第19章 仮想化
Amazon Web Services の ENA ドライバー
今回の更新で、Red Hat Enterprise Linux 7 カーネルに、Amazon Elastic Network Adapter (ENA) ドライバーのサポートが追加されました。ENA は、Amazon Web Services クラウドの特定のインスタンスタイプに対して、Red Hat Enterprise Linux 7 ゲスト仮想マシンのネットワーク効率を大幅に改善します。
ENA の詳細は、https://aws.amazon.com/blogs/aws/elastic-network-adapter-high-performance-network-interface-for-amazon-ec2 を参照してください。(BZ#1357491, BZ#1410047)
Synthetic Hyper-V FC アダプターは storvsc
ドライバーによりサポートされています。
今回の更新で、
storvsc
ドライバーが Hyper-V 仮想化でファイバーチャネル(FC)デバイスを処理する方法が改善されました。特に、新しい合成ファイバーチャネル(FC)アダプターが Hyper-V ハイパーバイザーに設定されている場合、/sys/class/fc_host/
ディレクトリーおよび /sys/class/scsi_host/
ディレクトリーに新しい hostX
( host1
など)ファイルが作成されます。このファイルには、Hyper-V FC アダプターのワールドワイドポート番号(WWPN)およびワールドワイドノード番号(WWNN)によって決定される port_name
エントリーおよび host_name
エントリーが含まれます。(BZ#1308632, BZ#1425469)
親 HBA は WWNN/WWPN ペアでの定義が可能
今回のリリースにより、親ホストバスアダプター(HBA)は、
scsi_host#
に加えて World Wide Node Name (WWNN)および World Wide Port Name (WWPN)で識別できるようになりました。scsi_host#
で定義されている場合、ハードウェアがホストマシンに追加されると、ホストマシンの再起動後に scsi_host#
が変更される可能性があります。WWNN/WWPN ペアを使用すると、ホストマシンのハードウェア変更に関係なく、割り当てが変更されません。(BZ#1349696)
libvirt がバージョン 3.2.0 にリベース
libvirt パッケージがアップストリームバージョン 3.2.0 にアップグレードされ、以前のバージョンに比べて多くのバグ修正と機能拡張が提供されています。注目すべき変更は、以下のとおりです。
- 今回の更新で、特定の
libvirt
ストレージサブドライバーのインストールおよびアンインストールが可能になり、インストールのフットプリントが削減されます。 /etc/nsswitch.conf
ファイルを設定して、KVM ゲストの名前をネットワークアドレスに自動的に解決するように Name Services Switch (NSS)に指示できるようになりました。(BZ#1382640)
KVM が MCE をサポート
今回の更新で、KVM カーネルモジュールに、Machine Check Exception (MCE) のサポートが追加されました。これにより、KVM ゲスト仮想マシンの Intel Xeon v5 プロセッサーの Local MCE (LMCE) 機能を使用できるようになりました。LMCE は、すべてのスレッドにブロードキャストするのではなく、単一のプロセッサースレッドに MCE を配信できるため、マシンチェックが必要以上の vCPU のパフォーマンスに影響を与えないようにすることが可能です。その結果、プロセッサースレッドが多数あるマシンで MCE を処理する際に、ソフトウェアの負荷が軽減されます。(BZ#1402102, BZ#1402116)
tun/tap デバイスでの rx バッチのサポートを追加
今回のリリースで、tun/tap デバイス用の rx バッチがサポートされるようになりました。これにより、バンドルされたネットワークフレームを受信できるため、パフォーマンスを向上できます。(BZ#1414627)
libguestfs がバージョン 1.36.3 にリベース
libguestfs パッケージがアップストリームバージョン 1.36.3 にアップグレードされ、以前のバージョンに比べて多くのバグ修正と機能拡張が提供されています。以下は、主な変更点です。
- 今回の更新で、tail -f コマンドと同様に、ゲスト内の(tail)ログファイルを追跡するために使用できる
virt-tail
ユーティリティーが追加されました。詳細は、virt-tail(1) の man ページを参照してください。 virt-v2v
ユーティリティーは、より多くのオペレーティングシステムおよびより多くの入力ソースをサポートします。さらに、Windows ゲストの変換が大幅に書き直され、簡素化されました。virt-customize
ユーティリティー、virt-builder
ユーティリティー、およびvirt-systprep
ユーティリティーに複数のオプションが追加されました。(BZ#1359086)
QXL ドライバーの virt-v2v
インストールの改善
今回の更新で、Windows ゲスト仮想マシンでの QXL ドライバーインストールの
virt-v2v
実装が再機能し、QXL ドライバーがこれらのゲストに正しくインストールされるようになりました。(BZ#1233093, BZ#1255610, BZ#1357427, BZ#1374651)
virt-v2v
は、ディスクイメージを qcow2 形式 1.1 にエクスポートできる
今回の更新で、- o RHEV オプションの使用時に、
virt-v2v
ユーティリティーが qcow2 形式バージョン 1.1 と互換性のあるディスクイメージをエクスポートするようになり ました。さらに、virt-v2v
は、vdsm 出力モードに --vdsm-compat=COMPAT オプションを追加します。このオプションは、-o vdsm オプションでイメージをエクスポートする際に、virt-v2v
が使用する qcow2 形式のバージョンを指定します。(BZ#1400205)
追加の virt
ツールは、LUKS ディスク全体で暗号化されたゲストで機能できます。
今回の更新で、
virt-customize
、virt-get-kernel
、virt-sparsify
、および virt-sysprep
ツールを使用して、LUKS ディスク全体の暗号化ゲストでの作業がサポートされるようになりました。これにより、このツールで、LUKS ディスク全体で暗号化したゲストを開くための鍵やパスフレーズを提供できるようになりました。(BZ#1362649)
すべての libguestfs
コマンドのタブ補完
すべての
libguestfs
ツールに Bash 補完スクリプトが追加されました。これにより、すべての libguestfs
コマンドで、bash で Tab 補完を使用できるようになりました。(BZ#1367738)
サイズを変更したディスクは、リモートの場所に直接書き込むことができます。
今回の更新で、
virt-resize
ユーティリティーが出力をリモートの場所に書き込めるようになりました。これは、サイズを変更したディスクイメージを Ceph ストレージボリュームに直接書き込む場合などに役立ちます。virt-resize
出力ディスクは、URI を使用して指定できます。サポートされている入力プロトコルとフォーマットを使用して、出力を指定できます。(BZ#1404182)
ユーザー名前空間が完全にサポートされるようになりました。
以前はテクノロジープレビューとして利用可能だったユーザー名前空間機能が、完全にサポートされるようになりました。これにより、Linux コンテナーを実行しているサーバーで、ホストとコンテナーの分離が改善され、セキュリティーが強化されます。コンテナーの管理者がホストで管理操作を実行できなくなり、セキュリティーが向上します。(BZ#1138782)
Hyper-V のゲスト仮想マシンで PCI Express バスを介して接続するデバイス用にドライバーが追加されました
今回の更新で、PCI Express バス経由で接続するデバイスを、Hyper-V ハイパーバイザーで実行している Red Hat Enterprise Linux ゲスト仮想マシンに渡す際に、root PCI バスを公開する新しいドライバーが追加されました。この機能は現在、Microsoft Windows Server 2016 でサポートされています。(BZ#1302147)