8.13. Red Hat Enterprise Linux システムロール
storage
ロールが、アンマウントせずにマウントされたファイルシステムのサイズを変更できるようになる
以前は、ファイルシステムがオンラインサイズ変更をサポートしていても、storage
ロールはマウントされたデバイスのサイズを変更できませんでした。その結果、storage
ロールはサイズ変更の前にすべてのファイルシステムをアンマウントしましたが、実行中のシステムの /
ディレクトリーのサイズ変更中など、使用中のファイルシステムでは失敗しました。
この更新により、storage
ロールは、XFS や Ext4 などのオンラインサイズ変更をサポートする、マウントされたファイルシステムのサイズ変更をサポートするようになりました。その結果、マウントされたファイルシステムをアンマウントせずにサイズ変更できるようになりました。
certificate
RHEL システムロールが、新しい証明書要求を実行するかどうかを決定するときに証明書のキーサイズをチェックするようになる
以前は、certificate
RHEL システムロールは、新しい証明書を要求するかどうかを評価するときに、証明書のキーサイズをチェックしませんでした。その結果、同ロールは、新しい証明書要求を発行すべき場合に、発行しないことがありました。この更新により、certificate
は key_size
パラメーターをチェックして、新しい証明書要求を実行する必要があるかどうかを判断するようになりました。
rhc
ロールを使用して作成された Insights タグが正しく適用されるようになる
以前は、rhc
ロールを使用して Insights タグを作成した場合、タグは正しいファイルに保存されませんでした。そのため、タグは Insights に送信されず、その結果、タグは Insights インベントリー内のシステムに適用されませんでした。
この修正により、タグが正しく保存され、Insights インベントリーに存在するシステムに適用されるようになりました。
RHEL 7 の firewall
RHEL システムロールが存在しない Python パッケージのインストールを試行しなくなる
以前は、RHEL 7 の firewall
ロールが別のロールから呼び出され、そのロールが python3
を使用していた場合、firewall
ロールはそのバージョンの Python の python3-firewall
ライブラリーをインストールしようとしていました。ただし、そのライブラリーは RHEL 7 では利用できません。そのため、python3-firewall
ライブラリーが見つからず、次のエラーメッセージが表示されていました。
No package matching 'python3-firewall' found available, installed or updated
今回の更新で、firewall
ロールは、python-firewall
または python3-firewall
ライブラリーのインストールを試行しなくなりました。その結果、マネージドノードに python3
がインストールされている場合、RHEL 7 で firewall
ロールは失敗しません。
作成前にメンバーディスクからデータを削除できなかった問題が解消される
以前は、RAID ボリュームを作成するときに、システムは RAID ボリュームを形成する前にメンバーディスクから既存のデータを効果的に削除しませんでした。この更新により、RAID ボリュームは必要に応じてメンバーディスクから既存のデータを削除します。
podman_registries_conf
変数で unqualified-search-registries
フィールドが正しく設定されるようになる
以前は、podman_registries_conf
変数を設定した後、podman
RHEL システムロールが失敗していました。その結果、unqualified-search-registries = ["registry.access.redhat.com"]
設定は、/etc/containers/registries.conf.d/50-systemroles.conf
ファイルに生成されませんでした。今回の更新で、この問題が修正されています。
raid_chunk_size
パラメーターがエラーメッセージを返さなくなる
以前は、raid_chunk_size
属性は、RAID プールおよびボリュームに対して許可されていませんでした。この更新により、制限を受けることなく RAID プールおよびボリュームの raid_chunk_size
属性を設定できるようになりました。
存在しないサービスを使用して firewall
RHEL システムロールをチェックモードで実行しても失敗しなくなる
以前は、存在しないサービスを使用してチェックモードで firewall
ロールを実行すると失敗していました。この修正により、チェックモードの Ansible ベストプラクティスへの準拠性が向上しました。その結果、存在しないサービスが有効または無効でも、チェックモードのロールは失敗しなくなりました。代わりに、サービスが以前の Playbook で定義されていることを確認する警告が表示されます。
kdump
ロールが authorized_keys
をべき等性を持たせて追加する
以前は、authorized_key
を追加するタスクは毎回余分な改行文字を追加していました。そのため、ロールはべき等性を持ちませんでした。この修正により、新しい authorized_key
の追加は正しく機能し、単一のキー値のみをべき等性を持たせて追加します。
authorized_keys
がない場合も、kdump
システムロールが失敗しなくなりました。
以前は、kdump_ssh_user
変数で定義されたユーザーが home
