第2章 ネットワーキング
Precision Time Protocol
Linux 向け IEEE 基準 1588-2008 に準じた Precision Time Protocol (PTP) の実装は、Red Hat Enterprise Linux 6.4 でテクノロジープレビューとして導入されました。カーネルおよびユーザースペースの PTP インフラストラクチャは Red Hat Enterprise Linux 6.5 で完全にサポートされています。ネットワークドライバーのタイムスタンプのサポートには、以下のドライバーが含まれます:
bnx2x
、tg3
、e1000e
、igb
、ixgbe
、sfc
。
設定外の IP マルチキャスト IGMP スヌーピングデータの分析
これまでは、ブリッジモジュール sysfs 仮想ファイルシステムは、設定外の IP マルチキャスト IGMP スヌーピングデータを検査する機能を提供していませんでした。この機能がないと、マルチキャストトラフィックの完全な分析ができませんでした。Red Hat Enterprise Linux 6.5 では、ユーザーは検出されたマルチキャストルーターポートを一覧表示することができ、アクティブなサブスクライバーと関連インターフェイスをグループ化します。
NetworkManager における PPPoE 接続のサポート
NetworkManager は、PPPoE (point-to-point protocol over Ethernet) ベースの接続の作成および管理をサポートするように強化されました。例えば、DSL、ISDN、VPN の接続などに使用されます。
OpenStack のネットワーク名前空間のサポート
ネットワーク名前空間 (netns) は、コンテナベースの軽量な仮想化技術です。仮想ネットワークスタックは、プロセスグループと関連付けることができます。名前空間にはそれぞれ独自のループバックデバイスとプロセス空間があります。仮想もしくはリアルのデバイスを各ネットワーク名前空間に追加することができ、ユーザーはこれらのデバイスに IP アドレスを割り当ててネットワークノードとして使うことができます。
暗号化ハッシュ機能変更の SCTP 対応
Red Hat Enterprise Linux 6.5では、ユーザーは暗号化ハッシュ機能を Stream Control Transmission Protocol (SCTP) 接続向けに MD5 から SHA1 に変更できます。
SCTP 用の M3UA 計測カウンター
M3UA (Message Transfer Part Level 3 User Adaptation Layer) は、ISDN や PSTN といった従来の通信ネットワークを使用するのではなく、SCTP を使って IP 上での MTP Level 3 ユーザーパートシグナルメッセージを送信するための IETF 標準で定義されるプロトコルです。
iproute を使った DOVE トンネルの管理
DOVE (Distributed Overlay Virtual Ethernet) トンネルは、クラウドセンターで使用される ISO OSI layer 2 ネットワーク向けのスケーラブルソリューションを意味する Virtual Extensible Local Area Network (VXLAN) の構築を可能にします。bridge ツールは iproute パッケージの一部で、例えば、Linux プラットフォーム上で VXLAN デバイスでのデータベースの転送管理に使用できます。