8.4. Debezium SQL Server コネクターのデプロイ


Debezium SQL Server コネクターをデプロイするには、コネクターファイルを Kafka Connect に追加し、コネクターを実行するカスタムコンテナーを作成して、続いてコネクター設定をコンテナーに追加します。Debezium SQL Server コネクターのデプロイに関する詳細は、以下を参照してください。

8.4.1. Debezium SQL Server コネクターのデプロイ

Debezium SQL Server コネクターをデプロイするには、Debezium コネクターアーカイブが含まれるカスタム Kafka Connect コンテナーイメージをビルドし、続いてこのコンテナーイメージをコンテナーレジストリーにプッシュする必要があります。その後、以下のカスタムリソース (CR) を作成する必要があります。

  • Kafka Connect インスタンスを定義する KafkaConnect CR。CR の image プロパティーは、Debezium コネクターを実行するために作成するコンテナーイメージの名前を指定します。この CR を、Red Hat AMQ Streams がデプロイされている OpenShift インスタンスに適用します。AMQ Streams は、Apache Kafka を OpenShift に取り入れる Operator およびイメージを提供します。
  • Debezium SQL Server コネクターを定義する KafkaConnector CR。この CR を KafkaConnect CR を適用するのと同じ OpenShift インスタンスに適用します。

前提条件

  • SQL Server が稼働し、Debezium コネクターと連携するように SQL Server を設定する手順 が完了済みである必要があります。
  • AMQ Streams が OpenShift にデプロイされ、Apache Kafka および Kafka Connect を実行している。詳細は、『Deploying and Upgrading AMQ Streams on OpenShift』を参照してください。
  • Podman または Docker がインストールされている。
  • Debezium コネクターを実行するコンテナーを追加する予定のコンテナーレジストリー( quay.io または docker.ioなど)でコンテナーを作成および管理するアカウントおよびパーミッションがある。

手順

  1. Kafka Connect の Debezium SQL Server コンテナーを作成します。

    1. Debezium SQL Server コネクターアーカイブ をダウンロードします。
    2. Debezium SQL Server コネクターアーカイブを展開して、コネクタープラグインのディレクトリー構造を作成します。以下に例を示します。

      ./my-plugins/
      ├── debezium-connector-sqlserver
      │   ├── ...
    3. registry.redhat.io/amq7/amq-streams-kafka-28-rhel8:1.8.0 をベースイメージとして使用する Docker ファイルを作成します。たとえば、ターミナルウィンドウに以下のコマンドを入力します。my -plugins はプラグインディレクトリーの名前に置き換えます。

      cat <<EOF >debezium-container-for-sqlserver.yaml 1
      FROM registry.redhat.io/amq7/amq-streams-kafka-28-rhel8:1.8.0
      USER root:root
      COPY ./<my-plugins>/ /opt/kafka/plugins/ 2
      USER 1001
      EOF
      1
      任意のファイル名を指定できます。
      2
      my-plugins は、プラグインディレクトリーの名前に置き換えます。

      このコマンドは、現在のディレクトリーに debezium-container-for-sqlserver.yaml という名前の Docker ファイルを作成します。

    4. 前の手順で作成した debezium-container-for-sqlserver.yaml Docker ファイルからコンテナーイメージをビルドします。ファイルを含むディレクトリーから、ターミナルウィンドウを開き、以下のコマンドのいずれかを入力します。

      podman build -t debezium-container-for-sqlserver:latest .
      docker build -t debezium-container-for-sqlserver:latest .

      上記のコマンドは、debezium-container-for-sqlserver という名前のコンテナーイメージを構築します。

    5. カスタムイメージを quay.io などのコンテナーレジストリーまたは内部のコンテナーレジストリーにプッシュします。コンテナーレジストリーは、イメージをデプロイする OpenShift インスタンスで利用できる必要があります。以下のいずれかのコマンドを実行します。

      podman push <myregistry.io>/debezium-container-for-sqlserver:latest
      docker push <myregistry.io>/debezium-container-for-sqlserver:latest
    6. 新しい Debezium SQL Server KafkaConnect カスタムリソース (CR) を作成します。たとえば、以下の例のように アノテーション およびイメージ プロパティーを指定する dbz-connect.yaml という名前の KafkaConnect CR を作成します。

      apiVersion: kafka.strimzi.io/v1beta2
      kind: KafkaConnect
      metadata:
        name: my-connect-cluster
        annotations:
          strimzi.io/use-connector-resources: "true" 1
      spec:
        #...
        image: debezium-container-for-sqlserver  2
      1
      metadata.annotations は、KafkaConnectors リソースがこの Kafka Connect クラスターでコネクターを設定するために使用されることを Cluster Operator に示します。
      2
      spec.image は、Debezium コネクターを実行するために作成したイメージの名前を指定します。このプロパティーは、Cluster Operator の STRIMZI_DEFAULT_KAFKA_CONNECT_IMAGE 変数を上書きします。
    7. 以下のコマンドを入力して、KafkaConnect CR を OpenShift Kafka Connect 環境に適用します。

