatorHub ページに移動し、加えた変更が Operator のリストに反映されていることを確認します。
4.9.3. SQLite ベースのカタログ
Operator カタログの SQLite データベース形式は非推奨の機能です。非推奨の機能は依然として OpenShift Container Platform に含まれており、引き続きサポートされますが、本製品の今後のリリースで削除されるため、新規デプロイメントでの使用は推奨されません。
OpenShift Container Platform で非推奨となったか、削除された主な機能の最新の一覧については、OpenShift Container Platform リリースノートの 非推奨および削除された機能セクションを参照してください。
4.9.3.1. SQLite ベースのインデックスイメージの作成
opm
CLI を使用して、SQLite データベース形式に基づいてインデックスイメージを作成できます。
前提条件
-
opm
CLI がインストールされている。 -
podman
バージョン 1.9.3 以降がある。 - バンドルイメージがビルドされ、Docker v2-2 をサポートするレジストリーにプッシュされている。
手順
新しいインデックスを開始します。
$ opm index add \ --bundles <registry>/<namespace>/<bundle_image_name>:<tag> \1 --tag <registry>/<namespace>/<index_image_name>:<tag> \2 [--binary-image <registry_base_image>] 3
インデックスイメージをレジストリーにプッシュします。
必要な場合は、ターゲットレジストリーで認証します。
$ podman login <registry>
インデックスイメージをプッシュします。
$ podman push <registry>/<namespace>/<index_image_name>:<tag>
4.9.3.2. SQLite ベースのインデックスイメージの更新
カスタムインデックスイメージを参照するカタログソースを使用するように OperatorHub を設定した後に、クラスター管理者はバンドルイメージをインデックスイメージに追加して、クラスターで利用可能な Operator を最新の状態に維持することができます。
opm index add
コマンドを使用して既存インデックスイメージを更新できます。
前提条件
-
opm
CLI がインストールされている。 -
podman
バージョン 1.9.3 以降がある。 - インデックスイメージがビルドされ、レジストリーにプッシュされている。
- インデックスイメージを参照する既存のカタログソースがある。
手順
バンドルイメージを追加して、既存のインデックスを更新します。
$ opm index add \ --bundles <registry>/<namespace>/<new_bundle_image>@sha256:<digest> \1 --from-index <registry>/<namespace>/<existing_index_image>:<existing_tag> \2 --tag <registry>/<namespace>/<existing_index_image>:<updated_tag> \3 --pull-tool podman 4
ここでは、以下のようになります。
<registry>
-
quay.io
やmirror.example.com
などのレジストリーのホスト名を指定します。 <namespace>
-
ocs-dev
やabc
など、レジストリーの namespace を指定します。 <new_bundle_image>
-
ocs-operator
など、レジストリーに追加する新しいバンドルイメージを指定します。 <digest>
-
c7f11097a628f092d8bad148406aa0e0951094a03445fd4bc0775431ef683a41
などのバンドルイメージの SHA イメージ ID またはダイジェストを指定します。 <existing_index_image>
-
abc-redhat-operator-index
など、以前にプッシュされたイメージを指定します。 <existing_tag>
-
以前にプッシュしたイメージのタグ (
4.15
など) を指定します。 <updated_tag>
-
更新されたインデックスイメージに適用するイメージタグ (
4.15.1
など) を指定します。
コマンドの例
$ opm index add \ --bundles quay.io/ocs-dev/ocs-operator@sha256:c7f11097a628f092d8bad148406aa0e0951094a03445fd4bc0775431ef683a41 \ --from-index mirror.example.com/abc/abc-redhat-operator-index:4.15 \ --tag mirror.example.com/abc/abc-redhat-operator-index:4.15.1 \ --pull-tool podman
更新されたインデックスイメージをプッシュします。
$ podman push <registry>/<namespace>/<existing_index_image>:<updated_tag>
Operator Lifecycle Manager (OLM) がカタログソースで参照されるインデックスイメージを一定間隔で自動的にポーリングした後に、新規パッケージが正常に追加されたことを確認します。
$ oc get packagemanifests -n openshift-marketplace
4.9.3.3. SQLite ベースのインデックスイメージのフィルタリング
Operator Bundle Format に基づくインデックスイメージは、Operator カタログのコンテナー化されたスナップショットです。パッケージの指定された一覧以外のすべてのインデックスをプルーニングできます。これにより、必要な Operator のみが含まれるソースインデックスのコピーを作成できます。
