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第11章 ポリインスタンス化されたディレクトリーの設定

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デフォルトでは、すべてのプログラム、サービス、およびユーザーは、一時ストレージとして /tmp/var/tmp、およびホームディレクトリーを使用します。これにより、これらのディレクトリーは、ファイル名に基づく競合状態攻撃や情報漏洩に対して脆弱になります。/tmp//var/tmp/、およびホームディレクトリーをインスタンス化して、これらがすべてのユーザー間で共有されないようにし、各ユーザーの /tmp-inst および /var/tmp/tmp-inst/tmp および /var/tmp ディレクトリーに個別にマウントされるようにすることができます。

手順

  1. SELinux でポリインスタンス化を有効にする:

    # setsebool -P allow_polyinstantiation 1

    getsebool allow_polyinstantiation コマンドを入力すると、SELinux でポリインスタンス化が有効になっているかどうかを確認できます。

  2. 必要な権限を使用して、再起動後もデータが永続的になるようにディレクトリー構造を作成します。

    # mkdir /tmp-inst /var/tmp/tmp-inst --mode 000
  3. SELinux ユーザー部分を含むセキュリティーコンテキスト全体を復元します。

    # restorecon -Fv /tmp-inst /var/tmp/tmp-inst
    Relabeled /tmp-inst from unconfined_u:object_r:default_t:s0 to system_u:object_r:tmp_t:s0
    Relabeled /var/tmp/tmp-inst from unconfined_u:object_r:tmp_t:s0 to system_u:object_r:tmp_t:s0
  4. システムで fapolicyd アプリケーション制御フレームワークを使用している場合は、/etc/fapolicyd/fapolicyd.conf 設定ファイルで allow_filesystem_mark オプションを有効にして、基礎となるファイルシステムがバインドマウントされているときに、fapolicyd がファイルアクセスイベントを監視できるようにします。

    allow_filesystem_mark = 1
  5. /tmp/var/tmp/、およびユーザーのホームディレクトリーのインスタンス化を有効にします。

    重要

    pam_namespace_helper プログラムは /etc/security/namespace.d 内の追加ファイルを読み取らないため、/etc/security/namespace.d/ ディレクトリー内の別のファイルではなく、/etc/security/namespace.conf を使用します。

    1. マルチレベルセキュリティー (MLS) を備えたシステムでは、/etc/security/namespace.conf ファイルの最後の 3 行のコメントを解除します。

      /tmp     /tmp-inst/   		   level 	 root,adm
      /var/tmp /var/tmp/tmp-inst/    level 	 root,adm
      $HOME    $HOME/$USER.inst/     level
    2. マルチレベルセキュリティー (MLS) のないシステムでは、/etc/security/namespace.conf ファイルに次の行を追加します。

      /tmp     /tmp-inst/            user 	 root,adm
      /var/tmp /var/tmp/tmp-inst/    user 	 root,adm
      $HOME    $HOME/$USER.inst/     user
  6. セッションに pam_namespace.so モジュールが設定されていることを確認します。

    $ grep namespace /etc/pam.d/login
    session    required     pam_namespace.so
  7. オプション: クラウドユーザーが SSH キーを使用してシステムにアクセスできるようにします。

    1. openssh-keycat パッケージをインストールします。
    2. /etc/ssh/sshd_config.d/ ディレクトリーに次の内容のファイルを作成します。

      AuthorizedKeysCommand /usr/libexec/openssh/ssh-keycat
      AuthorizedKeysCommandRunAs root
    3. sshd_configPubkeyAuthentication 変数が yes に設定されているかどうかを確認して、公開鍵認証が有効になっていることを確認します。デフォルトでは、sshd_config の行がコメントアウトされているにもかかわらず、PubkeyAuthentication は yes に設定されています。

      $ grep -r PubkeyAuthentication /etc/ssh/
      /etc/ssh/sshd_config:#PubkeyAuthentication yes
  8. ポリインスタンス化を適用する各サービスのモジュールに、session required pam_namespace.so unmnt_remnt エントリーを、session include system-auth 行の後に追加します。たとえば、/etc/pam.d/su/etc/pam.d/sudo/etc/pam.d/ssh、および /etc/pam.d/sshd: の場合:

    [...]
    session        include        system-auth
    session        required    pam_namespace.so unmnt_remnt
    [...]

検証

  1. 非 root ユーザーとしてログインします。ポリインスタンス化が設定される前にログインしていたユーザーは、変更が有効になる前にログアウトしてログインする必要があります。
  2. /tmp/ ディレクトリーが /tmp-inst/ の下にマウントされていることを確認します。

    $ findmnt --mountpoint /tmp/
    TARGET SOURCE                 	FSTYPE OPTIONS
    /tmp   /dev/vda1[/tmp-inst/<user>] xfs	rw,relatime,seclabel,attr2,inode64,logbufs=8,logbsize=32k,noquota

    SOURCE 出力は環境によって異なります。* 仮想システムでは、/dev/vda_<number>_ が表示されます。* ベアメタルシステムでは、/dev/sda_<number>_ または /dev/nvme* が表示されます。

関連情報

  • /usr/share/doc/pam-docs/txts/README.pam_namespace readme ファイルは pam-docs パッケージとともにインストールされます。
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