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7. アーキテクチャ固有のサポート

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7.1. i386

  • 仮想環境では、タイマ割り込みを数えて時間を管理するため、Red Hat Enterprise Linux の 64 ビットカーネルのタイムキーピングが困難なことがあります。 仮想マシンのスケジュール解除や再スケジュールによってタイマ割り込みが遅延することがあるため、タイムキーピングに不整合が生じることがあります。 今回のカーネルリリースはタイムキーピングアルゴリズムを再設定し、時間経過カウンタを基にタイムキーピングを行います (Bugzilla #463573)。
  • スタックの合計サイズが ~4GB を越えると、64 ビットでスレッドされたアプリケーションが pthread_create() で大幅に遅くなりました。 これは、glibcMAP_32BIT を使用してスタックを割り当てるためです。 MAP_32BIT の使用はレガシー実装であるため、64 ビットアプリケーションを拘束しないよう、今回の更新で新しいフラグ(MAP_STACK mmap) が追加されました (Bugzilla #459321)。
  • 更新には、TSC がディープ C ステートで稼働し続けるよう促す機能ビットが含まれています。 このビットは NONSTOP_TSC で、CONSTANT_TSC と共に動作します。 CONSTANT_TSC は TCS がP/T-ステートとは関係のない一定頻度で実行されることを示し、NONSTOP_TSC は TSC がディープ C ステートで停止しないことを示しています (Bugzilla #474091)。
  • 今回の更新には、 i386、i486、i586、i686 アーキテクチャ向けにビルドされた kernel-devel パッケージに asm-x86_64 をヘッダを追加するパッチが含まれています (Bugzilla #491775)。
  • 今回の更新に含まれる修正により、i386 アーキテクチャで memmap=X$Y をブートパラメータとして指定すると、新しい BIOS マップが作成されるようになりました (Bugzilla #464500)。
  • This update adds a patch to correct a problem with the Non-Maskable Interrupt (NMI) that appeared in previous kernel releases. The problem appeared to affect various Intel processors and caused the system to report the NMI watchdog was 'stuck'. New parameters in the NMI code correct this issue. (Bugzilla #500892)
  • 今リリースでは、 HP xw9400 および xw9300 に対する PCI ドメインのサポートが再導入されました (Bugzilla #474891)。
  • モジュール powernow-k8 パラメータを /sys/modules にエクスポートするよう機能が修正されました。 以前、この情報はエクスポートされませんでした (Bugzilla #492010)。

7.2. x86_64

  • An optimization error was found in linux-2.6-misc-utrace-update.patch. When running 32-bit processes on a 64-bit machine systems didn't return ENOSYS on missing (out of table range) system calls. This kernel release includes a patch to correct this. (Bugzilla #481682)
  • クラスタシステムの一部が不安定な時間ソースで起動されました。 これは、ブートプロセス中に TSC (タイムスタンプクロック、Time Stamp Clock) を調整する際に、カーネルコードが使用可能なパフォーマンスカウンタ (PERFCTR) をチェックしなかったことが原因あることが判明しました。 この問題によって、まれにシステムのデフォルトがビジー PERFCTR になり、調整が信用できないことがありました。
    この問題を修正するため、デフォルトにする前にシステムが使用可能な PERFCTR をチェックするようになりました (Bugzilla #467782)。 TSC の調整が必要な際に、すべての PERFCTR がビジー状態である可能性があるため、この修正はすべてのケースに対応する訳ではありません。 万一この状態がした場合に (発生率は 1% 未満) にカーネルパニックを発生させる別のパッチが追加されました (Bugzilla #472523)。

7.3. PPC

  • 今回のカーネルリリースには、Cell プロセッサのspufs (Synergistic Processing Units file system) を更新する複数のパッチが含まれています (Bugzilla #475620)。
  • An issue was identified wherein /proc/cpuinfo would list logical PVR Power7 processor architecture as "unknown" when show_cpuinfo() was run. This update adds a patch to have show_cpuinfo() identify Power7 architectures as Power6. (Bugzilla #486649)
  • 今回の更新には、System P プロセッサを使用するマシンに MSI-X (メッセージシグナル割り込み、Message Signaled Interrupt) サポートを追加/向上する複数のパッチが追加されました。 (Bugzilla #492580)。
  • Cell Blades マシンで問題となっていた電源ボタンの機能を有効にするパッチが追加されました (Bugzilla #475658)。