前提条件
-
podman
バージョン 1.9.3 以降がある。 -
grpcurl
(サードパーティーのコマンドラインツール) がある。 -
opm
CLI がインストールされている。 - Docker v2-2 をサポートするレジストリーにアクセスできる。
手順
ターゲットレジストリーで認証します。
$ podman login <target_registry>
プルーニングされたインデックスに追加するパッケージのリストを判別します。
コンテナーでプルーニングするソースインデックスイメージを実行します。以下に例を示します。
$ podman run -p50051:50051 \ -it registry.redhat.io/redhat/redhat-operator-index:v4.15
出力例
Trying to pull registry.redhat.io/redhat/redhat-operator-index:v4.15... Getting image source signatures Copying blob ae8a0c23f5b1 done ... INFO[0000] serving registry database=/database/index.db port=50051
別のターミナルセッションで、
grpcurl
コマンドを使用して、インデックスが提供するパッケージのリストを取得します。$ grpcurl -plaintext localhost:50051 api.Registry/ListPackages > packages.out
packages.out
ファイルを検査し、プルーニングされたインデックスに保持したいパッケージ名をこのリストから特定します。以下に例を示します。パッケージリストのスニペットの例
... { "name": "advanced-cluster-management" } ... { "name": "jaeger-product" } ... { { "name": "quay-operator" } ...
-
podman run
コマンドを実行したターミナルセッションで、Ctrl と C を押してコンテナープロセスを停止します。
以下のコマンドを実行して、指定したパッケージ以外のすべてのパッケージのソースインデックスをプルーニングします。
$ opm index prune \ -f registry.redhat.io/redhat/redhat-operator-index:v4.15 \1 -p advanced-cluster-management,jaeger-product,quay-operator \2 [-i registry.redhat.io/openshift4/ose-operator-registry:v4.9] \3 -t <target_registry>:<port>/<namespace>/redhat-operator-index:v4.15 4
以下のコマンドを実行して、新規インデックスイメージをターゲットレジストリーにプッシュします。
$ podman push <target_registry>:<port>/<namespace>/redhat-operator-index:v4.15
ここで、
<namespace>
はレジストリー上の既存の namespace になります。
4.9.4. カタログソースと Pod セキュリティー受付
Pod セキュリティー基準を確保するために、OpenShift Container Platform 4.11 で Pod セキュリティー受付 が導入されました。SQLite ベースのカタログ形式と、OpenShift Container Platform 4.11 より前にリリースされたバージョンの opm
CLI ツールを使用してビルドされたカタログソースは、制限付き Pod セキュリティーの適用下では実行できません。
OpenShift Container Platform 4.15 では、デフォルトで namespace には制限付き Pod セキュリティーが適用されず、カタログソースのデフォルトセキュリティーモードは legacy
に設定されています。
すべての namespace に対するデフォルトの制限付き適用は、将来の OpenShift Container Platform リリースに含まれる予定です。制限付き適用が発生した場合、カタログソース Pod の Pod 仕様のセキュリティーコンテキストは、制限付き Pod のセキュリティー標準に一致する必要があります。カタログソースイメージで別の Pod セキュリティー標準が必要な場合は、namespace の Pod セキュリティーアドミッションラベルを明示的に設定する必要があります。
SQLite ベースのカタログソース Pod を制限付きで実行しない場合、OpenShift Container Platform 4.15 でカタログソースを更新する必要はありません。
ただし、制限付きの Pod セキュリティー適用下でカタログソースが確実に実行されるように、今すぐ対策を講じることを推奨します。制限された Pod セキュリティー適用下でカタログソースが確実に実行されるように対策を講じないと、将来の OpenShift Container Platform リリースでカタログソースが実行されなくなる可能性があります。
カタログの作成者は、次のいずれかのアクションを実行することで、制限付き Pod セキュリティー適用との互換性を有効にすることができます。
- カタログをファイルベースのカタログ形式に移行します。
-
OpenShift Container Platform 4.11 以降でリリースされたバージョンの
opm
CLI ツールでカタログイメージを更新します。
SQLite データベースカタログ形式は非推奨ですが、Red Hat では引き続きサポートされています。将来のリリースでは、SQLite データベース形式はサポートされなくなり、カタログはファイルベースのカタログ形式に移行する必要があります。OpenShift Container Platform 4.11 の時点で、デフォルトの Red Hat が提供する Operator カタログは、ファイルベースのカタログ形式でリリースされています。ファイルベースのカタログは、制限付き Pod セキュリティー適用と互換性があります。
