2.2. レプリケーションリポジトリーの設定
オブジェクトストレージをレプリケーションリポジトリーとして使用するように設定する必要があります。Cluster Application Migration ツールは、ファイルシステムまたはスナップショットのいずれかのデータのコピー方法を使用して、データをソースクラスターからレプリケーションリポジトリーにコピーしてから、レプリケーションリポジトリーからターゲットクラスターにコピーします。
以下のストレージプロバイダーがサポートされています。
- 汎用 S3 オブジェクトストレージ(例: Minio または Ceph S3)
- Multi-Cloud Object Gateway (MCG)
- Amazon Web Services (AWS) S3
- Google Cloud Provider (GCP)
- Microsoft Azure
2.2.1. 移行用のデータのコピー方法について
CAM ツールは、ソースクラスターからターゲットクラスターにデータを移行するためにファイルシステムおよびスナップショットによるデータのコピー方法をサポートします。ご使用の環境に適した方法で、ストレージプロバイダーでサポートされる方法を選択できます。
2.2.1.1. ファイルシステムのコピー方法
CAM ツールは、データファイルをソースクラスターからレプリケーションリポジトリーにコピーし、そこからターゲットクラスターにコピーします。
利点 | 制限 |
---|---|
|
|
2.2.1.2. スナップショットのコピー方法
CAM ツールは、ソースクラスターのデータのスナップショットを、レプリケーションリポジトリーとして設定されたクラウドプロバイダーのオブジェクトストレージにコピーします。データはターゲットクラスターで復元されます。
AWS、Google Cloud Provider、および Microsoft Azure は、スナップショットのコピー方法をサポートします。
利点 | 制限 |
---|---|
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|
Multi-Cloud Object Gateway を移行用のレプリケーションリポジトリーとして設定する機能はテクノロジープレビュー機能としてのみご利用いただけます。テクノロジープレビュー機能は Red Hat の実稼働環境でのサービスレベルアグリーメント (SLA) ではサポートされていないため、Red Hat では実稼働環境での使用を推奨していません。Red Hat は実稼働環境でこれらを使用することを推奨していません。これらの機能は、近々発表予定の製品機能をリリースに先駆けてご提供することにより、お客様は機能性をテストし、開発プロセス中にフィードバックをお寄せいただくことができます。
Red Hat のテクノロジープレビュー機能のサポート範囲についての詳細は、https://access.redhat.com/ja/support/offerings/techpreview/ を参照してください。
2.2.2. Multi-Cloud Object Gateway ストレージバケットをレプリケーションリポジトリーとして設定する
OpenShift Container Storage Operator をインストールし、Multi-Cloud Object Gateway (MCG) ストレージバケットをレプリケーションリポジトリーとして設定できます。
2.2.2.1. OpenShift Container Storage Operator のインストール
OpenShift Container Storage Operator は、OperatorHub からインストールできます。
手順
-
OpenShift Container Platform Web コンソールで、Administration
Namespaces をクリックします。 - Create Namespace をクリックします。
-
Name フィールドに
openshift-storage
を入力し、Create をクリックします。 -
Operators
OperatorHub をクリックします。 - Filter by keyword (この場合は、OCS) を使用し、 OpenShift Container Storage Operator を見つけます。
- OpenShift Container Storage Operator を選択し、Install をクリックします。
-
Create Operator Subscription ページで、
openshift-storage
namespace を選択します。 - 更新チャネルおよび承認ストラテジーを指定します。
Subscribe をクリックします。
Installed Operators ページで、OpenShift Container Storage Operator は、Succeeded のステータスと共に openshift-storage プロジェクトに表示されます。
2.2.2.2. Multi-Cloud Object Gateway ストレージバケットの作成
Multi-Cloud Object Gateway (MCG) ストレージバケットのカスタムリソース (CR) を作成できます。
手順
OpenShift Container Platform クラスターにログインします。
$ oc login
NooBaa
CR 設定ファイルnoobaa.yml
を以下の内容で作成します。apiVersion: noobaa.io/v1alpha1 kind: NooBaa metadata: name: noobaa namespace: openshift-storage spec: dbResources: requests: cpu: 0.5 1 memory: 1Gi coreResources: requests: cpu: 0.5 2 memory: 1Gi
NooBaa
オブジェクトを作成します。$ oc create -f noobaa.yml
以下の内容で、
BackingStore
CR 設定ファイルbs.yml
を作成します。apiVersion: noobaa.io/v1alpha1 kind: BackingStore metadata: finalizers: - noobaa.io/finalizer labels: app: noobaa name: mcg-pv-pool-bs namespace: openshift-storage spec: pvPool: numVolumes: 3 1 resources: requests: storage: 50Gi 2 storageClass: gp2 3 type: pv-pool
BackingStore
オブジェクトを作成します。$ oc create -f bs.yml
以下の内容で
BucketClass
CR 設定ファイルbc.yml
を作成します。apiVersion: noobaa.io/v1alpha1 kind: BucketClass metadata: labels: app: noobaa name: mcg-pv-pool-bc namespace: openshift-storage spec: placementPolicy: tiers: - backingStores: - mcg-pv-pool-bs placement: Spread
BucketClass
オブジェクトを作成します。$ oc create -f bc.yml
以下の内容で
ObjectBucketClaim
CR 設定ファイルobc.yml
