第2章 プロビジョニングコンテキストの設定
この章では、新規ホストのプロビジョニングを開始する前に Satellite Server に必要な基本的な要素のいくつかを定義します。これには、プロビジョニングコンテキストを使用して配置の方法を定義することが含まれます。
2.1. プロビジョニングコンテキストの定義
プロビジョニングコンテキストは、ホストとその関連付けられたリソースに使用する組織およびロケーションを定義します。組織およびロケーションの組み合わせにより、システムの所有者とシステムが置かれる場所が定義されます。
組織は、所有者、目的、コンテンツ、セキュリティーレベルその他の区分に基づいて Red Hat Satellite 6 リソースを論理グループに分類します。Red Hat Satellite 6 では、複数の組織を作成および管理し、リソースをそれぞれの組織に割り当てることができます。これにより、Satellite Server において特定の組織内でホストをプロビジョニングし、その組織に関連付けられたリソースのみを使用できるようになります。組織についての詳細は、Red Hat Satellite 6 コンテンツ管理ガイド を参照してください。
ロケーションは、各種リソースを分類し、ホストを割り当てる方法を提供する点で組織に似ています。ただし、物理的または地理的な設定をベースとしている点で組織とは異なっています。さらに、ユーザーはロケーションを階層的にネストできます。例として、以下のロケーションマップを参照してください。
United States
New York
- Datacenter 1
- Datacenter 2
- Datacenter 3
San Francisco
- Datacenter 4
- Datacenter 5
- Datacenter 6
Japan
Tokyo
- Datacenter 7
- Datacenter 8
- Datacenter 9
上記の例では、3 都市にある 9 つのデータセンターが使用されています。Satellite Server は各種リソースを管理し、各データセンターでホストをプロビジョニングします。
このシナリオでは、単純なプロビジョニングコンテキストを使用しています。Red Hat Satellite 6 コンテンツ管理ガイド には、本書のシナリオで使用する ACME の組織を作成する方法が説明されています。またロケーションの作成方法についても説明されています。
2.2. 組織の作成
以下の手順は、組織の作成方法を示しています。この手順については、Red Hat Satellite 6 コンテンツ管理ガイド にも記載されており、同ガイドの組織の作成シナリオに従う場合は以下の手順に従う必要はありません。組織に変更を加える必要があり、その際には組織のプロパティーを編集する必要があることに注意してください。
Web UI を使用する場合
管理 > 組織 に移動します。Satellite Server が現在管理している組織の一覧が表示されます。
新規組織 をクリックします。
以下の 3 つのセクションから構成される作成ウィザードが表示されます。
- 組織の作成
組織の基本的な詳細情報を指定します。これには以下が含まれます。
-
名前: 組織のテキスト形式の名前。例:
ACME
-
ラベル: 組織の一意の ID。これは、コンテンツ保管用のディレクトリーなどの特定のアセットを作成およびマップする場合に使用されます。文字、数字、アンダースコアおよびダッシュを使用し、スペースは使用しないでください。例:
ACME
-
説明: 組織のテキスト形式の説明 (オプション)。例:
Our example organization
-
名前: 組織のテキスト形式の名前。例:
- ホストの選択
すべてのホストには組織が設定される必要があります。ただし、場合によってはホストが孤立することがあります。以下はその例になります。
- 古い組織を削除するとそのホストが孤立する可能性がある。
- ホストがプロビジョニングされていないが Puppet でインポートされている。
-
ホストがプロビジョニングされていないが
subscription-manager
で登録されている。
上記の場合には、必要な場合に孤立したホストを新たに作成した組織に割り当てることができます。すべてを割り当て を選択してすべての孤立したホストを割り当てるか、または 手動割り当て を選択して割り当てる孤立したホストを選択します。ACME のシナリオでは孤立したホストは存在しないことになっているため、編集に進む をクリックして プロパティーの編集 セクションに移動します。
- プロパティーの編集
- このセクションでは、組織に特定のインフラストラクチャーリソースを割り当てます。これには、ネットワークリソース、インストールメディア、キックスタートテンプレートその他のパラメーターが含まれます。管理 > 組織 に移動し、編集する組織を選択すると、この画面にいつでも戻ることができます。
ACME 組織には、シナリオ用に以下のリソースが割り当てられているはずです。
- Capsule (スマートプロキシー): Satellite Server と同じホスト名を使用する Satellite Server の統合 Capsule。
- メディア: Red Hat Satellite 6 コンテンツ管理ガイド のコンテンツと同期した Red Hat Enterprise Linux 7.2 キックスタートツリー。
- プロビジョニングテンプレート: 選択されたすべてのテンプレート。
- パーティションテーブル: 選択されたすべてのテーブル。
- ドメイン: この組織が使用し、管理するドメイン。
-
環境:
production (本番)
および Red Hat Satellite 6 コンテンツ管理ガイド で作成された環境を含むすべての Puppet 環境。
上記のリソースについて、「プロパティーの編集」セクションでそれぞれのリソースタイプを確認します。
組織の作成後に、送信 をクリックします。