      oc create -f dbz-connect.yaml

      このコマンドは、Debezium コネクターを実行するために作成したイメージの名前を指定する Kafka Connect インスタンスを追加します。

  2. Debezium SQL Server コネクターインスタンスを設定する KafkaConnector カスタムリソースを作成します。

    コネクターの設定プロパティーを指定する a .yaml ファイルで Debezium SQL Server コネクターを設定します。コネクター設定は、Debezium に対して、スキーマおよびテーブルのサブセットにイベントを生成するよう指示する可能性があり、または機密性の高い、大きすぎる、または不必要な指定のコラムで Debezium が値を無視、マスク、または切り捨てするようにプロパティーを設定する可能性もあります。

    以下の例では、port 1433 で SQL サーバーホスト 192.168.99.100 に接続する Debezium コネクターを設定します。このホストには testDB という名前のデータベースがあり、顧客 の名前が含まれるテーブルはサーバーの論理名 です

    SQL Server fulfillment-connector.yaml

    apiVersion: kafka.strimzi.io/v1beta2
    kind: KafkaConnector
    metadata:
      name: fulfillment-connector 1
      labels:
        strimzi.io/cluster: my-connect-cluster
      annotations:
        strimzi.io/use-connector-resources: 'true'
    spec:
      class: io.debezium.connector.sqlserver.SqlServerConnector 2
      config:
        database.hostname: 192.168.99.100 3
        database.port: 1433 4
        database.user: debezium 5
        database.password: dbz 6
        database.dbname: testDB 7
        database.server.name: fullfullment 8
        database.include.list: dbo.customers 9
        database.history.kafka.bootstrap.servers: my-cluster-kafka-bootstrap:9092 10
        database.history.kafka.topic: dbhistory.fullfillment 11

    表8.11 コネクター設定の説明
    項目説明

    1

    Kafka Connect サービスに登録する場合のコネクターの名前。

    2

    この SQL Server コネクタークラスの名前。

    3

    SQL Server インスタンスのアドレス。

    4

    SQL Server インスタンスのポート番号。

    5

    SQL Server ユーザーの名前。

    6

    SQL Server ユーザーのパスワード。

    7

    変更をキャプチャーするデータベースの名前。

    8

    namespace を形成する SQL Server インスタンス/クラスターの論理名で、コネクターが書き込む Kafka トピックの名前、Kafka Connect スキーマ名、および Arvo コンバーターが使用される場合に対応する Avro スキーマの namespace のすべてに使用されます。

    9

    Debezium が変更をキャプチャーする必要があるすべてのテーブルのリスト。

    10

    DDL ステートメントをデータベース履歴トピックに書き込み、復元するためにコネクターによって使用される Kafka ブローカーのリスト。

    11

    コネクターが DDL ステートメントを書き、復元するデータベース履歴トピックの名前。このトピックは内部使用のみを目的としており、コンシューマーが使用しないようにしてください。

  3. Kafka Connect でコネクターインスタンスを作成します。たとえば、KafkaConnector リソースを fulfill ment-connector.yaml ファイルに保存した場合、以下のコマンドを実行します。

    oc apply -f fulfillment-connector.yaml

    上記のコマンドは fulfill ment-connector を登録し、コネクターは KafkaConnector CR に定義されている testDB データベースに対して実行を開始します。

  4. コネクターが作成され、起動されたことを確認します。

    1. Kafka Connect ログ出力を表示して、コネクターが作成され、指定データベースの変更のキャプチャーが開始されたことを確認します。

      oc logs $(oc get pods -o name -l strimzi.io/cluster=my-connect-cluster)
    2. ログの出力を確認し、Debezium が初回のスナップショットを実行することを確認します。ログには、以下のメッセージと同様の出力が表示されます。

      ... INFO Starting snapshot for ...
      ... INFO Snapshot is using user 'debezium' ...

      コネクターがエラーがなく正常に起動すると、コネクターが変更をキャプチャーする各テーブルのトピックが作成されます。CR のサンプルでは、include.list プロパティーに指定されたテーブルのトピックがあります。ダウンストリームアプリケーションは、これらのトピックをサブスクライブできます。

    3. 以下のコマンドを実行して、コネクターによってトピックが作成されたことを検証します。

      oc get kafkatopics

Debezium SQL Server コネクターに設定できる設定プロパティーの完全リストは SQL Server コネクタープロパティー を参照してください。

結果

コネクターが起動すると、コネクターが設定された SQL Server データベースの 整合性スナップショットが実行 されます。その後、コネクターは行レベルの操作のデータ変更イベントの生成を開始し、変更イベントレコードを Kafka トピックにストリーミングします。

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