を作成します。apiVersion: objectbucket.io/v1alpha1 kind: ObjectBucketClaim metadata: name: migstorage namespace: openshift-storage spec: bucketName: migstorage 1 storageClassName: openshift-storage.noobaa.io additionalConfig: bucketclass: mcg-pv-pool-bc
- 1
- レプリケーションリポジトリーを CAM Web コンソールに追加するために使用するバケット名を記録します。
ObjectBucketClaim
オブジェクトを作成します。$ oc create -f obc.yml
リソース作成プロセスを監視し、
ObjectBucketClaim
ステータスがBound
であることを確認します。$ watch -n 30 'oc get -n openshift-storage objectbucketclaim migstorage -o yaml'
このプロセスには、5 分から 10 分の時間がかかる場合があります。
以下の値を取得して記録します。この値は、レプリケーションリポジトリーを CAM Web コンソールに追加する際に必要になります。
S3 エンドポイント:
$ oc get route -n openshift-storage s3
S3 プロバイダーアクセスキー:
$ oc get secret -n openshift-storage migstorage -o go-template='{{ .data.AWS_ACCESS_KEY_ID }}' | base64 -d
S3 プロバイダーシークレットアクセスキー:
$ oc get secret -n openshift-storage migstorage -o go-template='{{ .data.AWS_SECRET_ACCESS_KEY }}' | base64 -d
2.2.3. AWS S3 ストレージバケットをレプリケーションリポジトリーとして設定する
AWS S3 ストレージバケットをレプリケーションリポジトリーとして設定できます。
前提条件
- AWS S3 ストレージバケットは、ソースクラスターおよびターゲットクラスターからアクセスできる必要があります。
- AWS CLI がインストールされていること。
スナップショットのコピー方法を使用する場合は、以下の条件を満たす必要があります。
- EC2 Elastic Block Storage (EBS) にアクセスできる必要があります。
- ソースおよびターゲットクラスターが同じリージョンにある必要があります。
- ソースおよびターゲットクラスターには、同じストレージクラスがある必要があります。
- ストレージクラスはスナップショットと互換性がある必要があります。
手順
AWS S3 バケットを作成します。
$ aws s3api create-bucket \ --bucket <bucket_name> \ 1 --region <bucket_region> 2
IAM ユーザー
velero
を作成します。$ aws iam create-user --user-name velero
EC2 EBS スナップショットポリシーを作成します。
$ cat > velero-ec2-snapshot-policy.json <<EOF { "Version": "2012-10-17", "Statement": [ { "Effect": "Allow", "Action": [ "ec2:DescribeVolumes", "ec2:DescribeSnapshots", "ec2:CreateTags", "ec2:CreateVolume", "ec2:CreateSnapshot", "ec2:DeleteSnapshot" ], "Resource": "*" } ] } EOF
1 つまたはすべての S3 バケットの AWS S3 アクセスポリシーを作成します。
$ cat > velero-s3-policy.json <<EOF { "Version": "2012-10-17", "Statement": [ { "Effect": "Allow", "Action": [ "s3:GetObject", "s3:DeleteObject", "s3:PutObject", "s3:AbortMultipartUpload", "s3:ListMultipartUploadParts" ], "Resource": [ "arn:aws:s3:::<bucket_name>/*" 1 ] }, { "Effect": "Allow", "Action": [ "s3:ListBucket", "s3:GetBucketLocation", "s3:ListBucketMultipartUploads" ], "Resource": [ "arn:aws:s3:::<bucket_name>" 2 ] } ] } EOF
"Resource": [ "arn:aws:s3:::*"
EC2 EBS ポリシーを
velero
に割り当てます。$ aws iam put-user-policy \ --user-name velero \ --policy-name velero-ebs \ --policy-document file://velero-ec2-snapshot-policy.json
AWS S3 ポリシーを
velero
に割り当てます。$ aws iam put-user-policy \ --user-name velero \ --policy-name velero-s3 \ --policy-document file://velero-s3-policy.json
velero
のアクセスキーを作成します。$ aws iam create-access-key --user-name velero { "AccessKey": { "UserName": "velero", "Status": "Active", "CreateDate": "2017-07-31T22:24:41.576Z", "SecretAccessKey": <AWS_SECRET_ACCESS_KEY>, 1 "AccessKeyId": <AWS_ACCESS_KEY_ID> 2 } }
2.2.4. Google Cloud Provider ストレージバケットをレプリケーションリポジトリーとして設定する
Google Cloud Provider (GCP) ストレージバケットをレプリケーションリポジトリーとして設定できます。
前提条件
- GCP ストレージバケットは、ソースクラスターおよびターゲットクラスターからアクセスできる必要があります。
-
gsutil
がインストールされていること。 スナップショットのコピー方法を使用する場合は、以下の条件を満たす必要があります。
- ソースおよびターゲットクラスターが同じリージョンにある必要があります。
- ソースおよびターゲットクラスターには、同じストレージクラスがある必要があります。
- ストレージクラスはスナップショットと互換性がある必要があります。
手順
gsutil init
を実行してログインします。$ gsutil init Welcome! This command will take you through the configuration of gcloud. Your current configuration has been set to: [default] To continue, you must login. Would you like to login (Y/n)?
