A.2. dmsetup コマンド


dmsetup コマンドは、デバイスマッパーと通信するためのコマンドラインラッパーです。LVM デバイスに関する全般的なシステム情報については、以下のセクションで説明されているように、dmsetup コマンドの info オプション、ls オプション、status オプション、および deps オプションが役に立ちます。
dmsetup コマンドの追加オプションおよび機能の詳細は、dmsetup(8)の man ページを参照してください。

A.2.1. dmsetup info コマンド

dmsetup info device コマンドは、デバイスマッパーデバイスに関する概要情報を提供します。デバイス名を指定しないと、その出力は現在設定されているすべてのデバイスマッパーデバイスに関する情報となります。デバイスを 1 つ指定すると、このコマンドはそのデバイスのみについて情報を出力します。
dmsetup info コマンドは以下のカテゴリーで情報を提供します。
Name
デバイスの名前です。LVM デバイスは、ハイフンで区切られたボリュームグループ名と論理ボリューム名で表現されます。元の名前のハイフンは 2 つのハイフンに変換されます。標準的な LVM 操作時は、LVM デバイスを直接指定するために、この形式で LVM デバイスの名前を使用することはできず、代わりに代替名の vg/lv を使用する必要があります。
状態
考えられるデバイスの状態は、SUSPENDEDACTIVEREAD-ONLY です。dmsetup suspend コマンドは、デバイスの状態を SUSPENDED に設定します。デバイスが一時停止 (SUSPENDED) になっている場合、そのデバイスへのすべての I/O 操作は停止します。dmsetup resume コマンドは、デバイスの状態を ACTIVE に復元します。
Read Ahead
読み取り操作が実行されている間に開かれているファイルを対象にシステムが先読みをするデータブロックの数です。デフォルトでカーネルは適切な値を自動選択します。この値は、dmsetup コマンドの --readahead オプションを使用して変更できます。
Tables present
このカテゴリーの状態は LIVE および INACTIVE です。INACTIVE 状態は、テーブルが読み込まれていることを示します。これは、dmsetup resume コマンドがデバイスの状態を ACTIVE に復元したときにスワップされ、その時点で、テーブルの状態が LIVE になります。詳細は、dmsetup の man ページを参照してください。
Open count
open reference count はデバイスが開かれた回数を示します。mount コマンドはデバイスを開きます。
Event number
現在のイベントの受信数。dmsetup wait n コマンドを実行すると、n 番目のイベントを待機することができ、受信されるまで呼び出しがブロックされます。
Major, minor
メジャーとマイナーのデバイス番号
Number of targets
デバイスを設定するフラグメントの数です。たとえば、リニアデバイスが 3 つのディスクにまたがる場合は、ターゲットは 3 つになります。リニアデバイスがディスクの先頭と終点で設定され、中間を持たない場合は、ターゲットは 2 つになります。
UUID
デバイスの UUID
以下の例は、dmsetup info コマンドの出力の一部を示しています。
# dmsetup info
Name:              testgfsvg-testgfslv1
State:             ACTIVE
Read Ahead:        256
Tables present:    LIVE
Open count:        0
Event number:      0
Major, minor:      253, 2
Number of targets: 2
UUID: LVM-K528WUGQgPadNXYcFrrf9LnPlUMswgkCkpgPIgYzSvigM7SfeWCypddNSWtNzc2N
...
Name:              VolGroup00-LogVol00
State:             ACTIVE
Read Ahead:        256
Tables present:    LIVE
Open count:        1
Event number:      0
Major, minor:      253, 0
Number of targets: 1
UUID: LVM-tOcS1kqFV9drb0X1Vr8sxeYP0tqcrpdegyqj5lZxe45JMGlmvtqLmbLpBcenh2L3

