7.3.2.2.3. 同時実行の最適化
他のファイルシステムと違って、オペレーションが非共有オブジェクトで行われていれば、XFS は多くのタイプの割り当てや解放操作を同時に行うことができます。エクステントの割り当てや解放は、これらの操作が異なる割り当てグループで行われている場合は、同時に実行できます。同様に、inode の割り当てや解放も、同時操作が異なる割り当てグループに影響を与えているのであれば、同時に実行できます。
CPU 数が多いマシンでオペレーションの同時実行を試みるマルチスレッドのアプリケーションを使用する場合は、割り当てグループの数が重要になります。割り当てグループ数が 4 つのみで、これが維持される場合は、メタデータの並行操作はこれら 4 つの CPU までしか拡張されません (システムが提供する同時実行の制限)。小型のファイルシステムでは、割り当てグループ数はシステムが提供する同時実行でサポートされるようにします。大型のファイルシステム (数十テラバイト以上) では通常、デフォルトのフォーマットオプションが十分な数の割り当てグループを作成して、同時実行の制限を回避します。
XFS ファイルシステム構造に固有の並列処理を使用するには、アプリケーションは単一の競合点を認識する必要があります。ディレクトリーを同時実行で修正することはできないので、多数のファイルを作成・削除するアプリケーションは、すべてのファイルを 1 つのディレクトリーに保存すべきではありません。作成されたディレクトリーを異なる割り当てグループに置くことで、複数のサブディレクトリーにまたがるファイルのハッシュなどのテクニックで、単一の大型ディレクトリーを使用する場合に比べてよりスケーラブルなストレージパターンが提供されます。