ディレクトリー内の .ssh
ディレクトリーまたは空の .ssh/authorized_keys
ファイルにアクセスできない場合、kdump
システムロールは SSH
認可キーを追加できませんでした。この修正により、kdump
システムロールは認可されたキーを SSH
設定に正しく追加するようになりました。その結果、キーベースの認証は、説明したシナリオで確実に機能します。
firewall
RHEL システムロールが、チェックモードで previous: replaced
を使用するときに変更を正しく報告するようになる
以前は、previous: replaced
ロールは、チェックモードで previous: replaced
パラメーターを使用するときに、ファイルの変更についてチェックしていませんでした。その結果、ロールでは未定義の変数に関するエラーが発生しました。この修正により、previous: replaced
パラメーターによるファイルの変更を評価する新しいチェック変数がチェックモードに追加されました。firewalld.conf
ファイルのチェックでは、rpm
データベースを評価して、ファイルがパッケージに同梱されているバージョンから変更されているか判断します。その結果、firewall
ロールは、previous: replaced
パラメーターを使用する場合、変更を正しく報告するようになりました。
Jira:RHEL-899[1]
システムロールに対して kdump
を有効にするには、RHEL 9 以降のバージョンで failure_action
設定パラメーターを使用する必要があります。
以前は、kdump
設定中に default
オプションを使用すると成功せず、以下の警告がログに出力されていました。
kdump: warning: option 'default' was renamed 'failure_action' and will be removed in the future. please update /etc/kdump.conf to use option 'failure_action' instead.
その結果、default
オプションが使用されていた場合、ロールは kdump
を正常に有効にしませんでした。今回の更新で問題が修正され、failure_action
パラメーターを使用して、複数のシステムにカーネルダンプパラメーターを設定できるようになりました。これにより、上述のシナリオで kdump
の有効化が正常に機能します。
Jira:RHEL-907[1]
firewall
RHEL システムロールが、Network Manager インターフェイスにゾーンを割り当てるときに変更を正しく報告するようになる
以前は、Network Manager インターフェイス割り当ては、変更が存在しない場合でも変更を報告していました。この修正により、library/firewall_lib.py
ファイル内の try_set_zone_of_interface
モジュールは、インターフェイスのゾーンが変更されたかどうかを示す 2 番目の値を返します。その結果、Network Manager によって処理されるインターフェイスにゾーンを割り当てるときに、モジュールは変更を正しく報告するようになりました。
Jira:RHEL-918[1]
kdump
ロールにより、kdump_ssh_server
認証の .ssh/authorized_keys
が正常に更新されます。
以前は、kdump
ロールが .ssh
ディレクトリーにアクセスして、kdump_ssh_server
にログインするためのユーザーを安全に認証できませんでした。その結果、kdump
ロールは、kdump_ssh_server
が失敗したことを確認するための .ssh/authorized_keys
ファイルと SSH メカニズムを更新しませんでした。今回の更新でこの問題が修正されています。これにより、kdump_ssh_server
の kdump_ssh_user
認証が確実に機能します。
Jira:RHEL-1398[1]
firewall
システムロールの previous: replaced
パラメーターが、以前の設定を削除せずにオーバーライドするようになる
以前は、変数リストに previous: replaced
パラメーターを追加すると、firewall
システムロールは既存のユーザー定義設定をすべて削除し、firewalld
をデフォルト設定にリセットしていました。この修正では、EL7 リリースで導入された firewalld
のフォールバック設定を使用して、以前の設定を保持します。その結果、変数リストで previous: replaced
パラメーターを使用すると、firewall.conf
設定ファイルはリセット時に削除されませんが、ファイルとファイル内のコメントが保持されます。
Jira:RHEL-1496[1]
kdump
ロールは、複数のキーを authorized_keys
にべき等性を持たせて追加する
以前は、authorized_keys
ファイルに複数の SSH キーを同時に追加すると、あるホストのキー値が別のホストに置き換えられていました。この更新では、lineinfile
モジュールを使用して authorized_keys
ファイルを管理することで問題が修正されます。lineinfile
はタスクを順番に繰り返し処理し、既存のキーをチェックし、1 つのホストで一度に新しいキーを 1 つのアトミック操作で書き込みます。その結果、複数のホストに SSH キーを追加すると正しく機能し、別のホストのキーの値を置き換えません。
注記: serial: 1
play serial キーワードを play レベルで使用して、1 度に実行されているホストの数を制御します。
Jira:RHEL-1500[1]