2.2. DHCP リレーの設定
アンダークラウドは、プロビジョニングネットワーク上で 2 つの DHCP サーバーを使用します。
- イントロスペクション用 x 1
- プロビジョニング用 x 1
DHCP リレーを設定する際には、アンダークラウド上の両方の DHCP サーバーに DHCP 要求を転送するようにしてください。
UDP ブロードキャストを対応するデバイスと共に使用して、アンダークラウドのプロビジョニングネットワークが接続されている L2 ネットワークセグメントに DHCP 要求をリレーすることができます。または、DHCP 要求を特定の IP アドレスにリレーする UDP ユニキャストを使用することができます。
特定のデバイス種別での DHCP リレーの設定は、本ガイドの対象範囲外となっています。本ガイドでは参考として、ISC DHCP ソフトウエアの実装を使用した DHCP リレー設定の例を以下に記載しています。この実装の使用方法に関する詳しい情報は、dhcrelay(8) の man ページを参照してください。
ブロードキャストを使用する DHCP リレー
この方法では、UDP ブロードキャストトラフィックを使用して、DHCP サーバーが存在する L2 ネットワークセグメントに DHCP 要求をリレーします。このネットワークセグメント上の全デバイスがブロードキャストトラフィックを受信します。UDP ブロードキャストを使用する場合は、アンダークラウド上の両方の DHCP サーバーがリレーされた DHCP 要求を受信します。これは通常、実装に応じて、インターフェイスまたは IP ネットワークアドレスを指定することによって設定されます。
- インターフェイス
- DHCP 要求がリレーされる L2 ネットワークセグメントに接続するインターフェイスを指定します。
- IP ネットワークアドレス
- DHCP 要求がリレーされる IP ネットワークのネットワークアドレスを指定します。
ユニキャストを使用する DHCP リレー
この方法では、UDP ユニキャストトラフィックを使用して DHCP 要求を特定の DHCP サーバーにリレーします。UDP ユニキャストを使用する場合には、DHCP リレーを提供するデバイスが、アンダークラウド上でイントロスペクション用に使用されるインターフェイスに割り当てられた IP アドレスと、ctlplane
ネットワーク用の DHCP サービスをホストする OpenStack Networking (neutron) サービスによって作成されたネットワーク名前空間の IP アドレスの両方に対して、DHCP 要求をリレーするように設定する必要があります。
イントロスペクションに使用されるインターフェイスは、undercloud.conf
の inspection_interface で定義されているインターフェイスです。
br-ctlplane
インターフェイスをイントロスペクションに使用するのは一般的です。undercloud.conf
の local_ip
で定義されている IP アドレスは、br-ctlplane
インターフェイス上です。
Neutron DHCP 名前空間に割り当てられる IP アドレスは、undercloud.conf の local_subnet で設定されている IP 範囲内で利用可能な最初のアドレスです。IP 範囲内の最初のアドレスは、設定の dhcp_start
で定義されているアドレスです。たとえば、以下の設定が使用されている場合には、192.168.10.10
がその IP アドレスとなります
[DEFAULT] local_subnet = leaf0 subnets = leaf0,leaf1,leaf2 [leaf0] cidr = 192.168.10.0/24 dhcp_start = 192.168.10.10 dhcp_end = 192.168.10.90 inspection_iprange = 192.168.10.100,192.168.10.190 gateway = 192.168.10.1 masquerade = False
DHCP 名前空間の IP アドレスは自動的に割り当てられます。大半の場合は、IP 範囲の最初のアドレスです。アンダークラウドで以下のコマンドを実行して、確認するようにしてください。
$ openstack port list --device-owner network:dhcp -c "Fixed IP Addresses" +----------------------------------------------------------------------------+ | Fixed IP Addresses | +----------------------------------------------------------------------------+ | ip_address='192.168.10.10', subnet_id='7526fbe3-f52a-4b39-a828-ec59f4ed12b2' | +----------------------------------------------------------------------------+ $ openstack subnet show 7526fbe3-f52a-4b39-a828-ec59f4ed12b2 -c name +-------+--------+ | Field | Value | +-------+--------+ | name | leaf0 | +-------+--------+
dhcrelay の設定例
以下の例では、dhcp
パッケージの dhcrelay
コマンドは以下の設定を使用します。
-
DHCP の受信要求をリレーするインターフェイスは
eth1
、eth2
、eth3
です。 -
ネットワークセグメント上のアンダークラウドの DHCP サーバーが接続されているインターフェイスは
eth0
です。 -
イントロスペクションに使用される DHCP サーバーがリッスンしている IP アドレスは
192.168.10.1
です。 -
プロビジョニングに使用される DHCP サーバーがリッスンしている IP アドレスは
192.168.10.10
です。
これで、dhcrelay
コマンドは以下のようになります。
$ sudo dhcrelay -d --no-pid 172.20.0.10 172.20.0.1 \ -i eth0 -i eth1 -i eth2 -i eth3
Cisco IOS ルーティングスイッチの設定例
この例では、次のタスクを実行するために、以下に示す Cisco IOS 設定を使用しています。
- プロビジョニングネットワークに使用する VLAN を設定する。
- リーフの IP アドレスを追加する。
-
IP アドレス
192.168.10.1
をリッスンしているイントロスペクション用 DHCP サーバーに、UDP および BOOTP 要求を転送する。 -
IP アドレス
192.168.10.10
をリッスンしているプロビジョニング用 DHCP サーバーに、UDP および BOOTP 要求を転送する。
interface vlan 2 ip address 192.168.24.254 255.255.255.0 ip helper-address 192.168.10.1 ip helper-address 192.168.10.10 !
これでプロビジョニングネットワークの設定が完了したので、残りのオーバークラウドリーフネットワークを設定することができます。これは、一連の設定ファイルを使用して行います。