4.2. SELinux ブール値で NFS ボリュームおよび CIFS ボリュームの共有に関するポリシーの調整
SELinux ポリシーの記述に関する知識がなくても、ブール値を使用して、ランタイム時に SELinux ポリシーの一部を変更できます。これにより、SELinux ポリシーの再読み込みや再コンパイルを行わずに、サービスが NFS ボリュームにアクセスするのを許可するなどの変更が可能になります。以下の手順では、SELinux ブール値のリストを表示して、ポリシーで必要な変更を実現するように設定します。
クライアント側の NFS マウントは、NFS ボリュームのポリシーで定義されたデフォルトのコンテキストでラベル付けされます。RHEL では、このデフォルトのコンテキストは nfs_t
タイプを使用します。また、クライアント側にマウントされた Samba 共有には、ポリシーで定義されたデフォルトのコンテキストがラベル付けされます。このデフォルトのコンテキストは cifs_t
タイプを使用します。ブール値を有効または無効にすると、nfs_t
タイプおよび cifs_t
タイプにアクセスできるサービスを制御できます。
Apache HTTP サーバーサービス (httpd
) による NFS ボリュームおよび CIFS ボリュームへのアクセスおよび共有を許可するには、以下の手順を実行します。
前提条件
-
必要に応じて、
selinux-policy-devel
パッケージをインストールして、semanage boolean -l
コマンドの出力で SELinux ブール値の詳細を、より明確で詳細な形で取得します。
手順
NFS、CIFS、および Apache に関する SELinux ブール値を特定します。
# semanage boolean -l | grep 'nfs\|cifs' | grep httpd httpd_use_cifs (off , off) Allow httpd to access cifs file systems httpd_use_nfs (off , off) Allow httpd to access nfs file systems
ブール値の現在の状態をリスト表示します。
$ getsebool -a | grep 'nfs\|cifs' | grep httpd httpd_use_cifs --> off httpd_use_nfs --> off
指定されたブール値を有効にします。
# setsebool httpd_use_nfs on # setsebool httpd_use_cifs on
注記setsebool
で-P
オプションを使用使用すると、システムを再起動しても変更が持続します。setsebool -P
コマンドは、ポリシー全体を再構築する必要がありますが、設定によっては少し時間がかかる場合があります。
検証
ブール値が
on
になっていることを確認します。$ getsebool -a | grep 'nfs\|cifs' | grep httpd httpd_use_cifs --> on httpd_use_nfs --> on
関連情報
-
システム上の
semanage-boolean (8)
、sepolicy-booleans (8)
、getsebool (8)
、setsebool (8)
、booleans (5)
、およびbooleans (8) の
man ページ