7.4. s390

下記を含む IBM System z マシン向けの様々な新機能が Red Hat Enterprise Linux に導入されました。
  • z/VM ハイパーバイザは NSS (Named Saved Segment) を利用して、オペレーティングシステムコードを z/VM ゲスト仮想マシンが使用できる共有のリアルメモリページにします。 今回の更新で、z/VM における Red Hat Enterprise Linux の複数のゲストオペレーティングシステムが NSS より起動し、メモリ内の単一の Linux カーネルコピーより実行できるようになりました (BZ#474646)
  • 新しい IBM System z PCI 暗号化アクセラレータに対し、以前のバージョンと同じインターフェースを使用するデバイスドライバサポートが追加されました。 (BZ#488496)
  • Red Hat Enterprise Linux 5.4 に、状況によって (システムのオーバーヒートなど) プロセッサの速度を減速することができるプロセッサ劣化のサポートが追加されました (BZ#474664)。 この新機能によって、自動化ソフトウェアはマシンの状態を監視し、定義されたポリシーに従って実行することができるようになりました。

    注記

    プロセッサ劣化は、z990 や z890、これ以降のシステムでサポートされ、SCLP システムサービスのイベントタイプ 4、イベント修飾子 3 によって監視されます。 STSI はプロセッサの新しい能力をファイル /sys/devices/system/cpu/cpuN/capability に報告します。
  • HMC (ハードウェア管理コンソール、Hardware Management Console) 上で各システムを識別するため、CPI (制御プログラム識別、Control Program Identification) 記述データが使用されます。 今回の更新では、CPI データが Red Hat Enterprise Linux インスタンスに関連付けできるようになりました (BZ#475820)
    CPI に関する詳細は、Device Drivers, Features, and Commands document を参照してください。
  • FCP (ファイバーチャンネルプロトコル、Fibre Channel Protocol) のパフォーマンスデータが IBM System z プラットフォーム上の Red Hat Enterprise Linux で測定できるようになりました (BZ#475334)。 収集報告されるメトリクスには下記が含まれます。 
    • Linux デバイス、SCSI (小型コンピュータシステムインターフェース、Small Computer System Interface) の論理ユニット番号 (LUN)、HBA (ホストバスアダプタ、Host Bus Adapter) のストレージコントローラ情報など、スタックコンポーネント上のパフォーマンスに関するデータ。
    • スタックコンポーネント毎: スループット、利用度などとする測定の現在値。
    • サイズ、コンポーネント毎およびコンポーネント合計の待ち時間など、I/O 要求に関連するデータの統計的集団 (最低、最高、平均、ヒストグラム)。
  • EMC Symmetrix 制御 I/O を発行するサポートがカーネルに追加されました。 今回の更新により、IBM System z プラットフォーム上の Red Hat Enterprise Linux にて EMC Symmetrix ストレージアレイを管理できるようになりました。 (BZ#461288)
  • カーネルパニックとダンプ直後に Red Hat Enterprise Linux 仮想マシン上で IPL (初期プログラムロード、Initial Program Load) を実行するよう、カーネルに新機能が実装されました。 (BZ#474688)
  • 設定トポロジファシリティをサポートするハードウェアはシステム CPU トポロジの情報をスケジューラに渡すため、負荷バランスを判断することができます。 I/O 割り込みが平等に分散されていないマシン上では、グループ化され別の CPU より多くの I/O 割り込みを受け取る CPU は平均負荷が高くなる傾向にあり、場合によってはパフォーマンスに問題が生じます。
    Previously, CPU topology support was enabled by default. With this update, CPU topology support is disabled by default, and the kernel parameter "topology=on" has been added to allow this feature to be enabled. (BZ#475797)
  • IPL コマンドを使用し、CMS parmfile の内容を変更せずに新しいカーネルオプションが追加できるようになったため、parmfile によって既に提供されたカーネルオプションを一時的に上書きできるようになりました。 boot コマンドライン全体を VM パラメータストリングに置き換え、parmfile のカーネルオプションを無視することができます。 また、CP/CMS コマンドライン上に新しい Linux NSS (Named Saved System) を作成できます (BZ#475530)
  • The qeth driver has been updated with HiperSockets Layer3 support for IPv6. (BZ#475572) For further details on this feature, refer to the "qeth device driver for OSA-Express (QDIO) and HiperSockets" chapter in IBM's "Device Drivers, Features, and Commands" book located at: http://www.ibm.com/developerworks/linux/linux390/october2005_documentation.html
  • z9 HiperSocket ファームウェアで開始されると、異なる形式のバージョンストリングが返されます。 これにより、デバイスのオンライン設定中に発行された qeth 状態メッセージに mcl_level の情報がありませんでした。 更新された qeth ドライバは、 HiperSocket の新しいバージョンストリング形式を正しく読み込むようになったため、出力形式が標準化されました。(BZ#479881)
  • Red Hat Enterprise Linux 5.4 では、s390utils パッケージがバージョン 1.8.1 にリベースされました。 リベースによって提供される機能の全一覧は、 テクニカルノート のパッケージ更新の項を参照してください。 (BZ#477189)
  • In the kernel, a sysfs interface has been implemented to associate actions to shutdown triggers. For more details on this feature, refer to the "Shutdown actions" chapter in IBM's "Device Drivers, Features, and Commands" book located at: http://www.ibm.com/developerworks/linux/linux390/development_documentation.html
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