第1章 LVM 論理ボリュームマネージャー
この章では、Red Hat Enterprise Linux 7 の初期リリース以降のリリースに新たに組み込まれている LVM 論理ボリュームマネージャーの機能についてまとめています。さらに、論理ボリュームマネージャー (LVM) のコンポーネントの概要を説明します。
1.1. 新機能と変更点
このセクションでは、Red Hat Enterprise Linux 7 の初期リリース以降に加えられた LVM 論理ボリュームマネージャーの機能のリストを提供します。
1.1.1. Red Hat Enterprise Linux 7.1 の新機能および変更された機能
Red Hat Enterprise Linux 7.1 には、ドキュメントや機能を対象とする以下の更新および変更が含まれています。
- シンプロビジョニングされたボリュームと、シンプロビジョングされたスナップショットに関する記載がわかりやすくなりました。LVM シンプロビジョニングに関する追加情報は、lvmthin(7) man ページを参照してください。シンプロビジョングされた論理ボリュームに関する全般的な情報は、「シンプロビジョニングされた論理ボリューム (シンボリューム)」 を参照してください。シンプロビジョニングのスナップショットボリュームの詳細は、「シンプロビジョニングされたスナップショットボリューム」 を参照してください。
- 本書では、lvm dumpconfig コマンドの説明を 「lvmconfig コマンド」 にまとめています。Red Hat Enterprise Linux 7.2 リリースでは、このコマンドの名前が lvmconfig に変更になりました。ただし、以前の形式は引き続き機能します。
- このマニュアルは、LVM プロファイルについて 「LVM プロファイル」 で説明しています。
- 本書では、lvm コマンドの説明を 「lvm コマンドを使用した LVM 情報の表示」 に追加しています。
- Red Hat Enterprise Linux 7.1 リリースでは、「論理ボリュームのアクティブ化の制御」 に記載されているように、lvcreate および lvchange コマンドの -k および -K オプションを使用して、シンプールスナップショットのアクティブ化を制御できます。
- 本書では、vgimport コマンドの
--force
引数を説明しています。これにより、物理ボリュームがないボリュームグループをインポートし、その後 vgreduce --removemissing コマンドを実行できます。vgimport コマンドの詳細は、「ボリュームグループの別のシステムへの移動」 を参照してください。 - 本書では、vgreduce コマンドの
--mirrorsonly
引数を説明しています。この引数を使用すると、障害が発生した物理ボリュームのミラーイメージである論理ボリュームのみを削除することができます。このオプションの使用方法については、「ボリュームグループの別のシステムへの移動」 を参照してください。
さらに、ドキュメント全体にわたり、技術的な内容の若干の修正と明確化を行いました。
1.1.2. Red Hat Enterprise Linux 7.2 の新機能および変更された機能
Red Hat Enterprise Linux 7.2 ではドキュメントと機能が以下のように更新/変更されています。
- 多くの LVM 処理コマンドでは、
-S
オプションまたは--select
オプションで、これらのコマンドの選択基準を定義するようになりました。LVM 選択基準については、新しい付録 付録C LVM 選択基準 に記載されています。 - 本書では、キャッシュ論理ボリュームの作成に関する基本的な手順について 「LVM 論理ボリュームの作成」 で説明します。
- 本書のトラブルシューティングに関する章に、新しいセクション 「マルチパスデバイスに対する重複した PV 警告」 が追加されました。
- Red Hat Enterprise Linux 7.2 リリースでは、lvm dumpconfig コマンドの名前が lvmconfig に変更になりましたが、古い形式は引き続き動作するようになりました。ただし、以前の書式は引き続き利用できます。この変更は本書全体に反映されています。
さらに、ドキュメント全体にわたり、技術的な内容の若干の修正と明確化を行いました。
1.1.3. Red Hat Enterprise Linux 7.3 の新機能および変更された機能
Red Hat Enterprise Linux 7.3 ではドキュメントと機能が以下のように更新、変更されています。
- LVM は RAID0 セグメントタイプをサポートします。RAID0 では、ストライプサイズの単位で、複数のデータサブボリュームに論理ボリュームデータが分散されます。RAID0 ボリュームの作成については、「RAID0 ボリュームの作成 (Red Hat Enterprise Linux 7.3 以降)」 を参照してください。
- lvm fullreport コマンドを使用して、物理ボリューム、ボリュームグループ、論理ボリューム、物理ボリュームセグメント、および論理ボリュームセグメントに関する情報を一度に報告できます。このコマンドとその機能の詳細は、lvm-fullreport(8)の man ページを参照してください。
- LVM は、LVM コマンドの実行中に収集された操作、メッセージ、および各オブジェクトのステータス (完全なオブジェクト ID 付き) のログが含まれるログレポートをサポートします。LVM ログレポートの例は、「コマンドログレポート (Red Hat Enterprise Linux 7.3 以降)」 を参照してください。LVM ログレポートの詳細は、lvmreport(7) man ページを参照してください。
- LVM 表示コマンドで
--reportformat
オプションを使用して、JSON 形式で出力を表示できます。JSON 形式で表示された出力例は、「JSON 形式の出力 (Red Hat Enterprise Linux 7.3 以降)」 を参照してください。 lvm.conf
設定ファイルでrecord_lvs_history
メタデータオプションを有効にして、削除したシンプロビジョニングのスナップショットとシン論理ボリュームを追跡するようにシステムを設定できるようになりました。これにより、元の依存関係チェーンから削除され、過去の論理ボリュームになった論理ボリュームを含む、完全なシンスナップショット依存関係チェーンを表示できます。過去の論理ボリュームについては、「過去の論理ボリュームの追跡および表示 (Red Hat Enterprise Linux 7.3 以降)」 を参照してください。
さらに、ドキュメント全体にわたり、技術的な内容の若干の修正と明確化を行いました。
1.1.4. Red Hat Enterprise Linux 7.4 の新機能および変更された機能
Red Hat Enterprise Linux 7.4 では、ドキュメントと機能が以下のように更新、変更されています。
- Red Hat Enterprise Linux 7.4 では、RAID テイクオーバーおよび RAID の再成形 (reshaping) に対応します。機能の概要は、「RAID テイクオーバー (Red Hat Enterprise Linux 7.4 以降)」 と 「RAID 論理ボリュームの再成形 (Red Hat Enterprise Linux 7.4 以降)」 を参照してください。