第2章 セルフホストエンジンのデプロイ


セルフホストエンジンは、コマンドラインから、または Cockpit のユーザーインターフェースを使用してデプロイすることができます。Red Hat Virtualization Host では Cockpit がデフォルトで利用可能ですが、Red Hat Enterprise Linux ホストに Cockpit をインストールすることもできます。両方の手法で Ansible が使用され、プロセスの大部分を自動化しています。

セルフホストエンジンのインストールでは、RHV-M Appliance を使用して Manager 用仮想マシンを作成します。アプライアンスはデプロイメントプロセス中にインストールされますが、必要であればデプロイメントを開始する前にホストにインストールすることもできます。

# yum install rhvm-appliance
重要

セルフホストエンジン環境に関する個別の推奨事項については、『プランニングおよび前提条件ガイド』「セルフホストエンジンに関する推奨事項」を参照してください。

高可用性のためにボンドインターフェースを使用する、またはトラフィックをタイプごとに分離するために VLAN を使用する場合は (例: ストレージ用の接続と管理用の接続)、デプロイメントの前に設定する必要があります。詳細については、『プランニングおよび前提条件ガイド』「ネットワークに関する推奨事項」を参照してください。

Red Hat Hyperconverged Infrastructure (RHHI) 環境の一環として、Red Hat Gluster Storage と共にセルフホストエンジンをデプロイする場合は、『Red Hat Hyperconverged Infrastructure のデプロイ』を参照してください。

2.1. Cockpit を使用したセルフホストエンジンのデプロイ

ご自分の環境の情報を収集する簡単なウィザードを使用して、Cockpit からセルフホストエンジンをデプロイすることができます。これが推奨される方法です。

Red Hat Virtualization Host では Cockpit がデフォルトで有効です。Red Hat Enterprise Linux ホストを使用している場合は、『インストールガイド』「Red Hat Enterprise Linux ホストへの Cockpit のインストール」を参照してください。

前提条件

  • 新規にインストールされた Red Hat Virtualization Host または Red Hat Enterprise Linux 7。必要なリポジトリーが有効化されていること。詳細については、『インストールガイド』「Red Hat Virtualization Host のインストール」または「Red Hat Enterprise Linux ホストリポジトリーの有効化」を参照してください。
  • Manager およびホスト用の完全修飾ドメイン名。正引き (フォワードルックアップ) と逆引き (リバースルックアップ) の両方を DNS で設定する必要があります。
  • RHV-M Appliance 用に、少なくとも 5 GB の容量を持つホスト上のディレクトリー。デプロイメントのプロセスは、アプライアンスのファイルを抽出するのに十分なスペースが /var/tmp にあるかどうかチェックします。スペースが足りない場合には、別のディレクトリーを指定するか、外部ストレージをマウントすることができます。VDSM ユーザーおよび KVM グループには、このディレクトリーでの読み取り、書き込み、実行権限を指定する必要があります。
  • Manager 用仮想マシン専用のデータストレージドメインとして準備されたストレージ。このストレージドメインはセルフホストエンジンのデプロイメント中に作成され、容量は少なくとも 74 GiB 必要です。高可用性ストレージを推奨します。デプロイメント用ストレージの準備に関する詳しい情報は、『管理ガイド』「ストレージ」の章を参照してください。

    警告

    Red Hat では、セルフホストエンジンのストレージドメインとして、同じデータセンター内に別のアクティブなデータストレージドメインを用意することを強く推奨します。

    セルフホストエンジンをデータセンター内にデプロイする際に、アクティブなデータストレージドメインを 1 つしか用意しないと、そのデータストレージドメインが破損した場合に、新たなデータストレージドメインを追加することや破損したデータストレージドメインを削除することができません。セルフホストエンジンを再デプロイしなければなりません。

    重要

    iSCSI ストレージを使用する場合には、セルフホストエンジンのストレージドメインと追加のストレージドメインに同じ iSCSI ターゲットを使用しないでください。

手順

  1. https://HostIPorFQDN:9090 から Cockpit にログインし、Virtualization Hosted Engine をクリックします。
  2. Hosted Engine オプションの下の Start をクリックします。
  3. Manager 用仮想マシンに関する情報を入力します。

    1. Engine VM FQDN に、ベースホストではなく Manager 用仮想マシンの FQDN を入力します。
    2. MAC Address に、Manager 用仮想マシンの MAC アドレスを入力します。あるいは、無作為に生成される MAC アドレスを適用します。
    3. Network Configuration のドロップダウンリストから、DHCP または Static のいずれかを選択します。

      • DHCP を選択した場合には、ホスト名が DHCP から受け取るアドレスに解決されるように、Manager 用仮想マシンの DHCP 予約がなければなりません。その MAC アドレスを MAC Address フィールドで指定します。
      • Static を選択した場合には、以下の情報を入力します。

        • VM IP Address: IP アドレスは、ホストと同じサブネットに属している必要があります。たとえばホストが 10.1.1.0/24 内にある場合、Manager 用仮想マシンの IP は同じサブネット範囲 (10.1.1.1-254/24) になければなりません。
        • Gateway Address: ゲートウェイの IP アドレス
        • DNS Servers: DNS サーバーの IP アドレス
    4. Bridge Interface のドロップダウンリストから、ブリッジインターフェースを選択します。
    5. Root Password に仮想マシンの root パスワードを入力し、それを確認します。
    6. Root SSH Access で、root に SSH アクセスを許可するかどうかを指定します。
    7. Number of Virtual CPUs に、仮想マシンの CPU 数を入力します。
    8. Memory Size (MiB) に、メモリーのサイズを入力します。使用可能なメモリー容量が入力フィールドの横に表示されます。
  4. オプションとして、Advanced フィールドを展開します。

