5.3. RHEL ベースのセルフホストエンジン環境のアップグレード


Red Hat Enterprise Virtualization 3.6 セルフホストエンジン環境を Red Hat Virtualization 4.0 にアップグレードできます。Red Hat Virtualization 4.0 で提供されるアップグレードユーティリティーは、Manager 仮想マシンに Red Hat Enterprise Linux 7 をインストールし、新しい Manager に 3.6 Manager データベースのバックアップを復元します。Manager を 4.0 にアップグレードした後、セルフホストエンジンノードおよび通常のホストを 4.0 に更新できます。
重要
upgrade ユーティリティーは、テンプレートに基づいて新しい Manager を構築します。カスタムユーザー、SSH キー、監視などの元の Manager への手動の変更またはカスタム設定は、新規 Manager で手動で再適用する必要があります。
注記
Manager 用仮想マシンの Red Hat Enterprise Linux 7 へのインプレースアップグレードはサポートされていません。
重要
以下の手順は、Red Hat Enterprise Linux 7 ホストで実行している Red Hat Enterprise Virtualization 3.6 セルフホストエンジン環境のアップグレードのみを目的としています。手順を試みる前に、環境内のすべてのデータセンターおよびクラスターにおいて、クラスターの互換性レベルがバージョン 3.6 に設定されている必要があります。
注記
アップグレードは、現在 Manager 用仮想マシンを実行しているホストで行われ、SPM サーバーとして設定されている必要があります。upgrade ユーティリティーはこれをチェックします。
アップグレードプロセスには、以下の主要なステップが含まれます。
  • Manager 用仮想マシンを管理する高可用性エージェントをグローバルメンテナンスモードにします。
  • ホストに必要なリポジトリーを有効にし、ovirt-hosted-engine-setup パッケージおよび rhevm-appliance パッケージを更新します。
  • hosted-engine --upgrade-appliance を実行して Manager 用仮想マシンをアップグレードします。アップグレード中に、3.6 Manager のバックアップを作成し、アップグレードが実行されるホストマシンにコピーするように求められます。
  • ホストを更新します。
  • Manager 用仮想マシンおよびクラスター内のすべてのホストが更新されたら、クラスターの互換バージョンを 4.0 に変更します。
アップグレード手順で作成したバックアップは自動的に削除されません。アップグレードが成功したことを確認したら、手動で削除する必要があります。バックアップディスクには hosted-engine-backup-* のラベルが付けられます。

前提条件

  • /var/tmp ディレクトリーには、アプライアンスファイルを抽出するために 5 GB 以上の空き領域が必要です。そうでない場合は、別のディレクトリーを指定したり、必要なスペースを持つ代替ストレージをマウントしたりできます。VDSM ユーザーおよび KVM グループには、ディレクトリーに対する読み取り、書き込み、および実行権限が必要です。
  • セルフホストエンジン用ストレージドメインには、デプロイされる新しいアプライアンス用の追加の空き領域が必要です(デフォルトでは 50 GB)。iSCSI またはファイバーチャネルストレージのストレージを増やすには、ストレージの LUN サイズを手動で拡張し、Manager を使用してストレージドメインを拡張する必要があります。LUN のサイズ変更に関する詳細は、『Administration Guide』 の Increasing iSCSI or FCP Storage を参照してください。

手順5.4 セルフホストエンジンのアップグレード

  1. すべてのセルフホストエンジンノードで高可用性エージェントを無効にします。これを行うには、クラスター内の任意のホストで以下のコマンドを実行します。
    # hosted-engine --set-maintenance --mode=global
    注記
    hosted-engine --vm-status を実行して、環境がメンテナーンスモードにあることを確認します。
  2. 現在 SPM として設定されており、Manager 仮想マシンが含まれるホストで、必要なリポジトリーを有効にします。
    # subscription-manager repos --enable=rhel-7-server-rhv-4-mgmt-agent-rpms
  3. Manager 用仮想マシン以外のすべての仮想マシンを別のホストに移行します。
  4. ホストで、Manager 用仮想マシンパッケージを更新します。
    # yum update ovirt-hosted-engine-setup rhevm-appliance
    rhevm-appliance パッケージがない場合は、ovirt-hosted-engine-setup を更新する前に手動でインストールします。
    # yum install rhevm-appliance
    # yum update ovirt-hosted-engine-setup
  5. upgrade ユーティリティーを実行して Manager 用仮想マシンをアップグレードします。インストールされていない場合は、標準の Red Hat Enterprise Linux リポジトリーで利用可能な screen パッケージをインストールします。
    # yum install screen
    # screen
    # hosted-engine --upgrade-appliance
    注記
    複数のネットワークが検出されるとアプライアンスを選択することを求めるプロンプトが出され、Manager データベースのバックアップを作成し、その完全な場所を指定するよう求められます。
  6. アップグレードが完了したら、グローバルメンテナーンスを無効にします。
    # hosted-engine --set-maintenance --mode=none
アップグレード中に問題が発生した場合は、hosted-engine --vm-poweroff コマンドを使用して Manager の電源をオフにし、hosted-engine --rollback-upgrade を実行してアップグレードをロールバックします。
セルフホストエンジン環境内のホストをアップグレードするには、「セルフホストエンジン環境でのホストのアップグレード」 を参照してください。
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