第2章 Red Hat Enterprise Linux 8 を実行している Red Hat Ceph Storage クラスターを RHCS 4 から RHCS 5 にアップグレードする
ストレージ管理者は、Red Hat Enterprise Linux 8 を実行している Red Hat Ceph Storage クラスターを Red Hat Ceph Storage 4 から Red Hat Ceph Storage 5 にアップグレードできます。アップグレードプロセスには、以下のタスクが含まれます。
- Ansible Playbook を使用して Red Hat Ceph Storage 4 ストレージクラスターを Red Hat Ceph Storage 5 にアップグレードします。
Ceph-ansible
は現在 Red Hat Ceph Storage 5 ではサポートされません。つまり、ストレージクラスターを Red Hat Ceph Storage 5 に移行したら、cephadm
および cephadm-ansible
を使用して後続の更新を実行する必要があります。
Red Hat Ceph Storage 4 から Red Hat Ceph Storage 5 にアップグレードする場合には、bluestore_fsck_quick_fix_on_mount
パラメーターを true
に設定したり、ceph-bluestore-tool --path PATH_TO_OSD --command quick-fix|repair
コマンドを実行したりしないでください。OMAP キーが不適切にフォーマットされデータ破損が発生する可能性があるためです。
Ceph Object Gateway ストレージクラスター (シングルサイトまたはマルチサイト) 上の Red Hat Ceph Storage 5.0 から Red Hat Ceph Storage 5.2 へのアップグレードはサポートされていますが、ストレージクラスターをアップグレードする前に、ceph config set mgr mgr/cephadm/no_five_one_rgw true --force
オプションを設定する必要があります。
Ceph Object Gateway ストレージクラスター (シングルサイトまたはマルチサイト) 上の Red Hat Ceph Storage 5.1 から Red Hat Ceph Storage 5.2 へのアップグレードは、既知の問題によりサポートされていません。詳細は、ナレッジベースの記事 Support Restrictions for upgrades for RADOS Gateway (RGW) on Red Hat Red Hat Ceph Storage 5.2 を参照してください。
Red Hat Ceph Storage 5.0z4 へのアップグレードを計画している場合は、ナレッジベースの記事 How to upgrade from Red Hat Ceph Storage 4.2z4 to 5.0z4 に従ってアップグレード手順を実行してください。
Red Hat Ceph Storage では、オプション bluefs_buffered_io
はデフォルトで True
に設定されます。このオプションは、場合によって BlueFS でバッファー読み取りができるようにし、カーネルページキャッシュが RocksDB ブロック読み取りのような読み取りの二次キャッシュとして機能できるようにします。たとえば、 OMAP の反復時にすべてのブロックを保持ほど、RocksDB のブロックキャッシュが十分にない場合には、ディスクの代わりにページキャッシュから読み出すことが可能な場合があります。これにより、osd_memory_target が小さすぎてブロックキャッシュのすべてのエントリーを保持できない場合に、パフォーマンスが劇的に向上します。現在、bluefs_buffered_io
を有効にし、システムレベルの swap を無効にすると、パフォーマンスの低下を防ぐことができます。
bluefs_buffered_io
の現在の設定の表示の詳細については、Red Hat Ceph Storage Administration Guide の Viewing the bluefs_buffered_io
setting セクションを参照してください。
Red Hat Ceph Storage 5 は、コンテナー化されたデーモンのみをサポートします。コンテナーされていないストレージクラスターはサポートされません。コンテナー化されていないストレージクラスターを Red Hat Ceph Storage 4 から Red Hat Ceph Storage 5 にアップグレードする場合、アップグレードプロセスには、コンテナー化されたデプロイメントへの変換が含まれます。
2.1. 前提条件
- Red Hat Ceph Storage 4 クラスターが、Red Hat Enterprise Linux 8.4 以降を実行している。
- 有効なカスタマーサブスクリプション。
- Ansible 管理ノードへの root レベルのアクセス。
- ストレージクラスター内のすべてのノードへの root レベルのアクセス。
- Ansible アプリケーションで使用する Ansible ユーザーアカウント。
- Red Hat Ceph Storage ツールおよび Ansible リポジトリーが有効になっている。
Red Hat Ceph Storage クラスターノードおよび Red Hat Enterprise Linux オペレーティングシステム上の Ceph File System (CephFS) Metadata Server (MDS) ソフトウェアを、同時に新しいメジャーリリースに手動でアップグレードできます。基盤となる XFS ファイルシステムが ftype=1
でフォーマットされているか、d_type
をサポートしている。xfs_info /var
コマンドを実行し、ftype
が 1
になっていることを確認します。ftype
の値が 1
でない場合は、新しいディスクをアタッチするか、ボリュームを作成します。この新しいデバイスの上に、新しい XFS ファイルシステムを作成し、/var/lib/containers
にマウントします。
Red Hat Enterprise Linux 8 以降、mkfs.xfs
はデフォルトで ftype=1
を有効にします。