SQLite データベースカタログイメージを更新したり、カタログをファイルベースのカタログ形式に移行したりしたくない場合は、昇格されたアクセス許可で実行するようにカタログを設定できます。
4.9.4.1. SQLite データベースカタログをファイルベースのカタログ形式に移行する
非推奨の SQLite データベース形式のカタログをファイルベースのカタログ形式に更新できます。
前提条件
- SQLite データベースカタログソースがある。
-
cluster-admin
ロールを持つユーザーとしてクラスターにアクセスできる。 -
ワークステーションに、OpenShift Container Platform 4.15 と併せてリリースされた
opm
CLI ツールの最新バージョンがインストールされている。
手順
次のコマンドを実行して、SQLite データベースカタログをファイルベースのカタログに移行します。
$ opm migrate <registry_image> <fbc_directory>
次のコマンドを実行して、ファイルベースのカタログ用の Dockerfile を生成します。
$ opm generate dockerfile <fbc_directory> \ --binary-image \ registry.redhat.io/openshift4/ose-operator-registry:v4.15
次のステップ
- 生成された Dockerfile をビルドしてタグ付けし、レジストリーにプッシュできます。
関連情報
4.9.4.2. SQLite データベースカタログイメージの再構築
お使いのバージョンの OpenShift Container Platform でリリースされている最新バージョンの opm
CLI ツールを使用して、SQLite データベースカタログイメージを再構築できます。
前提条件
- SQLite データベースカタログソースがある。
-
cluster-admin
ロールを持つユーザーとしてクラスターにアクセスできる。 -
ワークステーションに、OpenShift Container Platform 4.15 と併せてリリースされた
opm
CLI ツールの最新バージョンがインストールされている。
手順
次のコマンドを実行して、最新バージョンの
opm
CLI ツールでカタログを再構築します。$ opm index add --binary-image \ registry.redhat.io/openshift4/ose-operator-registry:v4.15 \ --from-index <your_registry_image> \ --bundles "" -t \<your_registry_image>
4.9.4.3. 昇格された権限で実行するためのカタログの設定
SQLite データベースカタログイメージを更新したり、カタログをファイルベースのカタログ形式に移行したりしたくない場合は、次のアクションを実行して、デフォルトの Pod セキュリティー適用が制限付きに変更されたときにカタログソースが確実に実行されるようにすることができます。
- カタログソース定義でカタログセキュリティーモードをレガシーに手動で設定します。このアクションにより、デフォルトのカタログセキュリティーモードが制限付きに変更された場合でも、カタログが従来のアクセス許可で実行されることが保証されます。
- ベースラインまたは特権付き Pod のセキュリティー適用のために、カタログソースの namespace にラベルを付けます。
SQLite データベースカタログ形式は非推奨ですが、Red Hat では引き続きサポートされています。将来のリリースでは、SQLite データベース形式はサポートされなくなり、カタログはファイルベースのカタログ形式に移行する必要があります。ファイルベースのカタログは、制限付き Pod セキュリティー適用と互換性があります。
前提条件
- SQLite データベースカタログソースがある。
-
cluster-admin
ロールを持つユーザーとしてクラスターにアクセスできる。 -
Pod Security Admission 標準が
baseline
またはprivileged
に昇格された実行中の Pod をサポートするターゲット namespace がある。
手順
次の例に示すように、
spec.grpcPodConfig.securityContextConfig
ラベルをlegacy
に設定して、CatalogSource
定義を編集します。CatalogSource
定義の例apiVersion: operators.coreos.com/v1alpha1 kind: CatalogSource metadata: name: my-catsrc namespace: my-ns spec: sourceType: grpc grpcPodConfig: securityContextConfig: legacy image: my-image:latest
ヒントOpenShift Container Platform 4.15 では、
spec.grpcPodConfig.securityContextConfig
フィールドはデフォルトでlegacy
に設定されます。OpenShift Container Platform の将来のリリースでは、デフォルト設定がrestricted
に変更される予定です。カタログを制限付き適用で実行できない場合は、このフィールドを手動でlegacy
に設定することを推奨します。次の例に示すように、
<namespace>.yaml
ファイルを編集して、上位の Pod Security Admission 標準をカタログソース namespace に追加します。<namespace>.yaml
ファイルの例apiVersion: v1 kind: Namespace metadata: ... label