分散型コンピューティングを使用する環境では、複数インスタンスの共有ストレージが使われます。これは、以下のどちらかを意味します。
最も分かりやすいストレージの例は、システムに搭載されたローカルディスクドライブです。すべてのアプリケーションが 1 つのホストに格納されている場合や少数のホストに格納されている場合の IT オペレーションでは、これが適切です。しかし、インフラストラクチャーが数十や数百のシステムに拡大すると、それらの数のストレージディスクを管理することは困難かつ複雑になります。
分散型ストレージは、ビジネスが拡大するにつれてストレージハードウェアの管理を容易かつ自動化する層を加えます。複数のシステムが少数のストレージインスタンスを使うようにすることで、管理者が管理するデバイス数を減らすことができます。
複数のストレージアプライアンスのストレージ機能を 1 つのボリュームに統合することで、ユーザーと管理者の双方に利益をもたらします。このタイプの分散型ストレージは、ストレージプールへの抽象化層を提供します。ユーザーは単一ユニットのストレージを参照することになり、管理者はさらにハードウェアを追加することでこれを容易に拡大することができます。分散型ストレージを可能にするテクノロジーのなかには、フェイルオーバーやマルチパスなどの新たな利点をもたらすものもあります。
NFS
Network File System (NFS) は、複数のサーバーやユーザーが TCP もしくは UDP 経由でリモートストレージの同一インスタンスをマウントもしくは使用することを可能にします。NFS は一般的に、複数のアプリケーションが共有するデータを保持します。また大量データの一括保存にも便利です。
SAN
ストレージエリアネットワーク (SAN) は、Fibre Channel もしくは iSCSI プロトコルを使ってストレージへのリモートアクセスを提供します。(Fibre Channel ホストバスアダプターやスイッチ、ストレージアレイといった) Fibre Channel インフラストラクチャーは、高パフォーマンスと高い帯域幅、大量ストレージを組み合わせます。SAN はプロセッシングからストレージを分離することで、システムデザインの柔軟性を大幅に高めます。
SAN のもう一つの大きな利点は、主要なストレージハードウェア管理タスクを実行する管理環境を提供する点です。このタスクには以下のものが含まれます。
ストレージへのアクセス制御
大量データの管理
システムのプロビジョニング
データのバックアップと複製
スナップショットの作成
システムフェイルオーバーのサポート
データ整合性の確保
データの移行
GFS2
Red Hat Global File System 2 (GFS2) ファイルシステムは、特別機能をいくつか提供します。GFS2 の基本機能は単一ファイルシステムの提供で、これには同時読み取り/書き込みアクセスが含まれ、クラスターの複数メンバー間で共有されます。つまり、このクラスターの各メンバーは、GFS2 ファイルシステム内の「ディスク上」で全くの同一データを見ることになります。
GFS2 では、すべてのシステムが同時に「ディスク」へアクセスできます。データの整合性を維持するために、GFS2 は Distributed Lock Manager (DLM) を使用します。これは、一度に 1 つのシステムのみが特定のロケーションへの書き込みを可能にするものです。
GFS2 は特に、ストレージで高いアベイラビリティを必要とするフェイルオーバーアプリケーションに適しています。