第2章 カーネル
2.1. カーネルプラットフォームの強化
Red Hat Enterprise Linux 5.8 では、Power Management Quality Of Service (pm_qos
) インフラストラクチャーのサポートが追加されました。pm_qos
インターフェースは、現在サポートされている pm_qos
パラメーター (cpu_dma_latency
、 network_latency
、network_throughput
) のいずれか 1 つにドライバー、サブシステム、ユーザースペースアプリケーションのパフォーマンス期待値を登録するためのカーネルおよびユーザーモードのインターフェースを提供します。詳しくは、/usr/share/doc/kernel-doc-<VERSION>/Documentation/power/pm_qos_interface.txt
を参照してください。
Red Hat Enterprise Linux 5.8 は、ID-based Ordering (ID ベースの順序付け)、OBFF (Optimized Buffer Flush/Fill) の有効化/無効化のサポート、Latency Tolerance Reporting の有効化/無効化のサポートを追加することにより、PCIe 3.0 の全機能のサポートを提供します。
Intel の次期 Platform Controller Hub での ALSA HD Audio サポートが追加されました。
デバイス ID が追加され、Intel の次期 Platform Controller Hub で SATA、SMBus、USB、Audio、Watchdog、I2C のドライバーを完全にサポートするようになりました。
StarTech 1 Port PCI Express Parallel Port デバイスのサポートが追加されました。
configure-pe
RTAS コール
PowerPC プラットフォーム上での configure-pe
RTAS (RunTime Abstraction Services) コールのサポートが追加されました。
JSM ドライバーが更新され、IBM POWER7 システムで Bell2 (PLX チップ搭載) 2 ポートアダプターをサポートするようになりました。また、JSM ドライバーに EEH サポートが追加されました。
2.2. カーネルの一般機能
Red Hat Enterprise Linux 5.8 では、/proc/sysvipc/shm
ファイル (使用中の共有メモリー一覧を提供するファイル) に RSS (Resident Set Size—メモリーに常駐するプロセスの量) と swap サイズの情報が追加されました。
全コアイベント (Precise Event-Based Sampling を除く) をサポートすることにより、Intel の Sandy Bridge プラットフォーム上で OProfile プロファイラーをサポートするようになりました。
Red Hat Enterprise Linux 5.8 では、Wacom Bamboo MTE-450A タブレットのサポートが追加されました。
Red Hat Enterprise Linux 5.8 では、X-keys Jog and Shuttle Pro デバイスのサポートが追加されました。
カーネル内のボンディングモジュールは、任意のネットワークインターエースコントローラーの現在のリンク速度をレポートするようになりました。以前、ボンディングモジュールは 10/100/1000/10000 の速度のみをレポートしていました。この変更により、9 Gbs などの非標準の速度を使用するブレードエンクロージャー環境のリンク速度が正確にレポートされるようになりました。
CONFIG_SERIAL_8250_NR_UARTS
パラメーターは、カーネルがサポートするシリアルインターフェースの最大数を定義します。Red Hat Enterprise Linux 5.8 では、32 以上 (最大 64) のコンソール接続に対応したシステムの CONFIG_SERIAL_8250_NR_UARTS
パラメーターの値が 64
に増えました。
/etc/kdump.conf
の blacklist
オプション
Kdump の設定で blacklist
オプションを使用できるようになりました。このオプションは、モジュールが initramfs
にロードされるのを防ぎます。詳しくは、kdump.conf(5) の man ページを参照してください。
initrd
における fnic
および iscsi
のサポート
Kdump の初期 RAM ディスク (initrd
) に fnic
および iscsi
のドライバーのサポートが追加されました。
Red Hat Enterprise Linux 5.8 では、Xen HVM ゲスト上の Kdump がテクノロジープレビューとして有効化されました。サポートされている実装は、Intel CPU 搭載の Intel 64 Hypervisor を使用したエミュレート (IDE) ディスクに対するローカルダンプ実行のみです。ダンプのターゲットは、/etc/kdump.conf
ファイル内で指定する必要がある点に注意してください。