第7章 非同期エラータの更新
このセクションでは、z-stream リリースのバグ修正、既知の問題、機能拡張を説明します。
7.1. Red Hat Ceph Storage 7.0z2
Red Hat Ceph Storage リリース 7.0z2 が利用可能になりました。この更新に含まれるバグ修正は、RHBA-2024:2743 および RHBA-2024:2744 アドバイザリーに記載されています。
7.1.1. 機能拡張
7.1.1.1. Ceph ファイルシステム
snap-schedule
モジュールは、定義された数のスナップショットを保持します
このリリースでは、snap-schedule
モジュールは、ユーザーが定義した数のスナップショットを保持するための新しい保持仕様をサポートします。たとえば、スナップショットの作成頻度に関係なく 50 個のスナップショットを保持するように指定した場合、新しいスナップショットが作成された後にスナップショットが削除されます。実際に保持されるスナップショットの数は、指定された最大数より 1 少なくなります。この例では、49 個のスナップショットが保持されています。これは、次のイテレーションでファイルシステムにスナップショットを作成できるように、余白として 1 確保するためです。保持されたスナップショットにより、システムで設定された mds_max_snaps_per_dir
の制限に違反することがなくなります。
mds_max_snaps_per_dir
とスナップショットのスケジュール制限を設定するときは、mds_max_snaps_per_dir
制限を超えた場合にファイルシステムが "Too many links" エラーを返すことでスナップショットスケジュールが意図せず非アクティブにならないように注意してください。
dump dir
コマンドを導入しました
このリリースでは、ディレクトリー情報をダンプするための新しいコマンド dump dir
が導入されました。
オプション --subvol
を使用したサブボリュームのスナップショットスケジュールが使用可能になりました
この機能拡張により、ユーザーは --subvol
引数を使用して、デフォルトおよび非デフォルトのサブボリュームグループ内のサブボリュームに対してスナップショットをスケジュールできるようになりました。
7.1.1.2. Ceph Metrics
counter dump
コマンドの出力が、複数のセクションに分割されるようになりました
この機能拡張により、Ceph Object Gateway 操作メトリクスのラベル付きパフォーマンスカウンターが、user operation カウンターと bucket operation カウンターの counter dump
コマンドの出力で異なるセクションに分割されます。
7.1.1.3. Ceph Objecy Gateway
新しい設定変数 rgw_op_counters_dump_expiration
を導入しました
この機能拡張により、新しい設定変数 rgw_op_counters_dump_expiration
が導入されました。この新しい変数は、ceph counter dump
コマンドからラベル付きパフォーマンスカウンターが発行される秒数を制御します。
rgw_op_counters_dump_expiration
の秒数が経過しても、バケットまたはユーザーラベル付きカウンターが更新されない場合、ceph counter dump
の json 出力には表示されません。
このフィルタリングをオフにするには、rgw_op_counters_dump_expiration
の値を 0 に設定する必要があります。
rgw_op_counters_dump_expiration
の値は実行時に変更しないでください。
S3 操作のパフォーマンスカウンターを Prometheus に送信できるようになりました
この機能拡張により、Ceph エクスポーターデーモンを使用して新しいラベル付きカウンターを Prometheus に送信できるようになりました。これは、バケットごとまたはユーザーごとに視覚化できる PUT などの一般的な S3 操作に役立ちます。
ユーザーまたはバケットによってラベル付けされた S3 操作のパフォーマンスカウンターは、ceph counter dump
コマンドを使用して出力されます。
7.1.2. 既知の問題
7.1.2.1. マルチサイトの Ceph Object Gateway
アーカイブゾーン環境での大規模な omap
警告
現在、アーカイブゾーン環境では、バケット内の同一オブジェクトの複数バージョンが単一のバケットインデックスシャードオブジェクトに書き込まれているため、大規模な omap
警告が表示される可能性があります。アーカイブゾーンの omap olh
エントリーを考慮して、'max_objs_per_shard' 設定オプションを 50,000 に減らすことが推奨されます。これにより、バケットインデックスシャードオブジェクトあたりの omap
エントリー数が抑制され、大規模な omap
警告の発生を防ぐことができます。
7.1.2.2. Ceph Dashboard
リモートクラスターからマルチサイト設定をインポートしようとすると、トークンのインポートでエラーが発生します
このマルチサイトインポート設定によりフォームの送信時にエラーが発生するため、現在、マルチサイト期間情報はレルム名を返しません。回避策: コマンドラインインターフェイスを使用してマルチサイト設定をインポートします。
7.1.2.3. セキュリティー
grafana-container: go-git
の CVE-2023-49569 は、Ceph 7.0z2 リリースないに存在します
Ceph 7.0 リリースでは、Ceph 6.1 リリースで使用できるものよりも古いバージョンの Grafana が使用されているため、Ceph 7.0z2 に CVE が存在します。
Ceph 7.0 は Grafana 9.4.12 を使用しますが、Grafana 10.4.0 上には 6.1z6 リリースがあり、そのリリースで CVE が修正されています。