BUCKET
変数を設定します。$ BUCKET=<bucket_name> 1
- 1
- バケット名を指定します。
ストレージバケットを作成します。
$ gsutil mb gs://$BUCKET/
PROJECT_ID
変数をアクティブなプロジェクトに設定します。$ PROJECT_ID=$(gcloud config get-value project)
velero
サービスアカウントを作成します。$ gcloud iam service-accounts create velero \ --display-name "Velero Storage"
SERVICE_ACCOUNT_EMAIL
変数をサービスアカウントのメールアドレスに設定します。$ SERVICE_ACCOUNT_EMAIL=$(gcloud iam service-accounts list \ --filter="displayName:Velero Storage" \ --format 'value(email)')
パーミッションをサービスアカウントに付与します。
$ ROLE_PERMISSIONS=( compute.disks.get compute.disks.create compute.disks.createSnapshot compute.snapshots.get compute.snapshots.create compute.snapshots.useReadOnly compute.snapshots.delete compute.zones.get ) gcloud iam roles create velero.server \ --project $PROJECT_ID \ --title "Velero Server" \ --permissions "$(IFS=","; echo "${ROLE_PERMISSIONS[*]}")" gcloud projects add-iam-policy-binding $PROJECT_ID \ --member serviceAccount:$SERVICE_ACCOUNT_EMAIL \ --role projects/$PROJECT_ID/roles/velero.server gsutil iam ch serviceAccount:$SERVICE_ACCOUNT_EMAIL:objectAdmin gs://${BUCKET}
サービスアカウントのキーを現在のディレクトリーにある
credentials-velero
ファイルに保存します。$ gcloud iam service-accounts keys create credentials-velero \ --iam-account $SERVICE_ACCOUNT_EMAIL
2.2.5. Microsoft Azure Blob ストレージコンテナーをレプリケーションリポジトリーとして設定
Microsoft Azure Blob ストレージコンテナーをレプリケーションリポジトリーとして設定できます。
前提条件
- Azure ストレージアカウントがあること。
- Azure CLI がインストールされていること。
- Azure Blob ストレージコンテナーがソースクラスターおよびターゲットクラスターからアクセスできること。
スナップショットのコピー方法を使用する場合は、以下の条件を満たす必要があります。
- ソースおよびターゲットクラスターが同じリージョンにある必要があります。
- ソースおよびターゲットクラスターには、同じストレージクラスがある必要があります。
- ストレージクラスはスナップショットと互換性がある必要があります。
手順
AZURE_RESOURCE_GROUP
変数を設定します。$ AZURE_RESOURCE_GROUP=Velero_Backups
Azure リソースグループを作成します。
$ az group create -n $AZURE_RESOURCE_GROUP --location <CentralUS> 1
- 1
- 場所を指定します。
AZURE_STORAGE_ACCOUNT_ID
変数を設定します。$ AZURE_STORAGE_ACCOUNT_ID=velerobackups
Azure ストレージアカウントを作成します。
$ az storage account create \ --name $AZURE_STORAGE_ACCOUNT_ID \ --resource-group $AZURE_RESOURCE_GROUP \ --sku Standard_GRS \ --encryption-services blob \ --https-only true \ --kind BlobStorage \ --access-tier Hot
BLOB_CONTAINER
変数を設定します。$ BLOB_CONTAINER=velero
Azure Blob ストレージコンテナーを作成します。
$ az storage container create \ -n $BLOB_CONTAINER \ --public-access off \ --account-name $AZURE_STORAGE_ACCOUNT_ID
velero
のサービスプリンシパルおよび認証情報を作成します。$ AZURE_SUBSCRIPTION_ID=`az account list --query '[?isDefault].id' -o tsv` $ AZURE_TENANT_ID=`az account list --query '[?isDefault].tenantId' -o tsv` $ AZURE_CLIENT_SECRET=`az ad sp create-for-rbac --name "velero" --role "Contributor" --query 'password' -o tsv` $ AZURE_CLIENT_ID=`az ad sp list --display-name "velero" --query '[0].appId' -o tsv`
サービスプリンシパルの認証情報を
credentials-velero
ファイルに保存します。$ cat << EOF > ./credentials-velero AZURE_SUBSCRIPTION_ID=${AZURE_SUBSCRIPTION_ID} AZURE_TENANT_ID=${AZURE_TENANT_ID} AZURE_CLIENT_ID=${AZURE_CLIENT_ID} AZURE_CLIENT_SECRET=${AZURE_CLIENT_SECRET} AZURE_RESOURCE_GROUP=${AZURE_RESOURCE_GROUP} AZURE_CLOUD_NAME=AzurePublicCloud EOF