CLI を使用する場合
# hammer organization create --name "ACME" --label "ACME" --description "Our example organization"
これにより、組織のサンプルが作成されます。
2.3. ロケーションの作成
以下の手順では、ロケーションの作成方法を示します。ロケーションの作成は、新規ホストとそれらのリソースのプロビジョニングコンテキストの定義に役立ちます。
Web UI を使用する場合
管理 > ロケーション に移動します。これにより、Satellite Server が現在管理しているロケーションの一覧が表示されます。
新規ロケーション をクリックします。
以下の 3 つのセクションから構成される作成ウィザードが表示されます。
- 組織の作成
ロケーションの基本的な詳細情報を指定します。これには、以下が含まれます。
- 親: このロケーションの親ロケーションを定義します。これにより、ロケーションの階層が作成されます。Satellite の場合はロケーションがないため、これを空白のままにして上位のロケーションを作成します。
-
名前: ロケーションのテキスト形式の名前。例:
New York
-
説明: 組織のテキスト形式の説明 (オプション)。例:
Our example location
- ホストの選択
すべてのホストにはロケーションが設定される必要があります。ただし、場合によってはホストが孤立することがあります。以下はその例になります。
- 古いロケーションを削除するとそのホストが孤立する場合がある。
- ホストがプロビジョニングされていないが Puppet でインポートされている。
-
ホストがプロビジョニングされていないが
subscription-manager
で登録されている。
上記の場合には、必要な場合に孤立したホストを新たに作成したロケーションに割り当てることができます。すべてを割り当て を選択してすべての孤立したホストを割り当てるか、または 手動割り当て を選択して割り当てる孤立したホストを選択します。ACME のシナリオでは孤立したホストは存在しないことになっているため、編集に進む をクリックして プロパティーの編集 セクションに移動します。
- プロパティーの編集
- このセクションでは、ロケーションに特定のインフラストラクチャーリソースを割り当てることができます。これには、ネットワークリソース、インストールメディア、キックスタートテンプレートその他のパラメーターが含まれます。管理 > ロケーション に移動し、編集するロケーションを選択すると、この画面にいつでも戻ることができます。
New York のロケーションには、このシナリオ用に以下のリソースが割り当てられているはずです。
- Capsule (スマートプロキシー): Satellite Server と同じホスト名を使用する Satellite Server の統合 Capsule。
- メディア: Red Hat Satellite 6 コンテンツ管理ガイド のコンテンツと同期した Red Hat Enterprise Linux 7.2 キックスタートツリー。
- プロビジョニングテンプレート: 選択されたすべてのテンプレート。
- パーティションテーブル: 選択されたすべてのテーブル。
- ドメイン: このロケーションが使用し、管理するドメイン。
-
環境:
production (本番)
および Red Hat Satellite 6 コンテンツ管理ガイド で作成された環境を含むすべての Puppet 環境。 - 組織: ACME の組織。
上記のリソースについて、「プロパティーの編集」セクションでそれぞれのリソースタイプを確認します。
ロケーションの作成後に、送信 をクリックします。
CLI を使用する場合
# hammer location create --name "New York" --description "Our example location"
これにより、ロケーションのサンプルが作成されます。
2.4. コンテキストの設定
Red Hat Satellite 6 でプロビジョニングを実行する前にコンテキストを設定する必要があります。コンテキストは新規システムのプロビジョニングに使用する組織およびロケーションを定義します。さらに、新規のインフラストラクチャーリソースがこのコンテキストに追加されます。
Web UI を使用する場合
コンテキスト メニューは、画面の左上隅にあります。コンテキストを選択しない場合、メニューには「すべてのコンテキスト」と示されます。このメニューにカーソルを置き、組織 セレクターで ACME を選択します。これにより、コンテキストは ACME 組織に変更されます。次に、コンテキストメニューにカーソルを置き、ロケーション セレクターで New York を選択します。これにより、コンテキストはサンプルのロケーションに変更されます。
各ユーザーはアカウント設定でデフォルトのコンテキストを設定できます。Web UI の右上のユーザー名に移動し、マイアカウント を選択してユーザーアカウントの設定を編集します。
CLI を使用する場合
CLI を使用している場合は、コマンドの末尾にオプションとして --organization
または --organization-id
および --location
または --location-id
のいずれかを含めます。以下は例になります。
# hammer host list --organization "ACME" --location "New York"
これにより、CLI を使って対話のコンテキストが設定されます。
2.5. 章の概要
本章では、新しい組織とロケーションを作成し、それらをプロビジョニングのコンテキストとして設定する方法について説明しました。
次章では、Red Hat Satellite 6 プロビジョニングインフラストラクチャーを構成するリソースのいくつかについて説明します。