    1. Root SSH Public Key に、root ユーザーが Manager 用仮想マシンにアクセスする際に使用する公開鍵を入力します。
    2. Edit Hosts File のチェックボックスを選択/選択解除して、Manager 用仮想マシンおよびベースホストのエントリーを仮想マシンの /etc/hosts ファイルに追加するかどうかを指定します。ホスト名は解決可能でなければなりません。
    3. Bridge Name で管理ブリッジの名前を変更します。あるいは、デフォルトの ovirtmgmt を適用します。
    4. Gateway Address に、管理ブリッジのゲートウェイ IP アドレスを入力します。
    5. Host FQDN に、Manager に追加する第 1 ホストの FQDN を入力します。これは、デプロイメントを実行しているベースホストの FQDN です。
  5. Next をクリックします。
  6. Admin Portal Passwordadmin@internal ユーザーのパスワードを入力し、それを確認します。
  7. イベント通知を設定します。

    1. Server Name および Server Port Number に、SMTP サーバーの名前およびポート番号を入力します。
    2. Sender E-Mail Address に、送信元のメールアドレスを入力します。
    3. Recipient E-Mail Addresses に、受け取り先のメールアドレスを入力します。
  8. Next をクリックします。
  9. Manager およびその仮想マシンの設定を見直します。情報が正しければ、Prepare VM をクリックします。
  10. 仮想マシンのインストールが完了したら、Next をクリックします。
  11. Storage Type のドロップダウンリストからストレージのタイプを選択し、セルフホストエンジンのストレージドメインの情報を入力します。

    • NFS の場合:

      1. Storage Connection フィールドに、完全なアドレスおよびストレージへのパスを入力します。
      2. 必要に応じて、Mount Options にマウントオプションを入力します。
      3. Disk Size (GiB) にディスクのサイズを入力します。
      4. NFS Version のドロップダウンリストから、NFS のバージョンを選択します。
      5. Storage Domain Name にストレージのドメイン名を入力します。
    • iSCSI の場合:

      1. Portal IP AddressPortal PortPortal Username、および Portal Password に、ポータルの IP アドレス、ポート、ユーザー名、およびパスワードを入力します。
      2. Retrieve Target List をクリックしてターゲットを選択します。デプロイメント時に選択できる iSCSI ターゲットは 1 つだけですが、マルチパスがサポートされているので、同じポータルグループのポータルをすべて接続することができます。

        注記

        複数の iSCSI ターゲットを指定するには、セルフホストエンジンをデプロイする前にマルチパスを有効にする必要があります。詳細については、『Red Hat Enterprise Linux DM Multipath』を参照してください。Multipath Helper ツールを使用して、さまざまなオプションでマルチパスをインストールおよび設定するスクリプトを生成することもできます。

      3. Disk Size (GiB) にディスクのサイズを入力します。
      4. Discovery Username および Discovery Password に、ターゲット自動検出時のユーザー名およびそのパスワードを入力します。
    • ファイバーチャネルの場合:

      1. LUN ID に LUN ID を入力します。ホストのバスアダプターが設定、接続されている必要があります。また、LUN には既存のデータが含まれないようにする必要があります。既存の LUN を再使用する場合には、『管理ガイド』「LUN の再使用」を参照してください。
      2. Disk Size (GiB) にディスクのサイズを入力します。
    • Red Hat Gluster Storage の場合:

      1. Storage Connection フィールドに、完全なアドレスおよびストレージへのパスを入力します。
      2. 必要に応じて、Mount Options にマウントオプションを入力します。
      3. Disk Size (GiB) にディスクのサイズを入力します。
  12. Next をクリックします。
  13. ストレージの設定を見直します。情報が正しければ、Finish Deployment をクリックします。
  14. デプロイメントが完了したら、Close をクリックします。

    1 つのデータセンター、クラスター、ホスト、ストレージドメイン、および Manager 用仮想マシンがすでに稼働しているはずです。管理ポータルにログインして、その他のリソースを追加することができます。

  15. Manager 用仮想マシンで必要なリポジトリーを有効にします。詳細については、『インストールガイド』「Red Hat Virtualization Manager リポジトリーの有効化」を参照してください。
  16. オプションとして、ovirt-engine-extension-aaa-ldap-setup の対話型設定スクリプトを使用して、ディレクトリーサーバーを追加します。これにより、環境に新規ユーザーを追加することができます。詳細については、『管理ガイド』「外部の LDAP プロバイダーの設定」を参照してください。

セルフホストエンジンのステータスが Cockpit の Virtualization Hosted Engine タブに表示されます。管理ポータルで、Manager 用仮想マシン、仮想マシンを実行しているホスト、およびセルフホストエンジンのストレージドメインに金色の王冠のフラグが付けられます。

Red Hat logoGithubRedditYoutubeTwitter

詳細情報

試用、購入および販売

コミュニティー

Red Hat ドキュメントについて

Red Hat をお使いのお客様が、信頼できるコンテンツが含まれている製品やサービスを活用することで、イノベーションを行い、目標を達成できるようにします。

多様性を受け入れるオープンソースの強化

Red Hat では、コード、ドキュメント、Web プロパティーにおける配慮に欠ける用語の置き換えに取り組んでいます。このような変更は、段階的に実施される予定です。詳細情報: Red Hat ブログ.

会社概要

Red Hat は、企業がコアとなるデータセンターからネットワークエッジに至るまで、各種プラットフォームや環境全体で作業を簡素化できるように、強化されたソリューションを提供しています。

© 2024 Red Hat, Inc.