第19章 KVM ライブ移行

この章では、KVM hypervisor で稼働しているゲストを別の KVM ホストに移行する方法を説明しています。
移行とは、仮想化ゲストを1つのホストから別のホストへ移動することを指します。 ここではソフトウェアは完全にハードウェアから隔離されているため、移行は仮想化の 基幹機能と言えます。移行は以下のような状況で役に立ちます:
  • ロードバランシング: あるホストが過大な負荷を持つとき、ゲストは使用度の低いホストへと 移動できます。
  • ハードウェアフェイルオーバー:ホスト上のハードウェアデバイスが障害を持つと、 ゲストが安全な場所に移動して、その間にホストは電源を落として修理ができます。
  • エネルギー節約:ゲストが他のホストに再分配されると、ホストシステムは 電源を落とすことによりエネルギーを節約し、使用度が低い時にはコストを 低減します。
  • 地域的な移行:ゲストは、低遅延度を求めて、又は重大な状況下で 他の地域に移動することができます。
移行はライブで、又はオフラインで実行できます。ゲストを移行するためには ストレージが共有されなければなりません。移行はゲストのメモリーを目的地の ホストに送信することにより達成されます。共有ストレージはゲストのデフォルト ファイルシステムを格納しています。このファイルシステムイメージは送信元のホストから直接 送信先のホストまでネットワーク上で送信されるのではありません。
オフライン移行はゲストを休止して、それからそのゲストのメモリーイメージを目的地の ホストに移動します。ゲストは目的地のホストで復帰して、送信元ホスト上でゲストが使用した メモリーは開放されます。
オフライン移行が必要とする時間はネットワークのバンド幅と遅延度によります。 2GB のメモリーを持つゲストでは 1 Gbit イーサネットリンクで平均的に10秒位の 時間がかかります。
ライブ移行は送信元のホスト上でゲストを稼働し続け、ゲストを停止することなく、 そのメモリーの移動を始めます。全ての修正されたメモリーページはその変更部を監視され、 そのイメージが送信されている間に目的地へ送信されます。メモリーは変更のあった ページで更新されます。このプロセスはゲスト用に許容された休止時間数が、転送される 最後の数ページ用の予想時間と同等になるまで継続します。KVM はその残りの時間を推測し、 仮想化ゲストの短い休止時間内に残りのページが転送できると予測できるまで 送信元から送信先まで最大量のページを転送する試みを続けます。レジスタが新規の ホストにロードされて、ゲストはそれから送信先のホストで復帰します。ゲストが マージできない場合(ゲストが極端な負荷を持つ時に発生)、ゲストは休止して、 それから代わりに オフライン移行が始まります。
オフライン移行にかかる時間は、ネットワークのバンド幅とその遅延度によります。ネットワークが多大な負荷を持つ場合、又はバンド幅が低い場合は、移行には長い 時間がかかります。

19.1. ライブ移行の要件

ゲストの移行には以下が必要です:

移行の要件

  • 以下のプロトコルの1つを使用して共有ネットワークストレージにインストール された仮想化ゲスト:
    • ファイバーチャンネル
    • iSCSI
    • NFS
    • GFS2
  • 同じ更新を持つ同じバージョンの 2つ又はそれ以上の Red Hat Enterprise Linux システム
  • 両方のシステムは適切なポートを開いている必要があります。
  • 両方のシステムは同一のネットワーク設定を持つ必要があります。全ての ブリッジとネットワーク設定は両方のホスト上で全く同じでなければなりません。
  • 共有ストレージは送信元と送信先のシステム上で同じ場所でマウントしなければ なりません。そしてマウントされたディレクトリ名も同一である必要があります。
ネットワークストレージの継続

共有ストレージを設定してその共有ストレージにゲストをインストールします。 共有ストレージに関する案内には、9章共有ストレージと仮想化 を参照して下さい。

別の方法として、「共有ストレージサンプル: 簡単な移行のための NFS」 内の NFS サンプルを使用します。
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