第2章 インストールシステム
本項では、director を使用してオーバークラウドに OpenStack Data Processing をデプロイしていることを前提としています。また、director のインストールユーザーの作成と同様に、stack という名前の director のインストールユーザー を 作成していることを前提とします(『director のインストール と使用方法』)。
director は、デプロイメント中に 環境ファイル を使用してオーバークラウドを設定します。これらの環境ファイルは、/usr/share/openstack-tripleo-heat-templates/
とともに、各サービスのオーケストレーションに使用する Puppet スクリプトおよび heat テンプレートに保存されます。
デフォルトでは、OpenStack Data Processing サービスはオーバークラウドで無効になっています。これは、OpenStack Data Processing コンポーネントがメインのオーバークラウド環境ファイル(/usr/share/openstack-tripleo-heat-templates/overcloud-resource-registry-puppet.yaml
)で null 操作(OS::Heat::None
)として登録されているためです。
OS::TripleO::Services::SaharaApi: OS::Heat::None OS::TripleO::Services::SaharaEngine: OS::Heat::None
これらのサービスを有効にするには、/usr/share/openstack-tripleo-heat-templates/deployment/sahara
ディレクトリーの適切な Heat テンプレートにこれらのリソースをリンクする環境ファイルを追加します。一部のサービスには、environments
ディレクトリー内に事前定義済みの環境ファイルがあります。たとえば、Data Processing サービス(sahara
)は、以下の内容を含む /usr/share/openstack-tripleo-heat-templates/environments/services/sahara.yaml
ファイルを使用します。
resource_registry: OS::TripleO::Services::SaharaApi: ../../deployment/sahara/sahara-api-container-puppet.yaml OS::TripleO::Services::SaharaEngine: ../../deployment/sahara/sahara-engine-container-puppet.yaml
これにより、デフォルトの null 操作リソースが上書きされ、サービスが有効になります。openstack overcloud deploy
コマンドの実行時に、この環境ファイルを指定します。
$ openstack overcloud deploy --templates -e \ /usr/share/openstack-tripleo-heat-templates/environments/services/sahara.yaml
インスタンスの局所性 を有効にして、クラスターで同じノードにローカルのボリュームを強制的に使用することも可能です。これを実行すると、クラスターのパフォーマンスを向上する可能性があります。関連する infrormation については、付録A インスタンスの局所性の有効化 を参照してください。
オーバークラウドの作成時に追加の環境ファイルを渡した場合には、予定外の変更がオーバークラウドに加えられないように、ここで -e
オプションを使用して環境ファイルを再度渡します。詳しい情報は、『 director のインストールと 使用方法』の「オーバークラウド環境 の変更」を参照してください。