第3章 GFS2 ファイルシステムの管理


GFS2 ファイルシステムの作成、マウント、拡張、および管理に使用するコマンドやオプションには様々なものがあります。

3.1. GFS2 ファイルシステムの作成

mkfs.gfs2 コマンドで、GFS2 ファイルシステムを作成できます。ファイルシステムは、アクティブ化された LVM ボリュームに作成されます。

3.1.1. GFS2 mkfs コマンド

mkfs.gfs2 コマンドを実行してクラスター化した GFS2 ファイルシステムを作成するには、以下の情報が必要です。

  • ロックプロトコル/モジュール名 (クラスターの lock_dlm)
  • クラスター名
  • ジャーナルの数 (ファイルシステムをマウントするノード 1 つに対してジャーナルが 1 つ必要)
注記

mkfs.gfs2 コマンドで GFS2 ファイルシステムを作成すると、ファイルシステムのサイズは縮小できなくなります。ただし、gfs2_grow コマンドで、既存のファイルシステムのサイズを大きくすることは可能です。

クラスター化 GFS2 ファイルシステムを作成する形式を以下に示します。Red Hat は、シングルノードのファイルシステムとしての GFS2 の使用には対応していないことに注意してください。

mkfs.gfs2 -p lock_dlm -t ClusterName:FSName -j NumberJournals BlockDevice

必要に応じて、mkfs コマンドを使用して GFS2 ファイルシステムを作成できます。そのとき、-t パラメーターで gfs2 タイプのファイルシステムを指定し、その後に GFS2 ファイルシステムオプションを指定します。

mkfs -t gfs2 -p lock_dlm -t ClusterName:FSName -j NumberJournals BlockDevice
警告

ClusterName:FSName パラメーターが適切に指定されていないと、ファイルシステムまたはロック領域が破損する可能性があります。

ClusterName
GFS2 ファイルシステムが作成されているクラスターの名前。
FSName
ファイルシステムの名前。1 ~ 16 文字まで指定できます。名前は、クラスター内のすべての lock_dlm ファイルシステムで固有にする必要があります。
NumberJournals
mkfs.gfs2 コマンドにより作成されるジャーナルの数を指定します。ファイルシステムをマウントするノードごとに、ジャーナルが 1 つ必要になります。GFS2 ファイルシステムの場合は、ファイルシステムを拡張せずにジャーナルを後で追加できます。
BlockDevice
論理または他のブロックデバイスを指定します

以下の表では、mkfs.gfs2 コマンドオプション (フラグおよびパラメーター) を説明します。

表3.1 コマンドオプション: mkfs.gfs2
フラグパラメーター説明

-c

Megabytes

各ジャーナルのクォータ変更ファイルの初期サイズを メガバイト に設定します。

-D

 

デバッグの出力を有効にします。

-h

 

ヘルプ。使用可能なオプションを表示します。

-J

Megabytes

ジャーナルのサイズをメガバイトで指定します。デフォルトのジャーナルサイズは 128 メガバイトです。最小サイズは 8 メガバイトです。ジャーナルのサイズが大きいほどパフォーマンスが向上しますが、使用するメモリーが、小さいジャーナルよりも多くなります。

-j

Number

mkfs.gfs2 コマンドにより作成されるジャーナルの数を指定します。ファイルシステムをマウントするノードごとに、ジャーナルが 1 つ必要になります。このオプションを指定しない場合は、ジャーナルが 1 つ作成されます。GFS2 ファイルシステムでは、ファイルシステムを拡張せずに、後でジャーナルを追加できます。

-O

 

mkfs.gfs2 コマンドが、ファイルシステムに書き込む前に確認を求めないようにします。

-p

LockProtoName

* 使用するロックプロトコルの名前を指定します。認識されるロックプロトコルには次のものがあります。

* lock_dlm - 標準のロックモジュール。クラスターファイルシステムに必要です。

* lock_nolock - GFS2 がローカルファイルシステムとして機能している場合に使用します (1 ノードのみ)。Red Hat は、実稼働環境でシングルノードファイルシステムとして GFS2 を使用することはサポートしていません。lock_nolock は、クラスターの最小サイズ で説明されているように、バックアップ目的またはセカンダリーサイトの障害復旧ノードにのみ使用してください。lock_nolock を使用する場合は、必ず GFS2 ファイルシステムが一度に 1 つのシステムによって使用されるようにしてください。

-q

 

Quiet モード。何も表示しません。

-r

Megabytes

リソースグループのサイズをメガバイト単位で指定します。リソースグループの最小サイズは 32 メガバイトです。リソースグループの最大サイズは 2048 メガバイトです。リソースグループのサイズが大きくなると、非常に大きなファイルシステムでのパフォーマンスが向上することがあります。このパラメーターを指定しなかった場合、mkfs.gfs2 がファイルシステムのサイズに基づいてリソースグループのサイズを選択します。平均的なサイズのファイルシステムには、256 MB のリソースグループが使用されます。より大きなサイズのファイルシステムには、パフォーマンスを向上させるために、より大きなリソースグループが使用されます。

-t

LockTableName

* lock_dlm プロトコルを使用する場合にロックテーブルフィールドを指定する一意の識別子。lock_nolock プロトコルは、このパラメーターを使用しません。

* このパラメーターは、ClusterName:FSName のように、コロンで区切られた 2 つの要素 (スペースなし) で設定されます。

* ClusterName は、GFS2 ファイルシステムが作成されているクラスターの名前です。このクラスターのメンバーだけが、このファイルシステムを使用できます。

* FSName ファイルシステム名です。名前は、長さが 1 文字から 16 文字までで、クラスター内のすべてのファイルシステムで一意でなければなりません。

-V

 

コマンドのバージョン情報を表示します。

3.1.2. GFS2 ファイルシステムの作成

以下の例では、GFS2 ファイルシステムを 2 つ作成します。この両方のファイルシステムでは、lock_dlm がクラスターファイルシステムであるため、ファイルシステムが使用するロッキングプロトコルになります。両方のファイルシステムは、alpha という名前のクラスターで使用できます。

最初のファイルシステムの場合、ファイルシステム名は mydata1 です。これには 8 個のジャーナルが含まれ、/dev/vg01/lvol0 に作成されます。2 番目のファイルシステムの場合、このファイルシステム名は mydata2 になります。これには 8 個のジャーナルが含まれ、/dev/vg01/lvol1 に作成されます。

# mkfs.gfs2 -p lock_dlm -t alpha:mydata1 -j 8 /dev/vg01/lvol0
# mkfs.gfs2 -p lock_dlm -t alpha:mydata2 -j 8 /dev/vg01/lvol1
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