A.2.2. dmsetup ls コマンド

マップされたデバイスのデバイス名は、dmsetup ls コマンドで一覧表示できます。dmsetup ls --target target_typeコマンドを使用すると、指定したタイプのターゲット が 1 つ以上あるデバイスを一覧表示できます。その他の dmsetup ls コマンドのオプションは、dmsetup man ページを参照してください。
以下の例は、現在設定されているマップ済みデバイスのデバイス名をリスト表示するコマンドを示します。
# dmsetup ls
testgfsvg-testgfslv3    (253:4)
testgfsvg-testgfslv2    (253:3)
testgfsvg-testgfslv1    (253:2)
VolGroup00-LogVol01     (253:1)
VolGroup00-LogVol00     (253:0)
以下の例は、現在設定されているミラーマッピングのデバイス名をリスト表示するコマンドを示します。
# dmsetup ls --target mirror
lock_stress-grant--02.1722      (253, 34)
lock_stress-grant--01.1720      (253, 18)
lock_stress-grant--03.1718      (253, 52)
lock_stress-grant--02.1716      (253, 40)
lock_stress-grant--03.1713      (253, 47)
lock_stress-grant--02.1709      (253, 23)
lock_stress-grant--01.1707      (253, 8)
lock_stress-grant--01.1724      (253, 14)
lock_stress-grant--03.1711      (253, 27)
マルチパスまたはその他のデバイスマッパーデバイス上にスタックされる LVM 設定は複雑でわかりにくい場合があります。dmsetup ls コマンドは、以下の例のように、デバイス間の依存関係をツリーとして表示する --tree オプションを提供します。
# dmsetup ls --tree
vgtest-lvmir (253:13)
 ├─vgtest-lvmir_mimage_1 (253:12)
 │  └─mpathep1 (253:8)
 │     └─mpathe (253:5)
 │        ├─ (8:112)
 │        └─ (8:64)
 ├─vgtest-lvmir_mimage_0 (253:11)
 │  └─mpathcp1 (253:3)
 │     └─mpathc (253:2)
 │        ├─ (8:32)
 │        └─ (8:16)
 └─vgtest-lvmir_mlog (253:4)
    └─mpathfp1 (253:10)
       └─mpathf (253:6)
          ├─ (8:128)
          └─ (8:80)

A.2.3. dmsetup status コマンド

dmsetup status device コマンドは、指定されたデバイス内の各ターゲットのステータス情報を提供します。デバイス名を指定しないと、その出力は現在設定されているすべてのデバイスマッパーデバイスに関する情報となります。dmsetup status --target target_typeコマンドを使用すると、指定したタイプのターゲットが少なくとも 1 つあるデバイスの状態 のみを一覧表示できます。
以下の例は、現在設定されているすべてのマップ済みデバイス内のターゲットの状態をリスト表示するコマンドを示しています。
# dmsetup status
testgfsvg-testgfslv3: 0 312352768 linear 
testgfsvg-testgfslv2: 0 312352768 linear 
testgfsvg-testgfslv1: 0 312352768 linear 
testgfsvg-testgfslv1: 312352768 50331648 linear 
VolGroup00-LogVol01: 0 4063232 linear 
VolGroup00-LogVol00: 0 151912448 linear

A.2.4. dmsetup deps コマンド

dmsetup deps device コマンドは、指定されたデバイスのマッピングテーブルによって参照されるデバイスの(メジャー、マイナー)ペアのリストを提供します。デバイス名を指定しないと、その出力は現在設定されているすべてのデバイスマッパーデバイスに関する情報となります。
以下の例は、現在設定されているマップ済みデバイスのすべての依存関係をリスト表示するコマンドを示しています。
# dmsetup deps
testgfsvg-testgfslv3: 1 dependencies    : (8, 16)
testgfsvg-testgfslv2: 1 dependencies    : (8, 16)
testgfsvg-testgfslv1: 1 dependencies    : (8, 16)
VolGroup00-LogVol01: 1 dependencies     : (8, 2)
VolGroup00-LogVol00: 1 dependencies     : (8, 2)
以下の例は、デバイス lock_stress-grant--02.1722 の依存関係のみを一覧表示するコマンドを示しています。
# dmsetup deps lock_stress-grant--02.1722
3 dependencies  : (253, 33) (253, 32) (253, 31)
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