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4.4. 競合ユーザースペースのロックの特定

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このセクションでは、特定期間におけるシステムを通した競合ユーザースペースのロックを特定する方法を説明します。競合ユーザースペースのロックの特定は、futex 競合が原因と疑われるハングの調査に役立ちます。
簡単に説明すると、複数のプロセスがメモリーの同じ領域にアクセスしようとすると、futex 競合が発生します。場合によっては、これは競合しているプロセス間のデッドロックになり、アプリケーションがハングしているように見えます。
これを特定するために、futexes.stp では futex システムコールをプローブします。
futexes.stp

#! /usr/bin/env stap

# This script tries to identify contended user-space locks by hooking
# into the futex system call.

global thread_thislock # short
global thread_blocktime # 
global FUTEX_WAIT = 0 /*, FUTEX_WAKE = 1 */

global lock_waits # long-lived stats on (tid,lock) blockage elapsed time
global process_names # long-lived pid-to-execname mapping

probe syscall.futex {  
  if (op != FUTEX_WAIT) next # don't care about WAKE event originator
  t = tid ()
  process_names[pid()] = execname()
  thread_thislock[t] = $uaddr
  thread_blocktime[t] = gettimeofday_us()
}

probe syscall.futex.return {  
  t = tid()
  ts = thread_blocktime[t]
  if (ts) {
    elapsed = gettimeofday_us() - ts
    lock_waits[pid(), thread_thislock[t]] <<< elapsed
    delete thread_blocktime[t]
    delete thread_thislock[t]
  }
}

probe end {
  foreach ([pid+, lock] in lock_waits) 
    printf ("%s[%d] lock %p contended %d times, %d avg us\n",
            process_names[pid], pid, lock, @count(lock_waits[pid,lock]),
            @avg(lock_waits[pid,lock]))
}

futexes.stp は手動で停止する必要があります。終了時には以下の情報が表示されます。
  • 競合の原因となったプロセスの名前と ID
  • 競合対象となったメモリー領域
  • メモリー領域が競合された回数
  • プローブ中の競合の平均時間
例4.17「futexes.stp のサンプル出力」futexes.stp を終了した際 (約 20 秒後) の出力の抜粋です。

例4.17 futexes.stp のサンプル出力

[...]	
automount[2825] lock 0x00bc7784 contended 18 times, 999931 avg us
synergyc[3686] lock 0x0861e96c contended 192 times, 101991 avg us
synergyc[3758] lock 0x08d98744 contended 192 times, 101990 avg us
synergyc[3938] lock 0x0982a8b4 contended 192 times, 101997 avg us
[...]
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