1.2.3.3. 集中型ネットワーク
ネットワーク上の通信は通常イーサネットを使って行われ、ストレージトラフィックは専用の Fibre Channel SAN 環境を使います。システム管理に専用ネットワークやシリアルリンクがあるのは一般的で、ハートビート[2] がある場合もあります。その結果、単一サーバーが複数ネットワーク上にあることになります。
各サーバーに複数の接続を提供すると費用がかかり、巨大になって管理が複雑化します。このため、すべての接続を 1 つにする方法が求められました。Fibre Channel over Ethernet (FCoE) と インターネット SCSI (iSCSI) がこのニーズに応えています。
FCoE
FCoE では、標準のファイバーチャンネルコマンドとデータパケットは、単一の 集中型ネットワークアダプター (CNA) 経由で 10GbE の物理ネットワークを使って移動します。標準 TCP/IP イーサネットトラフィックとファイバーチャンネルストレージ操作も同一リンク経由で移動できます。FCoE は 1 つの物理ネットワークインターフェース (および 1 本のケーブル) を使って複数の論理ネットワーク/ストレージ接続を行います。
FCoE には以下の利点があります。
- 接続数が減少
- FCoE を使うと、サーバーへのネットワーク接続数が半分になります。パフォーマンスやアベイラビリティ目的で複数接続を選ぶことは依然として可能ですが、単一接続でストレージとネットワーク接続の両方が提供されます。これは特にピザボックスサーバーとブレードサーバーの場合、コンポーネントのスペースが限られているため、便利なものになります。
- 低コスト
- 接続数が減ると、直ちにケーブルやスイッチ、その他のネットワーク機器の数が減ることになります。また、イーサネットの例では規模の経済が機能します。市場におけるデバイス数が数百万から数十億に増えると、100Mb イーサネットとギガバイトのイーサネットデバイスの価格下落で見られたように、ネットワーク費用は劇的に低下します。同様に、10GbE を採用する企業が増えるにつれて、その価格はより安価になります。また、CNA ハードウェアがシングルチップに統合されることで、その仕様拡大が市場でのボリュームを増大させ、長期的には価格が大幅に下落することになります。
iSCSI
インターネット SCSI (iSCSI) は別のタイプの集中型ネットワークプロトコルで、FCoE の代わりとなるものです。ファイバーチャンネルのように、iSCSI はネットワークを使ったブロックレベルのストレージを提供します。しかし iSCSI は完全な管理環境は提供しません。FCoE に対する iSCSI の利点は、iSCSI はファイバーチャンネルのほとんどの機能と柔軟性をより低コストで提供できるという点です。
[2]
ハートビート はシステム間でのメッセージ交換のことで、各システムが機能していることを伝えます。システムの「ハートビートがなくなる」と、失敗してシャットダウンしたと考えられ、別のシステムが引き継ぎます。